注目トピックス 日本株ニュース一覧

注目トピックス 日本株 橋本総業ホールディングス---配当予想の修正を発表 橋本総業ホールディングス<7570>は28日、同日開催の取締役会において、2022年3月期の第2四半期末及び期末配当予想を修正すると決議したと発表した。2021年5月7日発表の前回予想で、1株当たり配当金は、第2四半期末33円00銭、期末32円00銭、年間65円00銭としていたが、今回修正予想では、第2四半期末35円00銭、期末35円00銭、年間70円00銭とした。修正の理由について、同社は、連結業績並びに配当性向等を勘案した結果としている。 <ST> 2021/09/29 16:26 注目トピックス 日本株 日経平均寄与度ランキング(大引け)~日経平均は大幅に3日続落、東エレクとアドバンテが2銘柄で約146円分押し下げ 9月29日大引け時点の日経平均構成銘柄の騰落数は、値上がり24銘柄、値下がり198銘柄、変わらず3銘柄となった。日経平均は大幅に3日続落。前日の米国市場でのNYダウは500ドル超安と大幅反落。9月消費者信頼感指数が予想外に悪化したことや政府機関閉鎖リスクが高まったことで投資家心理が悪化。米長期金利が6月中旬以来となる水準まで上昇したこともあり、ハイテク株を中心に売られた。ナスダック総合指数は2.82%安だった。日経平均は米国株安の流れを引き継いだほか9月末の配当権利落ちで180円程の下げも加わり、572.04円安の29611.92円でスタート。中国上海株が大幅に下落していたこともあり、前引け近くには下げ幅を800円以上にまで拡大。後場は一時下げ渋る動きもみられたが、自民党総裁選の投開票が進み、改革色が強く海外投資家から人気も高い河野太郎氏の劣勢が伝わると、急速に下げ幅を拡げ、29329.16円(854.80円安)まで下げる場面があった。ただ、大引けにかけては経済対策への期待などから下げ渋る展開となった。大引けの日経平均は前日比639.67円安の29544.29円となった。東証1部の売買高は16億0259万株、売買代金は3兆8556億円だった。セクターではほぼ全面安で精密機器、電気機器、銀行業などが下落率上位に並んだ一方、空運業のみが上昇となった。東証1部の値下がり銘柄は全体の81%、対して値上がり銘柄は15%となった。値下がり寄与トップは東エレク<8035>となり1銘柄で日経平均を約102円押し下げた。同2位はアドバンテ<6857>となり、ダイキン<6367>、リクルートHD<6098>、信越化<4063>、ソフトバンクG<9984>、ファナック<6954>などがつづいた。一方、値上がり寄与トップはファーストリテ<9983>となり1銘柄で日経平均を約14円押し上げた。同2位はJR東海<9022>となり、塩野義<4507>、クレセゾン<8253>、川崎船<9107>、JR東<9020>、日揮HD<1963>などがつづいた。*15:00現在日経平均株価  29544.29(-639.67)値上がり銘柄数  24(寄与度+21.94)値下がり銘柄数 198(寄与度-661.61)変わらず銘柄数  3○値上がり上位銘柄コード  銘柄         直近価格        前日比 寄与度<9983> ファーストリテ    79080          410 +14.76<9022> JR東海         17580          405  +1.46<4507> 塩野義          7264           34  +1.22<8253> クレセゾン       1503           21  +0.76<9107> 川崎船          6880          190  +0.68<9020> JR東日本         7535          170  +0.61<1963> 日揮HD          1065           11  +0.40<7013> IHI            2843          103  +0.37<3405> クラレ          1085           8  +0.29<9202> ANA            2910           70  +0.25<3086> Jフロント        1079           12  +0.22<9021> JR西日本         5458           59  +0.21<5801> 古河電          2508           47  +0.17<8233> 高島屋          1252           8  +0.14<4004> 昭電工          2737           39  +0.14<5101> 浜ゴム          2071           3  +0.05<9501> 東電力HD         353           14  +0.05<8303> 新生銀          1880           13  +0.05<4578> 大塚HD          4812           1  +0.04<7211> 三菱自           301           5  +0.02○値下がり上位銘柄コード  銘柄         直近価格        前日比 寄与度<8035> 東エレク        51000         -2840 -102.27<6857> アドバンテ       10210         -610 -43.93<6367> ダイキン        24360         -1055 -37.99<6098> リクルートHD      6802         -272 -29.39<4063> 信越化         19380         -665 -23.95<9984> ソフトバンクG     6683          -99 -21.39<6954> ファナック       24780         -550 -19.81<6758> ソニーG         12440         -480 -17.29<4543> テルモ          5265         -118 -17.00<2413> エムスリー       8055         -159 -13.74<6971> 京セラ          6934         -178 -12.82<6762> TDK            4095         -120 -12.78<6976> 太陽誘電         6740         -340 -12.24<9735> セコム          8050         -333 -11.99<9433> KDDI           3751          -55 -11.88<6988> 日東電          7970         -290 -10.44<4519> 中外薬          4107          -86  -9.29<4523> エーザイ         8544         -233  -8.39<4568> 第一三共       2946.5         -77.5  -8.37<6645> オムロン        11190         -230  -8.28 <FA> 2021/09/29 16:25 注目トピックス 日本株 エーバランス Research Memo(9):当面は安定配当を継続することを基本方針とする ■株主還元策Abalance<3856>は、株主還元策として業績拡大による企業価値の向上に基づいたキャピタルゲインでの還元を考慮しつつ、利益配当の方針としては「利益還元」と「成長資金確保のための内部留保」のバランスを考えながら、安定配当を継続していくことを基本方針としている。2022年6月期の1株当たり配当金については未定となっているが、業績が計画どおり進捗すれば2021年6月期と同水準となる可能性が高い。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <EY> 2021/09/29 16:09 注目トピックス 日本株 エーバランス Research Memo(8):2022年6月期業績はコロナ禍が続くなか保守的な計画を策定 ■今後の見通し及び成長戦略Abalance<3856>の2022年6月期の連結業績は、売上高で前期比30.1%増の35,000百万円、営業利益で同2.9%増の1,400百万円、経常利益で同12.6%増の1,430百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同59.6%増の858百万円となる見通し。地球温暖化対策として再生可能エネルギー導入への取り組みが世界的に進むなかで、同社にとって市場環境は追い風が続くが、コロナ禍の収束がいまだ見えないなか、業績計画ではこうしたリスクを考慮した保守的な計画となっている。同社は今後、ESG・SDGsの推進による社会価値と企業価値の両立により、再生可能エネルギーのグローバル企業を目指している。世界的に再生可能エネルギー需要の拡大が見込まれるなか、事業機会へ迅速に対応する観点から2023年6月期以降の新中期経営計画を策定し、2021年10月を目途に発表する予定としている。また、VSUNのベトナム証券市場へのIPOについて、早期の上場を想定して現地当局や証券会社等と折衝中となっている。同社グループが実質的に保有するVSUNの株式についての資本政策も検討事項となるが、現状ではIPOが実現した後も子会社化は継続する方針であると同社は説明している。なお同社は、東証の市場再編に伴い、今後プライム市場を目指すことは企業価値の向上につながるものであり、計画的に対応する方針としている。事業セグメント別の見通しは以下の通りとなる。(1) グリーンエネルギー事業グリーンエネルギー事業については、2ケタ増収増益となる見通しだ。2022年6月期も太陽光発電所の分譲販売を継続しつつ、発電所の自社保有化並びにM&Aによる新規取得を積極的に推進していく方針だ。2022年6月期においては、前期に連系した花畑太陽光発電所の一部区画(2020年11月連系、初年度通期売電収入:約1.5億円見込)、角田市太陽光発電所(2021年3月連系、初年度通期売電収入:約7.5億円見込)、福島市大波太陽光発電所(同6月連系、初年度通期売電収入:約2.2億円見込)などが通期で連結業績へ寄与することになる。また、神戸発電所(同9月、75百万円)、蔵波太陽光発電所(同11月、48百万円)、長嶺ソーラーファーム(同11月以降、170百万円)などの発電所が新たに系統連系する予定となっている。M&Aで発電所をさらに新規取得できれば、上乗せ要因となる。2022年12月以降には、大型発電所となる大和町・大衡村太陽光発電所(年間想定売電収入5.3億円)が稼働予定であるなど、今後の稼働状況を考慮すると、2022年6月期以降の売電収入は20億円超が射程圏に入っていると同社は説明している。同社は、2030年までに国内外を合わせて1GW規模の発電所を保有することを目標として掲げているため、ストック型モデルの課題としてビジネスモデルの移行期から初期実現の段階をスムーズに脱し、成長過程を築いていくことがカギになるとしている。海外事業では、各国のコロナ禍に関するリスク管理を適切に行いつつ、カンボジアにおいては受注済みのJCM案件を推進し、ベトナム、台湾も含めて日系または現地企業との合弁等の手法による太陽光発電プロジェクトの参画を進めていく計画で、これらもストック型モデルの成長要因となる。そのほか、太陽光パネルやPCS、蓄電池などの物販事業についても国内外で展開していく予定となっている。また、新規事業として風力発電所開発や非FIT型ビジネスモデル(PPAモデル)、自家消費型太陽光発電(蓄電池設置含む)、省エネルギーに係る各種サービスの提供を行うESCO事業等において、ワンストップソリューションを形成する強みを生かして、着実に事業を進めていく方針だ。さらに、2021年6月に設立したバーディフュエルセルズでは、未来の新エネルギーとして期待されている水素エネルギー貯蔵システムの開発を企図した開発投資を実行していく計画となっている。大手企業で水素貯蔵技術の開発に携わっていた博士号を持つ開発責任者を招聘し、今後数年で研究開発費を投じて実用化を目指していく。また、同年3月に設立したPV Repowerでは、太陽光パネルのリユース・リサイクル等に係る事業を新たに開始した。今後増加が予想される太陽光パネルの廃棄抑制と有効活用を図ることで、循環型社会の形成を通じた脱炭素社会の実現に貢献していく方針だ。(2) 太陽光パネル製造事業VSUNにおける第3工場の設備投資により生産能力は2.6GWの規模となり、同社の説明では、今後2030年(年間)製造目標8GWを中長期の事業目標としている。従前の欧州向けのほか、米国向けの販売をさらに強化させるとともに、脱炭素化の流れが欧米からアジア諸国にも広がりを見せていくと予測されることからアジア向けも良好に推移するものと予測される。このような需要増に対しては、VSUNの稼働状況を見計らいつつ、今後も計画的な生産能力の拡大が続くと同社は説明している。ベトナムでは、コロナ禍が続くなかで政府による外出規制が懸念されるなど、依然その影響を少なからず受けていることも考慮のうえ、太陽光パネル製造事業の業績を見込んでいるもようである。ただ、欧米市場で太陽光パネルの需要が旺盛な状況に変わりはないことから、コロナ禍が収束し生産や物流体制が完全に正常化すれば、計画を上回ることも十分期待される。収益性の向上施策としては、関税負担のないASEAN地域での販売拡大や生産工程のカバーエリアの拡大などが挙げられるが、中長期的なビジネス機会を捉えていくことが中長期的な成長要因と考えられる。(3) IT事業IT事業では引き続きホワイトカラーの生産性と価値創造力の向上を支援するソフトやシステム等を提供していく方針で、グリーンエネルギー事業やヘルスケア関連事業とも連携を図りながら増収増益を目指していく。主なサービスラインには、調整・調査などの付加価値の低い業務から意思決定・進捗管理等の付加価値の高いコア業務へ誘導するホワイトカラーの生産性向上サービス、国内市場の縮小・少子高齢化等を原因とした国内労働人口の減少に対し働き方改革に関わるソリューションを提供していく。また、事業規模の拡大に向けたM&A等も検討課題となっている。(4) 光触媒事業光触媒事業では新型コロナウイルス感染対策として、抗菌・抗ウィルス製品「blocKIN」シリーズの開発や販路拡大を図る一方で、メーカー施工のほか「光触媒LIFE」事業によるFC加盟・代理店の拡大により拡販を推進していく。