注目トピックス 日本株ニュース一覧
注目トピックス 日本株
エヌ・シー・エヌ Research Memo(5):2022年3月期第2四半期は増収増益で各利益は計画を上回る進捗(1)
■業績動向1. 2022年3月期第2四半期の業績2022年3月期第2四半期(4-9月)の業績は、売上高3,651百万円(前年同期比13.7%増)、売上総利益916百万円(同19.5%増)、営業利益144百万円(同10.3%増)、経常利益154百万円(同2.0%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益110百万円(同4.5%増)と増収増益での着地となり、売上高、売上総利益、経常利益は過去最高を更新した。コロナ禍によって緊急事態宣言が継続的に発令されたほか、米国での新築住宅需要の高まりを背景とした木材の供給不足と価格高騰、いわゆる「ウッドショック」といった大きな問題はあったものの、エヌ・シー・エヌ<7057>の強みの一つである構造設計を起点とした資材調達・施工までの一貫したサプライチェーンは機能しており、木材を安定的に供給したことから、売上高は概ね計画通りの進捗だった。業務効率化によって売上総利益は916百万円と計画(906百万円)に沿った着地となったほか、成長分野として注力している大規模木造建築分野、BIM事業への積極的な投資を行ったものの、販管費が予定を下回ったことから、各利益は大幅に伸びた。2. 事業セグメントとセグメント売上高2022年3月期第2四半期における住宅市場環境としては、緊急事態宣言が継続的に発令されるなど営業活動の自粛影響があったほか、ウッドショックによる影響は継続。一方で、2019年7月から2021年2月まで20カ月連続で前年同月を下回っていた新設住宅着工戸数は、2021年3月から10月まで8カ月連続で前年同月を上回るなど回復の兆しが見られた。このような経営環境のなかであったが、同社の強みであるシステマチックなサプライチェーンが機能したことによって、ウッドショックの影響を回避しており安定供給を継続。また、成長投資は計画通りに行っており、脱炭素社会に向けた「建築物の木造化」「設計のDX」への準備を整えている。住宅分野の売上高は3,014百万円(前年同期比8.5%増)だった。緊急事態宣言の発令やウッドショックの影響から建築現場の進捗が遅れたものの、木材を安定的に供給することができたことから、SE構法出荷数は716件(同6.4%減)とほぼ計画どおりの出荷となった。また、第2四半期において木材の価格は約20%の単価上昇だったことも、売上高の増加に繋がった。なお、木材の安定供給をもとめる施工会社のニーズが増加し、登録工務店数は新規に26社加入(同62.5%増)し、558社となった。一方で、持分法適用会社であるMUJI HOUSEにおいては、木材を含む資材価格の上昇がストレートに利益を圧迫する格好となった。同社は受注が行われると先に構造計算を行う。建物の構造計算が先に行われ、確認申請という作業を経て、後に構造加工品等の出荷を行うという流れだ。住宅であれば「上棟式(棟上げ)」と呼ばれるが、その時に同社の売上が立つことになる。構造計算の出荷において、多くのハウスメーカー、工務店はコロナ禍に伴う営業自粛によって顧客と面談ができず、建築請負契約ができない状況に陥っていた。契約ができない理由については、「印鑑」の存在が挙げられる。既に建築の世界でもDX(デジタル・トランスフォーメーション)が動き出しているとはいえ、まだ電子契約は浸透していない。そのため、基本的には従来通り建築請負契約においては印鑑が必須、つまり直接対面である必要があるからだ。なお、構造計算の後に構造の出荷、上棟式となるが、同社及び同社の関係する現場では、少人数かつ感染症予防対策も十分に行うことで、安定的に全体工程が進捗するよう図られている。ウッドショックの影響に関しては、株式市場でも警戒される部分だろうが、同社は構造用集成材をすべて国内メーカーから調達しており、現在も供給遅延は発生していない。また、同社社長の田鎖氏は25年前まで商社の木材部で米国・カナダ・ニュージーランドから材木を輸入していたため、木材の流通についての知見も豊富であり、ウッドショックへの対処という点で大きな強みがある。また、安定供給を可能にするサプライチェーンを、構造設計会社にしては珍しく持っており、受注した図面ですぐに構造計算するため、材料がどの程度使われるのか、どのくらいの強度が必要なのかがわかる。ダイレクトに国内の集成材工場、または製材工場にデータを送り、そこから製品を作り在庫を管理し、全国にある提携プレカット工場にタイムリーに届けるシステムとなっている。一般的な流通では、工場に発注して材料を手配するが、同社は約5ヶ月前から使用する材料をすでに発注しているため、納期遅れや材料不足は起きていない。供給が不安定と言われるウッドショック下において、サプライチェーンは機能しており、原材料(集成材)は、安定供給できている。大規模木造建築(非住宅)分野の売上高は448百万円(前年同期比66.3%増)と大きく伸びた。コロナ禍により公共工事等の工期が大幅に延長している影響を受けていたが、足元では公共工事が徐々に再開されており、SE構法の出荷数は30件(同50.0%増)となった。事業環境としては2010年10月に施行された「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」により、国や地方自治体の関与する公共建築物への木材利用が促進されており、住宅より規模の大きい建築物にも木造化に伴う受注が増加している。しかし、住宅以外の木造建築物に対応する構造設計者が少なく、プレカットなど生産側との連携においても様々な課題が挙げられている。大規模木造建築を扱う木構造デザインについては、2022年3月期上期までは緊急事態宣言が継続的に発令されたことによる工事遅延の影響を大きく受けたと見られるが、その間においても計画通りにプロモーション活動を実施し、営業活動を推進してきた。経済活動が正常化に向かうなか、公共工事の本格的な再開とともに公共建築物への木材利用促進に向けた需要は高まると考えられ、下期以降の木構造デザインは非住宅木造市場をけん引する役割が大きいと弊社では考えている。さらに、国土交通省は2020年3月1日に改正建築士法(施行規則第21条関係)を見直しており、木造2階建てで延べ面積が500m2以下の4号建築物(4号建物)ではこれまで義務づけられていなかった構造計算等に係る図書についても15年間保存することが義務づけられた。これにより木造住宅も構造計算が前提となることから、設計事務所や工務店などは業務継続の上で構造計算が大きな課題となることが予想される。一方で、木造建築の耐震性を確保するための高度な構造計算を事業化してきた同社にとっては、収益拡大につながる事業環境になっていくと弊社では考えている。その他(省エネルギー計算サービス、住宅ローン事業、BIM事業)の売上高は188百万円(前年同期比16.2%増)だった。2021年4月より説明が義務化された住宅の省エネ性能に対し、省エネ計算結果データに顧客向けの解説を加えた「省エネルギー性能報告書」の発行による「性能の見える化」を実現し、SE構法とのシナジーを活かし戸建向けに注力して営業展開を行った。説明義務化に伴う需要拡大、時代のニーズが省エネルギー、脱炭素であることも追い風となり、省エネ計算サービスの売上高は前年同期比75.8%増と大幅な増加となった。また、成長分野として注力しているBIM事業については、木造建築向けBIMソリューションを開発・展開するMAKE HOUSEで2021年10月に開設したBIM/CADセンター「MAKE HOUSE BIM BASE」を拠点に、事業拡大に向けた人員増と育成を計画通り推進。BIM技術を活用した高画質建築空間シミュレーションサービス「MAKE ViZ」の提供を開始した。なお、MAKE ViZはBIMモデルと高性能レンダラーの連携により、これまでコストや時間がかかることから専門のCGスタジオでしか実現できなかった360°パノラマビューなど高精度の建築パースを低コストかつ短期間で提供する事を可能にした空間シミュレーションサービスである。売上総利益は916百万円(前年同期比19.5%増)に増加しており、売上の増加に加えて業務効率化の効果も見られた。また、新たな登録施工店ネットワークのパートナーの増加に加えて、いち早くDXの推進を加速させており、ITに対する積極投資を行ってきた効果が表れた格好と弊社では見ている。これにより親会社株主に帰属する四半期純利益は110百万円(同4.5%増)となり、売上高営業利益率は4.0%、ROE(自己資本当四半期純利益率)は5.6%となる。(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
<SI>
2022/01/05 16:25
注目トピックス 日本株
エヌ・シー・エヌ Research Memo(4):「SE構法」により木造建築において資産価値の高い家を提供する(2)
■エヌ・シー・エヌ<7057>の事業概要2. その他の事業木造耐震設計事業を主軸としながら「日本に資産価値のある住宅を提供する仕組みをつくる」という目標を実現するため、省エネルギー計算や長期優良住宅認定の代行サービス等、住宅の資産価値向上に向けた様々なサービスを手掛けている。(1) 省エネルギー計算サービス省エネルギー計算サービス、長期優良住宅認定代行サービス等を提供している。省エネルギー計算サービスは、2013年に導入された「改正省エネルギー基準」により、一次エネルギーの消費量が評価基準に加わったことや、2020年以降に改正建築物省エネ法が施行されることを見越して2010年からサービスを開始している(2021年4月より、改正建築物省エネ法のうち、建築主に対する省エネ基準適合の有無について説明が義務付けられた)。同社では、SE構法による住宅だけでなく、他の工法による住宅に対してもサービス提供を行い、ゼロエネルギー住宅の普及に向けて取り組んでいる。低燃費な住宅を創るために消費するエネルギーを抑える手法は多岐にわたり、その1つ1つがきちんと機能しているのか、実際に家を建てる前に確認する方法が「省エネルギー計算」となる。同社では、国が定めた計算手法により断熱性能、日射遮蔽性能、消費するエネルギー量をそれぞれ求めた計算結果のほか、顧客向けの解説を付け加えた「省エネルギー性能報告書」を発行している。(2) 住宅ローン事業(SE住宅ローンサービス)連結子会社であるSE住宅ローンサービスにおいて、クレディセゾンのフラット35の代理店として登録施工店に発注する住宅取得者を資金面でバックアップする仕組みを整えている。フラット35は耐震性や省エネルギー性能が高い良質な住宅に対して当初金利を引下げるものであり、エヌ・シー・エヌの良質な住宅へのサポートと併せてお得で安心できる住宅ローンを提供するものである。(3) BIM事業BIMとは、コンピュータ上に作成した主に3次元の形状情報に加え、室等の名称・面積、材料・部材の仕様・性能、仕上げなど、建築物の属性情報を併せ持つ建築物情報モデルを構築するシステムをいう。連結子会社であるMAKE HOUSEにおいて、木造住宅の設計から生産に至るまでのデータの一元化を実現し、資産価値の高い住宅をより安く市場に提供するため、BIMソリューションの開発及び販売を行っている。MAKE HOUSEによる主なサービスは、BIMによる業務の効率化や建築のIT化を推進するコンサルティング事業である。建築事業者へのBIMコンサルティングに加え、実プロジェクトを直接サポートするサービスとなるBIMプロジェクト受託事業を行っている。他にも、VR(仮想現実)やMR(複合現実)の技術を駆使したコンテンツの制作からプレゼンテーション環境の構築などの各種シミュレーション、BIMの自動化と高速化のための各種ツール開発などを展開している。BIMについては国内ゼネコンにおける導入率が約8割まで上昇(2018年時点)してきているものの、木造分野においては導入率が低くデータは不在であり、世界各国でBIM導入義務化への取り組みが推進されているなかで、日本は相当出遅れている状況である。政府はDX推進の中でBIMを導入することによる効果・貢献と、適用する機能や技術要素を段階的に示し、共通理解とすることが必要との認識を示していることもあり、木造建築物のBIM事業において強みを持つ同社において、今後の成長エンジンとなる事業と弊社では考えている。(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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2022/01/05 16:24
