注目トピックス 日本株
テックポイント Research Memo(4):監視・車載カメラシステム向けの売上が110.6%増、102.3%増
配信日時:2021/09/29 15:14
配信元:FISCO
■業績動向
1. 2021年12月期第2四半期業績概要(米国基準)
2021年12月期第2四半期決算(累計)(米国基準)は、売上高30,173千米ドル(3,336百万円:前年同期比で約2倍)、営業利益9,781千米ドル(1,081百万円:同20.7倍)、税引前四半期純利益9,811(1,084百万円:同15.7倍)、当社株主に帰属する四半期純利益8,479千米ドル(937百万円:同17.6倍)となり、大幅な増収増益を達成。また、財政状態、財務業績、キャッシュ・フロー、その他を対象とする指標であり、米国で広く浸透しているNon-GAAP指標(準拠する会計基準による決算時の調整とは別に、企業の実態をより忠実に表す経営者が考える業績指標)は9,172千米ドル(1,014百万円:同754.0%増)だった。なお、テックポイント・インク<6697>は一時的な変動要素と非現金損益項目の中で、株式報酬費用のみをNon-GAAP指標の調整項目としている。
2. 監視カメラシステム
監視カメラシステム市場向け半導体は販売数量増加により、売上高は15,715千米ドル(前年同期は7,463千米ドル:110.6%増)だった。足元の好調な状況については、一過性のものではなく、アナログカメラの市場自体が5メガピクセルや8メガピクセル(4K)など、同社が本来ターゲットにしていた高解像度製品に移行していることが背景にあるため、引き続き良好な引き合いを維持することができると見られる。また、同社独自の同軸音声カメラ製品ラインナップも監視カメラシステム市場で好評を博しており、ISP製品分野での市場占有率の向上に貢献している。
3. 車載カメラシステム
車載カメラシステム市場向け半導体の売上高は14,458千米ドル(前年同期は7,146千米ドル:102.3%増)だった。当期以前にメーカーから獲得した複数のデザイン・ウィン(製品開発過程で採用が決定した商品)が量産に移行したことにより、こちらも成長を続けている。複数チャンネルドライブレコーダー、カーナビ、サラウンドビューモニター製品はアジアの車載カメラシステム用アフターマーケットにおいて、大きな市場占有率を有している。同社の半導体製品を搭載し、アジアで生産されたドライブレコーダー、カーナビ、サラウンドビューモニター製品は、中国を中心としたアジアの顧客だけでなく、中国の顧客企業によって製品化された完成品などが世界のほかの地域の顧客にも販売されている。また、複数のデザイン・ウィンを獲得した、電子ミラーやモバイルDVR製品などの車載カメラシステム市場の新しい分野の市場においても大きく成長している点はポジティブな要素だろう。
4. 四半期業績の推移
第2四半期単独(4-6月)においては、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響を受けた前年から世界の経済活動が正常化に向かう中で大幅な回復となった。特にいち早く経済活動を再開した中国での需要が急速に回復した影響が大きいだろう。また、市場環境としてはまだまだ本調子ではないにせよ、自動車メーカーの生産が急回復しているほか、自動運転やEV化に向けた動きが強まることで、車載向け半導体の需要が大きく伸びている。車載カメラ、電子ミラー、サラウンド・ビュー、ドライブ・レコーダーなど搭載する半導体の数量自体が増えているほか、同社はアジア市場で大きな市場占有率を有していることが強みであり、引き続き利益成長が拡大する可能性は高いと弊社では考えている。また、監視カメラにおいても、中国での売上比率が大きいものの、中国での需要というよりも中国企業による完成品が世界各国に販売されている形であり、依然として需要は大きいだろう。セキュリティ意識の高まりから、引き続き成長が見込まれると考えられる。
5. 地域別売上比率