医療機関、介護施設、学校施設をはじめ、ホテル、飲食店等の幅広い業態への活用を促進していくほか、社会的ニーズに応える新製品の開発にも取り組んでいく方針だ。当面の課題としては、理工系人材の獲得と設備投資が挙げられる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <EY> 2021/09/29 16:08 注目トピックス 日本株 エーバランス Research Memo(7):VSUNの連結化やビジネスモデル転換により総資産が増加 ■業績動向2. 財務状況と経営指標Abalance<3856>の2021年6月期末の財務状況を見ると、VSUNの連結化や発電所の建設、自社保有化などを主因として総資産は前期末比24,624百万円増加の39,388百万円となった。このうち流動資産の増加は13,984百万円となり、主な内訳としては現金及び預金が3,512百万円の増加、商品及び製品が6,234百万円の増加となり、一方で太陽光発電所の販売用不動産が1,170百万円の減少、未成工事に伴う仕掛品が288百万円の減少となった。固定資産は10,641百万円の増加となった。主にVSUNの子会社化と太陽光発電所の保有増に伴って、有形固定資産が9,672百万円増加したことによる。負債合計は34,611百万円となり、前期末比22,005百万円の増加となった。このうち流動負債の増加は19,467百万円となり、主な内訳としては発電所の開発等により買掛金が4,067百万円の増加、短期借入金が5,799百万円の増加、未払金が3,556百万円の増加、前受金が3,065百万円の増加となった。固定負債の増加は2,538百万円となり、主に長期借入金が2,511百万円増加したことによる。純資産は4,777百万円となり、前期末比2,618百万円増加した。これは親会社株主に帰属する当期純利益の計上537百万円や連結範囲の変更に伴う剰余金が1,162百万円増加したほか、非支配株主持分が694百万円増加したこと、新株の発行により224百万円増加したことなどによる。経営指標を見ると、自己資本比率は前期末の14.2%から10.2%に低下した。太陽光発電所の自社保有を進めたことにより総資産や有利子負債が増加したことが主な要因となっている。ただ、中長期的には自社保有発電所の積み上げで売電収入を拡大させ、その収益を再投資に振り向けていく好循環を作り出す体制を構築すること、またVSUNの収益成長等もあって財務内容の改善が進むものと予想される。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <EY> 2021/09/29 16:07 注目トピックス 日本株 エーバランス Research Memo(6):2021年6月期業績はVSUNの新規連結効果により大幅増収増益を達成 ■業績動向1. 2021年6月期の業績概要Abalance<3856>の2021年6月期の連結業績は、売上高で前期比302.8%増の26,901百万円、営業利益で同276.5%増の1,361百万円、経常利益で同315.6%増の1,269百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同154.4%増の537百万円と大幅な増収増益となった。第2四半期よりVSUNを連結子会社として取り込んだことが主因で、2021年2月に発表した会社計画に対しても売上高、各利益ともに上振れて着地し、過去最高業績を大きく更新した。2021年5月以降、ベトナムでコロナ禍による政府の外出規制導入の影響で工場稼働や製品出荷に一部影響を与えたが、工場敷地内に従業員を常駐させるなど対処し、影響を最小限に食い止めている。なお、親会社株主に帰属する当期純利益の増益率が経常利益に対して低く見えるのは、VSUNの子会社化に伴い非支配株主に帰属する当期純利益が前期の5百万円から394百万円に増加したことが要因となっている。VSUNの連結業績への影響額は売上高で21,013百万円、営業利益で731百万円となっており、VSUNの太陽光パネル製造事業を除く既存事業ベースで見ると売上高は前期比11.8%減の5,888百万円、営業利益は同74.5%増の630百万円となっている。同社はグリーンエネルギー事業において太陽光発電所の施工・販売によるフロー型ビジネスから、太陽光発電所を自社保有し、売電収入をベースとしたストック型ビジネスへと転換を進めており、2021年6月期はその過渡期にあたり減収要因となった。一方、営業利益に関しては、売電収入の増加や前期に損失を計上したIT事業や光触媒事業も含めて収益性が改善し、2ケタ増益を達成している。(1) グリーンエネルギー事業グリーンエネルギー事業の売上高は前期比15.0%減の5,311百万円、セグメント利益は同23.1%増の1,005百万円となった。同社グループでは、安定収益確保のためWWB、バローズを主体として発電所の販売を継続しながら、完工後も継続保有するストック型へビジネスを転換させ、宮之浦太陽光発電所、湖西市太田ソーラーパーク、高梁太陽光発電所、勝間太陽光発電所、風力発電所などから売電収入を収受している。2021年6月期中には、花畑太陽光発電所の一部区画(2020年11月連系、初年度通期売電収入:約1.5億円見込)、角田市太陽光発電所(2021年3月連系、初年度通期売電収入:約7.5億円見込)、福島市大波太陽光発電所(同6月連系、初年度通期売電収入:約2.2億円見込)のほか、M&Aにより神戸市所在の発電所権利を取得している。既に安定収益化しているO&M事業では、落雷対策で効果のあるアース線配線や、施設内カメラの設置によるセキュリティの確保、RPAシステムを通じた異常点探知等のシステム提案等が評価されており、年間売上高で数億円規模と着実に実績を積み上げている。また、海外事業においては、ベトナム、台湾、カンボジア等、東南アジア諸国の旺盛な電力需要に対してグリーンエネルギーを供給するため、現地企業との合弁等により事業参画している。また、環境省が実施した2019年度「二国間クレジット制度(Joint Crediting Mechanism:JCM)資金支援事業のうち設備補助事業」の公募案件の採択を受け、カンボジア国内における太陽光発電(1MW)とバイオマス発電(0.5MW)を併設したハイブリッド発電設備の整備プロジェクトを推進していく予定になっている。コロナ禍の影響により海外渡航制限などが続いていることから、海外事業については目立った進捗はないものの、今後もリスク管理を適切に行いながら現地企業との合弁や、JCMを通じたプロジェクトに積極的に参画し、海外事業を拡大していく方針となっている。そのほか、物販事業として太陽光パネルやPCSなど太陽光発電設備の販売や、災害時の非常用電源等に利用可能なポータブルバッテリー「楽でんくん」、産業用及び住宅用蓄電池の販売などを推進したほか、新規事業として陸上の小型風力発電所を2020年3月に北海道檜山エリアにて11機稼働させている。(2) 太陽光パネル製造事業太陽光パネル製造事業は売上高で21,013百万円、セグメント利益で731百万円を計上した(2020年10月~2021年6月までの9ヶ月間の業績)。グリーンエネルギーの世界的な需要拡大を受け、欧州向けに加えて近年は米国向けの販売も拡大傾向にある。世界の太陽光パネル市場はその上位を中国企業が占めるなかで、VSUNは日系最大の太陽光パネルモジュールメーカーとして同社によると世界上位16位となっており、今後も積極的な能力増強を進め、事業規模を拡大していく方針となっている。2021年7月には第3工場新設に伴う設備投資の実行により稼働を開始している。設備投資額は約13億円で年間生産能力1GWとなり、能力増強後は2.6GWの能力に拡大した。第3工場では主に日欧米向けで需要が見込める最先端パネル(1枚のパネルで発電能力500W以上、または600W以上の製品)を製造する予定となっている。ベトナムでは、2021年5月以降にコロナ禍によりベトナム政府及び地方行政当局による外出自粛令などの拡散防止策が発出され工場稼働・製品出荷に影響を生じたが、同社グループとしての継続的なサポートや対策などにより連結業績の大きなけん引役となった。(3) IT事業IT事業の売上高は前期比5.2%増の61百万円、セグメント利益は16百万円(前期は40百万円の損失)となった。ナレッジ(情報・知識・経験)の共有や業務プロセスの再構築を通じた労働生産性の向上ツールとなる「Knowledge Market®」やMicrosoft 365を活用したDX支援サービス、その他RPA製品やIoTを活用した各種サーベイ調査の収集支援等を実施した。またグリーンエネルギーの供給やRE100推進等に関連したSDGsを志向する企業や自治体等からのニーズについては、グリーンエネルギー事業、ヘルスケア関連事業との連携を図りつつ事業を推進している。(4) 光触媒事業光触媒事業の売上高は前期比57.0%増の177百万円、セグメント利益は32百万円(前期は6百万円の損失)と2019年1月に子会社化して以降、初めて黒字を計上した。売上高は新型コロナウイルス感染症対策としてニーズが増している抗菌・抗ウィルス製品「blocKIN」の商品ラインナップ拡充を図ったことや、「光触媒LIFE」事業をさらに推進し、コーティング施工事業者のFC加盟・代理店数の拡大を図ったことが増収につながった。第4四半期には北海道のホテルから光触媒施工を受注し、収益増に貢献した。(5) その他その他には建機販売事業が含まれており、売上高は前期比38.1%増の355百万円、セグメント損失は54百万円(前期は49百万円の損失)となった。国内建機供給にとどまらず、バングラデシュや中国などのインフラ整備事業などへのレンタル事業を強化したことにより増収となったものの、収益改善までには至らず損失計上が続いた。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <EY> 2021/09/29 16:06 注目トピックス 日本株 エーバランス Research Memo(5):主要各国で脱炭素化に向けた動き。同社の収益成長を図るうえで大きな追い風に ■業界環境地球温暖化が原因とされる異常気象による自然災害が世界各国で頻発するなか、世界の主要各国で脱炭素化に向けた具体的なアクションプランが発表され、グリーンエネルギー社会の実現に向けて、再生可能エネルギーの導入が中長期的に進む見通しとなっている。こうした市場環境は、グリーンエネルギー事業、太陽光パネル製造事業を展開するAbalance<3856>にとっては、収益成長を図るうえで大きな追い風になるものと考えられる。日本政府は成長戦略の柱に経済と環境の好循環を掲げ、グリーンエネルギー社会の実現に最大限注力するとして、2050年カーボンニュートラルを世界に向けて宣言した(2020年10月26日)。地球温暖化への対応は経済成長の制約ではなく、積極的な温暖化対策が産業構造や経済社会の変革をもたらし、成長の活力になるとしている。日本政府では、2030年度までに温暖化ガスの排出を2013年度比で46%削減する目標を2021年4月に発表し、同年5月には改正地球温暖化対策推進法が成立した。同法律では、カーボンニュートラルについて、「50年までの実現」を条文に明記し、再生可能エネルギー促進特区を設定して太陽光・風力発電の導入を拡大していく方針を示した。資源エネルギー庁が2021年7月に発表した第6次エネルギー基本計画(素案)によれば、2030年度の電源構成について、再生可能エネルギーの導入比率目標を2019年度の18%から36~38%と従来目標(22~24%)を上方修正し、目標計画を達成するためには、太陽光の自家発電利用での導入促進や風力発電の強化が必要になるとの考えを示し、今後の市場拡大が見込まれる。一方、海外でも欧州ではカーボンニュートラルの実現に向けて、今後10年間で官民合わせて1兆ユーロの投資を行うことが発表されているほか、米国でもバイデン政権が2030年までにCO2排出量を2005年比で50~52%削減することをコミットした。従来は2025年までに26~28%の削減目標を示していたが、目標を2倍近くに引き上げたことになり、米国においてもさらに再生可能エネルギーの市場拡大が期待できる環境となっている。また、中国においても2060年のカーボンニュートラル宣言を発表しており、再生可能エネルギーへの取り組みは今後も世界的に活発化する見通しとなっている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <EY> 2021/09/29 16:05 注目トピックス 日本株 エーバランス Research Memo(4):グローバルに展開できるワンストップソリューションが強み ■Abalance<3856>の会社概要4. 同社グループの強み(1) ワンストップソリューション太陽光発電は裾野が広くサプライチェーンも長いため、発電設備一式を1社で用意することは業界では困難とされている。自社で提供可能な製品・サービスを峻別したうえで、技術や販売面で提携できるパートナーを模索するのが一般的だが、同社グループでは企画から発電システムの調達、設計・工事請負、運用・保守までワンストップソリューションで提供することができる。また、VSUNの子会社化によりベトナムに太陽光パネルの製造機能が加わったほか、今後は太陽光パネルの大量廃棄問題に対する貢献を果たすため、パネルのリユース・リサイクル事業も展開していく。(2) 独自のシナジー効果近年加速させているグリーンエネルギー事業の海外進出を可能としたのは、建機販売事業で長年培ってきた海外進出ノウハウの活用にあり、WWBの持つ幅広い海外ネットワークは他社にはない強みと言える。そのほか、太陽光発電所の稼働・発電データの活用や、現地の状況を適時に把握するための遠隔監視装置のノウハウはIT事業から生まれている。各事業間のシナジーは同社独自のもので他社にはない強みとなる。(3) 持続可能な投資循環サイクル売電収入による安定収益の確保を企図する太陽光発電所の自社保有による売電収入は今後も増加が続く見込みであるほか、O&M(管理実績は累計1,000件以上)からの管理報酬も中長期的な安定収益源であり、それらから生まれるキャッシュ・フローを原資として、発電所開発への投資や海外投資を行っていく。こうした持続可能な投資循環サイクルの形成は、中長期的な企業価値の向上に寄与するものと考えられる。(4) 収益源の地域分散化グリーンエネルギー事業、太陽光パネル製造事業、建機販売事業については国内のみならず海外で幅広く事業を展開している。