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エヌ・シー・エヌ Research Memo(3):「SE構法」により木造建築において資産価値の高い家を提供する(1)
■事業概要1. 木造耐震設計事業木造建築の耐震性を確保するための高度な構造計算を事業化するとともに、構造計算された耐震性の高い木造建築を実現するために鉄骨造やRC造において主流だったラーメン構法を取り入れたエヌ・シー・エヌ<7057>独自の建築システムである「SE構法」を、工務店を中心としたSE構法登録施工店ネットワークを通じて、構造設計からプレカット供給までをワンストップで提供する。(1) 住宅分野(SE構法)施主よりSE構法による木造建築を受注した登録施工店に対して、設計段階で構造計算書を出荷するとともに、建設段階で構造加工品等を販売。また登録施工店からは登録料及び月会費を受領している。SE構法とは、優れた耐震性能と自由度の高い空間の両方を兼ね備えた最先端の木構造技術である。SE構法の構造躯体に使用する木材には、すべて強度が高く品質の安定した「構造用集成材」が使われている。柱と梁をつなげる部分にSE金物を使うことでその断面の欠損が少ないというメリットがある。また、大きな地震による揺れが発生した時に、最も壊れやすい部分である柱と基礎の連結部分においては、「柱脚金物」という金物で基礎と柱が直接連結しているため、その引き抜き耐力が大きく向上。さらに木材や接合する金物が高い強度を持つことは大きな要素であるが、SE構法が地震に強いと言える最大の理由は「構造計算」を行っている点だ。SE構法は、木造住宅において鉄骨造やRC造と同様に数値に裏付けられた「構造計算」を行い、建物すべてに保証をつけて販売することにより、資産価値の高い家を提供する。a) ネットワーク展開(住宅分野ネットワーク展開)同社独自の建築システムである「SE構法」による耐震性の高い木造住宅の更なる普及に向けて、登録施工店ネットワークの獲得強化を図っており、2022年3月期第2四半期において前年同期から26社増えて558社に拡大している。DX推進におけるパートナーとの「YouTube」を使ったデジタル展示場や、SE構法を使用した住宅ブランド「重量木骨の家」では「Instagram」を取り入れた訴求を促進。「重量木骨の家」は全国のSE構法登録施工店558社の中から選び抜かれた工務店「重量木骨の家プレミアムパートナー」がSE構法を利用して建築する資産価値の高い家の総称である。b) ハウスメーカー対応(OEM供給)規格型住宅を販売するハウスメーカー(大手ハウスメーカー数社を含む)等パートナー企業に対して、SE構法をOEM提供する。パートナー企業が規格型住宅を販売する際に、同社は構造計算書を出荷するとともに構造加工品等の販売を行っている。無印良品の家を提供する持分法適用会社の「MUJI HOUSE」による「陽の家」は平屋で廊下も必要としないワンフロアであり、二拠点居住のほか、貸別荘などの宿泊施設であるVilla(ヴィラ)におけるニーズが高い。そのほか、MUJI HOUSEは独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)と団地リノベーションを拠点に地域の活性化を行う事業にも取り組んでいる。(2) 大規模木造建築(非住宅)分野大規模木造建築(非住宅)分野では、延床面積500m2以上の木造建築に対しても、SE構法の提供を行っている。「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」の施行(2010年10月)等により、構造計算が必要となる大規模木造建築の建設需要が高まることが期待されており、同社では木造建築の耐震設計ノウハウを大規模木造建築へ転用し、事業化を推進している。大規模木造建築は、鉄骨造やRC造と比べると軽量であり、施工コストや工期を抑えられるといった特長がある。「SE構法」は、徹底的に品質管理された材料と適確な構造計算により、耐震性に優れ、かつ自由度の高い空間を実現する。同事業分野は森林保全や地球温暖化による環境問題などから、建築物の木造化、木質化が世界的に推進されているなど成長著しい分野であり、より成長を加速させるため、木造プレカットCAD開発トップシェアのネットイーグル(株)とSE構法以外の構法も扱う大規模木造建築(非住宅)分野の構造設計事業について業務提携し、2020年2月に合弁会社である木構造デザインを設立している。さらに、2020年10月に大規模木造建築市場のゼネコン・設計事務所とプレカット工場をつなぐ日本初のマッチングプラットフォーム事業を開始した。木構造デザインが、構造設計サポートと加工サポートに加えて、プレカット工場ネットワークの組成により生産体制を整備するとともに、ゼネコンや設計事務所向けの広告宣伝活動を行うことで、構造設計から生産設計までワンストップでサービスを提供する。構造設計サポートでは、建築物の用途・規模等に応じて工法提案(SE構法、在来軸組工法※1、2×4工法、集成材※2構造、CLT※3工法など)を行い、同社で培った25,000棟以上の構造計算ノウハウを他工法に転用し構造計算をすることで、大規模木造建築市場でのシェア拡大を目指す。※1 在来軸組工法:日本古来の工法を簡略化・発展させた工法※2 集成材:板材を接着剤で再構成して作られる木質材料※3 CLT:板の層を各層で互いに直交するように積層接着した厚型パネル(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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2022/01/05 16:23
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エヌ・シー・エヌ Research Memo(2):独自の木造建築用システム「SE構法」をネットワーク展開
■会社概要エヌ・シー・エヌ<7057>は、木造建築の耐震性を確保するための高度な構造計算を事業化するとともに、構造計算された耐震性の高い木造建築を実現するため、鉄骨造やRC造において主流だったラーメン構法を木造住宅に取り入れ、同社独自の建築システムである「SE構法」を、工務店を中心としたSE構法登録施工店ネットワークを通じて提供する。同社グループは、同社を中心に、(株)木構造デザイン、(株)MAKE HOUSEによるテクノロジー分野、SE住宅ローンサービス(株)によるアセット分野、そして、(株)MUJI HOUSE、YADOKARI(株)、(株)一宮リアライズによるライフスタイル分野を融合した企業グループである。ライフスタイル分野においては、世界中の新たな暮らしの調査研究・メディア運営、小屋・可動産活用による遊休地や暫定地の企画・開発、まちづくり支援を手がけるYADOKARIと、2019年12月に資本業務提携を締結した。一宮リアライズは、地域再生を図るために千葉県長生郡一宮町と同社など民間企業の出資により、まちづくり会社として2016年8月に設立された。同社は日本に安心・安全な木構造を普及させ、資産価値のある住宅を提供する仕組みをつくることを目的として1996年に設立した。社長の田鎖郁夫(たくさりいくお)氏は、日商岩井(株)(現双日<2768>)の出身で、商社マンとして活躍していた1995年に阪神・淡路大震災が発生し、壊滅的となった木造住宅を目の当たりにした。そこで知ったことは、住宅のほとんどを占める木造住宅においては、構造計算をしていないという事実だった。「木造だから弱い」のではなく、そもそも構造設計がされていなかったのである。1996年にセブン工業<7896>と日商岩井による合弁で株式会社エヌ・シー・エヌを設立した。当時、長野オリンピック記念アリーナを手掛けていた構造家・播繁(ばんしげる)氏に協力を求め、大型建造物のノウハウを一般的な住宅に生かす「SE構法」を開発、木造技術のイノベーションを図った。圧倒的な強度を持つ独自の木造建築用システムは、現在に至るまで同社の強みである。SE構法は、20年来の施工・建築経験の蓄積により、他社には追随できない知的財産となっており、1997年から展開する「SE構法」の出荷棟数は2021年3月末現在、累計25,000棟を突破した。規格住宅のOEM供給を依頼する大手ハウスメーカーも多い。なお、「New Constructor’s Network=新しい建設会社のネットワーク」が同社の社名の由来だが、木造住宅を巡る既存の課題や不具合(構造計算をしない常識、資産価値が急速に減ってしまうといった常識)に対して、同社が中核となる形で工務店、ビルダー、ハウスメーカー等と共に立ち向かっていくことを指している。(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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2022/01/05 16:22
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エヌ・シー・エヌ Research Memo(1):木造建築業者のビジネスプラットフォームを展開
■要約エヌ・シー・エヌ<7057>は、木造建築の耐震性を確保するための高度な構造計算を事業化するとともに、構造計算された耐震性の高い木造建築を実現するため、鉄骨造やRC造(鉄筋コンクリート構造)において主流だったラーメン構法(骨組み(部材)の各接合箇所を剛接合したもの)を木造住宅に取り入れ、同社独自の建築システムである「SE構法」を、工務店を中心としたSE構法登録施工店ネットワークを通じて提供する。1. 2022年3月期第2四半期の業績2022年3月期第2四半期(4-9月)の業績は、売上高3,651百万円(前年同期比13.7%増)、売上総利益916百万円(同19.5%増)、営業利益144百万円(同10.3%増)、経常利益154百万円(同2.0%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益110百万円(同4.5%増)と増収増益での着地となった。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)によって緊急事態宣言が継続的に発令されたほか、米国での新築住宅需要の高まりを背景とした木材の供給不足と価格高騰、いわゆる「ウッドショック」といった大きな問題はあったものの、同社の強みの一つである構造設計を起点とした資材調達・施工までの一貫したサプライチェーンは機能しており、木材を安定的に供給したことから、売上高は概ね計画通りの進捗だった。2. 2022年3月期の業績予想2022年3月期の業績予想については、売上高7,959百万円(前期比23.8%増)、売上総利益1,990百万円(同23.4%増)、営業利益308百万円(同8.9%増)、経常利益324百万円(同0.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益233百万円(同3.8%増)を見込んでいる。第2四半期の実績が予想を上回る進捗となったが、下期についても木材の価格上昇と堅調な出荷を見込んでいることから、11月12日に通期業績予想の修正を行っている。売上高については前回発表(7,365百万円)を8.1%上回るほか、それに伴って売上総利益の増加を見込んでおり、営業利益は前回発表(202百万円)を52.4%上回る計画に上方修正した。3. 成長分野への投資同社は2022年3月期のテーマとして「成長分野への投資」を掲げている。成長分野である(1)非住宅分野への投資=木構造デザイン、(2)環境分野(住宅の省エネルギー設計)への投資、(3)木造DXへ向けた投資を積極的に行う予定である。これらの成長分野(SE住宅ローンサービス、MAKE HOUSE、木構造デザイン)への投資を積極化させることにより、各段階利益では小幅な増益となる。もっとも、SE構法販売が順調な成長を続けるなか、脱炭素社会へ向けた取組を加速させることによって、将来的には一段の利益成長が見込まれることになると弊社では考えている。■Key Points・木造建築業者のビジネスプラットフォームを展開・木材活用大型建築の市場規模は1兆円・脱炭素社会のなかCO2削減に不可欠な事業を展開・林業の構造改革を担う立ち位置・ウッドショック下においても木材を安定供給(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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2022/01/05 16:21
