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注目トピックス 経済総合 NY原油は75ドルブレイクか? サンワード貿易の陳氏(花田浩菜) 皆さん、こんにちは。フィスコリサーチレポーター花田浩菜の気になるレポートです。今回は、NY原油についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、NY原油について、『NY原油は75ドルブレイクか?』と述べています。続けて、『熱帯低気圧「ニコラス」の影響で、テキサス州が豪雨や停電に見舞われたものの、エネルギー関連のインフラが受けた被害は、ハリケーン「アイダ」により今月上旬にもたらされた規模を下回ったという。メキシコ湾岸の石油各社は、ハリケーン「ニコラス」通過に伴い、電力とパイプラインが早期再開となった。数週間前に発生したハリケーン「アイダ」からの復旧が進むとみられる。ただ、ガソリンや他の精製品の在庫は5年ぶりの低水準にあり、市場は非常に逼迫しているという。15日時点でメキシコ湾の原油は約30%、天然ガスは約39%の生産が停止』と伝えています。米国エネルギー情報局(EIA)が15日に発表した週間在庫統計について、『先週末の米原油在庫は350万バレル減少予想を上回る前週比642万バレル減少で、6週連続減少。ガソリン在庫は、200万バレル減少の予想に対し前週比186万バレル減少。中間留分在庫は、160万バレル減少予想に対し前週比169万バレル減少。受け渡し地クッシングの原油在庫も前週比3.0%減で4週振りの減少』と解説しています。また、『例年であれば、この時期はガソリン需要がピークを過ぎて暖房油需要まで時間があることから、需給の端境期となって価格が伸び悩むが、今年はハリケーンによる被害に加え、冬場をにらんだ天然ガス需要の増加を背景に原油相場も押し上げられている。ロシアからの欧州へのパイプラインが完成しても供給不安が払拭されず欧州市場で天然ガス価格の高騰が続き、アジアの相場もお押し上げている』と伝え、『経済回復と異常気象が重なり世界的に需要も旺盛だ。暖房需要が伸びる冬場に向けて一段と高騰する可能性から、暖房油需要増加が原油相場をサポートしている格好だ』と述べています。こうしたことから陳さんは、NY原油について、上値抵抗線の75ドルを越えて、75~80ドルのレンジに上昇する可能性がある』と予想しています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の9月16日付「NY原油は75ドルブレイクか?」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。フィスコリサーチレポーター 花田浩菜 <FA> 2021/09/17 17:38 注目トピックス 経済総合 正しく恐れる−北朝鮮長距離巡航ミサイルの脅威−【実業之日本フォーラム】 9月12日付北朝鮮労働新聞は、9月11日と12日に長距離巡航ミサイルの発射試験を実施したことを伝えた。報道内容の要約は次のとおりである。「発射された巡航ミサイルは、我が国の領土と領空の上空に設定された楕円及び8の字型の飛行軌道に沿って7,580秒(126分)飛行し、1,500km先の標的に命中した。(中略)ミサイルの飛行操縦性、複合誘導結合方式による末期誘導命中の正確さなど、設計上の要求をすべて満足させた。」各種報道では、ミサイル発射を探知できなかった可能性が有ること、射程がほぼ日本全土をカバーすること等から新たな脅威と喧伝する向きが多い。しかしながら、このような新装備の試験は、「世論戦」の一環として、その性能を過大に宣伝する場合があり、軍事的合理性に従って冷静な分析が必要である。限られた情報ではあるが、北朝鮮の報道及び公開された写真から分析を進めてみる。発射時の写真から判別できるのは、5連装のチューブを装備したTEL(Transporter-Elector-Launcher)を使用していること及び飛翔中のミサイルの形状が米国トマホークに酷似していることである。北朝鮮は中長距離弾道ミサイルもTELから発射している。移動が容易なTELを使用した発射は発射場所を予め特定することができず、防護側にとって対応が難しくなる。また、北朝鮮の報道によれば、「新しく開発したタービン送風式エンジン」を使用したとされている。米軍が保有するトマホークは、発射直後は個体ロケットブースターで加速され、巡航時はターボファンエンジンを使用している。今回の発射では、TELからの発射時のブラスト(炎等)の状況及び巡航時にほとんど噴煙を生じていないことから、トマホークと同様の形態で発射及び巡航するものと推定できる。飛翔した時間と距離から、当該巡航ミサイルの速度はマッハ0.6程度と推定され、亜音速ミサイルに分類される。米軍のトマホークがマッハ0.7であることから、やや低速と言える。F-15やSu-30の最高速度がマッハ2.3とされており、戦闘機より低速である。従って、探知さえすれば、防空ミサイルだけでなく、戦闘機でも対処可能と考えられる。米国をはじめ、ロシアや中国がマッハ5以上の極超音速巡航ミサイルの開発にしのぎを削っているのは、巡航ミサイルの「低速」という脆弱性を補うことを目的としている。ミサイルの誘導に関し、複合誘導結合方式を使用したとしている。楕円及び8の字飛行は、トマホークミサイル等同様の地形照合能力の検証であった可能性は否定できない。しかしながら、飛翔経路の大部分となる敵地での地形照合は、相手の地形を熟知していることが前提である。偵察衛星で多くの地形情報を入手できる米国に対し、市販レベルの地形情報しか保有しない北朝鮮では、その能力差は歴然としており、北朝鮮の巡航ミサイルが地形照合を使用した誘導方式である可能性は低い。測位衛星による位置情報及び予め設定したプログラムによる誘導である可能性が高いものと考える。労働新聞は「末期誘導命中の正確さという要求を満足させた」としているが、弾着精度は地形照合でより正確な位置が把握できるトマホークよりも悪いと見る方が自然であろう。長距離巡航ミサイルの最大の特徴は、数十から数百mという低高度を飛翔することにある。報道で、ミサイルの発射を探知できなかったのではないかとの指摘がある。発射後大気圏外という高高度を飛翔する弾道ミサイルと違い、低高度を飛翔する巡航ミサイルを探知することは、レーダーの見通し線という制限を受ける。その距離は、電波の屈折を考慮する場合、以下の数式で概算できる。D(見通し距離:km)=4.12(目標高度の平方根:m+レーダー高の平方根:m)高度100mを飛翔する巡航ミサイルを、山頂の高度900mに所在するレーダーで捜索する場合、見通し距離は約164kmとなり、最大射程が1,500kmであれば計算上は、ほぼ90%がレーダーの探知圏外となる。しかしながら、このことは巡航ミサイル全般に言えることであり、今回の北朝鮮長距離巡航ミサイル特有の問題ではない。弾道ミサイルを含め、ミサイルの多様化、UAV等無人機による脅威の増大という環境変化を受け、防衛省は、防空能力の強化を図りつつある。現在の中期防衛力整備計画においては「総合ミサイル防空能力」の強化がうたわれている。これは、各種脅威に対して単一の対処法では限界があることから、各種手段を重層的に組み合わせる取り組みをさらに発展させるものである。新たに調達されるE-2D早期警戒機や就役したばかりの海自イージス護衛艦「まや」及び「はぐろ」は、CEC(Cooperated Engagement Capability:共同交戦能力)を保有している。これは、E-2Dが探知した目標に対し、レーダー見通し圏外に存在する艦艇がミサイル攻撃を行う能力である。高速のデータ交換と、アクティブシーカーを装備するミサイル(SM-6)により、巡航ミサイルを早期に撃破しようとするものである。更に、現中期防には「スタンド・オフ攻撃能力」の整備も含まれている。防衛省は、スタンド・オフ攻撃能力として整備を進める長距離ミサイルを島嶼防衛用と説明している。しかしながら、当該ミサイルは、射程範囲内であれば策源地攻撃用としても使用できる。策源地攻撃の是非に関する国民的議論は、必ずしも十分とは言えないが、「総合ミサイル防空能力」では、ミサイルの発射後だけではなく、発射前に対処することも当然検討すべきであろう。いわゆる「Left Of Launch(発射の左側:ミサイル攻撃の流れを発射から弾着まで並べた場合、発射前は、発射の左側となることから命名された言葉)」攻撃能力が必要である。レトリックで曖昧とせず、正面からの議論をしなければならない時期にきている。軍事的観点から見た場合、北朝鮮の弾道ミサイルを含む各種ミサイルは現存する脅威であり、今回長距離巡航ミサイルが加わったことにより新たな脅威が出現したとは言えない。安全保障環境の変化に対応して、すでに防衛省が進めている「総合防空能力」向上で対応すべき脅威に含まれている。しかしながら現時点では、整備途中であり、長距離巡航ミサイルへの対処に一部欠落が生じているのは確かである。中国及びロシアに加えて、北朝鮮も当該能力を保有した、あるいは少なくとも保有しようとしていることは事実であり、「総合防空能力」整備を早急に進めるとともに、今までおざなりにしていた「策源地攻撃」に関する議論を詰める必要がある。限られた資源の中、脅威の本質を見極め、真に必要な機能を見極め、優先順位を定めて整備することが今ほど求められている時代はないであろう。(追記)本稿を執筆した後の9月15日に、北朝鮮は2発の弾道ミサイルを発射、日本のEEZ内に弾着したと報道されている。現時点(9月16日)で当該ミサイルは、今年3月に確認された短距離弾道ミサイルのバージョンアップ版と見られている。更に9月16日付労働新聞は、当該ミサイルが列車から発射される様子を掲載している。TELの代わりに列車を使用することにどの程度の利点があるか今後の分析を待つ必要があるが、軍事的合理性から考えれば、多種多様な装備があればあるほど、その維持整備は複雑になり、実運用を大きく阻害する。新しい装備の出現にとらわれ、いたずらに脅威をあおることのないように、冷静な分析が必要なことに変わりはない。サンタフェ総研上席研究員 末次 富美雄防衛大学校卒業後、海上自衛官として勤務。護衛艦乗り組み、護衛艦艦長、シンガポール防衛駐在官、護衛隊司令を歴任、海上自衛隊主要情報部隊勤務を経て、2011年、海上自衛隊情報業務群(現艦隊情報群)司令で退官。退官後情報システムのソフトウェア開発を業務とする会社において技術アドバイザーとして勤務。2021年から現職。写真:KCNA/UPI/アフロ■実業之日本フォーラムの3大特色実業之日本フォーラム( https://jitsunichi-forum.jp/ )では、以下の編集方針でサイト運営を進めてまいります。