太陽光発電の国内での自社保有化による拡大に加えて、アジアを中心とする海外事業拡大のための先行投資を積極的に行っていることは収益源の地域分散化につながり、将来の収益獲得の大きな原動力となるほか、カントリーリスクや為替リスクのヘッジに寄与することになる。(5) 商品開発力WWBで開発した折り畳み式軽量モジュールとセットしたポータブルバッテリー「楽でんくん」は、折り畳み式太陽光パネルを搭載し、野外での充電が可能なほか、スマートフォンの利便性などを考慮して、充電しながら利用可能な点も特徴となっている。バッテリーは中国製リチウムイオン電池を搭載し、品質だけでなく価格面での優位も併せ持つ。また、日本光触媒センターで開発したスプレー型光触媒抗菌・抗ウィルス液「blocKIN」は、主成分である酸化チタンの光触媒機能を活用し、光の照射によってあらゆる菌・ウィルス、有害な有機化合物を酸化分解し、たばこなどの嫌な臭いも取り除く効果があるほか、効果の持続性もあることが特徴で強みとなっている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <EY> 2021/09/29 16:04 注目トピックス 日本株 エーバランス Research Memo(3):「グリーンエネルギー事業」と新たな「太陽光パネル製造事業」を両輪とする ■Abalance<3856>の会社概要3. 事業内容同社グループは、グリーンエネルギー事業と新たに加わった太陽光パネル製造事業を両輪に、再生可能エネルギーの総合カンパニーを形成している。2021年6月期の事業セグメント別構成比で見ると、第2四半期から新たに加わった太陽光パネル製造事業が売上高で78.1%、セグメント利益で42.2%を占め、主力事業の1つとなっている。グリーンエネルギー事業については、売上高で19.7%と2番目の規模となるが、セグメント利益では58.1%と過半を占めている。(1) グリーンエネルギー事業同社グループでは、ソーラー発電に関する企画・開発から施工、O&M※1までを一貫して行う垂直統合型のワンストップソリューションを展開しており、近年ではストック型ビジネスモデルへの移行を目的に、発電所の自社保有化による売電収入の拡大を推進している。そのほか、ソーラーパネル及び関連商材(パワーコンディショナ(以下、PCS)、蓄電池等)の仕入販売やソーラー発電所の販売(中古案件含む)なども行っている。2021年3月には太陽光パネルのリユース・リサイクル事業を開始すべくPV Repowerを新設し、パネルの廃棄抑制と有効活用により今後の事業拡大を進める方針としている。また、エネルギー需要が旺盛な東南アジア圏や台湾などで現地企業との合弁等により、EPC事業※2やIPP事業※3なども行っている。※1 O&M(オペレーション&メンテナンス):太陽光発電設備等の保守・管理サービス。データ解析を含む日常的な発電状況の把握及び監視、並びに定期点検を通じた設備性能の維持、事故の早期発見、部品・機器の交換等を適時実施している。※2 EPC事業とは、設計(Engineering)、調達(Procurement)、建設(Construction)を含む、プロジェクトの建設工事請負事業のこと。※3 IPP(Independent Power Producer)事業とは、自らが所有する発電設備で作った電力を電力会社に卸売する事業を指す。顧客は、ソーラー発電所を保有する国内外のIPP事業者のほか、住宅用ソーラーパネル及び関連商材の卸販売会社や一般事業会社及び公共団体等(ソーラーパネル設置工事)となる。ソーラーパネルは、自社ブランド「Maxar®(マクサ)」を販売している。マクサブランドのパネルは性能、価格面ともに大手中国メーカー製と遜色はなく、変換効率が上回る製品もラインナップしている。PCSについては信頼性の高い大手メーカーから、蓄電池については自社の開発チームで中国大手メーカーと共同開発している。ソーラー発電所の建設エリアとしては、東北から千葉圏を中心とする関東エリアのほか、近畿並びに九州エリアとほぼ全国的に展開しており、東日本エリアはWWB、九州エリアはバローズが主に手掛けている。そのほか新規事業としてWWBが、北海道檜山エリアにおいて風力発電所(陸上・小型)の初期開発を行い、2020年3月より売電を開始している。蓄電池事業についても、産業用・家庭用蓄電池に参入する構えで、これに先駆けて折り畳み式軽量モジュールとセットしたポータブルバッテリー「楽でんくん」を自社開発し、2019年10月より販売を開始している。さらに、断続的グリーンエネルギーの平準化を目的としたグローバルイノベーション企業としてバーディフュエルセルズを新規設立し、未来の新エネルギーとして期待される水素エネルギー貯蔵システムの開発を進める計画である。(2) 太陽光パネル製造事業太陽光パネル製造事業は、2021年6月期第2四半期(2020年10月~12月)から新規連結化したベトナムの太陽光パネルモジュールメーカーであるVSUNの事業となる。VSUNはFUJI SOLAR傘下の会社として2015年6月に設立され、日本の技術者のノウハウを注入しながら育成し、今や生産能力で2.6GWと同社によれば世界上位16社に入る日系では最大の太陽光パネル製造メーカーに成長した。VSUNは主に欧州向けの輸出で伸びてきたが、最近では米国市場への開拓も進み、販売を大きく伸ばしている。2021年8月には、サプライチェーンを主体とするCSR、サスティナビリティの世界的な評価機関のEcoVadisより、2021年度Bronze Medalを受賞した。業績は創立以来の急成長を続けており、今後、ベトナム株式市場でのIPOを早期に実現すべく、現地当局や証券会社と協議を進めている。資本構成について見ると、同社の100%子会社であるWWBのFUJI SOLARに対する出資比率は51%、FUJI SOLARのVSUNに対する出資比率は84.85%であるため、実質的な持分比率は約43%となり、残りは非支配株主持分となる。VSUNがIPOしたとしても連結子会社として維持できるように、同社は対応を進めていく予定としている。(3) IT事業IT事業は、子会社のAbitで企業の業務効率化を支援する情報共有・ナレッジマネジメントツール「Knowledge Market®」の販売のほか、マイクロソフトのコラボレーションソフト「SharePoint」等のライセンス販売、導入支援サービスを展開している。近年はIoT、RPA、AI等の成長分野にフォーカスしているほか、IT技術を生かしてソーラー発電所向けの遠隔監視システムの開発なども行っている。(4) 光触媒事業光触媒事業は、子会社の日本光触媒センターで光触媒酸化チタンコーティング剤とそれを利用した製品の製造販売等を主に事業展開している。光触媒とは、太陽光や蛍光灯などの光エネルギーが当たると、その表面で触媒反応による酸化分解が起き、有害な微生物や化学物質を分解・除去する作用のことを指す。この原理を活用して、対象物に光触媒酸化チタンコーティング剤を塗布することで、防汚機能、大気浄化機能、空気浄化・脱臭機能、シックハウス対策機能、抗菌・抗カビ・抗ウィルス機能などの効果を持たせることが可能となる。こうした光触媒の作用を活用して、建物や店舗の外壁・フロント、病院・福祉施設の室内、トイレ・バスルームなどの建材向けに販売してきたが、コロナ禍によって、光触媒効果の1つである抗菌・抗ウィルス機能が注目されたことで、日本光触媒センターも感染症対策製品として、抗菌・抗ウィルス製品「blocKIN(ブロッキン)」の販売を2020年3月より開始し、銀イオン(Ag)を配合したハイライン製品「blocKIN HYPER(ブロッキンハイパー)」も市場投入するなど、ラインナップを充実させている。また、医療機関や介護医療施設、ホテル、学校、保育園、公共施設、食品加工工場、レストラン、カラオケボックスなど各種施設向けに抗菌・抗ウィルス施工サービスを行う「光触媒LIFE」事業を2020年に立ち上げ、販売代理店やフランチャイズ(以下、FC)展開を開始しており、現在100社以上の代理店またはFC契約を締結している。日本光触媒センターの光触媒溶液の主原料は水と酸化チタンであり、化学物質を含まない独創的技術性により高い抗菌・抗ウィルス効果、脱臭性、持続性などを強みとする。(5) その他その他事業として、WWBにおいて建設機械の販売・レンタルリースを国内及び東南アジアで展開している。中古建機の取り扱いで強みを持ち、中国の世界的建機メーカーである三一重工やサンワードの正規代理店となっている。顧客は国内外の建設会社や土木工事会社、物流関連会社、輸出入販売会社等である。ここ最近では、東南アジアのODAプロジェクトで現地に進出している日系ゼネコン会社向けの受注を獲得しているほか、ソーラー発電プロジェクトの建設現場で利用するなど、事業間の連携も進んでいる。三一重工は、WWBを通じて東京港・大井5号コンテナターミナル(CT)にトップリフター3基を納入し、今後は年10~15台のペースで日本国内において製品販売を行う計画としている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <EY> 2021/09/29 16:03 注目トピックス 日本株 エーバランス Research Memo(2):IT企業から再生可能エネルギーの総合カンパニーへ ■会社概要1. 会社沿革Abalance<3856>は2000年4月にインターネットサービスの開発・運営、並びに企業向けナレッジマネジメントソリューションの提供を目的にIT企業として発足した。2007年9月に東証マザーズ市場(現在は東証第2部)に上場、調達した資金で海外のIT企業を買収し事業拡大を目指したが、2008年秋のリーマンショックによる業績悪化に伴い、海外のIT事業については2011年6月までにすべて売却した。2011年11月に、建設機械の仕入販売やグリーンエネルギー事業を行っていたWWB(株)を株式交換により完全子会社化したのを契機に、その後はグリーンエネルギー事業を中心に推進していくこととなった。2017年3月に太陽光発電所の分譲販売事業を展開する(株)バローズを完全子会社化したほか、2019年1月にはWWBが光触媒酸化チタンコーティング剤及び関連製品の開発、製造販売を行う(株)鯤コーポレーション(現 日本光触媒センター(株))を子会社化した。また、2019年10月には、IT事業特有の市場変化への柔軟な対応等を企図し、同社の一事業として行っていたIT事業を分社化、Abit(株)を設立し、さらに、2020年11月には持分法適用関連会社であったFUJI SOLAR(株)を連結子会社化したことにより、その子会社であったベトナムの大手太陽光パネルモジュールメーカーのVSUNが連結対象子会社となった。直近では、2021年3月に太陽光パネルのリユース・リサイクル市場への進出を目的にPV Repowerを新設したほか、同年6月には水素エネルギー貯蔵システムの開発を目的にバーディフュエルセルズを新設し、グリーンエネルギー市場における事業領域の拡大を進めている。2022年4月より東京証券取引所も新市場区分が導入されることで、同社はスタンダード市場でスタートするが、人材採用力の強化や中長期的な企業価値の向上につながるプライム市場入りの実現を目指していく。なお、Abalanceの頭字の「A」には、「Ace」「All」「Action」の総称として「プロとして最高を目指し(Ace)、顧客を含めすべてのことに広く貢献するために(All)、事業活動を行い顧客とともに社会的価値を創り続けていく(Action)」という意味が込められている。「balance」は「調和」を意味し、同社グループの各事業の調和を最大限に図りつつ、すべてのステークホルダーが、同社グループとの間において実質的に公平に便益を享受し、有機的な調和を構築・維持できるようになることを目指すという決意を映している。また、グローバルな事業展開を目指して行く決意を含めるため、アルファベット表記としている。ESG視点を持ち、事業を通じてSDGsへ貢献2. ESG・SDGsへの取り組み企業の長期成長性を判断する指標として、近年ESG(環境対応・社会責任・企業統治)が注目を集めている。地球環境や地域・国際社会、ステークホルダーへの価値提供により企業を評価し、いかに持続的に成長できるかを推測しようとする国際基準で日本企業も評価されている。ESGへの取り組みは同社グループの理念に合致するものであり、経営戦略へ積極的にESG視点を取り入れるとともに、SDGsの専門家を社外役員として招聘している。グリーンエネルギー事業は、持続可能な脱炭素化社会の実現を企図したものでSDGsの潮流に沿っている。2030年までに国内と海外を合わせて発電能力で1GW(=1,000MW、原子力発電所1基分に相当)の発電所を保有する目標を立て、地球温暖化防止のためCO2削減に貢献することを掲げている。グリーンエネルギー事業の推進は、SDGs7(エネルギーをみんなに そしてクリーンに)、SDGs11(住み続けられるまちづくりを)、SDGs13(気候変動に具体的な対策を)への貢献と見ることができる。また、海外事業では、ベトナムのホーチミン付近における太陽光発電所建設のほか、東南アジア諸国における現地の電力需要に応える複数プロジェクトを手掛けている。東南アジアにグリーンエネルギーを届けることは、地域のインフラや社会生活を支える重要な国際貢献の意義を持っている。都市部を離れた地域によっては日が沈むと闇に包まれてしまう環境があり、そうした地域にもグリーンエネルギーの光を届けたいと同社は説明している。WWBは新製品の開発にも定評がある。農業と発電事業を同時に行うことができ、農地に支柱、地上空間に太陽光発電設備を設置するソーラーシェアリングの手法は、農業経営の安定化や後継者の育成のほか廃農地の解消にも貢献する。また、近年、頻発する大型台風による風雨災害とそれに伴う停電の発生を受けて、災害時の家庭用電源の利用に最適な折り畳み式軽量モジュールとセットしたポータブルバッテリー「楽でんくん」を自社開発している。災害対策に取り組む自治体などから有事に備えての引き合いが増えており、熊本県人吉市、宮崎県小林市、えびの市、宮城県角田市、福島県本宮市等へ寄贈も行っている。SDGsが広まりを見せる以前から、同社グループはWWBを中心にそれに根差す活動を行っている。2011年3月に発生した東日本大震災の福島第一原発事故の際には、三一重工(SANY)※製の大型コンクリートポンプ車(通称:大キリン)の寄贈協力を行った。緊急時に利用するため、福島第一原子力発電所の構内に保管され、現在も使用可能な状態にある。車両やすべてのパーツが正しく作動するかなどについても、WWBはメンテナンス作業やパーツ交換などを無償で対応している。※三一重工は、米キャタピラーやコマツ等と競合する中国の世界的建設機械メーカー。