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デリカフHD Research Memo(8):2022年3月期の1株当たり配当金は前期比横ばいの5.0円を予定
■株主還元策デリカフーズホールディングス<3392>は株主還元策として、配当金と株主優待制度を導入している。配当金に関しては、配当原資確保のための収益力強化を図りながら、継続的かつ安定的な配当を行うことを基本方針とし、配当性向で20%程度を目安としている。2021年3月期は損失計上となったものの、安定的な配当を行う方針の下、前期と同額の5.0円を実施した。2022年3月期についても同様に5.0円を継続する予定だ。また、株主優待内容に関しては毎年9月末の株主に対して保有株数に応じて「こだわり野菜等の詰め合わせ」または同等分のQUOカードを贈呈し(200株保有の場合、500円相当)、長期保有株主(3年以上継続して2,000株以上保有)に対しては、別途優待内容を付け加えている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2022/01/05 16:18
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デリカフHD Research Memo(7):2024年3月期に売上高450億円、経常利益10億円を目指す
■今後の見通し2. 第四次中期経営計画2022年3月期からスタートしている第四次中期経営計画「Transformation 2024」では、コロナ禍で大きく変化した市場環境において新たな食の生活様式に対応するため、デリカフーズホールディングス<3392>の強み(企業力、研究開発力、販売力、調達力)を生かしながら、従前の延長線上にないビジネスモデルを構築していくことを掲げ、以下の基本方針に取り組んでいる。(1) 事業ポートフォリオの変革コロナ禍で主力市場としてきた外食業界が大打撃を受けるなか、2021年3月期より事業ポートフォリオの変革に取り組んできた。前述したように進捗は順調で、コロナ禍に強い外食や量販・小売、給食、中食業界での顧客開拓に取り組んできたことで、2021年10月の売上高はコロナ禍前を上回る水準まで回復している。アフターコロナでは外食市場の回復も見込めることから、外食市場の回復にしっかりと対応しつつ、そのほかの業界に向け顧客開拓・取引深耕を継続していく方針だ。また、新規事業となるミールキット事業については、2024年3月期に売上高で22億円強、BtoC事業については30億円強をそれぞれ目指していく。販売先ポートフォリオの拡充に加えて、商品ラインナップの拡充(冷凍野菜の製造開始)による売上拡大も見込まれる。冷凍野菜は賞味期限が格段に伸びるためフードロス削減につながるといったメリットもあり、当面の目標として年間数億円規模の売上を目指す。これら取り組みにより、2024年3月期の売上高に占める外食向け(コロナ禍に強い外食含む)の比率は2021年3月期の73.8%から63%に低下し、そのほか業界向けや新規事業の比率が26.2%から37%に上昇する計画となっている。ただ、足元はそのほか業界向けの顧客開拓が順調に進んでいることから、そのほか業界向けの比率が売上成長に伴ってもう少し上昇する可能性もあると弊社では見ている。(2) 青果物流通インフラの構築a) 新工場・物流センターの拡充と新エリアへの進出同社は2024年3月期までに、新工場または物流センターを3ヶ所開設する計画を立てている。候補地としては、需要増加が見込まれる関東地区・関西地区に加えて、直営事業所が空白地帯だった中国地区に拠点を開設する予定で、まずは需要増が見込まれる関東地区・関西地区を優先していく方針だ。設備投資額は土地代や建屋の内容によって変わるが、直近では福岡FSセンターで23億円となっており、工場の場合は同程度の投資額が必要になると見られる。稼働時期は2025年3月期以降となる見込みだ。なお、減価償却費は大型投資が一段落したこともあり、当中期経営計画期間内は横ばい水準が続くものと予想される。b) 幹線物流網の強化と物流事業への参入同社は現在、幹線便として仙台~東京~福岡までのルートを構築しており、野菜の調達・販売機能の強化を図っている。今後、さらに北へのルートを伸ばす予定にしており、資材・商材の共同購買及びフードロスを防ぐ在庫コントロール機能を強化していく考えだ。配送の内製化率については2020年3月期の約3割から現状は約4割まで上昇しており、当面は現状の水準を維持していくことにしている。もっとも物流の受託サービスがさらに増えるようであれば、内製化率を高めていくことも検討していく。物流受託サービスについては、自社トラックの空きスペースを活用した配送サービスとなるため、追加コストをかけずに利益を確保できるサービスとなっている。2022年3月期からは弁当など食料品の配送サービスも開始しており、売上高も前期比2倍増の4億円弱まで伸びる見通しだ。c) イノベーション・DXによる徹底した効率化の推進AIやRPAの活用による業務の効率化を推進していく。前述した受発注システム以外にも、在庫管理システムの高度化やBIツールの導入などを進めていく予定にしている。また、RPAを上手く活用していくため、若手社員を中心にした勉強会なども開催しており、社員レベルでのスキルアップも図っている。(3) 経営数値目標経営数値目標として、中期経営計画の最終年度となる2024年3月期に売上高450億円、経常利益10億円、親会社株主に帰属する当期純利益6.5億円、ROE7.0%、1株当たり配当金10.0円を掲げた。売上高については今後3年間で年率11.2%成長となり、一見ハードルが高そうに見えるが、2020年3月期を起点として考えると年率2.7%成長となり、コロナ禍が収束した場合は十分達成可能な水準であり、外食向け以外の顧客開拓が進んでいることにも照らせばさらなる上積みも期待できる情勢となっている。経常利益率で2.2%という水準も過去平均と変わらない水準であり、市場環境が悪化することや予想外のコスト増要因が発生しなければ達成可能な水準と思われる。コロナ禍により2021年3月期から厳しい収益状況が続いているが、事業ポートフォリオの変革は順調に進んでおり、現在は成長ステージに入るための過渡期にあると弊社では考えている。フードロスの削減と脱炭素化社会の構築に向けた取り組みを推進3. SDGsの取り組みについてSDGsに取り組む企業が増えるなか、「農と健康を繋ぐ創造企業」を経営方針に掲げる同社グループにおいても、永続的な成長と持続可能な社会の実現に向けた サスティナビリティ経営の推進に取り組んでいる。具体的には、「天の恵みである野菜を100%使い切る」持続可能な青果物流通ビジネスを創出していくことを掲げているほか、健康社会や地域貢献、環境への配慮、人財育成など分野別にテーマを掲げて、取り組みを進めている。フードロス削減については、生野菜からカット野菜、冷凍野菜の販売、並びにミールキット事業や自社ECサイトでの販売を展開していくことで廃棄ロスの削減に取り組んでいるほか、全国5ヶ所の事業所に残渣リサイクルシステムを導入して日々発生する野菜ゴミを堆肥化し、農産物の肥料として活用する循環型の事業活動を行っている。また、青果物流事業の拡大を通じた脱炭素社会の構築に向けては、野菜の消費量拡大によって農作物の生産量拡大を図り、その結果として二酸化炭素の吸収量拡大に取り組んでいる。同社の事業活動に伴う二酸化炭素の吸収量は2021年3月期の7,040トンから、2024年3月期は42%増の10,000トンを目指している。そのほか、省エネルギー化への取り組みとして、東京と神奈川の事業所において「排水未利用冷熱を活用した温度差エネルギー冷却システム」を導入し、カット野菜製造ラインから排出される水の冷熱を利用して電力コストの削減につなげている。太陽光エネルギーなどクリーンエネルギーの活用についても推進していく予定だ。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2022/01/05 16:17
注目トピックス 日本株
デリカフHD Research Memo(6):2022年3月期は2期ぶりの黒字化を目指す
■今後の見通し1. 2022年3月期の業績見通しデリカフーズホールディングス<3392>の2022年3月期の業績見通しは、コロナ禍の影響がいつまで続くか不確定なため、レンジでの開示となっている。売上高は35,000~37,000百万円(前期比10.3~16.6%増)、営業利益は60~460百万円(前期は1,467百万円の損失)、経常利益は100~500百万円(同1,031百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は80~450百万円(同953百万円の損失)を見込んでいる。業績予想のレンジは緊急事態宣言の継続期間を前提に作っており、現在の状況と最も近いのは予想の下限値の前提(9月までの半年間緊急事態宣言が続き、その後は再発出されない)となっている。このうち売上高については、外食業界以外の顧客開拓が順調に進んでいることから達成可能な水準で計画を上回る可能性もあると弊社では見ている。2021年10月の売上高がコロナ禍前の水準を超えてきており、11月に入っても首都圏や大阪でまん延防止等重点措置が解除されたことで飲食店の時短営業が解除されたことにより、繁忙感が一段と増している状況にある。業務用を主体とする同業他社のなかで2年前の売上水準を上回っている企業はほかになく、事業ポートフォリオの変革に取り組んできた成果と言える。こうした動きは(一社)日本フードサービス協会が毎月発表している外食産業の月次売上動向と同社の動向を比較しても明らかに見て取れる。2021年2月までは外食業界の売上と同社の売上はほぼ同様の動きとなっていたが、3月以降は同社の売上回復が鮮明となっている。この差が外食以外の取り込み並びに外食のなかでもコロナ禍に強い外食の取り込みを進めてきた成果と弊社では考えている。同社の2020年3月期下期の売上高が約200億円だったことから、当下期も同水準で推移したとすれば通期売上高は会社計画の上限値であった370億円を超え380億円に達することになる。なお、新規顧客及び既存顧客との取引深耕による売上獲得については、通期で50億円超となる見通しだ(前期実績は43億円)。一方、経常利益の100百万円という数字を見るとややハードルが高いように見える。10月の経常利益は83百万円と黒字化しているものの、通期で100百万円を達成するためには下期に700百万円強の利益を出す必要があるためだ。