1)「国益」を考える言論・研究プラットフォーム・時代を動かすのは「志」、メディア企業の原点に回帰する・国力・国富・国益という用語の基本的な定義づけを行う2)地政学・地経学をバックボーンにしたメディア・米中が織りなす新しい世界をストーリーとファクトで描く・地政学・地経学の視点から日本を俯瞰的に捉える3)「ほめる」メディア・実業之日本社の創業者・増田義一の精神を受け継ぎ、事を成した人や新たな才能を世に紹介し、バックアップする <FA> 2021/09/17 15:48 注目トピックス 経済総合 (中国)上海総合指数は売り先行もプラス圏回復、買い戻しが優勢 17日の上海総合指数は売り先行。前日比0.33%安の3595.27ptで寄り付いた後は、日本時間午前10時50分現在、0.25%高の3616.06ptで推移している。連日の下落で値ごろ感が強まり、買い戻しが優勢。また、政策期待の高まりも支援材料となっている。一方、中秋節連休で週明けの20日(月)と21日(火)の株式市場が休場となり、積極的な買いは手控えられている。 <AN> 2021/09/17 10:54 注目トピックス 経済総合 銀リンク債を対象とするコール型eワラントが前日比2倍の大幅上昇(17日10:19時点のeワラント取引動向) 新規買いは原資産の株価上昇が目立つ日本郵船<9101>コール135回 11月 7,900円を順張り、アドバンテスト<6857>コール205回 11月 9,100円を順張り、商船三井<9104>コール114回 11月 7,200円を順張りで買う動きや、原資産の株価下落が目立つ日本製鉄<5401>コール254回 11月 2,600円を逆張り、日本製鉄プット227回 11月 2,000円を順張り、JFEホールディングス<5411>コール153回 11月 2,050円を逆張りで買う動きなどが見られる。手仕舞い売りとしてはイーサリアム2021年11月 プラス5倍トラッカー2回 11月 2,300米ドル、WTI原油先物リンク債_2021年12月限コール11回 月 55米ドル、明治ホールディングス<2269>コール56回 月 6,900円、鹿島建設<1812>コール62回 月 1,400円などが見られる。上昇率上位は銀リンク債コール63回 10月 28米ドル(前日比2倍)、銀リンク債 プラス5倍トラッカー27回 10月 24米ドル(+60.9%)、銀リンク債コール62回 10月 25米ドル(+28.6%)、銀リンク債 プラス5倍トラッカー29回 11月 23米ドル(+27.7%)、金リンク債コール353回 11月 2,050米ドル(+25.0%)などとなっている。(eワラント証券) <FA> 2021/09/17 10:39 注目トピックス 経済総合 『日米中の軛』日米中の罠:日本が避けるべきもの(船橋洋一編集顧問との対談)(1)【実業之日本フォーラム】 ゲスト船橋洋一(実業之日本フォーラム編集顧問、一般財団法人アジア・パシフィック・イニシアティブ理事長、元朝日新聞社主筆)聞き手白井一成(株式会社実業之日本社社主、社会福祉法人善光会創設者、事業家・投資家)■日露戦争が変えたアメリカの対日観白井:日米中は、世界第一位から三位までの経済大国であり、三か国の関係が世界政治に多大な影響を及ぼすといっても過言ではないでしょう。一方で、その関係はさまざまです。日本にとって、アメリカは同盟国であり、中国は最大の貿易相手国です。日本にとって、両国とも戦争の相手であり、侵略した相手でもあります。米中関係が複雑化する中で、日本はどういう立ち位置で、どういう考えをもって動くべきか。今まさに日本にとって外交、安全保障、経済の最も難しい局面が来ている気がしますが、日本の動き方を考えるためには、日本の対米観、対中観を、まず認識しておく必要があろうかと思います。先生のお考えはいかがでしょうか。船橋:これも少し歴史的に振り返る必要があります。インド太平洋、少し前のアジア太平洋において、日本が地政学的に非常に難しい軛を感じたのは、日露戦争のあとでしょう。セオドア・ルーズベルトが仲裁役となり、1905年9月にポーツマス条約が成立し、曲がりなりにも日本は戦勝国となりました。しかしその瞬間から、アメリカの対日観は冷えていくわけです。中国への進出をはかろうとしていたアメリカは、ロシアがアジア太平洋の一強国家になっては困るという判断から、それまで日本を応援していました。しかし、日露戦争で日本が勝利すると、今度は日本が太平洋の一強になっては困ると考えるようになりました。日本は中国におけるアメリカの権益を脅かすから、むしろ中国をもり立てて日本に対抗させろというように変わってくるわけです。日本は、1907年の帝国国防方針で、ロシアとアメリカを主要な仮想敵国としました。アメリカも、1906年に非公式調査に着手し、1908年にハワイに海軍基地を置くことを決めました。その後、1924年に正式採用された「オレンジ計画」で、日本を仮想敵国に措定しました。日露戦争後、期せずして日米が、それぞれを仮想敵国とみなし始めたわけです。その文脈で、日本を押さえ込むには中国と握っていこうというベクトルが、日露戦争後、生まれ始めたのですね。白井:アメリカの日本に対する脅威認識は日露戦争直後からだったのですね。アメリカの中には、日米で一緒に満州の開発に取り組もうとするハリマン財閥のような動きもあったと思います。ロシアを抑え込み、中国でともに繁栄するパートナーとして位置づけることもできたと思うのですが、日本をより大きな脅威だと認識した理由は何でしょうか。船橋:日本がシーパワーだったからです。アメリカは、1898年の米西戦争から、キューバ、グアム、フィリピンといったスペインの領地だったところをすべて獲得し、ハワイも併合し、西太平洋、南太平洋まで一気に版図を拡大しました。こうして太平洋を西に突き進むアメリカの前に、朝鮮半島から中国に権益を拡大しつつあった日本が立ちはだかってきたとアメリカは見たのです。1853年にペリー率いるアメリカ合衆国東インド艦隊が来航し、開国させた日本が、半世紀ほどの間に勢力を拡大し、西太平洋から南シナ海へと勢力圏を広げようとしている。ルーズベルト大統領は、フィリピンの領有は「米国のアキレス腱」だと感じ始めていました。フィリピンは、日本とは直線距離で3,000キロメートルほどしか離れていません。フィリピンが日本に併合される危険性が生じたことで、アメリカは日本に対する安全保障上の脅威を感じるようになりました。1930年代に満州事変、そして日中戦争が起こると、日米の対立関係はさらに深まり、米国は日本と正面から衝突するようになります。これは1949年の中国革命まで続きます。日本敗戦の1945年までは、アメリカと中国は連合国として同盟国でした。ですから、米中は20年近い間、同盟あるいは準同盟という関係であったわけです。■アメリカの地政学的DNA白井:そういったことを鑑みると、一般に考えられている以上に、米中というのは非常に深い同盟関係を持っていたことになりますね。日本という敵国に対して一緒に戦った、そういう経験もあるということですね。これは、現在の日米中の関係を前提としたとき、日本にはなかなか見えにくいところではないでしょうか。船橋:戦後の米中関係についても、米中のこのいわば “1930年代システム”の記憶と音律の伏流水のようなものを感じたことがあります。例えば、1972年のニクソンによる頭越し訪中ですね。その年2月にニクソンが、北京で毛沢東や周恩来と会談します。そのときに中国を説得するために使われたロジックが2つあるのですが、そのうち1つは、「日本は危ない国である」という論理です。ニクソンは周恩来にこう言っています。「日本は、国民として、膨張主義の衝動と歴史を持っています。もし彼らが経済的には巨人だが軍事的には小人のまま放り出されたら、軍国主義者の要求にやすやすと従うような結果になるのはさけられないと私は思います。他方で、アメリカにいる我々が彼らと密接な関係を保ち、彼らの防衛を引き受けてやっていたらーーかれらは核防衛ができませんからーー経済的膨張の次に軍事的膨張がくるという道を、日本にたどらせないことができるのではないでしょうか。しかし、それは彼らと密接な関係があってのことです。もし密接な関係がなくなれば、彼らは我々に関心をはらわなくなるでしょう」。(毛利和子・毛利興三郎『ニクソン訪中機密会談録』、名古屋大学出版会、2001、p103)要するに、「中国が誰よりも知っているように、日本は危ない国である。経済が回復して経済大国になったが、いずれ軍事大国になる。そうなると中国は困るのではないか。しかし、アメリカがしっかり日本に勝手な真似はさせないから安心してほしい。日米同盟はそのためのものでもあるのだから、念のため」ということを言おうとしているのですね。典型的な「瓶の蓋」論です。ニクソンのもう1つのロジックは、「ソ連は危ない国である」という論理です。ニクソンは周恩来に次のように言っています。「アメリカは日本の水域を出ていくことはできますが、そうすれば他のものがそこで魚を取り始めるでしょう。またアメリカと中国はともに日本軍国主義の過酷な経験をしました。過去において日本の政府を性格づけてきた軍国主義からは今は状況が永遠に変わったのだと我々も望みます。しかし、一方でアメリカが日本を裸のままにしてでていったとき、中国にとって不都合なことが起こりかねないと感じますし、そうならないと言う保証はしかねます。日本人は、あの巨大な生産的な経済、大きな自然の衝動、敗北した戦争の記憶などから、アメリカの保障がはずれたなら、自分自身の防衛体制を築く方向に向かうことが大いにありえます。(原文、以下5行略)他方で、日本は中国に向かうかソ連に向かうかの選択肢を持ちます」。アメリカの軍隊が日本から去れば、日本は独自の防衛力増強に向かうか、中国に向かうか、あるいは日本がソ連に寄って行くか」という3つの可能性に触れ、中国に日米同盟がまだしもましだと思わせようとするのです。ニクソンの話を聞いた中国の指導者からすると、アメリカは日本をそんなに信用していないのか、と驚いたのではないでしょうか。「瓶の蓋」論は、多分に戦術的な便法だったにしても、アメリカが中国に対してそういったロジックを使ったこと、そして、アメリカがアジア太平洋にまみえるとき、この地域に覇権国をつくらせないため合従連衡を厭わないこと——そうした地政学的リアリズムとアメリカの地政学的DNAを我々は心のどこかにとどめておかなければなりません。船橋洋一(実業之日本フォーラム編集顧問、一般財団法人アジア・パシフィック・イニシアティブ理事長、元朝日新聞社主筆)『日米中の軛』日米中の罠:日本が避けるべきもの(船橋洋一編集顧問との対談)(2)【実業之日本フォーラム】へ続く <RS> 2021/09/17 10:30 注目トピックス 経済総合 『日米中の軛』日米中の罠:日本が避けるべきもの(船橋洋一編集顧問との対談)(3)【実業之日本フォーラム】 本稿は、『日米中の軛』日米中の罠:日本が避けるべきもの(船橋洋一編集顧問との対談)(2)【実業之日本フォーラム】の続きである。