地域別売上比率については、出荷先である監視カメラメーカー、ドライブレコーダー等の車載カメラメーカーがアジア地域に集中しているためアジア地域への販売比率が高い。監視カメラ向け半導体の販売好調により、メーカーが偏在する中国比率が69%と前年同期比の61%から8ポイント上昇した。一方で、台湾は前年同期の20%から17%、韓国は16%から12%に低下しており、日本は2%から1%に低下している。1社依存(中国の大手監視カメラメーカー)の状態がリスクファクターとして警戒視されやすい面はこれまでと変わらずあるだろう。実際、中国での監視カメラ向けオーディオ機能搭載ISPの出荷好調による影響が大きかった。ただし、全体として売上高が前年同期比で倍増する中、売上比率は低下したものの、台湾、韓国、日本においても売上高が大きく伸びている状況である点は正しく認識しなければならない。
前年には台湾の車載機器設計メーカーであるREC TECHNOLOGY CORPORATION(REC社)の自動車向け全方位モニター・システムに、映像送信用半導体「TP38xx シリーズ」が採用されたほか、台湾車載機器メーカーの創研光電股フン有限公司の車載用ハイビジョンカメラモジュールの新製品に、車載機器用半導体「TP2912」が採用されている。その他、台湾大手車載機器メーカーの奇美車電股フン有限公司の車載用デジタル・ビデオ・レコーダーの新シリーズに、映像受信用半導体「TP282x シリーズ」が採用されたほか、台湾大手車載ディスプレイメーカーのJoin-Link(ジョインリンク)社の車載用ハイビジョンサラウンドビューシステムの新シリーズに、映像受信用半導体「TP2854」が採用されており、車載機器において低コスト化と高い信頼性の両立をハイビジョン映像で可能にしたソリューションとして評価されている。また、国内の比率こそ小さいが、ドライブレコーダーの売れ筋ランキングにおいて、上位にランクインした機種においても、同社製半導体が採用されている。
さらに最近ではディスプレイコントロール用半導体の「TP6806L」が、韓国最大級の自動車メーカーの電子サイドミラーに採用されたと発表している。既に他社メーカー等への採用の動きも見られているようであり、地域売上比率にも今後変化が見られてくると弊社では考えている。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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1. 2021年12月期第2四半期業績概要(米国基準)
2021年12月期第2四半期決算(累計)(米国基準)は、売上高30,173千米ドル(3,336百万円:前年同期比で約2倍)、営業利益9,781千米ドル(1,081百万円:同20.7倍)、税引前四半期純利益9,811(1,084百万円:同15.7倍)、当社株主に帰属する四半期純利益8,479千米ドル(937百万円:同17.6倍)となり、大幅な増収増益を達成。また、財政状態、財務業績、キャッシュ・フロー、その他を対象とする指標であり、米国で広く浸透しているNon-GAAP指標(準拠する会計基準による決算時の調整とは別に、企業の実態をより忠実に表す経営者が考える業績指標)は9,172千米ドル(1,014百万円:同754.0%増)だった。なお、テックポイント・インク<6697>は一時的な変動要素と非現金損益項目の中で、株式報酬費用のみをNon-GAAP指標の調整項目としている。
2. 監視カメラシステム
監視カメラシステム市場向け半導体は販売数量増加により、売上高は15,715千米ドル(前年同期は7,463千米ドル:110.6%増)だった。足元の好調な状況については、一過性のものではなく、アナログカメラの市場自体が5メガピクセルや8メガピクセル(4K)など、同社が本来ターゲットにしていた高解像度製品に移行していることが背景にあるため、引き続き良好な引き合いを維持することができると見られる。また、同社独自の同軸音声カメラ製品ラインナップも監視カメラシステム市場で好評を博しており、ISP製品分野での市場占有率の向上に貢献している。
3. 車載カメラシステム
