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ワコム Research Memo(4):2024年3月期は「テクノロジーソリューション事業」の伸びにより増収増益
配信日時:2024/06/07 14:34
配信元:FISCO
*14:34JST ワコム Research Memo(4):2024年3月期は「テクノロジーソリューション事業」の伸びにより増収増益
■決算概要
1. 2024年3月期の業績概要
ワコム<6727>の2024年3月期の連結業績は、売上高が前期比5.4%増の118,795百万円、営業利益が同250.6%増の7,058百万円、経常利益が同243.6%増の9,853百万円、親会社株主に帰属する当期純利益(以下、最終利益)が同154.5%増の4,562百万円と増収増益となり、2024年3月29日付の上方修正予想をさらに上回る着地となった。
売上高は、円安効果※や好調なOEM需要を背景とする「テクノロジーソリューション事業」の伸びにより増収を確保した。ただ、「ブランド製品事業」については、プロ向け(既存モデル)の需要減に加え、消費者センチメントの悪化に伴う低価格帯モデルの苦戦も続いた。
※売上高全体を約75億円押し上げる要因となった。
損益面では、積極的な研究開発投資※1を継続しながらも、円安効果※2を含む「テクノロジーソリューション事業」の伸びや前期からの「一時的な費用」の減少※3により営業増益となった。ただ「ブランド製品事業」については、減収による収益の押し下げに加え、買付契約評価引当金※4の費用計上等によりセグメント損失が継続した。最終利益については特別損失41億円※5による影響を受けるも、営業増益や為替差益(営業外収益)29億円の計上により打ち返し大幅な増益を確保した。
※1 研究開発費は7,676百万円(前期比996百万円増)に増加した。
※2 営業利益全体を約12億円押し上げる要因となった(そのほとんどが「テクノロジーソリューション事業」によるもの)。
※3 市場環境の急激な変化に起因する買付契約評価引当金の計上、並びに棚卸資産評価損の計上(及び戻入)に係る「一時的な費用」の合計(純額)は22億円となり、前期に計上した「一時的な費用」の合計47億円から25億円減少した。
※4 買付契約評価引当金とは、一般的に安定的な資材仕入れを目的とする棚卸資産の長期買付契約に対して、市況の悪化等に伴う損失見込み額を引き当てる負債性引当金である。
※5 ブランド製品事業での長期買付契約に係る余剰部材の処理を目的とする一部サプライヤーとの和解金25億円のほか、ブランド製品事業に係る固定資産の減損処理9億円、事業構造改善費用6億円の計上に伴うもの。
財政状態については、在庫マネジメント(適正化)の推進※1により棚卸資産が減少した一方、現金及び預金が増加したことや、増収に伴う売上債権の増加等により、総資産は前期末比5.8%増の79,620百万円に拡大した。自己資本はマイナス要因(自己株式の取得※2)がプラス要因(内部留保の積み増しや為替換算調整勘定の増加)を上回ったことで前期末比11.2%減の35,968百万円に縮小した。これにより、自己資本比率は45.2%(前期末は53.8%)に低下した半面、資本効率を示すROEは11.9%(同4.3%)に大きく改善している。
※1 2024年3月期末の在庫金額(製品及び商品、仕掛品、原材料及び貯蔵品の合計)は前期末比40%減の131億円に大きく減少した。在庫金額がピークとなった2022年12月末と比べると約160億円の削減となっており、それに伴って100億円以上の現金創出を達成した。
※2 2024年3月期に総額約75億円(1,104万株)を取得した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
<HN>
1. 2024年3月期の業績概要
ワコム<6727>の2024年3月期の連結業績は、売上高が前期比5.4%増の118,795百万円、営業利益が同250.6%増の7,058百万円、経常利益が同243.6%増の9,853百万円、親会社株主に帰属する当期純利益(以下、最終利益)が同154.5%増の4,562百万円と増収増益となり、2024年3月29日付の上方修正予想をさらに上回る着地となった。
売上高は、円安効果※や好調なOEM需要を背景とする「テクノロジーソリューション事業」の伸びにより増収を確保した。ただ、「ブランド製品事業」については、プロ向け(既存モデル)の需要減に加え、消費者センチメントの悪化に伴う低価格帯モデルの苦戦も続いた。
※売上高全体を約75億円押し上げる要因となった。
損益面では、積極的な研究開発投資※1を継続しながらも、円安効果※2を含む「テクノロジーソリューション事業」の伸びや前期からの「一時的な費用」の減少※3により営業増益となった。ただ「ブランド製品事業」については、減収による収益の押し下げに加え、買付契約評価引当金※4の費用計上等によりセグメント損失が継続した。最終利益については特別損失41億円※5による影響を受けるも、営業増益や為替差益(営業外収益)29億円の計上により打ち返し大幅な増益を確保した。
※1 研究開発費は7,676百万円(前期比996百万円増)に増加した。
※2 営業利益全体を約12億円押し上げる要因となった(そのほとんどが「テクノロジーソリューション事業」によるもの)。
※3 市場環境の急激な変化に起因する買付契約評価引当金の計上、並びに棚卸資産評価損の計上(及び戻入)に係る「一時的な費用」の合計(純額)は22億円となり、前期に計上した「一時的な費用」の合計47億円から25億円減少した。
※4 買付契約評価引当金とは、一般的に安定的な資材仕入れを目的とする棚卸資産の長期買付契約に対して、市況の悪化等に伴う損失見込み額を引き当てる負債性引当金である。
※5 ブランド製品事業での長期買付契約に係る余剰部材の処理を目的とする一部サプライヤーとの和解金25億円のほか、ブランド製品事業に係る固定資産の減損処理9億円、事業構造改善費用6億円の計上に伴うもの。
財政状態については、在庫マネジメント(適正化)の推進※1により棚卸資産が減少した一方、現金及び預金が増加したことや、増収に伴う売上債権の増加等により、総資産は前期末比5.8%増の79,620百万円に拡大した。自己資本はマイナス要因(自己株式の取得※2)がプラス要因(内部留保の積み増しや為替換算調整勘定の増加)を上回ったことで前期末比11.2%減の35,968百万円に縮小した。これにより、自己資本比率は45.2%(前期末は53.8%)に低下した半面、資本効率を示すROEは11.9%(同4.3%)に大きく改善している。
※1 2024年3月期末の在庫金額(製品及び商品、仕掛品、原材料及び貯蔵品の合計)は前期末比40%減の131億円に大きく減少した。在庫金額がピークとなった2022年12月末と比べると約160億円の削減となっており、それに伴って100億円以上の現金創出を達成した。
※2 2024年3月期に総額約75億円(1,104万株)を取得した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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