■中国に対する静かな抑止力をつくるのが得策白井:同盟関係にある日米の間でも、慎重に対応しなければならない問題があるのですね。安保条約の適用対象であることを単に確認するだけではなく、どのような状況でもアメリカがともに戦ってくれるような信頼関係を築くことが重要だと、改めて思いました。そのために日本がやるべきことは、まだまだ多いように感じます。尖閣を巡って直接対立している中国に対しても、日本がやらなければならないことは多いのではないでしょうか。日中関係で気を付けるべきことは何でしょうか。船橋:「日米中の罠」の三角関係でも、日中関係は最も危ない部分であり、最も恐ろしい罠が潜んでいるところだと思います。2009年に鳩山内閣ができたとき、鳩山由紀夫首相は「東アジア共同体」という構想を作りました。2009年7月に公表した民主党マニフェストには、「東アジア共同体の構築をめざし、アジア外交を強化する」とされています。アメリカを除外したアジアの国々だけで地域的アーキテクチャを作るという構想です。これを鳩山首相は、胡錦濤中国国家主席や、ベトナム、オーストラリア、シンガポール、それぞれの首脳に持ちかけました。アメリカは、鳩山首相による沖縄の普天間基地の県外移設や、「トラスト・ミー」発言に猛烈な不信感を抱きましたが、実は一番不信を抱いたのは、このアメリカ抜きの「東アジア共同体」構想を最初に中国に相談したことだったのです。先に触れたジェフリー・ベーダーの回想録にもブッシュ政権が本構想に疑いを持っていることが記載されています。「これだけは許さない」と書かれています。日本に裏切られたという気持ちをアメリカが抱いた。人間社会もそうですが、国際関係でも、とりわけ同盟関係において「裏切り」の感情を相手国に抱かせるほど破壊的なことはありません。アメリカを除外したアジア・オンリーの構想をことによって日本から発せられることにアメリカが衝撃を受け、徹底的な不信感を募らせた。アメリカだけではありません。2009年10月に鳩山首相と首脳会談に臨んだシンガポールのリー・シェンロン首相は、東アジア共同体構想に対し、「地域のバランスの観点からは米国の関与が重要である」と釘を刺しています。かたや、中国にとっては、日米間にくさびを打ち込むというまたとないチャンスが到来です。長年の夢である日米同盟の中和化ができます。日米同盟だけではなく、アメリカの西太平洋における同盟システムを一気に弱体化できます。実際、その後の尖閣諸島問題で、日米関係はきしみました。ただし、それ以上に日中関係がすさまじく軋み、破綻しかけてしまった。ところが、トランプ政権が登場し、米中関係が激しく緊張すると、中国は日本に秋波を送るようになります。中国証券監督管理委員会が2019年3月に、野村證券の中国の合弁証券子会社に51%の出資比率を認めたことなどがその典型でしょう。秋波を送られたら、それを活用してこちらも微笑む度量は必要ですが、中国の秋波外交は、あくまで戦術的、一時的なパンダ外交であることを知っておく必要があります。白井:日本は、中国からの戦略的秋波を敏感にキャッチし、それに乗ってはならないということですね。バイデン政権が誕生してからも戦略的秋波の状況が変わらないということは、裏返せば、中国は、TPPやRCEPに対するアメリカの政策がそれほど変化しないと見ているのでしょう。そういった点でも三か国の関係を観察することは有益です。それぞれの二か国の関係がもう1つの国に与える刺激、リスク、誤解といった影響が日米中の罠だと理解しましたが、罠を避けるために日本が注意すべきことは何でしょうか。船橋:どの二国間関係の管理も他の二国関係の管理からの影響を受け、横波を被るため、まず、「日米中の罠」がどこにあるか、それをわきまえることです。その罠にはまらないようにする。これが第一です。現在、日本にとっての最大の罠は、米中対決が決定的になってしまうことです。日本の動きが、それを促してしまうことだと私は思っています。そうさせないように対米、対中関係を安定させるよう環境づくりをすることです。そのための対中抑止力とバランス・オブ・パワーを維持することが大切です。自分の国を自分で守る自立の覚悟と同盟を維持する責任の双方が必要です。そして、アジア太平洋の、自由で、開かれ、持続的な秩序形成を他のアジア諸国とともに先頭に立って推進できる国(a pivot state)としてルール・シェイパー役を果たすことです。中国に対する抑止力構築も、アジア太平洋での自由で、開かれ、持続的な国際秩序も、敵味方を明確にしない、バランシング・アクトを心掛けるべきです。抑止力も明瞭ではあるが静かな抑止力をつくるのが得策です。中国共産党が国民のナショナリズムを煽らないようにすること、そして、国民のナショナリズムが中国共産党の外交の選択肢を狭くしないようにすることも、重要です。そして最後に、日本の国力と国富の再創出と自由主義と民主主義の進展が望まれます。船橋洋一(実業之日本フォーラム編集顧問、一般財団法人アジア・パシフィック・イニシアティブ理事長、元朝日新聞社主筆) <RS> 2021/09/17 10:17 注目トピックス 経済総合 『日米中の軛』日米中の罠:日本が避けるべきもの(船橋洋一編集顧問との対談)(2)【実業之日本フォーラム】 本稿は、『日米中の軛』日米中の罠:日本が避けるべきもの(船橋洋一編集顧問との対談)(1)【実業之日本フォーラム】の続きである。■尖閣諸島をめぐる日米同盟のきしみ白井:米中が戦略的に共通の利益を見出した時には同盟関係を結ぶ可能性があり、日本やロシアがその要因のひとつになり得ることはよくわかりました。そう考えると、現在同盟関係にあるアメリカと日本の関係はどうあるべきか、ということが気になります。トランプ政権に対して日本は、貿易問題や在日米軍駐留経費の問題などがあったものの、総じて良好な関係を維持できた印象があります。特に、中国との間で領有権が問題となっている尖閣諸島は、日米安全保障条約の適用対象であると日米間で確認されました。この点では、バイデン大統領も同様の発言をしています。船橋:尖閣諸島は、日中ともに領有権を主張していますが、施政権は日本が執行している状態になっています。さらに日本政府は、2012年9月に、「尖閣諸島における航行安全業務を適切に実施しつつ、尖閣諸島の長期にわたる平穏かつ安定的な維持及び管理を図るため」だとして、民間人所有者から魚釣島、北小島、南小島の3島を、20億5,000万円で購入し国有化しました。これに対して中国は、それまで月に数回の頻度で繰り返してきた、尖閣周辺の接続水域や領海への数隻の公船による侵入を、劇的に増加させました。こうした公船の活動は、中国の漁船を取り締まるという名目で、中国が施政権を執行している姿を世界に誇示します。施政権を持っている中国はそれを行使している、日本よりしっかりやっている、ということを見せているわけです。アメリカは、日米安保条約の第5条によって、同盟国が施政権を行使しているテリトリーに対する防衛義務を負っています。しかし、このことは逆に、日本が施政権を執行できていないことが明白になれば、アメリカはここに関する防衛義務を負うことはないということになりえます。ですから中国は、尖閣に対して日本が十分に施政権を行使していない、行使しているのは中国であるということをアメリカに見せ、そのようにアメリカの国民に認識させようとしているのです。そうすることによって、尖閣で日中の軍事的衝突が起こる、あるいは何らかの軍事紛争が起こった場合に、日本に対してアメリカが防衛義務を負わない状況を“作ってあげよう”としているのです。白井:その点については全く同意見です。中国が日本の国有化にタイミングを合わせて公船の活動を活発化させていることからも、そういう意図をもって尖閣に公船を出してきていることは明白であり、何としてもアメリカや世界に誤った認識を持たれないようにしなければなりません。そのためには、日本としても毅然とした態度で施政権を行使することが必要だと考えています。一方で、中国による施政権争奪の挑戦は、東シナ海における現状変更への挑戦だとみることもできると思います。それは、地域的に密接な影響を及ぼしあう台湾にも波及する可能性があるのではないでしょうか。そういった視点で見た場合、アメリカが中国の行動を黙認することは、日本にとってだけではなく、アメリカにとっても決してプラスにはならないと思うのですが、その点についてどうお考えでしょうか。船橋:2012年に尖閣諸島の国有化を発表したのは、民主党の野田政権でした。しかし、きっかけは、当時の石原慎太郎東京都知事が、ワシントンのヘリテージ財団が主催するシンポジウムでの講演で、尖閣諸島を所有者から買い取る方向で合意したことを明らかにしたことです。石原都知事は、尖閣を購入したら嵐の時に漁民が避難できる船だまりを作るという構想を明らかにしていましたから、都が所有すると中国との間に軋轢が生じてしまう危険性がありました。野田首相は、そんなことになるくらいなら、国有化による管理をして中国との関係を制御した方がいいと判断したのです。そうやって領土問題をエスカレートさせずに済ませられるなら同盟国であるアメリカも理解するだろうと期待したのです。ところが、アメリカ政府は日本のこうした判断に理解を示すどころか、強い不満と不快感を示しました。アメリカの最初の反応は、「余計なことをしてくれるな」というものだったのです。「そんなことをして、もし軍事的紛争になったらどうするのだ。傍迷惑だ」ということだったわけです。のちに2016年1月に、大統領予備選に出馬したヒラリー・クリントンの国務長官時代のメール数万通が公表されましたが、その中にキャンベル国務次官補が国有化問題について報告したメールが含まれています。クリントンは長官時代、私用のメールアドレスを公務に使っていたことが問題になったため、国務省が発表したのです。その中に、2012年9月3日、佐々江賢一郎外務事務次官がキャンベルに電話した内容をキャンベルがバーンズ国務副長官に送り、クリントンに転送したメールがあります。「電話の目的は、日本政府が間もなく尖閣諸島を購入することを知らせるものだった。政府と所有者はすでに売買価格で合意しており、所有者はこの一連の行動について、石原東京都知事の理解を得ようとしているとのことだった。石原は納得しそうにない」キャンベルはその後で、自分がこの年の夏、訪日したとき、佐々江に「この計画については北京と話し合うように求めた」ことを指摘するとともに、「日本政府は度重なる熟考の末に結論を出したところで、中国は明らかに激怒している。しかし、佐々江は、中国は実際にはこの行動の必要性を理解しており、受け入れるだろうと信じている。どうなることやら(I am not so sure.)」と報告しています。「中国が理解している」との日本側の説明に疑問を呈していますが、結果的にはキャンベルの見通しが正しかったわけです。