2020年3月期下期の経常利益は268百万円であり、過去においても500百万円を超えた年はない。このため、今後どれだけ売上を伸ばすことができるかが利益計画達成のカギを握るものと考えられる。経常利益が一時的に落ち込んだ2021年9月から、翌月10月のV字回復状況から今後の展開には注目したい。仮に計画を達成した場合には、収益力が大幅に強化されたことの証左となり、2023年3月期業績の急回復が期待できることにもなる。(1) ミールキット事業の取り組みこうしたなか、同社では新規事業の取り組みを積極的に進めている。ミールキット事業ではSPA型事業を拡大していくべく、販売子会社となる楽彩(株)を2021年8月に設立し、2022年2月以降に本格始動する予定となっている。一般消費者向けに「新たな食のライフスタイル」を提供することをコンセプトに、生鮮野菜による健康を意識したメニュー等を開発して、ターゲット層を絞った付加価値型のサービスを提供していくものと見られる。既に青果専門店である九州屋の3店舗で実演販売も開始し顧客からも高い評価を得ていることもあり、今後取扱店舗数を拡大していく予定にしている。ミールキット事業では生協やヨシケイ開発(株)、オイシックス(オイシックス・ラ・大地<3182>)などが先行しているが、品質面の差が出る野菜の取り扱いに関して、同社は鮮度の維持管理から真空加熱野菜等の製造に至るまで豊富なノウハウを持っており、他社にない強みになると考えている。また、自社ブランド展開だけでなくOEMでの展開も広げていく予定である。今後のミールキット事業拡大のため、同社は調味料等の小袋をパッケージングする長崎工場の能力増強投資を3億円かけて下期に実施する計画となっている。ミールキットの製造については長崎工場で調味料等のパッケージングを行い、それを全国のカット野菜工場に送って、各工場で製造したカット野菜やそのほか食材等と梱包して出荷する格好となる。ミールキットの国内市場規模は、生活スタイルの変化もあって、現在の1,600億円から今後は2,000億円を超える市場に育つと見られており、今後の動向が注目される。(2) 冷凍野菜事業の取り組みまた、冷凍野菜についても愛知事業所に約3億円をかけて製造ラインを導入し、2022年4月以降に量産を開始する計画となっている。同社は野菜の商品形態として生野菜、カット野菜、真空加熱野菜を揃えているが、今回、冷凍野菜も手掛けることですべての形態が揃うことになり、顧客開拓並びに既存顧客との取引深耕が期待される。既に冷凍弁当事業者などからも引き合いが来ているようだ。(3) BtoC事業の取り組みBtoC事業では異業種連携コラボの第1弾として、大手アパレル企業のバロックジャパンリミテッド<3548>と青果日和研究所の協業を2021年9月に発表した。バロックジャパンリミテッドが新たに手掛ける新業態のフードビジネス「SHEL’TTER DELI」(川口店)において、「青果日和」ブランドの商品開発や店舗運営のノウハウを提供している。今後も、異業種他社とのコラボレーションは積極的に推し進めていくもようだ。現在、第2弾の連携案件についても交渉中となっている。(4) DXの取り組みそのほか2022年3月期に取り組むべき課題として、DXの推進及び実装に取り組んでいる。具体的には、受発注ECサイト「DELICA Connect」を新たに導入し、現在FAXを使って注文している多くの顧客に対して同サイトの利用を進めていくというものだ。現在150店舗を超える顧客が利用しているが、今後利用店舗をさらに拡大することで業務効率の向上を図っていく方針だ。また物流センターでの生産性向上を図るためAIを搭載した自動選別装置を共同開発し、2022年3月期より埼玉FSセンターに試験導入している。高い経験値が必要なトマトの検品作業を自動化することを目的としており、実装に向け準備中である。(5) リバウンド(雇用難)に向けた体制準備同社はアフターコロナのリバウンド(雇用難)に向けて、従業員の定着及び育成のための各種人財強化施策を実行している。具体的には、契約社員の部門限定正社員への登用やパート社員の契約社員への登用、若手社員を対象とした飛び級制度の導入※、外国人雇用を見据えた国際人材室の新設、幹部養成講座の開設、熟練職員へのインセンティブ制度の導入などを実施している。※主任昇格時期が入社4年目以降だったものを、能力によって2~3年で昇格できるようにした。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2022/01/05 16:16
注目トピックス 日本株
デリカフHD Research Memo(5):自己資本比率の低下傾向続くも、営業キャッシュ・フローはプラスに転じる
■デリカフーズホールディングス<3392>の業績動向2. 財務状況と経営指標2022年3月期第2四半期末の財務状況を見ると、総資産は前期末比774百万円減少の21,858百万円となった。主な変動要因を見ると、流動資産では現金及び預金が460百万円、売掛金が58百万円それぞれ減少した。固定資産では有形固定資産が78百万円、投資その他の資産が34百万円それぞれ減少した。負債合計は前期末比46百万円増加の15,562百万円となった。有利子負債が189百万円減少した一方で、買掛金が202百万円増加した。純資産合計は同820百万円減少の6,295百万円となった。配当金支出と親会社株主に帰属する四半期純損失の計上により、利益剰余金が841百万円減少した。経営指標を見ると、自己資本比率は純資産の減少により前期末比2.6ポイント低下の28.8%、有利子負債比率は同17.2ポイント上昇の171.8%となり、期間収益の損失が続いたことにより財務体質はやや悪化している。一方で、2022年3月期第2四半期累計の営業キャッシュ・フローについては248百万円のプラスに転じている。まだ、投資活動によるキャッシュ・フローを賄うまでの回復には至っていないものの、前年同期の水準から比較すると大きく改善した状況となっている。ただ、2022年3月期からスタートしている第四次中期経営計画では複数の拠点開設を計画しており、旺盛な資金需要に対応していくための財務戦略の検討が今後の課題と言える。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<EY>
2022/01/05 16:15
注目トピックス 日本株
デリカフHD Research Memo(4):2022年3月期第2四半期累計業績はコロナ禍で損失も、売上高は急回復
■業績動向1. 2022年3月期第2四半期累計業績の概要デリカフーズホールディングス<3392>の2022年3月期第2四半期累計の連結業績は、売上高で前年同期比29.0%増の18,117百万円、営業損失で709百万円(前年同期は1,354百万円の損失)、経常損失で611百万円(同1,015百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失で768百万円(同776百万円の損失)となった。外食業界向けは、コロナ禍による政府の緊急事態宣言の断続的な発出やまん延防止等重点措置により、店舗の営業自粛や営業時間の短縮が続いた影響で減収となったものの、コロナ禍に強い外食や給食、量販・小売業界での新規顧客開拓並びに既存顧客との取引深耕が図れたこと、また2021年3月期下期から開始したミールキット事業の貢献等により、売上高は2ケタ増収となった。ただ、コロナ禍前の水準(2020年3月期第2四半期累計)と比較するとまだ9割程度の水準にとどまっている。売上原価率は前年同期の82.9%から81.9%と1.0ポイント低下した。商品の仕入率については前年同期が好天候に恵まれたのに対して、今年は夏の長雨や9月の日照不足により野菜の生育状況が遅れ、価格高騰や一部海外から高コストで空輸による調達を行った影響などにより0.4ポイント悪化したが、増収効果による固定費率の低下が改善要因となった。特に、人件費については各事業拠点で効率的なシフト体制を組めたことが改善要因となった。販管費率は前年同期の26.7%から22.1%と4.6ポイント低下した。増収効果による人件費を含めた固定費率の低下に加えて、物流費率もより一層の効率体制を推し進めた効果で0.2ポイント改善した。営業外収支が前年同期比で239百万円悪化したが、このうち256百万円が雇用調整助成金収入の減少によるものとなっている。今回の収益悪化局面においても同社は雇用を維持しており、2021年9月末時点の従業員数は前年同期比50名増加の640名、臨時雇用者数は同159名増加の1,816名となっている。(1) 部門別・業態別売上動向部門別売上高を見ると、カット野菜は前年同期比32.6%増の8,644百万円、ホール野菜は同12.4%増の6,587百万円、その他(ミールキット含む)は同73.7%増の2,886百万円とすべての部門で2ケタ増収となった。カット野菜(真空加熱野菜含む)は、人手不足と簡便に調理できる利便性の高さを背景に外食業界で利用が広がっているほか、量販・小売店向けやコンビニエンスストア、コロナ禍に強い外食業界向けでの採用が進み、コロナ禍前の水準まで回復した。ホール野菜がコロナ禍前に対して7割程度の回復にとどまっているのとは対照的な動きとなっている。また、その他部門の増収のうち半分以上はミールキット事業の貢献によるものとなっている。業態別売上高で見ると、主力の外食業界向けはコロナ禍の影響により前年同期比5.6%減の8,321百万円となった。ファストフード向けは新規顧客の貢献により増収となったものの、居酒屋、ファミリーレストラン向けの落ち込みが響いて業態別では唯一の減収となった。そのほかの業態についてはいずれも積極的な営業活動に取り組み、新規顧客の開拓や既存顧客向けの取引深耕が進んだことで大幅増収となった。また、これら業態については、コロナ禍前の売上水準に対して上回っている点も注目される。顧客側でもコスト削減のため、地域別で異なっていた取引業者を一本化する動きがあり、同社の顧客内シェアが上昇しているものと考えられる。当第2四半期累計における新規顧客及び既存顧客との取引深耕により獲得した売上高は1,815百万円となっており、前年同期の1,228百万円に対して約1.5倍となるペースとなっている。ミールキット事業は、2020年11月にワタミ<7522>と業務提携し、ワタミの長崎工場を譲受して開始した事業となる。2021年3月より製造販売を開始し、売上高の大半は「ワタミの宅食」サービスを通じて消費者に販売しており、当第2四半期累計の売上高は736百万円となった。また、BtoC事業はコロナ禍で契約産地の支援と雇用を維持するため、またフードロスの削減に取り組むために2020年4月より開始した事業となる。当初はドライブスルー形式で野菜のBOX売りから開始し、同年7月には「ベジマルシェ」ブランドのECサイトをオープンして販売を開始した。また、同年9月には同業の(株)フードサプライ等と合弁で(株)青果日和研究所(同社出資比率は45%)を設立し、「青果日和」ブランドで「青果BOX」の定期購買サービスを開始した。そのほかにも大手百貨店のECサイトで「青果日和」ブランドのスムージーキットやカットフルーツ等を販売しており、当第2四半期累計の売上高は362百万円となった。(2) 事業セグメント別業績青果物事業の売上高は前年同期比28.3%増の17,906百万円、セグメント損失(経常損失)は667百万円(前年同期は1,009百万円の損失)となった。前述したように一定水準まで回復したものの、2022年3月期第2四半期累計期間はコロナ禍による緊急事態宣言発出の影響もあり、黒字化するまでには至らなかった。物流事業の売上高は前年同期比23.5%増の1,623百万円、セグメント利益は1百万円(前年同期は67百万円の損失)と黒字に転じた。グループ内取引の拡大や、九州に配送エリアが拡大したことや単価アップの効果により損益が改善した。また同事業では、トラックの空きスペースを利用して他社商品の受託物流サービスなども行っている。これら外部顧客向けの売上高も前年同期比206.6%増の172百万円と順調に拡大し、利益改善要因となっている。従来は各種資材の受託物流からスタートしたが、弁当の受託物流も都内で新たにスタートするなど、取り扱う商材も年々増加している。研究開発・分析事業の売上高は前年同期比47.3%増の49百万円、セグメント利益は同45.7%増の4百万円となった。外部向けセミナーや分析事業の受託件数はコロナ禍の影響で減少したものの、JAXA補助事業やスマート農業事業など国家プロジェクトによる研究費等の収入が増加し増収増益となった。JAXA補助事業とは、「資源循環社会に向けた自立循環型水耕栽培システム(地産地消型探査技術)共同研究事業」のことで、独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)産業技術総合研究所、千葉大学、菱熱工業(株)の産官学4機関と連携した共同研究プロジェクトとなる(事業実施期間は2020年11月~2022年10月)。同社グループでは、野菜残渣の提供、残渣分解装置の設置・稼働、野菜残渣や液化堆肥、環境浄化型植物等の評価・分析を行っている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<EY>
