注目トピックス 日本株ニュース一覧
注目トピックス 日本株
新電元工業:パワーデバイス事業の構造改革でV字回復、M&Aとインド戦略でPBR1倍越えを目指す
*13:56JST 新電元工業:パワーデバイス事業の構造改革でV字回復、M&Aとインド戦略でPBR1倍越えを目指す
新電元工業<6844>は1949年創業、セレン整流器から出発したパワーエレクトロニクスメーカーである。パワー半導体(デバイス)と電源製品(ユニット、システム)の両方を手掛ける垂直統合型モデルが特色。デバイスの知見を電源製品に、電源製品の要求をデバイス開発にフィードバックする体制を持つ。同社は2026年3月期より、事業実態に合わせセグメントをパワーデバイス、パワーユニット、パワーシステムの3事業に再編している。パワーデバイス事業は(ダイオード、MOSFET等)、売上高の3割程度を占める。主力となるダイオードの用途は、自動車が半分程度、家電が3割、産業機械が残りとなっている。近年は自動車の電動化などを受け、需要自体は拡大しているものの、中国メーカーなどとの価格競争が熾烈となっている。同社の強みは長年の実績に裏付けられた高い品質と安定性にある。また同社は長年電源に関する技術に強みを持っておりパワー半導体や回路技術に高い専門性を保持している。使用されるデバイスの周辺分野である回路技術を踏まえた顧客提案が可能であり、他社との差別化につながっている。また、足元では、来年1月に京セラパワーデバイス事業を取得予定で、同社事業分野との親和性の高さ、同事業の技術取り込みを踏まえたもの。次に、パワーユニット事業は売上高の6割超を占める。用途としては、二輪車が全体の7割、残りは自動車などとなっている。二輪車はアジア市場での成長が継続しており、特に足元ではインド市場でのシェア拡大余地が大きくなっている。同社の強みとしては、パワーユニットで用いられるパワー半導体を自社で作成できる点にある。また、組込みソフトウェアにおいても内製しており、パッケージ製品として収益性を高める余地がある。最後にパワーシステム事業は、売上の6%程度と全社への影響は限定的であるが、通信インフラ向け整流装置の販売など安定した収益源となっている。外部環境は、米国の関税政策や中国経済の停滞などで見通し不透明ではあるが、パワーデバイス事業では採算性の改善や京セラパワーデバイス事業の取得など収益性改善を進めている。パワーユニット事業では、インド市場をターゲットに追加投資を行うなど、商品の収益性を高めるとともに、成長率の高いセグメントにリソースを投下する算段である。2026年3月期の通期連結業績予想は、売上高は前期比3.9%増の110,000百万円、営業利益は同2,464.8%増の3,300百万円、当期純利益は3,100百万円となっている。第2四半期の営業利益進捗率は70%と好調に推移している。尚、この通期予想には2026年1月取得予定の京セラパワーデバイス事業の業績寄与が織り込まれていない。同事業においては、既存事業とのシナジー効果などが見込めるため、中長期的な収益拡大に寄与するものと見込む。同社は、第17次中期経営計画(FY2025-2027)では、最終年度(2027年度)に売上高120,000百万円、営業利益率5.0%、ROE6.0%という定量目標を掲げる。戦略的なリソース配分と財務戦略の強化により、2027年度末までにPBR1倍以上の達成を掲げている。株主還元については安定配当を基本方針としている。2025年3月期は最終赤字を計上した厳しい業績下においても、年間65円の配当を維持するなど高いコミットメントが見て取れる。2026年3月期においては、年間配当予想は1株当たり65円(配当性向21.6%、予想配当利回り2.17%)としている。投資の視点としては、パワーデバイス事業の構造改革で稼ぐ体質への転換が進みつつある点はポジティブ。また、京セラM&Aによるシナジーとインド新工場への成長投資が、中計で掲げるPBR1倍超の目標達成を後押しするアップサイド要素となろう。足元の株価バリエーションはPBR0.46倍、PER10倍と割安感があり投資妙味があると考える。
<HM>
2025/12/02 13:56
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ティーケーピー---AquaVisionへ出資、VR事業に参入
*13:54JST ティーケーピー---AquaVisionへ出資、VR事業に参入
ティーケーピー<3479>は28日、VRエンターテインメントの企画・制作を行うAquaVisionの株式を30%取得し、資本業務提携契約を締結したと発表した。AquaVisionは展覧会やイベントの企画・運営に加え、IPの取得・管理・ライセンス供与や投資事業も行っており、世界的な文化遺産をVR技術で再現し、新たな文化体験を創出している。本提携の第一弾プロジェクトとして、2025年12月23日より、東京タワー・タワーホールAにて、VRアート展「Art Masters:プラド美術館所蔵品 VR展」を開催する。同展は、プラド美術館が所蔵する名画を最先端のVR技術で完全再構築した没入型アート体験であり、来場者はVRヘッドセットを装着し、作品の細部を拡大して鑑賞したり、登場人物と対話するような高い没入感を得ることができる設計となっている。本展は、これまでに上海で約10万人、現在開催中のアルゼンチンでは約2万人を動員しており、日本は3か国目の開催地となる。今後は同社が保有する会場や施設を活用しながら、AquaVisionと連携して、VRを活用した芸術・文化・エンターテインメント分野における体験型コンテンツの展開を進めていく予定である。
<AK>
2025/12/02 13:54
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クオールホールディングス---温室効果ガス削減目標でSBTiから認証を取得
*13:52JST クオールホールディングス---温室効果ガス削減目標でSBTiから認証を取得
クオールホールディングス<3034>は26日、同社グループが設定した2030年に向けた温室効果ガス排出削減目標が、国際的な気候変動イニシアチブである「Science Based Targetsイニシアチブ(SBTi)」から、科学的根拠に基づく目標として認証を取得したと発表した。今回認証された削減目標は、2023年度を基準として、スコープ1および2の排出量を2030年度までに42%削減すること、ならびにスコープ3の排出量を同期間に25%削減するというものである。スコープ1は自社での燃料の使用や工業プロセスによる直接排出、スコープ2は自社が購入した電気、熱の使用に伴う間接排出、スコープ3はそれ以外のサプライチェーンにおける間接排出を指す。クオールグループは新たに温室効果ガス排出削減目標を設定し、パリ協定に整合する水準であるとして、今回の認定を取得した。医療サービスを提供する企業として、経済的価値の創出にとどまらず、社会的価値の向上にも積極的に取り組む姿勢を示すものとなっている。同社はまた、気候変動や環境課題への対応を重要な責務と位置づけ、グループ全体で持続可能な社会の実現を目指し、今後も様々なステークホルダーと協働しながら取り組みを強化していく方針である。
<AK>
2025/12/02 13:52
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東海カーボン:割安株、デジタル化・脱炭素が追い風のカーボン素材グローバルリーダー
*13:40JST 東海カーボン:割安株、デジタル化・脱炭素が追い風のカーボン素材グローバルリーダー
東海カーボン<5301>の株価に割安感が目立つ。PBR0.76倍が1倍まで回復すれば、時価総額で3,000億円を上回る(現在2,312億円)。長期ビジョンで示されている売上高5,000億円、EBITDA率20%から営業利益をフィスコが試算し、そのPER15倍でも時価総額にして2,855億円程度となる。配当利回りも3%近く、下値の堅さを享受しながら、成長を待てることになる。1918年の創業以来100年以上にわたり、鉄鋼、自動車、半導体といった基幹産業に不可欠なカーボン素材を提供してきた世界有数の素材メーカーである。同社は、主に6つの事業セグメントでグローバルに事業を展開している。海外売上比率は約8割に達し、需要地で生産・供給する「地産地消」モデルを採用・構築している。最大の事業は、売上の約45%を占めるカーボンブラック事業だ。約8割はタイヤの補強材として、その他は工業用ゴム製品や顔料などに使用される。成長事業と位置付けられるファインカーボン事業では、半導体製造装置の部材などに使われる特殊炭素・黒鉛素材を扱う。スメルティング&ライニング(S&L)事業は、アルミ製錬用のカソードブロックや高炉用の耐火材などを製造、黒鉛電極事業では、CO2排出量が少ない電炉で使用される人造黒鉛電極を供給している。工業炉および関連製品事業では、積層セラミックコンデンサ(MLCC)向けの熱処理炉などをオーダーメードで製造し、高い世界シェアを誇る。また、その他事業として、摩擦材やリチウムイオン電池負極材なども手掛けている。同社の競争優位性は、100年以上の歴史で培われた技術力と顧客との「信頼の絆」にある。世界最大級の黒鉛電極を製造する技術や、多様な原料から高品質なカーボンブラックを製造する技術など、同社の技術力は、特に大型・高品質な製品が求められる領域で強みを発揮する。また、主要市場である日米欧、アジアに生産拠点を配置し、地産地消型の安定供給体制を確立している点もグローバルな生産・販売網としての強みだ。さらに、大手タイヤメーカーや電炉メーカーと長期的な共創関係を築き、顧客ニーズに応える製品開発力を持つことも、同社の優位性となっている。主力のカーボンブラック事業における主要な競合企業としては、米国のキャボット、インドのビルラ、欧州のオライオンなどが挙げられる。また、同社が成長分野と位置付けるファインカーボン事業では、特殊黒鉛素材の生産能力において東洋炭素<5310>やフランスのメルセンが主要な競合相手である。2025年12月期第3四半期連結決算は、売上高が237,336百万円(前年同期比8.2%減)、営業利益が21,301百万円(同40.0%増)となった。黒鉛電極事業およびS&L事業において、前期に実施した減損損失計上や構造改革の効果が現れ、両事業が黒字転換したことが大幅な増益に寄与した。2025年12月期通期の業績は、売上高321,000百万円(前期比8.3%減、事前予想は341,000百万円)、営業利益24,000百万円(同23.8%増、同23,300百万円)を見込んでいる。売上高は主にカーボンブラック事業の減収で下方修正となったが、利益面ではM&A関連費用の増額を吸収して上方修正されている。同社は、2030年のありたい姿として長期ビジョン「Vision 2030」を掲げ、売上高5,000億円、EBITDA率20%、ROIC 12%という野心的な定量目標を定めている。この目標達成に向け、3つの取り組みを推進している。第一に「抜本的な構造改革」として、収益性が悪化している黒鉛電極事業とS&L事業の立て直しを最優先課題としている。黒鉛電極事業では国内生産拠点の集約やドイツ拠点の売却を完了し、今後は大型・高品質製品に注力することで技術優位性を活かす戦略である。S&L事業についても、2025年中に構造改革の方向性を決定し、2026年以降に実行する計画だ。第二の取り組みは「成長市場へのコミット」であり、安定収益源のカーボンブラック事業と成長ドライバーであるファインカーボン事業に経営資源を重点的に投下する。具体的には、カーボンブラック事業でのタイ新工場建設や、ファインカーボン事業での生産能力増強などを進めている。第三に「サステナブルな価値創出」として、使用済みタイヤからカーボンブラックを再生する「eCB(eco Carbon Black)」技術の開発など、循環型社会に貢献する新規事業の創出を掲げている。「Vision 2030」の財務目標としては、持続的な利益成長、特にEBITDA率を重視しており、効率的な経営資源の配分を通じて企業価値を向上させることを目指す。同社は過去10年にわたり、積極的なクロスボーダーM&Aを通じて事業基盤を急速に拡大し、短期間で事業構造を大きく変革することに成功した。次のステージである売上高5,000億円達成に向けては、自社の事業領域である「カーボングラファイト関連」でのオーガニックな成長に加え、大規模買収に伴う財務負担への対応と新たな成長領域への挑戦・M&A案件成就の両輪が当社のさらなる成長の鍵となる。株主還元については、連結配当性向30%を目安とし、安定的・継続的に配当を行うことを基本方針としている。2024年度は当期純損失となったが、年間30円の配当を維持した。2025年度も1株当たり年間30円(中間15円、期末15円)の配当を予定しており、安定配当への強い意志が示されていると言えるだろう。安定収益源であるカーボンブラック事業と成長ドライバーであるファインカーボン事業を軸に、同社のグローバル市場での存在感は高い。また、着実に進んでいる不採算事業の構造改革は、同社の経営資源の成長領域への戦略的配分を後押しするであろう。株主重視の姿勢を維持しつつ、「Vision 2030」で掲げる持続的成長シナリオの実現に真摯に取り組む同社の今後の展開には注目しておきたい。
<HM>
2025/12/02 13:40
注目トピックス 日本株
Enjin:ネットキャッシュ31億円で時価総額59億円、ROE12%、5%近い配当利回りで1桁台PERに割安感は強い
*13:25JST Enjin:ネットキャッシュ31億円で時価総額59億円、ROE12%、5%近い配当利回りで1桁台PERに割安感は強い
Enjin<7370>株価が上値の重い状況となっている。第1四半期の減収減益スタートに加え、10月までの月次売上高で挽回が見られないためと想定されるが、通期業績の増収増益予想は変わっていない。ネットキャッシュ31億円に対して時価総額59億円、ROE11.63%、5%近い配当利回りと比較して、1桁台となるPER9.4倍に割安感は強い。上場企業の平均的なPER数値である15倍程度は意識されよう。同社は、PRコンサルティングサービスとメディアプラットフォームサービスを展開するブランディング企業である。前者はテレビや新聞、雑誌、ラジオに加え、WEBやSNSを活用したマルチメディア戦略を通じてクライアントのブランド価値を最大化するサービスであり、国内外の政府系案件にも対応している。後者の「メディチョク」は、取材ニーズを持つ記者と情報発信を望む企業を直接つなぐプラットフォームで、従来型PRに比べて圧倒的な効率性を提供する。創業以来19期連続で黒字を確保し、自己資本比率87.5%(2025年5月期時点)と高水準を維持する堅固な財務基盤を持つことも特徴である。同社の強みは、第一に経営者に特化したブランディングを展開する独自のポジショニングである。経営者は企業にとって特定の製品などとは違い恒常的に対外イメージの柱として強化できる存在であるため、トレンドに左右されない継続的なPR支援が可能となっている。同規模の競合他社もおらず、同社の安定的な収益の基盤となっている。第二に、制作機能を自社で保有しており、取材・撮影からメディア掲載までを一貫して行うことができることである。PRの上流から下流までをカバーできるという点でも目立った競合がおらず、トータルでPR支援を行えることがクライアントからの広い支持につながっている。第三に、メディアプラットフォーム事業における効率性である。「メディチョク」は従来約155時間を要した作業を11時間に短縮し、低コストで高い付加価値を提供しており、社会全体の効果重視・省人化ニーズの高まりを追い風として今後の成長を牽引する存在となっている。2026年5月期の第1四半期の業績は、売上高508百万円(前年同期比22.5%減)、営業利益32百万円(同79.0%減)と減収減益であった。事業環境は不変としつつ、メディア・媒体の発売時期のズレ込みにより第1四半期への収益計上が見込みを下回る形となった。しかし、そうした収益は第2四半期に計上される見込みであり、今後キャッチアップする予定である。2026年5月期の会社予想は売上高3,128百万円(前期比7.1%増)、営業利益923百万円(同9.8%増)と増収増益を見込んでおり、基盤となるPRコンサルティングの強化や拡大余地の大きい「メディチョク」の成長が寄与することで業績回復フェーズに入ることが期待される。今後の成長見通しとして、同社はスタンダード市場への区分変更を視野に入れ、持続的な経営基盤の構築を掲げている。成長ドライバーは複数あり、まずプラットフォームの進化が挙げられる。2025年にはソーシャルワイヤーとの提携により「NEWSCAST」機能を実装し、プレスリリース配信の利便性を一層高めた。今後PR業界においてもオンラインマッチングの需要は継続的に伸長していくことが予想されており、そのトップランナーとして引き続き裾野を広げていく。次に、人的資本への積極投資である。新卒初任給を大幅に引き上げ、優秀人材の獲得と育成に注力している。さらに、長期的にはコーポレートベンチャーキャピタルやM&Aなどの事業投資による拡大も選択肢としており、既存事業を基盤としつつも事業領域の大きな拡大を企図している。外部との協業の一環として、2025年11月17日にはブランディングテクノロジー<7067>との資本業務提携を発表した。Enjinの得意とする「PR」領域と、ブランディングテクノロジーの強みである「デジタルマーケティング」領域を融合させる狙いがある。両社は共に中堅・中小企業を主要顧客としており、本提携によりブランド認知の獲得から集客改善までをワンストップで支援する新たなソリューション開発などを進め、シナジーの最大化を図る方針だ。株主還元については、配当と自己株式取得を含めた総還元性向30%を目標とする方針を掲げている。2026年5月期の年間配当は40円(配当性向49.6%・前期比2円増)と増配を計画している。配当利回りも4.9%を超えている上、財務基盤の健全性を重視した成長投資と還元のバランスを重視しており、長期的に安定した株主還元が見込まれる。総じて、同社はPRコンサルティングを収益基盤としつつ、メディアプラットフォームを成長エンジンとして拡大を進めている。無二のポジション・強固なネットワーク・自社プラットフォームの優位性を背景に、中期的な成長シナリオは明確であり、今後の業績拡大に期待して注目したい。
<HM>
2025/12/02 13:25
注目トピックス 日本株
京セラ:構造改革と資本効率改善を推進、新成長戦略を今期末までに発表予定
*13:12JST 京セラ:構造改革と資本効率改善を推進、新成長戦略を今期末までに発表予定
