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テノックス Research Memo(2):基礎工事のパイオニアとして専業を貫く
配信日時:2022/01/19 15:12
配信元:FISCO
■会社概要
1. 会社概要
テノックス<1905>は、基礎工事に特化した建設事業及び建設資材の販売を行っている。建設事業では、住宅やマンション、商業施設、教育施設、病院、工場、倉庫などの建築構造物や、道路や鉄道の高架橋などの土木構造物を建設する際の、杭工事や地盤改良工事といった基礎を請け負っている。杭工事と地盤改良工事の2工法を有する企業は極めて少なく、同社の大きな特徴といえる。基礎工事は、構築物が主に地下にあるため一般の目に届かず地味な印象を受けるが、文字どおり日本の基礎を支える重要な工事であるため、施工への信頼が大きな前提となる。そうした業界でパイオニアとして専業を貫く同社は、長年培ってきた経験やノウハウによって、中低層建築物向けに業界で広く浸透しているテノコラム工法や、高速道路や鉄道などの土木工事に用いられるガンテツパイル工法を開発するなど、国内トップクラスの技術力を誇る。こうした同社の経験やノウハウは、社会的にも大きな財産と言って過言ではない。なお、子会社で土木コンサルティング、海外展開なども行っている。
時代とともにサービスラインアップを拡充
2. 沿革
同社は1970年に創業者の安田善次郎(やすだぜんじろう)氏によって設立され、旭化成工業(株)(現旭化成<3407>)の代理店としてコンクリート杭の販売及び施工を開始した。1977年に既製杭の施工法(中掘り工法)で特許を取得、1984年には現在もなお全国各地で広く使われているテノコラム工法の特許を取得した。こうした技術力を背景に1980年代後半から1990年にかけて、同社は営業拠点網を全国に拡大していった。1991年に日本証券業協会に株式を店頭登録した後は業容拡大期に入り、1995年にガンテツパイル工法を開発し技術審査証明を取得したほか、テノコラム工法、ATTコラム工法、TN-X工法、ピュアパイル工法など、開発してきた工法で各種認証を次々と取得していった。また、同年に(株)山本組を子会社化して(株)テノックス技研に改称、1997年には(株)複合技術研究所を設立している。
さらに、2015年にベトナムのホーチミン市にTENOX ASIA CO., LTD.を設立、2018年にはテノコラム工法でベトナムの技術認証を取得するなど、海外での事業展開も本格化している。2020年には基礎工事の(株)広島組をM&A、同年コンクリート杭の日本ヒューム<5262>、2021年に同じくコンクリート杭のメーカーで二酸化炭素固定化技術を持つ日本コンクリート工業<5269>と業務資本提携をするなど、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)においてサービスラインアップを急速に拡充している。2020年7月には創立50周年を迎え、国内営業拠点として北海道から九州まで6営業所、3出張所を擁し、ほかに1機材センター・試験研究室、国内外に関連子会社4社を有する企業規模となった。ちなみに、同社の社名は、安田善次郎氏を慕って集まった設立当初の10名の青年が雄牛のように力強くまい進することを願い、10名の「TEN」と雄牛の「OX」を結び付けて「TENOX」と名付けられている。
様々な地盤に建つ大小構造物を対象とする
3. 基礎工事とは
基礎とは、建築構造物や土木構造物の荷重を地盤に伝え、安全に支える構造のことである。建築構造物などは安定した地盤に直接建設するのが良いとされるが、軟らかい地盤の場合はその下方にある硬い地盤(支持層)で支えねばならず、地盤と建物の条件に適した土台づくり=基礎工事が必要とされる。日本は地震が多い上、人口の大半が河川下流の土砂が堆積した平野に集中しているため、特に基礎工事は重要視される。基礎工事は主に、支持層が浅い場合の直接基礎(地盤改良を併用した直接基礎を含む)と支持層が深い場合の杭基礎に分けられ、そのほか軟弱地盤上での浮き基礎や液状化対策を兼用した基礎など、地盤の条件によって様々な適用事例がある。