2022/01/05 16:14
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デリカフHD Research Memo(3):BCP対策等に先行して取り組み、業界随一の安全・安心なサービスを提供
■会社概要2. 同社の強みデリカフーズホールディングス<3392>の強みは、卸売事業者として国内外で開拓してきた多くの契約産地(仕入高の60%超)から安定した仕入れを行うことができる調達力と、高品質で安全・安心に商品を顧客のもとに配送する物流網を全国に構築(委託業者を含む)していることが挙げられる。また、業界初となるスーパーコールドチェーン※1を東京第二FSセンター(2013年7月稼働)以降に開設した事業所(奈良、東京、西東京、中京、埼玉、仙台、九州)で導入しているほか、食品安全マネジメントシステムの国際標準規格となるISO22000や、その上位規格となるFSSC22000※2の認証も各事業拠点で取得、さらにはBCP対策という観点でも、物流センターや貯蔵センター、カット野菜の製造拠点を複数拠点構築するなど、自然災害リスクに対する備えも万全を期している。こうした食の安全・安心を確保するうえでの取り組みについては業界で最も先行しており、顧客からの高い評価につながっている。※1 スーパーコールドチェーン:野菜の入庫から出荷、配送までの全工程を1~4℃の低温度で管理するシステム。野菜の鮮度が保持できるため、カット野菜の賞味期限を従来比2倍に延長することが可能となった。※2 「FSSC22000」:「ISO22000」に食品安全対策(フード・テロ対策、原材料やアレルギー物質の管理方法など)や、「食品安全に関連する要員の監視」「サービスに関する仕様」などを追加したもので、オランダの食品安全認証財団が認証機関となっている。さらには、生産者と外食・中食企業をつなぐ情報流通機能を持つことも同社の強みとなっている。生産者に対しては、どのような野菜が求められているのか、どれだけの需要量があるのかという情報を提供し、また販売先となる外食・中食企業に対しては野菜の市況やトレンド、高騰した野菜に対する代替メニューの提案などを行っている。特に、ここ数年は天候不順や自然災害に起因する野菜価格の高騰が外食・中食企業にとっても悩みのタネとなっており、同社のメニュー提案力等が高く評価されている。同社は10年以上にわたって野菜の機能性を研究しており、日本中から取り寄せた野菜に関する栄養価などの分析データに関しては、国内随一のデータベースを保有している。この分析データに基づいて、健康増進につながるメニュー提案を行っているほか、新規事業となるミールキット事業の商品開発にも生かしており、同業他社にはない強みとなっている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<EY>
2022/01/05 16:13
注目トピックス 日本株
デリカフHD Research Memo(2):業務用の野菜卸しとカット野菜の業界最大手
■会社概要1. 事業内容デリカフーズホールディングス<3392>は、業務用野菜に関する仕入販売及びカット野菜の製造販売で業界トップ企業となるデリカフーズ(株)を中心に、物流事業を担うエフエスロジスティックス(株)、食品の分析事業を行う(株)メディカル青果物研究所、コンサルティング事業を行うデザイナーフーズ(株)、デリカフーズ北海道(株)、ミールキット・調味液等の製造販売を行うデリカフーズ長崎(株)に加えて、2021年8月に設立したミールキット等の販売を担う楽彩(株)の7社をグループとする持株会社となる。デリカフーズは2021年11月時点で北海道から長崎まで11事業所、17拠点で事業を展開しており、エリア協力企業も含めて全国の約3万店舗に日々、新鮮な野菜を安全・安心に供給している。事業セグメントは、主力事業となる青果物事業(デリカフーズ及びデリカフーズ北海道、デリカフーズ長崎)のほか、物流事業(エフエスロジスティックス)、研究開発・分析事業(デザイナーフーズ、メディカル青果物研究所)の3つの事業セグメントで開示している(持株会社分除く)。2022年3月期第2四半期累計の売上構成比で見ると、青果物事業で89.9%、物流事業で8.2%、研究開発・分析事業で0.3%の構成だが、物流事業の大半はグループ内売上であり、外部顧客向け売上ベースで見れば青果物事業で98.8%、物流事業で0.9%、研究開発・分析事業で0.2%の構成となる。商品別の売上構成比では、仕入れた野菜をそのまま配送するホール野菜が42.3%、顧客の要望に応じて形状を加工して販売するカット野菜が49.6%、前下期から開始したミールキットが4.1%、日配品・他が3.1%、加熱野菜※が0.9%となっている。カット野菜の売上構成比が年々上昇しているのが特徴で、これは人材不足に悩む外食・中食業界において、調理が簡便で時間も短縮できるカット野菜の需要が増加していることが背景にある。なお、その他には日配品(卵、豆腐等)の売上のほか、物流、分析・コンサルティングサービスの売上が含まれている。※野菜のおいしさと鮮度を重視した加熱調理済みの野菜で、「焼く」「蒸す」「煮る」に次ぐ第4の調理方法として注目されている。食材と調味液をフィルム袋に入れて真空密封しており、湯煎や電子レンジなどで再加熱するだけで提供できるため、調理時間を短縮することができる。カット野菜よりもさらに付加価値を高めた製品となる。業態別売上構成比については、コロナ禍を機に大きく変化している。コロナ禍前の2020年3月期の外食業界向け売上構成比は78.4%を占めていたが、2021年3月期はそれが64.7%となり、2022年3月期第2四半期累計は45.6%まで低下した。外食業界向けの落ち込みをカバーすべく、コロナ禍に強い外食(テイクアウト、宅配・デリバリー、ドライブスルー業態等)や中食、量販・小売、給食などの業界で顧客開拓を進めてきたことが要因だ。この間で最も伸びたのはコロナ禍に強い外食で2020年3月期の4.9%から2022年3月期第2四半期累計は16.6%に上昇した。また、量販・小売業界向けも同様に8.1%から18.1%に上昇している。また、新たに開始したミールキット事業は4.1%、BtoC事業は2.0%となっている。同社が外食以外の業界で顧客開拓をスムーズに進めることができたのは、今まで業務用青果物卸しとして培ってきた安心・安全な物流サービスと、品質の高いカット野菜等が評価されたものと考えられる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<EY>
2022/01/05 16:12
注目トピックス 日本株
デリカフHD Research Memo(1):事業ポートフォリオ変革により、足元はコロナ禍前を上回る水準まで売上が回復
■要約デリカフーズホールディングス<3392>は外食・中食・コンビニエンス業界向けにカット野菜や、ホール野菜を卸す、いわゆる「業務用の八百屋」の国内最大手で、農産物の流通を通じて農業の発展と人々の健康な生活づくりに貢献する創造型企業である。2020年以降は新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)で外食市場が大打撃を受けるなか、量販・小売業界向けの顧客開拓、並びにBtoC事業、ミールキット※事業を相次いで立ち上げ、事業ポートフォリオの変革を推進している。※ミールキットとは、あらかじめ決まった料理メニューを簡便に作れるように、肉や魚、野菜などの食材と調味液などをパックにして提供する商品で、肉や魚などは半分調理した状態、野菜はカットした状態で提供される。1. 2022年3月期第2四半期累計業績の概要2022年3月期第2四半期累計(2021年4月~9月)の連結業績は、売上高で前年同期比29.0%増の18,117百万円、経常損失で611百万円(前年同期は1,015百万円の損失)となった。コロナ禍により断続的に発出した緊急事態宣言やまん延防止等重点措置に伴う飲食店への営業時間短縮要請等の影響により、黒字回復には至らなかったものの損失額は縮小した。収益回復施策として取り組んできた事業ポートフォリオ変革の効果が出ている。具体的には、コロナ禍に強い外食業態(テイクアウト、宅配・デリバリー業態等)や中食、給食、量販・小売業界等で新規顧客開拓を進めてきた。これら新規顧客並びに既存顧客の取引深耕による増収効果は1,815百万円と前年同期比で1.5倍に拡大した。また、BtoC事業や新規事業となるミールキット事業も売上増に貢献した。2. 2022年3月期の業績見通し2022年3月期の業績見通しについては、売上高で35,000~37,000百万円(前期比10.3~16.6%増)、経常利益で100~500百万円(前期は1,031百万円の損失)と期初計画を据え置いている。同社は緊急事態宣言の解除時期によってレンジでの開示を行っており、予想の下限値の前提(2021年9月まで半年間緊急事態宣言が続き、その後は再発出されない)が実態にもっとも近い前提となっている。売上面では外食業界以外の開拓が順調に進んでいることから計画を上回る可能性が高いが、経常利益に関しては下期だけで7億円以上の水準が必要となり、ややハードルは高い。ただ、2021年10月の月別経常利益は83百万円と、緊急事態宣言発出により一時的に落ち込んだ前月9月からV字回復を見せていることから、同社では通期での黒字化は現時点では十分可能と見ている。また、下期はミールキット事業拡大のため長崎工場の生産能力増強を計画しているほか、同社として初となる冷凍野菜の製造ラインを愛知事業所に整備する予定で、合わせて6億円程度の投資を計画している。3. 第四次中期経営計画2022年3月期からスタートしている第四次中期経営計画では、事業ポートフォリオの変革、青果物流通インフラの構築、サスティナビリティ経営の推進の3つを基本戦略として掲げている。事業ポートフォリオの変革については順調に進んでおり、商品ラインナップも、ミールキットに加えて2022年4月から冷凍野菜の製造販売も開始する予定で、さらなる顧客開拓や既存顧客との取引深耕が進むものと期待される。またBtoC事業では、「野菜BOX」の通販サービスに加えて異業種連携によるビジネス拡大に取り組み、ミールキット事業では自社ブランドでの展開も進めていく予定だ。インフラ面では新工場または物流センターを新たに3拠点開設する計画となっている。フードロスの削減にも取り組みつつ、これら戦略を推進することで2024年3月期に売上高450億円、経常利益10億円と過去最高業績の更新を目指す。コロナ禍の影響により業績は一時的に悪化したものの、事業ポートフォリオの変革によって顧客層を拡大することに成功しており、今後ミールキット事業やBtoC事業が順調に育ってくれば収益の成長ポテンシャルも一段と高まることになるだけに、今後の動向が注目される。■Key Points・2022年3月期第2四半期累計業績はコロナ禍で損失が続いたものの、事業ポートフォリオの変革で売上高は急回復・直近の月別業績ではコロナ禍前(2019年10月)を上回る水準まで売上が回復。2022年3月期業績は2期ぶりの黒字化を目指す・事業ポートフォリオの変革、青果物流通インフラの構築等により、2024年3月期に売上高450億円、経常利益10億円を目指す(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2022/01/05 16:11