京セラ<6971>は1959年、稲盛和夫氏により京都セラミックとして創業された電子部品・機器のグローバルメーカー。アメーバ経営による徹底した部門別採算制度を基盤に、ファインセラミック技術を核として部品から完成品、サービスまで多角化を推進してきた。素材技術に立脚した垂直統合型モデルと、強固な財務体質が伝統的な特徴だが、近年は保有するKDDI株式等の資産の有効活用やROE(自己資本利益率)向上に注力するなど、構造改革を推進している。同社の事業は3つのセグメントで構成される。主力のコアコンポーネントは、売上高の3割程度を占め、半導体製造装置用ファインセラミック部品や有機パッケージ、車載カメラ用部品などを扱い、AI・デジタル社会のインフラを支える最も収益性の高い部門である。電子部品は、売上高の2割程度を占め、コンデンサやコネクタ、水晶デバイス等を展開し、通信・車載市場に強みを持つ。米国子会社Kyocera AVX Components Corporation(以下、KAVX)もここに含まれる。ソリューションは売上高の5割程度を占め、一般向けから各種産業用の工具、ドキュメント機器(複合機・プリンタ)、通信機器、情報通信サービス等を扱っている。同社の強みとしては、祖業であるセラミック分野における高い技術・市場占有率、長年の実績に基づく顧客との関係性がある。また、ドキュメントソリューションにおいては、国内外で様々な顧客接点があり、幅広い同社製品をクロスセルすることが可能になっている。事業環境については、生成AI普及に伴うデータセンター投資の拡大が商機になりうる。半導体製造装置向け部品事業やセラミックパッケージ事業など、同社が事業拡大できる余地は大きいだろう。ソリューションにおいては、ペーパーレスが進展する中、中長期的にはプリンター、インクジェット関連などは需要減が見込まれるものの、データ管理や産業用プリンターなどの新規事業を開発することで対応を急いでいる。2026年3月期の通期連結業績予想は、売上高は前期比3.2%減の1,950,000百万円、営業利益は同156.4%増の70,000百万円、税引前利益は同83.9%増の117,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同294.2%増の95,000百万円へと上方修正されている。第2四半期累計実績では、売上高は為替の円高進行(主に対米ドル)の影響等で微減となったものの、税引前利益は前年同期比31.1%の大幅増益で着地した。課題であった半導体部品有機材料事業や子会社KAVXの収益性が改善し、構造改革の成果が数字として表れ始めている。2026年3月期を最終年度とする中期経営計画では、売上高2.5兆円、ROE7%以上などの目標を掲げているが、足元の進捗を踏まえると目標達成には距離感がある。一方、経営陣は戦略の見直しや構造改革を優先しており、課題事業の黒字化や売上高2,000億円程度の事業見直しを断行している。なお、当期末までには新たな将来ビジョン、成長戦略などが発表される予定であり、成長路線への再回帰に対する期待が高まろう。同社は構造改革を進める中、株主還元の強化を打ち出している。保有するKDDI株式の一部売却を実行し、約2,100億円の資金を確保する一方、上限2,000億円という過去最大規模の自己株式取得枠を設定し、買付を実施している。配当については、配当性向50%程度を目安とし、今期は年間50円を維持する方針である。政策保有株の縮減と積極的な還元姿勢は、PBR1倍割れに対する強いコミットメントと言えよう。投資の視点では、KDDI株売却による資本効率の改善、事業見直しによる収益性の向上、そしてAI関連需要の取り込みが見込まれるなど、成長路線への再回帰が期待される。構造改革の更なる進展や新たな成長戦略を確認する必要はあるが、足元の株価バリエーション(PBR0.88倍、予想配当利回り2.42%)を踏まえると投資妙味があると考える。
<HM>
2025/12/02 13:12
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DCMホールディングス:PB強化とリフォーム事業拡大で収益改革を進める国内最大級ホームセンター
*12:49JST DCMホールディングス:PB強化とリフォーム事業拡大で収益改革を進める国内最大級ホームセンター
DCMホールディングス<3050>は、北海道のホーマック、東海、北陸のカーマ、四国、関西のダイキなど複数の地域ホームセンターが統合して誕生した国内最大級のホームセンターグループ。グループ店舗数は全国で900店舗超と圧倒的な規模を持ち、ホームセンター市場約4兆円の中で5,000〜6,000億円の売上規模を有しトップシェアを占める。生活用品、DIY、園芸、ペット用品などを幅広く扱い、地域に密着した店舗運営が特徴だ。同社の事業構造はホームセンター事業が中心で、収益の柱は生活密着型の商品群とプライベートブランド(PB)商品である。PB「DCMブランド」はナショナルブランドより粗利利率が高く、2025年度上期の構成比30%から2030年度に50%まで引き上げる方針だ。規模の経済を活かした仕入れ効率化や物流最適化に取り組み、統合オペレーションによるローコスト運営が強みとなる。また、ホームテックのM&Aによりリフォーム事業を本格拡大し、「生活快適化総合企業」への進化を図っている。2026年2月期第2四半期(中間期)の業績は、営業収益2,803億円(前年同期比2.6%減)、営業利益208億円(同1.1%減)と減収減益で着地した。北海道・東北地域で3〜5月の気温が低く春商戦が出遅れたほか、前期の南海トラフ特需の反動減、夏季の猛暑影響など、天候要因が売上に逆風となった。販管費についてはコスト抑制を進めたことによって、オペレーション効率化の成果が表れている。一方、当期純利益はシンジケートローン手数料削減により121億円(前年同期比3.6%増)と微増を確保した。部門別では全体的に伸び悩みが見られたものの、PB商品は利益貢献が大きく、既存店売上の弱含みを補完した。さらに、グループインしたケーヨーが営業利益率で6〜7%改善し、統合効果が顕在化している。粗利利改善(商品統一)とオペレーション改善によるコスト削減が進んでおり、9月にグループインしたエンチョーでも同様の効果が期待される。仕入れ、物流コストの上昇にも、適正価格販売と商品MDの工夫により吸収する姿勢を貫いている。今期の通期見通しは、営業収益5,536億円(前期比1.7%増)、営業利益350億円(同5.3%増)と増収増益を計画し、現時点で計画の据え置きを発表している。上期は営業利益が想定を約10億円下回ったが、PB強化とコスト見直しにより通期ベースでの利益確保を見込む。下期からエンチョーの5カ月分を取り込む予定で、売上押し上げ要因となる。市場としてはホームセンター全体の成長は鈍化しているが、DIY需要、生活必需品の底堅さ、住環境改善ニーズは継続しており、中期的には安定した需要環境が続くと見る。競合他社との比較では、全国900店規模の店舗網を持つDCMは購買力・物流網・PB開発力で優位性が高い。カインズ、コメリ、コーナン商事など大手がPBを強化する中でも、規模メリットを活かした統合オペレーションは容易に模倣できない強みだ。さらに、M&A後のPMI(統合プロセス)を短期で成果につなげる実行力はケーヨーの改善により実証されており、今後の再編局面でも競争力を持つと評価できる。同社は「第3次中期経営計画(2023-2025年度)」の最終年度を迎えているが、円安による原価上昇や人件費の増加で利益計画は下方見直しとなった。一方で、PB商品の強化、店舗オペレーションの統一・効率化が着実に進み、収益基盤はむしろ強化されてきた。店舗戦略では、大型店においてレジャー、DIY、ペット関連など専門店化を進め、中型・小型店は改装と効率化を実験的に推進。地域特性を踏まえた多様な店舗フォーマットを再構築している。M&Aは今後も積極的に推進する方針で、ホームセンターを中心とした事業統合でスケールメリットを最大化しつつ、リフォーム事業を全国に広げることで住生活関連のサービスプラットフォームとしての価値向上を図る。リフォーム市場は人口減少下でも一定の需要が見込める分野であり、長期的な成長領域として位置づけられる。株主還元方針は、配当性向35%を基本とした利益成長に応じた増配を目指す。2026年2月期は年間46円の配当を計画。さらに将来的には配当性向40%を視野に入れ、自己株式の取得も機動的に検討、総還元性向70%をターゲットとする。現状PBRは0.7倍と割安水準にあるが、次期中計で資本効率の改善が期待される。PB比率引き上げや店舗統合効果が進む中、収益性改善による株価のリバリュー余地は大きい。総じて、DCMホールディングスは国内トップクラスのスケールと高い統合能力を武器に、PB強化とM&A、店舗改革を通じて収益基盤を再構築している。ホームセンター市場が成熟局面にある中で、リフォーム事業とPB戦略という成長エンジンを持ち、ROE改善とPBR1倍回復に向けた着実な成長が期待できる。中長期的な利益成長と還元両面で注目したい。
<HM>
2025/12/02 12:49
注目トピックス 日本株
日経平均寄与度ランキング(前引け)~日経平均は反発、ファーストリテが1銘柄で約64円分押し上げ
*12:47JST 日経平均寄与度ランキング(前引け)~日経平均は反発、ファーストリテが1銘柄で約64円分押し上げ
2日前引け時点の日経平均構成銘柄の騰落数は、値上がり128銘柄、値下がり91銘柄、変わらず6銘柄となった。日経平均は反発。195.78円高の49499.06円(出来高概算10億2372万株)で前場の取引を終えている。前日1日の米国株式市場は大幅反落。ダウ平均は427.09ドル安の47289.33ドル、ナスダックは89.77ポイント安の23275.92で取引を終了した。暗号資産相場の下落や円キャリートレードの巻き戻しなどのリスクが警戒され、寄り付き後、下落。さらに、ISM製造業景況指数が予想外に悪化し、経済の成長減速懸念も重しとなった。その後も、ベネズエラを巡る地政学的リスクの上昇や、長期金利の上昇も嫌気され、相場は下落。終盤にかけても売りが続き終了した。セクター別ではテクノロジー・ハード・機器、エネルギーが上昇した一方、資本財・公益事業が下落した。米株式市場の動向を横目に、2日の日経平均は191.30円高の49494.58円と反発して取引を開始した。東京市場では買い先行の展開となり、輸出関連や為替感応銘柄に対して円安・ドル高の進行が支えとなった。あわせて、国内外の需給バランスがやや引き締まり気味との見方もあり、前場序盤から全般にしっかりした売買が観測された。個別では、ファーストリテ<9983>、ファナック<6954>、アドバンテスト<6857>、コナミG<9766>、レーザーテク<6920>、フジクラ<5803>、住友電<5802>、KDDI<9433>、信越化<4063>、TDK<6762>、HOYA<7741>、セコム<9735>、ニトリHD<9843>、ガイシ<5333>、安川電<6506>などの銘柄が上昇。一方、ソフトバンクG<9984>、第一三共<4568>、リクルートHD<6098>、トヨタ<7203>、豊田通商<8015>、ベイカレント<6532>、三越伊勢丹<3099>、オリンパス<7733>、エーザイ<4523>、デンソー<6902>、ホンダ<7267>、三井不<8801>、住友ファーマ<4506>、キーエンス<6861>、SUBARU<7270>などの銘柄が下落。業種別では、非鉄金属、石油・石炭製品、ゴム製品、化学、電気機器、精密機器、食料品、銀行業などが買われるなか、医薬品、機械、情報・通信業、輸送用機器、不動産業などが軟調だった。特に非鉄金属と石油・石炭製品セクターの堅調さが目立った。値上がり寄与トップはファーストリテ<9983>となり1銘柄で日経平均を約64円押し上げた。同2位はファナック<6954>となり、アドバンテスト<6857>、コナミG<9766>、レーザーテック<6920>、フジクラ<5803>、住友電工<5802>などがつづいた。一方、値下がり寄与トップはソフトバンクG<9984>となり1銘柄で日経平均を約67円押し下げた。同2位は第一三共<4568>となり、リクルートHD<6098>、東エレク<8035>、ベイカレント<6532>、豊田通商<8015>、トヨタ<7203>などがつづいた。*11:30現在日経平均株価 49499.06(+195.78)値上がり銘柄数 128(寄与度+371.07)値下がり銘柄数 91(寄与度-175.29)変わらず銘柄数 6○値上がり上位銘柄コード 銘柄 直近価格 前日比 寄与度<9983> ファーストリテ 56750 800 64.18<6954> ファナック 5410 372 62.17<6857> アドバンテ 19875 175 46.80<9766> コナミG 23555 465 15.54<6920> レーザーテック 28695 940 12.57<5803> フジクラ 16680 335 11.20<5802> 住友電気工業 6612 282 9.43<7741> HOYA 23485 415 6.94<9433> KDDI 2667 17 6.82<9735> セコム 5429 92 6.15<9843> ニトリHD 2732.5 71.5 5.97<5333> 日本碍子 3241 171 5.72<4063> 信越化 4688 32 5.35<4519> 中外製薬 8125 53 5.31<6762> TDK 2486.5 9 4.51<6506> 安川電機 4157 133 4.45<2801> キッコーマン 1425.5 25 4.18<4062> イビデン 11440 120 4.01<6146> ディスコ 43040 590 3.94<7751> キヤノン 4595 70 3.51○値下がり上位銘柄コード 銘柄 直近価格 前日比 寄与度<9984> ソフトバンクG 16200 -335 -67.19<4568> 第一三共 3687 -131 -13.14<6098> リクルートHD 7864 -113 -11.33<8035> 東エレク 31580 -50 -5.01<6532> ベイカレント 6514 -143 -4.78<8015> 豊田通商 4934 -47 -4.71<7203> トヨタ自動車 3055 -27 -4.51<3099> 三越伊勢丹HD 2351 -110 -3.68<7733> オリンパス 2038 -27 -3.61<4523> エーザイ 4693 -97 -3.24<7267> ホンダ 1520.5 -14.5 -2.91<6902> デンソー 2023.5 -19.5 -2.61<7270> SUBARU 3370 -68 -2.27<8801> 三井不動産 1743 -22.5 -2.26<6861> キーエンス 51770 -670 -2.24<4506> 住友ファーマ 2503.5 -66.5 -2.22<7832> バンナムHD 4429 -21 -2.11<6526> ソシオネクスト 2172 -58 -1.94<6367> ダイキン工業 19890 -55 -1.84<4502> 武田薬品工業 4455 -54 -1.80
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2025/12/02 12:47
注目トピックス 日本株
AZ丸和HD Research Memo(4):中期経営計画では、重点施策により売上高の年平均成長率10%超を目指す
*12:34JST AZ丸和HD Research Memo(4):中期経営計画では、重点施策により売上高の年平均成長率10%超を目指す
■中長期の成長戦略AZ-COM丸和ホールディングス<9090>は、「中期経営計画2028」(2026年3月期~2028年3月期)において、「環境変化に強い高収益企業づくり」の実現を掲げている。数値目標としては、2028年3月期の売上高280,000百万円、経常利益20,000百万円、経常利益率7.1%、ROE15%以上に引き上げる計画である。売上高の年平均成長率(CAGR)は10.4%、経常利益は同19.9%である。数値目標の達成に向けては、1) 環境変化に強い高収益企業づくり、2) グループ機能の強化(最大活用・再編)、3) オペレーションの進化(標準化・DX)、4) 新規事業(顧客)開発と既存事業再成長、5) 機能戦略(経営資源)の強化、の5つの重点施策を掲げた。具体的には、人件費だけではなく、コスト全般が上昇しているなか、高い付加価値と効率性、コスト管理を追求することで、ROE15%以上を達成し、業界トップクラスの高収益企業づくりに挑戦する。グループ機能の強化としては、営業所単位でアナログ管理していたものを、TMS(輸配送プラットフォーム)を導入して可視化・効率化を実現するほか、AZ-COM丸和グループ/パートナー企業の小型車を活用する物流プラットフォームの開発・運用を進める。オペレーションの進化(標準化・DX)については、専用センターごとに業務手順やマネジメント手法が異なることを課題として認識しており、DXを推進して、KPIマネジメントを確立し、省人化・省力化の実現を目指す。新規事業(顧客)開発と既存事業再成長については、2026年3月期に稼働開始したBCP機能を兼ね備えた新拠点AZ-COM Matsubushi EASTの稼働率100%を中期経営計画中に目指す。ドメインの重点施策としては、幹線需要の対応(EC常温輸配送)とEC関連を中心としたセンターの稼働(EC常温3PL)にて業容を拡大するほか、AZ-COM Matsubushiの本格稼働と各センターの生産性向上に努める方針である。ラストワンマイル事業は、軽自動車以外の輸送手段の確立とライドシェアの仕組みを活用するほか、計画的にSD(店舗配送)を確保し、首都圏を中心に営業を強化することで年平均成長率3.8%、2028年3月期の売上高44,000百万円(2025年3月期売上高は39,350百万円)を目指す。EC常温輸配送事業は、幹線便事業については新規センター開設による運行数の増加や、確立したネットワークの地方都市への展開を進める。さらに、ドライバーの働き方の多様化とDX投資による合理化で車両稼働の生産性を改善させ、年平均成長率22.9%で2028年3月期の売上高99,000百万円(2025年3月期売上高は53,371百万円)を目指す。EC常温3PL事業は、EC関連の専用センター業務を中心に業容を拡大するほか、グループ内での「丸和スタンダード構築」を目的とした作業の標準化と現場マネジメントを確立することで、年平均成長率17.7%で2028年3月期の売上高105,000百万円(2025年3月期売上高は64,486百万円)を目指す。低温食品3PL事業は、「AZ-COM Matsubushi」を本格稼働させるうえ、従来の食品SM以外の「食」に関わる事業を拡張させ、産直の強化と多彩な輸送の連携でブランド価値の向上をねらい、年平均成長率12.0%で2028年3月期の売上高34,000百万円(2025年3月期売上高は24,239百万円)を目指す。医薬・医療3PL事業は、新センターの開設に向けたフィジカルインターネットを確立するほか、業務標準化によって品質を担保したうえで、年平均成長率3.9%で2028年3月期の売上高27,000百万円(2025年3月期売上高は24,151百万円)を目指す。■株主還元策累進配当の方針の下、2026年3月期の1株当たり配当金は32.0円を予定同社は、2025年3月期より、原則として減配せず、配当の維持もしくは増配する政策である累進配当を導入している。導入の背景は、2014年に株式公開して以来、増配を継続するなど株主還元を強化してきたが、引き続き、企業価値向上を目指す株主資本コストを意識し、株主に対する利益還元の一層の充実と資本効率の向上に取り組むためである。2025年3月期の1株当たり配当金は32.0円(配当性向59.2%)と前期比2.0円増配し、2026年3月期においては32.0円(配当性向59.0%)を予定している。2026年3月期中間期は16.0円と前期と同額の配当金だった。持続的成長のために先行投資を実行し、収益力と資本効率を向上させつつ、株主に安定的かつ継続的な配当を行うことを基本方針とし、「中期経営計画2028」期間(2028年3月期まで)は、配当性向40%を目安としている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 星 匠)
