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アートネイチャ Research Memo(4):「反響営業」で新規顧客を獲得
配信日時:2022/01/07 15:24
配信元:FISCO
■事業概要
2. ビジネスモデル
前述した高品質な物づくり体制、全国をカバーする店舗ネットワーク、専門的な技術を持つ理・美容師資格取得者というアートネイチャー<7823>の組織体制をスムーズに回し、収益向上や成長につなげる仕組みが「反響営業」と「リピート契約・定着」であり、同社ビジネスモデルの根幹をなす。まず、髪にまつわる様々な課題を抱えている人やウィッグでおしゃれを楽しみたい人などをターゲットに、テレビや新聞、インターネットなどターゲットそれぞれへの強みを持つ各広告媒体を使い分けて訴求する。その結果、同社商品・サービスに関心を持ち、電話やメール、来店などでコンタクトしてきた人を新規顧客として取り込んでいく。これを「反響営業」という。さらに、全国の店舗などで充実したアフターサービスや顧客のニーズに合わせた様々な提案を行うことで、新規顧客との間に信頼関係を築き、リピート契約へとつなげていく。これを「リピート契約・定着」という。
このビジネスモデルをより有効に、より効率的に機能させるため、様々な案件に取り組んでいる。一つ目は、顧客管理手法の高度化である。2005年1月に顧客管理システムを導入し、潜在顧客からの資料請求や既存顧客への商品提供、顧客毎のサービス・施術の履歴までを一元管理できるようになり、顧客のニーズに合った商品提案が従来以上の確度で可能となった。二つ目は、自社工場体制による商品の安定供給と高品質の担保である。2006年4月にフィリピンにある製造委託先を買収して完全子会社化すると共に、2008年2月には同社100%出資の製造子会社を設立した。これらにより、同社製品の安定的な供給元の確保と共に、顧客ニーズに応じた商品開発が可能となり、商品仕様に応じた高品質の担保と仕入コストの削減を実現させた。三つ目は、個人情報保護の強化である。2006年8月にプライバシーマークを取得し、現在も定期的に更新取得する等、個人情報管理体制を強化して顧客の信頼を強固なものとした。
さらに同社の顧客は髪に関する悩みを有する一般個人であり、その情報は重要情報となるため、情報管理には細心の注意を払っている。このため、「個人情報保護マネジメントシステム−要求事項(JIS Q 15001)」に準拠した個人情報保護マネジメントシステムを策定し、一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)のプライバシーマークを取得・更新している。また、顧客に関するデータについては、顧客管理システムで顧客情報の電子化、集中管理を実施する等、顧客情報の管理体制の強化に万全を期している。顧客情報を外部に委託するにあたっては、「個人情報保護マネジメントシステム−要求事項(JIS Q 15001)」により、業務委託先における個人情報管理体制が同社の定める個人情報保護基準を充足していることを事前に確認したうえで、秘密保持に関する契約書を取り交わしている。加えて、同社の担当者が訪問調査等を実施し、定期的に委託先の見直しを行っている。
新規顧客獲得~リピート契約の際に発揮する強み
3. 同社の強み
「反響営業」で新規顧客を獲得し「リピート契約・定着」していくプロセスで重要な要素となるのが、他社との差別化を促進する同社の強みである。同社ホームページなどで示している商品開発力、技術力、接客力という3つの強みに加え、ブランド力、財務体質・収益力も強みといえる。高品質な物づくり体制による商品開発力は、スピーディーに商品・サービスを開発することで、時代や顧客のニーズに素早く対応することができる。スキルやノウハウといった技術力や、コミュニケーション能力やカウンセリング力といった接客力は、職種や階層に応じて様々な研修を受けることで身につけることができる。そうして毛髪のプロとなった店舗スタッフが、くつろぎと安らぎを感じる店舗で心を込めてサービスを提供し接客することで、顧客の定着化を推し進めるのである。さらに、50年以上ウィッグビジネスを続けてきた信頼と、業界唯一の上場企業としての社会的信用に裏付けられたブランド力は、顧客にとって大きな拠り所となる。
ところで、コロナ禍などにより毛髪業界が厳しい環境にある中、同社の財務体質は2021年3月期自己資本比率(55.8%)やフリーキャッシュフロー(黒字持続)などが良好なうえ、営業利益率(5.4%)といった収益性も安定している。一方、最大のライバルである(株)アデランスは、決算公告などによると非常に厳しい業績だった模様で、現状の財務体質や収益力は同社に劣ると考えられる。例えば、2021年2月期のアデランス(単体ニアリーイコール国内)の売上高は321億円で、店舗数が491店、従業員数が2,630人、一方、2021年3月期の同社単体の売上高は346億円、店舗数361店、従業員数2,291人である。簡便計算だが、アデランスの1店舗当たり売上高は6,540万円、1人当たり売上高が1,220万円、同社はそれぞれ9,580万円、1,510万円である。生産性に大きな差があることがわかるが、生産性は施策とリーダーシップに基づくため、端的にいえば経営力の差を示しているということになる。また、こうした生産性などの差は投資の差となって現れ、特に毛髪業界の場合は「反響営業」のための広告の質や投入量に影響する。利益がなければ訴求できないし、無理して訴求すれば体力が衰え、その後のブランド力や収益力にさらに差が出ることになる。一般にはわかりづらいが、こうした良好な財務体質・収益力も同社の強みといえよう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<SI>
