注目トピックス 日本株ニュース一覧

注目トピックス 日本株 芙蓉リース Research Memo(2):「不動産」「エネルギー・環境」などに強みを有する総合リース会社 ■会社概要1. 事業概要芙蓉総合リース<8424>の事業セグメントは、「リース及び割賦」「ファイナンス」「その他」の3つに区分されるが、同社では「リース」と「割賦」をさらに分けて開示している。主力の「リース」が営業資産残高の67.8%、差引利益※の55.9%を占めている(2022年3月期上期実績)。なお、新領域として注力している「BPOサービス」については、現状「その他」に含まれている。※売上高からリース物件の取得原価を除いた利益指標各事業の概要は以下のとおりである。(1) リース及び割賦情報通信機器・事務用機器、産業工作機械等のリース業務、商業施設、生産設備、病院設備等の割賦販売業務を行っている。リースとは、顧客が選定した機械や設備などを顧客に代わってリース会社が取得し、比較的長期にわたって一定のリース料で賃貸する取引である。設備導入に使途を絞った資金調達手段(金融取引)と言える。顧客にとっては設備を自社購入(所有)するよりも「資金の効率的運用」「事務負担の軽減」「陳腐化リスクの回避」のほか、「コストコントロール機能」の面などでメリットがある。リース会社にとっても、通常の融資取引に比べてリース物件の所有権を自らが持つことになるため回収リスクが小さい。また税務上リースに属さない物件や顧客が物件の所有を希望する場合には、割賦販売にて対応している。物件別のリース契約実行高でここ数年大きく伸びているのは、「建物等」(不動産リース)と「輸送用機器」である。不動産リースは同社の得意とする商業施設(大型ショッピングセンターなど)のほか、ホテル、介護・居住、レジャー・サービス、物流など、アライアンス先の拡大に伴って取扱物件も多様化してきた。法的なハードルの高さや権利関係が複雑であることなどから専門性やノウハウが必要とされる分野であるため、同社の30年以上にわたる経験則やネットワークが生かされている。また、これまでの「輸送用機器」の伸びは航空機リースによるものであり、足元ではコロナ禍の影響を受けているものの、古くからの実績やノウハウなどが強みとなっている。加えて、ヤマトリース(株)※の連結化(2020年4月)により、成長性が見込めるモビリティビジネスの強化も図っている。※2020年4月よりヤマトホールディングス<9064>の子会社であるヤマトリースの連結化を開始した。保有比率は同社が60%、ヤマトホールディングス40%となっている。(2) ファイナンス設備投資資金などの事業資金のローンや不動産ファイナンスのほか、有価証券の運用業務などを行っている。コーポレート向けの営業貸付(シンジケートローンなど)や連結子会社のシャープファイナンス(株)(以下、SFC)によるリテール向けなども含まれる。また、アクリーティブ(株)の連結化(2017年1月)により、ファクタリング事業※も追加された。※主に中小企業向けのFPS(売掛債権早期支払サービス)及び、医療機関向けのFPSメディカル(診療・介護報酬債権早期支払サービス)を展開している。(3) その他自社事業としてメガソーラーの運営(再生可能エネルギー事業)のほか、航空機リースなどに関わる匿名組合組成業務や生命保険代理店業務などが含まれている。また、2018年10月に連結化した(株)インボイスが提供する一括請求サービス※1や、2019 年8 月に連結化したNOCアウトソーシング&コンサルティング(株)(以下、NOC)が展開する幅広いバックオフィスサービス(経理、人事・給与、総務、営業事務など)も加わっており、様々なBPOニーズに対応する体制を構築してきた。2021年10月には、クラウド・パッケージを中心とするITソリューション(DX支援等)を展開する(株)WorkVision(旧 東芝ソリューション販売(株))※2を連結化し、さらなるサービス機能の拡充を図った。※1 通信キャリアや各種公共料金など、毎月の請求書に対する煩雑な業務を取りまとめ、支払を代行するサービス。※2 直近期(2021年3月期)の業績は、売上高124億円、経常利益4.7億円、当期純利益3.1億円となっている。2. 沿革同社は、1969年に富士銀行(現 みずほフィナンシャルグループ)や丸紅飯田(現 丸紅)を中心とする芙蓉グループ6社を株主として設立された。その後、順調に業容を拡大すると、1988年に米国に現地法人を設立し、1999年には航空機リースのメッカであるアイルランド(ダブリン)に現地法人を設立した。最近、各社が注力している航空機ビジネスへの参入は比較的早いほうであり、レバレッジドリース(投資家募集型の航空機リース)などの実績やノウハウも積み上げてきた。また、1987年に横河電機<6841>との合弁により横河レンタ・リース(株)(計測器で高いシェア)を設立、1999年には(株)ニチイ学館との合弁にて(株)日本信用リース(医療機器・設備や福祉用具で高いシェア)を設立するなど、他社との連携にも取り組んできた。同社にとって大きなターニングポイントとなったのは、2004年12月の東証1部上場と2008年4月のSFCの連結子会社化(株式の65%を取得)である。特に、SFCはリテール(ベンダーリース)分野で高いシェアを誇っており、事業領域の拡張と規模拡大の両面で同社の業績に大きく貢献してきたと言える。また、2014年7月には英国の航空機関連サービス会社ALM 2010 Limited(Fuyo Aviation Capital Europe Limitedに商号変更。以下、ALM)を連結子会社化(全株式の取得)し、航空機ビジネスの拡大に向けて推進体制を強化した。2017年1月には、(株)ドンキホーテホールディングス(パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス<7532>)の子会社であり、主に中小企業向けにファクタリング(売掛債権の買取り)事業などを展開するアクリーティブを連結子会社とした。同社グループ各社とのクロスセルによるシナジー追求はもちろん、新領域への取り組み強化などを進めている。また、2018年10月に一括請求サービス事業を提供するインボイス、2019年8月には幅広いバックオフィスサービスを展開するNOCを連結子会社とし、BPOサービス事業の強化にも取り組んでいる。2020年4月にはヤマトホールディングスの子会社であるヤマトリースを連結化し、成長性の見込めるモビリティビジネスや物流業界への展開に向けて足掛かりを築いた。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫) <EY> 2022/01/19 16:02 注目トピックス 日本株 芙蓉リース Research Memo(1):2022年3月期上期は過去最高益を更新。2022年3月期は大幅増配も予定 ■要約1. 会社概要芙蓉総合リース<8424>は、1969年に(株)富士銀行(現 みずほフィナンシャルグループ<8411>)や丸紅飯田(株)(現 丸紅<8002>)など芙蓉グループ6社にて設立された総合リース会社である。「不動産」や「エネルギー・環境」などに強みがあり、年間の契約実行高1兆3,439億円、営業資産残高2兆5,559億円に上る(2021年3月期実績)。「不動産」など戦略分野に位置付けた事業分野の営業資産が着実に増加していることに加え、M&Aによる「BPOサービス」※の拡大などにより、業績は順調に拡大してきた。※ビジネス・プロセス・アウトソーシングの略。顧客企業の業務プロセスの一部を受託することで、業務改善や効率化に貢献するサービスのこと。2. 中期経営計画同社は2022年3月期を最終年度とする中期経営計画「Frontier Expansion 2021」(5ヶ年)を推進している。「前例のない場所へ。」をスローガンに掲げ、新しいビジネス領域やビジネスモデルへ挑戦することにより、事業ポートフォリオの「フロンティア」を拡大し、国内リース事業を取り巻く環境が大きく変化するなかでも持続的に成長する企業グループを目指している。最終年度の目標は、営業資産残高2兆5,000億円(前倒しで達成済み)、ROA(営業資産経常利益率)2.0%、経常利益500億円である。特に、経常利益については、1)営業資産残高の積み上げ、2)ノンアセット収益の拡大などを通じたROA向上の両方(掛け合わせ)により実現するシナリオとなっている。3. 2022年3月上期決算の概要2022年3月期上期の業績は、売上高が前年同期比20.1%減の2,854億円、営業利益が同12.3%増の235億円、経常利益が同20.7%増の274億円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同30.3%増の180億円と、各段階利益は増益かつ過去最高益を更新した。売上高については会計基準の変更により減収となったものの、損益への影響はなかった。事業本来の業績を示す「差引利益」についても前年同期比4.8%増の481億円と順調に拡大した。特に、戦略分野では「航空機」などで新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)に伴う厳しい環境が続いているものの、引き続き好調な「不動産」や「エネルギー・環境」の伸びでカバーするとともに、適切なポートフォリオの入替などが増益に大きく寄与した。また費用面についても、人物件費の減少や資金原価減、貸倒関連損益の改善などにより抑制し、経常利益は大幅な増益となった。「営業資産」については、流動化を通じたアセットコントロールにより前期末とほぼ同水準の2兆5,582億円にとどまったものの、収益性の高いポートフォリオへの入替などを通じてROAは大きく改善した。さらには「不動産」におけるビジネス領域の拡大や「エネルギー・環境」での新たな取り組み、「BPOサービス」の機能拡充など、将来を見据えた展開でも大きな成果があったと評価できる。4. 2022年3月期の業績見通し2022年3月期の業績予想については、期初予想を据え置き、売上高を前期比17.6%減の6,100億円、営業利益を同4.4%増の465億円、経常利益を同4.2%増の500億円、親会社株主に帰属する当期純利益を同4.8%増の310億円と各段階利益で増益となり、中期経営計画を達成する見通しである。なお、減収予想となっているのは、上期同様、会計基準の変更によるものであり、実態としては拡大基調が継続する。引き続き各戦略分野の「営業資産」の積み上げやノンアセット収益の拡大が増益に寄与する想定であり、配当についても前期比20円増配の1株当たり260円を予定している。■Key Points・2022年3月期上期も増益基調継続により、過去最高益を更新・引き続き戦略分野の伸びや収益性の高いポートフォリオの入替が奏功し、ROAも大きく改善・「不動産」におけるビジネス領域の拡大や「エネルギー・環境」での新たな取り組み、「BPOサービス」の機能拡充など、将来を見据えた展開でも大きな成果・2022年3月期については期初予想を据え置き、各段階利益で増益(並びに中期経営計画の達成)を見込むとともに、大幅増配も予定(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫) <EY> 2022/01/19 16:01 注目トピックス 日本株 新興市場銘柄ダイジェスト:三光産業は大幅に3日ぶり反発、バーチャレクがストップ高 <7922> 三光産業 344 +25大幅に3日ぶり反発。ナノAG+AIRマスク「SILKY FIT Premium」が中国の美容やファッションアイテムを紹介するサイト「Only Lady」のBEAUTY AWARDを受賞したと発表している。ナノAG+AIRマスクは、肌に直接触れる内側層に人工シルクとヒアルロン酸を配合し、飛沫防止性能と通気性、肌触りを両立させた製品。国内感染者数が3万人を超えるなど新型コロナウイルスの感染が再拡大する中、高品質マスクの需要が増加するとの見方から買いが広がっているようだ。<4416> TrueData 855 +21大幅に続伸。ベトナムのFPTソフトウェアと業務提携契約を締結すると発表している。FPTソフトウェアはベトナム最大級のICT企業FPTコーポレーションの中核企業。ベトナム市場に進出・拡販する日本の消費財関連企業にマーケティングデータを供給するのが目的。併せてコンシューマーファイナンス事業を手掛けるFPTソフトウェアグループ傘下企業の第三者割当増資を引き受け、30万米ドルを出資する。<7126> タンゴヤ 2099 +140大幅に続伸。株主優待制度を導入すると発表している。保有株数に応じて国内店舗で利用できる優待券を贈呈する。対象は200株以上保有の株主で、今年7月末から実施する。優待券の金額は、200株以上保有で1万円、300株以上保有で1万6000円、400株以上保有で2万5000円、500株以上保有で3万5000円。自社商品・サービスへの理解を深めてもらい、中長期的な株式保有を促すことが目的としている。<6193> バーチャレク 1367 +300ストップ高買い気配。22年3月期の営業利益を従来予想の3.00億円から4.80億円(前期実績1.64億円)に上方修正している。各事業セグメントでプロジェクト利益率が向上したことに加え、販管費を含む経費削減などが寄与する見込み。バーチャレクス・ホールディングスは昨年10月4日にもプロジェクト利益率の向上などを理由に業績を上方修正している。相次ぐ会社計画の引き上げが投資家から好感されているようだ。<4174> アピリッツ 707 +100ストップ高買い気配。従来未定としていた22年1月期の期末配当予想を5.00円(前期末実績は無配)と発表している。業績や財務状況を総合的に勘案した結果、復配することとした。年間配当予想は同額。また、22年1月期第4四半期から連結決算に移行する。22年1月期の営業利益予想は2.43億円。併せて単体ベースの営業利益予想を0.86億円から2.43億円(前期実績2.29億円)に上方修正した。原価低減で利益が押し上げられる見通し。<7365> シックHD 610 +100ストップ高買い気配。親会社の光通信<9435>子会社HCMAアルファ(東京都豊島区)が株式公開買い付け(TOB)を実施すると発表している。TOB価格は1株につき730円で、期間は19日から3月3日まで。完全子会社化を企図しており、シック・ホールディングス株は上場廃止となる見込み。同社は賛同の意見を表明している。TOB価格が前日終値(510円)を大きく上回っていることから、サヤ寄せする動きが広がっているようだ。 <ST> 2022/01/19 15:45 注目トピックス 日本株 グローセル Research Memo(10):2022年3月期も12円配を予定 ■株主還元グローセル<9995>は株主還元を重要な経営課題と位置付け、配当による株主還元を基本方針としている。