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2025/12/02 12:34
注目トピックス 日本株
AZ丸和HD Research Memo(3):2026年3月期中間期は計画を上回る着地。EC常温3PL事業がけん引
*12:33JST AZ丸和HD Research Memo(3):2026年3月期中間期は計画を上回る着地。EC常温3PL事業がけん引
■AZ-COM丸和ホールディングス<9090>の業績動向1. 2026年3月期中間期の業績概要2026年3月期中間期の業績は、売上高で前期比11.4%増の113,054百万円、営業利益で同40.2%増の6,068百万円、経常利益で同36.0%増の6,269百万円、親会社株主に帰属する中間純利益は同40.2%増の3,991百万円となった。計画(売上高105,000百万円、営業利益4,500百万円、経常利益4,650百万円、親会社株主に帰属する中間純利益2,850百万円)に対しては、売上高は7.7%超過、営業利益は34.8%超過、経常利益は34.8%超過、親会社株主に帰属する中間純利益は40.0%超過となった。売上面では、輸配送事業においてラストワンマイル事業でネットスーパー事業における一部取引先の業務縮小や既存取引先の稼働台数減少が影響し減収となった一方、3PL事業において前期に開設した大手ネット通販会社向け物流センターの通期稼働や、ドラッグストア向け物流センターの全面稼働を中心とした新規物流センターが複数開設されたうえ、各取引先との取扱物量の増加やEC常温輸配送事業における幹線輸送数の堅調な拡大でカバーし、増収で着地した。利益面での経常利益の主な増減要因は、社員賃金ベースアップ影響による450百万円、撤退・業務縮小による429百万円、既存物量減による304百万円、新規開設準備、業務安定化などの一時費用295百万円が減益要因となった一方、新規顧客獲得及び既存事業拡大、通期稼働による1,257百万円、料金改定及び生産性向上、コスト削減による1,207百万円、前期に発生した株式公開買付け関連費用減による674百万円が増益に寄与し、大幅増益を確保した格好である。2. 事業セグメント別動向物流事業の売上高は前期比11.5%増の111,514百万円、営業利益は同24.1%増の5,914百万円となり、その他事業の売上高は同10.5%増の1,540百万円、営業利益は同10.6%増の213百万円となった。物流事業セグメントにおける各事業の売上動向は以下のとおりである。ラストワンマイル事業の売上高は前期比4.6%減の19,036百万円となった。ネットスーパー事業における一部取引先の業務縮小や、既存取引先の稼働台数減少が影響し、減収となった。EC常温輸配送事業の売上高は前期比10.8%増の29,557百万円となった。新たな取引先の輸配送案件の獲得に加えて、センター間をつなぐ幹線輸送数が堅調に拡大したこと、また、既存取引先との新たな輸配送サービスの稼働開始が寄与した。EC常温3PL事業の売上高は前期比22.5%増の36,729百万円となった。前期に開設した大手ネット通販会社向け物流センターの通期稼働及び取扱物量の増加に加え、新たな物流センターの開設が寄与した結果、2ケタ成長を維持した。低温食品3PL事業の売上高は前期比9.6%増の12,964百万円となった。前期開設したスーパーマーケット向け物流センターの通期稼働に加え、商品単価の上昇や取扱物量の増加が寄与した結果、堅調な成長を示した。医薬・医療3PL事業の売上高は前期比14.1%増の13,226百万円となった。主要取引先であるドラッグストアの業容拡大に対応する新たな物流センターの全面稼働に加え、季節商品をはじめとする好調な取扱物量の増加が寄与した。3. 財務状況と経営指標2026年3月期中間期末の資産合計は前年度末比20,000百万円増加の158,551百万円となった。主な増減要因は、現金及び預金が4,886百万円減少したことにより流動資産が3,408百万円減少し63,165百万円となったが、有形固定資産のうち新規物流センターの建設に係る建設仮勘定が13,920百万円の増加、機械装置及び運搬具(純額)が3,077百万円の増加、建物及び構築物(純額)が1,174百万円の増加、投資有価証券が3,592百万円の増加となり、固定資産は23,408百万円増加し95,386百万円となったことによる。負債合計は前年度末比16,136百万円増加の94,255百万円となった。主な増減要因は、流動負債は1年内償還予定の転換社債が20,146百万円減少したことにより、13,353百万円減少の37,328百万円となった。固定負債は転換社債が22,000百万円増加、長期借入金が6,172百万円増加したことにより、29,490百万円増加の56,926百万円となった。純資産合計は同3,864百万円増加の64,296百万円となった。利益剰余金は1,827百万円増加し、その他有価証券評価差額金は1,938百万円増加した。また、経営指標については、自己資本比率が38.8%となり、前年度末の41.7%と比べ2.9ポイント低下したが、財務の健全性は良好であると評価できる。4. キャッシュ・フロー営業活動によるキャッシュ・フローは7,035百万円の収入(前期は3,458百万円の収入)となった。これは主に、税金等調整前中間純利益6,346百万円、減価償却費1,734百万円、のれん償却額254百万円、賞与引当金の増加44百万円、仕入債務の増加895百万円があったことによる。投資活動によるキャッシュ・フローは、18,665百万円の支出(前期は4,892百万円の支出)となった。これは主に、有形固定資産の取得による支出17,120百万円、無形固定資産の取得による支出208百万円、敷金及び保証金の差入による支出155百万円があったことによる。財務活動によるキャッシュ・フローは、6,771百万円の収入(前期は1,627百万円の支出)となった。これは主に、転換社債の発行による収入22,000百万円、長期借入れによる収入10,100百万円があった一方で、転換社債の償還による支出20,000百万円、長期借入金の返済による支出2,892百万円、配当金の支払額2,163百万円があったことによる。現金及び現金同等物の減少額は4,858百万円(前期は3,061百万円の減少)となり、期末における現金及び現金同等物の残高は36,278百万円で、期首の41,136百万円から減少した。■今後の見通し2026年3月期は新拠点の取扱物量の増加により増収増益の見通し2026年3月期の連結業績は、売上高で前期比5.6%増の220,000百万円、営業利益で同8.6%増の11,900百万円、経常利益で同3.2%増の12,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同0.3%増の7,300百万円と、増収増益の見通しだ。輸配送事業においては、ラストワンマイル事業は、ルーフィの買収効果が寄与する見込みだが、大手総合スーパーにおけるネットスーパー事業からの撤退による売上高に減少の影響が出る模様だ。EC常温輸配送事業は大型拠点の閉鎖に伴う輸送量の減少が一巡するなか、新規取引先の拡大や既存取引先の新サービスなどによる輸送数の拡大により、増収に転じる見込みだ。3PL事業は、EC常温と低温食品ともに前期立ち上げた新拠点の取扱物量の増加が寄与し、医薬・医療は主要取引先であるドラッグストアのインバウンド需要の拡大に加え、経営統合に伴う物流センターの統合の進展により、新たなセンター開設による取扱物量の増加が見込まれる。利益項目は、投資案件や経費増、撤退・業務縮小などの圧迫要因があるが、新規顧客獲得、既存事業拡大、料金改定、生産性向上などにより増益を見込む。2026年3月期中間期において計画を大幅に上回る着地であったが、期初の会社計画に織り込んでいなかった生産性向上に向けた投資負担に加え、新拠点の業務安定化を目的とした一時費用が下期も発生する見込みのため、通期の会社計画は据え置きとなっている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 星 匠)
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2025/12/02 12:33
注目トピックス 日本株
AZ丸和HD Research Memo(2):物流センター業務を中心とするサードパーティ・ロジスティクス業務が主力事業
*12:32JST AZ丸和HD Research Memo(2):物流センター業務を中心とするサードパーティ・ロジスティクス業務が主力事業
■AZ-COM丸和ホールディングス<9090>の会社概要1. 会社概要同社グループは、物流事業を主力事業として、物流センター業務を中心とするサードパーティ・ロジスティクス業務を手掛けている。グループ合計269拠点の物流ネットワークを有し(2026年3月期中間期末時点)、小売業に特化したEC物流、低温食品物流、医薬・医療物流の事業展開が特徴である。物流事業は輸配送事業と3PL事業に分かれており、輸配送事業では、一般貨物運送、軽貨物運送(当日お届けサービス、ネットスーパーなど)、特別積合せ貨物運送、鉄道利用運送、産業廃棄物の収集運搬など、多様な輸送手段を提供している。また3PL事業では、顧客の販売拠点や輸配送ルートを考慮した物流センター候補地の選定、センター設計、商品の調達・入荷から保管、流通加工、ピッキング、梱包、仕分け、出荷検品までの一連の作業管理手法、輸配送のダイヤグラム設定及びリバースロジスティクス(返品物流)の提案と受託を行っている。2. 沿革同社は、1973年に埼玉県北葛飾郡吉川町(現 埼玉県吉川市)に一般区域貨物自動車運送事業を事業目的に設立された。設立以来、M&Aと事業の多角化を進めてきており、M&Aでは、直近で2024年にルーフィを完全子会社化するなど、これまでに数多くの実績を通じて企業規模を拡大してきた。事業の多角化については、1995年に医薬・医療物流を全国に拡大、2013年に低温食品物流事業を開始、2019年にはBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)物流を本格稼働させた。顧客は、(株)イトーヨーカ堂、ダスキン<4665>、マツキヨココカラ&カンパニー、アマゾンジャパンなど順次、大口顧客との取り引きを開始した。株式については、2014年に東京証券取引所(以下、東証)市場第2部に上場し、2015年に東証市場第1部銘柄に指定(現 東証プライム市場)された。2022年に純粋持株会社体制へ移行し、AZ-COM丸和ホールディングスに商号を変更した。3. 事業内容同社の事業セグメントは、物流事業、その他事業の2つで開示している。2026年3月期中間期の事業別売上高構成比では、物流事業が売上高の98.6%を占める主力事業となっている。(1) 物流事業物流事業は輸配送事業と3PL事業に分かれている。輸配送事業には、ラストワンマイル事業とEC常温輸配送事業があり、3PL事業には、EC常温3PL事業、低温食品3PL事業、医薬・医療3PL事業のドメインがある。1) 輸配送事業a) ラストワンマイル事業軽車両、小型車両を活用した配送、生協の個別配送、ネットスーパーの配送、電化製品などの宅配設置などを行っている。アマゾンジャパン、ヤマト運輸、生活協同組合コープみらいが主要取引先である。2017年から開始したアマゾンジャパンとの取り引き拡大を追い風に高成長を遂げてきた事業である。b) EC常温輸配送事業EC常温輸配送事業は、中型~大型車両及び鉄道を活用した拠点間配送・店舗間配送などを行っており、ヤマト運輸、アマゾンジャパンが主要取引先である。同事業は同社の売上高のうち、EC常温3PL事業に次ぐ第2位のシェアを占めており、M&Aによる事業拡大も行っている。2) 3PL事業a) EC常温3PL事業EC常温3PL事業では、大手ECサイトやネット通販会社の専用センター業務、小売業の常温品向けセンター業務を手掛けている。アマゾンジャパン、ダスキンが主要取引先である。同事業は同社の売上高に占める最大シェアの事業であり、2ケタ成長を続けるトップラインのけん引役となっている。b) 低温食品3PL事業低温食品3PL事業では、スーパーマーケット向けのセンター業務、メーカーや卸センターからの調達物流を手掛けている。ベルク<9974>、(株)マルアイ、ヤマザワ<9993>、(株)ベイシア、コープ東北サンネット事業連合が主要取引先である。新たなセンターがオープンするなど安定した成長が続く事業である。c) 医薬・医療3PL事業医薬・医療3PL事業では、ドラッグストア向けのセンター業務、メーカーや卸向けの返品物流を手掛けている。マツキヨココカラ&カンパニーが主要取引先である。主要取引先の経営統合に伴う物流センターの統合の進展により、新たなセンター開設による取扱物量の増加が見込まれている事業である。(2) その他事業その他事業として、各種申込書や契約書など重要書類の原本保管や輸配送などの原本管理、Webアプリケーションを利用したリアルタイムな書類検索や電子データ閲覧、IT技術を活用したドキュメントの電子データ化など、ドキュメントの発生から廃棄までを総合的にサポートし、最適なドキュメント総合管理サービスを提供する「文書保管」と、首都圏を中心として、ビル・駐車場等の賃貸管理業務を行う「不動産賃貸」を手掛けている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 星 匠)
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2025/12/02 12:32
注目トピックス 日本株
AZ丸和HD Research Memo(1):小売業向けの物流事業が主力。2026年3月期中間期は計画を上回る大幅増益
*12:31JST AZ丸和HD Research Memo(1):小売業向けの物流事業が主力。2026年3月期中間期は計画を上回る大幅増益
■要約AZ-COM丸和ホールディングス<9090>は、物流事業を主力事業として、物流センター業務を中心とするサードパーティ・ロジスティクス(3PL)業務を手掛けている。物流事業は輸配送事業と3PL事業に分かれており、輸配送事業はラストワンマイル事業とEC常温輸配送事業、3PL事業はEC常温3PL事業と低温食品3PL事業及び医薬・医療3PL事業のドメインに分かれている。グループ合計269拠点の物流ネットワークを有しており(2026年3月期中間期末時点)、小売業に特化したEC物流、低温食品物流、医薬・医療物流の事業展開が特徴である。会社設立以来M&Aと事業の多角化を進めてきており、M&Aでは直近で2024年に(株)ルーフィを完全子会社化するなど、これまでに数多くの実績を通じて企業規模を拡大してきた。顧客は、マツキヨココカラ&カンパニー<3088>、アマゾンジャパン(同)、ヤマト運輸(株)など、大口顧客の基盤を有する。1. 2026年3月期中間期の業績概要2026年3月期中間期の業績は、売上高で前期比11.4%増の113,054百万円、営業利益で同40.2%増の6,068百万円、経常利益で同36.0%増の6,269百万円、親会社株主に帰属する中間純利益は同40.2%増の3,991百万円となった。売上面では、輸配送事業においてラストワンマイル事業でネットスーパー事業における一部取引先の業務縮小や既存取引先の稼働台数減少が影響し、減収となった一方、3PL事業において前期に開設した大手ネット通販会社向け物流センターの通期稼働や、ドラッグストア向け物流センターの全面稼働を中心とした新規物流センターが複数開設されたうえ、各取引先との取扱物量の増加やEC常温輸配送事業における幹線輸送数の堅調な拡大でカバーし、増収で着地した。利益面では、新規顧客獲得及び既存事業拡大、通期稼働による1,257百万円、料金改定及び生産性向上、コスト削減による1,207百万円、前期に発生した株式公開買付け関連費用減による674百万円が増益に寄与し、大幅増益を確保した格好である。2. 2026年3月期の業績見通し2026年3月期の連結業績は、売上高で前期比5.6%増の220,000百万円、営業利益で同8.6%増の11,900百万円、経常利益で同3.2%増の12,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同0.3%増の7,300百万円と、増収増益を見込んでいる。輸配送事業においては、ラストワンマイル事業は、ルーフィの買収効果が寄与する見込みだが、大手総合スーパーにおけるネットスーパー事業からの撤退による売上高に減少の影響が出る模様だ。EC常温輸配送事業は大型拠点の閉鎖に伴う輸送量の減少が一巡するなか、新規取引先の拡大や既存取引先の新サービスなどによる輸送数の拡大により、増収に転じる見込み。3PL事業は、EC常温と低温食品ともに前期立ち上げた新拠点の取扱物量の増加が寄与し、医薬・医療は主要取引先であるドラッグストアのインバウンド需要の拡大に加え、経営統合に伴う物流センターの統合の進展により、新たなセンター開設による取扱物量の増加が見込まれる。3. 中長期の取り組み同社は、「中期経営計画2028」(2026年3月期~2028年3月期)において、「環境変化に強い高収益企業づくり」の実現を掲げている。数値目標としては、2028年3月期の売上高280,000百万円、経常利益20,000百万円、経常利益率7.1%、ROE15%以上に引き上げる計画である。目標達成に向けて、1) 環境変化に強い高収益企業づくり、2) グループ機能の強化(最大活用・再編)、3) オペレーションの進化(標準化・DX)、4) 新規事業(顧客)開発と既存事業再成長、5) 機能戦略(経営資源)の強化、の5つの重点施策を掲げ、推進している。■Key Points・2026年3月期中間期は計画を上回る着地、主力のEC常温3PL事業がけん引・2026年3月期は新設センターの稼働寄与などで増収増益の見通し・中期経営計画において、環境変化に強い高収益企業づくりの実現を掲げ推進中(執筆:フィスコ客員アナリスト 星 匠)