車載カメラシステム市場向け半導体の売上高は14,458千米ドル(前年同期は7,146千米ドル:102.3%増)だった。当期以前にメーカーから獲得した複数のデザイン・ウィン(製品開発過程で採用が決定した商品)が量産に移行したことにより、こちらも成長を続けている。複数チャンネルドライブレコーダー、カーナビ、サラウンドビューモニター製品はアジアの車載カメラシステム用アフターマーケットにおいて、大きな市場占有率を有している。同社の半導体製品を搭載し、アジアで生産されたドライブレコーダー、カーナビ、サラウンドビューモニター製品は、中国を中心としたアジアの顧客だけでなく、中国の顧客企業によって製品化された完成品などが世界のほかの地域の顧客にも販売されている。また、複数のデザイン・ウィンを獲得した、電子ミラーやモバイルDVR製品などの車載カメラシステム市場の新しい分野の市場においても大きく成長している点はポジティブな要素だろう。
4. 四半期業績の推移
第2四半期単独(4-6月)においては、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響を受けた前年から世界の経済活動が正常化に向かう中で大幅な回復となった。特にいち早く経済活動を再開した中国での需要が急速に回復した影響が大きいだろう。また、市場環境としてはまだまだ本調子ではないにせよ、自動車メーカーの生産が急回復しているほか、自動運転やEV化に向けた動きが強まることで、車載向け半導体の需要が大きく伸びている。車載カメラ、電子ミラー、サラウンド・ビュー、ドライブ・レコーダーなど搭載する半導体の数量自体が増えているほか、同社はアジア市場で大きな市場占有率を有していることが強みであり、引き続き利益成長が拡大する可能性は高いと弊社では考えている。また、監視カメラにおいても、中国での売上比率が大きいものの、中国での需要というよりも中国企業による完成品が世界各国に販売されている形であり、依然として需要は大きいだろう。セキュリティ意識の高まりから、引き続き成長が見込まれると考えられる。
5. 地域別売上比率
地域別売上比率については、出荷先である監視カメラメーカー、ドライブレコーダー等の車載カメラメーカーがアジア地域に集中しているためアジア地域への販売比率が高い。監視カメラ向け半導体の販売好調により、メーカーが偏在する中国比率が69%と前年同期比の61%から8ポイント上昇した。一方で、台湾は前年同期の20%から17%、韓国は16%から12%に低下しており、日本は2%から1%に低下している。1社依存(中国の大手監視カメラメーカー)の状態がリスクファクターとして警戒視されやすい面はこれまでと変わらずあるだろう。実際、中国での監視カメラ向けオーディオ機能搭載ISPの出荷好調による影響が大きかった。ただし、全体として売上高が前年同期比で倍増する中、売上比率は低下したものの、台湾、韓国、日本においても売上高が大きく伸びている状況である点は正しく認識しなければならない。
前年には台湾の車載機器設計メーカーであるREC TECHNOLOGY CORPORATION(REC社)の自動車向け全方位モニター・システムに、映像送信用半導体「TP38xx シリーズ」が採用されたほか、台湾車載機器メーカーの創研光電股フン有限公司の車載用ハイビジョンカメラモジュールの新製品に、車載機器用半導体「TP2912」が採用されている。その他、台湾大手車載機器メーカーの奇美車電股フン有限公司の車載用デジタル・ビデオ・レコーダーの新シリーズに、映像受信用半導体「TP282x シリーズ」が採用されたほか、台湾大手車載ディスプレイメーカーのJoin-Link(ジョインリンク)社の車載用ハイビジョンサラウンドビューシステムの新シリーズに、映像受信用半導体「TP2854」が採用されており、車載機器において低コスト化と高い信頼性の両立をハイビジョン映像で可能にしたソリューションとして評価されている。また、国内の比率こそ小さいが、ドライブレコーダーの売れ筋ランキングにおいて、上位にランクインした機種においても、同社製半導体が採用されている。
さらに最近ではディスプレイコントロール用半導体の「TP6806L」が、韓国最大級の自動車メーカーの電子サイドミラーに採用されたと発表している。既に他社メーカー等への採用の動きも見られているようであり、地域売上比率にも今後変化が見られてくると弊社では考えている。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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