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エーバランス Research Memo(2):IT企業から再生可能エネルギーの総合カンパニーへ
配信日時:2021/09/29 16:02
配信元:FISCO
■会社概要
1. 会社沿革
Abalance<3856>は2000年4月にインターネットサービスの開発・運営、並びに企業向けナレッジマネジメントソリューションの提供を目的にIT企業として発足した。2007年9月に東証マザーズ市場(現在は東証第2部)に上場、調達した資金で海外のIT企業を買収し事業拡大を目指したが、2008年秋のリーマンショックによる業績悪化に伴い、海外のIT事業については2011年6月までにすべて売却した。
2011年11月に、建設機械の仕入販売やグリーンエネルギー事業を行っていたWWB(株)を株式交換により完全子会社化したのを契機に、その後はグリーンエネルギー事業を中心に推進していくこととなった。2017年3月に太陽光発電所の分譲販売事業を展開する(株)バローズを完全子会社化したほか、2019年1月にはWWBが光触媒酸化チタンコーティング剤及び関連製品の開発、製造販売を行う(株)鯤コーポレーション(現 日本光触媒センター(株))を子会社化した。また、2019年10月には、IT事業特有の市場変化への柔軟な対応等を企図し、同社の一事業として行っていたIT事業を分社化、Abit(株)を設立し、さらに、2020年11月には持分法適用関連会社であったFUJI SOLAR(株)を連結子会社化したことにより、その子会社であったベトナムの大手太陽光パネルモジュールメーカーのVSUNが連結対象子会社となった。直近では、2021年3月に太陽光パネルのリユース・リサイクル市場への進出を目的にPV Repowerを新設したほか、同年6月には水素エネルギー貯蔵システムの開発を目的にバーディフュエルセルズを新設し、グリーンエネルギー市場における事業領域の拡大を進めている。
2022年4月より東京証券取引所も新市場区分が導入されることで、同社はスタンダード市場でスタートするが、人材採用力の強化や中長期的な企業価値の向上につながるプライム市場入りの実現を目指していく。
なお、Abalanceの頭字の「A」には、「Ace」「All」「Action」の総称として「プロとして最高を目指し(Ace)、顧客を含めすべてのことに広く貢献するために(All)、事業活動を行い顧客とともに社会的価値を創り続けていく(Action)」という意味が込められている。「balance」は「調和」を意味し、同社グループの各事業の調和を最大限に図りつつ、すべてのステークホルダーが、同社グループとの間において実質的に公平に便益を享受し、有機的な調和を構築・維持できるようになることを目指すという決意を映している。また、グローバルな事業展開を目指して行く決意を含めるため、アルファベット表記としている。
ESG視点を持ち、事業を通じてSDGsへ貢献
2. ESG・SDGsへの取り組み
企業の長期成長性を判断する指標として、近年ESG(環境対応・社会責任・企業統治)が注目を集めている。地球環境や地域・国際社会、ステークホルダーへの価値提供により企業を評価し、いかに持続的に成長できるかを推測しようとする国際基準で日本企業も評価されている。ESGへの取り組みは同社グループの理念に合致するものであり、経営戦略へ積極的にESG視点を取り入れるとともに、SDGsの専門家を社外役員として招聘している。
グリーンエネルギー事業は、持続可能な脱炭素化社会の実現を企図したものでSDGsの潮流に沿っている。2030年までに国内と海外を合わせて発電能力で1GW(=1,000MW、原子力発電所1基分に相当)の発電所を保有する目標を立て、地球温暖化防止のためCO2削減に貢献することを掲げている。グリーンエネルギー事業の推進は、SDGs7(エネルギーをみんなに そしてクリーンに)、SDGs11(住み続けられるまちづくりを)、SDGs13(気候変動に具体的な対策を)への貢献と見ることができる。
また、海外事業では、ベトナムのホーチミン付近における太陽光発電所建設のほか、東南アジア諸国における現地の電力需要に応える複数プロジェクトを手掛けている。東南アジアにグリーンエネルギーを届けることは、地域のインフラや社会生活を支える重要な国際貢献の意義を持っている。都市部を離れた地域によっては日が沈むと闇に包まれてしまう環境があり、そうした地域にもグリーンエネルギーの光を届けたいと同社は説明している。
WWBは新製品の開発にも定評がある。農業と発電事業を同時に行うことができ、農地に支柱、地上空間に太陽光発電設備を設置するソーラーシェアリングの手法は、農業経営の安定化や後継者の育成のほか廃農地の解消にも貢献する。また、近年、頻発する大型台風による風雨災害とそれに伴う停電の発生を受けて、災害時の家庭用電源の利用に最適な折り畳み式軽量モジュールとセットしたポータブルバッテリー「楽でんくん」を自社開発している。災害対策に取り組む自治体などから有事に備えての引き合いが増えており、熊本県人吉市、宮崎県小林市、えびの市、宮城県角田市、福島県本宮市等へ寄贈も行っている。
SDGsが広まりを見せる以前から、同社グループはWWBを中心にそれに根差す活動を行っている。2011年3月に発生した東日本大震災の福島第一原発事故の際には、三一重工(SANY)※製の大型コンクリートポンプ車(通称:大キリン)の寄贈協力を行った。緊急時に利用するため、福島第一原子力発電所の構内に保管され、現在も使用可能な状態にある。車両やすべてのパーツが正しく作動するかなどについても、WWBはメンテナンス作業やパーツ交換などを無償で対応している。
※三一重工は、米キャタピラーやコマツ等と競合する中国の世界的建設機械メーカー。WWBは日本における正規代理店となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<EY>