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2025/12/02 12:31
注目トピックス 日本株
リアルゲイト Research Memo(5):2026年9月期通期は営業利益で前期比40.9%増を予想
*12:05JST リアルゲイト Research Memo(5):2026年9月期通期は営業利益で前期比40.9%増を予想
■リアルゲイト<5532>の今後の見通し2026年9月期通期の業績予想は、売上高で前期比7.2%増の10,500百万円、営業利益で同40.9%増の1,470百万円、経常利益で同35.1%増の1,117百万円、当期純利益で同29.6%増の725百万円と高い利益成長が続く見込みである。成長戦略では、物件の高稼働によるストック型収入を着実に増やしながら、収益性の高い自社保有物件を中心に新規獲得を積極的に進めることで、業績拡大及び収益性向上を目指す。売上高の内訳としては、ストック型売上高6,404百万円(同4.7%増)、ストック型粗利2,149百万円(同5.3%増)と堅調な伸びを予想する。既存物件の好調な稼働率を維持しながら、テナント賃料改定を実施し、収益性を向上させる計画である。進行期には「THESTEPS/SHIFT HOTEL(渋谷区、ML)」「FURAM SANGUBASHI(渋谷区、保有)」などを含めて9件が開業予定である。9件中6件は収益性的に有利な保有物件である。フロー型では、2件(上期1件、下期1件)の売却、2件(上期1件、下期1件)の設計・施工を請負予定である。フロー型売上高4,096百万円(同11.5%増)、フロー型粗利1,097百万円(同72.5%増)と特に粗利が大きく伸びる予想である。将来の成長のポイントとなる物件の仕入は、保有物件を中心に約8件の新規獲得を目指す。営業利益に関しては、これまでの中期経営計画の利益成長目標(30%以上)を上回る前期比40.9%増を予想する。売上高営業利益率では14.0%(前期は10.7%)に達する予想である。新規開業する物件のリーシングを進め早期に黒字化させることや、既存物件の稼働率を維持しつつ、賃料適正化の取り組みを進めることが収益性向上のカギとなる。第1四半期に予定していた売却が既に完了しており、営業利益の進捗率は約60%となっており、進捗は順調である。弊社では、ストック型の収入モデルが安定的に積み上がっているため、物件の売却を年2件程度に抑えることができており、安定した利益成長ができる好循環に入っていると評価している。リーシングに注力する物件は、保有物件が多くなっており、いずれも同社が得意とする渋谷エリアが中心であり早期のリースアップ・高稼働の維持が期待できる。物件の売却環境も良好なため、売却益もしっかり期待できる。これまでの同社の業績予想精度は非常に高く、進行期も業績予想の達成可能性は高いと考えている。■中長期の成長戦略・トピック新中期経営計画は営業利益計画を上方修正。省人型「SHIFT HOTEL」を本格展開1. 新中期経営計画(ローリング)では利益目標を上方修正同社では、2026年9月期を初年度とし、2028年9月期を最終年度とする3ヶ年の新中期経営計画が進行中である。前中期経営計画(2025年9月期~2027年9月期)をローリングさせたもので、利益の計画値が上方修正された点に特徴がある。具体的には、前中計では営業利益の成長ペースが年率30%以上だったのに対し、新中計では初年度(2026年9月期)年率40.9%に引き上げられた。この背景には、外部要因として不動産再生需要の増加という市況環境の追い風に加え、2023年9月期以降に保有物件の仕入れが順調に進展した結果、ストック型ビジネスの基盤が着実に拡大したことが挙げられる。また、内部要因としては、財務基盤や人的資本が強化され、物件の獲得を積極的に行える体制が整ったことが大きい。最終年度の営業利益計画は25億円、営業利益率は19.2%である。営業利益率が高まる主な要因は、ポートフォリオにおける保有物件比率の上昇である。2025年9月期末の保有物件は11件だったのに対し、2028年9月期末には22件~26件と倍以上を計画する。一方で、PM件数は減少(同18件→同14~15件)、ML件数は緩やかな増加(同42件→同49~51件)にとどまる。同社の経営計画の精度の高さは、将来の売上高につながる物件に先行して獲得するビジネスモデルに起因する。一例として、2026年9月期開始時点で、既存獲得済物件による売上寄与は2026年9月期で100%、2027年9月期は85%、2028年9月期は70%となる。2. ホテルへの本格進出:地域とのつながりを楽しむ省人型ホテル「SHIFT HOTEL」を展開同社は、中期経営計画の新規事業の一環として「REALGATE Hotel Project」を始動し、ホテル事業への本格進出を行う。これまでの築古ビル再生ノウハウを生かし、建物の再生の選択肢に新たに「ホテル」の機能を加えることで、街に多様な価値と交流をもたらし、物件の収益性向上をねらう。プロジェクトの第1弾として、2026年1月、渋谷区幡ヶ谷1丁目に「SHIFT HOTEL/シフトホテル」をオープン予定である。築53年のオフィスビルをコンバージョンし、渋谷区幡ヶ谷の文化や空気感を、その街で暮らすように五感で体感できるホテルへと再生する。施設のインテリアデザインはBaNANA OFFICE(株)が担当し、普遍的な素材に、人が手を加えながらデザインを継ぎ足し、長く経年変化を味わうことができる空間とした。客室を彩るアートは幡ヶ谷にギャラリーを構えるgallery communeが担当し、ロビーや客室の音楽は、幡ヶ谷の街に寄り添うようにELLA RECORDS((株)CARASCO)が選曲した。ホテル運営については、AIとテクノロジーでホテル・宿泊業界の仕組みを変えるAXカンパニー、SQUEEZEと協業する。SQUEEZEは、自社アパートメントホテルブランド「Minn」やエスコンフィールドHOKKAIDOの球場内ホテル「tower eleven hotel / onsen & sauna」など全国約40施設を運営しながら、自社開発の「suitebook」をはじめ、KIOSK端末やクラウドレセプションなど多様なホテルソリューションを展開し、ホテル運営の省人化やDXの活用に定評がある。進出初年度である2026年9月期に「SHIFT HOTEL」3件の展開を計画している。■株主還元策当面は高い利益成長を背景にキャピタルゲインが期待できる同社は、成長のための投資を優先するため、2026年9月期の配当は行わない予定である。利益及び調達した資金は、短期的には物件の確保に活用される。同社は、渋谷区や港区におけるスモールオフィス・シェアオフィス等を一気通貫で提供する独自のビジネスを展開し、右肩上がりの業績成長を続けているため、当面の投資スタンスはキャピタルゲインが主目的になる。ただし、一定の利益水準に達した時点での配当開始や、その先の東証プライム市場への昇格も期待したい。配当開始は、“当期純利益10億円超え”を目途とすると表明しており、現在の見通しでは、早ければ2027年9月期に到達することになるだろう。(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)
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2025/12/02 12:05
注目トピックス 日本株
リアルゲイト Research Memo(4):渋谷区・港区・目黒区の小規模再生オフィスに特化して高稼働率を実現(2)
*12:04JST リアルゲイト Research Memo(4):渋谷区・港区・目黒区の小規模再生オフィスに特化して高稼働率を実現(2)
■リアルゲイト<5532>の事業概要5. 業務プロセス:企画・設計から運営まで一気通貫で内製化同社では、物件ごとにプロジェクトが組成され、プロジェクトリーダーの下に、企画営業(宅建士)、一級建築士、1級建築施工管理技士、デザイナー、営業事務などのメンバーが協力して業務にあたる。プロジェクトでは、企画・デザイン、設計・建設、リーシング、運営を一気通貫で行う。特に、同社では「運営」業務を重視している。入退去理由やクレーム内容等入居者の意見を分析することが良い企画の源泉となるため、早期リースアップと高単価の実現にも寄与している。優秀な人材の確保・定着のため継続的なベースアップを行っている。6. 収益構造:先行投資・費用をリーシング稼働率の向上により回収していく主体となるビジネスモデルであるMLでは、契約当初からビルオーナーへの賃料の支払いが発生するものの、入居企業が決まるまでには時間がかかるため空室時の損失が発生する。典型例(渋谷区延床面積400坪の築古ビル、以下同様)では、竣工から6ヶ月で損益分岐点に達し、8ヶ月でリースアップする。リースアップ後は毎月の粗利は250万円(エンド賃料の25%)が得られる。初期(6ヶ月)の損失は先行投資と考えられ、月次黒字化後は投資を回収し、10年~20年をかけて収益を得ていくという形である。「保有」に関しては、先行投資がさらに大きくなり、物件価格を除いても、物件取得費用(税金、仲介料など)が3,000万円かかる。また、リノベーション関連の工事・設備費が自己負担になる。一方で、リースアップした際の月額の粗利は月650万円(エンド賃料の65%)と相対的に大きくなる。「保有」は収益性が高いビジネスモデルではあるが、築古ビルでも数億円から数十億円の価格となり、自己資本比率を低下させるため、一時期に取り組める棟数には限界がある。同社では、資金効率を最大化するために、リースアップ後一定期間保有をした物件は売却してML・PMの受託につなげている。PMは、先行投資・費用が発生しないのが特徴である。竣工前には企画・設計・施工を担当でき、リースアップまでの各種支援も収入になる。一方、リースアップ後は月80万円(エンド賃料の8%)と粗利は相対的に低い。7. 強み:技術力、企画・運営力により適正価格を実現同社の強みは、「技術力、企画・運営力により、適正価格でのサービスを実現する力」である。「技術力」は、検査済証取得をはじめ、耐震補強、エレベーター新設、用途変更、増築、耐久性の向上など築古ビル特有の問題を解決し、安心・安全な物件への再生を可能にする。築古ビルには旧耐震基準の時代のものがあり、検査済証未取得のケースが多い。同社では、検査済証取得のための技術力とノウハウがあるため、他社が断念する物件にも取り組める。また「企画力」により、外観デザインの変更、屋上のスカイテラス設置、ラウンジ設置、館内アート導入などヴィンテージ物件を作り上げる多彩な共用部と洗練されたデザインのノウハウを蓄積し、活用する。「運営力」は、創業以来、PM業務やML業務を内製化し、入居テナントとのコミュニケーションを直接行ってきたことが、顧客満足度の高いサービスの源泉になっている。“適正なエンド価格を間違えないこと”も同社の強みの重要な要素である。同社では坪単価で3万円前後のエンド価格を想定し、その金額から逆算して建築・運営コスト、仕入単価を設定する。適正なエンド価格、建築コスト、減価償却費、運営諸経費などをスピーディかつ正確に見積もることで、仕入れの判断も早くなる。築古建築の古くなった部分をそのまま活用したり、敢えてコンクリートをむき出しにするなど、建築工事費低減の工夫によって適正価格での提供を実現している。■業績動向2025年9月期通期は営業利益目標の10億円を突破。運営物件の高稼働によりストック売上・粗利が堅調1. 2025年9月期通期の業績概要2025年9月期通期は、売上高が前期比23.2%増の9,791百万円、営業利益が同36.0%増の1,043百万円、経常利益が同31.3%増の827百万円、当期純利益が同47.0%増の559百万円で大幅な増収増益となった。売上高に関しては、ストック型・フロー型ともに順調に推移した。ストック型売上高は、同10.8%増の6,118百万円となった。既存運営物件は、一部で賃料の適正化・値上げも行っているなかで、2025年9月の稼働率で98.1%と安定した稼働を維持した。下期には「NEUK shirokanetakanawa(港区)」「ANYZ(港区)」が開業し事業規模が拡大した。運営中物件は65件(前期末は62件)、運営面積は104,253m2(同98,923m2)といずれも前期を上回る。フロー型売上高は、同51.3%増の3,673百万円と伸長した。これは、上期に売却が完了した2件によるものであり、これらフロー関連の物件は引渡・売却後もML・PM契約を締結しストック型売上につなげている。売上総利益率は同0.8ポイント増の17.1%となった。売上総利益は同29.8%増の1,677百万円と伸長した。内訳としては、共通経費配賦前のストック粗利で2,040百万円、フロー粗利で636百万円である。同社では固定費(1,464百万円)をストック粗利でカバーすることで、余裕を持った経営ができている。販管費は、管理部門の人件費や本社家賃等であり、人件費の増加を主因として同20.6%増の633百万円となった。結果として、営業利益は同36.0%増の1,043百万円となり、通期計画1,000百万円を上回った。2. 財務状況と経営指標2025年9月期末の資産合計は前期末比5,370百万円増の21,264百万円と資産規模が拡大した。流動資産は同1,054百万円減の4,472百万円であり、販売用不動産が926百万円減少したことが主な要因である。固定資産は同6,424百万円増の16,792百万円であり、これは主に「(仮称)中目黒1丁目再生PJ」、「OMB北参道」、「OMB東麻布」、「(仮称)港区芝5丁目再生PJ」及び「(仮称)千駄ヶ谷1丁目再生PJ」の取得等による土地・建物(有形固定資産)が増加したことによる。負債合計は同4,730百万円増の17,913百万円となった。そのうち流動負債は同1,936百万円減の3,901百万円あり、これは主に、借入金の返済により1年内返済予定の長期借入金が2,480百万円減少したこと等による。固定負債は同6,666百万円増の14,011百万円であり、これは主に、不動産取得のための新規借入により長期借入金が6,711百万円増加したこと等による。純資産合計は同639百万円増の3,351百万円であり、これは主に、当期純利益の計上により利益剰余金が559百万円増加したこと等による。安全性に関する経営指標では、2026年9月期以降に向けた物件の取得を反映して、流動比率114.6%、固定長期適合率95.6%、自己資本比率は15.5%(前期末16.9%)とややレバレッジを強く効かせた数値ではあるが、適正にコントロールされた水準である。上場を契機に物件を取得するビジネスモデルに移行したが、健全な財務基盤を維持できていると言えるだろう。なお、自己資本比率に関しては2026年9月期第1四半期の物件売却で回復見込みである。(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)
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2025/12/02 12:04
注目トピックス 日本株
リアルゲイト Research Memo(3):渋谷区・港区・目黒区の小規模再生オフィスに特化して高稼働率を実現(1)
*12:03JST リアルゲイト Research Memo(3):渋谷区・港区・目黒区の小規模再生オフィスに特化して高稼働率を実現(1)