注目トピックス 日本株
日本プロセス---2Qは増収、制御システム・組込システムが好調に推移
日本プロセス<9651>は28日、2022年5月期第2四半期(21年6月-11月)連結決算を発表した。売上高が前年同期比9.5%増の36.75億円、営業利益が同8.9%増の3.44億円、経常利益が同5.6%増の3.73億円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同4.4%減の2.25億円となった。制御システムの売上高は前年同期比47.5%増の6.23億円、セグメント利益は同27.7%増の1.38億円となった。火力発電所向け監視・制御システムは作業量が減少したものの、再生可能エネルギーシステムで新規案件を受注し好調に推移した。在来線の運行管理システムは、前期より継続している大規模請負案件が順調に推移した。また、海外高速鉄道の運行管理システムは堅調に推移した。自動車システムの売上高は前年同期比3.3%増の9.06億円、セグメント利益は同3.1%減の2.30億円となった。自動運転/先進運転支援関連は新型コロナウイルス感染症の影響に加え、開発案件の端境期となったため一部体制を縮小した。また、電動化案件は、開発規模の拡大に伴い受注量が増加した。特定情報システムの売上高は前年同期比2.6%減の3.12億円、セグメント利益は同13.3%減の0.73億円となった。衛星画像関連と自動運転/先進運転支援関連の画像認識/識別案件は堅調に推移した。また、危機管理関連は大規模請負案件の一部がスタートしたものの、本格的な開発作業は第3四半期以降となるため売上、利益とも減少した。組込システムの売上高は前年同期比16.7%増の5.99億円、セグメント利益は同21.9%増の1.40億円となった。ストレージデバイス開発と新ストレージ開発は、担当範囲の拡大に伴い体制を拡大し好調に推移した。IoT建設機械関連と自動運転/先進運転支援関連は、横ばいで推移した。産業・ICTソリューションの売上高は前年同期比0.9%増の12.34億円、セグメント利益は同7.5%減の2.18億円となった。航空宇宙関連は大型リプレース案件に参画するなど好調に推移した。システム構築関連は戦略的な取組みを進め好調に推移した。イメージングソリューション関連と鉄道関連は、一部プロジェクトが終了したため減少した。2022年5月期通期の連結業績予想については、売上高が78.70億円、営業利益が7.05億円、経常利益が7.45億円、親会社株主に帰属する当期純利益が5.00億円とする期初計画を据え置いている。なお、2022年5月期の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)等を適用しているため、対前期増減率は記載していない。
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2022/01/05 16:08
注目トピックス 日本株
藤商事---新製品パチンコ遊技機『Pとある科学の超電磁砲(レールガン)』発売
藤商事<6257>は12月20日、パチンコ遊技機「Pとある科学の超電磁砲(レールガン)」の発売を発表。同機は、SS級コンテンツである「とある科学の超電磁砲」をモチーフにしたパチンコ遊技機である。演出面では、原作ファンから寄せられた要望に応えて、「打つたびに発見がある」という要素を数多く盛り込んでいるとしている。全国のパチンコホールには、2022年1月下旬から導入予定。
<ST>
2022/01/05 16:06
注目トピックス 日本株
nms Research Memo(6):2022年3月期は増配を見込む
■株主還元策株主還元について、nmsホールディングス<2162>は配当と自社株買いを合わせた総還元性向を株主還元の指標としており、配当性向20%を中期目標に還元を行っている。2021年3月期の配当実績は1株当たり4.0円であった。2022年3月期は、今後の業績回復などを見据えて前期比1.0円増の1株当たり5.0円を見込んでいる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 石津大希)
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2022/01/05 15:46
注目トピックス 日本株
nms Research Memo(5):製造業でのデジタル化普及遅延解決へ。独自ビジネスモデル構築でDX需要を取り込む
■中長期の成長戦略nmsホールディングス<2162>は「生産現場におけるデジタルテクノロジーの導入、運用の後れ」「正規社員削減による生産性の低下、品質問題、安定した生産現場の確立」を日本の製造業の大きな課題と捉え、これに対して同社独自のビジネスモデルを構築する計画である。まずは、必要技術・ツールをワンストップで提供し、製造業のDX推進のサポートをしていく。様々な特性を持つAI企業・パートナー企業、海外の政府・大学とのネットワークを活用し、人材・生産管理・自動化・部材調達・物流といった顧客ニーズに合ったDXを実現していく考えである。日本企業の製造現場におけるデジタル化の遅延は国の課題として認知されており、政府主導で解決を図っている。「デジタル化による効果を事前にイメージしづらい」「ITが分かる人材がいない」など様々なボトルネックはあるものの、デジタル化は国の生産性向上に向けた喫緊の課題であり、今後あらゆる方面でデジタル化普及に向けた潮流が強まると予想する。そうしたなか、DXの推進サービスを手掛ける同社にとっては、中長期的に大きなビジネスチャンスが訪れると弊社は考える。さらに、同社は国内外の製造業ファブレス化に貢献できる高度人材の育成・提供も進める。グループ内EMS・PS事業とのシナジーに加え、ジョブグレードアップ制度の展開や技術・技能教育の拡充により、様々なニーズに貢献する即戦力人材を育成していく。同社のビジネスモデルでは人材こそが競争力・成長力の源泉であり、こうした積極的な取り組みが、中長期的に同社の業績を押し上げていくと弊社は期待する。(執筆:フィスコ客員アナリスト 石津大希)
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2022/01/05 15:45
注目トピックス 日本株
nms Research Memo(4):事業環境の不透明感くすぶるも、需要旺盛で受注積み上げ
■今後の見通し1. 2022年3月期の業績予想nmsホールディングス<2162>の2022年3月期の業績予想は、売上高が69,000百万円(前期比25.8%増)、営業利益が1,200百万円(同74.1%増)、経常利益が1,200百万円(同655.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が600百万円(前期は735百万円の損失)となっている。先行き不透明な事業環境は続いているものの、各事業とも需要は旺盛な状況が続いている。部材不足による顧客企業の一時的な生産減や計画の後ろ倒しなどがあるものの、受注の勢いは衰えておらず受注残が積み上がっており、各事業とも部材不足解消後の時期や2023年3月期につながる取り組みを進めている。前述のとおり、受注残が伸びていることから、今後の業績成長のポテンシャルは大きい。ただ、目先は新型コロナウイルスの新種が蔓延する可能性があるなど、事業環境の不透明感は残る。2022年3月期下期にどれだけコロナ禍による影響が緩和されるかは見通しづらいものの、旺盛な需要が確認できている分、成長期待は株式市場でも高いと弊社は考える。なお、同社は2021年12月6日に兼松<8020>との資本提携を解消すると発表した。両社は2015年に資本・業務提携契約を締結し、EMS事業の拡大や海外事業展開における協業など、様々な取り組みを進めてきた。今回、経営環境の変化に対応した機動的な資本政策の遂行を可能とする体制の確保が必要との判断に至り、資本提携を解消する。なお、業務提携は継続するとしている。2. セグメント別業績概要(1) HS事業需要は引き続き高水準を維持しており、製造業の人手不足も継続するなど、HS事業の市場状況は良好である。こうしたなか、同事業ではグループ内製造受託インフラ・ノウハウを顧客ニーズに合わせて提案・提供するほか、製造業のファブレス化への即応、「人材+ものづくり」ビジネスモデルを横展開するなど、請負・受託の事業規模拡大を図るとしている。また、製造業の海外進出・製造支援サービス事業については、住友商事<8053>との業務提携をきっかけに、ベトナム・タンロン工業団地でワンストップサービスを提供するほか、「人材ソリューション+製造支援」に則り顧客の安定した生産をサポートするなど、事業の拡大を図っていく。さらに、エンジニア採用・育成プログラムの強化、ジョブグレードアップ制度の高度化、タイ・レムチャバン工科大学と「職業教育訓練制度」協力に合意したことなどを通じて、人材育成も推進する計画だ。目先は部材価格の高騰などネガティブな要素もあるものの、こうした積極的な取り組みを通じ、同社はアフターコロナを見据えた訴求力の高いデジタルプラットフォームを構築する。具体的には、人材ビジネスノウハウをベースとした製造業のファブレス化、ものづくり高度化に貢献する独自のデジタルプラットフォーム「製造DX」を構築していく考えである。(2) EMS事業EMS事業では、2022年3月期は部材不足やコロナ禍による影響を受けているものの、2023年3月期から新規受注・生産拡大が活発化する見通しである。こうしたなか、同社はベトナム拠点とメキシコ拠点において各種活動に注力していく。2021年6月に新規品生産立ち上げを開始したベトナム拠点では、車載用ワイヤレス充電器関連やAV・音響機器関連など、プレス技術を核に完成品まで生産できる特長を生かし、ベトナムへの生産移管を進める日系企業のニーズに合わせた対応を進めていく。メキシコ拠点では生産計画が後ろ倒しになっていた顧客からの受注が再開され、2023年3月期からの生産立ち上げに向け準備を開始している。主軸の車載関連部品に加え、家電や工具、産業機器など、幅広い分野における基板実装ビジネスを北中米で展開していく計画である。市場規模の大きい車載関連市場を中心に、足元では海外事業での事業体制が整いつつあり着実に成長基盤は強まっている。加えて日本基準の高品質な商材・サービスを提供できることも強みであり、価格高騰の安定化が進むにつれて、収益は長期安定的に伸びると弊社は見ている。(3) PS事業PS事業では、高圧電源、マグネットロールを中心に安定した収益体質への足掛かりを構築するほか、マグネットロールではASEANにおける販売に着手するなど、主軸製品の収益基盤を強化していく。また、産業機器市場への製品展開、新規顧客の獲得・拡販も進めていく。さらに、部材調達難・部材価格高騰といった厳しい事業環境ではあるものの、省人化・自動化ニーズのよるロボティクス市場の拡大や、コロナ禍を背景とした殺菌・滅菌機器市場への製品展開を実行するなど、新たな市場を開拓していく考えだ。加えて、電池パック技術を横展開し、新分野需要に対応していく。具体的には、安心安全の電源設計技術と蓄電・充電技術・ノウハウを生かしてターゲット分野を拡大するほか、建機・農機の電動化ニーズによる販売拡大を推進していく。(執筆:フィスコ客員アナリスト 石津大希)
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2022/01/05 15:44