WWBは日本における正規代理店となっている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <EY> 2021/09/29 16:02 注目トピックス 日本株 エーバランス Research Memo(1):2021年6月期業績はVSUN連結化により過去最高業績を更新 ■要約Abalance<3856>グループは、ESG・SDGsを推進する再生可能エネルギーの総合カンパニーである。主力の太陽光発電に関しては企画・開発から施工・販売・保守・売電まですべてを手掛け、2030年の保有発電容量1GWを目指している。2020年11月にはベトナムの大手太陽電池パネルモジュールメーカーであるVietnam Sunergy Joint Stock Company(以下、VSUN)を子会社化し、大きく業容を拡大している。今後も風力発電や自家消費型太陽光発電、太陽光パネルのリユース・リサイクル事業、水素エネルギー貯蔵システムの開発などグリーンエネルギーの事業領域拡大とグローバル展開を推進し、高成長を目指していく。VSUNの太陽光パネルの生産能力について同社は2.6GWと世界上位16社に入る日系では最大メーカーになったとしている。主要販売地域は欧米となるが、今後はベトナム現地法人として関税減免の恩恵があるASEAN地域や日本での販売拡大も見据えて生産能力を2030年に8GWまで拡大していく計画を立てており、連結業績をけん引していくものと期待される。ベトナム株式市場への早期IPOに向けた準備を進めているが、株式上場後も同社グループとの連結を維持していく方針だ。また、2022年4月より東京証券取引所も新市場区分が導入され、同社はスタンダード市場でスタートするが、人材採用力の強化と企業価値の向上につながるプライム市場入りの早期実現を目指していく。1. 2021年6月期業績概要2021年6月期の連結業績は、売上高で前期比302.8%増の26,901百万円、営業利益で同276.5%増の1,361百万円、経常利益で同315.6%増の1,269百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同154.4%増の537百万円と大幅増収増益となり過去最高業績を更新した。2021年6月期第2四半期よりVSUNの業績が連結に組み込まれたことにより、売上高で21,013百万円、営業利益で731百万円の上乗せ要因となったことが主因だ。既存事業に関してはグリーンエネルギー事業のビジネスモデルを太陽光発電所の販売(フロー型ビジネス)から保有による売電収入(ストック型ビジネス)に軸足を移していることで、売上高は前期比11.8%減の5,888百万円となったものの、営業利益に関しては同74.5%増の630百万円と2ケタ増益を達成している。2. 今後の見通し及び成長戦略について2022年6月期の連結業績は、売上高で前期比30.1%増の35,000百万円、営業利益で同2.9%増の1,400百万円、経常利益で同12.6%増の1,430百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同59.6%増の858百万円を見込む。地球温暖化対策として再生可能エネルギー導入への取り組みが世界的に進むなかで、同社にとって市場環境は追い風が続くが、コロナ禍の収束がいまだ見えないことから業績計画ではこうしたリスクを考慮した保守的な計画となっている。グリーンエネルギー事業は、2ケタ増収増益となる見通しで、2022年6月期も太陽光発電所の分譲販売を継続しつつ、発電所の自社保有化並びにM&Aによる新規取得を積極的に推進していく方針だ。2022年12月以降には、大型発電所となる大和町・大衡村太陽光発電所(年間想定売電収入5.3億円)が稼働予定となるなど、来期以降の売電収入は20億円超を射程圏に捉えている。新規事業としては、風力発電所開発や非FIT型ビジネスモデル(PPAモデル※1)、自家消費型太陽光発電(蓄電池設置含む)、省エネルギーに係る各種サービスの提供を行うESCO事業※2等において、ワンストップソリューションを形成する強みを生かして、着実に事業を進めていく。2021年6月に新規設立のしたバーディフュエルセルズ(合)では、水素エネルギー貯蔵システムの開発を企図した開発投資を実行していく計画のほか、2021年3月に新設したPV Repower(株)では、太陽光パネルのリユース・リサイクル等に係る事業に着手する。※1 PPAモデルとは、「Power Purchase Agreement(電力販売契約)モデル」の略で、電力の需要家がPPA事業者に敷地や屋根などのスペースを提供し、PPA事業者が太陽光発電システムなどの発電設備の無償設置と運用・保守を行い、需要家からの売電収入によって収益を獲得するモデル。※2 ESCO(Energy Service Company)事業とは、顧客に省エネルギー効果をもたらす改修などのサービスを提供し、削減した分の費用から賄う形態のこと。太陽光パネル製造事業では、従前の欧州向けのほか米国向けの販売をさらに強化させるとともに、脱炭素化の流れが欧米からアジア諸国にも広がりを見せていくと予測される。ベトナムでは、コロナ禍が続くなかで政府による外出規制が懸念されるなど、依然その影響を少なからず受けていることも考慮のうえ、太陽光パネル製造事業を行っているVSUN(Vietnam Sunergy Joint Stock Company)の業績を見込んでいるもようである。ただ、欧米市場で太陽光パネルの需要が旺盛な状況に変わりはないことから、コロナ禍が収束し生産や物流体制が完全に正常化すれば、計画を上回ることも十分期待される。■Key Points・「グリーンエネルギー事業」と新たに加わった「太陽光パネル製造事業」を両輪とした再生可能エネルギーの総合カンパニー・2021年6月期業績はVSUNの新規連結効果により大幅増収増益を達成・2022年6月期業績はコロナ禍が続くなか保守的な計画を策定・再生可能エネルギーの世界的な需要拡大を成長機会と捉え、積極的な事業展開を進めていく方針(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <EY> 2021/09/29 16:01 注目トピックス 日本株 新興市場銘柄ダイジェスト:NaITOは大幅に反落、ベストワンドットが大幅に4日続伸 <4375> セーフィー 3350 -公開価格(2430円)を37.9%上回る3350円で初値を付けた。会社設立は14年10月23日。事業の柱はクラウド型映像プラットフォーム「Safie」の開発・運営。21年12月期の営業損益予想は4.54億円の赤字(前期実績は1.19億円の赤字)。監視カメラ需要に加え、遠隔業務管理の需要の高まりで新規導入案件が増加し、売上高は前期比58.9%増の80.20億円に拡大する一方、広告宣伝費や人件費への投資で赤字が拡大する見通し。<7624> NaITO 189 -13大幅に反落。22年2月期の営業損益を従来予想の3.50億円の黒字から4.80億円の黒字(前期実績1.90億円の黒字)に上方修正している。上半期に輸出や生産活動の持ち直しで主力商品の切削工具などが堅調に推移したため。第2四半期累計(21年3-8月)の営業損益は3.03億円の黒字(前年同期実績は0.04億円の赤字)で着地した。ただ、NaITO株は前日に年初来高値まで上伸しており、材料出尽くし感から利益確定売りに押されているようだ。<4881> ファンペップ 404 -7朝高後値を消し、後場にマイナス転換。開発中の抗体誘導ペプチド「FPP003」の物質特許が日本で成立し、特許が付与されたと発表している。抗体誘導ペプチドは化学合成で製造することが可能なため、抗体医薬品に比べ製造コストを抑制できるとされる。FPP003は大日本住友製薬<4506>との共同研究で創製した開発化合物で、豪州で尋常性乾癬を対象疾患とした第I/IIa相臨床試験、強直性脊椎炎を対象疾患とした前臨床試験を進めているという。<2158> FRONTEO 1734 +22大幅に3日ぶり反発。FRONTEOの戦略アドバイザーで東京大学先端科学技術研究センターの玉井克哉教授と経済安全保障リスクが企業に与える影響について共同研究を開始したと発表している。経済安全保障リスクの具体的な内容は、サプライチェーンに見る人権リスク、株主支配関係に見るM&Aリスク、最先端技術情報漏えいの実情など。共同で報告書として公表し、日本企業のリスク対策の推進に寄与することを目指す。<6819> 伊豆シャボテン 104 +13日続伸。子会社の伊豆シャボテン公園(静岡県伊東市)が、ふれあい動物施設「アニタッチみなとみらい」を横浜インポートマート(横浜市)が運営する横浜ワールドポーターズでオープンすると発表している。開業日は10月14日。伊豆シャボテン動物公園でのノウハウをもとに動物の生態を観察してふれあえる屋内施設とする。動物の種類はカピバラ、ワオキツネザル、フェネック、プレーリードッグなど。<6577> ベストワンドット 2900 +306大幅に4日続伸。7月5日に発行した第3回新株予約権のうち、94個(発行総数の10.44%)が権利行使されたと発表している。交付株式数は9400株。未行使の新株予約権は320個となった。大量行使で将来の株式価値の希薄化懸念が後退したことに加え、28日午前に主要取引先でクルーズ運航世界最大手のカーニバルの22年下半期のクルーズ予約が新型コロナウイルス感染拡大前の水準を上回ったと開示したことも引き続き材料視されているようだ。 <ST> 2021/09/29 15:49 注目トピックス 日本株 テックポイント Research Memo(9):監視カメラ向けCMOSイメージセンサーが2022年以降に量産出荷見込み ■テックポイント・インク<6697>が描く売上高の成長イメージ研究開発においては、4K解像度対応のカメラ用センサーで、高解像度の防犯カメラなどに使われる製品で自社開発を進めてきた監視カメラ向けCMOSイメージセンサーが2022年以降に量産出荷となる予定だ。音声対応の半導体は、ドアフォン用に開発が進んでいる。音声対応の半導体は、インドなど様々な地域の顧客から期待されている商品であり、車載カメラ分野では、電子ミラーやカーナビのほか、ドライブレコーダーに向けた新商品も順次ラインナップしてくるだろう。特にCMOSイメージセンサーという、これまでゼロであった事業分野において規模の拡大が見込まれることになる。また、監視カメラのうち、これまではアナログカメラ市場のみを対象にしていたが、CMOSイメージセンサーの投入によって、成長が拡大しているIPカメラ製品にも販売できるようになる。これにより、すべての監視カメラ、監視カメラメーカーが潜在顧客となるためCMOSイメージセンサーが今後同社の成長性を高めることが見込めると弊社では考えている。なお、同社の描く戦略には、監視(防犯)カメラシステム及び車載カメラシステムの世界市場の高い成長予測が背景にある。(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一) <ST> 2021/09/29 15:19 注目トピックス 日本株 テックポイント Research Memo(8):CMOSイメージセンサー投入による事業規模拡大へ ■成長戦略テックポイント・インク<6697>は今後の成長戦略として、トータルソリューションの提供に努める方針だ。監視カメラシステム向け半導体では、将来的に、CMOSセンサーまで含め、半導体とセンサーを一気通貫供給できる業界唯一の存在を目指している。そうした優位性を確立したうえで、さらに競争力を強化し、市場占有率を一挙に高めていく考えだ。また、車載カメラシステム向け半導体では、リア・ビューカメラやサラウンド・ビュー用途から、ドライブレコーダーや電子ミラーに用途を拡大させ、先進運転支援システム(ADAS)の自動車への搭載拡大に併せて、販売数量の増加を目指している。トータルソリューション例としては、車載カメラ、ドライブレコーダーのトータルソリューションの同社推計による2030年の市場規模は1,605億円※と見ている。内訳としてはイメージセンサーが4億台として600億円※、ISP(画像処理プロセッサー)が4 億台として600 億円※、魚眼補正はISPに内蔵、Tx(送信)はISPに内蔵となる。電子ミラーは運転席のほか、サイドミラーの2ヶ所での計3ヶ所となり、Rx(受信)はコントローラーに内蔵、液晶コントローラーは5,000 万台想定で75億円※。サラウンド・ビュー、ドライブレコーダーでは、Rx(受信)は内蔵、サラウンド・ビューは0.2億台で80億円※、H.265ドライブレコーダーは1億台で250億円※、液晶コントローラーは内蔵となる。自動車メーカーの安全対策等における各種センサーの需要が高まっているほか、ドライブレコーダーにおいては間違いなく標準装備されてくると弊社では考えている。さらに、同社は半導体とセンサーを一気通貫に供給できるため、メーカーにとっては様々なメーカーから各部品を取り寄せることなく、完成品をそのまま搭載することができることになり、これが同社の強みの1つであり、需要ニーズが高まることになると考えられる。※便宜上1 米ドル= 100 円で計算(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一) <ST> 2021/09/29 15:18 注目トピックス 日本株 テックポイント Research Memo(7):監視・車載カメラ向け、ともに販売数量増加により大幅増収増益を予想 ■今後の見通し1. 2021年12月期の見通しテックポイント・インク<6697>の2021年12月期の通期業績予想(米国基準)は8月24日に上方修正しており、売上高61,873千米ドル(6,774百万円:前期比80.2%増)、営業利益15,673千米ドル(1,716百万円:同323.8%増)、税引前当期純利益15,704(1,719百万円:同301.0%増)、当社株主に帰属する当期純利益13,369千米ドル(1,463百万円:同300.0%増)となり、大幅な増収増益を見込んでいる。また、Non-GAAP指標(株式報酬費用控除前の当期純利益)は14,886千米ドル(1,629百万円:同222.9%増)を計画。同社では一時的な変動要素と非現金損益項目の中で、株式報酬費用のみをNon-GAAP指標の調整項目としているが、Non-GAAP指標の1株当たり当期純利益が、同社の真の収益力であり、営業成績を直接反映している指標との考えに基づいている。なお、2021年12月期予想は製造上の制約が悪化しないことや、政治的状況が悪化しないこと、さらに新型コロナウイルス感染症が世界経済を大きく損ない同社製品への需要が落ち込むような事態にならないことなど、一定の前提に基づいている。