配当額の決定においては、安定かつ継続的な配当の実現と、成長投資のための内部留保の充実による企業体質強化とを総合的に勘案して判断するとしている。公約配当性向などは特に規定していない。2021年3月期についても前期比横ばいの12円(期末配)の配当を行った。2022年3月期についても、現時点においては年間(期末)配当12円を行うことを予定している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <SI> 2022/01/19 15:30 注目トピックス 日本株 グローセル Research Memo(9):社会貢献活動にも積極的に取組む ■中長期成長戦略5. トピックス:センシングソリューションへの新たな取り組みグローセル<9995>では、これまでと全く違う「MEMS超高感度センサー」の開発に取組んでいる。 特にインフラの老朽化対策、医療の高度化などの分野での応用が期待されている。開発は順調に進んでいるようで、2023年3月期から量産に入る計画で、今後の動向が注目される。同社では、今後も先進的なデバイスを提供することで、社会課題の解決に貢献することを宣言している。6. 社会貢献の積極活動(SDGs・CSRへの取り組み)同社グループでは、「創造と革新」の経営理念に基づいて企業価値の向上を図るとともに、半導体専門商社としての強みを発揮し、「脱炭素社会」を実現する優れた製品や技術を社会へ提供し、今後も社会課題解決に向け同社ならではの強みを発揮してSDGs達成へ貢献することを宣言している。(1) SDGsへの取り組み:顧客・環境への貢献(顧客)Society5.0の実現に向け、優れた製品の提案や新たな技術の創出により脱炭素社会に向けた新しい価値を顧客に提供している。(環境)環境に配慮された製品の購入や保守品・生産中止品の在庫管理などを通じて完成品破棄が発生しないよう積極的に運営管理を行っている。また、社員による植林活動・ 地域清掃活動を通じ一人ひとりが環境問題を意識した取り組みを行っている。(2) SDGsへの取り組み:株主・従業員・地域社会への貢献株主・従業員・地域社会など多様なステークホルダーとのコミュニケーションを通じて、持続可能な社会の実現に貢献する企業を目指している。(3) CSR活動の取り組み(社会貢献活動を継続)同社はCSR活動に対しても積極的であり、現在までに以下のような活動を行ってきた。・CSR活動報告書の発行(2021年11月予定)・千代田区サッカー協会支援(2015年~)グローセルカップ開催・社員による森林整備・植樹活動(2015年~)・日本障害者カヌー協会への支援(2019年~)・災害被災地への支援活動 令和2年7月豪雨災害義援金(2020年7月)・社会貢献(エネルギー管理)ビジネス「エコアシスト」取扱開始(2019年~)・災害被災地への支援活動 令和元年台風19号災害義援金(2019年11月)・コンタクトレンズケース回収活動(2018年~)・福島県復興応援イベント「がんばっぺ福島!応援の集い 」協賛(2017年~)・経団連自然保護基金への支援(2017年~)・東日本大震災義援金付き「株主優待クオカード」の継続発行(2012年~)7. 働きやすい職場環境づくり同社グループでは、以下のような活動を通して「働きやすい職場環境づくり」に努めている。(1) 新型コロナウイルス感染対策(社員の安全確保)◆時差出勤制度の導入◆在宅勤務「テレワーク」の実施◆緊急事態宣言下での100%給与保証での特別休暇の付与(2) グローセル版働き方改革◆業務の効率化・時間外勤務の削減(目標:13h/月以下→上期実績:10.7h/月)◆毎週金曜日は17時退社(目標:25%以上活用→上期実績24%)◆有給休暇の取得(目標:18日/年→上期実績9.4日)◆月曜日又は金曜日の有休取得(四半期に1回以上)他(3) 健康企業宣言 2019年7月~◆経済産業省・日本健康会議認定「健康経営優良法人 2021」◆健康企業宣言書に基づき「健康優良企業」銀の認定取得◆新喫煙ルール導入(2021年4月~)(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <SI> 2022/01/19 15:29 注目トピックス 日本株 グローセル Research Memo(8):「STREAL」は新たな収益源として順調に拡大 ■中長期成長戦略4. 「STREAL」への取り組み「STREAL」はグローセル<9995>が日立製作所から製造・販売権を取得した半導体ひずみセンサーの商品ブランドだ。「STREAL」は1)超小型、2)高精度、3)常時計測、という3つの特長を有している。サイズは2.5mm角で、この中にセンサー素子、制御回路、アンプ回路、A/Dコンバーターが集積されている。現状、これと同様の精度を持つものは大型辞書や百科事典並みのサイズがあり、既存製品との差は歴然としている。性能的には、例えば1kmのレールが1mm伸縮するひずみ量を計測できる超高精度を実現しており、物理変化に応じたモジュール形状を使うことで、加重、圧力、トルク、張力、せん断力、低周波振動など幅広い物理的変化の計測が可能となっている。常時計測という特長は低消費電力という特性によって実現されている。常時計測はセンサーに期待される役割を考えれば極めて重要な要素だが、現実的には電源供給がネックとなるケースも多い。だが「STREAL」はその課題を克服している。今後の拡大の重点施策として、以下の3つを掲げている。◆自社ブランド製品としての地位確立◆ソリューションビジネスへの展開◆安心と安全、持続可能なインフラづくり・気候変動対策・働き方改革への取り組み(1) ビジネスロードマップ「STREAL」の現在のビジネスロードマップは下図のようになっており、期初の計画に沿って順調に進んでいる。(2) デザインーイン取り組み2022年3月期の「STREAL」のデザインーイン目標は120億円(上期実績60億円、下期目標60億円)となっている。現在までの累計出荷は90社超、販売は累計500万個を突破しているが、さらに下表のように様々な案件が進捗している。売上高の目標は、進行中の2022年3月期が28億円、2023年3月期が約45億円、さらに2025年3月期には95億円弱となっている。(3) 社会ニーズ顧客160社を対象に課題の分析を実施した。その結果、下表に見られるように様々な分野で「STREAL」に対する期待が高いことを確認した。(4) デザインーイン取り組み:安心と安全への提案5技術革新による「生産性向上」のために、協働ロボットソリューションを提案する。人手を補う協働ロボットの細かな動きに「STREAL」が貢献している。(5) デザインーイン取り組み:持続可能なインフラづくりへの提案メンテナンスの最適化として、レールソリューションを提案する。鉄道線路の保守・メンテナンスに応用できる。定期的な夜間の検査・メンテナンスに代わって「STREAL」を利用することで、「事故防止」「夜間作業の削減による労働環境改善」に貢献している。(6) デザインーイン取り組み:気候変動対策への提案風力発電におけるメンテナンスの最適化として、風力発電ソリューションを提供する。従来の風力発電メンテナンスでは、定期的な高所での検査・メンテナンスが必要であり、かなり危険な作業であった。「STREAL」を利用することで、遠隔にて構造物の状態を把握すること(データセンシング)が可能となり、「稼働率の向上」「安全なメンテナンス作業」に貢献している。(7) デザインーイン取り組み:働き方改革への提案熟練工の「技術継承」として、工作機械デジタル化ソリューションを提案する。工作機械を使った加工現場では、出来上がる部品に不具合の無いよう工作機械の状態管理が必須であり、工具の交換、状態監視には経験が必要であった。そのため、熟練工が減少する環境で工作機械の状態を誰でも管理できることが課題であった。それに対して、各種工具に「STREAL」を搭載することで加工状態の見える化が可能となり、「技術継承」「工具交換時期の最適化」に貢献している。(8) 職人技術の継承:酒蔵用IoTソリューションそれまで杜氏の職人技に頼っていた清酒製造技術を柳井電機工業と同社のコラボでIoT化することに成功した。同社の強み(「STREAL」を中心としたシステム提案+電子技術と機械技術の融合)と柳井電機工業の強み(製造現場に駐在して顧客の課題を発見+工事などの現場エンジニアリング技術)が融合した。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <SI> 2022/01/19 15:28 注目トピックス 日本株 グローセル Research Memo(7):ルネサスエレクトロニクス製半導体の拡販に加え日立製品、STREALにも注力 ■グローセル<9995>の中長期成長戦略2. ルネサスエレクトロニクス製品の取り組みこの事業での主な施策として、以下の3つを掲げている。◆自動車(四輪・二輪)顧客の専任特約店として一層の販売拡大◆Winning Combination※1/Cross Sell※2の徹底推進◆脱炭素・安全と安心への取り組み※1 Winning Combinationとはルネサス製MCUと旧インターシル・IDT・Dialog製品のキット販売※2 Cross Sellとはルネサス製品と特約店独自商材とのキット販売(1) ルネサスエレクトロニクス製品のデザインーイン取り組み2022年3月期のデザインーイン目標は年間711億円(上期実績527億円、下期目標184億円)となっている。主な案件は下表のようになっているが、特に2025年3月期以降に大型案件が量産化される見込みだ。(2) デザインーイン取り組み:安心と安全への提案1Winning CombinationとCross Sellを実践することで、快適で安全な乗り物、ADAS技術ソリューションを提案する。(3) デザインーイン取り組み:脱炭素社会への提案Winning CombinationとCross Sellを実践することで、温室効果ガス削減、xEVソリューションを提案する。(4) デザインーイン取り組み:安心と安全への提案2マイコン、SoC(System on a Chip)のエキスパートとしてソフトウェア開発をサポートする。3. H&CSB製品の取り組みこの事業での主な施策として、以下の3つを掲げている。◆各種ソリューションの拡大推進◆グローセル版Cross Sellの徹底推進による売上拡大◆ 安心と安全・環境保全への取り組み(注:同社は2021年7月からすべての日立製品を取り扱える日立グループワイド特約店へ移行した。)(1) H&CSB製品のデザインーイン取り組み2022年3月期のデザインーイン目標は年間407億円(上期実績202億円、下期目標205億円)となっている。主な案件は下表のようになっているが、2023年3月期以降に多くの案件が量産化される見込みだ。売上計画としては、2023年3月期に約200億円、2025年3月期に約250億円を見込んでいる。(2) デザインーイン取り組み:安心と安全への提案3自動運転向けストレージソリューションを強化する。現在の自動車では、IVI(In Vehicle Infotainment=車載用情報+娯楽システム)が中心となっているが、2025年頃にはこれらが統合コックピット(統合IVI)へと移行する見込みだ。これに伴い車に搭載されるストレージ容量は大幅な増加が予想され、同社でも強み(深い専門知識を活かした技術サポート、豊富な車載対応の経験・ノウハウ、台湾のSMI(シリコン・モーション)社との強力な協調体制)を活かしてSMI社製品を大幅に伸ばす計画だ。SMI社製品については、2020年にIVI向けに初参入し2021年から量産に入ったが、初期のLTVは15億円ほどである。現在は統合コックピット向けストレージを第2次デザインーインとして拡販中だ。この大容量256GB搭載モデルは、2025年から量産に入り、LTVは150億円が見込まれており、同社のSMI社関連売上高も2022年3月期の約15億円から2026年3月期には約55億円が見込まれている。(3) デザインーイン取り組み:安心と安全への提案4さらに同社では、ストレージ以外でも車載向け商材を拡充し、Cross Sellを推進する。特にストレージに無線モジュール、基板を組み合わせたソリューション提案を積極的に推進する方針だ。これらの多くは、2025年から量産に入る見込みで、LTVは350億円が期待されている。(4) デザインーイン取り組み:環境保全への提案1また一方で、日立製のパワー半導体を中心としたCross Sell拡販により低消費電力化ソリューションを提案し、地球環境保全に寄与する。(5) デザインーイン取り組み:環境保全への提案2もう一つ同社が環境保全への提案として注力しているのが、日立の環境情報管理システム「EcoAssist」の拡販だ。この「EcoAssist」とは、クラウド(SaaS型)を使って顧客の環境経営を“見える化”(分析/対策/公開)するもので、世界的に複数拠点を有する製造業顧客がターゲットとなる。既に国内大手の総合化学メーカーが採用し、2022年春から導入予定となっている。その概要を示すと下図のようになる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <SI> 2022/01/19 15:27 注目トピックス 日本株 グローセル Research Memo(6):新商材「STREAL」事業の確立で中長期の成長を図る ■中長期成長戦略1. 新中期経営計画のイメージグローセル<9995>は2019年5月に、2020年3月期−2022年3月期までの3ヶ年中期経営計画として、持続的成長可能な企業を目指す新中期経営計画「SSG 2021」を発表した。この「SSG 2021」のネーミングは、「Semiconductor(半導体)とSensor(センサー)でGlobal(グローバル)にGrowth(成長)する」に由来している。これまでの同社の主力商材であるSemiconductorに加えてSensorという新商材を中期経営計画に冠したことは、この新商材の成功に自信を深めている証左と言えるだろう。(1) 事業取り組みの指針下表のような3点を主たる事業指針として掲げている。(2) 数値目標のイメージ当初の「SSG 2021」の定量的目標は、2022年3月期に売上高912億円、営業利益16.1億円であったが、足元でコロナ禍の影響が発生したことから、それまでの目標を一旦白紙とした。新中計ではルネサスの商流変更及び、前述の構造改革などを盛り込んだ新しい計画として、2024年3月期に売上高700億円、営業利益率2%、2025年3月期に売上高730億円、営業利益率3.0%をイメージしている。この間の売上高構成比としては、2023年3月期のルネサス60%、H&CSB※33%、STREAL7%から2025年3月期にはルネサス53%、H&CSB35%、STREAL12%を目指す。