オバマ政権のNSCアジア上級部長だったジェフリー・ベーダーは回想録の中で、2010年9月の中国漁船衝突事件をめぐる日米同盟への意味合いに関して、次のように記しています。「尖閣問題はオバマ政権に複雑なジレンマを提起していた……・・・ワシントンは中国に威嚇されている同盟相手である日本との団結を示したがったが、同時に日本の対応にはいかにも不手際が目立っていた。それにもまして、日中両国がこのような岩しかない小島をめぐって武力衝突するかもしれない、あるいはアメリカがそれに巻き込まれるかもしれないなどと思うのはばかげていた」。同盟には「巻き込まれるリスク」と「見捨てられるリスク」の2つのリスクがあるといわれています。これまでの日本は、アメリカの戦争に「巻き込まれるリスク」を常に感じてきました。ベトナム戦争がその典型です。ところが2010年代以降、尖閣をめぐって日中が鋭く対立するようになってから、アメリカのほう方が「巻き込まれるリスク」に敏感になりました。ベーダーの回顧録はその懸念を如実に表しています。その一方で、日本の方は、アメリカがどこまで日本を守ってくれるのかということに自信が持てなくなって来ました。すなわち「見捨てられるリスク」を感じ始めるようになったわけです。船橋洋一(実業之日本フォーラム編集顧問、一般財団法人アジア・パシフィック・イニシアティブ理事長、元朝日新聞社主筆)『日米中の軛』日米中の罠:日本が避けるべきもの(船橋洋一編集顧問との対談)(3)【実業之日本フォーラム】へ続く <RS> 2021/09/17 10:17 注目トピックス 経済総合 NYの視点:米8月小売売上高ポジティブサプライズもコロナ株の影響への懸念も存続、Q3の見通し引き下げ 米商務省が発表した8月小売売上高は前月比+0.7%と、予想外に7月-1.8%からプラス圏に改善した。変動の激しい自動車を除いた小売売上高は前月比+1.8%。7月-1.0%からプラスに改善し、3月来で最大の伸び。新型コロナウイルスのデルタ変異株流行や財政支援の縮小で、消費マインドが大きく悪化している兆候が見られ、米国経済の7割を占める消費の鈍化が懸念されていた。このため注目されていた8月小売売上高は前月比+0.7%と、2カ月マイナス予想に反してプラス圏に改善。変動の激しい自動車を除いた小売売上高も前月比+1.8%。7月-1.0%からプラスに改善し、3月来で最大の伸び。バイデン政権が7月に実施した子育て控除が支援したほか、新型コロナによりリモートで行われていた授業が対面授業が再開されることに絡んだ消費の増加も寄与したと見られる。国内総生産(GDP)の算出に用いられる自動車、建材、給油、食品を除いた小売売上高、コントロールグループは前月比+2.5%と、7月の-1.9%からプラスに改善。伸び率は3月以来で最高となった。デルタ株による消費の鈍化や長引くサプライチェーンの混乱による製造業活動の鈍化が回復を損なうと懸念されていたが、小売売上高や製造業の強い結果を受けて、7-9月期GDPでも順調な回復が見られる可能性がある。同時に内訳では、レストランなどでの外出に伴う消費が控えられ、逆に食料品や飲料の売り上げが伸びた。また、オンラインでの消費も増え、デルタ株流行の影響で、消費者が再び在宅傾向にあることが証明されたことは必ずしも経済にとり明るい材料ではない。百貨店:+2.4%(前月比-0.2%)電化製品:-3.1%(-1.0%)食品・飲料:+1.8%(-0.8%)外食:0(7月+1.3%)アトランタ連銀の7-9月期GDP成長見通しは3.6%へ、従来の3.7%から下方修正された。輸出や居住不動産投資がマイナスに寄与したと説明。ゴールドマンサックスはQ3成長見通しを従来の9%から5.5%へ下方修正。JPモルガンもQ3成長見通しを従来の7%から5%へ引き下げた。米連邦準備制度理事会(FRB)が年内に資産購入縮小を開始することは正当化されつつあるが、利上げの条件が整うにはまだ先になると考えられる。 <FA> 2021/09/17 07:38 注目トピックス 経済総合 SUMCOを対象とするプット型eワラントが上昇率上位にランクイン(16日10:33時点のeワラント取引動向) 新規買いは原資産の株価上昇が目立つファーストリテイリング<9983>コール335回 10月 85,000円を順張り、日本郵船<9101>コール137回 11月 10,300円を順張りで買う動きなどが見られる。手仕舞い売りとしてはファーストリテイリングプット289回 10月 74,000円などが見られる。上昇率上位はプラチナリンク債 プラス5倍トラッカー31回 10月 950米ドル(+31.3%)、SUMCO<3436>プット168回 10月 2,100円(+24.4%)、SUMCOプット169回 10月 2,450円(+22.6%)、ENEOSホールディングス<5020>コール92回 10月 525円(+21.6%)、大和証券グループ本社<8601>プット70回 10月 575円(+21.3%)などとなっている。(eワラント証券) <FA> 2021/09/16 10:49 注目トピックス 経済総合 (中国)上海総合指数は0.23%安でスタート、各分野の引き締め強化を警戒 9日の上海総合指数は売り先行。前日比0.23%安の3666.825ptで寄り付いた後は、日本時間午前10時50分現在、0.22%安の3667.177ptで推移している。各分野に対する当局の引き締めの警戒感が再び高まっていることが警戒されている。一方、景気対策への期待が高まっていることが引き続き指数をサポートしている。 <AN> 2021/09/16 10:49 注目トピックス 経済総合 トルコリラ円は、上値の重い展開になりそう サンワード貿易の陳氏(花田浩菜) 皆さん、こんにちは。フィスコリサーチレポーター花田浩菜の気になるレポートです。今回は、トルコリラ円についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、今週のトルコリラ円について『トルコ中銀のハト派的な見解を受けて上値の重い展開になりそうだ』と述べています。次に、『3日に発表された8月トルコ消費者物価指数(CPI)が前年比19.25%と前回の18.95%、予想の18.73%を上回ったものの、同時に発表された変動の大きいエネルギーと食料品を除いたコア指数が前年比16.76%と前回の17.22%、予想の16.96%を下回った。政策金利は3月以降、19.00%に据え置かれている』と伝えています。続けて、『通常のインフレ率であれば、実質金利=名目金利−インフレ率=19.0−19.25=−0.25%となりマイナス金利に落ち込むが、コア指数でインフレ率を考えれば、実質金利=名目金利−インフレ率=19.0−16.76=+2.24%となりプラスになる』と解説しています。トルコ中央銀行のカブジェオール総裁について、『8日、コアCPIの結果を受けて、現在19.0%の政策金利は十分に引き締め的で、インフレ率は第4四半期に低下するとの見通しを示した。エルドアン大統領の利下げ意向を汲んで、利下げを示唆する姿勢を見せたため、市場では金融緩和の用意があると受け止められ、リラが急落した』と言及しています。さらに、『9月23日にトルコ中銀会合が開かれるが、利下げが決定となればトルコリラ売りが加速する可能性があるだろう』と考察しています。こうしたことから陳さんは、トルコリラ円の今週のレンジについて、『12.80円~13.60円』と予想しています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の9月14日付「トルコリラ円今週の予想(9月13日)」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。フィスコリサーチレポーター 花田浩菜 <FA> 2021/09/16 09:26 注目トピックス 経済総合 NYの視点:9月NY連銀製造業景気指数はQ3の強い経済を示唆、8月小売に注目 米9月NY連銀製造業景気指数は34.3と、8月18.3から予想外に予想のほぼ2倍近く上昇し、強い成長を示唆した。地区連銀製造業指数の中でも、早い時期に発表される同指数は最新の製造業活動状況を判断する上で度々注目される。加えて、6カ月先の見通しで景況指数が48.4と、8月46.5から上昇していることも期待が持てる。3カ月平均も31.87と第3四半期の製造業が引き続き力強いことを示唆。設備投資計画も拡大基調にあり、継続しているサプライチェーンのボトルネック問題やインフレ圧力も過剰に懸念する必要はないとの見方に繋がっている。2020年7月からプラス圏で推移しており、成長基調にある。8月分では重要項目の新規受注が33.7と、前月14.8から上昇、出荷も26.9と、4.4から上昇しており、全体指数を押し上げ。仕入れ価格は75.7と、前月76.1から小幅低下したものの、依然高止まり。販売価格は47.8と、46.0から上昇。一方、期待の仕入れ価格や販売価格は前月から低下し、伸び悩んでいることは安心感に繋がっている。■米9月NY連銀製造業景気指数景況指数:34.3(8月18.3、6カ月平均27.3)仕入れ価格:75.7(76.1、77.8)販売価格:47.8(46.0、39.8)新規受注:33.7(14.8、25.6)出荷:26.9(4.4、24.0)入荷遅滞:36.5(28.3、27.8)在庫水準:11.3(6.2、8.3)受注残:20.9(15.0、16.4)雇用者数:20.5(12.8、15.6)週平均就業時間:24.3(8.9、15.6)6カ月先見通し景況指数:48.4(8月46.5、6カ月平均43.1)仕入れ価格:61.7(66.4、65.8)販売価格:51.3(52.2、49.3)新規受注:48.4(42.7、41.0)出荷:54.7(45.9、44.8)入荷遅滞:1.7(0.9、6.5)在庫水準:13.0(8.0、12.8)受注残:0.0(0.0、2.6)雇用者数:40.3(38.5、40.3)週平均就業時間:8.7(2.7、8.9)一方で、新型コロナウィルスの変異株流行で消費者マインドが悪化している。米国経済の7割を占める消費の伸びが滞り、景気回復の障害になるとの警戒感は根強い。中国の8月小売りも予想を大幅に下回る伸びにとどまった。製造業の順調な回復が証明された形だが、商務省が発表する8月小売売上高でさらに消費動向を探る。 <FA> 2021/09/16 07:39 注目トピックス 経済総合 8月の各種経済指標:そろって予想下振れ、回復テンポは鈍化 8月の小売売上高と鉱工業生産の上昇率(前年同月比)は、それぞれ2.5%、5.3%となり、それぞれ前月の8.5%、6.4%と予想の7.0%と5.8%を下回った。また、同月の固定資産投資(都市部)や不動産投資もそろって前月と市場予想より弱い結果となった。景気回復テンポの鈍化は鮮明だ。 <AN> 2021/09/15 12:03 注目トピックス 経済総合 (中国)上海総合指数は0.31%安でスタート、当局の引き締めスタンスを警戒 15日の上海総合指数は売り先行。