■リアルゲイト<5532>の事業概要1. 市場の動向:業界平均を上回る高稼働率東京都心のオフィスの稼働率は、コロナ禍でやや低下した時期はあったものの2022年以降は回復基調にある。同社が物件を展開する渋谷区及び港区の大型オフィス(100坪以上)の調査では、渋谷区平均で94.4%(2022年3月)から97.9%(2025年9月)に、港区平均で91.7%(2022年3月)から96.9%(2025年9月)になり、緩やかな上昇基調にある。同社の既存物件稼働率は、渋谷区、港区の市場稼働率との比較において継続的に高い水準にある。稼働率の差異要因としては、大規模オフィス(100坪以上)と同社が注力する小規模オフィス(6坪~15坪)の需要の差もあるが、同社が技術力や企画力・運営力を駆使して、特化したエリアのニーズを満たしてきたことの証左と言える。同社は高稼働率を維持しつつも、賃料の適正化に取り組んできた。その成果として、2025年9月の平均賃料は前年同期比で1坪当たり540円(2.1%)上昇した。2. 物件の特徴:築古中小ビルをスモールオフィス・シェアオフィス等に再生同社は、FWP事業の単一セグメントを展開している。定義としては、主に競争力を失った築古ビルに対して耐震補強や用途変更等の抜本的な改良を行い、スモールオフィスやシェアオフィスといったフレキシブルなワークプレイスを提供することで不動産に付加価値を付け、収益性を向上させる事業である。シェアオフィス業界は多くの企業が参入している業界ではあるが、同社では様々な側面で優位性を構築しており、ユニークなポジションを確立している。仕入れ対象は、都心部(特に渋谷区・港区・目黒区)に立地する築30年前後で延床面積300~600坪程度のコンパクトなビルである。築古ビルは、エレベーターがない、検査済証がない、耐震補強が必要、など様々な課題があるものの、価格競争力のある仕入れが可能となる。再生にあたっては、需要の多い20m2~50m2を中心とした個室(スモールオフィス)が中心となる。全物件の区画契約1,028件のうち83%は事務所契約であり、その他に店舗・住居などとして賃貸されている(数値は2025年10月1日時点)。不動産再生を行う同業他社においては、なるべく時間をかけずに軽微な修繕を行ったうえで稼働率を上げ、転売するといったビジネスモデルがよく見受けられる。一方、同社の不動産再生は、1~2年かけて抜本的なリノベーションを行う点に特徴がある。過去の事例では、ホテルや共同住宅、倉庫や地下駐車場などをFWPに変更した実績がある。ビルごとの個性も重視しており、敢えてシリーズ化をしていない。一例を挙げると、中目黒駅徒歩13分の築45年、エレベーター無しの5階建ての倉庫兼事務所を、シェアオフィスと店舗等の複合施設にリノベーションした。このプロジェクトでは、エレベーター新設、用途変更、スカイテラス新設など経験豊富な一級建築士を擁する技術力と企画力で抜本的な改良を実施した。結果として、再生前の月額の賃料収入は780万円だったものが再生後は1,930万円と約2.5倍の収入となり、収益性が大幅に向上した。3. 社会課題・顧客ニーズ:競争力を失った遊休資産の有効活用同社の顧客は、ビルオーナーとテナント企業である。同社の事業の対象となるビルオーナーは、競争力を失った築古ビルを所有しており、空室の増加や有効活用に課題をかかえている。一昔前であれば、築古ビルを解体し、新築開発することで採算が見込めたが、近年の建築費の高騰により、新築開発投資に躊躇するビルオーナーも増加してきた。同社の2023年5月時点での試算(典型例:渋谷区延床面積400坪の物件を想定、物件価格20億円)では、新築開発の建築費は5.6億円、竣工までの工期は22ヶ月であった。この数値も、建築費の高騰や、建設業の4週8休といった働き方改革などの影響で工期が伸びることになったため、建築費は10億円、竣工までの工期は26ヶ月に延びる傾向にある(2024年9月時点)。一方で、同社の手掛ける不動産再生では、建築費は1.8億円、竣工までの工期は7ヶ月に抑制されるため、投資が5分の1以下、工期も3分の1以下で済む。築古再生物件であってもテナントニーズを的確に捉えていれば、新築開発物件と遜色ない入居テナントへの賃料設定が可能であることは、同社の実績が示すところである。また、竣工が早い分だけ先行して賃料を収受できるのもオーナーのメリットになる。不動産業界では、近年の建築費高騰により、新築開発を断念するケースが増加している。そのため、既存のビルを抜本的なリノベーションにより蘇らせて収益性を高めるといった、不動産再生ソリューション需要が急増した。さらには、昨今の環境配慮への意識の高まりから、スクラップ・アンド・ビルドではなく、既存のビルを可能な限り長く使おうという動きも存在する。このような背景から、同社にとって市場環境は追い風であると言える。テナント企業では、コロナ禍で進んだ働き方改革を背景に、自宅やシェアオフィス、カフェやリゾートなどワークプレイスは分散化の傾向にある。そのなかで、同社では、個性的でフレキシブルなオフィスを適正価格で借りたいというニーズに着目し、そのニーズを的確に満たすオフィスを企画・開発してきた。入居テナント業種では、情報サービス業が24.8%、広告業が11.4%、経営コンサルタント業・士業事務所が11.0%、デザイン業・映像・音楽・文字情報サービス業が6.5%と上位にきており、情報感度の高い企業がメインの顧客層であると言える(数値は2025年10月1日時点)。4. 対象エリア:渋谷区・港区・目黒区エリアを中心とした都心部にドミナント展開同社のドミナント展開は、渋谷区、港区、目黒区に集中している。獲得済みプロジェクト75件中、渋谷区が33件(44%)、港区が17件(23%)、目黒区が15件(20%)であり、上記3区で87%を占める。さらに、エリア別では池尻大橋駅から中目黒駅までのエリア、原宿から千駄ヶ谷周辺のエリアなどに集中している。また、賃料相場の見極めが容易な点もドミナント展開の利点である。近隣の既存プロジェクトのリーシングや運営の実績は大きな参考になる。ドミナント展開においては、収益性の高い物件獲得を目指し、確実にマーケットを捉えたエリアを中心に展開を強化している。渋谷駅に近い中心部では、100年に一度といわれる再開発が行われ大規模オフィスビルの建築が進行しており、中心部のオフィス(シェアオフィスも含む)の賃料は高止まりしている。一方で、同社の手掛ける再生ビルは、池尻大橋や千駄ヶ谷など中心部からは少し距離がある立地であり、中価格帯であることから差別化が図れている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)
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2025/12/02 12:03
注目トピックス 日本株
リアルゲイト Research Memo(2):築古中小ビルを再生・運用する事業を展開。収入モデルは保有・売却が増加中
*12:02JST リアルゲイト Research Memo(2):築古中小ビルを再生・運用する事業を展開。収入モデルは保有・売却が増加中
■会社概要1. 会社概要リアルゲイト<5532>は、渋谷エリアを中心とした都心の築古中小ビルをスモールオフィス・シェアオフィス等に再生するFWP事業を展開する成長企業である。2009年の創業以来、16期連続で増収を達成してきた。企業理念として「古いものに価値を、不動産にクリエイティブを、働き方に自由を」を掲げ、その具現化に取り組んでいる。同社を創業以来率いるのは、一級建築士の資格を持ち、海外のヴィンテージ建築をこよなく愛する岩本裕代表取締役である。岩本氏は、五洋建設<1893>、(株)大京、プロパスト<3236>にて現場監督や企画・販売等の経験を積んだ後に独立した。また五洋建設ではアメフト選手としても活躍し、現在もパワーリフティングを趣味とするパワフルな経営者である。2009年の創業に際しては、(株)トランジットジェネラルオフィスの傘下での起業であった。当初のビジネスモデルはPMであったが、2012年にMLを開始し、2017年以降は設計・施工にも進出した。転機が訪れたのは、コロナ禍の2021年7月である。親会社の都合により同社株式は譲渡され、サイバーエージェントの連結子会社となった。IT大手企業の傘下に入ったことで、経営管理やガバナンスの体制が整備され、2年後の2023年6月には東証グロース市場へスピード上場を果たした。現在は、金融機関との信頼関係も強化されて物件の保有や売却を積極的に行っており、多様なスキームの駆使によって成長が加速している。2. 収入モデル同社は、FWP事業の単一セグメントであるが、創業来、収入モデルとなる事業を追加してきた。現在は5つの主要モデルが存在し、主力となる事業はMLである。ビルオーナーより10~20年程度の契約で建物を賃借し、転貸する事業で、開業初期は支払家賃が先行するが、満室稼働後は安定収入が得られる。2025年9月期通期の全社売上構成の51.6%を占める。創業来の事業であるPMは、ビルオーナーより企画・運営を受託し、テナント賃料収入に対して一定の手数料収入等を得る事業であり、同5.4%を占める。再生物件保有(保有)は、自ら物件を保有し、賃料収入を得る事業であり、同5.2%を占める。設計・施工は、設計監理契約や工事請負契約を締結し、完成時に工事収入等を得る事業で、ML・PMに附随して発生する特徴があり、同4.4%を占める。近年同社が進出した物件売却は、保有物件の売却により収入を得る事業で、同33.1%を占め、キャピタルゲインにより大きな利益が得られる事業特性を持つ。財務状況の改善を図るとともに、売却後にML・PMを受託することで、安定的なストック型収入にもつなげられる。ML・PM・保有は継続性・安定性の高いストック型の収入モデルであり、3つの合計で通期売上の約6割を占めている。フロー型の設計・施工や物件売却も最終的にはMLやPMにつなげることを前提としており、ストック型売上を安定的に積み上げられるのが同社の強みである。同社は、創業以来順調に業績を伸ばしてきたが、特にストック型売上(ML、PM)は安定的に積み上がってきた。一方でフロー型売上(設計・施工)は上下に変動する傾向にある。2022年9月期からは保有モデルが加わり、2023年9月期からは売却モデルが加わった。設計・施工から入りMLにつなげるパターンや、保有(賃料)から入り売却(キャピタルゲイン)したうえでMLにつなげるなど、多彩な提案ができるのが同社の強みである。(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)
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2025/12/02 12:02
注目トピックス 日本株
リアルゲイト Research Memo(1):2025年9月期通期は営業利益目標の10億円を突破。利益計画を上方修正
*12:01JST リアルゲイト Research Memo(1):2025年9月期通期は営業利益目標の10億円を突破。利益計画を上方修正
■要約リアルゲイト<5532>は、渋谷エリアを中心とした都心の築古中小ビルをスモールオフィス・シェアオフィス等に再生するフレキシブルワークプレイス(FWP)事業を展開する成長企業である。2009年の創業以来、16期連続で増収を達成してきた。同社を創業以来率いるのは、一級建築士の資格を持ち、海外のヴィンテージ建築をこよなく愛する岩本裕(いわもとゆたか)代表取締役である。創業当初のビジネスモデルはプロパティマネジメント(PM)であったが、2012年にマスターリース(ML)を開始し、2017年以降は設計・施工にも進出した。コロナ禍の2021年7月にはサイバーエージェント<4751>の連結子会社となり、経営管理やガバナンス体制が整備された。2023年6月には、東京証券取引所(以下、東証)グロース市場への上場を達成した。現在は金融機関との信頼関係も強化されて物件の保有や売却を積極化しており、多様なスキームの駆使によって成長が加速している。1. 2025年9月期通期の業績動向2025年9月期通期は、売上高が前期比23.2%増の9,791百万円、営業利益が同36.0%増の1,043百万円、経常利益が同31.3%増の827百万円、当期純利益が同47.0%増の559百万円で大幅な増収増益となった。ストック型売上高は、一部で賃料の適正化・値上げも行っているなかで、2025年9月の稼働率で98.1%と安定した稼働を維持した。フロー型売上高は上期に売却が完了した2件によるものであり、これらフロー関連の物件は引渡・売却後もML・PM契約を締結し、ストック型売上につなげている。売上総利益は率、額ともに順調である。販管費は人件費の増加があったものの増加率は抑制された。結果として、営業利益は同36.0%増の1,043百万円となり、通期計画1,000百万円を上回った。2. 2026年9月期通期の業績予想2026年9月期通期の業績予想は、売上高で前期比7.2%増の10,500百万円、営業利益で同40.9%増の1,470百万円と高い利益成長が続く見込みである。成長戦略では、物件の高稼働によるストック型収入を着実に増やしながら、収益性の高い自社保有物件を中心に新規獲得を積極的に進めることで、業績拡大及び収益性向上を目指す。売上高では、ストック型売上を堅調に成長させる計画であり、過去に仕入れた保有物件が貢献する見込みである。フロー型では、2件の売却を計画する。将来の成長のポイントとなる物件の仕入は、保有物件を中心に約8件の新規獲得を目指す。営業利益では、同40.9%増を予想する。第1四半期に予定していた売却が既に完了しており、営業利益の進捗率は約60%となっているため、進捗は順調である。弊社では、ストック型の収入モデルが安定的に積み上がっているため、物件の売却を年2件程度に抑えることができており、安定した利益成長ができる好循環に入っていると評価している。リーシングに注力する物件は保有物件が多くなっており、いずれも同社が得意とする渋谷エリアが中心で、早期のリースアップ・高稼働の維持が期待できる。これまでの同社の業績予想精度は非常に高く、進行期も業績予想を達成する可能性は高いと考えている。3. 中長期の成長戦略・トピック同社では、2026年9月期を初年度とし、2028年9月期を最終年度とする3ヶ年の新中期経営計画が進行中である。前中期経営計画(2025年9月期~2027年9月期)をローリングさせたもので、利益の計画値が上方修正された点に特徴がある。具体的には、前中計では営業利益の成長ペースが年率30%以上だったのに対し、新中計では初年度(2026年9月期)年率40.9%に引き上げられた。この背景には、外部要因として不動産再生需要の増加という市況環境の追い風に加え、2023年9月期以降に保有物件の仕入れが順調に進展した結果、ストック型ビジネスの基盤が着実に拡大したことが挙げられる。また、内部要因としては、財務基盤や人的資本が強化され、物件の獲得を積極的に行える体制が整ったことが大きい。最終年度である2028年9月期の営業利益計画は25億円、営業利益率は19.2%である。同社は、中期経営計画の新規事業の一環として「REALGATE Hotel Project」を始動し、ホテル事業への本格進出を行う。これまでの築古ビル再生ノウハウを生かし、建物の再生の選択肢に新たに「ホテル」の機能を加えることで、街に多様な価値と交流をもたらし、物件の収益性向上をねらう。プロジェクトの第1弾として、2026年1月、渋谷区幡ヶ谷1丁目に「SHIFT HOTEL/シフトホテル」をオープン予定である。築53年のオフィスビルをコンバージョンし、渋谷区幡ヶ谷の文化や空気感を、その街で暮らすように五感で体感できるホテルへと再生する。ホテル運営については、AIとテクノロジーでホテル・宿泊業界の仕組みを変えるAXカンパニー、(株)SQUEEZE(本店:北海道北広島市)と協業し、ホテル運営の省人化やDX化を進める。進出初年度である2026年9月期に、「SHIFT HOTEL」3件の展開を計画している。■Key Points・築古中小ビルを再生・運用する事業を展開。収入モデルはマスターリース中心から保有・売却が増加中・2025年9月期通期は営業利益目標の10億円を突破。運営物件の高稼働によりストック売上・粗利が堅調・2026年9月期通期は営業利益で前期比40.9%増を予想。第1四半期の売却契約済案件で約60%進捗・新中期経営計画は営業利益計画を上方修正。省人型「SHIFT HOTEL」を本格展開(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)
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2025/12/02 12:01
注目トピックス 日本株
京阪神ビルディング:多様なアセットで安定成長を続ける総合不動産会社へ
*11:27JST 京阪神ビルディング:多様なアセットで安定成長を続ける総合不動産会社へ
京阪神ビルディング<8818>は、大阪市に本社を置く不動産賃貸事業会社であり、関西圏を中心にオフィスビル、データセンタービル、ウインズビル、商業施設・物流倉庫など多様なアセットを展開する。創業は1948年で、戦後の競馬再興を目的により創立、その後不動産事業へ転換した歴史を持つ。現在は中規模ハイグレードオフィスやITインフラ対応型のデータセンタービルを主力とし、関西圏20棟・首都圏6棟の賃貸物件を運営している。また、2024年には米国に現地法人を設立し、マイアミやシアトルなどで集合住宅開発案件へ出資するなど、国内外での収益基盤拡充を進めている。データセンタービルや物流施設など時代の需要に沿った物件構成が奏功し、安定した賃貸収益を維持している点が特徴である。同社の強みは、第一に景況に左右されにくい多様なアセット構成である。オフィス、データセンター、ウインズビル、商業・物流といった用途の異なる物件を保有することで稼働率を高水準に保ち、2025年6月末時点の空室率は0.51%と市場平均を大きく下回る。第二に、「財務規律を維持した安定した資金調達力」である。有利子負債のEBITDA倍率を10倍程度に抑えつつ、29年連続でR&I格付「A-」を維持。低金利での長期調達により金利上昇局面でも収益を確保できる体制を築いている。第三に、「少人数での高効率経営」である。従業員数は連結66名ながら、一級建築士や宅地建物取引士など有資格者が多数在籍し、技術スタッフと営業スタッフが連携して開発から運営・修繕まで一貫対応する仕組みを確立している。2026年3月期第2四半期の連結業績は、売上高10,172百万円(前年同期比4.8%増)、営業利益3,064百万円(同10.9%増)と増収増益を達成した。データセンタービル(OBPビル)での本契約移行による賃料収入の増加、物流施設の新規取得などが寄与した。通期では、売上高20,000百万円(前期比2.1%増)、営業利益5,500百万円(同10.4%増)を計画しており、過去最高益の更新を見込む。今後の成長見通しとしては、2033年3月期を最終年度とする長期経営計画の下、事業利益140億円、ROE8%以上、ROA5%以上などを目標に掲げている。フェーズI(2024~2028年)では総額770億円の成長投資・新規事業の立ち上げを進め、資産回転型事業・エクイティ投資・海外投資を成長ドライバーに位置づける。既に愛知県小牧市で物流倉庫を取得し、東京都心ビルやヘルスケア施設、学生向け賃貸マンションなどにも出資を開始。さらに米国では集合住宅や物流施設への投資を進め、長期的な海外収益基盤の構築を目指す。株主還元については、1株当たり利益を重視した累進配当方針を採用し、配当性向を従来の35〜40%から45%程度へ引き上げた。2026年3月期は年間40円(中間20円・期末20円)を予定し、安定配当を維持している。また、自己株式取得など資本効率を意識した還元策も検討しており、成長投資と株主還元の両立を重視する姿勢を示している。総じて、京阪神ビルディングは関西・首都圏の安定賃貸事業に加え、海外投資や資産回転型事業など新たな収益源の拡大を進める点が評価できる。財務規律を維持しつつ長期的な企業価値向上に注力しており、今後の中長期的な成長動向に注目したい。
<HM>
2025/12/02 11:27
注目トピックス 日本株
インテリックスホールディングス---インテリックスホールディングスを設立
*11:18JST インテリックスホールディングス---インテリックスホールディングスを設立