また同期間の粗利額構成比としては、2023年3月期のルネサス43%、H&CSB31%、STREAL26%から2025年3月期にはルネサス31%、H&CSB29%、STREAL40%を目指す。※日立製品及び新規ビジネス品(Customer Satisfaction Business)(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <SI> 2022/01/19 15:26 注目トピックス 日本株 グローセル Research Memo(5):2022年3月期:13.6%増収、営業利益660百万円を目指す ■グローセル<9995>の今後の見通し進行中の2022年3月期については、現時点では売上高68,000百万円(前期比13.6%増)、営業利益660百万円(前期は493百万円の損失)、経常利益710百万円(同261百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失870百万円(同367百万円の損失)が予想されており、期初予想(営業利益580百万円)からは上方修正されている。引き続きコロナ禍の影響が不透明であるが、自動車向けの回復、「STREAL」の伸びなどから増収、営業利益確保を予想している。下半期の売上高計画(361億円)に対して、10月末時点で主要製品の受注残が4~5ヶ月となっていることから、この予想が達成される可能性は高いだろう。また自社開発品として期待される「STREAL」は用途が広がりつつあることから2022年3月期も2,800百万円(前期比83%増)が見込まれている。経営基盤強化施策推進による構造改革費用を特別損失に計上することにより最終損益は赤字となる見込みだが、年間配当12円は維持する方針である。製品別売上高は、集積回路が42,980百万円(前期比9.3%増)、半導体素子が10,319百万円(同3.5%増)、表示デバイスが1,773百万円(同25.2%増)、一般電子部品が12,946百万円(同41.4%増)、海外拠点の売上高は16,542百万円(同25.7%増)と予想されている。なお注力商品である「STREAL」の売上高は2,800百万円(同83.0%増)を目指している。売上総利益率は、増収に加えて「STREAL」がさらに伸びる予想であることから10.7%(前期比1.4ptアップ)を見込んでいる。販管費は通常の営業環境に戻る見込みであることから前期比10.2%増の6,694百万円が予想されている。その結果、営業利益は660百万円の予想である。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <SI> 2022/01/19 15:25 注目トピックス 日本株 グローセル Research Memo(4):2022年3月期第2四半期はコロナ禍からの回復もあり営業利益を計上 ■業績動向1. 2022年3月期第2四半期の連結業績概要グローセル<9995>の2022年3月期第2四半期の連結業績は、売上高が31,848百万円(前年同期比18.4%増)、営業利益310百万円(前年同期は504百万円の損失)、経常利益が362百万円(同457百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失が1,111百万円(同392万円の損失)となった。前年同期がコロナ禍の影響を受けた時期であったことから、その反動もあり業績は大きく回復した。分野別では、産業用はまだ停滞気味であったが、主力の自動車向けが生産台数の回復に伴い大きく増加した。利益面では、高採算品の比率が高まったことで粗利率が1.3pt改善した。販管費はコロナ禍からの回復もあり前年同期比で2.3%増となったが、売上総利益が同35.1%増となったことから営業利益を計上した。注力商品である「STREAL」の売上高は前年同期比で約2.8倍となり、順調に拡大している。なお最終損益が大幅な損失となったのは、経営基盤強化施策推進に伴う構造改革費用1,156百万円を特別損失として計上したことによる。製品別売上高は、集積回路が19,737百万円(前年同期比11.9%増)、半導体素子が5,256百万円(同13.2%増)、表示デバイスが906百万円(同43.8%増)、その他が5,948百万円(同49.1%増)となった。すべての製品が増収となったが、金額では自動車向けが多い集積回路や「STREAL」を含むその他が大きく増加した。民生用やOA向けも回復したことから半導体素子や表示デバイスも増収となった。海外拠点の売上高は3,385百万円(同25.7%増)であった。分野別売上高は、産業用が11,000百万円(前年同期比4.0%減、売上高構成比率34.5%)、自動車が17,300百万円(同41.5%増、同54.3%)、民生が2,130百万円(同17.7%増、同6.7%)、OAが790百万円(同14.5%増、同2.5%)、通信が520百万円(同7.1%減、同1.6%)、アミューズが110百万円(同35.3%減、同0.3%)であった。産業用はやや停滞したが、自動車が顧客の生産台数増により大きく回復し、対売上高構成比も前期の45.5%から54.3%へ上昇した。民生及びOAも回復したが、通信とアミューズは顧客の生産が鈍かったことから売上は低迷した。売上総利益率は10.7%(前年同期は9.4%)へ改善した。主に製品構成の変化によるが、特に利益率が高い「STREAL」の売上高が増加したことが利益率の改善に貢献していると言えるだろう。売上総利益額は、増収に加えて利益率が改善したことから3,404百万円(同35.1%増)と大幅増となった。一方で販管費は、コロナ禍からの回復で各種経費が増加したものの、前年同期比2.3%増の3,093百万円にとどまったことから、営業損益は前期の504百万円の損失から310百万円の利益へ大きく改善した。ただし最終損益は、経営基盤強化施策推進に伴う構造改革費用※1,156百万円を特別損失として計上したことにより、大幅な損失となった。※半導体製品の仕入先の経営戦略の変化、急速に進む技術革新、新型コロナ感染症の影響継続による需要変動など、今後想定される不透明かつ厳しい環境変化に対応するため、一層の効率化、利益体質の改善を図るべく社内体質の改善を進めることとし、それに伴う追加費用を今期中に構造改革費用(特別損失)として計上することとした。2. 財務状況2022年3月期第2四半期末の流動資産は前期末比で2,689百万円増加し31,553百万円となったが、主に現金及び預金の減少266百万円、受取手形及び売掛金の増加344百万円、商品及び製品の増加2,470百万円などによる。固定資産は4,244百万円(前期末比545百万円減)となったが、主に償却による有形固定資産の減少312百万円、投資その他の資産の減少217百万円による。この結果、2022年3月期第2四半期末の資産合計は35,797百万円(同2,143百万円増)となった。一方で、負債合計は前期末比3,579百万円増の14,731百万円となったが、主に流動負債のうち、支払手形及び買掛金が1,736百万円増、短期借入金が692百万円増、固定負債のうち、長期借入金が46百万円減、退職給付に係る負債が8百万円増などによる。純資産は、主に当期配当金支払いによる利益剰余金の減少1,426百万円などにより前期末比1,435百万円減の21,065百万円となった。この結果、2022年3月期第2四半期末の自己資本比率は58.8%(前期末は66.9%)となった。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <SI> 2022/01/19 15:24 注目トピックス 日本株 グローセル Research Memo(3):自動車向けを中心とした半導体商社だが、自社開発製品の拡販にも注力 ■事業概要1. 主な事業内容グローセル<9995>の主たる事業は、マイクロコンピューター(マイコン)や各種半導体等を半導体メーカーから仕入れ、販売する電子部品商社としての機能であるが、長年にわたって単に仕入れた商品を販売する商社事業だけでなく、顧客の製品開発の初期段階から共同で開発や提案を進める「デザイン-イン」活動を強みとしている。商社事業が中心であるため、決算短信上では正式なセグメント情報は開示されていないが、会社の説明資料によれば、主な製品別売上高(2021年3月期)は、集積回路が65.7%、半導体素子が16.7%、表示デバイスが2.4%、その他が15.3%となっている。主な仕入先(2021年3月期)は、ルネサスが76.1%、日立グループ関連が4.1%、その他自社開拓による新規取引先(CSB = Customer Satisfaction Business)が17.3%となっている。全体での取引先数は400社超であるが、上位30社で売上高の約90%を占める。製品の向け先は多岐にわたっているが、約60%が自動車分野、約30%が産業分野(各種機械、ロボット、医療機器等)、残りの10%がアミューズ、民生用、OA機器等向けとなっている。主な取引先企業としては、日立Astemo(株)(旧日立オートモティブシステムズ(株))、新電元工業<6844>、フォルシアクラリオン・エレクトロニクス(株)、マレリ(株)(旧カルソニックカンセイ(株))、澤藤電機<6901>などがある※。※これらは必ずしも売上高比率の高い順ではない。2. 特色、強み同社の主力事業は記述のようにルネサスやその他半導体・電子デバイスメーカーから商品を仕入れ、主に自動車部品関連企業や各種産業用機器メーカーに販売する「商社機能」であるが、同社の場合は単に商品を右から左へ流す商社機能だけでなく、以下のような特色や強みを持っている。(1) 高い提案力・開発力同社は自社内に開発、技術サポート部門を有し、創業以来多くのエンジニアを育成してきたことから、提案力・開発力に優れており、そのため顧客の製品計画のかなり早い段階から共同で開発を進めることが可能となっている。特に近年、ルネサスのような大手デバイスメーカーは、個々の顧客からの詳細な要望やソリューションに応える機能を商社に委ねる傾向が強くなっているが、すべての半導体商社がこれに対応できるわけではなく、そこで半導体商社間で差が出てくる。その点で、同社の持つ高い技術力や豊富な経験は顧客の要望に十分応えられるレベルにあり、これは同社の強みだろう。(2) 大手顧客との太いパイプ主要な大手顧客、特に自動車電装品におけるティア1グループ企業との長い付き合いも同社の特色であり強みだろう。単に生産面での恩恵(生産増→同社売上増)を受けるだけでなく、ハイブリッド車、EV、ADASなどの次世代自動車で高い技術を有するティア1グループ企業とのビジネスで、同社の強みである技術力・開発力・提案力にも一段と磨きがかかるだろう。要求が最も高く厳しいと言われる日本の自動車電装品のティア1グループ企業と深い関係があること自体が、同社の財産とも言える。さらに同社の大手顧客である旧日立オートモティブシステムズ(日産自動車<7201>系のティア1メーカー)が、2019年にホンダ<7267>系のティア1メーカーである(株)ケーヒン、(株)ショーワ、日信工業(株)と統合したことは、同社の事業にとっては更なる追い風となる可能性が高い。この技術力・開発力・提案力は、自動車分野だけでなく各種の産業用機器やFA機器、生産システム、検査システムなどにも展開されており自動車・産業機器両分野からの事業の拡大が可能となっている。(3) STREAL事業の開始さらには、2018年4月に開始した「STREAL」事業が同社のこの特徴をさらに強固なものとしている。この半導体センサーの事業は、日立製作所から譲り受けた基本技術を発展させ、世界でも類のない高精度レベルの半導体ひずみセンサーを同社が独自に開発したもの。(詳細後述)この事業は同社がファブレスメーカーとして機能するもので、このような「メーカー的事業」を行えるのも同社の特色と言えるだろう。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <SI> 2022/01/19 15:23 注目トピックス 日本株 グローセル Research Memo(2):ルネサス系の大手半導体商社。自動車業界向けが主力 ■会社概要グローセル<9995>は、1954年に電子部品販売を目的に福島電気工業株式会社として設立された。その翌年には日立製作所<6501>と特約店契約を締結し、1959年には半導体の販売を開始した。その後、日立系の半導体商社として事業を拡大し、1984年に商号を株式会社イーストンエレクトロニクスに変更した。さらに2000年代に入ってからは、大手半導体メーカー(日立製作所、三菱電機<6503>、NEC<6701>)での半導体事業の整理・再編が進んだのに合わせて、同社も2009年には主に(株)ルネサスデバイス販売と合併し、商号を株式会社ルネサスイーストンに変更した。その後、2019年7月に商号を現在の株式会社グローセルに変更している。現在では、取扱商品の約80%がルネサス製品となっている。一方でルネサスの側から見ても、同社は有力特約店として重要な存在となっている。株式については、1995年に店頭市場(現東京証券取引所JASDAQ市場)に上場し、2014年2月に東京証券取引所市場第2部、同年9月には東京証券取引所市場第1部に市場変更した。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <SI> 2022/01/19 15:22 注目トピックス 日本株 グローセル Research Memo(1):ソリューション提案を得意とする半導体商社 ■要約グローセル<9995>は半導体を中心とした技術系電子部品商社で、旧株式会社ルネサスイーストンから2019年7月1日付で商号変更した。ルネサスエレクトロニクス<6723>(以下、ルネサス)の有力特約店という立場にあり、取扱商品はルネサス製半導体が中心となっているが、国内外において新規商材の発掘にも余念がない。注目すべきは、2018年4月から開始した半導体ひずみセンサー(製品名「STREAL(ストリアル)」)ビジネス。前例のない高性能な製品の自社開発・展開に多くの企業から注目が集まっている。利益率が高いことに加え、工業用途だけでなく社会インフラや文化的な目的(伝統的技能の継承等、後述)にも使える可能性が広がっており、今後の同社の業績を様変わりさせる可能性が高まってきた。1. 2022年3月期第2四半期連結業績(実績)2022年3月期第2四半期の連結業績は、売上高が31,848百万円(前年同期比18.4%増)、営業利益310百万円(前年同期は504百万円の損失)、経常利益が362百万円(同457百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失が1,111百万円(同392万円の損失)となった。