ただし、2021年12月期においては前述のとおり、ファウンドリーの確保による生産見通しの具体化が進んだことにより、通期業績予想を上方修正している経緯を踏まえれば、保守的な計画だと弊社では見ている。また、量産に十分な生産能力をまだ確保できていないことから、戦略製品のCMOSイメージセンサーやドアフォン製品からの収益は含まれていないため、生産キャパシティーが確保される状況ともなれば、弊社としては計画をさらに一段上振れてくる可能性も十分あると考えている。2. セグメント業績監視カメラ向け及び車載カメラ向け半導体はいずれも増収を見込んでいる。車載カメラ向け半導体の売上比率は増加トレンドで推移すると見込んでいるが、2021年12月期は監視カメラ向けの増収率が高まることから、45~50%程度を計画しており、前期(53.1%)からは低下を予想している。3. 研究開発の進捗状況CMOSイメージセンサーについては、画素数が800万画素の4Kカメラ向け製品をサンプル出荷準備中である。その他では、ドアフォン用の半導体製品でハイビジョン対応品を開発している。これら2種の新製品については、開発工程上では2021年12月期下期の量産出荷を計画したが、世界的な半導体生産能力ひっ迫のため、量産出荷は2022年以降となる見込みである。なお、生産能力のリスクは期首予算時から既に予見しており、2021年12月期予算には非計上である。ただし、CMOSイメージセンサーの販売予定先は、既に出荷している監視カメラ向け半導体(送受信用など)を通じて関係が構築されている監視カメラメーカーであり、顧客側から多くの引き合いを受けている製品であるため、生産体制が整えば量産に入り、市場に投入できる競争優位性の大きい製品であると弊社では見ている。また、魚眼補正機能、WDR機能搭載ISPでは、顧客メーカーの量産移行が相次いでいるもようだ。音声対応のTx及びRx用半導体製品が量産出荷中であるほか、液晶ディスプレイコントローラーも量産出荷中となっている。こちらは新製品も開発中である。今後、自動車には複数台のカメラが搭載され、駐車時や走行時の安全性を高める用途に活用されていくだろう。また、ディスプレイコントローラー用半導体である「TP6806L」が、韓国最大級の自動車メーカーの電子サイドミラーに採用されたが、「TP6806L」は同メーカーが販売する新モデルの自家用車に搭載される予定で、搭載予定の車種は、2020年暦年で合計10万台以上の販売実績のあるシリーズの新モデルだという。同製品はほかの車種への拡大を計画。また、メーカー名は公表していないものの、決算説明会において既に「TP6806L」を採用した電子サイドミラー搭載の動きは他社メーカーからも関心が高まっている状況と述べている。(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一) <ST> 2021/09/29 15:17 注目トピックス 日本株 テックポイント Research Memo(6):半導体不足が深刻、キャパ確保が同社の更なる成長に向けたカギに ■事業環境変化の影響テックポイント・インク<6697>の半導体は、大手の監視カメラメーカーや、デジタル・ビデオ・レコーダー(DVR)のメーカーによる採用実績があり、これらの技術を応用して車載カメラへの展開を進めてきた。車載・監視カメラ向けともに、販売数量増加により大幅増収増益を予想している。監視カメラシステム向けのアナログカメラ市場の成長率は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあり鈍化しているものの、同社の半導体シェアは徐々に拡大。監視カメラにおいては世界的に需要が見込まれているものの、前期はロックダウンによって設置を行う業者が動けないといった影響もあった。しかし、経済活動の正常化によって需要はコロナ禍前の8割まで改善しているようである。足元で新型コロナウイルス感染症の変異株が拡大していることによって、コロナ禍の収束は未だ見られていないものの、各国ともコロナ対策と経済活動の促進に積極的に取り組んでいることもあり、今後需要は一段と回復傾向を強めてくると考えられる。ただし、工場を持たないファブレス企業という特性から、製品を製造するファウンドリー不足に伴うキャパオーバーが目先の懸念要因の1つではある。2021年12月期下期の顧客の需要は上半期に比べて増加しているが、現在は世界的に半導体の生産能力が不足しているため、2021年12月期第3四半期及び第4四半期の売上高は2021年12月期第1四半期と同程度になると同社側は考えているようである。弊社も同様の見方であり、生産能力の状況に改善が見られるまでは、四半期ごとの売上高が大きく伸びることはないと考えている。とはいえ、これらは同社の競争力低下などの固有要因というわけではなく、あくまで不可避的な市場環境であり、ネガティブ視する必要はないだろう。むしろ、下期についてはファウンドリーの確保による生産見通しの具体化が進んだことにより、通期業績予想を上方修正している。同社では大きな需要が見込まれ、成長エンジンとなり得る戦略商品を完成させているが、このファウンドリー不足によって量産に移行できない状態でもあると弊社では考えている。足元では、世界的な半導体不足の正常化は来年以降になるとの見方も市場で出ているほか、台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング・カンパニー(TSMC)などは過去最大の値上げを実施するなどファウンドリー企業は軒並み強気姿勢を見せている。こういった状況下において、必然的に生産キャパを確保することが同社の更なる成長に向けたカギとなるため、動向に注目していく必要があるだろう。(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一) <ST> 2021/09/29 15:16 注目トピックス 日本株 テックポイント Research Memo(5):2021年6月30日時点の流動資産は52,836千米ドル ■財政状態テックポイント・インク<6697>の2021年6月30日時点の流動資産は52,836千米ドルであり、2020年12月31日に対して13,552千米ドルの増加となった。これは主に、19,883千米ドルの現金及び現金同等物の増加及び手元または製造過程における在庫数が製品販売数を上回ったことによる3,194千米ドルの当期棚卸資産の増加によるものである。2021年6月30日時点の流動負債は総額8,129千米ドルであり、2020年12月31日に対して2,675千米ドルの増加となった。これは主に、入金と出荷の時期のずれによる顧客預り金が2,471千米ドルの増加、及び発注と支払いの時期のずれにより生じる買掛金の増加が、費用の発生と支払い請求の時期のずれにより生じる未払費用の減少によって、部分的に相殺されたものである。2021年6月30日時点の株主資本は総額46,637千米ドルであり、2020年12月31日に対して9,264千米ドルの増加となった。これは主に、利益剰余金の8,479千米ドルの増加、及び株式報酬であるストック・ユニットやストック・オプションの権利確定及び行使による資本剰余金の増加によるものである。(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一) <ST> 2021/09/29 15:15 注目トピックス 日本株 テックポイント Research Memo(4):監視・車載カメラシステム向けの売上が110.6%増、102.3%増 ■業績動向1. 2021年12月期第2四半期業績概要(米国基準)2021年12月期第2四半期決算(累計)(米国基準)は、売上高30,173千米ドル(3,336百万円:前年同期比で約2倍)、営業利益9,781千米ドル(1,081百万円:同20.7倍)、税引前四半期純利益9,811(1,084百万円:同15.7倍)、当社株主に帰属する四半期純利益8,479千米ドル(937百万円:同17.6倍)となり、大幅な増収増益を達成。また、財政状態、財務業績、キャッシュ・フロー、その他を対象とする指標であり、米国で広く浸透しているNon-GAAP指標(準拠する会計基準による決算時の調整とは別に、企業の実態をより忠実に表す経営者が考える業績指標)は9,172千米ドル(1,014百万円:同754.0%増)だった。なお、テックポイント・インク<6697>は一時的な変動要素と非現金損益項目の中で、株式報酬費用のみをNon-GAAP指標の調整項目としている。2. 監視カメラシステム監視カメラシステム市場向け半導体は販売数量増加により、売上高は15,715千米ドル(前年同期は7,463千米ドル:110.6%増)だった。足元の好調な状況については、一過性のものではなく、アナログカメラの市場自体が5メガピクセルや8メガピクセル(4K)など、同社が本来ターゲットにしていた高解像度製品に移行していることが背景にあるため、引き続き良好な引き合いを維持することができると見られる。また、同社独自の同軸音声カメラ製品ラインナップも監視カメラシステム市場で好評を博しており、ISP製品分野での市場占有率の向上に貢献している。3. 車載カメラシステム車載カメラシステム市場向け半導体の売上高は14,458千米ドル(前年同期は7,146千米ドル:102.3%増)だった。当期以前にメーカーから獲得した複数のデザイン・ウィン(製品開発過程で採用が決定した商品)が量産に移行したことにより、こちらも成長を続けている。複数チャンネルドライブレコーダー、カーナビ、サラウンドビューモニター製品はアジアの車載カメラシステム用アフターマーケットにおいて、大きな市場占有率を有している。同社の半導体製品を搭載し、アジアで生産されたドライブレコーダー、カーナビ、サラウンドビューモニター製品は、中国を中心としたアジアの顧客だけでなく、中国の顧客企業によって製品化された完成品などが世界のほかの地域の顧客にも販売されている。また、複数のデザイン・ウィンを獲得した、電子ミラーやモバイルDVR製品などの車載カメラシステム市場の新しい分野の市場においても大きく成長している点はポジティブな要素だろう。4. 四半期業績の推移第2四半期単独(4-6月)においては、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響を受けた前年から世界の経済活動が正常化に向かう中で大幅な回復となった。特にいち早く経済活動を再開した中国での需要が急速に回復した影響が大きいだろう。また、市場環境としてはまだまだ本調子ではないにせよ、自動車メーカーの生産が急回復しているほか、自動運転やEV化に向けた動きが強まることで、車載向け半導体の需要が大きく伸びている。車載カメラ、電子ミラー、サラウンド・ビュー、ドライブ・レコーダーなど搭載する半導体の数量自体が増えているほか、同社はアジア市場で大きな市場占有率を有していることが強みであり、引き続き利益成長が拡大する可能性は高いと弊社では考えている。また、監視カメラにおいても、中国での売上比率が大きいものの、中国での需要というよりも中国企業による完成品が世界各国に販売されている形であり、依然として需要は大きいだろう。セキュリティ意識の高まりから、引き続き成長が見込まれると考えられる。5. 地域別売上比率地域別売上比率については、出荷先である監視カメラメーカー、ドライブレコーダー等の車載カメラメーカーがアジア地域に集中しているためアジア地域への販売比率が高い。監視カメラ向け半導体の販売好調により、メーカーが偏在する中国比率が69%と前年同期比の61%から8ポイント上昇した。一方で、台湾は前年同期の20%から17%、韓国は16%から12%に低下しており、日本は2%から1%に低下している。1社依存(中国の大手監視カメラメーカー)の状態がリスクファクターとして警戒視されやすい面はこれまでと変わらずあるだろう。実際、中国での監視カメラ向けオーディオ機能搭載ISPの出荷好調による影響が大きかった。ただし、全体として売上高が前年同期比で倍増する中、売上比率は低下したものの、台湾、韓国、日本においても売上高が大きく伸びている状況である点は正しく認識しなければならない。前年には台湾の車載機器設計メーカーであるREC TECHNOLOGY CORPORATION(REC社)の自動車向け全方位モニター・システムに、映像送信用半導体「TP38xx シリーズ」が採用されたほか、台湾車載機器メーカーの創研光電股フン有限公司の車載用ハイビジョンカメラモジュールの新製品に、車載機器用半導体「TP2912」が採用されている。その他、台湾大手車載機器メーカーの奇美車電股フン有限公司の車載用デジタル・ビデオ・レコーダーの新シリーズに、映像受信用半導体「TP282x シリーズ」が採用されたほか、台湾大手車載ディスプレイメーカーのJoin-Link(ジョインリンク)社の車載用ハイビジョンサラウンドビューシステムの新シリーズに、映像受信用半導体「TP2854」が採用されており、車載機器において低コスト化と高い信頼性の両立をハイビジョン映像で可能にしたソリューションとして評価されている。また、国内の比率こそ小さいが、ドライブレコーダーの売れ筋ランキングにおいて、上位にランクインした機種においても、同社製半導体が採用されている。さらに最近ではディスプレイコントロール用半導体の「TP6806L」が、韓国最大級の自動車メーカーの電子サイドミラーに採用されたと発表している。既に他社メーカー等への採用の動きも見られているようであり、地域売上比率にも今後変化が見られてくると弊社では考えている。(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一) <ST> 2021/09/29 15:14 注目トピックス 日本株 テックポイント Research Memo(3):監視・車載カメラシステム向け半導体技術の開発に経営資源を集中 ■事業概要テックポイント・インク<6697>は、監視(防犯)カメラシステム及び車載カメラシステム向けの受送信半導体の設計開発、マーケティング、販売など、監視カメラ市場と車載カメラ市場に関連する半導体技術の開発に経営資源を集中させているファブレス半導体企業である。自社工場を保有せず、外部の製造専門会社に製造を委託するビジネスモデルであるがゆえに、半導体の設計及び販売・マーケティングにリソースを集中させ、効率の良い経営を目指している。その他、カメラで撮影された映像を記録するための装置である「デジタル・ビデオ・レコーダー(DVR)」向け受信用半導体も提供している。