注目トピックス 日本株
nms Research Memo(3):2022年3月期第2四半期は営業減益も、旺盛な需要により今後の見通しは明るい
■業績動向1. 2022年3月期第2四半期累計の業績概要nmsホールディングス<2162>の2022年3月期第2四半期累計の業績は、売上高が30,430百万円(前年同期比16.8%増)、営業損益が237百万円の損失(前年同期は139百万円の利益)、経常利益は51百万円(同68百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損益が282百万円の損失(前年同期は499百万円の損失)となった。売上高は伸びたものの、コロナ禍や部材不足による影響が大きく、営業損益では損失を計上した。経常利益は、主に海外子会社へのグループ内貸付金に対する為替差益363百万円の発生を背景に利益を計上した。親会社株主に帰属する四半期純損益については、EMS事業における米国・メキシコ拠点で実行した事業構造改革費用による特別損失161百万円を計上したため、損失となった。事業全体としては、部材不足や先行投資などを要因に依然として厳しい事業環境ではあるものの、部材不足の背景には製造業における生産活動活発化を通じた需要のひっ迫であること、同社自体も売上は増加していることから、事業環境は徐々に快方に向かっていると弊社は考える。2. セグメント別業績概要(1) HS事業HS事業の売上高は10,827百万円(前年同期比17.5%増)、セグメント利益は313百万円(同18.5%減)となった。国内事業についてはコロナ禍や半導体関連などの部材不足による影響があったものの、事業規模拡大に向けた施策が奏功したこと、コロナ禍に伴う顧客企業の稼働調整の影響が前年同期に比べて軽微となったことから、事業全体で増収となった。利益については、人材の募集関連費用といった事業規模拡大のための先行投資の影響があり、減益となった。海外事業については、ASEANにおける新型コロナウイルス感染症の再拡大により顧客企業の稼働調整などの影響はあったものの、前年同期に比べるとその影響は軽微であった。特に中国、タイの業績は改善傾向となった。(2) EMS事業EMS事業の売上高は13,682百万円(前年同期比20.0%増)、セグメント損失は301百万円(前年同期は33百万円の損失)となった。同事業は中国・ASEAN・北中米において生産活動を展開しており、戦略投資の実行期にある。新型コロナウイルス感染症の再拡大に伴う影響として、マレーシア、メキシコの両政府方針によるロックダウンや部材不足などの影響が残ったものの、ベトナム拠点での新規品生産立ち上げの開始のほか、中国・ASEAN地域においてコロナ禍による影響が前年同期に比べて軽減されたこともあり、増収となった。利益面では、重点施策として生産立ち上げを進めているメキシコ拠点の先行投資コストに加え、事業全体において部材不足に起因した顧客企業の減産や生産計画の後ろ倒し、部材価格高騰などによる影響が大きく、利益圧迫要因となった。足元では、ベトナム拠点に続いて生産計画が後ろ倒しになっていたメキシコ拠点において、顧客企業からの受注が再開され、2023年3月期からの生産立ち上げに向けた準備を開始するなどの取り組みを進めている。(3) PS事業PS事業の売上高は5,920百万円(前年同期比9.1%増)、セグメント損失は16百万円(前年同期は37百万円の利益)となった。抜本的コスト構造改革による体質強化の効果もあり、第1四半期は想定を上回る状況で推移したものの、第2四半期に入って部品調達難や副資材も含む価格高騰の影響が顕著となった。また、顧客企業やサプライヤーの生産拠点が集中するベトナムやマレーシアにおけるコロナ禍によるロックダウンの影響で大幅な生産減となった。第2四半期累計期間においては増収となったものの、部材調達難などの影響により、前年同期に対して減益となった。ただ需要は高い水準を維持していることから、部材不足解消後の時期や2023年3月期以降を見据えた取り組みを進めている。3. 財務状況2022年3月期第2四半期末における資産合計は前期末比1,885百万円増の33,392百万円となった。流動資産は23,468百万円となり、1,810百万円増加した。これは主に受取手形、売掛金及び契約資産が466百万円、原材料及び貯蔵品が1,034百万円、その他流動資産が252百万円増加したことによる。固定資産は9,878百万円となり、82百万円増加した。無形固定資産が104百万円、投資その他の資産が68百万円増加したことなどが寄与した。負債合計は前期末比1,958百万円増の28,763百万円となった。流動負債は19,872百万円となり、2,411百万円増加した。これは主に短期借入金が1,426百万円、支払手形及び買掛金が833百万円増加したことによる。固定負債は8,891百万円となり、452百万円減少した。これは主に長期借入金が175百万円、その他固定負債が291百万円減少したことによる。純資産合計は前期末比73百万円減の4,629百万円となった。利益剰余金が348百万円減少したことが大きく影響した。(執筆:フィスコ客員アナリスト 石津大希)
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2022/01/05 15:43
注目トピックス 日本株
nms Research Memo(2):日本のモノづくり品質で世界展開
■会社概要nmsホールディングス<2162>は1985年に製造派遣・製造請負を柱とする人材サービス(ヒューマンソリューション=HS)事業を基盤に創業し、2007年にJASDAQに上場した。その後、2010年7月に(株)志摩電子工業、2011年7月に(株)テーケィアール(現 TKR)を買収して電子・電気機器の製造受託(エレクトロニクスマニュファクチャリングサービス=EMS)事業を発足した。さらに2013年10月に(株)日立メディアエレクトロニクスの一部事業を、2014年10月にパナソニック<6752>から一般電源事業をそれぞれ譲受して、電源関連製品の開発から設計・製造・販売まで行うメーカー(パワーサプライ=PS)事業を発足した。2019年には、ソニーグループ<6758>の米国法人からメキシコ工場を含む米国の事業部門を譲受した。同社は、「ニッポンのものづくり品質を世界へ」を標榜し、3つの事業を組み合わせて「人材ビジネス」×「ものづくり」の強みを最大化することを経営の主眼としている。なお、同社は2017年4月より持株会社制へ移行した。(1) HS事業HS事業では、国内・海外におけるマニュファクチャリングサービス全般を日本・中国・ASEAN諸国で提供している。具体的には、製造事業、生産系エンジニアリング事業、IT・設計開発エンジニアリング事業、テクニカルサービス事業、ロジスティクスサービス事業、省力化装置事業などである。また、研修施設や日本語教育システムなどを活用し、外国人材定着支援サービスも展開している。(2) EMS事業EMS事業では、実装・プレス・成形・完成品組み立てのほか、試作、部品調達、検査など広範囲にわたるノウハウを有し、高い実装品質と低コストの生産ライン構築により一貫生産・量産のほか、プロセス単体・少量多品種での生産対応を手掛けている。具体的な事業内容は、電子機器製造受託サービス、電子機器修理サービス、車載関連機器・部品の設計・開発・製造、スタートアップソリューション等を行うシェアビジネス、3Dプリンター事業などである。(3) PS事業PS事業では、電源専業メーカーとして電源及び関連部品を提供しているほか、新事業の柱として自動車や産業機器類の電動化に対応するEV関連製品を開発し、新規分野への参入を図っている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 石津大希)
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2022/01/05 15:42
注目トピックス 日本株
nms Research Memo(1):2022年3月期第2四半期は価格高騰が損益圧迫も、需要旺盛で受注積み上がる
■要約1. 2022年3月期第2四半期累計の業績概要nmsホールディングス<2162>の2022年3月期第2四半期累計の業績は、売上高が30,430百万円(前年同期比16.8%増)、営業損益が237百万円の損失(前年同期は139百万円の利益)、経常損益が51百万円(同68百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損益が282百万円の損失(前年同期は499百万円の損失)となった。売上高は伸びたものの、新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)や部材不足による影響が大きく、営業損益では損失を計上した。経常損益は、主に海外子会社へのグループ内貸付金に対する為替差益363百万円の発生を背景に利益を計上した。親会社株主に帰属する四半期純利益については、EMS事業における米国・メキシコ拠点で実行した事業構造改革費用による特別損失161百万円を計上したため、損失となった。事業全体としては、部材不足や先行投資などを要因に依然として厳しい事業環境ではあるものの、部材不足の背景には製造業における生産活動活発化を通じた需要のひっ迫であること、同社自体も売上は増加していることから、事業環境は徐々に快方に向かっていると弊社は考える。2. 2022年3月期の業績予想2022年3月期の業績予想は、売上高が69,000百万円(前期比25.8%増)、営業利益が1,200百万円(同74.1%増)、経常利益が1,200百万円(同655.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が600百万円(前期は735百万円の損失)となっている。旺盛な需要を背景に受注残は伸びており、今後の業績成長のポテンシャルは大きい。部材不足による顧客企業の一時的な生産減や計画の後ろ倒しなどがあるものの、受注の勢いは衰えておらず受注残は積み上がっており、各事業とも部材不足解消後の時期や2023年3月期以降を見据えた取り組みを進めている。2022年3月期下期にコロナ禍の影響がどれだけ緩和されるかは見通しづらいものの、旺盛な需要が確認できている分、影響緩和後に向けた成長期待は株式市場でも高いと弊社は考える。3. 中長期の成長戦略同社は「生産現場におけるデジタルテクノロジーの導入、運用の後れ」「正規社員削減による生産性の低下、品質問題、安定した生産現場の確立」を日本の製造業の大きな課題と捉え、同社独自のビジネスモデルを構築する計画である。まずは、必要技術・ツールをワンストップで提供し、製造業のDX推進のサポートをしていく。様々な特性を持つAI企業・パートナー企業、海外の政府・大学とのネットワークを活用し、人材・生産管理・自動化・部材調達・物流といった顧客ニーズに合ったDXを実現していく考えである。さらに、国内外の製造業ファブレス化に貢献できる高度人材の育成・提供も進めていく。グループ内EMS・PS事業とのシナジーに加え、ジョブグレードアップ制度の展開や技術・技能教育の拡充により、様々なニーズに貢献する即戦力人材を育成していく。■Key Points・2022年3月期第2四半期は、部材価格高騰や先行投資が損益圧迫・2022年3月期通期は、依然として事業環境不透明も、受注積み上がり継続か・膨らむデジタル化需要取り込みに向け、独自性高いビジネスモデル構築へ(執筆:フィスコ客員アナリスト 石津大希)
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2022/01/05 15:41
注目トピックス 日本株
JBR Research Memo(10):連結配当性向30%以上を目安に配当を実施