前年同期が新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響を受けた時期であったことから、その反動もあり業績は大きく回復した。分野別では、産業分野に加え、主力の自動車向けが生産台数の回復に伴い大きく増加した。利益面では、高採算品の比率が高まったことで粗利率が1.3pt改善した。販管費はコロナ禍からの回復もあり前年同期比で2.3%増となったが、売上総利益が同35.1%増となったことから営業利益を計上した。注力商品である「STREAL」の売上高は前年同期比で約2.8倍となり、順調に拡大している。なお最終損益が大幅な損失となったのは、経営基盤強化施策推進に伴う構造改革費用1,156百万円を特別損失として計上したことによる。2. 2022年3月期の連結業績:増収、営業利益(黒字化)を予想進行中の2022年3月期については、現時点では売上高68,000百万円(前期比13.6%増)、営業利益660百万円(前期は493百万円の損失)、経常利益710百万円(同261百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失870百万円(同367百万円の損失)が予想されており、期初予想(営業利益580百万円)からは上方修正されている。引き続きコロナ禍の影響が不透明であるが、自動車向けの回復、「STREAL」の伸びなどから増収、営業利益確保を予想している。下半期の売上高計画(361億円)に対して、10月末時点で主要製品の受注残が4~5ヶ月となっていることから、この予想が達成される可能性は高いだろう。また自社開発品として期待される「STREAL」は用途が広がりつつあることから2022年3月期も2,800百万円(前期比83%増)を目指している。特別損失の計上により最終損益は赤字となる見込みだが、年間配当12円は維持する方針である。3. 自動車の電子化、各種自動化は追い風、自社開発品の拡大で成長を目指す同社は単なる商社機能だけでなく、多くのエンジニアを要し、提案力・開発力を生かして企業付加価値を高めている。足元の業績はコロナ禍の影響もあり低迷しているが、中長期的には主要向け先である自動車の自動化、電動化の進化、さらには製造現場や建設現場のIoT化の恩恵を受ける可能性は高い。加えて自社開発品の拡販にも注力しており、特に比類のない性能を有している半導体ひずみセンサー「STREAL」の成長性は高く、中長期の展望として来期以降はこれら自社開発品の寄与もあり、再び成長路線に戻る可能性は高い。中期経営計画「SSG 2021」については、コロナ禍の影響もあり当初計画期間での目標達成は難しいが、2024年3月期に売上高700億円、営業利益率2.0%を目指している。成長ドライバーとして期待されている「STREAL」も順調に伸びていることもあり、今後の動向は要注目だ。■Key Points・自動車及び産業分野向けを主力とする半導体商社。ADASやIoT関連にも展開・2022年3月期は営業黒字予想。「STREAL」も倍増を見込む・中期経営計画は、2024年3月期に売上高700億円、営業利益14億円を目指す(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <SI> 2022/01/19 15:21 注目トピックス 日本株 ムサシ Research Memo(8):2022年3月期は好業績を背景に年間30円へ増配 ■株主還元ムサシ<7521>は株主還元について配当によることを基本としており、「将来の成長のための内部留保の充実」と「業績に応じた利益還元」の2点を基本方針としている。具体的には、株主還元のベースとしての普通配当に、業績に応じた特別配当を組み合わせる方式を採用している。2020年3月期については、期初に前期比横ばいの年間24円配(中間配12円、期末配12円)の配当予想を公表していたが、大型選挙により業績が好調であったことから特別配当11円を加えて年間35円配当(中間配20円、期末配15円)を実施した。2021年3月期は、ベースとしての普通配当24円だけであったが、進行中の2022年3月期については、上半期の業績が好調であったことから中間配当を18円(当初予定12円)へ増配した。期末配当は、現時点では基本の12円であることから、年間配当は30円が見込まれている。現時点の予想1株当たり当期純利益に基づく配当性向は28.0%であるが、今後の業績次第ではさらなる増配の可能性もありそうだ。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <SI> 2022/01/19 15:18 注目トピックス 日本株 ムサシ Research Memo(7):選挙関連ビジネスをベースに注力事業の拡大で持続的成長の実現を目指す(2) ■中長期成長戦略3. 印刷システム機材この事業は、「デジタル化の流れ」や「インターネット通販業者の台頭」に加えてコロナ禍の影響による「印刷会社の設備投資意欲の減退」などにより、「印刷需要の低迷」と「販売単価の下落」など厳しい事業環境にある。そのような環境下、ムサシ<7521>にとって喫緊の課題は、この事業の「収益力の改善」を主眼に置いた「業績の回復」にある。この対応策として、同社では、以下のような施策を実行することで、「収益力の改善」と「売上高の回復」を図る。(1) 注力分野a) 「印刷後加工分野」の商品販売に注力レーザー加工機、表面加工機などの拡販に注力する。この分野の商品は競合が激しくないので、適正な利益が確保できる。b) 新しいビジネス分野の開拓「シールラベル印刷」「パッケージ印刷」「オンライン講座」などc) 印刷分野に特化したソフトウェアビジネスの拡大d)「商品諸掛の削減」など事業経費の削減(2) 印刷システムの新製品同社は、2021年11月に新製品を発表した。この商品は、海外のメーカーから同社が直輸入して国内で販売する商品である。このインクジェットプリンター「T3-OPX」は、様々な厚みの多種多様な材料への印刷を可能にした画期的なモデルだ。プリンターヘッドの高さが自動で調整される機能が備わっており、組み立てられた段ボールのような厚みのある材料から、極薄の材料まで幅広い厚さに対応可能。また、自然由来の水性インクを採用することで、環境負荷の低減を実現している。プリンターヘッドの高さが変動する搬送型インクジェットプリンターで水性インクを採用したものは「T3-OPX」が国内初である。水性インクのため、臭いが少なく、健康や環境に配慮が必要な店舗や施設でも安心して導入することができる。この商品によって、今まで主要顧客であった印刷業界以外の幅広い業界やブランドオーナー、製造業やサービス業などで、新規顧客の獲得を目指す。4. 選挙システム機材選挙関連の市場に対しては“成熟市場”というイメージもあるが、弊社では依然として“成長市場”だと捉えている。そう考える理由は、国政選挙の有無で年ごとの市場規模が大きく変動するなかにあっても、peak-to-peakで見れば右肩上がりで推移しているからだ。事実、今期(2022年3月期)の選挙システム機材の売上高(単体ベース)は過去最高となる見込みだ。この要因はいろいろ考えられるが、もっとも大きいのは省力化(省人化)ニーズの高まりであり、これは投票業務と開票業務の双方に共通した要因だ。投票業務については期日前投票の増加や選挙権年齢の引き下げなどに加えて、最近ではコロナ禍の影響で「可能な限り接触を避ける」ニーズが高まっていることが背景にある。一方で開票業務についても、接触を避けることに加えて迅速かつ正確な開票作業のニーズと、それと相反する人件費削減の社会的要請が背景にあると考えられる。(1) 投票所投票所においては、投票者に対する接触感染防止対策として、投票所職員が投票用紙に触れることなく投票者に投票用紙を交付することができる「投票用紙交付機」の拡販に努めていく。また最新の投票用紙交付機は、投票用紙の色を機械が判別するので、取り違え交付も未然に防止することが可能となっている。 さらに多数の投票者が集まる投票所では、3密回避と感染防止対策が非常に重要となっており、投票者の滞在時間を短縮するため、投票者の本人確認の迅速化に寄与する「投票業務管理システム」の 需要が拡大している。(2) 開票所開票所においては、これまで各自治体は、開票集計作業に非常に多くの人員で対応していた。しかし今後は、3密を避けるため、作業者の大幅な削減が必要となっている。当然、人員の削減は開票作業の遅れに繋がってしまう。自治体はこれをカバーするため省力化機器を導入、もしくは増設することにより、作業効率を上げて対応することが必要となっている。実際にコロナ禍での選挙では、開票所の作業者の人数を 30%から 50%も減らす自治体が増えてきた。このため各自治体では今まで以上に、開票集計作業の効率を上げるため、「投票用紙読取分類機」 や「投票用紙計数機」などによる機械化が必要となっている。 同社では、開票作業のさらなる効率アップと安全な選挙の実施に向けて、これら省力化・省人化機器の導入を促進していく方針だ。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <SI> 2022/01/19 15:17 注目トピックス 日本株 テノックス Research Memo(7):配当性向30%を目安に機動的な株主還元を行う方針 ■株主還元策テノックス<1905>は、会社設立以来、業績の向上と財務体質の強化に努めることを経営の基本としてきた。そのなかで株主への還元については重要課題の1つとして位置付けており、業績や財政状態に加え、中期的な見通しも勘案したうえで安定的な配当を決定するという方針のもと、連結配当性向30%程度を目安に配当を実施することで、株主の期待に応えていきたいと考えている。また、同社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としている。以上から、2022年3月期の配当については、中間配当10円、期末配当15円(うち普通配当10円、上場30周年記念配当5円)の計25円を予定している。なお、同社は株主還元の一環として、2021年2月24日開催の取締役会決議に基づく自己株式の取得を累計で146,000株(129百万円)行ったが、今後もキャッシュ・フローを有効活用する観点から機動的に行っていく考えである。■情報セキュリティ同社はプライバシーポリシー(個人情報保護方針)に基づき、個人情報の取扱いに関して、法令・ガイドラインの遵守や個人情報の適切な管理など必要な処置を講じている。また、セキュリティーポリシーに基づき、顧客情報をはじめとする各種情報や情報システムなどを重要な「情報資産」と位置付け、情報セキュリティ基本方針を定め、情報資産の保護に積極的に取り組んでいる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) <ST> 2022/01/19 15:17 注目トピックス 日本株 ムサシ Research Memo(6):選挙関連ビジネスをベースに注力事業の拡大で持続的成長の実現を目指す(1) ■中長期成長戦略選挙関連ビジネスを中心に既存事業を伸ばすことに注力するのは言うまでもないが、今後は特にメディアコンバート事業、選挙関連事業、業務用ろ過フィルター事業、印刷システム機材の4分野に注力して業績を伸ばしていく方針だ。1. メディアコンバート事業ムサシ<7521>のメディアコンバート事業の特色は、高品質の加工処理、元資料に対する万全なセキュリティ管理、高い生産性(国内最大のイメージングセンター)などである。さらに、一貫した工程管理(デジタルデータの作成、データ検査、検索情報の入力等)を行っており、この結果、正確で効率的なデータベース作りが可能となっている。これらの特色は、同社が長年にわたってマイクロフィルム化サービスで培ってきたノウハウの結晶でもあり、同業他社が容易には追い付けない点でもある。また以下のような要因で、需要サイドからもメディアコンバート事業の拡大が期待できる。(1) 民間企業の需要民間企業では、コロナ禍の影響で在宅勤務が急増し、テレワークへの移行が進んでいる。テレワークの環境整備が進むにつれて、文書や資料の電子化需要が拡大している。アフターコロナでもこの流れは継続すると予想されている。さらに以下のような法的整備の面からも、文書のデジタル化は必須となってくる。同社ではこれらの需要を取り込むべく、営業活動を強化している。a) 業務効率向上のためのIT化進展=財務・税務書類:電子化文書で保存可能b) 「e-文書法」施行c) 企業改革法(日本版SOX法)、個人情報保護法の施行:文書管理の強化d) マイナンバー制度の運用(2) 官公庁・自治体の需要また、官公庁・自治体市場においても、「デジタル庁」の新設など政府が行政のデジタル化に向けて積極的な取り組みを進めており、文書や図面、資料などの電子化需要の拡大が見込まれている。政府が既に発表している内容では、2026年を目途に公文書の管理は全面的に電子化する目標となっている。実際には、官公庁や各自治体の職員が作成する文書は、ほぼ紙のためそのまま紙で保存されているが、それらを電子化することで、分類や整理をする手間が大幅に省けるようになるため、大きなメリットがある。よって、行政のデジタル化推進のため、文書などの電子化に対しては優先的な予算が見込まれており、同社としても積極的に営業活動を展開していく計画だ。また民間・官公庁・自治体に共通した流れとして、「働き方改革」によってオフィス移転が増加している。これに併せて、保管文書の電子化需要が拡大しており、これも同社のメディアコンバート事業にとっては追い風だ。2. 業務用ろ過フィルター事業この事業は富士フイルムが開発・製造する業務用ろ過フィルター「ミクロフィルター」の販売代理店事業だ。同社は国内市場の総販売代理店の地位にある。このろ過フィルターは食品・飲料、エレクトロニクス(半導体、電子部品等)、医療などの各分野で幅広く利用されている。富士フイルムのミクロフィルターはこの市場では後発組(先発は主に外資系企業)であるが、独自の非対称膜構造による優れたろ過機能やロングライフ(長寿命)をセールスポイントに着実に販売を伸ばしている。この事業は2018年1月にスタートし順調に拡大してきたが、残念ながら2021年3月期にはコロナ禍の影響により売上高は539百万円(前期比12.8%減)となった。しかし今期(2022年3月期)の売上高は、636百万円(同18.0%増)と回復が予想されている。特に注目されるのは、食品・飲料向けだけでなく、半導体向けなどのエレクトロニクス業界向けが増加しつつあるのは注目に値する。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <SI> 2022/01/19 15:16 注目トピックス 日本株 テノックス Research Memo(6):中小案件が伸び悩んだが大型案件で利益を確保 ■業績動向1. 