1. 会社沿革
Abalance<3856>は2000年4月にインターネットサービスの開発・運営、並びに企業向けナレッジマネジメントソリューションの提供を目的にIT企業として発足した。2007年9月に東証マザーズ市場(現在は東証第2部)に上場、調達した資金で海外のIT企業を買収し事業拡大を目指したが、2008年秋のリーマンショックによる業績悪化に伴い、海外のIT事業については2011年6月までにすべて売却した。
2011年11月に、建設機械の仕入販売やグリーンエネルギー事業を行っていたWWB(株)を株式交換により完全子会社化したのを契機に、その後はグリーンエネルギー事業を中心に推進していくこととなった。2017年3月に太陽光発電所の分譲販売事業を展開する(株)バローズを完全子会社化したほか、2019年1月にはWWBが光触媒酸化チタンコーティング剤及び関連製品の開発、製造販売を行う(株)鯤コーポレーション(現 日本光触媒センター(株))を子会社化した。また、2019年10月には、IT事業特有の市場変化への柔軟な対応等を企図し、同社の一事業として行っていたIT事業を分社化、Abit(株)を設立し、さらに、2020年11月には持分法適用関連会社であったFUJI SOLAR(株)を連結子会社化したことにより、その子会社であったベトナムの大手太陽光パネルモジュールメーカーのVSUNが連結対象子会社となった。直近では、2021年3月に太陽光パネルのリユース・リサイクル市場への進出を目的にPV Repowerを新設したほか、同年6月には水素エネルギー貯蔵システムの開発を目的にバーディフュエルセルズを新設し、グリーンエネルギー市場における事業領域の拡大を進めている。
2022年4月より東京証券取引所も新市場区分が導入されることで、同社はスタンダード市場でスタートするが、人材採用力の強化や中長期的な企業価値の向上につながるプライム市場入りの実現を目指していく。
なお、Abalanceの頭字の「A」には、「Ace」「All」「Action」の総称として「プロとして最高を目指し(Ace)、顧客を含めすべてのことに広く貢献するために(All)、事業活動を行い顧客とともに社会的価値を創り続けていく(Action)」という意味が込められている。「balance」は「調和」を意味し、同社グループの各事業の調和を最大限に図りつつ、すべてのステークホルダーが、同社グループとの間において実質的に公平に便益を享受し、有機的な調和を構築・維持できるようになることを目指すという決意を映している。また、グローバルな事業展開を目指して行く決意を含めるため、アルファベット表記としている。
ESG視点を持ち、事業を通じてSDGsへ貢献
2. ESG・SDGsへの取り組み
企業の長期成長性を判断する指標として、近年ESG(環境対応・社会責任・企業統治)が注目を集めている。地球環境や地域・国際社会、ステークホルダーへの価値提供により企業を評価し、いかに持続的に成長できるかを推測しようとする国際基準で日本企業も評価されている。ESGへの取り組みは同社グループの理念に合致するものであり、経営戦略へ積極的にESG視点を取り入れるとともに、SDGsの専門家を社外役員として招聘している。
グリーンエネルギー事業は、持続可能な脱炭素化社会の実現を企図したものでSDGsの潮流に沿っている。2030年までに国内と海外を合わせて発電能力で1GW(=1,000MW、原子力発電所1基分に相当)の発電所を保有する目標を立て、地球温暖化防止のためCO2削減に貢献することを掲げている。グリーンエネルギー事業の推進は、SDGs7(エネルギーをみんなに そしてクリーンに)、SDGs11(住み続けられるまちづくりを)、SDGs13(気候変動に具体的な対策を)への貢献と見ることができる。
また、海外事業では、ベトナムのホーチミン付近における太陽光発電所建設のほか、東南アジア諸国における現地の電力需要に応える複数プロジェクトを手掛けている。東南アジアにグリーンエネルギーを届けることは、地域のインフラや社会生活を支える重要な国際貢献の意義を持っている。都市部を離れた地域によっては日が沈むと闇に包まれてしまう環境があり、そうした地域にもグリーンエネルギーの光を届けたいと同社は説明している。
WWBは新製品の開発にも定評がある。農業と発電事業を同時に行うことができ、農地に支柱、地上空間に太陽光発電設備を設置するソーラーシェアリングの手法は、農業経営の安定化や後継者の育成のほか廃農地の解消にも貢献する。また、近年、頻発する大型台風による風雨災害とそれに伴う停電の発生を受けて、災害時の家庭用電源の利用に最適な折り畳み式軽量モジュールとセットしたポータブルバッテリー「楽でんくん」を自社開発している。災害対策に取り組む自治体などから有事に備えての引き合いが増えており、熊本県人吉市、宮崎県小林市、えびの市、宮城県角田市、福島県本宮市等へ寄贈も行っている。
SDGsが広まりを見せる以前から、同社グループはWWBを中心にそれに根差す活動を行っている。2011年3月に発生した東日本大震災の福島第一原発事故の際には、三一重工(SANY)※製の大型コンクリートポンプ車(通称:大キリン)の寄贈協力を行った。緊急時に利用するため、福島第一原子力発電所の構内に保管され、現在も使用可能な状態にある。車両やすべてのパーツが正しく作動するかなどについても、WWBはメンテナンス作業やパーツ交換などを無償で対応している。
※三一重工は、米キャタピラーやコマツ等と競合する中国の世界的建設機械メーカー。WWBは日本における正規代理店となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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