インテリックスホールディングス<463A>は1日、単独株式移転により設立するインテリックスの完全親会社として設立され、東京証券取引所スタンダード市場に上場したことを発表。インテリックスホールディングスの概要は、上場取引所は東京証券取引所スタンダード市場、上場日は2025年12月1日、証券コードは463A、売買単位は100株、所在地は東京都渋谷区桜丘町3番2号渋谷サクラステージSAKURAタワー9F。事業内容は不動産売買、不動産賃貸業、不動産コンサルティングを営むグループ会社の経営管理及びこれに付帯する業務。資本金は4.13億円、発行済株式総数は 8,932,100株。同社は、2025年に創立30周年を迎え、次の10年そしてその先を見据えて、より機動的に経営を実践し、かつより強度の高いガバナンス体制の構築、次世代経営者の育成を推進するために、1日、純粋持株会社体制へ移行した。
<AK>
2025/12/02 11:18
注目トピックス 日本株
日本通信:独自の提携による業界最安値SIMと認証・通信技術「FPoS」の拡大で高成長の継続を目指す
*11:16JST 日本通信:独自の提携による業界最安値SIMと認証・通信技術「FPoS」の拡大で高成長の継続を目指す
日本通信株式会社<9424>は、MVNO(仮想移動体通信事業者)としての「日本通信SIM」の提供を主軸としたモバイル通信サービスおよびモバイルソリューションサービスを展開し、特許技術「FPoS(Fintech Platform over SIM)」による認証・通信基盤事業を推進している企業である。MVNO(仮想移動体通信事業者)として「日本通信SIM」を主力に、個人・法人向けの音声定額サービスを提供し、国内トップクラスの認知度を有する。2025年6月には総務省より携帯電話番号の割当を受け、MVNOとして初めて独自の電話番号を保有する企業となった。さらに2024年2月にNTTドコモとの音声・SMS網の相互接続に合意しており、2026年11月の新サービス開始を目指す。この「ネオキャリア」構想は、データ・音声・SMSを一貫して自社制御下に置くものであり、通信インフラ企業として新たな段階に踏み出している。同社の強みは、第一に「日本通信SIM」のコスト競争力と顧客満足度の高さである。大手通信社などと協業せずに規制緩和を訴え続けることで独自に総務大臣裁定を獲得し、ドコモの通信ネットワーク使用料を原価ベース(能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えた金額を超えない額)で使用する権利を有している。これにより他社が真似できない水準の通信料を実現しており、現時点で業界最安値(月20GBの利用・通話5分かけ放題で1,390円)となっている。また、音声品質に優れ、業界最安水準の料金体系を実現しており、2024年に続き2025年のJ.D. パワー携帯電話サービス顧客満足度調査MVNO部門で総合第1位を獲得した。第二に、FPoS技術によりマイナンバーカードを基盤とした高度なデジタルID認証を実現している点である。同技術は特許を取得している上に金融庁からも金融取引の安全性向上に資するものとして認められた技術で、電子署名法に基づく公的認定も取得している。第三に、米国子会社を通じて蓄積したローカル4G/5GやSIM認証ノウハウを活かし、IoT・決済・防犯分野など多様なソリューション展開を行う点が挙げられる。通信と認証の両輪による事業モデルは国内外での拡張性を有する。2026年3月期第2四半期(2025年4〜9月)は、売上高5,632百万円(前年同期比32.3%増)、営業利益582百万円(同76.9%増)と大幅な増収増益を達成した。定額・準定額プランを中心とする「日本通信SIM」の認知が徐々に広がり、契約回線数が拡大して9月末時点で101.6万回線に到達した。売上総利益率は39.1%と高水準を維持し、粗利構造の安定性が確認された。通期ではモバイル通信事業の売上成長率20%超を見込み、同事業の営業利益は売上を上回る伸びを想定しており、業界唯一の料金体系を武器にした収益拡大は今後も続きそうだ。また、FPoSを活用したデジタル認証モジュールも新たな収益柱として寄与し始めており、セキュリティ分野の更なる伸長も期待される。今後の成長見通しとして、同社は2034年に現状の約10倍となる1,000万回線・国内売上2,400億円・当期純利益360億円を目標とする長期構想を掲げている。その基盤となるのが、ドコモ網との接続を軸にしたネオキャリア構想と、FPoSを活用した安全・安心なデジタル社会のインフラ提供である。政府が2026年4月以降にオンライン本人確認をデジタルKYCへ一本化し、日本証券業協会が多要素認証の導入を義務化する方針を示したことも同社にとって大きな追い風となる。これにより、金融・行政・ECなど広範な分野でFPoSの採用が進むと見込まれる。今後も独立系MVNOとしてのコスト競争力やセキュリティ分野の認証・通信基盤の開発力を武器に、通信業界におけるさらなるシェア拡大を続けていく。株主還元については、2026年3月期の年間配当を無配とし、当面は事業投資を優先する方針を維持している。ネオキャリアサービス構築やFPoS拡張のための設備投資を進めつつ、安定した財務基盤を確保しており、自己資本比率は52.6%と健全水準にある。中長期的には、収益拡大の進展とともに安定配当への転換も期待される。総じて、同社は国内最安値のMVNOとして躍進しているだけでなく、通信と認証を融合した独自技術によって新たな社会インフラの確立を目指しており、政策的な追い風と技術優位性を背景に高い成長ポテンシャルを有する。2026年11月のネオキャリアサービス開始とFPoSの普及拡大により、より一層盤石な収益体制を構築していく同社に注目したい。
<HM>
2025/12/02 11:16
注目トピックス 日本株
富士紡ホールディングス---研磨材事業における能力増強投資実施
*11:10JST 富士紡ホールディングス---研磨材事業における能力増強投資実施
富士紡ホールディングス<3104>は11月28日、研磨材事業における能力増強投資実施を発表した。同社の研磨材事業は、半導体デバイス(CMP、化学的機械研磨)用途、シリコンウエハー用途、液晶ガラス用途、ハードディスク用途等により、業容を拡大している。このような状況下で、連結子会社であるフジボウ愛媛株式会社にて新たな設備投資を実施。壬生川工場内の敷地に、新たな建屋を建設、製造ラインを増設する。CMP 用途については、AI関連投資拡大で、同用途として主に利用されるソフトパッド製品の需要は堅調に推移している。また、中長期にわたる需要拡大も見込まれているため、将来の需要見通しに合わせた生産能力増強を実施する。投資総額は約87億円で、2028年度下期頃の稼働開始となる。今回の能力増強投資により、研磨材事業の更なる拡大を目指していく。
<FA>
2025/12/02 11:10
注目トピックス 日本株
セレコーポレーション Research Memo(9):人的資本強化と働き方改革で組織価値を向上
*11:09JST セレコーポレーション Research Memo(9):人的資本強化と働き方改革で組織価値を向上
■セレコーポレーション<5078>の成長戦略また、人的資本経営の一環として、業務プロセスや統制を自動化・外注化し、高度な専門性を持つ人財の比重がより高い配置構成とすることで、高付加価値創造体制への構築強化を図る。2025年2月期においては、主要分野で着実な進捗が見られた。営業利益に関しては、40億円の達成を目標に据えており、その進捗は現在までのところおおむね順調に推移していると評価できる。2024年3月からは、社員一人ひとりの役割と責任を明確にするジョブ型人事制度を導入し、個々の能力発揮を促進する体制を整えた。企業方針と組織運営、そして社員の職務(ジョブ)を統合し、組織のベクトルを一致させることで、組織全体のパフォーマンス向上を目指す。ジョブ型人事制度は導入から1年半が経過しているが、全社的にジョブディスクリプション(職務記述書)の意識が徐々に浸透してきている段階である。ただし、現時点では制度の実行段階にまでは至っておらず、各人の実際の職務内容との整合性を図るさらなる制度化が今後の課題である。制度の形骸化を防ぐためにも、今後はジョブディスクリプションの内容と実務をより精緻にすり合わせる必要があると考えられる。この制度は導入して終わりではなく、運用段階においても継続的にモニタリングを実施し、柔軟に改善を図る姿勢が示されており、制度運用の実効性を高める取り組みと言える。人的資本経営の観点では、「働き方改革」と「well-being(幸福の追求)」の両立を中核に据え、従業員アンケートの実施(2024年10月)や、体系的な教育機関としての「セレアカデミー」の開校など、教育・研修体制の強化が進んでいる。中途採用においても2024年3月から2025年8月までに31名が入社している。また、前述のジョブ型制度が導入されており、人事制度が刷新されている点も人的資本の強化方針と一致している。労働環境の魅力を高める観点からは、週休3日制の実現に向けた年間休日の段階的な拡大がなされており、2024年2月期には120日、2025年2月期には126日(有休取得率は85%を維持)、2026年2月期には132日へとさらなる増加が計画されている。加えて、利益計画が達成されれば、これをさらに拡大する方針である。人財の活性化のうち健康経営の観点では、全社員を対象とした医療保障保険の導入や人間ドックの受診推進、さらにインフルエンザ予防接種などが継続的に行われている。労働時間の適正化にも注力しており、20時にはパソコンを強制的にシャットダウンする措置を導入することで、2025年2月期の平均残業時間は月8時間15分に抑制されている。これに加えて、時差勤務制度を導入するなど、仕事とプライベートの境界を明確にする試みもなされており、社員のワークライフバランスの向上に資する取り組みと言える。こうした取り組みが高く評価され、同社は2025年3月期、経済産業省と日本健康会議が共同で実施する「健康経営優良法人」に8年連続で認定された。また、「健康優良企業(金の認定)」についても、健康企業宣言東京推進協議会より7年連続(2024年)の認定を受けており、健康経営の領域で極めて高い水準の取り組みを維持していることが裏付けられている。「企業価値の極大化と物心両面の『しあわせ』の実現」という「ありたい姿」への具体的な取り組みとして、女性の活躍に向けて女性役員と女性社員の懇談会が開催され、キャリアプランや育児との両立、働き方、リスキリングといった多岐にわたるテーマについて率直な意見交換が行われた。これにより、現場の声を施策に反映し、ダイバーシティ経営の深化が期待される。内部統制体制の強化についても、2025年3月より順次、現業部門において専門性の高い人財を「内部統制専担者」として配置している。これにより、業務プロセスの可視化とルールの徹底が図られ、コンプライアンスの強化とともに業務効率の向上にも資する運用を開始している。さらに、アパート専門メーカーとしての競争力を高めるため、技術開発室を新設し、構造、構法、遮音、耐震、省エネといったハード面からの商品開発を強化している。ソフトとハードを分業体制とすることで、より専門的かつ迅速な課題解決を目指しており、同社の中核事業における差別化戦略の実効性を高める布石と言える。同社の「ビジョン2030」は単なる定量目標にとどまらず、人財投資や健康経営、ガバナンス強化、商品開発といった多面的な施策を通じて、着実にその実現へ向けた歩みを進めていると分析できる。弊社としては、人的資本に対する積極的な投資姿勢と、その運用におけるPDCAサイクルの構築が極めて評価に値すると考える。また、労働環境改善やダイバーシティ推進、内部統制の強化といった非財務的指標の充実が、今後の財務的成果に寄与する可能性が高いと見ており、ビジョン実現に向けた推進体制は中長期的な企業価値向上において有効であると判断する。■株主還元策配当性向30%を基準に安定的な配当を維持。好調な業績を背景として2期連続の増配同社は、株主価値の最大化を重要な経営課題として掲げ、利益やキャッシュ・フローの状況、将来の事業展開などを総合的に勘案したうえで、中長期的な成長に向けた投資と1株当たり利益の増大による株主価値の向上を図っている。株主還元については、配当性向30%を基準とした安定的かつ業績連動型の方針を採っており、その姿勢は直近の配当実績にも表れている。2024年2月期には、当初予想の80.0円から105.0円へと増配を実施し、さらに2025年2月期においても、当初予想の105.0円から135.0円へと30.0円の増配となり、2期連続の大幅な増配を実現している。2026年2月期においても、135.0円の配当を予想している。このように、着実な業績拡大を背景とした積極的な利益還元が行われており、株主重視の姿勢が明確に示されていると弊社では見ている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木 稜司)
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2025/12/02 11:09
注目トピックス 日本株
セレコーポレーション Research Memo(8):選択と集中で差別化を深化させる「ビジョン2030」全社戦略
*11:08JST セレコーポレーション Research Memo(8):選択と集中で差別化を深化させる「ビジョン2030」全社戦略
■セレコーポレーション<5078>の成長戦略2. 全社戦略「ビジョン2030」の全社戦略として、「入るを量りて出ずるを制す」を念頭に、限りある経営資源を選択と集中によって絞り込み、圧倒的な差別化により付加価値を提供する。「セレフィロソフィ」の原理原則である「ニッチャーであれ」に基づき、「ゲスト」「エリア」「構造」「対象」を選択と集中により絞ったニッチ戦略を進める。ゲストとなるターゲットを、住まいにこだわりを持つ「未来を担う若者たち」に絞り込み、東京圏(1都3県)に事業エリアを限定する。開発においては、東京都城南・城西地区の角地に特化し、耐震性を兼ね備えた、自社工場生産により高品質が保てる鉄骨造に限定する。加えて、「My Style vintage」による差別化商品を展開し、リスクが低く市場成長率が高い「収益不動産」を重視する。これらのニッチ戦略により経営資源を集中させ、圧倒的な差別化による付加価値の提供を実現する。各施策の実行に際しては、取締役常務執行役員が委員長となり、下部組織に分科会を設けて改革を推進する。3. 重点施策「ビジョン2030」の重点施策として、「収益力の改善」「生産性の向上」「アパート経営に派生する新規ビジネスモデルの構築」を掲げている。収益力の改善に向けては、「My Style vintage」の商品構成比100%を目標に、同社独自の賃貸・建物管理メニューを拡充する。また、足元では「My Style vintage」の最上位グレード商品「vintage G-class」の新設が予定されている。コンセプトに沿った高級感を重視した内装を計画しており、従来製品と比較して同社のブランド価値をさらに向上させる狙いがある。生産性の向上に向けては、デジタル化による効率化や技術改革による工期短縮、ロボット等による自動化推進、共通部材による生産の効率化を進める。アパート経営に派生する新規ビジネスモデルの構築に向けては、請負・開発・管理以外のシナジーの効いた事業による多面的経営の展開を検討する。付加価値向上による収益力強化と効率性重視による費用削減を両輪で推し進め、高利益体質を創出していく。また、各施策の目的・手段・効果・目標を設定し、改革・改善により課題解決を目指す。4. 投資計画同社では、「ビジョン2030」で作成した定量目標を達成するため、損益バランスを考慮しつつ、2030年2月期までに総投資額55億円規模の投資計画を定めた。内訳として、セレアカデミーの運営や働き方改革等の人財開発に7.5億円、設計施工や生産の技術改革に7.5億円、プロセス改善による効率化を図るべくデジタル改革に5億円、研究開発や新規事業といったその他改革に35億円の投資を見込んでいる。同社の投資計画は、現状の資金残高や不動産事業資金、2年分の内部留保、運転資金を総合的に勘案したものであり、損益バランスに考慮した実現可能性の高い投資計画であると弊社では見ている。5. 人的資本経営同社では、人的資本を企業価値の向上や経営の根幹であると捉えている。「ビジョン2030」では、「人財の活性化」「人財育成」「人財獲得」「待遇・制度整備」の観点において、企業価値を最大限に創造するための施策を実行する。具体的な施策について、「人財の活性化」においては、役職定年制を導入するとともに、従業員のエンゲージメント向上に向けた各種施策、時間や場所にとらわれない働き方を推進する。「人財育成」においては、セレアカデミーの運営を通じて、経営陣・社員が持つべき判断基準・行動指針を明確にする。また、キャリアパスを定め次世代経営者の育成を進めるとともに、リスキリング(学び直し)の推進により専門性の高い人財を育成していく。「人財獲得」においては、企業価値の創造を支える専門性の高い多様な人財を採用する方針である。新卒・中途を含む採用戦略の策定や新卒者の育成体制の確立を進め、次世代を担う若手の採用にも注力する。また、ジョブ型雇用についても促進する。「待遇・制度整備」においては、平均年収900万円を目標に、ベースアップや業績配分の総原資見直しを行う。週休3日制導入についても検討を進めている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木 稜司)
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2025/12/02 11:08
注目トピックス 日本株
セレコーポレーション Research Memo(7):賃貸開発と賃貸経営の高付加価値戦略で収益力を強化
*11:07JST セレコーポレーション Research Memo(7):賃貸開発と賃貸経営の高付加価値戦略で収益力を強化