2022年3月期第2四半期の業績動向テノックス<1905>の2022年3月期第2四半期の業績は、売上高6,838百万円(前年同期比5.1%減)、営業利益48百万円(同189.3%増)、経常利益72百万円(同142.5%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益61百万円(同38.3%増)と減収増益となった。国内経済は、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種が進んで景気回復への期待感は高まっているものの、感染症の再拡大により社会経済活動が大きく制限され、依然として先を見通せない状況にあった。建設業界においては、公共投資は補正予算などにより引き続き底堅く推移し、民間の設備投資にも回復の動きが出てきたものの、先行きの不透明感が拭えないことから受注活動で競争が激化、受注単価の下落を招いている状況である。また、建設資材の価格が上昇、特に鋼材が高騰しており、鋼管杭などの値決めに影響が生じている模様である。セメントも値上げ方向にあるが、鋼管杭からコンクリート杭へのシフトも検討されている。このため、同社としては、提携先の日本ヒュームや日本コンクリート工業、子会社化した広島組のノウハウを有効に活用していく方針である。同社の売上高は、五井火力発電所発電設備建設工事(地盤改良:施工継続中)や東京レールゲートEAST整備事業(建築杭:2021年4月完工)、GLPALFALINK相模原IIプロジェクト(地盤改良:2021年8月完工)など大型の杭工事や地盤改良工事が順調に推移したものの、地盤改良工事の中小案件で価格競争が激化したため受注件数が減少、減収となった。利益面では、好採算の大型案件の構成比が上昇したこと、前期第2四半期に施工難易度の高い地盤改良が多かった反動などにより杭工事と地盤改良工事の工事利益率が向上したことにより、売上総利益率の改善につながった。一方、広島組の子会社化や営業強化を目的とした人材採用などにより、販管費は増加した。期初計画との比較では、売上総利益率と販管費はほぼ計画内だったが、売上の進捗が遅れたため利益面でもややビハインドすることとなったようだ。なお、収益認識会計基準等を適用した結果、売上高で277百万円、売上原価で277百万円それぞれ減少したが、利益面に与える影響はなかった。セグメント別の業績は、建設事業が減収増益、土木建築コンサルティング全般等事業が増収減益、その他の事業が微増収増益となった。建設事業では、土木杭工事が、土木系の工事が増えなかったため増収に貢献できなかったが、地盤改良や関西で大型機の稼働率が上昇したため工事採算が改善した。建築杭工事と地盤改良工事は、好採算の大型案件によりともに増収増益となった。商品その他は、工事を伴わない鋼管杭材料の売買を収益認識しなくなったため、売上高が大きく減少する一因となった。海外は、今後再びロックダウンの影響が生じる懸念はあるが、ようやく本格的に動き出したところである。土木建築コンサルティングは、実験や設計を行っていることから下期売上に対する費用負担が上期に生じるため、赤字が先行している。競争激化や資材価格の高騰など厳しい環境も想定2. 2022年3月期の業績見通し同社は2022年3月期の業績見通しについて、売上高18,000百万円(前期比13.2%増)、営業利益680百万円(同120.1%増)、経常利益700百万円(同111.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益400百万円(同130.8%増)と見込んでおり、期初計画から変更していない。国内経済は、10月の緊急事態宣言明け以後徐々に持ち直しつつあるが、新型株を含め新型コロナウイルス感染症が海外において猛威を振るっており、不透明感は依然拭えない。建設業界では、こうした不透明感を背景に中小案件で価格競争がさらに強まっており、加えて、世界的な経済の底打ち感から鋼管やセメントなど資材価格の値上げが見込まれている。大型案件の受注は計画通りながら、収益面で厳しい環境といえる。同社は下期も引き続き「設計提案から施工までの一貫体制の強化」と「顧客ニーズに応える付加価値の創出」に精力的に取り組む方針である。この結果、国内建設事業は、中小案件は引き続き競争が厳しい状況だが、継続施工中の五井火力発電所発電設備建設工事をはじめ、ベルーナ吉見ロジスティクスセンターの増築工事(建築杭:2022年2月完工予定)や千客万来施設(6街区)新築工事(建築杭:2022年2月完工予定)など大型案件が売上高をけん引する見込みである。海外建設事業は、2021年3月期に予定していた案件が今期に期ズレして出件するため、売上増加が見込まれている。なお、大型案件の環境が良化していることから第2四半期末の受注残高が33.3%増と大きく伸びており、売上高は強含んで推移することが考えられる。これら増収に伴う増益に加え、施工機械の稼働が改善することによる利益率改善により、同社は期初計画通りの営業利益を見込んでいる。しかし、資源価格の高騰などからゼネコンからの要請や中小案件での競争が、下期はさらに厳しくなることが想定され、容易に楽観できる状況にはないと考える。また、大型の土木杭工事で一部施工が4月以降に期ズレする懸念もある。このため、下期の売上高も未達になる可能性が高まっており、同社は、厳しい環境ながら短期的に成果の出やすい地盤改良の中小工事を取りに行くことも検討している。また、下期は上期以上に施工機の稼働率が向上することで売上総利益率の改善を見込んでいるが、足もとで鋼管価格高騰の影響が少しずつ生じていること、競争の厳しい地盤改良の中小案件を確保しに行くことから、売上総利益率も想定ほどに高まらない可能性がある。以上から、2022年3月期業績は期初計画からややネガティブに振れる可能性もあると考える。だからこそ下期から来期へ向けて、場所打ち杭中心の都市部案件に向けて残土の少ない回転杭や、成長中のデータセンター案件の取り込みに向けてコンクリート杭を提案するなど、営業力を強化した成果に期待したい。戦略の成果をテコに中期経営計画の目標達成へ3. 来期~中期成長イメージ短期的にはやや厳しい経営環境が続くが、2023年3月期以降は、事業環境が徐々に改善していくことが予想される。その分、3つの基本戦略に加え、提携やM&Aなどこれまでの戦略の成果への期待も高まる。2023年3月期は北海道新幹線の土木工事が本格化する見込みである。高速道路や大阪モノレール延伸など関西での交通関係の土木案件や、工作機械メーカーや自動車メーカーなど民間企業の設備投資関連にも期待ができる。このため増収増益、できれば10億円台の営業利益を狙いたいところである。中期的には、大都市圏の道路拡張工事や北陸新幹線延伸工事、リニア中央新幹線高架部分などもターゲットに入る。資源価格の高騰に対しては、鋼管杭からコンクリート杭を提案していく方針である。人通りが多いなかで残土をなるべく出したくない都市部で、場所打ち杭に代わって回転杭を使うケースを狙いたいところであろう。大阪・関西万博でも回転杭の需要が見込まれる。環境面の要請からGTL燃料や二酸化炭素固定化技術へのニーズは非常に高いと考えられる。このように様々なケースに対応できるのは同社のラインアップが豊富なためで、近年の提携やM&Aの成果ということができる。こうした成果をテコに、同社は新中期経営計画の目標値(2024年3期売上高220億円、経常利益15億円、ROE8%)を達成する計画である。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) <ST> 2022/01/19 15:16 注目トピックス 日本株 ムサシ Research Memo(5):2022年3月期は営業利益12.8億円を計画 ■今期の見通しムサシ<7521>の2022年3月期通期の連結業績は、売上高35,646百万円(前期比17.8%増)、営業利益1,284百万円(前期は97百万円の損失)、経常利益1,302百万円(同24百万円の利益)、親会社株主に帰属する当期純利益742百万円(同28百万円の損失)と予想されている。主力の選挙システム機材が大幅増収となることに加え、その他事業もコロナ禍からの回復もあり増収が予想されている。増収に伴い、営業利益、経常利益は大きく回復する見込み。分野別では、「選挙システム機材」では、衆議院選挙向け機器やシステムの販売が順調に推移する見込みで、通期売上高(単体ベース)では5,249百万円(前期比125.0%増)と予想されており、同事業の過去最高額となる見込み。「情報・産業システム機材」の売上高(同)は、8,075百万円(同18.3%増)が見込まれている。注目される「メディアコンバート事業」については、上半期は案件の進捗遅れで減収となったが、通期では前年実績を上回る4,726百万円(同17.6%増)と予想されている。「印刷システム機材」については、自社開発ソフトやレーザー加工機の拡販に注力する方針で、通期売上高(同)は9,183百万円(同8.6%増)の見込み。 「金融汎用システム機材」については、環境変化に対応した機器の拡販に注力する方針で、通期売上高(同)は1,346百万円(同23.8%増)と予想されている。「紙・紙加工品」では、堅調な需要が見込まれる紙器用板紙の拡販に一層注力し、通期売上高(同)は4,758百万円(同7.6%増)を見込んでいる。これらの結果、連結セグメント別売上高は、情報・印刷・産業システム機材が19,926百万円(前期比9.6%増)、金融汎用・選挙システム機材が6,706百万円(同92.1%増)、紙・紙加工品が8,740百万円(同5.1%増)、不動産賃貸・リース事業等が273百万円(同0.0%)と予想されている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <SI> 2022/01/19 15:15 注目トピックス 日本株 テノックス Research Memo(5):基礎工事を通して社会に「安全」と「安心」を提供する ■新中期経営計画1. 長期ビジョンテノックス<1905>は、2018年度に長期ビジョン(目指すべき企業像)を策定、「人間尊重、技術志向、積極一貫」という経営理念をバックボーンに、変化する社会のニーズに適応した技術革新に積極的に取り組むことで新たな価値と市場を創出し、基礎工事を通して社会に「安全」と「安心」を提供し、全てのステークホルダーが豊かさを実感できるサステナブルな企業を目指している。しかし、策定時と比べて、東京オリンピック・パラリンピック向け工事の一巡、常態化する異常気象、コロナ禍を経たニューノーマルなど経営環境に大きな変化があり、長期ビジョンの実現への橋頭保づくりを目的とした前中期経営計画(2018年度~2020年度)は対応が道半ばとなった。このため、Phase2と位置付ける新中期経営計画(2021年度~2023年度)では、少子高齢化による新設工事の減少、インフラ維持や激甚災害への対応で少量多様化する建設ニーズ、働き方改革や生産性向上を目的とする省力化・自動化・デジタル化などに「適応」することで、新たな50年の礎となる「高付加価値」を追求していくことになった。3つの基本戦略で「適応力」を高める考え2. 新中期経営計画新中期経営計画では、スローガンを「進取の気性」とし、ニーズに適応した高付加価値を創出し、社会課題の解決や企業価値の向上につなげていく方針である。そのため、開発戦略、営業・施工戦略、ESG戦略の3つの基本戦略によって、新しい時代の社会や生活様式への「適応力」を高めていく考えである。開発戦略では、基礎工事技術で高付加価値を創出し、災害の激甚化や担い手不足、工事への信頼向上といった課題を解消する。営業・施工戦略では、強みを活かして設計提案から施工まで一気通貫した受注を確保することで需要の減少などの課題に対応する一方、国土の強靭化や開発途上国の社会インフラ整備などにも貢献する。ESG戦略では、社会課題の解決や企業価値の向上などに積極的に取り組み、サステナビリティ経営の高度化を図る。3つの基本戦略により、国土のリダンダンシー※整備事業(高速鉄道整備事業及び高速道路整備事業)における基礎工事を確保するとともに、民間建築事業での営業領域の拡大、ベトナムなど海外での基礎工事事業の本格展開などを推進する方針である。また、「VCCS」の利用拡大と標準化、ICT施工技術の積極的な導入、M&Aや業務資本提携を生かした業容拡大なども進める計画である。これにより2024年3月期を最終年度に、前中期経営計画の目標値であった売上高220億円、経常利益15億円、ROE8%に再チャレンジする考えである。なお、新中期経営計画で順調に増加する見込みのキャッシュ・フローに関して、同社は成長投資と後述する株主還元に戦略的かつバランスよく配分していく方針である。なかでも成長投資については、手元資金や自己株式の活用、必要に応じて社債の発行や借入により、3年間で35億円を計画している。内容は、施工機械や研究開発・実験工事、ICT技術導入、海外事業投資、基幹システム刷新、グリーン投資など多岐にわたる。※リダンダンシー(Redundancy):「冗長性」や「余剰」を意味する。国土計画上では、自然災害などによる障害発生時に、一部区間の途絶や一部施設の破壊が全体の機能不全に繋がらないよう、交通ネットワークやライフラインなどインフラをあらかじめ多重化したり、予備の手段を用意したりすること。3つの基本戦略に沿って具体策が進行3. 新中期経営計画の進捗新中期経営計画がスタートして半年経過したが、3つの基本戦略に沿って、すでに具体的な施策が着実に進行している。GTL(Gas to Liquid)燃料の導入や既存杭引抜き時の地盤改良対策の検討、国土強靭化・リダンダンシープロジェクトへの貢献などである。(1) GTL燃料の導入同社は、GTL燃料を基礎工事業界で初めて建設現場に導入した。GTL燃料は石油由来の軽油に代わるクリーンな燃料で、燃焼時の二酸化炭素(CO2)排出量を約8.5%削減するほか、無色無臭で燃やしても煤が出にくく、硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)といった大気汚染物質を低減することができる。東京機材センターにおいてクレーンやゼネレーターで試験運用を進めてきたが、今期に入って実際の地盤改良工事現場で使用する施工機での運用を開始した。クリーン化のコストが大きく増えないことからゼネコンや設計事務所の関心が高く、同社は差別化技術として順次拡大していく方針である。(2) 既存杭引抜き時の地盤改良対策工事既存建物を解体する際、建物を支えてきた杭(既存杭)の撤去後に杭孔の埋戻し処理を適切に行わないと、孔曲がりや孔壁崩壊などにより新設杭の品質確保に影響を及ぼすことがある。このため、杭の撤去と同時に埋戻し処理を行い、周辺地盤の緩みを防止して原地盤程度の強度に復旧・安定させる地盤改良対策が必要となる。