直接基礎は、支持層が1メートル以内と非常に浅い場合(または建築物が非常に軽い場合)、基礎を直接地面に建てる工法である。直接基礎には地盤改良を併用する場合も含まれ、支持層が1~2メートルとやや浅い場合の浅層改良と、2~10メートル程度のやや深い場合の深層改良があり、いずれも土壌に改良材などを混ぜ合わせながら硬い地盤に変えていく工法である。地盤改良は、基礎工事のみならず山留めや土壌汚染対策などにも採用される。
杭基礎は、支持層がおおむね10メートルより深い場合に用いられる工法である。杭工事は杭の支え方で、杭の先端を硬い支持層に到達させて支える支持杭と、杭周面の地盤の摩擦力で支える摩擦杭に分けられる。また、製造方法によって、工場で製造され均一性や施工の容易さに特徴のある既製杭と、工事現場で製造するため施工管理が大変だが、杭径の大きさなど製造自由度の高い場所打ち杭に分けられる。場所打ち杭は、重量の非常に重い構造物や既製杭の施工が難しい特殊な地盤などに用いられる。
杭は材料によって、靱性(大地震にねばれるしなやかさ)が高く支持層に到達することで大きな支持力が得られる鋼管杭と、プレストレスをかけた超高強度コンクリートにより高い支持力が得られるコンクリート杭に分けられる。鋼管杭は加工しやすいことから、鋼管の先端に羽根を取り付けるなど支持力を高める工夫もしやすい。
基礎工事の対象は様々な地盤に建つ小屋や住宅から高層ビルや橋梁など大小多岐にわたる建築・土木構造物となるため、基礎工事を行う企業も大企業から中小企業まで数多い。また、基礎工事では地中が目視できない分、品質が良くて当たり前という施工への信頼が非常に重要な前提条件となる。近年、大地震や大型台風、集中豪雨といった激甚災害に対する防災意識の高まりから、基礎工事は一般の人からの注目も増している。そうした業界で、同社のように地盤改良工事と杭工事の2工法を有する企業は極めて少なく、同社の大きな特徴となっている。特に深層の地盤改良工事と既製の鋼管杭工事を得意としているが、近年、資本業務提携などによりコンクリート杭や浅層の地盤改良工事などラインアップを拡充しているところである。また、施工品質への信頼のため、施工を管理するシステムなどの開発も行っている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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1. 会社概要
テノックス<1905>は、基礎工事に特化した建設事業及び建設資材の販売を行っている。建設事業では、住宅やマンション、商業施設、教育施設、病院、工場、倉庫などの建築構造物や、道路や鉄道の高架橋などの土木構造物を建設する際の、杭工事や地盤改良工事といった基礎を請け負っている。杭工事と地盤改良工事の2工法を有する企業は極めて少なく、同社の大きな特徴といえる。基礎工事は、構築物が主に地下にあるため一般の目に届かず地味な印象を受けるが、文字どおり日本の基礎を支える重要な工事であるため、施工への信頼が大きな前提となる。そうした業界でパイオニアとして専業を貫く同社は、長年培ってきた経験やノウハウによって、中低層建築物向けに業界で広く浸透しているテノコラム工法や、高速道路や鉄道などの土木工事に用いられるガンテツパイル工法を開発するなど、国内トップクラスの技術力を誇る。こうした同社の経験やノウハウは、社会的にも大きな財産と言って過言ではない。なお、子会社で土木コンサルティング、海外展開なども行っている。
時代とともにサービスラインアップを拡充
2. 沿革
同社は1970年に創業者の安田善次郎(やすだぜんじろう)氏によって設立され、旭化成工業(株)(現旭化成<3407>)の代理店としてコンクリート杭の販売及び施工を開始した。1977年に既製杭の施工法(中掘り工法)で特許を取得、1984年には現在もなお全国各地で広く使われているテノコラム工法の特許を取得した。こうした技術力を背景に1980年代後半から1990年にかけて、同社は営業拠点網を全国に拡大していった。1991年に日本証券業協会に株式を店頭登録した後は業容拡大期に入り、1995年にガンテツパイル工法を開発し技術審査証明を取得したほか、テノコラム工法、ATTコラム工法、TN-X工法、ピュアパイル工法など、開発してきた工法で各種認証を次々と取得していった。また、同年に(株)山本組を子会社化して(株)テノックス技研に改称、1997年には(株)複合技術研究所を設立している。