監視カメラ、車載カメラ及びDVRに同社の半導体を用いることによって、鮮明に対象物を映し出せるHD(ハイ・ディフィニション)解像度に高画質化したシステムを実現。さらに、従来型のSD解像度カメラで使用されている低価格な同軸ケーブルを伝送媒体に用いながら、HD画質の映像を圧縮せずにアナログ方式でも信頼性の高い伝送をすることが可能で、設備更新の場合には建物配線を交換せずに高画質化が図れるという。この方式は、監視カメラ業界では「HDアナログ」と呼ばれており、世界中で多数の監視カメラシステムメーカーに採用されている。次世代HDビデオ市場のニーズの高まりに対応することを目指し、米国に複数の設計拠点と、中国、台湾、韓国、日本とアジア各地にオフィスを持ち、ターゲット市場において最先端の技術を確立していく戦略を採用。これにより2012年4月に設立された新興企業である同社が、HD監視カメラ及びHD車載ビデオ市場において高い市場占有率を迅速に築くことにつながった。今後はいわゆる「4K」といった高画質映像をスムーズに伝送する技術に磨きをかけながら、収益の拡大を目指していく考えだ。なお、2014年に発表した新技術である監視カメラ市場向け「HD-TVI(HDトランスポートビデオインタフェース)」は、業界の注目を集めており、既に監視カメラシステム市場における中国の主要メーカーであるHikvision(ハイクビジョン)社、韓国の最大手メーカーであるIDIS(アイディス)社、台湾の最大手メーカーであるAVTECH(エーヴィテック)社などに同社製品が採用されている。(1) 監視カメラシステム既存の同軸ケーブルをそのままに、監視カメラの映像をフルハイビジョンで長距離伝送できる半導体を設計開発している。既に敷設済みの配線インフラを活用でき、設備投資コストの削減が可能。伝送方式は「HD-TVI」と呼ぶ、同社の独自規格を用いる。HD-TVIは、非圧縮HDビデオ信号を取り込み、アナログ伝送技術を活用して、標準的な低価格の3C-2V同軸ケーブルにより500メートル以上の距離を伝送できる。この技術によって、映像の符号化や復号などのデータ圧縮処理が不要となり、伝送遅延が生じないメリットがある。また、イーサネットなどのデータ圧縮が必要な他方式と比較して圧縮処理が不要なため、周辺回路の低コスト化に加えて、リアルタイム性が求められる用途で強みを持つものである。監視カメラに組み込み、映像を送信する半導体(トランスミッター:Tx)と、映像記録装置に組み込んで、映像を受信する半導体(レシーバー:Rx)をラインナップしており、1080pのフルハイビジョン映像を500m以上、低コストの同軸ケーブルで伝送可能としている。デジタルLVDS伝送と比較して長距離伝送が可能であり、ケーブルコストも低く、伝送の信頼性も高い点が特徴である。(2) 車載カメラシステム自動車のリアカメラ(バックカメラ)システムや、サラウンドビューカメラシステムで映像をやりとりするための半導体を設計開発。ナビゲーションなどのディスプレイに、フルハイビジョンの映像を表示できるシステムである。伝送方式は「HD-TVI」と呼ぶ、同社の独自規格を用いる。HD-TVIテクノロジーは、車載インフォテインメント(情報の提供(インフォメーション)と娯楽の提供(エンターテインメント))用途にも適している。低コストのシールド無しツイストペアケーブルと低コストのコネクタを使いながら、信頼性の高いHDビデオ伝送を実現できるためである。リアカメラなどに組み込んで、映像を送信する半導体(トランスミッター:Tx)と、カーナビゲーションシステムなど車載器に組み込んで、映像を受信する半導体(レシーバー:Rx)をラインナップ。映像を圧縮せずに伝送するため遅延が少なく、伝送時のノイズも少ないのが特徴である。今後は4K画質対応品や、ディスプレイコントロールと一体化したRxなど、次世代品も展開していくことが期待される。(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一) <ST> 2021/09/29 15:13 注目トピックス 日本株 テックポイント Research Memo(2):米サンノゼに本社を置く新興企業、2015年に日本法人が発足 ■沿革テックポイント・インク<6697>は2012年4月に米シリコンバレー地域のサンノゼで設立された。2013年9月にはHD監視カメラシステム事業への参入を目的として米国コネクサント社のSDI事業を買収。2015年11月には開発・技術サポート及び日本における人材確保を主な目的として、当社100%子会社である日本法人「(株)テックポイントジャパン」を設立している。その後、2016年4月には中国法人「科点科技(深セン)有限公司」(テックポイントチャイナ)を設立した。同社は三つの経営理念(公正であること、利益を上げること、より良い商品を創造し続けること)に基づき、常に新しい技術開発にチャレンジすることで、人々の安心・安全に貢献することを経営の基本方針としている。監視カメラ市場と車載カメラ市場に関連する半導体技術の開発に経営資源を集中し、より高い企業価値を提供していくことを目指している。(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一) <ST> 2021/09/29 15:12 注目トピックス 日本株 テックポイント Research Memo(1):2021年12月期第2四半期(累計)は売上倍増、利益も急拡大 ■要約テックポイント・インク<6697>は、HD監視カメラシステムと自動車用インフォテインメントシステムを対象とした独自のHDビデオ接続技術を開発しているファブレス半導体メーカーである。米国に複数の設計拠点と、中国、台湾、韓国、日本の各地にオフィスを持ち、ターゲット市場において最先端の技術を確立。さらに、監視カメラシステム市場、及び車載カメラシステム市場に向けて、付加価値の高い半導体製品を開発し提供している。直近のトピックとしては、ディスプレイコントローラー用半導体である「TP6806L」が、韓国最大級の自動車メーカーの電子サイドミラーに採用されたことが挙げられる。1. 2021年12月期第2四半期決算(累計)概要(米国基準)2021年12月期第2四半期決算(累計)(米国基準)は、売上高30,173千米ドル(3,336百万円:前年同期比で約2倍)、営業利益9,781千米ドル(1,081百万円:同20.7倍)、税引前四半期純利益9,811千米ドル(1,084百万円:同15.7倍)、当社株主に帰属する四半期純利益8,479千米ドル(937百万円:同17.6倍)となり、大幅な増収増益を達成。また、財政状態、財務業績、キャッシュ・フロー、その他を対象とする指標であり、米国で広く浸透しているNon-GAAP指標(株式報酬費用控除前の当期純利益)は9,172千米ドル(1,014百万円:同754.0%増)だった。なお、同社は一時的な変動要素と非現金損益項目の中で、株式報酬費用のみをNon-GAAP指標の調整項目としている。2. 2021年12月期の見通し2021年12月期の通期業績予想(米国基準)は8月24日に上方修正しており、売上高61,873千米ドル(6,774百万円:前期比80.2%増)、営業利益15,673千米ドル(1,716百万円:同323.8%増)、税引前当期純利益15,704千米ドル(1,719百万円:同301.0%増)、当社株主に帰属する当期純利益13,369千米ドル(1,463百万円:同300.0%増)となり、大幅な増収増益を見込んでいる。また、Non-GAAP指標(株式報酬費用控除前の当期純利益)は14,886千米ドル(1,629百万円:同222.9%増)を計画。3. 研究開発の進捗状況CMOSイメージセンサーについては、画素数が800万画素の4Kカメラ向け製品をサンプル出荷準備中である。その他では、ドアフォン用の半導体製品でハイビジョン対応品を開発している。これら2種の新製品については、開発工程上では2021年12月期下期の量産出荷を計画したが、世界的な半導体生産能力ひっ迫のため、量産出荷は2022年以降となる見込みである。なお、生産能力のリスクは期首予算時から既に予見しており、2021年12月期の予算には非計上だ。ただし、CMOSイメージセンサーの販売予定先は、既に出荷している監視カメラ向け半導体(送受信用など)を通じて関係が構築されている監視カメラメーカーであり、顧客側から多くの引き合いを受けている製品であるため、生産体制が整えば量産に入り、市場に投入できる競争優位性の大きい製品であると弊社では見ている。そういった意味で、半導体関連の生産状況にまつわるニュースフローには注目しておく必要があるだろう。■Key Points・ディスプレイコントローラー用半導体が韓国最大級の自動車メーカーの電子サイドミラーに採用・ドアフォン用の半導体製品でハイビジョン対応品を開発・CMOSイメージセンサー投入による事業規模拡大(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一) <ST> 2021/09/29 15:11 注目トピックス 日本株 システムサポート Research Memo(9):収益状況も勘案しながら安定配当を継続していく方針 ■株主還元策システムサポート<4396>では、株主に対する利益還元を経営上の重要課題としている。利益配分については将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、収益状況も勘案しながら安定配当を基本に、業績、利益水準に応じて配当水準の向上を図る方針を示している。2022年6月期の1株当たり配当金については前期比3.0円増配の24.0円と株式上場後、3期連続の増配となる予定だ。配当性向としては30%台前半の水準を目安にしていると思われることから、配当性向が30%を下回る状況となれば、更なる増配も期待できると弊社では見ている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <AS> 2021/09/29 15:09 注目トピックス 日本株 システムサポート Research Memo(8):すべての事業セグメントが成長(2) ■システムサポート<4396>の今後の見通し(2) アウトソーシング事業アウトソーシング事業では、ストック型ビジネスとなるデータセンターサービスの積み上げに引き続き注力していく。データセンターを地震発生リスクの低い金沢市に2ヶ所設置しており、BCP対策としてのバックアップ用途としての需要拡大が期待でき、プライベートクラウドを構築する企業が顧客ターゲットとなる。独自の付加価値サービスをフック役として、新規顧客の獲得と顧客単価のアップにより成長を目指していく。なお、データセンターの処理能力についてはまだ余裕があり、需要に合わせてサーバー等を増強していくことで売上成長は可能だ。2021年6月時点でデータセンターサービスの初期費用を除くストック型収入は月間で92百万円程度と、前年同月比で1ケタ台後半の伸びとなっており、今後も同様のペースで拡大が続くものと予想される。(3) プロダクト事業プロダクト事業においては、各プロダクトの機能向上や、代理店経由での販売強化、Webマーケティングなどの施策に取り組み、また、顧客ニーズに合わせたカスタマイズにも対応していくことで契約件数を伸ばし、収益を拡大していく戦略となっている。既に、「建て役者」「MOS」「SHIFTEE」が黒字化しており、今後は機能強化のための開発費を除けば、売上増分が利益増に直結する体制になってきている。また、「MOS」や「就業役者」は働き方改革や在宅勤務の普及といった市場環境の変化が追い風となっており、大型案件の引き合いやカスタマイズのニーズも代理店経由で増加傾向にある。競合サービスと比較して、コストパフォーマンスが高いことや、カスタマイズにも対応が可能な点が評価されているようだ。需要が旺盛な一方で、開発人材が不足してきていることが課題となっており、今後、人員体制の強化も進めながら成長を目指していくことになる。なお、プロダクト事業に関してはM&Aも検討していく意向となっている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <AS> 2021/09/29 15:08 注目トピックス 日本株 システムサポート Research Memo(7):すべての事業セグメントが成長(1) ■今後の見通し2. 事業セグメント別見通しと成長戦略システムサポート<4396>は今後の成長戦略として、ソリューション事業におけるクラウドやERP、データベース関連の既存事業の拡大に取り組んでいくほか、ストック型ビジネスとなるデータセンターサービス等のアウトソーシング事業、プロダクト事業をそれぞれバランスよく伸ばしていくことで2ケタ成長を継続していく戦略となっている。各事業の2022年6月期の見通しと重点施策は以下のとおり。(1) ソリューション事業ソリューション事業では引き続き、データベース・クラウド基盤関連、ServiceNow関連、ERP関連の3つの分野で高い技術力を生かして受注を獲得し、2ケタ成長を目指していく方針となっている。a) ServiceNow関連ServiceNow関連については需要が旺盛で同社の人的リソース以上に引き合いが多いこともあり、同社が元請けとなって外部パートナーを活用するケースも増えてきているようで、人材育成や外部パートナーの拡充が進めばさらに売上高を伸ばしていく可能性も十分にあると弊社では見ている。前述したとおり、「ServiceNow」は企業の業務の標準化・自動化に寄与する様々な機能が用意されており、ここ数年で急速に普及拡大しているクラウドプラットフォームサービスで、国内においてもコロナ禍を契機に企業のDX化に対する取り組みが加速するなか、成長が加速している状況にある。日本法人であるServiceNow Japan(合)では2021年のビジネス戦略の1つとして、旺盛な需要に応えるため「パートナーエコシステムの更なる拡大と強化」を掲げている。業種向けプロダクトのニーズが増加していることを受け、業種別ノウハウを持つパートナーとの連携を強化していく方針となっている。また、国内の認定エンジニア数を現在の約600人から約1,200人と2倍に増やすことを目標にしており、それだけ潜在的な需要があると見ていることの表れと言える。最近では自治体向けDX推進支援ソリューションの取り組みも強化しており、企業向けだけでなく公共分野での市場開拓も推進していく戦略のようだ。こうしたことから、「ServiceNow」の需要は中期的に高成長が続くものと弊社では予想している。一方で、高成長分野であるがゆえに今後は参入企業が増加し、競争が激しくなってくることも予想される。