同社はそうした地盤改良技術の確立に取り組んでおり、現在、試験施工を行っているところである。また、原地盤程度の強度を確保する方法として産業副産物を用いた材料を活用していくことを検討しており、関東と関西を皮切りに事業展開を考えている。(3) 国土強靭化、リダンダンシープロジェクトへの貢献北陸新幹線延伸工事での実績を背景に、同社は2022年3月期第3四半期に、北海道新幹線の延伸事業の工事第一弾として「北海道新幹線、市渡高架橋他」の基礎工事を受注した。すでに鋼管ソイルセメント杭の施工試験を実施しているが、同社にとって今後の鉄道基礎工事の受注につながる重要案件という位置づけである。また、近年頻発する豪雨災害に対して、水処理施設・排水機場・ポンプ場など国土交通省が注力している水処理系施設の整備へ向けて、同社は鋼管杭及びコンクリート杭などを使用した設計提案を強化している。(4) 二酸化炭素固定化技術の開発同社は、日本コンクリート工業との業務提携の一環として「PAdeCS研究会」に加盟、コンクリートスラッジ由来の脱リン材「PAdeCS」製造時に二酸化炭素を封入して生成されるエコタンカルを基礎工事の施工に使用するという技術の開発を進めている。コンクリートの代わりにエコタンカルを使うことで、地盤改良の際にエコタンカル1トン当たり440キログラムの二酸化炭素を、特別大きなコストをかけずに固定化できる技術である。来期を目途にプロジェクト前段階での試験施工を実施するべく、現在、室内試験を行っているところである。同社は、こうした技術によって基礎工事における「脱炭素」の流れをけん引する考えで、技術を確立したあとは他社が活用できる方法を検討する方針である。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) <ST> 2022/01/19 15:15 注目トピックス 日本株 ムサシ Research Memo(4):2022年3月期第2四半期は大型選挙により大幅な営業利益を計上 ■業績動向1. 2022年3月期第2四半期の業績概要(1) 損益状況ムサシ<7521>の2022年3月期第2四半期の連結業績は、売上高16,871百万円(前年同期比19.0%増)、営業利益558百万円(前年同期は185百万円の損失)、経常利益566百万円(同129百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純利益338百万円(同106百万円の損失)となった。主力の選挙システム機材において、東京都議会議員選挙があったことに加え、衆議院選挙に向けての需要が出たことなどから、同セグメントの売上高が前年同期比166.7%増となったことが全体の業績を牽引した。他の事業も、コロナ禍からの回復で増収を確保した。注力しているメディアコンバート事業(情報・産業システム機材の内数)は、一部進捗遅れがあったことから売上高は1,812百万円(同5.8%減)であったが、内容は順調であり通期では増収を見込む。(2) 財務状況2022年3月期第2四半期末の財務状況は、流動資産は前期末比で664百万円増加し31,233百万円となった。主に現金及び預金の増加524百万円、科目変更に伴う受取手形及び売掛金の減少8,518百万円、同受取手形・売掛金及び契約資産の増加8,761百万円による。固定資産は前期末比で600百万円増加し11,345百万円となったが、主に子会社でのリース資産計上による有形固定資産の増加462百万円、株価上昇の影響等による投資有価証券の増加62百万円、繰延税金資産の増加71百万円による。その結果、資産合計は42,578百万円(前期末比1,266百万円増)となった。負債合計は、16,031百万円(前期末比1,752百万円増)となったが、主に電子記録を含めた仕入債務の増加749百万円、未払法人税等の増加258百万円、その他流動負債(主に未払消費税等、リース債務)の増加391百万円、その他固定負債の増加392百万円等による。また、純資産合計は、26,546百万円(同486百万円減)となったが、主に親会社株主に帰属する四半期純利益の計上による利益剰余金の増加252百万円、自己株式の取得による支出764百万円等による。この結果、2022年3月期第2四半期末の自己資本比率は62.3%(前期末65.4%)となった。(3) キャッシュ・フローの状況2022年3月期第2四半期の営業活動によるキャッシュ・フローは1,598百万円の収入であったが、主な収入は税金等調整前四半期純利益の計上560百万円、減価償却費194百万円、仕入債務の増加746百万円などで、主な支出は、売上債権の増加242百万円などによる。投資活動によるキャッシュ・フローは617百万円の支出であったが、主に有形固定資産の取得による支出520百万円による。財務活動によるキャッシュ・フローは455百万円の支出であったが、主な収入はセール・アンド・リースバック417百万円、主な支出は、自己株式の取得764百万円、配当金の支払額86百万円による。以上から2022年3月期第2四半期の現金及び現金同等物は524百万円増加し、期末残高は17,915百万円となった。2. 2022年3月期第2四半期のセグメント別状況セグメント別及びサブセグメント別(単体ベース)の状況は以下のとおりであった。(1) 情報・印刷・産業システム機材セグメントセグメント売上高は8,984百万円(前年同期比8.4%増)、セグメント損失340百万円(前年同期は110百万円の損失)となった。増収となったが、連結子会社において一部遅れが発生し、一方で受注拡大に伴う環境整備費用が増加したことなどから、セグメント損失が拡大した。a) 情報・産業システム機材注力している文書のデジタル化事業(メディアコンバート事業)の連結売上高は、1,812百万円(前年同期比5.8%減)と前年同期比で減収となったが、これは一部の民間からの受注で遅れが発生したことによるもので、全体の流れは好調であった。2021年3月期においては民間企業からの受注が62%、官公庁・自治体からが38%であったが、この上半期は民間企業からの受注が59%、官公庁・自治体からが41%であった。一方で、成長が期待されている業務用ろ過フィルターの販売は、飲料向けが回復したことに加え、工業用(半導体向けなど)の販売も堅調であった。その結果、サブセグメントの売上高(単体ベース)は3,665百万円(同17.2%増)となった。b) 印刷システム機材印刷システム機材の売上高(単体ベース)は、4,403百万円(同14.8%増)となった。CTP機器やPOD機器など印刷機器の販売は低調であったが、印刷材料の販売が堅調であったことから、サブセグメント売上高は増収となった。(2) 金融汎用・選挙システム機材セグメント東京都議会議員選挙や衆議院選挙向けに選挙システム機材が大幅増となりセグメント売上高は、3,644百万円(同110.4%増)、セグメント営業利益は817百万円(前年同期は81百万円の損失)となった。a) 選挙システム機材衆議院選挙や東京都議会議員選挙などの各地方選挙向けに、「投票用紙読取分類機」や「投票用紙交付機」「計数機」などの選挙機器、及び「投開票管理システム」の販売が大幅に伸長し、売上高(単体ベース)は3,099百万円(前年同期比166.7%増)と大幅増収となった。これらの製品は、自社開発品で利益率も比較的高いことから、全体の利益にも大きく影響した。b) 金融汎用システム機材紙幣整理機など、金融機関向け貨幣処理機器の販売が設備投資抑制の影響により低調に推移し、前年同期実績を下回った。この結果、金融汎用システム機材の売上高(単体ベース)は506百万円(前年同期比6.5%減)となった。(3) 紙・紙加工品セグメントコロナ禍の影響により、情報用紙の販売が低調に推移したが、医療品向け紙器用板紙の販売は伸長し、前年同期比で若干の増収となった。この結果、セグメント売上高は4,105百万円(前年同期比2.0%増)、セグメント営業損失は22百万円(前年同期は78百万円の損失)となった。(4) 不動産賃貸・リース事業等セグメントおおむね順調に推移し、セグメント売上高は136百万円(前年同期比0.7%増)、セグメント営業利益は103百万円(同22.6%増)となった。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <SI> 2022/01/19 15:14 注目トピックス 日本株 テノックス Research Memo(4):M&Aや提携によりラインアップを強化 ■事業概要3. 事業領域の拡大テノックス<1905>は近年、M&Aや提携により事業領域の拡大を進めている。同社は地盤改良工事と杭工事の両方を行っているが、地盤改良工事は深層が中心で杭工事は鋼管杭が主力である。これをそれぞれ浅層改良やコンクリート杭へと工法のラインアップを増やし、さらに既存杭の引抜き工事などへと営業領域を広げることができれば、顧客に対してワンストップで総合的な提案が可能となる。したがって、ラインアップの拡充は受注に有利に働くことになり、将来の建設需要減少への対策にもなる(工法が全く異なるため、場所打ち杭には進出しない方針のようだ)。2020年10月、回転埋設工法であるHIT工法を開発するなど、長年関西を拠点に杭工事や引抜き工事、地盤改良工事などの基礎工事を手掛けてきた広島組と、土木建築用機械や工具の販売、修理、リースなどを行う亀竹産業(株)(2021年2月広島組と合併)を完全子会社化した。広島組の持つ営業地盤と引抜き工事技術の取り込みが最大の目的である。また、2020年12月に、日本ヒュームと業務及び資本提携契約を締結した。同社が持つ杭工事や地盤改良工事の技術と、日本ヒュームが持つコンクリート杭製造技術や施工技術を持ち寄ることでシナジーを発揮する考えだが、特に同社にとってはコンクリート杭の再強化につながる提携といえる。2021年1月には、日本コンクリート工業と業務及び資本提携契約を締結した。提携の目的は、基礎工事分野での協力に加え、日本コンクリート工業の持つ二酸化炭素固定化技術の活用によって脱炭素及び産業廃棄物を活用した循環経済に参画することにある。業務及び資本提携をした2社とは、株式を相互に保有することにより長期的な提携関係の構築・推進を目指している。強みはラインアップ、施工力、「折り込む力」4. ビジネスモデルと強み以上のように同社は、ガンテツパイル工法による鋼管杭工事やテノコラム工法による地盤改良工事という2つの工法を有しており、さらにコンクリート杭や既存杭の引抜き工事、環境問題への対応などへと業容を広げている。このように様々なケースに対応できるラインアップは、同社の強みということができる。また、携帯端末などで施工状況をリアルタイムで確認できる施工管理装置「VCCS」を多くの現場に導入、テノコラム工法では工事開始直後に4週後の強度を予測する「促進養生システム」を開発するなど、どのような現場でも安定した施工品質を確保することができる。また、子会社で工事技能者集団や機材を提供しているため、工程に合わせた安全確実な工事進行も可能となっている。こうした安全確実で高い施工品質も同社の強みといえる。ところで、建築構造物や土木構造物の建設は、通常ゼネコン(元請、総合建設業者)が下請けを取り仕切って進める。基礎工事に関わる事業者もゼネコンから発注を受けるが、基礎工事は最初にして最重要の工程であるため、発注を前に設計業者(設計コンサルタント・設計事務所)から直接引き合いが来ることが多い。その際同社は、設計業者にラインアップや施工品質などをアピールし工法を提案することができる。その後、設計業者の描いた図面により発注者(施主)がゼネコンに発注し、ゼネコンは専業企業である同社に(100%とは言えないが)発注し、同社は工事完成後にゼネコンに引き渡すという流れになる。このように同社は、ビジネスモデル上はゼネコンの下請けということになるが、バリューチェーンという観点からは設計業者と直接つながる形になっており、豊富な経験とノウハウから同社の技術提案が設計に反映されることが多く、そのためゼネコンから同社が受注する機会が多くなるようだ。これを同社は「折り込む力」と呼び、同社の強みということができる。同社のビジネスモデルの特長は、こうした3つの強みを柱に構成されている点にある。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) <ST> 2022/01/19 15:14 注目トピックス 日本株 ムサシ Research Memo(3):メーカー事業と商社事業による多様な収益基盤を持つ(2) ■ムサシ<7521>の会社概要(3) 注力事業の概要と特色様々な商品を取り扱うなか、特に以下のような製品やサービスに注力している(いずれも情報システム機材分野に属する)。a) メディアコンバート事業様々な紙媒体(文書、書籍、伝票、図面)などを電子データ化またはマイクロフィルム化することに加え、各種のマイクロフィルム(フィッシュフィルム、アパーチュアカード、ロールフィルム、COMフィルム等)を電子化あるいは紙媒体化(印刷)する。さらに、過去に電子化された各種データ(TIFF、JPEG、BMP、PDF、JPEG2000など)を様々な記録媒体(DVD、BD、HDD、LTO等)に記録するだけでなく、マイクロフィルム化及び紙媒体化(印刷)することも行う。このように、顧客の要望に応じて様々なメディアに変換(コンバート)するのが同事業の特徴だ。今後も、以下の3つの流れで需要増が期待できる。〇 コロナ禍でテレワークへの移行が進む→文書や資料の電子化需要が拡大。(アフターコロナでもこの流れは継続)〇 官公庁・自治体:行政のデジタル化推進→文書・図面・資料等の電子化需要が拡大。〇 官公庁・自治体、大手企業:働き方改革でオフィス移転が増加→保管文書の電子化需要が拡大。同社のメディアコンバート事業の特色(強み)は、1)高品質の加工処理、2)元資料に対する万全なセキュリティ、3)高い生産性(国内最大級のドキュメントイメージングセンターを有する)などである。さらに、デジタルデータ作成、データ検査、検索情報の入力などの工程を一貫して管理することが可能で、この結果、より正確で効率的なデータベース作りを行うことができる。これは、長年のマイクロフィルムサービスのノウハウの蓄積によるもので、同業他社が簡単には追い付けない部分でもある。b) 業務用ろ過フィルター事業「ミクロフィルター」という富士フイルム(株)が開発・製造する業務用ろ過フィルターの販売代理店事業だ。同社は国内市場の総販売代理店の地位にある。ろ過フィルターはマイクロメートル(μm)単位の微粒子・微生物を「ろ過」によって分離・除去するものだが、食品・飲料、エレクトロニクス(半導体、電子部品等)、医療などの各分野で幅広く利用されている。富士フイルムのミクロフィルターは市場では後発組であるが、以下のような特色を有しており、同社でも今後は積極的な拡販を図る計画だ。