■セレコーポレーション<5078>の今後の見通し(2) 賃貸開発事業売上高は6,731百万円(前期比44.4%増)、セグメント利益は995百万円(同40.8%増)、物件の販売・引き渡しが下期に集中する見通しであり、通期では計画達成を見込む。2026年2月期中間期のセグメント利益率は16.3%と前年同期比で上昇しており、高付加価値戦略の成果が顕著である。賃貸開発事業では、用地選定基準の厳格な遵守と取引先との連携強化という二軸の方針を採っている。特に「駅徒歩6分以内」「角地」「城南・城西エリア」「200m2以上」といった厳選された基準に基づく用地選定がなされており、2026年2月期は供給7物件のすべてが駅徒歩6分以内の角地であり、角地割合は2025年2月期の100%を継続している。これにより、セグメント利益率は2025年2月期の15.2%から2026年2月期中間期は16.3%へと上昇しており、高収益性を維持しつつ供給数を拡大する戦略が奏功している。また、仕入先との連携では情報入手からの回答スピード向上や組成基準の浸透が進み、販売業者とは完成現場の見学会を通じて商品の理解を深めることで、販売体制の一体運営が実現されつつある。(3) 賃貸経営事業売上高は10,418百万円(前期比4.0%増)、セグメント利益は1,113百万円(同2.0%減)を見込んでいる。2026年2月期中間期では計画を上回るセグメント利益を計上しており、通期も順調な進捗が見込まれる。自社管理受託率の向上を目的に、賃貸住宅事業・賃貸開発事業との同行営業を強化し、オーナーとの関係深化を図っている。セレリーシングパートナーズとの協業では、AI査定を活用した賃料改定や市場データに基づくリーシングを推進している。さらに、セレメンテナンスパートナーズとの協業強化により、修繕対応のスピード向上と適正利益率の確保を目指している。長期延長保証の受注実績は前年同期比179.0%、売上総利益は同201.4%と大幅増を記録し、オーナー資産の長寿化に貢献している。太陽光発電+蓄電池設置工事実績は計画を若干下回ったが、オーナー収益の改善に着実に寄与している。下期にはリノベーション事業への本格参入を予定しており、専有部・共用部双方の価値向上を狙う。同社の賃貸経営事業が高収益体質をさらに強化し、資産管理から再生までを包括する統合モデルへ進化しつつあると弊社では見ている。カンパニー別の重点施策については以下のとおりである。a) プロパティコミュニティカンパニープロパティコミュニティカンパニーにおいては、建築受注と管理受託の一体的な提案によって、顧客との初期接点から管理への導線を確保しており、受託件数の着実な積み上げを実現している。また、リテナント(再入居)時における賃料アップ相当額をオーナーに還元することで、顧客ロイヤルティを高めると同時に、リピート受注を促進する仕組みを確立している点は、同社のオーナー中心主義を象徴する施策である。リーシング面では、「セレ リーシングパートナーズ」との協業が強化されており、物件の特性を的確に把握したうえでの定期的な研修体制を構築している。また、AI査定システムの活用により、タイムリーかつ適正な賃料設定が可能となり、市場動向を反映した差別化が実現されている。一方、修繕分野では、「セレ メンテナンスパートナーズ」との協業強化によって、業務フローと業者体制の見直しが進められ、対応スピードの向上に寄与している。原価高騰への対応としては、販売単価や仕入れルートの最適化によって、収益性の確保も並行して進められている点が特徴である。b) リフォームカンパニーリフォームカンパニーにおいては、オーナー資産の長寿化を軸とした取り組みが拡大されている。特に20年目再延長保証工事の実施や、10年目延長保証工事の受注率向上といった施策は、管理資産のライフサイクル全体を見据えたものであり、オーナーにとっての資産保全メリットが明確である。さらに、原価削減策として、一括発注から分離施工発注への切り替えによる施工単価の低減を促進するため、施工体制の見直しを進めている。また、太陽光発電+蓄電池の設置提案も開始されており、余剰売電期間が終了した物件や住居併用建物に対して自己使用による光熱費削減の訴求が進んでいる。リノベーション事業では、構造体や築年数に応じた最適なメニュー化が図られており、施工体制の強化と併せて、今後の受注増加が期待される。これら一連の取り組みは、単なる原状回復にとどまらず、資産価値向上と収益力強化を目指した高付加価値型のリフォーム戦略として評価できる。■成長戦略長期経営ビジョン「ビジョン2030」を策定。中長期的な企業価値の向上を目指す1. 「ビジョン2030」の策定同社では、2025年2月期を始期として長期経営ビジョン「ビジョン2030」を策定し、2030年に向けて「ありたい姿」を定め、今後のさらなる持続的な成長と、中長期的な企業価値の向上の達成に向けた方針や戦略を明確にした。同計画は、次世代の経営者へのバトンタッチを視野に入れ、さらに長期の経営ビジョンである「CEL未来戦略」の実現に向けた通過点の位置付けである。「ありたい姿」を「企業価値の極大化と物心両面の『しあわせ』の実現」としており、アパート専門メーカーのニッチトップとして高付加価値追求による粗利益率の向上を推進する。また、同社では、企業価値の向上において人的資本は経営の根幹であると捉えている。計画においても「ありたい姿」をいかに実現するかという観点から人財戦略を策定・実行し、持続的な企業価値向上を目指す。定量目標に関しては、2030年2月期に売上高400億円、営業利益40億円、営業利益率10.0%、ROE10.0%、PBR1.0倍を掲げている。収益構造については、ストック事業の比率を2023年2月期と同様に40.0%で維持し、全社コストをストック事業の利益で賄う方針だ。数字ありきではなく、理念・戦略ありきの計画であり、計数目標の達成と社員の物心両面の「しあわせ」の実現を両輪で推進することで、中長期的な企業価値の向上やステークホルダーのより深い満足につながると弊社では見ている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木 稜司)
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2025/12/02 11:07
注目トピックス 日本株
セレコーポレーション Research Memo(6):通期業績予想は据え置き、計画達成を堅持
*11:06JST セレコーポレーション Research Memo(6):通期業績予想は据え置き、計画達成を堅持
■セレコーポレーション<5078>の今後の見通し1. 2026年2月期の業績見通し2026年2月期の連結業績は、売上高25,888百万円(前期比8.2%増)、営業利益2,258百万円(同11.9%増)、経常利益2,260百万円(同10.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,527百万円(同7.8%増)を予想している。企業価値の極大化と物心両面の「しあわせ」の実現という理念を掲げた長期経営ビジョン「ビジョン2030」の実現に向けた取り組みを本格化させる。基本方針としては、「選択と集中」による経営資源の絞り込みを通じたニッチ戦略の遂行と、差別化を通じた付加価値の提供により資産価値の最大化を志向している。具体的施策として、人財開発においてはアメーバ経営やセレフィロソフィの浸透・実践を進め、新人事制度や働き方改革によって人的資本経営の質的向上を図る。また、技術面では生産改革と設計施工改革を同時進行で推進し、現場レベルの生産性及び品質の向上を目指す。さらに、デジタル領域では新システムの導入及びDX改革を進め、業務効率化と精度向上の両立を目指す。このような戦略的取り組みの成果として、2026年2月期の業績予想では、特に賃貸開発事業において大幅な増収増益が見込まれており、全体として売上高は前期比8.2%増、親会社株主に帰属する当期純利益は同7.8%増と、堅調な成長を維持する見通しである。選択と集中による戦略とデジタル・人的資本・技術の三位一体改革が奏功しつつある状況であり、定量的成果により裏付けがなされていることから、通期計画達成の蓋然性は高いと弊社では見ている。2026年2月期中間期においては、売上高・利益が期初予想を下回ったものの、下期に賃貸開発事業の物件引き渡しが集中することから、通期では計画達成を見込んでいる。特に賃貸住宅事業では着工スピードの向上と工期短縮による生産性改善が見込まれており、減収率の縮小と利益率の維持が期待される。また、原価上昇への対応、効率化投資、人財育成といった中期的テーマを同時に進めており、安定的かつ持続的な成長に向けた地盤強化が進行中である。中間期の業績が計画を下回った主な要因は賃貸開発事業の引き渡し案件のずれ込みにあるため、通期業績予想が据え置かれていることは、同社が下期での業績回復に確信を持っていることを示唆している。賃貸経営事業の安定的な成長と賃貸開発事業の確実な下期売上計上が、通期目標達成及び中長期ビジョン実現のカギとなるだろう。2. セグメント別の業績見通し及び重点施策(1) 賃貸住宅事業売上高は10,526百万円(前期比4.5%減)、セグメント利益は1,052百万円(同4.6%増)、通期では着工スピードの向上と工期短縮による生産性向上を図り、セグメント利益はおおむね計画どおりに推移する見込みである。「My Style vintage」の販売強化を通じた自社管理捕捉率の向上、新規紹介先の開拓による管理受託基盤の拡大、収益力の改善と原価高騰の抑制、さらにICT導入による現場管理業務の効率化という多面的な施策を展開している。カンパニー別の重点施策については以下のとおりである。a) アセットマネジメントカンパニーアセットマネジメントカンパニーにおいては、旗艦ブランド「My Style vintage」の販売に特化し、管理契約につながる自社管理捕捉率の向上を図る。「My Style vintage」の受注高は前年同期比130.2%と大きく伸長している。加えて、金融機関や士業、コンサル業などを対象とした優良紹介先の開拓を進めると同時に、既存パートナー組織の高度化により紹介件数の拡大を図る。自社オウンドメディアの構築による集客力強化とインサイドセールスの品質向上により、反響受注及び収益性の向上も見込まれるほか、環境配慮型アパートの提案力を強化し、一棟単価の引き上げを実現している点も注目に値する。東京ゼロエミ住宅仕様に適合する省エネ住宅を中心に、SDGsへの貢献と高付加価値商品の供給を両立しており、脱炭素時代を見据えた先進的な取り組みにより、一棟単価は前年同期比111.4%と伸長している。b) 建設カンパニー建設カンパニーにおいては、原価高騰抑制と収益力改善のために、既存サプライヤーとの定期的なコストレビューや新規サプライヤー開拓を推進している。サプライヤーとのコストレビューや新規開拓による原価管理の徹底、省エネ法に適合する設計・仕様の確立による建築物のエネルギー性能向上、重要構造体である基礎・鉄骨の品質向上を通じて、建築物の基本性能と収益性の両立を図る。加えて、省エネ法申請の効率化により設計・許可プロセスの短縮化を図るとともに、構造体施工品質のさらなる向上にも注力している。ICT導入による現場管理の効率化、顔認証システムやWebカメラ設置による安全性確保など、建設現場のIT化も着実に進められており、施工管理台帳の電子化や現場情報の一元管理といった効率化施策も功を奏している。また、施工特約店制度を導入しており、高齢化や人手不足に対応する安定的な建設体制の構築に取り組む姿勢は中長期的な観点から評価される。東京ゼロエミ住宅に関しては、2024年10月より性能基準が引き上げられ、それに伴って申請手続きが厳格化された。今後は社内体制の整備や技術面での対応強化が進められる予定である。円滑な申請許可取得のためには、業務フローの見直しや関係当局との連携強化が不可欠であり、この点についても適宜状況を確認のうえで対応がなされる見込みである。c) 千葉工場カンパニー千葉工場カンパニーにおいては、全員参加型の改善活動やルール整備による生産性向上、部品前倒し生産による標準化など、製造現場の生産効率向上が進められている。また、2025年3月より新たなカンパニー制が導入され、組織の独立性が強化された。これに伴い、システムの改修や改善活動などの取り組みは、従来の本社並行的な進行ではなく、千葉工場カンパニー単独での主導的な実施に移行している。資材高騰への対策としては、共通部品の一括調達や価格比較によるコスト抑制がなされており、原価低減への意識が全体に浸透している。また、ジョブローテーションやISO基準に準拠した教育標準推進委員会を通じて、多能工人財の育成が体系的に行われており、人的資源の柔軟性とレジリエンスを高めている点は、労働集約型業務における競争力強化に寄与している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木 稜司)
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2025/12/02 11:06
注目トピックス 日本株
セレコーポレーション Research Memo(5):通期予想は据え置き、下期での挽回を見込む
*11:05JST セレコーポレーション Research Memo(5):通期予想は据え置き、下期での挽回を見込む
■セレコーポレーション<5078>の業績動向1. 2026年2月期中間期の業績概要2026年2月期中間期の連結業績は、売上高10,799百万円(前年同期比6.8%減)、営業利益1,047百万円(同5.6%減)、経常利益1,050百万円(同7.0%減)、親会社株主に帰属する中間純利益685百万円(同12.9%減)となった。賃貸開発事業における物件の販売及び引き渡しがずれ込んだ影響を受け、売上高及び経常利益ともに前年同期比で減収減益となった。一方、賃貸経営事業では売上高・セグメント利益ともに増加しており、ストック型ビジネスの安定性が確認される。また、売上総利益率は2.6ポイント改善しており、収益構造そのものは着実に好転している。売上総利益率向上の背景としては、建築コスト上昇への適切な転嫁や原価管理の徹底などが奏功したことが挙げられる。一方で、人財への戦略的投資を積極的に進めた結果、販売費及び一般管理費は前年同期比で184百万円増加しており、短期的には利益を圧迫したものの、中長期的には生産性向上及び営業力強化に資する布石と評価できる。利益構造の改善を継続するなかで、原価高騰は依然として高水準で推移しており、同社では当面はこの傾向が続くものとして織り込み済みである。上期の売上高・経常利益はいずれも期初予想を下回ったが、通期予想は据え置かれており、下期での挽回を見込む。主要指標では、建築実績が堅調に推移し、管理戸数は12,000戸を突破後も順調に増加している。入居率は98.3%と高水準を維持しており、同社の安定した収益基盤を裏付ける結果となった。賃貸住宅事業を主軸としつつ、開発・経営の各事業セグメントが有機的に連携しており、収益モデルとしての強靭さがうかがえる。また、ESG対応やDX推進、産学連携による商品開発といった将来に向けた布石も着実に打たれており、短期的な成長だけでなく、中長期の企業価値向上に対する視座も明確である。上期の数値上の落ち込みは一時的なタイミング要因に過ぎず、事業ポートフォリオ全体では堅実な成長トレンドが維持されていると弊社では見ている。2. セグメント別の業績概要(1) 賃貸住宅事業売上高は4,914百万円(前年同期比6.7%減)、セグメント利益は632百万円(同0.4%減)となった。賃貸住宅事業では、販売商品の戦略的な絞り込みを進めており、旗艦ブランドである「My Style vintage」の提案を中心に推進している。同ブランドは外観や空間設計に独自性を持ち、オーナーと入居者の双方に満足度の高い付加価値を提供できる商品である。家賃設定をやや高めにできる点もオーナーのメリットとなっており、同社にとっても1棟当たりの単価上昇や管理受託件数の増加に結び付いている。これにより、売上高は、販売商品の戦略的絞り込みにより引き渡し棟数が減少した一方で、セグメント利益は、販売価格の見直しによる売上総利益率の改善が奏功し、売上高の減少に比べセグメント利益の落ち込みは僅少である。主要KPIである建築累計実績が前期末比で38棟増加し、堅調な成長を示した。原価高騰への対応策が功を奏し、利益率が改善した点は特筆に値する。ただし、営業活動先の遷移や着工までのスピード低下の影響により稼働棟数が減少し、売上高は計画比で90.7%と減収となった。一方で、適正な価格転嫁とコスト管理の徹底により、計画比で113.9%の増益を達成しており、利益面では極めて高い成果を上げた。建築費上昇分に対する価格転嫁については、付加価値の高い商品設計に注力し、商品単価の上昇と価格転嫁を進めてきた。現状ではおおむね転嫁が進んでおり、問題なく対応できている。加えて、販売効率の改善やアフターサポート体制の強化が奏功しており、同社が強みとする収益性重視の事業運営が定着していることが読み取れる。営業活動では、管理受託数の拡大につながる金融機関や士業等の紹介先の開拓に注力した。また、「東京ゼロエミ住宅」仕様の積極的な提案により、一棟単価の向上につなげた。生産活動では、原価高騰への対策として、建設カンパニーにおいて原価抑制や工期短縮・施工品質向上に取り組み、現場管理の効率化を目的とした顔認証システムやWebカメラの運用を開始した。研究開発では、技術開発室を新設し、新構法「セレZ」の構造強化や住宅性能向上に取り組んだほか、産学連携による共同研究を継続した。外部要因である原価高騰に対して効率改善の取り組みが成果を挙げており、リスク管理が適切に行われていると弊社では見ている。2025年3月に発足した千葉工場カンパニーでは、生産性向上と原価抑制を目指し、工場内作業の洗い出しと標準化を推進した。また、標準化による作業効率の改善を図るとともに、幅広い経験を持つ人材の育成やジョブローテーションを継続的に実施している。(2) 賃貸開発事業売上高は1,332百万円(前年同期比42.8%減)、セグメント利益は217百万円(同33.9%減)となった。上期に予定していた物件の販売及び引き渡し契約がずれ込んだため、売上高・セグメント利益ともに減収減益となった。この主な要因は、販売活動の遅れによるものであり、上期中に契約から引き渡しまでを完了させる計画であったが、案件ごとにばらつきがあり、一部の引き渡しが後ろ倒しとなった。しかし、2026年2月期の供給物件はすべてが駅近・角地であることから、富裕層から高い評価を得ており、利益率は改善傾向にある。下期に販売予定の物件は計画どおりに完成しており、通期での収益回復が見込まれる。販売面では、中間期に完成現場見学会を実施するなど商品理解を深める活動を行い、購入検討者及び紹介会社の来場促進を実施し、来場した購入検討者からの新規販売契約獲得や、紹介会社からの新規顧客紹介を取得するなど、取引先との連携強化に取り組んだ。仕入面では、富裕層ニーズにマッチする希少性の高い角地を重視した用地取得を進め、全物件に「東京ゼロエミ住宅」仕様を標準採用することで、脱炭素社会への貢献と差別化を実現している。また、条件を満たした物件であれば、「住宅性能表示制度」の耐震等級3(最高)までを実現可能とすることで、資産価値向上やゲストの安全性向上といったオーナー層からのニーズに応える選択肢を増やした。足元の仕入状況についてはおおむね順調に推移しているものの、引き続き市場環境を楽観視できる状況ではないと慎重に見ている。最上位グレード商品「vintage-Gran(グラン)」については、2026年2月期下期中の供給を予定している。(3) 賃貸経営事業売上高は5,259百万円(前年同期比6.8%増)、セグメント利益は675百万円(同16.0%増)となった。賃貸住宅事業や賃貸開発事業と一体となった同行営業を強化し、管理物件の受託営業活動に注力した結果、増収増益を達成した。利益率の向上要因としては、入居者の入れ替え時に実施する賃料増額提案や更新料の増加などが挙げられる。建物長期延長保証の拡充施策によりリフォーム受注が前年同期比で大幅に増加しており、付帯収益が拡大している。営業活動の強化とパートナーズ業者との協業も奏功し、前年同期比で増収増益を実現した点は注目に値する。賃料増額分相当額のオーナーへの還元提案や、突発的な修繕費用の負担軽減パッケージ商品の提案など、オーナーに寄り添った取り組みを推進した。その結果、2025年8月末時点の管理戸数は12,620戸となり、前期末から145戸増加した。賃料動向の把握にAI査定システムを活用した賃料増額提案や、迅速な退去リフォーム工事の完了促進により、高水準の入居率98.3%(2025年8月末現在)を維持した。AI査定システムの導入により、従来よりも市場実勢に即した賃料設定が可能となり、オーナー・入居者双方にとって納得感のある賃料提案が実現し、賃料増額と高水準の入居率という好循環が生まれている。リフォーム・メンテナンスにおいては、再延長保証制度の活用や、施工原価低減のため分離施工発注への切替え促進に取り組んだ。賃貸経営事業は引き続き堅調な成長を続けており、管理物件数の着実な増加と高い入居率が事業の安定基盤を形成している。メンテナンス業者との連携体制も強化され、迅速かつ効率的なサービス提供を実現している点が、オーナー及びゲスト双方から高く評価されている。また、リフォームカンパニーの設立により、長期的な資産保全の仕組みが確立されたことも、今後の事業拡大を後押しする要因になると弊社では考えている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木 稜司)