前日比0.31%安の3651.16ptで寄り付いた後は、日本時間午前10時46分現在、0.18%安の3656.10ptで推移している。各分野に対する当局の引き締めスタンスが引き続き警戒されている。また、前日の米株安も中国株の売り圧力を強めている。ほかに、きょう15日日本時間午前11時ごろ、8月の各種経済指標が発表されるため、慎重ムードが強い。 <AN> 2021/09/15 10:51 注目トピックス 経済総合 日東電工を対象とするプット型eワラントが上昇率上位にランクイン(14日10:06時点のeワラント取引動向)(15日10: 手仕舞い売りとしてはSBIホールディングス<8473>コール285回 10月 3,400円などが見られる。上昇率上位は日東電工<6988>プット147回 10月 8,100円(+17.3%)、日東電工プット146回 10月 6,900円(+15.5%)、アサヒグループホールディングス<2502>プット108回 10月 5,100円(+14.9%)、味の素<2802>コール23回 10月 3,800円(+13.5%)、三井不動産<8801>プット118回 10月 2,200円(+13.5%)などとなっている。(eワラント証券) <FA> 2021/09/15 10:13 注目トピックス 経済総合 ウォール街を知るハッチの独り言 定食の値段から考える日米の物価事情(マネックス証券 岡元 兵八郎) さて、マネックス証券の「メールマガジン新潮流」が、9月13日に配信されました。そのなかから今回は、同証券のチーフ・外国株コンサルタント、『ハッチ』こと岡元兵八郎氏のコラム「ウォール街を知るハッチの独り言」の内容をご紹介いたします。私はこれまで世界80か国を訪れ、日本国内の旅行より海外の国々を回る機会が多い人生を過ごしてきました。しかし、ここ1年以上コロナ禍で海外へ行けなかったこともあり、国内出張や、機会を見て週末を使い日本の地方を知る機会が増え、改めて日本の良さを知ることができました。日本人にとっては日々生活していて当たり前のことなのですが、海外の国々をよく知っている者の視点から、改めて考えさせられたのは日本のモノの安さです。 その一方、30年以上前のアメリカを知っている者としては、アメリカはモノの値段が高くなってきたなあとつくづく感じるものの、日本のモノの値段が上がっていないと言った方がより正確なんだろうなと思っています。日本で300を超える店舗がある定食屋の大戸屋で、さばの炭火焼定食を食べると840円です。 それがニューヨークにある大戸屋では、SABA SETをお昼に食べると22ドル(約2400円)と日本の2.8倍です。メニューの写真を見る限り、日本のさばの炭火焼定食とほぼ同じです。日本で鶏と野菜の黒酢あん定食を食べると890円です。アメリカでは鶏肉の値段の方が魚より安いこともあり、ニューヨークの大戸屋でTORI KUROZU AN SETを頼むと21ドル(約2,310円)と日本の約2.6倍です。米国に進出している、日本で有名なラーメンチェーンの値段の日米格差も同じようなものです。確かにハンバーガーや、ピザに慣れているアメリカ人にとって日本料理は美味しく、他の食べ物の値段と比べると、こういった価格設定は高いと思わないのでしょう。これはインフレがあり株式市場や不動産などの資産価値も上がっているアメリカ人にとっては割と当たり前で、デフレで株も不動産価値も長期に渡って上がってない日本人には日本の値段が普通なのでしょう。グローバルな視点でもアメリカが高いというより、日本の値段が安すぎるということだと思います。私がここ1年半くらいで日本国内を旅して感動したのが地方の民宿です。勿論民宿によりますが、私が事前に調べて泊まった民宿ははずれがありませんでした。大抵はご夫婦で経営されており、その地方のご当地グルメがこれでもかと食卓に並びます。海辺の民宿であれば、お部屋から海が見えたり、中には温泉が付いていたりする所もあり、私は日本の民宿の素晴らしさを改めて発見したのです。それで肝心の値段はというと1泊2食付きの料金が8,000円ほどの民宿が少なくありません。高くても大抵のところで1万円以内で収まります。8,000円というと約73ドルです。1万円でも91ドルです。 ここで先ほどのニューヨークのさばの炭火焼セットの2,310円と比較しますと、この価格差は何かと思うのです。勿論ニューヨークの店舗の賃料が高いなど説明はつくのかも知れませんが、それでもなんとなく釈然としないのです。米国の地方に行っても大した施設もないホテルで一泊200ドル(約22,000円)以上するホテルはざらにあります。私は宿を立つ時、宿の方へお礼の言葉を伝えると同時に、こんなに安い料金で泊めさせてもらって良かったのかと少し申し訳ない気持ちで宿を後にします。水は高いところから低いところへ流れます。モノの値段が上がりやすいアメリカの株式市場に投資をし、資産を増やし、その増えたお金で国内旅行し、地方の民宿や旅館に泊まり、地方のお土産をたくさん買う、それが自分にできる日本経済への貢献かなと思った次第です。マネックス証券 チーフ・外国株コンサルタント 岡元 兵八郎(出所:9/13配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より、抜粋) <FA> 2021/09/15 09:28 注目トピックス 経済総合 テンバガー(株価10倍)……自分にゃ無理だろうなぁ、きっと【FISCOソーシャルレポーター】 以下は、フィスコソーシャルレポーターの個人投資家、虫とり小僧氏(ブログ:いつか子供に伝えたいお金の話、ツイッター:@mushitori)が執筆したコメントです。フィスコでは、情報を積極的に発信する個人の方と連携し、より多様な情報を投資家の皆様に向けて発信することに努めております。----※2021年9月13日21時に執筆「テンバガーを探せ!」とか「テンバガー投資の極意」なんて言葉が、ウェブ上やマネー誌で踊っているのをたまに見かけます。「テンバガー(テンバーガー)」とは、株価が10倍になるような大化(おおば)け銘柄のことを指す言葉(業界用語?)です。自分で発掘して仕込んでおいた企業の株価が10倍になったら、さぞかし気持ちいいことでしょう。想像するだけでもニケけてしまい、ヨダレが出そうになります。私もいつか一発くらいはテンバガーを当ててみたい、という気持ちもないではないのですが、同時に、自分にゃあ無理だろうな……と思っているのも正直なところです。◎きっと2倍にすらなる前に売っちゃう私はインデックス投資家ですが、個別株式への投資を全くしない(したことがない)というわけではありません。「倍になったら半分だけ売ってみよう。そうすれば、その後はどれだけ下がっても損はしないぜ」なーんて考えて、個別株式に投資してみたこともありました。運よく投資した銘柄の株価がどんどん上昇することもありますが、含み益が50%を超えてくると、どうにも落ち着かなくなってしまいます。単一銘柄の価格変動リスクに目を向けてしまうと、どうしてもソワソワしてしまうのです。「今は好調だけど、今後いつどんな不祥事が明らかになって株価が暴落するか分からない。東電だって、東芝だって、神戸製鋼だって、あんな風になるんだもん。やっぱ、今のうちに利益確定しといたほうがいいよな、きっと」と、ついついそんなことを考えてしまうのです。◎テンバガー実現には強いメンタルが必要かも調子のいい銘柄だけでなく、調子の悪い銘柄についても同じようなものです。株価の低迷がずぅ~っと続いている銘柄は山ほどあります。自分の保有している株式がそうならない保証はない、ということに意識が向きすぎて、早めに手放しておくべきかも……なーんてことも考えてしまうのです。とにかく私の場合、個別株式への投資だと信用リスクが気になって仕方ないのです。なんとか2倍くらいまでは我慢できても、3倍まではホールドできないような気がします。いずれにしても、10倍まで我慢できるメンタルには程遠いことだけは間違いありません。テンバガーを実現するには、その銘柄を見つける実力(運?)の他に、10倍になるまで売らずに我慢する強靭なメンタル(信じる力?それとも鈍感力?)が必要になるような気がします。欲深いくせにチキン野郎な私には、到底無理な話でありましょう。◎インデックス投資ならそんなに心惑わされない数百、数千銘柄をパッケージした投資信託を利用しての国際分散インデックス投資であれば、それぞれのアセットクラス(国内株式・国内債券・海外先進国株式・海外先進国債券・新興国株式・新興国債券・海外リート・国内リートなど)の指数が、上限変動しつつも長期的には(配当なども考慮すれば)プラス方向に動くだろうと(私は)考えているので、含み益が大きくなってもソワソワすることはありません。また、それぞれのアセットクラスが上下変動する際に、上がったものは部分売却し、下がったものは追加購入する「リバランス作業」を「機械的」に行うことができるので、迷いも生まれにくいのです(そして、そのリバランスによって、着実に利食い&逆張り追加投資が実行できる)。・・まあ、そのあたりのことは各自の性格、マーケットに持つ前提やリスク許容度によって異なるので、万人にはフィットしないでしょうが、私はこのスタンスだと精神的な負担がありません。※この境地に到達するまで多少の時間はかかりましたけどね。◎ザコにテンバガーは無理ゲーもちろん、インデックス投資でなくとも、多くの銘柄を保有し、自分の決めた割合以上に上昇したものの一部を売却して、下がったものを追加購入していくような個別株式投資の運用スタイルもあります。大儲けを捨てる代わりに、大損を回避できる可能性が高いやり方だと思います。ただ、それを個人でやるとなると、どうしてもそれなりの「時間」とそれなりの「お金」が必要になってしまうので、私には無理ですし、そもそもそのスタンスだと「テンバガー」の旨味を味わうのはおそらく難しいはずです(上がってもちょこちょこ売ることになるので)。そもそも私はテンバガーなんぞを目指す器ではないのでしょう。私のようなザコが資産形成のために投資を行うには、心穏やかにコツコツとインデックスファンドを積み立てながら、定期的なリバランスを継続する戦略が精一杯のようです。テンバガーを目指すのは、いつか時間とお金に余裕ができて、資産形成としての投資を行う必要がなくなったときの楽しみにとっておくことにします。※「インデックス投資」や「積み立て投資」などに関する詳しい話は、自分のブログにクドクドと書いてあります。----執筆者名:虫とり小僧ブログ名:いつか子供に伝えたいお金の話ツイッター名:虫とり小僧(@mushitori) <RS> 2021/09/15 09:16 注目トピックス 経済総合 NYの視点:米8月CPIの伸び7カ月ぶり低水準に、9月FOMCでのテーパー発表の確率低下 米労働省が発表した8月消費者物価指数(CPI)は前月比+0.3%となった。