1) 非対称膜構造:一次側から二次側へ徐々に孔径が緻密化する独自構造2) ロングライフ:粗から密へ、膜全体を有効に使った段階的ろ過で長寿命を実現3) 低初期圧損:大きな開孔率、空隙率が低圧損を実現4) 確実な捕捉:シャープな孔径分布による内部緻密層が確実な捕捉を実現5) 豊富なラインアップ:0.03μmから1.2μmの豊富なラインアップc) 社会インフラ画像診断サービス『ひびみっけ』事業富士フイルムが持つ医療用画像診断システムの「画像解析技術」を活用して開発されたもので、橋梁やトンネルなどのコンクリート構造物の「ひび割れ」を撮影した画像から検出するものだ。各構造物の写真を撮り、それをクラウドにアップ、これらの画像を自動合成することで「ひび割れを自動検出」する。この製品を使うことで、橋梁・トンネルの点検業務は大幅に効率化される。これらのインフラ点検業務の発注者はほとんどが全国の自治体であり、同社はこれらの自治体とは「選挙システム機材」で密接な関係にあることから、今後はこのルートを生かすことで事業の拡大を目指す。3. 特色と強み(1) 多様な収益基盤同社は主に6つの分野で事業展開を行っており、業界や顧客企業が分散されている。このため、特定の業界や企業の影響を大きく受けることは少ない。また、それぞれの事業が独立していることから、1つの事業が伸び悩んだとしても、他の事業が補完することが可能で、これにより安定した収益を保つことができる。(2) 商社機能とメーカー機能を併せ持つ同社は柔軟な対応力と強い営業力を持つ商社である一方で、選挙関連機器や金融関連機器の設計・製造を行うメーカーでもある。これにより、商品やシステムの企画・開発から設計・製造、販売、ソフトウェアや機器のメンテナンスサポートまで一貫したサービスを提供することができる。商社としての「強い営業力」とメーカーとしての「商品開発力」を併せ持っていることは同社の特色であり強みである。(3) 安定した財務基盤同社の財務基盤(貸借対照表)は堅固で安定している。直近の2021年3月期の貸借対照表を要約すると、総資産41,312百万円、純資産27,032百万円(自己資本比率65.4%)、現金及び預金18,481百万円、たな卸資産2,952百万円、借入金3,516百万円(短期のみ)となっており、商社としては在庫と借入金が少なく、メーカーとしては有形固定資産が比較的少ない。言い換えれば、財務的には商社とメーカーの良い面を併せ持ったコンパクトかつ堅固なバランスシートと言える。これにより、新たな事業展開も、財務面からの制約を受けることなく容易に行うことが可能となっている。これは同社の強みの1つだろう。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <SI> 2022/01/19 15:13 注目トピックス 日本株 テノックス Research Memo(3):時代の要請に合わせてラインアップを拡充 ■事業概要1. 事業内容テノックス<1905>は基礎工事のなかでも、特に高架橋など土木構造物や中低層ビルなど建築構造物における鋼管杭工事と、柱状改良による深層の地盤改良工事を得意としている。様々な地盤や構造物、施主の要望に対応する必要があるため、多彩な工法や施工ノウハウを駆使し、着実で最善の基礎工事を提供している。近年では時代の要請に合わせて、コンクリート杭や既存杭の引抜き工事などラインアップを拡充している。また、子会社のテノックス技研と広島組は同社とともに基礎工事に特化した建設事業を営んでおり、同社に対して機材の賃貸を含む施工協力も行っている。海外では、TENOX ASIAがベトナムで建設事業を行っている。売上高の大半がこうした建設事業セグメントで占められるが、ほかに土木建築コンサルティング全般等事業セグメントで複合技術研究所が土木建築コンサルティングを、その他の事業セグメントでは不動産賃貸事業などを行っている。事業の大半を占める杭工事と地盤改良工事2. 建設事業建設事業の中身は年度によって割合が異なるが、鋼管杭工事と柱状改良による深層の地盤改良工事が大半を占める。同社が対象とする構造物は、戸建て住宅から工場、物流施設、中低層ビル・マンションなどの建築構造物、及び道路・鉄道橋梁や盛土、上下水道施設、土留・山留、擁壁、鉄塔などの土木構造物で、目的は、建築物を支えるだけでなく、耐震力補強や液状化抑制、環境負荷低減、土砂崩壊の抑制なども含まれる。主な工法は、杭工事がTN工法、TN-X工法、ガンテツパイル工法、NSエコパイル工法、ATTコラム工法、CMJ工法など、地盤改良工事がテノコラム工法、地盤補強工法がピュアパイル工法である。TN-X工法とピュアパイル工法は建築構造物だけを対象としているが、その他の工法は土木構造物にも利用される。以下に主要な同社工法の詳細を示す。(1) ガンテツパイル工法(杭)日本製鉄<5401>、クボタ<6326>と共同研究開発した工法。地盤にセメントミルクを注入し地盤を攪拌・混合して造成される固化体(ソイルセメント柱)の中央に、外面突起付き鋼管を圧入するハイブリッドな合成杭である。特長は、大きな鉛直支持力を発揮するため少ない本数で基礎構造物を支えることができること、ソイルセメントの大きな先端支持力と鋼管の高い靭性という2つの特性を同時に生かせること、地盤を有効利用して固化体を造成するため建設残土の発生を低減できること、それゆえ建設費の縮減や工期の短縮が可能になることなどである。道路や鉄道の高架橋、上下水道施設など土木分野で幅広く利用される。(2) TN-X工法(杭)日本製鉄と共同で研究開発した工法。油圧式の拡縮掘削ヘッドにより杭先端部に根固め球根を築造することで大きな支持力を得る高支持力鋼管杭を使用する。2005年に国土交通大臣認定を取得、大きな杭耐力を必要とする大型物流施設、ホテル、マンション、データセンター、庁舎、病院、空港施設などの重要建築構造物に採用されている。特長は、杭先端部の最大径2,400mmの根固め球根によって最大17,900kN※1の高い先端支持力が得られるため少ない本数で大型構造物を支えることができること、鋼管杭の高い靭性から大地震に強いこと、中掘り工法採用のためΦ1,400mmの大口径鋼管杭を70m(施工長)の深度まで低排土で施工が可能なこと、掘削深度や掘削速度、セメントミルク※2注入量、拡縮翼径などリアルタイムのモニタリングによる品質管理が可能なことなどである。※1 kN(キロニュートン):荷重を表す単位。おおむね10kN=1ton。※2 セメントミルク:セメントと水を混ぜ合わせてできるミルク状のもの。(3) ATTコラム工法(杭)旭化成建材(株)と共同で研究開発した工法。ソイルセメントコラム(柱状改良体)の中に羽根付き鋼管杭を埋設するハイブリッド工法である。特長は、ソイルセメントコラムと羽根付き鋼管杭の相乗効果による大きな摩擦力と高い靭性で、地盤によっては一般工法の4倍の水平支持力が発揮されること、支持力が大きいため杭本数を少なくできること、後述するテノコラム工法を応用することで建設残土を低減できること、狭隘地での施工が可能なことなどである。摩擦杭やアウトフレーム型耐震補強の基礎として多用される一方、繁華街の中低層建築物や歩道橋の橋台基礎など狭い現場や狭い搬入路でも利用できるうえ、明確な支持層に着底しない浮き基礎にも対応しているため高く評価されている。(4) テノコラム工法(地盤改良)建築物の基礎工法として地盤改良が認知される先駆けとなった工法で、1984年に同社独自で特許を取得した。スラリー※状にしたセメント系固化材(固化材液)を地盤に注入し、機械的に攪拌混合することで築造されるソイルセメントコラムである。特長は、土質を選ばず均一な強度のコラムを築造できること、コラム径や機械サイズのラインアップが幅広く施工仕様や現場条件に合わせられること、施工管理システムによって工期短縮やコスト削減を図れること、低振動・低騒音で地下水汚濁や二次公害のない環境にやさしい工法であることなどである。戸建て住宅や集合住宅、大規模ショッピングセンター、中低層ビルなど様々な建築構造物の基礎として利用されるだけでなく、液状化対策や円弧滑り防止など用途は多岐にわたる。阪神大震災や東日本大震災、熊本地震といった大地震の際、テノコラム工法を基礎に採用した構造物が無被害だったことから、同工法への信頼性が改めて高まった。このため、これまでの施工実績は約39,000件に達する。※スラリー:セメントと水を混ぜ合わせてできるミルク状のもの。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) <ST> 2022/01/19 15:13 注目トピックス 日本株 ムサシ Research Memo(2):メーカー事業と商社事業による多様な収益基盤を持つ(1) ■会社概要1. 会社概要ムサシ<7521>は、1946年に紙の卸販売会社として創業し、現在では情報関連、印刷関連の商社事業に加え、自社開発した選挙関連機器や金融関連機器の製造販売も行っている。商社、メーカーの両面を併せ持った企業だが、いずれもニッチな市場に焦点を当てているのが特長だ。2. 事業の概要(1) 事業構成(セグメント別売上高)決算短信に公表されている各セグメント別の売上高(2021年3月期)は、「情報・印刷・産業システム機材」が18,179百万円、「金融汎用・選挙システム機材」が3,491百万円、「紙・紙加工品」が8,315百万円、「不動産賃貸・リース事業等」が273百万円となっている。さらに「情報・印刷・産業システム機材」はサブセグメントとして「情報・産業システム機材」と「印刷システム機材」に、「金融汎用・選挙システム機材」は「金融汎用システム機材」と「選挙システム機材」に分けられている。(2) 事業内容(サブセグメント別の内容)a) 情報・産業システム機材1) 文書や図面など各種文書のデジタル化業務をはじめとするメディアコンバート事業。2) ドキュメント・マイクロフィルムスキャナーやデジタルアーカイブシステムの販売。関連ソフトウェアの開発・販売。3) 非破壊検査に使用される産業用検査機材の販売。4) 感熱式拡大プリンターの製造・販売。5) 機能性材料(業務用ろ過フィルター等)の販売。6) 社会インフラ画像診断サービス『ひびみっけ』の販売。主な販売先は、官公庁・自治体、企業・金融機関、学校・図書館、非破壊検査業者など。b) 印刷システム機材1) デジタルプリンティングシステムやプリント・オンデマンドなどの印刷機器・材料・ソフトウェアの販売。印刷業務管理システムやWeb受発注システムの販売。2) 名刺やカードを低コストかつ簡単に高品質印刷する、高精度インクリボン方式のプリントシステム機材の販売。3) 印刷物の高付加価値化を実現する高性能「レーザー加工機」など印刷後加工分野の商品販売。主な販売先は、印刷会社、文具・印章店、DPEショップ、一般企業など。c) 金融汎用システム機材金融機関の出納・両替業務や流通・運輸交通業における現金精算業務の効率化を図る貨幣処理機器、鍵・通帳などの管理機器、セキュリティ機器の開発・製造・販売及び関連したソフトウェア開発。貨幣処理機器等の輸出。主な販売先は、金融機関、流通業(デパート、スーパー、コンビニ等)、宅配業・交通機関・公営競技場など。d) 選挙システム機材投開票業務の効率化を図る投票用紙読取分類機や計数機・交付機などの各種機器をはじめ、業務管理ソフトウェアの開発・製造・販売、選挙用品・用具の販売、投票率アップを図る選挙啓発プロモーションの支援などの総合サプライヤー。業界トップの最大手であり、販売先は各自治体。e) 紙・紙加工品印刷・出版・情報・事務用紙、板紙、付加価値の高い特殊紙や紙加工品の開発・販売。感圧紙の製造・販売。主な販売先は、印刷会社、紙器業者、出版社など。f) 不動産賃貸・リース事業等不動産の賃貸・運用、車両リース、各種保険代理店業務など。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <SI> 2022/01/19 15:12 注目トピックス 日本株 テノックス Research Memo(2):基礎工事のパイオニアとして専業を貫く ■会社概要1. 会社概要テノックス<1905>は、基礎工事に特化した建設事業及び建設資材の販売を行っている。建設事業では、住宅やマンション、商業施設、教育施設、病院、工場、倉庫などの建築構造物や、道路や鉄道の高架橋などの土木構造物を建設する際の、杭工事や地盤改良工事といった基礎を請け負っている。杭工事と地盤改良工事の2工法を有する企業は極めて少なく、同社の大きな特徴といえる。基礎工事は、構築物が主に地下にあるため一般の目に届かず地味な印象を受けるが、文字どおり日本の基礎を支える重要な工事であるため、施工への信頼が大きな前提となる。そうした業界でパイオニアとして専業を貫く同社は、長年培ってきた経験やノウハウによって、中低層建築物向けに業界で広く浸透しているテノコラム工法や、高速道路や鉄道などの土木工事に用いられるガンテツパイル工法を開発するなど、国内トップクラスの技術力を誇る。こうした同社の経験やノウハウは、社会的にも大きな財産と言って過言ではない。なお、子会社で土木コンサルティング、海外展開なども行っている。時代とともにサービスラインアップを拡充2. 沿革同社は1970年に創業者の安田善次郎(やすだぜんじろう)氏によって設立され、旭化成工業(株)(現旭化成<3407>)の代理店としてコンクリート杭の販売及び施工を開始した。1977年に既製杭の施工法(中掘り工法)で特許を取得、1984年には現在もなお全国各地で広く使われているテノコラム工法の特許を取得した。こうした技術力を背景に1980年代後半から1990年にかけて、同社は営業拠点網を全国に拡大していった。1991年に日本証券業協会に株式を店頭登録した後は業容拡大期に入り、1995年にガンテツパイル工法を開発し技術審査証明を取得したほか、テノコラム工法、ATTコラム工法、TN-X工法、ピュアパイル工法など、開発してきた工法で各種認証を次々と取得していった。また、同年に(株)山本組を子会社化して(株)テノックス技研に改称、1997年には(株)複合技術研究所を設立している。さらに、2015年にベトナムのホーチミン市にTENOX ASIA CO., LTD.を設立、2018年にはテノコラム工法でベトナムの技術認証を取得するなど、海外での事業展開も本格化している。2020年には基礎工事の(株)広島組をM&A、同年コンクリート杭の日本ヒューム<5262>、2021年に同じくコンクリート杭のメーカーで二酸化炭素固定化技術を持つ日本コンクリート工業<5269>と業務資本提携をするなど、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)においてサービスラインアップを急速に拡充している。