同社は国内でいち早くパートナー契約を締結し、積極的に拡販に取り組んできた実績が評価され、2017年に国内企業で初めて、「Bronze Services Partner」※に認定されたほか、2019年には「Elite Partner」に認定されている。2021年6月時点で「Elite Partner」として認定された日系企業は同社を含めて9社だが、今後これら「Elite Partner」や新規パートナーも含めて人材育成が進むものと予想される。同社においてもいかに認定技術者を増やしていくことができるかが、今後の成長の鍵を握るものと弊社では見ている。また、競合との差別化戦略の1つとして、「ServiceNow」の標準機能を補完するアプリケーション(LINE連携機能など)の開発などを行っている。※ServiceNowのパートナープログラムでの認定は顧客満足度や販売・導入実績などが基準となる。なお同社は、国内でのServiceNow認定構築資格取得数は2021年6月末で2位となっており、全資格取得数は84件となっている。b) データベース及びクラウド基盤関連データベース及びクラウド基盤関連については、引き続きMicrosoft Azure やAWSなどのクラウド基盤の構築、移行支援案件の増加が見込まれるほか、各クラウドのアカウントリセールやオプションサービスを開発・提供していくことで、ストック型ビジネスの収益を積み上げていく戦略だ。また、最近ではGCP(Google Cloud Platform)に対する引き合いも増えてきていることから、Google Cloudサービスを活用した次世代データ分析基盤「ADDPLAT(アドプラット)」を開発、2021年6月より提供を開始している。低コストかつ短期間でビッグデータ分析を行い、経営戦略やマーケティング施策に生かせるサービスとなっていることが特徴だ。Google Cloudの認定資格者は約40名在籍し、多様なニーズに対応可能となっており、Microsoft AzureやAWS関連と同様に、売上増に貢献するものと予想される。そのほか、AWS関連では、2014年に国内で初めてAWSのAPNパートナー制度「Oracle コンピテンシー」※に認定されており、Oracle Databaseのクラウド移行案件を中心に今後も安定した受注が見込まれる。これら大手クラウドプラットフォームサービスの導入案件については、それぞれの企業から顧客紹介を受けるケースが大半のため、営業コストをかけることなく継続的な受注を確保でき、また、カスタマイズ開発案件と違ってプロジェクト管理も比較的容易なことから収益性の変動リスクも小さく、売上高の増加に伴って利益も安定して伸びていくものと予想される。※「Oracleコンピテンシー」は、AWSクラウド上で実行されるOracleベースのワークロードの設計、デプロイ、及び管理・運用までをトータルでサポートする技術・実績のあるパートナーをAWSが評価し認定するもの。2021年6月時点で国内認定企業は5社となっている。c) ERP関連ERP関連については2027年の保守サポート切れを控えた「SAP ERP」の移行案件が目白押しとなっており、少なくとも2027年までは10%前後の成長が続くものと予想される。現在は現行システムである「SAP ERP」から次世代ソリューションの「SAP S/4 HANA」への移行を進める企業と、当面は「SAP ERP」を継続して使い続ける企業とに分かれており、双方の需要がある。また、「SAP S/4 HANA」に関してはオンプレミス版とSaaS版で提供しており、オンプレミス版はAWSやGoogleのパブリッククラウド、SAPのプライベートクラウドなどで利用が可能なため、クラウドへの移行支援案件も多い。「SAP ERP」に関しては同社と子会社のT4Cを合わせて技術者が約180名在籍しており、「SAP ERP」の主領域及び全階層(インフラ、ミドルウェア、アプリケーション)の開発に対応できるほか、「SAP ERP」以外のERP製品にも技術・ノウハウを有しており、顧客ニーズに応じて幅広く安定的なサービスを提供できることが強みとなっている。2027年に向けた需要の高まりに対応すべく、今後も技術者の増員及び育成を図ると同時に、北陸地区で既存システムの保守に関するニアショア対応可能な体制を構築しながら、着実な成長を目指していく方針だ。なお、ERP利用支援の競合は多いが、大規模案件の場合はリスクを考慮して直接受注せず、NRI<4307>やアクセンチュア(株)が元請けとなり、共同でプロジェクトを進めていくケースが多い。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <AS> 2021/09/29 15:07 注目トピックス 日本株 システムサポート Research Memo(6):DX投資拡大を追い風に2022年6月期も2ケタ増益が続く ■今後の見通し1. 2022年6月期の業績見通しシステムサポート<4396>の2022年6月期の連結業績は、売上高で前期比10.6%増の15,962百万円、営業利益で同16.0%増の1,080百万円、経常利益で同11.7%増の1,066百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同10.5%増の745百万円と2ケタ増収増益となる見通しだ。コロナ禍が長引くなかで、国内の景気見通しは不透明な状況が続くものの、企業における競争力と成長力の強化に向けたDXへの投資意欲は引き続き旺盛で、こうした需要を確実に取り込むことで増収増益を目指していく。なお、コロナ禍における事業への影響については以下の前提に基づいた計画となっている。・顧客業績などの状況次第では、IT投資予算の縮小やプロジェクトの延期等の発生による同社グループの業績への影響は見込まれるものの、同社グループは特定顧客への依存度が低く、かつ顧客の業種も幅広いため、その影響は軽微と見ている。・緊急事態宣言が発令されても、在宅勤務体制を整備していること、並びに商談・会議についてはオンライン会議を活用していることから事業の継続は可能となっている。売上高については、各事業セグメントで10%程度の増収を計画している。一方、費用面ではコロナ禍で減少していた広告宣伝費や交通費、交際費等の営業活動費について、コロナ禍前の水準まで戻す予算を組んでいる。ただ、実際にはコロナ禍が続くなかでこれらの費用は予算を下回って推移しているようだ。このため、今後も市場環境に大きな変化がなく、売上高が計画どおり達成されれば、利益に関しては前期と同様に会社計画を上回る可能性が高いと弊社では見ている。なお、人材については引き続き採用を強化し、各種クラウドサービスにおける認定資格取得者数の増加に取り組んでいく方針となっている。採用については、2021年4月の新卒採用は60名、中途採用は年間で89名であり、今期はそれぞれ前期よりもやや多い水準を見込んで、東京、名古屋、大阪、金沢の各事業拠点で現地採用を進めていく。働きやすい職場環境づくりや教育研修制度の充実に取り組んでいくことで、退職率も2020年6月期の7.7%から2021年6月期は5.9%と改善している。今後も成長の基盤となる人材の採用・育成に注力していくことで、更なる成長を目指していく方針となっている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <AS> 2021/09/29 15:06 注目トピックス 日本株 システムサポート Research Memo(5):財務内容は健全、営業利益率は上昇基調が続く ■業績動向3. 財務状況と経営指標システムサポート<4396>の2021年6月期末の財務状況を見ると、総資産は前期末比714百万円増加の6,662百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産では事業の拡大に伴い現金及び預金が310百万円、受取手形及び売掛金が371百万円それぞれ増加した。また、固定資産では有形固定資産が27百万円増加した。負債合計は前期末比129百万円増加の3,669百万円となった。有利子負債が62百万円減少した一方で、買掛金が178百万円、未払法人税等が27百万円、未払金が27百万円それぞれ増加した。純資産合計は前期末比585百万円増加の2,993百万円となった。親会社株主に帰属する当期純利益の計上及び配当金支出等により、利益剰余金が573百万円増加した。経営指標について見ると、自己資本比率は収益の拡大に伴って前期末の40.5%から44.9%に上昇し、一方で、有利子負債比率は42.1%から31.8%に低下するなど、財務の健全性についてはここ数年でも大きく向上したと言える。ネットキャッシュ(現金及び預金−有利子負債)は1,744百万円の黒字と、2期前の水準から2.4倍に積み上がっており、財務基盤の強化が進んでいる。収益性について見れば、売上高営業利益率は2018年6月期の4.0%から2021年6月期は6.5%と上昇傾向が続いている。社内でプロジェクト管理を行い不採算プロジェクトがほぼない状態が続いているほか、高利益率の案件が増加していることが上昇要因となっている。ROAやROEについても10%以上と高い収益性を維持している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <AS> 2021/09/29 15:05 注目トピックス 日本株 システムサポート Research Memo(4):2021年6月期は会社計画を上回る増収増益を達成 ■業績動向1. 2021年6月期の業績概要システムサポート<4396>の2021年6月期の連結業績は、売上高で前期比7.9%増の14,431百万円、営業利益で同23.3%増の931百万円、経常利益で同34.1%増の954百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同49.9%増の674百万円と連続で過去最高業績を更新した。また、2021年5月に上方修正した会社計画に対しても上回って着地した。コロナ禍に伴う、売上高へのマイナス影響は期初計画で見込んでいた程度で推移した。全体的には企業のDX化に対する投資意欲は旺盛で、業務効率の向上を目的としたクラウドシステムの導入、並びにERPの導入案件の受注が拡大したことによりソリューション事業が伸長し、全体の収益をけん引した。また、アウトソーシング事業も月額課金収入の積み上げにより増収が続いた。一方で、プロダクト事業は2020年6月期の売上に貢献した大型カスタマイズ案件がなくなったことで横ばいにとどまった。売上原価率は前期の74.6%から74.1%と0.5ポイント低下した。プロダクトミックスの改善に加えて、在宅勤務体制にシフトしたことによる固定費の減少が寄与した。また、販管費は人件費の増加により前期比で6.6%増となったが、展示会の中止やオンライン営業の導入などで営業経費の抑制が図られたことにより、販管費率は前期比で0.2ポイント低下した。この結果、売上高営業利益率は前期の5.6%から6.5%となり、ここ数年で最高水準となっている。営業外収支については前期比より66百万円改善した。助成金収入が34百万円増加したほか、前期に計上した上場関連費用の17百万円がなくなったことが主因となっている。ソリューション事業は業務の生産性向上を支援するServiceNow関連の高成長が続く2. 事業セグメント別動向(1) ソリューション事業ソリューション事業の売上高は前期比8.5%増の12,066百万円、セグメント利益は同11.2%増の2,905百万円となった。ERP導入案件及びシステムの維持運用の効率化に向けたクラウドシステム「ServiceNow」の導入案件等のクラウドサービス利用支援分野の受注が堅調に推移した。また、高利益率の「ServiceNow」の売上構成比が上昇したことを主因として、セグメント利益率も前期の23.5%から24.1%に上昇している。分野別の売上高で見ると、データベース及びクラウド基盤関連は前期比13.2%増の3,116百万円と増収基調が続いた。AWSやMicrosoft Azure等のクラウドシステム導入案件が増加したほか、Oracle Databaseのクラウド移行案件も堅調に推移した。また、規模はまだ小さいものの、各クラウドのアカウントのリセール(顧客のクラウド利用で発生する月額利用料)もストック型収益として着実に伸びている。ServiceNow関連の売上高は前期比64.4%増の1,169百万円と大きく伸長した。2019年6月期の売上高が377百万円だったので、2年間で3倍に急成長したことになる。企業が経営のDX化に取り組むなかで、業務プロセスの標準化・自動化を効率よく実現できるクラウドプラットフォームとして、ここ1~2年で急速に需要が拡大している。同社は2015年に国内企業としていち早くパートナー契約を締結し、認定資格者の育成に取り組みながら導入実績を多く積み重ねてきたことが高成長につながっている。最近は競合企業も増えているが、関西エリアではまだ技術者が全体的に少ないこともあって、大企業からの大型案件を同社で受注するケースが多いことも、影響している。ERP関連の売上高は前期比8.3%増の2,604百万円となった。既存のSAP社のERP製品の保守サポートが2027年で切れることから、導入企業で既存製品から「SAP S/4 HANA」へ移行する動きが継続している。こうした環境下、同社は技術者の育成を積極的に進めながら旺盛な需要に対応している。また、同社は北陸地区でERPの保守をニアショア対応可能な体制を構築しており、ERPのコンサルティングから開発、インフラ構築、保守サービスまでワンストップで対応できることが強みで、売上成長の一因となっている。その他のシステム受託開発については前期比1.5%減の5,177百万円と減少に転じた。これは2020年6月期の売上に貢献した大型の受託開発案件が終了したことが要因で、2期前の水準(4,489百万円)と比較すると増加している。(2) アウトソーシング事業アウトソーシング事業の売上高は前期比6.5%増の1,780百万円、セグメント利益は同11.3%増の558百万円となった。AI関連サービス等を含めたデータセンターサービスの売上が順調に増加した。データセンターの月額利用料金も右肩上がりに積み上がっており、増収効果によってセグメント利益率も前期の30.0%から31.4%に上昇した。(3) プロダクト事業プロダクト事業の売上高は前期比0.1%増の555百万円、セグメント利益は同3.1%減の295百万円となった。「MOS」「就業役者」及び「SHIFTEE」は契約件数の積み上がりにより増収となったものの、2020年6月期の収益増に貢献した「建て役者」の大型カスタマイズ案件がなくなったことが伸び悩みの要因となっており、同要因を除けば収益は順調に拡大している。