伸びは7月+0.5%から予想以上に鈍化し1月以降7カ月ぶり低水準にとどまった。前年比では+5.3%。伸びは予想通り7月+5.4%から鈍化し5月来で最小となった。連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ指標として注視している食品やエネルギーを除いたコア指数は前月比+0.1%と、予想外に7月+0.3%から鈍化し2月来で最小。前年比では+4.0%と、7月+4.3%から予想以上に鈍化し5月来で最小となった。特に前年比での伸びの鈍化により、インフレ過熱への警戒感が後退した。先週発表された8月生産者物価指数(PPI)でも前年比では高水準となったが、前月比では鈍化の兆しも見られ、今後、前年比でも伸びが弱まる可能性が示唆された。FRBの予想通り、最近見られていた高インフレが一時的要因によるものであることが証明されつつある。*8月CPI主な項目ガソリン:+2.8%(7月+2.4%)食品:+0.4%(+0.7%)中古車:−1.5%(+0.2%)運輸:−0.1%(+0.6%)航空運賃: -9.1%(−0.14%)経済活動の再開により大幅に上昇した航空運賃やホテルの宿泊費、輸送費などが8月に下落したことが全体指数を押し下げた。8月の航空運賃価格は-9.1%。7月の‐0.14%に続き2カ月連続のマイナスとなった。各航空会社は新型コロナウイルスのデルタ変異株流行の拡大により予約が減少、キヤンセルの増加も目立ったとし、第3四半期の業績見通しを軒並み引き下げた。パンデミックの影響で需要が急増した中古車、トラックの指数も2月以降初めて下落に転じたこともCPIの伸びを弱めた。この結果は来週21日、22日に開催される連邦公開市場委員会(FOMC)での金融政策決定会合において参考になる。新型コロナウイルス変異株の感染拡大により、8月の消費信頼感は落ち込んでおり、今後の消費や景気回復の障害になる可能性も警戒される。インフレの鈍化や消費者マインドの悪化で、FRBがQE縮小を急き、9月FOMCで、資産購入策の縮小計画を発表する必要性を低下させる。しかし、9月会合で、11月の量的緩和(QE)縮小開始を協議する余地は十分にある。同時に、引き続き利上げとQE縮小の違いを再表明し、金融引き締めの開始がまだ先になることを強調する可能性が強い。 <FA> 2021/09/15 07:32 注目トピックス 経済総合 (中国)上海総合指数は0.15%安でスタート、利益確定売りがやや優勢 14日の上海総合指数は売り先行。前日比0.15%安の3709.63ptで寄り付いた後は、日本時間午前10時40分現在、0.19%安の3708.22ptで推移している。上海総合指数がきのう13日、約6年1カ月ぶりの高値水準を切り上げており、足元での過熱感から利益確定売りがやや優勢となった。また、あす15日に各種経済指標がそろって発表されるため、慎重ムードも強い。一方、景気対策への期待などが指数を下支えしている。 <AN> 2021/09/14 10:47 注目トピックス 経済総合 滑走路逸脱のP-1哨戒機、原因究明と再発防止急げ【実業之日本フォーラム】 2021年9月7日、岐阜県各務原市の航空自衛隊岐阜基地で、川崎重工業が製造して海上自衛隊に引き渡される予定の哨戒機P-1(5533号機)が、試験飛行終了後に着陸した際、滑走路を逸脱した。新聞報道によると搭乗員10人にけがはなかったが、9月8日、国土交通省は「重大インシデント」に認定し、「運輸安全委員会の航空事故調査官4人を岐阜基地に派遣して、現地確認や関係者からの聞き取り調査を行う」と発表した。「重大インシデント」とは、航空法76条の2に規定されている「航空事故が発生する恐れがあると認められる事態」であり、航空法施行規則第166条の4に定められている(1)閉鎖中のまたは他の航空機が使用中の滑走路からの離陸、中止、試み、(2)飛行中のエンジン破損、(3)オーバーラン(着陸帯前方への逸脱)、アンダーシュート(着陸帯手前への着陸)、滑走路からの逸脱、(4)非常脱出スライドを使用した非常脱出を行った事態、(5)航空機内の異常な減圧、(6)航空機内にける火災又は煙の発生等の16の事態に適用される。以上のように「重大インシデント」とは、「航空事故に発展する恐れがある危険な事態であるが、航空事故には至らない事態である」と解釈できる。海上自衛隊の固定翼哨戒機は、1984年2月27日、岩国基地所属のPS-1対潜哨戒飛行艇が愛媛県の伊予灘沖に墜落した事故以降、航空機が墜落するという事故を起こしていない。1966年7月21日に初飛行後、1994年5月26日の退役までの約26年間、対潜哨戒機の主力として活躍したP-2Jの83機は、墜落事故を1件も起こさなかったという、世界的にみて稀有な記録を達成している。また、1958年8月に初飛行し、約650機製造した米国ロッキードマーチン社のP-3シリーズは、世界18カ国で使用される哨戒機である。日本では、1981年にFMS(Foreign Military Sales:対外有償軍事援助)で取得した3機を筆頭に、川崎重工で製造した98機は、40年間、墜落事故を起こしていない。約200機を運用していた米海軍のP-3Cは数件の墜落事故を起こしているが、日本の場合、世界的にみて極めて高い整備能力を保持しているので、墜落事故が起きていないと言えるだろう。(なお、1992年3月31日、P-3C(5032号機)は、海上自衛隊硫黄島基地飛行場における着陸時に、車輪を出し忘れたことにより、滑走路上で地上火災を起こし機体が焼失するという事故を起こしたが、犠牲者は発生しなかった。)航空事故の原因は大きく3点あるといわれている。(1)操縦上の過誤、(2)機体の不具合、(3)気象の急変など、外的要因等が一般的に考えられる。今回、調査に当たった運輸安全委員会の吉田真治調査官は、報道陣の取材に対し「現時点で逸脱の原因は不明」と発表したが、外観上の損傷が軽微なこと、また他のP-1哨戒機に対する飛行停止等の制限がかけられていないことから、重大かつ深刻な原因があったようには見うけられない。今回のP-1哨戒機で起きた滑走路逸脱は、(1)ノーズステアリング(前輪方向管制舵輪)の不具合、(2)垂直尾翼方向舵の不具合、(3)エンジン出力の不均衡による直進性能不具合等の原因が考えられる。2007年の初飛行以降、海上自衛隊の主力哨戒機として定着しつつあるP-1が海上防衛の一翼に穴をあけないために、また日本の防衛技術の信頼を失墜しないためにも、早期の原因究明と再発防止策を打ち出してもらいたい。さらに、将来の防衛装備移転もにらみ、今回の不具合への迅速かつ的確な対応を世界に示し、ピンチをチャンスに変えるような対応を期待したい。サンタフェ総研上席研究員 將司 覚防衛大学校卒業後、海上自衛官として勤務。P-3C操縦士、飛行隊長、航空隊司令歴任、国連PKO訓練参加、カンボジアPKO参加、ソマリア沖・アデン湾における海賊対処行動教訓収集参加。米国海軍勲功章受賞。2011年退官後、大手自動車メーカー海外危機管理支援業務従事。2020年から現職。写真:Keizo Mori/アフロ■実業之日本フォーラムの3大特色実業之日本フォーラム( https://jitsunichi-forum.jp/ )では、以下の編集方針でサイト運営を進めてまいります。1)「国益」を考える言論・研究プラットフォーム・時代を動かすのは「志」、メディア企業の原点に回帰する・国力・国富・国益という用語の基本的な定義づけを行う2)地政学・地経学をバックボーンにしたメディア・米中が織りなす新しい世界をストーリーとファクトで描く・地政学・地経学の視点から日本を俯瞰的に捉える3)「ほめる」メディア・実業之日本社の創業者・増田義一の精神を受け継ぎ、事を成した人や新たな才能を世に紹介し、バックアップする <FA> 2021/09/14 10:40 注目トピックス 経済総合 東京海上HDを対象とするコール型eワラントが上昇率上位にランクイン(14日10:06時点のeワラント取引動向) 新規買いは原資産の株価上昇が目立つ商船三井<9104>コール116回 11月 9,400円を順張り、シャープ<6753>コール179回 11月 1,450円を順張りで買う動きなどが見られる。手仕舞い売りとしてはビットコイン先物インデックスリンク債_2024年 トラッカー1回 5月 1.0米ドルなどが見られる。上昇率上位は東京海上ホールディングス<8766>コール78回 10月 6,900円(+40.0%)、東京海上ホールディングスコール77回 10月 6,100円(+32.6%)、SUBARU<7270>コール124回 10月 2,700円(+29.4%)、東京海上ホールディングスコール81回 11月 7,000円(+28.8%)、スズキ<7269>コール79回 10月 5,800円(+28.2%)などとなっている。(eワラント証券) <FA> 2021/09/14 10:36 注目トピックス 経済総合 NYの視点:米国経済回復、増税のリスクに直面 米議会下院の与党民主党はバイデン政権が目指す連邦法人税の増税を巡り、現行の21%から26.5%に引き上げる案を発表した。バイデン大統領が当初掲げた28%は下回る。政権が21%への引き上げを目指していた多国籍企業の海外収益に課す最低税率についても16.5%にとどめると報じられた。所得税は最高税率を37%から39.6%へ引き上げ。バイデン大統領が39.6%への引き上げを求めた株式売却益にかけるキャピタルゲイン課税の最高税率は、25%への増税案を検討すると報じられている。民主党は今週から、総額3.5兆ドルのインフラ、大型歳出法案の編成作業を本格化。与党単独での案の法制化を目指すが、中道派道派下院のマンチン議員が規模の縮小を訴えた。バイデン大統領やペロシ下院議長は今月中にも民主党の政策を多く組み入れたインフラ法案と歳出法案を可決する意向であったが、先送りされる可能性が強まった。民主党独自案の増税率は当初警戒された程ではないにしても、増税が回避できるわけではない。もし、法制化された場合、新型コロナウイルス・デルタ変異株の流行拡大の影響ですでに消費や景気回復減速懸念が強まる中、増税が回復のさらなる障害になると警戒される。 <FA> 2021/09/14 07:32 注目トピックス 経済総合 深夜の軍事パレードが意味するもの−北朝鮮建国73周年軍事パレード−【実業之日本フォーラム】 2021年9月9日付北朝鮮労働新聞は、建国73周年を記念し、民間及び安全武力閲兵式を行ったと伝えている。同時に公開された73枚の写真で軍事パレードの様子が確認できる。米国ジョンホプキンス大学の北朝鮮専門分析サイト「38North」は、9月2日のツイッターで、衛星写真を解析し、「平壌近傍の美林(ミリム)飛行場に軍人の隊列が確認される。このような準備は通常パレードの1~2か月前に確認されることから、10月のパレードの準備と推測される」、と伝えていた。