2020年7月には創立50周年を迎え、国内営業拠点として北海道から九州まで6営業所、3出張所を擁し、ほかに1機材センター・試験研究室、国内外に関連子会社4社を有する企業規模となった。ちなみに、同社の社名は、安田善次郎氏を慕って集まった設立当初の10名の青年が雄牛のように力強くまい進することを願い、10名の「TEN」と雄牛の「OX」を結び付けて「TENOX」と名付けられている。様々な地盤に建つ大小構造物を対象とする3. 基礎工事とは基礎とは、建築構造物や土木構造物の荷重を地盤に伝え、安全に支える構造のことである。建築構造物などは安定した地盤に直接建設するのが良いとされるが、軟らかい地盤の場合はその下方にある硬い地盤(支持層)で支えねばならず、地盤と建物の条件に適した土台づくり=基礎工事が必要とされる。日本は地震が多い上、人口の大半が河川下流の土砂が堆積した平野に集中しているため、特に基礎工事は重要視される。基礎工事は主に、支持層が浅い場合の直接基礎(地盤改良を併用した直接基礎を含む)と支持層が深い場合の杭基礎に分けられ、そのほか軟弱地盤上での浮き基礎や液状化対策を兼用した基礎など、地盤の条件によって様々な適用事例がある。直接基礎は、支持層が1メートル以内と非常に浅い場合(または建築物が非常に軽い場合)、基礎を直接地面に建てる工法である。直接基礎には地盤改良を併用する場合も含まれ、支持層が1~2メートルとやや浅い場合の浅層改良と、2~10メートル程度のやや深い場合の深層改良があり、いずれも土壌に改良材などを混ぜ合わせながら硬い地盤に変えていく工法である。地盤改良は、基礎工事のみならず山留めや土壌汚染対策などにも採用される。杭基礎は、支持層がおおむね10メートルより深い場合に用いられる工法である。杭工事は杭の支え方で、杭の先端を硬い支持層に到達させて支える支持杭と、杭周面の地盤の摩擦力で支える摩擦杭に分けられる。また、製造方法によって、工場で製造され均一性や施工の容易さに特徴のある既製杭と、工事現場で製造するため施工管理が大変だが、杭径の大きさなど製造自由度の高い場所打ち杭に分けられる。場所打ち杭は、重量の非常に重い構造物や既製杭の施工が難しい特殊な地盤などに用いられる。杭は材料によって、靱性(大地震にねばれるしなやかさ)が高く支持層に到達することで大きな支持力が得られる鋼管杭と、プレストレスをかけた超高強度コンクリートにより高い支持力が得られるコンクリート杭に分けられる。鋼管杭は加工しやすいことから、鋼管の先端に羽根を取り付けるなど支持力を高める工夫もしやすい。基礎工事の対象は様々な地盤に建つ小屋や住宅から高層ビルや橋梁など大小多岐にわたる建築・土木構造物となるため、基礎工事を行う企業も大企業から中小企業まで数多い。また、基礎工事では地中が目視できない分、品質が良くて当たり前という施工への信頼が非常に重要な前提条件となる。近年、大地震や大型台風、集中豪雨といった激甚災害に対する防災意識の高まりから、基礎工事は一般の人からの注目も増している。そうした業界で、同社のように地盤改良工事と杭工事の2工法を有する企業は極めて少なく、同社の大きな特徴となっている。特に深層の地盤改良工事と既製の鋼管杭工事を得意としているが、近年、資本業務提携などによりコンクリート杭や浅層の地盤改良工事などラインアップを拡充しているところである。また、施工品質への信頼のため、施工を管理するシステムなどの開発も行っている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) <ST> 2022/01/19 15:12 注目トピックス 日本株 ムサシ Research Memo(1):選挙関連機材のトップメーカー。新規事業の育成で事業拡大を図る ■要約ムサシ<7521>は選挙関連機材や金融関連機材の総合メーカーである。また、文書のデジタル化(メディアコンバージョン)事業やスキャナー、非破壊検査機材、業務用ろ過フィルターなどを取り扱う情報・産業システム機材、印刷システム機材、紙・紙加工品などの商社事業も行っている。特に選挙関連機材においては、投開票業務に必要な各種機器から投票箱等の用品・用具、開く投票用紙など幅広い商品をラインナップし、業界のトップシェアを誇る圧倒的な存在である。また、各種文書やマイクロフィルムのデジタル化(メディアコンバージョン)事業においても国内最大級のドキュメントイメージングセンターを展開し、次の収益柱への育成を図っている。商社機能とメーカー機能を併せ持っているのが特長だ。1. 2022年3月期第2四半期業績2022年3月期第2四半期の連結業績は、売上高16,871百万円(前年同期比19.0%増※)、営業利益558百万円(前年同期は185百万円の損失)、経常利益566百万円(同129百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純利益338百万円(同106百万円の損失)となった。主力の選挙システム機材において、東京都議会議員選挙があったことに加え、衆議院選挙に向けての需要が出たことなどから、売上高が前年同期比166.7%増となったことが業績を牽引した。他の事業も新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)からの回復で増収を確保した。注力しているメディアコンバート事業(情報・産業システム機材の内数)は一部進捗遅れがあったことから、この上半期の売上高は前年同期比で微減であったが、内容は順調であり通期では増収を見込む。※今期より「収益認識に関する会計基準」を適用している。前年同期は不適用であるが、影響は軽微であるため、前年同期比較の数値はそのまま用いている。以下、同様2. 2022年3月期業績予想2022年3月期通期の連結業績は、売上高35,646百万円(前期比17.8%増)、営業利益1,284百万円(前期は97百万円の損失)、経常利益1,302百万円(同24百万円の利益)、親会社株主に帰属する当期純利益742百万円(同28百万円の損失)と予想されている。分野別売上高では、選挙システム機材は、任期満了に伴う衆議院選挙が実施されたことから、大きく伸長し過去最高となる見込み。その他の分野もコロナ禍の影響から回復し、増収が予想されている。自社開発商品で高採算の選挙システム機材が大幅増収となることから、全体の利益率も改善し営業利益は大きく改善する予想だ。配当については、上半期の業績が好調であったことから中間配当を18円(当初予想12円)に増配し、通期では年間30円(普通配当+特別配当)とする方針だ。3. 中長期の成長戦略現在、同社の収益の中心は選挙関連機材となっているが、この分野は安定成長しているものの国政選挙などの実施の有無によって需要にばらつきが出るため、シクリカルな事業と言える。そのため、メディアコンバート事業や業務用ろ過フィルター等を一段と強化し、収益基盤の安定化を図る計画だ。特にメディアコンバート事業については、官公庁における文書のデジタル化需要だけでなく、民間においてもコロナ禍の影響によるテレワークの浸透などで各種データや書類のデジタル化は必須となっており、中長期では成長が見込まれる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <SI> 2022/01/19 15:11 注目トピックス 日本株 テノックス Research Memo(1):順調にスタートした新中期経営計画 ■要約1. 基礎工事で国内有数の技術力と信頼を誇るテノックス<1905>は、杭工事や地盤改良工事など基礎工事に特化した建設事業を行っている。基礎工事は、住宅やマンション、商業施設、道路、鉄道高架橋などを目に見えない地下で支えており、品質が良くて当たり前という施工への信頼が大きな前提となっている。近年、大地震への備えや、頻発する大型台風や集中豪雨など自然災害に対する防災意識の高まりなどから、一般の人にも注目される業界になってきた。なかでも同社は、業界のパイオニアとして、中低層建築物向けに広く浸透しているテノコラム工法や、高速道路や鉄道などの土木工事に用いられるガンテツパイル工法を開発するなど、国内有数の技術力と信頼を誇っている。専業者として長年培ってきた同社の経験やノウハウは、社会的にも大きな財産と言って過言ではない。2. 強みはラインアップ、施工品質、「折り込む力」同社は鋼管杭工事と深層の地盤改良工事を得意とし、戸建て住宅から工場、物流施設、中低層ビル・マンションなどの建築構造物、道路・鉄道橋梁や盛土、上下水道施設、土留・山留、擁壁、鉄塔などの土木構造物の基礎を支えてきた。それが近年、M&Aや資本業務提携などによって、コンクリート杭工事や既存杭の引抜き工事などラインアップを強化しており、ワンストップで総合的な提案が可能となっている。同社の強みは豊富なラインアップに加え、施工管理装置「VCCS」や施工状態を早期確認する「促進養生システム」、子会社の持つ工事技能者集団や機材などを背景とした施工品質、ゼネコンからの受注を前に設計業者に技術を提案・アピールできる「折り込む力」にある。同社は、こうした強みを背景に、設計から施工までを一貫して行うビジネスモデルを特長としている。3. 3つの基本戦略に沿って新中期経営計画を進行2022年3月期初に策定した新中期経営計画では、開発戦略、営業・施工戦略、ESG戦略の3つの基本戦略によって、変化する社会のニーズや生活様式への「適応力」を高めていく方針である。これにより、2024年3月期を最終年度に、前中期経営計画の目標値であった売上高220億円、経常利益15億円、ROE8%に再チャレンジする考えである。新中期経営計画はスタートして日はまだ浅いが、軽油に代わるクリーンなGTL(Gas to Liquids)燃料を基礎工事業界で初めて建設現場に導入したほか、既存杭引抜き工事の際に周辺地盤の強度を復旧・安定させる地盤改良技術の開発、北海道新幹線延伸事業における鋼管ソイルセメント杭の施工、基礎に二酸化炭素を固定化する技術試験など、3つの基本戦略に沿ったプロジェクトが順調に進行を開始した。4. M&Aや提携などの成果をテコに新中期経営計画達成へ2022年3月期第2四半期の業績は、売上高6,838百万円(前年同期比5.1%減)、営業利益48百万円(同189.3%増)となった。価格競争の激化により中小案件の受注が減少して減収となったが、好採算の大型案件が順調に推移したため増益となった。2022年3月期の業績見通しについて、同社は売上高18,000百万円(前期比13.2%増)、営業利益680百万円(同120.1%増)と見込んでいる。下期も大型案件が収益をけん引すると期待されるが、価格競争や資材価格高騰などのリスクも懸念される。短期的にやや厳しい経営環境が続くが、事業環境が今後徐々に改善していくことが予想されるため、3つの基本戦略に加えM&Aや提携などこれまで展開してきた戦略の成果への期待が高まる。こうした成果をテコに、同社は新中期経営計画の目標値を達成する計画である。■Key Points・技術力と信頼を誇る基礎工事のパイオニア。杭工事や地盤改良工事を得意とする・ラインアップ、施工品質、「折り込む力」を強みとするビジネスモデルが特長・新中期経営計画目標(2024年3月期経常利益15億円)に向け順調にスタート(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) <ST> 2022/01/19 15:11 注目トピックス 日本株 日新 Research Memo(9):2022年3月期期末配当の増配を発表、年間配当金は前期比2円増の58円の予定 ■株主還元策日新<9066>は、将来の経営環境の変化や事業展開などを見据え、業績、財務状況、配当性向水準などを総合的に勘案し、安定的配当の継続を基本に利益還元する方針を掲げている。内部留保資金については、安定的経営基盤の確立に向け、中長期的見地に立ったグローバルな事業展開をはじめ、物流施設やIT関連の整備・拡充及び財務体質の強化のために活用するとしている。同社の基本方針である「安定配当の継続」については、過去10年間配当の増配・維持を継続していることや、コロナ禍の影響による旅行事業の急速な収益悪化のなかでも配当を維持したことなどに現れている。2022年3月期の期末配当については、2021年11月に発表した業績上方修正等を勘案し、前回(同年5月公表)予想の1株当たり28.0円から2.0円増配し、30.0円(年間58.0円、前期比2.0円増)を予定している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司) <YM> 2022/01/19 15:09 注目トピックス 日本株 日新 Research Memo(8):物流事業が想定を上回る推移であることから、2022年3月期業績予想を上方修正 ■今後の見通し1. 2022年3月期の業績見通し2022年3月期の連結業績について日新<9066>は、2021年11月に上方修正を発表した。これは、ワクチン接種率の地域差や新型コロナウイルス変異株発生による感染者拡大の影響で荷動きが鈍化するとの予想に反し、好調な荷動きが継続した結果、第2四半期業績が期初計画を上回って着地したこと、また、回復基調は今後も継続する見込みであることが背景にある。上方修正後の業績予想については、売上高が前期比1.9%減の153,000百万円、営業利益が同145.1%増の6,400百万円、経常利益が同70.3%増の7,300百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同144.1%増の4,900百万円としている。2. セグメント別見通し(1) 物流事業売上高は前期比1.0%減の149,000百万円、営業利益は同56.7%増の6,500百万円を見込んでいる。コロナ禍はワクチン接種率の向上はあるものの、変異ウイルスの発生等、依然不透明な状況が継続している。国際物流環境については、海上コンテナ不足や米国西海岸の港湾混雑による航空需要の高止まりや、米国内トラック便代替輸送、緊急貨物輸送など、現在の不安定な環境は当面継続するものと思われるが、荷動きは徐々に安定化に向かうとの予想から、通期業績予想を上方修正した。一方、半導体や自動車部品の供給不足解消は依然先行きの見えない状況で、世界経済の本格的回復には時間を要することには注意が必要である。(2) 旅行事業売上高は前期比40.4%減の2,500百万円、コスト削減施策をさらに推進することで営業損失は1,000百万円(前期は2,315百万円の損失)を見込んでいる。本格的回復には時間を要するものと思われるが、徐々に海外業務渡航の取扱人数は回復に向かうと同社では予想している。(3) 不動産事業売上高は前期比20.5%増の1,500百万円、営業利益は同3.0%増の800百万円を見込んでいる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司) <YM> 2022/01/19 15:08

ニュースカテゴリ