さらに、2015年にベトナムのホーチミン市にTENOX ASIA CO., LTD.を設立、2018年にはテノコラム工法でベトナムの技術認証を取得するなど、海外での事業展開も本格化している。2020年には基礎工事の(株)広島組をM&A、同年コンクリート杭の日本ヒューム<5262>、2021年に同じくコンクリート杭のメーカーで二酸化炭素固定化技術を持つ日本コンクリート工業<5269>と業務資本提携をするなど、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)においてサービスラインアップを急速に拡充している。2020年7月には創立50周年を迎え、国内営業拠点として北海道から九州まで6営業所、3出張所を擁し、ほかに1機材センター・試験研究室、国内外に関連子会社4社を有する企業規模となった。ちなみに、同社の社名は、安田善次郎氏を慕って集まった設立当初の10名の青年が雄牛のように力強くまい進することを願い、10名の「TEN」と雄牛の「OX」を結び付けて「TENOX」と名付けられている。
様々な地盤に建つ大小構造物を対象とする
3. 基礎工事とは
基礎とは、建築構造物や土木構造物の荷重を地盤に伝え、安全に支える構造のことである。建築構造物などは安定した地盤に直接建設するのが良いとされるが、軟らかい地盤の場合はその下方にある硬い地盤(支持層)で支えねばならず、地盤と建物の条件に適した土台づくり=基礎工事が必要とされる。日本は地震が多い上、人口の大半が河川下流の土砂が堆積した平野に集中しているため、特に基礎工事は重要視される。基礎工事は主に、支持層が浅い場合の直接基礎(地盤改良を併用した直接基礎を含む)と支持層が深い場合の杭基礎に分けられ、そのほか軟弱地盤上での浮き基礎や液状化対策を兼用した基礎など、地盤の条件によって様々な適用事例がある。
直接基礎は、支持層が1メートル以内と非常に浅い場合(または建築物が非常に軽い場合)、基礎を直接地面に建てる工法である。直接基礎には地盤改良を併用する場合も含まれ、支持層が1~2メートルとやや浅い場合の浅層改良と、2~10メートル程度のやや深い場合の深層改良があり、いずれも土壌に改良材などを混ぜ合わせながら硬い地盤に変えていく工法である。地盤改良は、基礎工事のみならず山留めや土壌汚染対策などにも採用される。
杭基礎は、支持層がおおむね10メートルより深い場合に用いられる工法である。杭工事は杭の支え方で、杭の先端を硬い支持層に到達させて支える支持杭と、杭周面の地盤の摩擦力で支える摩擦杭に分けられる。また、製造方法によって、工場で製造され均一性や施工の容易さに特徴のある既製杭と、工事現場で製造するため施工管理が大変だが、杭径の大きさなど製造自由度の高い場所打ち杭に分けられる。場所打ち杭は、重量の非常に重い構造物や既製杭の施工が難しい特殊な地盤などに用いられる。
杭は材料によって、靱性(大地震にねばれるしなやかさ)が高く支持層に到達することで大きな支持力が得られる鋼管杭と、プレストレスをかけた超高強度コンクリートにより高い支持力が得られるコンクリート杭に分けられる。鋼管杭は加工しやすいことから、鋼管の先端に羽根を取り付けるなど支持力を高める工夫もしやすい。
基礎工事の対象は様々な地盤に建つ小屋や住宅から高層ビルや橋梁など大小多岐にわたる建築・土木構造物となるため、基礎工事を行う企業も大企業から中小企業まで数多い。また、基礎工事では地中が目視できない分、品質が良くて当たり前という施工への信頼が非常に重要な前提条件となる。近年、大地震や大型台風、集中豪雨といった激甚災害に対する防災意識の高まりから、基礎工事は一般の人からの注目も増している。そうした業界で、同社のように地盤改良工事と杭工事の2工法を有する企業は極めて少なく、同社の大きな特徴となっている。特に深層の地盤改良工事と既製の鋼管杭工事を得意としているが、近年、資本業務提携などによりコンクリート杭や浅層の地盤改良工事などラインアップを拡充しているところである。また、施工品質への信頼のため、施工を管理するシステムなどの開発も行っている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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