今回のパレードは、その準備期間が10日前後と異例の短さであったことに加え、いくつかの注目点がある。それらを分析することにより、北朝鮮がかかえている問題意識及び今後の動向を占ってみたい。第一に指摘できるのは、なぜ建国73周年という年に軍事パレードを実施したかという点である。次に、なぜ「労農赤衛隊」がパレードの中心であったかという点である。そして最後に、なぜ深夜の時間帯を使用してパレードを実施したかという点である。北朝鮮は、5または10周年に記念行事を行うのが通例である。建国記念日に関しても、70周年は、中国から栗戦書全人代常務委員の参加を得て、大規模な軍事パレードを実施している。本パレードでは、対艦ミサイルや対空ミサイルと推定されるミサイルを披露しているが、ICBM(大陸間弾道ミサイル)やSLBM(潜水艦搭載弾道ミサイル)といった戦略兵器は登場せず、北朝鮮の核開発を懸念する中国への一定の配慮を示している。71及び72周年には軍事パレードは実施されていない。なぜ73周年という中途半端な年に軍事パレードを実施したかは、二番目の疑問点である、なぜ労農赤衛隊であったかとも関連する。労農赤衛隊は、18~60歳の男性及び未婚女性からなる予備軍であり、農家や各企業の労働者で構成されている。その数は、全人口の5分の1に近い約500万人と推定されている。部隊の一部には、一つの企業に勤務する労働者のみで構成されたものも存在すると言われている。労働新聞が公表した写真では、徒歩部隊の中に防護服と防毒マスクを装着した一群や、警備犬を引き連れた一群、更にはトラクターや救急車も確認できる。軍事パレードに先立つ9月3日に朝鮮中央通信が伝えるところによれば、9月2日に行われた朝鮮労働党中央委員会第8期第3回政治局拡大会議において、金正恩が重要事業として強調したのは、「国土環境保護事業」、「国家防疫事業」、「軽工業」及び「農業目標の達成」であった。今回パレードに参加したのは、これら事業に関連した人間が主となっている。これらを総合すると、各種報道が指摘しているように、今回の軍事パレードが、国内の引き締めを意図するという見方は正しいだろう。今年実施したのも、経済制裁、自然災害及び新型コロナの感染拡大により経済的に厳しい状況を背景として、国民の結束を固めるため、最も組織の大きい労農赤衛隊を登場させたと考えられる。次に、昨年10月、今年1月に引き続き、なぜ深夜の時間帯が選ばれたのかという点である。金正恩は花火が大好きであり、花火が映える夜にしたという指摘もある。更には、色々な粗(あら)が見えないためという説もある。しかしながら、これらの説に従えば、日没後であれば良く、深夜でなければならない説明とはならない。北朝鮮は、この種の軍事パレードに西側諸国が関心を持ち、偵察衛星等で情報収集を行うことを十分に承知している。偵察衛星の上空通過時間を外した可能性や深夜に、一般市民を含め、これだけの人間を動員できるという国家統治の堅実性を、西側諸国に示そうとしたのではないだろうか。しかしながら、最も大きな理由は、深夜に集合させるという無理を強いることにより、指示に従わない国内不満分子のあぶり出しという目的があったと考えられる。今回の深夜の軍事パレードは、最近西側で広がりつつあった北朝鮮の体制不安説を払しょくすることに加え、国内金正恩体制の引き締めを狙ったものであろう。また、子供達に手を引かれてひな壇に上がる金正恩は減量の成果か、若々しい表情をしており、肥満や暴飲暴食による健康不安説をも否定する狙いがあったものと考えられる。一方で、米朝対話に関しては、いかなるシグナルも見いだせない。前述した38Northは、8月30日付の記事で、8月25日に撮影された商業衛星の分析結果から、寧辺の5メガワット軽水炉に再稼働の兆候が確認されたことを伝えている。国際原子力機関も年次報告書の中で、2021年7月頃から原子炉が再稼働している可能性があることを発表、安保理決議違反と指摘している。寧辺核施設は、2019年2月に物別れとなった米朝首脳会談で、北朝鮮が廃棄するとした施設である。北朝鮮の核開発における寧辺の地位は、あまり高くないと推定される。今回の再稼働の兆候は、プルトニウムの生産再開というよりも、少しでも米朝交渉カードとしての価値を高めようとするものであろう。中国の習近平主席は北朝鮮建国73周年の祝辞を送付し、北朝鮮との強いきずなを強調している。中国が朝鮮半島非核化の進展という「北朝鮮カード」を使い、米国に対し優位に立とうとする可能性は否定できない。経済的苦境にあると見られる北朝鮮に、中国が更に影響力を強めてくる可能性がある。その場合、北朝鮮は今まで以上に中国に配慮する必要があり、中国の意思に反する挑発行為はできなくなってくると考えられる。北朝鮮は、9月28日に憲法上最高の国家意思決定機関である最高人民会議を開催することを公表している。カブール陥落に伴う米国の威信の低下、米国が韓国という同盟国を見捨てる可能性や米中対立という国際情勢を受け、北朝鮮がどのような意思決定を行うのか注目される。サンタフェ総研上席研究員 末次 富美雄防衛大学校卒業後、海上自衛官として勤務。護衛艦乗り組み、護衛艦艦長、シンガポール防衛駐在官、護衛隊司令を歴任、海上自衛隊主要情報部隊勤務を経て、2011年、海上自衛隊情報業務群(現艦隊情報群)司令で退官。退官後情報システムのソフトウェア開発を業務とする会社において技術アドバイザーとして勤務。2021年から現職。写真:KCNA/UPI/アフロ■実業之日本フォーラムの3大特色実業之日本フォーラム( https://jitsunichi-forum.jp/ )では、以下の編集方針でサイト運営を進めてまいります。1)「国益」を考える言論・研究プラットフォーム・時代を動かすのは「志」、メディア企業の原点に回帰する・国力・国富・国益という用語の基本的な定義づけを行う2)地政学・地経学をバックボーンにしたメディア・米中が織りなす新しい世界をストーリーとファクトで描く・地政学・地経学の視点から日本を俯瞰的に捉える3)「ほめる」メディア・実業之日本社の創業者・増田義一の精神を受け継ぎ、事を成した人や新たな才能を世に紹介し、バックアップする <FA> 2021/09/13 10:27 注目トピックス 経済総合 アップルを対象とするプット型eワラントが上昇率上位にランクイン(13日10:02時点のeワラント取引動向) 上昇率上位はアップルプット147回 10月 150米ドル(+19.4%)、DMG森精機<6141>コール12回 10月 2,200円(+19.2%)、アップルプット146回 10月 130米ドル(+19.0%)、三菱ケミカルホールディングス<4188>コール46回 10月 1,225円(+18.9%)、三菱ケミカルホールディングスコール45回 10月 1,075円(+17.7%)などとなっている。(eワラント証券) <FA> 2021/09/13 10:23 注目トピックス 経済総合 NYの視点:今週の注目:米CPI、小売売上高、中国小売など 短期投機家・投資家の円の売り持ち高は前々週から減少した。ユーロの買い持ちは欧州中銀の理事会を控え、緩和縮小観測に大幅に増加していた。今週は米国の8月消費者物価指数(CPI)や小売売上高に注目が集まる。また、2001年9月11日の同時多発テロから20周年を迎え、地政学的リスクの上昇も警戒されリスク回避の動きが優勢となる可能性もある。米国の8月消費者物価指数(CPI)は伸びが前月比で鈍化したものの、前年比で2010年来で最大を記録するなど高止まりとなった。8月CPIでさらにインフレ動向を探る。米連邦準備制度理事会(FRB)が公表したベージュブックでは企業がいずれ商品の値上げを見込んでいることが明らかになっており、インフレ高進への懸念が残る。同時に、新型コロナウイルスのデルタ変異株の流行で消費者信頼感が落ち込む中、8月小売売上高に注目。また、9月ミシガン大消費者信頼感指数で最新の消費動向を探る。低調な8月雇用統計を受けて、FRBは9月FOMCでの緩和縮小計画は見送られると見られドルの上昇は限定的となる可能性がある。■今週の主な注目イベント●米国14日:8月消費者物価指数(CPI)15日:ニューヨーク連銀製造業景気指数、8月輸入物価指数、8月鉱工業生産・設備稼働率16日:8月小売売上高、週次新規失業保険申請件数、9月フィラデルフィア連銀景況指数、7月企業在庫、7月対米証券投資17日:9月ミシガン大消費者信頼感指数(17日)●ユーロ圏15日:7月鉱工業生産17日:8月CPI●中国15日:8月小売売上高、8月鉱工業生産 <FA> 2021/09/13 07:35 注目トピックス 経済総合 国内外の注目経済指標:8月米消費者物価指数は前年比4%台の上昇か 9月13日-17日週に発表される主要経済指標の見通しについては以下の通り。■14日(火)午後9時30分発表予定○(米)8月消費者物価コア指数-予想は前年比+4.3%参考となる7月実績は、前年比+4.3%。7月は、住居、新車などが上昇に寄与したが、航空運賃や自動車保険は下落した。ただ、供給制約や需要増の影響は広範囲に及んでいることから、8月のコア指数の上昇率は4%台前半となる可能性がある。■15日(水)午前11時発表予定○(中)8月小売売上高-予想は前年比+7.0%参考となる7月実績は、前年比+8.5%。豪雨による浸水被害が各地で報告されていること、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が出ているようだ。8月については、経済規制の影響も追加されることから、前年比の伸び率は7月実績を下回る可能性がある。■16日(木)午前8時50分発表予定○(日)8月貿易収支-予想は-601億円参考となる8月上中旬分の貿易収支は5377億円の赤字となっており、前年同期の-2160億円を上回っている。昨年8月の貿易収支は最終的に2280億円の黒字となったが、今年については赤字となる可能性が高いとみられる。■16日(木)午後9時30分結果発表○(米)8月小売売上高-予想は前月比-0.9%参考となる7月実績は前月比-1.1%。ガソリン、飲食・サービスの売り上げは増加したが、自動車・関連部品販売店、衣料・装飾品などの売り上げは低調だった。8月については、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で個人消費はさえない状態が続く可能性があるため、前月からの反動増となる可能性は低いとみられる。○その他の主な経済指標の発表予定・9月13日(月):(日)8月国内企業物価指数・9月14日(火):(英)8月失業率・9月15日(水):(欧)7月ユーロ圏鉱工業生産、(米)9月NY連銀製造業景気指数、(米)8月鉱工業生産・9月16日(木):(NZ)4-6月期国内総生産、(豪)8月失業率、(米)9月フィラデルフィア連銀景況感調査・9月17日(金):(英)8月小売売上高、(米)9月ミシガン大学消費者信頼感指数速報 <FA> 2021/09/11 14:34 注目トピックス 経済総合 (中国)上海総合指数は売り先行もプラス圏回復、景気対策への期待が高まる 10日の上海総合指数は売り先行。