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2025/12/02 11:05
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セレコーポレーション Research Memo(4):「敷地対応力」「空間設計」「外観デザイン」による3つの強み
*11:04JST セレコーポレーション Research Memo(4):「敷地対応力」「空間設計」「外観デザイン」による3つの強み
■事業概要4. 同社の強みセレコーポレーション<5078>の強みとしては「敷地対応力」「空間設計」「外観デザイン」の3つがある。(1) 敷地対応力技術開発により自由度の高い設計プランが可能である。雁行型の設計プランの採用などにより、活用の難しい変形地でも十分な収益が得られる戸数が確保できる。また、同社は自社工場を有しており、「アパート専門メーカー」である強みを生かし雁行型をはじめとする様々な形状が建築可能だ。(2) 空間設計同社は「m2からm3へ」という、住まいを三次元の発想で考えた新空間設計を取り入れており、「縦×横」の平面に「高さ」を加えた立体として考え独創的な空間を設計している。商品は首都圏の若者を対象に、「Fwin suite」「Fwin Type」「Feel Type」「Fusion Type」を展開している。a) Fwin suite(入居者イメージ:35~40歳のパワーカップル)親密なふたりのために設計された、ゆとりと潤いに満ちた居住空間である。約44m2というコンパクトな面積ながら、従来の50m2クラスの1LDKに匹敵する広がりを実現しており、空間効率と快適性を高次元で両立させている。生活動線を丁寧に設計することで、ふたりの距離を程よく保ちながらも、互いの存在を自然に感じられる空間を創出している点が特徴である。仕事もプライベートも充実させたい35歳から40歳のパワーカップルに向けた、新しいスタンダードを提示する住まいである。b) Fwin Type(同35~40歳のパワーカップル)35歳から40歳のパワーカップルをメインターゲットに据えた、全く新しい約40m2の空間設計である。従来型の50m2クラス1LDKと同等の快適性を備えながら、無駄を排した機能的なレイアウトによって、コンパクトながらも開放感のある住まいを実現している。「Feel Type」や「Fusion Type」で培ったデザインコンセプトを継承しつつ、ふたり暮らしのリアルなライフスタイルに寄り添う設計になっている。c) Feel Type(同30~35歳の単身者)「ワンルームを1LDKへ」という発想により、既存の概念を超えた凸凹設計を取り入れている。隔壁を雁行させる凸凹設計により、玄関を開けた時にベッドスペースが見えないなど、視線を遮ることで独立性を保ちつつ広々とした一体空間を実現しており、従来型の賃貸アパートの間取りや居住性に不満を持つ若者層からの支持を得ている。また、凸凹設計により25m2で従来型の30m2相当に対応していることから、一般的な1LDK建築と比較して戸数が増え、不動産オーナーが受け取る賃料収入と同社が受け取る請負金額の両方が増加するというWin-Winの関係が構築されている。d) Fusion Type(同25~30歳の単身者)宙に浮かぶようなユーティリティスペースと安心感のある掘り込み床のワークスペースが一体化し、生活シーンを立体的に描き出す空間を設計している。平面ではなく立体として空間を捉えることで新しいスペースを生み出し、22m2で従来型の25m2相当に対応している。(3) 外観デザイン同社の商品は、時を経ても色褪せない赤煉瓦調の外観デザインとなっている。最高位ブランド「My Style vintage」はマンション並みのグレードにこだわっており、アパートには珍しい門柱門扉とガス燈風の門柱灯や、入居者のプライバシーを高めるアルコーブなど、高級感を演出し商品優位性を確保している。これらのことから、同社の商品は画一的なデザインの物件と差別化できていると弊社では見ている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木 稜司)
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2025/12/02 11:04
注目トピックス 日本株
セレコーポレーション Research Memo(3):各事業部門で高い専門性と技術力を発揮
*11:03JST セレコーポレーション Research Memo(3):各事業部門で高い専門性と技術力を発揮
■事業概要セレコーポレーション<5078>は、アパート経営に関するコンサルティング及びソリューション提供を行う賃貸住宅事業、不動産の開発・販売を行う賃貸開発事業、アパートの管理受託によるプロパティマネジメント業務やリフォーム・リニューアル業務を行う賃貸経営事業を展開している。特定建設業※許可業者のうち、4つの認定・認証を取得している鉄鋼系ハウスメーカーで、関東圏において自社工場を保有、主要部材を生産供給する6社のうちの1社であり、各事業部門で高い専門性と技術力を発揮する「アパート専門メーカー」として、大手ハウスメーカーと肩を並べる高い品質を有している。同社は自社検査に加え、第三者による厳正な検査体制を構築し、品質管理を徹底している。検査対象は地盤改良から基礎工事まで及び、物件建設後は外から確認できないところも不備が発生しない体制を確立している。なお、子会社のセレレントパートナーズでは、賃貸アパートの入居者に対する不動産賃貸保証業務を行っている。※ 発注者から直接工事を請け負った際に、1件の建設工事(元請工事)につき合計額が4,000万円以上(建築一式工事の場合は6,000万円以上)の工事を下請けに出す場合、取得が義務付けられている許可のこと。1. 賃貸住宅事業不動産オーナーの人生設計における課題解決としてアパート経営を提案し、自社製造の鋼材と自社施工によるアパートの建築を行う土地の有効活用事業を展開している。コンサルティングを行うアセットマネジメントカンパニーと、ソリューションを行う建設カンパニー及び千葉工場カンパニーに分けられる。(1) コンサルティングアパート経営はオーナーにとって人生設計における課題を解決するための選択肢の1つであると位置付け、土地を保有しているオーナーに向けて、子供の養育資金や老後の不安解消に向けた私設年金の形成など土地の有効活用を提言し、アパート経営を通じてオーナーが抱える様々な問題や人生の課題に対する解決プランを提案している。(2) ソリューション一級建築士10名を擁する「アパート専門メーカー」の確かな技術と高い専門性を発揮し、自社施工による鉄骨造賃貸アパートの建築・販売を行う。業務効率化を促進するため、自社工場を福岡から千葉に移転し、2019年9月から稼働している。東京圏の建築現場へ約1時間で到着する立地により、生産性の圧倒的な向上を目指すとともに、オーナーの工場見学会を開催し、商品への安心感・信頼性を高めている。技術面では、日本製鉄<5401>(旧 新日鐵住金)と共同開発した新構法「セレZ」により、主要鋼材の約20%の軽量化と約3.6倍の耐久性強化を実現した。また、自動車のボディ下地塗装と同じカチオン電着塗装により、約100年の耐久性を実現した。このような技術に対する妥協のない姿勢により、国土交通大臣指定の認定機関の審査基準をクリアし、「型式適合認定」「住宅型式性能認定」「型式部材等製造者認証」「型式住宅部分等製造者認証」の4つの認定・認証を取得、建築確認における構造設計など一連の規定審査や、上棟時などの中間検査・竣工検査の一部が省略可能となった。商品は首都圏の若者を主な対象とし、入居者のパーソナリティに合わせた商品構成となっている。35~40歳のパワーカップル※向け「Fwin suite(ファインスイート)」「Fwin Type(ファインタイプ)」、30~35歳の単身者向け「Feel Type(フィールタイプ)」、25~30歳の単身者向け「Fusion Type(フュージョンタイプ)」を展開しており、いたずらに広さ(m2)を追求するのではなく、空間を広く活用する設計となっている。「アパート専門メーカー」として「入居者の満足」と「オーナーの収益性」の双方を成立させる高い事業性を実現している。※ 共働きで世帯年収が1,000万円以上の高年収世帯と同社は位置付けている。2. 賃貸開発事業賃貸開発事業は2020年10月から開始し、ハウスメーカーが参入していないアパートの一棟販売というアンカバー領域で資産承継に適した資産価値の高い収益不動産の自社開発事業を展開している。「土地の資産価値」に重きを置いた収益不動産に特化し、富裕層の資産承継の一助となるようなアパート経営を提案している。具体的には、若者が住みたい人気エリアであり、かつ資産価値の高い城南地区(品川区、目黒区、港区、大田区)や城西地区(渋谷区、新宿区、世田谷区、中野区、杉並区、練馬区)で、駅からの距離(最寄り駅から徒歩6分以内)・規模(約100坪前後の土地)・見栄え(整形地、角地)といった要素にこだわって土地を選定し、自社で仕入れている。また、その土地の資産価値に相応する赤煉瓦調の外観や立体的な空間設計など付加価値の高いアパートを建築し、販売している。3. 賃貸経営事業賃貸アパートの管理業務を受託し、入居者の募集・入退去管理・家賃回収等の賃貸管理業務、建物点検・清掃等の維持管理業務を行う。同社は賃貸経営事業を循環型ビジネスの土台と捉え、「アパート経営は竣工からがスタート」という考えの下、顧客のアパート経営に長期にわたり寄り添う「アパート経営100年ドックVISION」を理念に掲げ、資産価値を守り・育み・高める賃貸管理を提案している。管理受託営業は、自社施工物件に注力している。管理アパートのプロパティマネジメント業務では、賃貸管理業務及び維持管理業務の委託のほか、賃貸住宅事業の施工部門と連携し、リフォーム工事及びリノベーション工事の提案・請負を行う。派生ビジネスとして、保険代理店業務や不動産賃貸保証業務を行っているほか、アパート資産を長期にわたりサポートするため、2024年6月1日付でリフォームカンパニーを設立した。なお、エリアごとに実績のある仲介会社やメンテナンス会社と連携を強化し、無店舗展開という独自の手法で固定費を削減している。リーシングについては、「セレ リーシングパートナーズ」の仲介パートナー会社(1都3県に16社70拠点を展開)による専任の入居者募集を行い、若者に特化したリーシングにより賃貸経営の収益安定化を図っている。メンテナンスについては、「セレ メンテナンスパートナーズ」のメンテナンス会社(1都3県に9社13拠点を展開)との連携による独自の体制を構築している。受託賃貸管理戸数は12,620戸(2025年8月末時点)と12,000戸を突破後も順調に増加している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木 稜司)
<HN>
2025/12/02 11:03
注目トピックス 日本株
セレコーポレーション Research Memo(2):持続可能な安定的成長を目指す
*11:02JST セレコーポレーション Research Memo(2):持続可能な安定的成長を目指す
■会社概要1. 会社概要セレコーポレーション<5078>は、土地有効活用のコンサルティング、自社開発物件から賃貸経営までワンストップで行うビジネスを強みとする「アパート専門メーカー」である。東京圏・若者たち・鉄骨造アパートに絞り込み、圧倒的シェアを誇るニッチトップ企業を目指している。企業理念に「子どもたちの 子どもたちの 子どもたちへ」を掲げ、「日本の、そして地球のよりよい未来をつくるために、この国の豊かさをつくりだした先人たちに敬意を表し、感謝の気持ちを抱きながら、この豊かさがよりいっそう広がる未来を描くこと。そのために社会に貢献する永続企業でなければならない」と考えている。事業目的は「ゲスト(入居者)に最高の笑顔と感動を届け続ける」「社員一人ひとりの「しあわせ」の総和が企業価値」とし、持続可能な安定的成長を経営方針としている。企業理念や事業目的の理解・浸透を図り、社員一人ひとりの日常業務に紐付け、リスクの高い性急な成長路線を志向したり、いたずらに規模を追ったりすることはなく、身の丈に合った堅実経営を貫き永続企業を目指している。2026年2月期中間期末時点の資産合計は24,728百万円、資本金は447百万円、自己資本比率は83.5%、発行済株式数は3,491,900株(自己株式103,858株含む)である。2. 沿革同社は、2002年12月にニツセキハウス工業(株)より、工業化住宅等の首都圏の営業権及び福岡工場を譲り受け、建築請負事業を開始した。2006年9月に賃貸経営事業の元となる(株)デ・リードと共同株式移転方式により持株会社を設立し、その後2009年1月に吸収合併した。2011年12月にはセレレントパートナーズ(現 連結子会社)を設立し、賃貸保証事業を開始した。2013年1月には、来店型営業へのシフトに当たり、顧客がわかりやすく利便性の高い立地として、本社を現在の東京都中央区京橋に移転した。2020年10月の千葉工場本格稼働による福岡工場閉鎖、2021年12月の中国子会社の売却により、経営資源を東京圏に集中させた。2021年3月にアメーバ経営の本格運用を開始し、経営判断の迅速化と事業別損益の明確化を目的に機能別から事業別へ組織変更した。2022年3月に東京証券取引所(以下、東証)第2部に上場し、同年4月の同市場区分見直しに伴いスタンダード市場へ移行した。また、同年11月には、千葉工場にて品質マネジメントシステムの国際規格「ISO9001」の認証を取得した。3. CEL未来戦略同社は、顧客ターゲットを「若者」にフォーカスし、ストック事業を基盤とした収益力のある経営基盤を確立するため、「CEL未来戦略」を掲げている。竹林の様に地下茎でつながりながら、関連事業会社の多面的経営を展開し、シナジー効果により売上高1,000億円、売上高営業利益率10%規模の事業集団への成長を目指している。また、若者の多様化する価値観、生活様式、消費スタイル、興味や関心の変化などを多面的に検証し、研究するシンクタンクとして「TOKYO 若者Style 研究所」を構想している。足元のスタートアッププロジェクトとしては、共立女子大学との産学連携プロジェクトを実行している。4. セレ アカデミー同社は、事業を永続させるため、次世代経営者の育成を目的とする「セレ アカデミー」を運営している。京セラ<6971>グループの京セラコミュニケーションシステム(株)とアメーバ経営教育を行い、「全員参加経営の実現」「経営者意識を持つ人財の育成」「市場に直結した部門別採算制度の確立」を推進している。アメーバ経営では各部門を細分化し、翌月~翌々月までの予定や採算を作成し、管理することでそれぞれが安定した利益を創出できる。2022年にはアメーバ経営のベースとなり、事業永続の拠り所となるセレフィロソフィを作成した。今後の同社の経営を担う次世代の経営陣・社員が持つべき判断基準・行動指針を明確化することで、企業理念・事業目的の実現に役立てる。価値観・判断基準は、創業者が直接事業継承をする次世代の経営陣だけでなく、連綿と経営を受け継ぐ後進者も学ぶことができる普遍性の高い内容を目指している。このため、今現在の個別の経営課題や問題意識に過度にとらわれることなく、事業永続に必要となる経営哲学を、創業者の人生経験を踏まえて幅広く構成している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木 稜司)
<HN>
2025/12/02 11:02
注目トピックス 日本株
ダスキン---大幅反発、外食事業の好調を評価して米系証券が格上げ
*11:01JST ダスキン---大幅反発、外食事業の好調を評価して米系証券が格上げ
ダスキン<4665>は大幅反発。モルガン・スタンレーMUFG証券では投資判断を「アンダーウェイト」から「イコールっウェイト」に格上げ、目標株価も2800円から4300円に引き上げている。ミスタードーナツを中心とするフード事業の構成比が高まり、外食のバリュエーションが意識されやすくなると指摘、適用をPBRからPERに変更しているようだ。また、ミスタードーナツ既存店好調を反映して、業績予想を上方修正もしている。
<HM>
2025/12/02 11:01