2. ビジネスモデル
前述した高品質な物づくり体制、全国をカバーする店舗ネットワーク、専門的な技術を持つ理・美容師資格取得者というアートネイチャー<7823>の組織体制をスムーズに回し、収益向上や成長につなげる仕組みが「反響営業」と「リピート契約・定着」であり、同社ビジネスモデルの根幹をなす。まず、髪にまつわる様々な課題を抱えている人やウィッグでおしゃれを楽しみたい人などをターゲットに、テレビや新聞、インターネットなどターゲットそれぞれへの強みを持つ各広告媒体を使い分けて訴求する。その結果、同社商品・サービスに関心を持ち、電話やメール、来店などでコンタクトしてきた人を新規顧客として取り込んでいく。これを「反響営業」という。さらに、全国の店舗などで充実したアフターサービスや顧客のニーズに合わせた様々な提案を行うことで、新規顧客との間に信頼関係を築き、リピート契約へとつなげていく。これを「リピート契約・定着」という。
このビジネスモデルをより有効に、より効率的に機能させるため、様々な案件に取り組んでいる。一つ目は、顧客管理手法の高度化である。2005年1月に顧客管理システムを導入し、潜在顧客からの資料請求や既存顧客への商品提供、顧客毎のサービス・施術の履歴までを一元管理できるようになり、顧客のニーズに合った商品提案が従来以上の確度で可能となった。二つ目は、自社工場体制による商品の安定供給と高品質の担保である。2006年4月にフィリピンにある製造委託先を買収して完全子会社化すると共に、2008年2月には同社100%出資の製造子会社を設立した。これらにより、同社製品の安定的な供給元の確保と共に、顧客ニーズに応じた商品開発が可能となり、商品仕様に応じた高品質の担保と仕入コストの削減を実現させた。三つ目は、個人情報保護の強化である。2006年8月にプライバシーマークを取得し、現在も定期的に更新取得する等、個人情報管理体制を強化して顧客の信頼を強固なものとした。
さらに同社の顧客は髪に関する悩みを有する一般個人であり、その情報は重要情報となるため、情報管理には細心の注意を払っている。このため、「個人情報保護マネジメントシステム−要求事項(JIS Q 15001)」に準拠した個人情報保護マネジメントシステムを策定し、一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)のプライバシーマークを取得・更新している。また、顧客に関するデータについては、顧客管理システムで顧客情報の電子化、集中管理を実施する等、顧客情報の管理体制の強化に万全を期している。顧客情報を外部に委託するにあたっては、「個人情報保護マネジメントシステム−要求事項(JIS Q 15001)」により、業務委託先における個人情報管理体制が同社の定める個人情報保護基準を充足していることを事前に確認したうえで、秘密保持に関する契約書を取り交わしている。加えて、同社の担当者が訪問調査等を実施し、定期的に委託先の見直しを行っている。
新規顧客獲得~リピート契約の際に発揮する強み
3. 同社の強み
「反響営業」で新規顧客を獲得し「リピート契約・定着」していくプロセスで重要な要素となるのが、他社との差別化を促進する同社の強みである。同社ホームページなどで示している商品開発力、技術力、接客力という3つの強みに加え、ブランド力、財務体質・収益力も強みといえる。高品質な物づくり体制による商品開発力は、スピーディーに商品・サービスを開発することで、時代や顧客のニーズに素早く対応することができる。スキルやノウハウといった技術力や、コミュニケーション能力やカウンセリング力といった接客力は、職種や階層に応じて様々な研修を受けることで身につけることができる。そうして毛髪のプロとなった店舗スタッフが、くつろぎと安らぎを感じる店舗で心を込めてサービスを提供し接客することで、顧客の定着化を推し進めるのである。さらに、50年以上ウィッグビジネスを続けてきた信頼と、業界唯一の上場企業としての社会的信用に裏付けられたブランド力は、顧客にとって大きな拠り所となる。
ところで、コロナ禍などにより毛髪業界が厳しい環境にある中、同社の財務体質は2021年3月期自己資本比率(55.8%)やフリーキャッシュフロー(黒字持続)などが良好なうえ、営業利益率(5.4%)といった収益性も安定している。一方、最大のライバルである(株)アデランスは、決算公告などによると非常に厳しい業績だった模様で、現状の財務体質や収益力は同社に劣ると考えられる。例えば、2021年2月期のアデランス(単体ニアリーイコール国内)の売上高は321億円で、店舗数が491店、従業員数が2,630人、一方、2021年3月期の同社単体の売上高は346億円、店舗数361店、従業員数2,291人である。簡便計算だが、アデランスの1店舗当たり売上高は6,540万円、1人当たり売上高が1,220万円、同社はそれぞれ9,580万円、1,510万円である。生産性に大きな差があることがわかるが、生産性は施策とリーダーシップに基づくため、端的にいえば経営力の差を示しているということになる。また、こうした生産性などの差は投資の差となって現れ、特に毛髪業界の場合は「反響営業」のための広告の質や投入量に影響する。利益がなければ訴求できないし、無理して訴求すれば体力が衰え、その後のブランド力や収益力にさらに差が出ることになる。一般にはわかりづらいが、こうした良好な財務体質・収益力も同社の強みといえよう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<SI>
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