前日比0.05%安の3691.19ptで寄り付いた後は、日本時間午前10時45分現在、0.50%高の3711.62ptで推移している。景気対策への期待などが引き続き支援材料。また、非鉄など原材料価格の高止まりも「川上産業」の物色手掛かりとなっている。一方、各分野に対する当局の引き締めスタンスが引き続き警戒されている。 <AN> 2021/09/10 10:50 注目トピックス 経済総合 今の日本に欠けているもの~日本の情報収集機関の現状~【実業之日本フォーラム】 前回のコラム(※1)では、サイバー情報というものを日常的に収集していなければ、サイバー攻撃に対して極めて無力であり、いわば無法地帯に生活しているようなものであると書いた。サイバー空間のセキュリティーを確保するためだけではなく、いざと言うときに、たとえ政府からの許可を得たとしても、攻撃をすることもできない。攻撃の前提として相手に関する情報が必要だからである。今回、基本となる情報収集に関してもう少し書いてみよう。人が、意思を決定する際、持っている知識をベースにし、得られた情報から判断することになる。それは国も同じはずだ。だが、日本はどうか。公式な情報機関としては内閣調査室の他にいくつかあるらしいということは、なんとなくご存知だろう。が、正確な組織名、その実態や活動については良くわからないと言うのが正直なところであると思う。情報組織にとって、よくわからないということは、大変、良いことである。昔、筆者が自衛隊にいた時代にこんな話があった。陸上自衛隊観閲式における部隊の先頭を、黒い戦闘服、黒覆面の謎の部隊が行進する。外国の武官団が「あれは何だ?」自衛官「あれは陸自の特殊部隊で、スペシャルニンジャフォース、S N Fというのだよ」「それはすごいね(ニンジャか、これはすぐに詳細を調べなければ)」と言うわけで列国はその正体を探ろうとするが、何もわからない。日本の忍者部隊の秘匿度の高さに感心する。そのうち国外で日本に関係するなんらかの事件が起こると、その後、あれはS N Fが裏で活動してあの程度の被害に収めたのだという噂だけが流れる。こうして、S N Fは、その評判が高まるとともに、ますますその神秘性が高まっていった。列国の情報機関は謎を解明するためにさらに多大なリソースをつぎ込む。しかし、一向に正体は掴めない。それはそうだろう、そんな部隊は実際にはなくて、観閲式の時だけ臨時に編成し黒い服を着せて歩かせるだけなのだから。しかし、これで列国の限られた情報収集能力を無駄に使わせ、もっと重要な他の仕事がその分できなくなる、というわけだ。実は、この話は作り話であるが、このように情報機関にとって、その実態がわからないというのは良いことなのだ。従って、我が国の情報機関も実際にそうであれば良いと思う。情報機関にほんの少し関わった経験から、情報の重要性は人一倍感じている。皆さんにも知って欲しいと思う。しかしながら立場上、私が言えることは、一般論として、我が国には諸外国のような情報を収集する専門かつ強力な機関が存在していない。していてもあまりに微力であるということだ。しかし、日本にも昔は強力な情報機関があった。この話をしよう。現在、情報機関として極めて有名なのが米国の国家安全保障局(N S A:National Security Agency)である。ここでは主に無線・有線の通信情報を収集・分析している。その要員数は2万人とも言われる巨大組織だ。それに対応する日本の機関となると、防衛省情報本部電波部と言うことになる。規模は不明だがとりあえず数百人としておいて良いのではと思う。仮に200名とすれば米国の100分の1ということになる。このN S Aと電波部は昔、太平洋戦争時代の電波傍受の機関をそれぞれの先祖としている。一般的には日本軍は米軍の通信傍受や暗号解読で後れを取り、戦争に負けたということになっている。ミッドウェー海戦での大敗北などがその有名な例だ。米軍は日本の暗号を解読してほぼ内容を解明していた。しかし、その中で重要な地名であるAFというのがどこを指すのかの決め手がなく悩んでいた。そこで、わざとミッドウェー島では水が足りないという情報を流したところ、日本軍が暗号で「A Fでは水が不足している」と電報を打ったので、A Fがミッドウェーであると確証を得たと言うものだ。個人的な見解を言えば、あまりに話ができすぎているのでおかしいと思っている。インテリジェンスの世界では、情報源を秘匿するために真実が表に出ることは少ない。むしろ情報源の秘匿のためにそれらしい話を用意してわざと流したりするものなのだ。最近になってこの件について米国の公文書館の資料を調べた方がいて、通説よりもっと早く別の方法で、A Fがミッドウェーであると分かっていたということを見つけたそうだ。ちなみに、これは気象通報を利用して解明したとのことである。「A Fではいついつ雨になる」という気象通報から地名を割り出したという。一方の日本も電波傍受はしていたし、暗号解読もしていた。そして意外かもしれないが、かなりの成果を得ていたという。2011年10月、NHKスペシャルは「原爆投下 活かされなかった極秘情報」というドキュメンタリーを放送している。その内容は、広島と長崎の原爆投下直前に、テニアンを出撃するB−29のうち、異なるコールサインを持つ飛行機が活動中であることを確認し、これらを特殊任務機として注目していたというものである。だが、この情報が活かされることはなかった。いくら重要な情報を入手しても、分析、評価し、使える情報としなければ意味がない事も同時に示す例である。敗戦により、担当者たちは資料を焼き捨て機材を廃棄し、自分たちは地下に潜った。そのため、戦争中に日本が行った電波傍受の成果、実態は闇に葬られ、活躍した話はほとんど伝えられていない。ちなみにこの時の日本の情報関係者は500名程度だったという説もある。戦後になり、米軍の傍受機関は一時的に仕事を失ったが、すぐにソ連という新しい敵を見つけ、今ではN S Aとなり、その規模も拡大された。一方、日本は米軍の圧倒的な情報収集能力に依存し、自ら情報を収集分析する能力を構築する努力を怠ったように見える。言い換えると、米国は情報を重視しその勢力を拡大したが、日本は逆であるとも言えよう。N S Aはその情報収集の矛先を先端的な通信技術であるインターネットに向け、現在、世界一の能力を有するに至っている。一方、日本は、憲法、通信事業者法などの縛りにより、その能力は皆無であると言ってよい。さらに本当に大事なのは、得られた情報を集約し、分析し、結果を適切な利用者に配布することだが、日本はその点も極めて厳しい状況にあると思われる。日本も情報の重要性に目覚め、強力な情報機関の設立が必要である。情報軽視から情報重視の国家にならなければ、この厳しい安全保障環境の中で生き残っていけないであろう。伊東 寛(工学博士)1980年慶応義塾大学大学院(修士課程)修了。同年陸上自衛隊入隊。技術、情報及びシステム関係の指揮官・幕僚等を歴任。陸自初のサイバー戦部隊であるシステム防護隊の初代隊長を務めた。2007年自衛隊退官後、官民のセキュリティー企業・組織で勤務。2016年から2年間、経済産業省大臣官房サイバー・セキュリティ—・情報化審議官も務めた。主な著書に「第5の戦場」、「サイバー戦の脅威」、「サイバー戦争論」その他、共著多数※1:https://web.fisco.jp/platform/market-news/0009330020210819002■実業之日本フォーラムの3大特色実業之日本フォーラム( https://jitsunichi-forum.jp/ )では、以下の編集方針でサイト運営を進めてまいります。1)「国益」を考える言論・研究プラットフォーム・時代を動かすのは「志」、メディア企業の原点に回帰する・国力・国富・国益という用語の基本的な定義づけを行う2)地政学・地経学をバックボーンにしたメディア・米中が織りなす新しい世界をストーリーとファクトで描く・地政学・地経学の視点から日本を俯瞰的に捉える3)「ほめる」メディア・実業之日本社の創業者・増田義一の精神を受け継ぎ、事を成した人や新たな才能を世に紹介し、バックアップする <RS> 2021/09/10 10:34 注目トピックス 経済総合 SBIホールディングスを対象とするコール型eワラントが上昇率上位にランクイン(10日10:06時点のeワラント取引動向) 手仕舞い売りとしては東京エレクトロン<8035>コール311回 10月 44,000円などが見られる。上昇率上位はSBIホールディングス<8473>コール285回 10月 3,400円(+40.3%)、SBIホールディングスコール284回 10月 3,000円(+35.0%)、SBIホールディングスコール283回 10月 2,600円(+24.7%)、セイコーエプソン<6724>コール87回 10月 2,500円(+22.3%)、資生堂<4911>コール47回 10月 8,600円(+20.3%)などとなっている。(eワラント証券) <FA> 2021/09/10 10:25 注目トピックス 経済総合 NYの視点:ECBのテーパーの行方、12月会合待ち 欧州中央銀行(ECB)は定例理事会で市場の予想通り政策金利の据え置きを決定した。パンデミック緊急購入プロブラム(PEPP)は少なくとも2022年3月末まで継続するとしたが、同時に景気回復にともない今後3カ月の緩和措置微調整により、PEPPのペース減速を決めた。資産買い入れプログラム(APP)はEU200億ユーロのペースを継続する。ECBの政策者はPEPPを各月600億ユーロから700億ユーロの目標内で柔軟性を保ち購入していくことで合意したという。ラガルド総裁は理事会後の会見で、欧州経済が明らかに回復していると言及。ECBは2021年の国内総生産(GDP)予想を5%増と、従来の4.6%増から引き上げた。今後の回復のスピードはパンデミック拡大やワクチン接種動向次第だと加えた。総裁はPEPPの終了のタイミングには言及しなかった。また、米連邦準備制度理事会(FRB)と同じく、最近の高インフレは一時的との見方を繰り返し、PEPPの減速がテーパリングではなく、微調整だと主張。ハト派姿勢を強調した。ドイツの選挙を控え、不透明性が増すことを考慮した対応だとの指摘もある。総裁はさらに「次の動きについて議論していない」としており、12月の理事会でPEPPについて包括的な議論を行うとした。PEPPの行方は次の見通しを発表する12月の理事会待ちとなる。 <FA> 2021/09/10 07:49

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