なお、セグメント利益率も大型カスタマイズ案件がなくなった影響により、前期の55.0%から53.2%に低下した。なお、2021年6月期末の主要製品別の契約件数は、「建て役者」が636社(前期末比41社増)、「MOS」が457社(同109社増)、「SHIFTEE」が81社(同17社増)、「就業役者」が75社(同49社増)となっている。「建て役者」と「MOS」が収益の柱となっており、2016年から販売を開始した「SHIFTEE」も通期で初めて黒字化した。2018年から販売を開始した「就業役者」については、機能改良等の開発を継続していることから収益化までにはまだ時間を要すると見られるが、提携先である地方銀行の紹介による販売が増加しているほか、大手企業での採用も増え始めており、成長が期待できる状況となってきている。日々の勤怠管理に加え、各種業務やプロジェクトの作業工数の管理・分析を行うことが可能で、企業の生産性向上や「働き方改革」を支援するツールとして導入が広がっている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <AS> 2021/09/29 15:04 注目トピックス 日本株 システムサポート Research Memo(3):ソリューション事業、アウトソーシング事業、プロダクト事業を展開 ■会社概要2. 事業内容同社グループは、システムサポート<4396>と連結子会社6社で構成されており、事業セグメントとしては、ソリューション事業、アウトソーシング事業、プロダクト事業の3つのセグメントで開示している。直近5期間の事業セグメント別売上構成比の推移を見ると、ソリューション事業が約83%、アウトソーシング事業が約13%、プロダクト事業が約4%とほぼ安定して推移している。この間、全体の売上高は約1.6倍に拡大しており、3つの事業セグメントがいずれも同じペースで成長してきたことになる。また、セグメント利益率(売上総利益率)について見ると、主力のソリューション事業が20%台前半、アウトソーシング事業が30%台前半で安定して推移しており、プロダクト事業は50%台と相対的に高い利益率となっている。このなかで、注目されるのはソリューション事業の安定性だ。システム開発業界ではプロジェクトの延伸や不具合の発生に起因して、収益性が安定しない企業が多いなか、同社は一定水準を維持している。これは同社が高い技術力とプロジェクト管理能力を有していることの証左といえ、同社の強みになっていると弊社では考えている。(1) 事業セグメント別の事業内容a) ソリューション事業ソリューション事業では、独立系のIT会社として、顧客企業のITシステムのコンサルティング・設計・開発・運用保守を中心に、各種クラウドサービスやERPパッケージの利用・導入に係る技術支援、データベース等のインフラ構築などを行っている。顧客は業種・業務を問わず幅広く、かつ開発の一連の工程をワンストップで対応できることが強みとなっている。2021年6月期の売上構成比では、ITシステムの受託開発が4割強を占め、ERP関連サービス(SAP ERPの導入、保守・運用等)が2割強、残りがクラウド関連サービス(Microsoft Azure、AWS、ServiceNow※などのクラウドサービスの導入・移行支援)及びデータベース関連サービス(Oracleデータベースの設計、構築、保守・運用)となっている。また、受注のうち6割強は最終顧客からの直接受注となり、残りは大手SIベンダーなどを経由した二次請けとなる。直接受注の案件については利益率が比較的高く、また、顧客との関係もより深くなることで継続受注につながりやすい。一方、二次請けについては、金融機関向けシステムや基幹システムなど大規模プロジェクトが中心となり、プロジェクトも長期間にわたることから、安定した受注につながりやすいといった特徴がある。※「ServiceNow」とは米ServiceNow, Inc.が提供する、業務の標準化を行うためのクラウドサービス。使用例として、企業の情報システム部門が業務効率化を目的に資産、ワークフロー、インシデント等を一元的に管理する際などに利用している。同社は日本企業としていち早く2015年にパートナー契約を締結しており、国内ではトップクラスの導入実績を持つ。また、ソリューション事業の人員のうち8割以上はエンジニアで占められ、技術者集団となっていることも特徴と言える。営業人員が少ないのは、クラウドやデータベース関連等の案件については、それぞれの領域で高い技術力を有している人材を多く抱え、豊富な開発実績を持つことから、Microsoft、AWS、Oracleからの顧客紹介案件も多いためだ。b) アウトソーシング事業アウトソーシング事業では、子会社のイーネットソリューションズが運営している国内3ヶ所のデータセンター(東京、金沢)における運営サービスが売上の7割程度を占める。企業のプライベートクラウドのインフラ用あるいはBCP対策・データバックアップ管理用として利用されている。また、データセンターの顧客獲得のためのフック役となる付加価値サービスとして、2006年から地震情報と連動して社員の安否確認メッセージを自動で配信する緊急通報・安否確認サービス「Safetylink24」(現在の契約数は約800社)の提供を開始したほか、2010年には電子ワークフローシステム「ActionPassport」(同約300社)、2017年には日本アイ・ビー・エム(株)の「IBM Watson Explorer」(AIを活用した検索・分析プラットフォーム)を月額料金制で手軽に利用できるサービスの提供を開始している。これらの付加価値サービスは月額課金によるストック型ビジネスモデルとなっており、契約件数の積み上げによって収益が増加していくことになる。なお、2021年6月時点で、データセンターの利用顧客数は約1,000社となっている。そのほかの売上としては、ソリューション事業で開発に携わったシステムに関する顧客企業への教育やヘルプデスクの運用保守、データ分析・入力サービスなどを行っている。c) プロダクト事業プロダクト事業では、同社グループによるプロダクト(ソフトウェア)の開発及び販売、サービス提供を行っており、顧客ニーズに応じたカスタマイズ開発にも対応している。販売については直販に加えて販売代理店も活用している。現在の主力製品は建築業向けの「建て役者」と卸・小売業界向けを中心としたモバイル受発注システム「MOS」となり、それぞれ売上高の3割程度を占めている。不定期にカスタム開発の大型案件を受注することもあるが、クラウド(SaaS型)サービスによる月額課金が売上の大半を占めており、契約件数の積み上げによって収益が増加するストック型ビジネスモデルとなる。(2) グループ企業と従業員数同社の子会社は、各社の専門領域において積極性・迅速性を持って常に顧客に新たなソリューションを提供するため、機能別・業種別に専門特化している。また、2021年6月末の連結従業員数は前期末比87名増の1,126名となっており、事業規模の拡大とともに年々増加している。このうち、同社単体の従業員数は全体の8割以上を占めている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <AS> 2021/09/29 15:03 注目トピックス 日本株 システムサポート Research Memo(2):Microsoft Azure等の案件を多く手掛ける独立系IT企業 ■会社概要1. 会社沿革システムサポート<4396>は1980年に、データエントリーサービスやシステム開発サービスの提供を目的に、石川県金沢市に設立された。1980年代の好景気を背景に順調に成長を続けていたが、1990年代のバブル崩壊をきっかけに業績が悪化し、会社存続も危ぶまれる状況となった。1994年に創業者から現代表取締役社長の小清水良次(こしみず りょうじ)氏に経営がバトンタッチされ、同氏のリーダーシップにより経営合理化を進め、4年後には黒字転換を果たすまでに回復、その後は独立系で業界トップクラスともいわれる技術開発力を強みとし、また、Microsoft AzureやAWS、SAP、 Oracle等のグローバルIT企業の製品・サービスに関する認定技術者を多く育成していくことでそれらの利用支援分野の売上を拡大し、業績を伸ばし続けている。2000年以降の事業展開の動きを見ると、2000年にデータセンターサービスを行う子会社、(株)イーネットソリューションズを設立し、2004年には日本オラクル<4716>とOracleEBSテクニカルパートナー契約を締結し、Oracle製品のシステム構築・導入案件を積極的に手掛けていくことになる。また、システム開発やデータセンターサービスに続く新たな収益事業として自社開発ソフトウェア製品を販売するプロダクト事業を立ち上げ、その第一弾として建築業向け工事情報管理システム「建て役者」の販売を2005年に開始した。また、2009年には医療業界向けに特化したソフトウェアの開発・販売を行う子会社、(株)STSメディックの設立に続き、2010年にはERP大手のSAPのサービス・パートナーであった(株)T4C、2012年には流通業界向けシステムソリューションを展開していた(株)アクロスソリューションズを相次いで子会社化するなど、M&Aも活用しながら事業基盤を固めていった。2013年には米国における情報収集及びITサービス提供を目的とした子会社を米国に、また2016年には在北米の日系企業のアウトソーシングサービス(会計業務等)を手掛ける子会社をカナダに設立するなど海外にも進出し、現在のグループ体制となっている。なお、2018年8月に東証マザーズに上場を果たし、1年後の2019年8月には東証1部に昇格を果たしている。また、2022年4月から新たに導入される市場区分では、「プライム市場」を選択申請している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <AS> 2021/09/29 15:02 注目トピックス 日本株 システムサポート Research Memo(1):「ServiceNow」をけん引役に2ケタ増益が続く見通し ■要約システムサポート<4396>は、業界トップクラスの技術力を強みに、クラウドシステムやERP、データベースの利用支援などのソリューション事業を中心に成長を続ける独立系IT企業である。本社は石川県だが、事業活動の中心は東名阪であり、米国シリコンバレーにも子会社を置いている。ソリューション事業以外では、データセンター運営を中心としたアウトソーシング事業や、クラウド(SaaS型)サービスでの提供が中心となるプロダクト事業など、ストック型ビジネスを展開している。なお、同社は2022年4月から導入される東証の新市場区分において、「プライム市場」を選択申請している。1. 2021年6月期の業績概要2021年6月期の連結業績は、売上高で前期比7.9%増の14,431百万円、営業利益で同23.3%増の931百万円と過去最高業績を連続で更新した。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響はほぼ想定した範囲で軽微にとどまった。売上高はソリューション事業やアウトソーシング事業が順調に拡大し、プロダクト事業は2020年6月期に寄与した大型案件が終了したことにより横ばいにとどまった。利益面では、増収効果に加えて高利益率の「ServiceNow」※関連の伸長と在宅勤務の浸透による原価率改善、並びに営業費用など各種経費の抑制が図られたことが増益要因となった。※業務プロセスの標準化・自動化を行い、従業員・組織の生産性向上を支援するクラウドプラットフォームで、DX化ソリューションとして欧米だけでなく日本でもここ数年で急速に普及し始めている。2. 2022年6月期業績見通し2022年6月期は売上高で前期比10.6%増の15,962百万円、営業利益で同16.0%増の1,080百万円と2ケタ増収増益を見込む。コロナ禍が続いているが、企業のDX投資は旺盛で受注面での影響はほとんど見られず、特に業務の生産性向上ツールとして普及拡大が続いている「ServiceNow」関連は高成長が見込まれる。また、ERP関連もSAPのクラウド移行案件を中心に増収が続くほか、前期に一時的要因で伸び悩んだプロダクト事業も、契約件数の積み上げにより増収が見込まれる。利益面では、営業費用など各種経費をコロナ禍前の水準まで戻すことを前提に予算を組んでいるが、コロナ禍が続くなかでこれらの費用は予算を下回って推移しているもようであり、今後、市場環境に大きな変化がなければ、2022年6月期業績も会社計画を上回る可能性が高いと弊社では見ている。3. 成長戦略中長期的な成長戦略として、主力のソリューション事業の安定成長に加えて、アウトソーシング事業やプロダクト事業の成長をさらに加速していくことで、業績拡大及び収益力の向上を目指している。ソリューション事業では高い技術力を有する人材を採用・育成していくことにより、需要が旺盛なクラウドやERP、データベース関連の売上を拡大していく。特に、企業のDX化を実現する「ServiceNow」では、同社はパートナーとして最高位の「Elite Partner」に認定され、認定構築資格取得数も国内で第2位とトップクラスにあり、今後も人材育成を強化しながら積極的に売上を伸ばしていく方針だ。利益率も高く全体の収益性向上にも寄与するものと期待される。一方、アウトソーシング事業ではプライベートクラウド構築企業を主要ターゲットに、BCP対策としてのバックアップ用途の需要を取り込んでいく。また、プロダクト事業では業務効率向上に貢献する各種クラウドサービスを自社開発・提供しており、販売代理店の拡充やWebマーケティングの強化により売上成長を目指す。また、プロダクト事業についてはM&Aも成長戦略の1つとして位置付けている。■Key Points・Microsoft Azure、AWS、ServiceNow、SAP、Oracle関連の案件を多く手掛けることで成長を続ける独立系IT企業・2021年6月期はクラウドシステム、ERP関連の受注拡大と原価率改善により会社計画を上回る増収増益を達成・DX投資拡大を追い風に2022年6月期も2ケタ増益が続く、利益は保守的な印象が強い・すべての事業セグメントが成長、特にServiceNow関連は高成長が続く見通し(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <AS> 2021/09/29 15:01

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