■株主還元策とSDGsの取り組みについて1. 株主還元策ジャパンベストレスキューシステム<2453>の株主還元方針としては、安定的配当を継続することを基本に連結配当性向で30%以上を目安としている。2021年9月期の1株当たり配当金は前期比1.0円増の17.0円だった。2022年9月期では1株当たり配当金は前期比横ばいの17.0円(配当性向48.1%)を予定している。また、株主優待制度も導入しており、毎年3月末の株主を対象にキッザニア(子供向けの職業体験型テーマパーク)の優待券を1枚(最大19名まで利用可)を贈呈している。2. SDGsの取り組みについて同社はSDGsの取り組みとして、顧客とともに提携先も巻き込み、誰一人取り残さない社会の実現を目指していくことを方針に掲げている。「困っている人を助ける!」を経営理念としている同社にとっては、事業成長そのものが持続可能な社会の構築に貢献しているとも言える。SDGsで掲げられている17の目標のなかでも特に、17番目に掲げられている「パートナーシップで目標を達成しよう」を上位概念として捉え、提携拡大を通じて地方創生の推進や、新たな産業基盤の構築に取り組んでいく考えだ。またESGの視点での取り組みとして、環境面では紙使用量の削減や駆けつけサービスにおける出動の効率化による省エネ化とサービス品質の両立を図っているほか、環境保全団体への支援として、社内に寄付型自動販売機を設置している。社会面では、少子高齢化社会への対応に関連して高齢者見守りサービスの提供を開始したほか、高齢化で縮小リスクのある施工パートナーの維持・拡大に取り組んでいる。また、ワークライフバランスの推進により働き甲斐のある職場づくりを進めている。ガバナンス面では、プライム市場における上場企業に求められる高いガバナンス基準への対応に取り組んでいるほか、BCP対策の強化、ステークホルダーとの積極的対話などに取り組んでいる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2022/01/05 15:20
注目トピックス 日本株
JBR Research Memo(9):2022年9月期業績は新規提携案件の効果を殆ど見込まない保守的な前提で計画
■今後の見通し2. 2022年9月期の業績見通しジャパンベストレスキューシステム<2453>の2022年9月期の連結業績は、売上高で前期比33.7%増の18,000百万円、営業利益で同22.8%増の1,730百万円、経常利益で同9.2%増の1,900百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で1,200百万円(前期は56百万円の利益)となり、売上高と営業利益は過去最高を更新する見通しだ。アクトコール他1社の子会社化によって、売上高で3,600百万円、営業利益で70百万円(のれん償却額180百万円控除後)の増収増益要因を見込んでいる。アクトコール他1社の2021年9月期実績が売上高で3,537百万円、営業利益で115百万円だったため、売上高は微増にとどめ収益性の改善を優先的に取り組む計画となっている。営業利益率は6.9%としているが、前述した改善施策の効果が早期に顕在化すれば利益面でさらに上積みできる可能性もある。なお、販路開拓に関しては、同社と重ならないように毎週ミーティングで確認しあっている。また、アクトコールの販売パートナーに対して、同社の家財保険の導入提案を進めており、保険事業の契約件数増加に寄与するものと期待される。販売パートナー数は同社の半分程度の規模となっていることから、従来よりも販路が3倍に広がったことになり、その効果は大きいと弊社では見ている。売上高の増収4,539百万円の内訳は、M&A効果で3,600百万円となり、残り900百万円は既存の会員事業・保険事業の増収1,200百万円と電力販売事業の撤退等による減収300百万円による。また、営業利益の増益321百万円の内訳は、既存事業で227百万円の増益、赤字事業からの撤退で145百万円の増益、M&A効果で70百万円の増益となり、新ERPシステムの稼働開始に伴う減価償却費等の費用増で120百万円を見込んでいる。営業外収支がやや悪化する計画となっているが、これは有価証券売却損益について市況が流動的なことから例年実績の50%程度の水準で計画に織り込んでいることが要因だ(21/9期+265百万円→22/9期+130百万円)。なお、同社は自社株価予約取引を行っており、会計上の取り扱いとして四半期ごとに時価評価を行い直前四半期よりも株価が上昇すれば営業外にデリバティブ評価益を、下落していればデリバティブ評価損を計上することにしている。現在、同取引の対象株数は474千株となっている。2021年9月末の株価が1,262円、12月10日時点の株価が1,009円となっており、12月末まで同水準が続いた場合には、2022年9月期第1四半期決算において約1.2億円のデリバティブ評価損の計上が見込まれる。なお、対象株式の満期決済日は2022年6月(300千株)及び9月(174千株)となっており、その後は株価水準にもよるが業務提携先または機関投資家へ売却するか、自己株として保有していく方針だ。事業セグメント別の見通しは以下のとおり。(1) 会員事業会員事業の売上高は前期比44億円増加の114億円、営業利益は2.2億円増加の18.7億円を見込む。このうち、アクトコールの影響を除いた既存事業だけで見ると8億円の増収、1.6億円の増益となる。サービス契約件数は前期末比378千件増の3,725千件を計画しており、内訳は「安心入居サポート」で同80千件増の1,100千件、「あんしん修理サポート」で同218千件増の1,350千件、「学生生活110番」で同12千件増の300千件、アクトコールで同50千件増の680千件、その他で同20千件増の295千件と見込んでいる。「安心入居サポート」については前期に107千件増加していることや、2022年以降の提携先の広がりを考えれば達成可能な水準と見られる。また、「あんしん修理サポート」についても前期に198千件増加しており、四半期ごとに50千件のペースで拡大を続けていることから達成可能な水準と言える。「学生生活110番」については、入会のタイミングが2022年春の入学シーズンに集中するため、そこに向けて既存販売先である大学生協での入会率アップに向けたフォローアップを強化していくほか、新規販売先の開拓に取り組んでおり、2期ぶりの増加を目指している。その他のサービスとしては、2021年6月より提供を開始した「安心確認コール」が注目される。賃貸物件に入居する60歳以上の高齢者を対象とした原状回復費用等の補償付き見守りサービスとなる。利用者に対して定期的に電話で安否確認を行い、応答が無かった場合に家族や管理会社へメールで報告し、事故が発生した場合に生じる原状回復費用や空室期間中の逸失利益までを補償範囲内としている。「安心入居サポート」を同じ販売チャネルを生かせるため、高齢者のみの世帯数が増加傾向にあるなかで成長ポテンシャルは高い。(2) 保険事業保険事業の売上高は前期比3.2億円増加の50億円、営業利益は横ばい水準を見込む。保険契約件数は前期末比88千件増の681千件を計画しており、内訳は新すまいRoom保険で同42千件増の290千件、スマホ保険で同35千件増の90千件、スポーツクラブ傷害保険で同横ばいの240千件、その他で同12千件増の61千件と見込んでいる。主力の新すまいRoom保険については前期の22千件増から増加数が2倍に増えることになるが、大半は前期に予定していた大手不動産会社向けの販売開始に伴う増加となっており、アクトコール経由での販売増が見込めることも考えれば達成可能な水準と言える。また、その他保険商品については弁護士保険等の既存商品の着実な増加に加えて、2021年12月より販売開始した「セクハラパワハラ保険」等の新商品の寄与を見込んでいる。利益面では責任準備金の積立増加を見込み、横ばい水準で計画している。(3) 駆けつけ事業・リペア事業駆けつけ事業並びにリペア事業に関しては収益性の改善を最優先に取り組む方針で、売上高については前期並みの水準を見込んでおり、利益面では収支均衡ラインまでの回復を目指している。駆けつけ事業については、現在取り組んでいる地域金融機関との提携拡大による集客力のアップを見込んでいる。2021年5月に発表した(株)福邦銀行(福井県)との業務提携では、銀行の店頭でサービス内容と専用フリーダイヤルを告知するチラシを配布するなどのプロモーション活動を実施し、専用フリーダイヤルからの入電でサービスを提供した場合に、サービス料の一部を紹介手数料として福邦銀行に支払うスキームとなる。同社にとっては、Webプロモーションやチラシ広告などプロモーションコストをかけずに集客できることになり、福邦銀行にとってはコストを殆どかけずに紹介手数料が入る仕組みとなる。同社は今後も同様の提携先を拡大していくことで効率的に集客し、出動件数を増やしていく戦略である。一方、リペア事業においても会員事業の生活トラブル解決サービスのメニューに組み込むことで、作業件数の拡大を見込んでいる。(4) パートナーシップ戦略の進捗状況パートナーシップ戦略については着々と進んでいる。2021年8月以降では、介護総合支援事業を展開するインフィック(株)と提携し、同社の在宅確認サービスの提供を開始したほか、9月にはレスキュー損害保険と日本PCサービステム、エレコム<6750>が共同で新型iPhone向け液晶保護ガラスフィルムに保険サービスを付帯した商品の販売を開始、その後も金融機関3社と業務提携し、相手先のサービス上で同社の生活トラブル解決サービス(駆けつけサービス)やリペアサービスの集客につながる取り組みを開始している。現在も多くの企業と提携協議を進めており、2022年以降も提携案件がさらに拡大していくものと予想される。近日、発表見込みの案件としてはカラダノート<4014>との提携による女性向け保険サービスがあり、現在金融庁の認可待ちの状態となっている。また、大手不動産会社とテストを進めている案件は戸建住宅市場をターゲットとしたもので、生活トラブル解決サービスを提供していく予定だ。2022年4月に提供開始予定の大手旅客サービス会社向けも同様で、生活トラブル解決サービスの提供を予定している。業界は旅客業界となっているが、コロナ禍の影響を受けないサービスを展開しており、顧客数も数百万人規模と大きいことから収益面でのプラス効果が期待される。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2022/01/05 15:19
注目トピックス 日本株
JBR Research Memo(8):3ヶ年の中計を発表、2024年9月期に営業利益2,500百万円を目指す(2)
■今後の見通し(2) 価値創造プロセスジャパンベストレスキューシステム<2453>はアクトコールを子会社化したことにより、集合住宅向け生活トラブル解決サービス市場450万世帯のなかで、約37%のシェア(同社調べ)を握ることとなった。第2位の事業者が約7%のシェアになっていると見られ、残りの大半は不動産管理会社が内製化しているが、不動産管理会社ではコスト削減のためアウトソーシング化する傾向となっており、今後こうした需要を同社で取り込んでいくことが可能と見ている。また、集合住宅市場では残り約1,800万世帯の未開拓市場が残っているほか、今後は不動産サービス会社との提携により戸建住宅市場にも本格展開していく予定となっている。これら戦略が順調に進めば成長スピードも加速していくものと予想される。「あんしん修理サポート」についても、リフォーム市場だけでなく住宅メーカーとの提携拡大によって新築市場の取り込みを図り、契約件数をさらに拡大していく計画である。また、保険事業は主力の家財保険の拡販に加えて、開発力を生かした多様な保険商品を投入していくことで着実な成長を目指す。そのほか、少子高齢化社会の進展に対応した新たなサービスの創出にも取り組んでいく。2021年6月に提供開始した高齢者向け見守りサービス「安心確認コール」などもその1つで、今まで蓄積してきた5,500万件のデータを活用して、トラブル解決だけでなくトラブルを予防するサービスなども展開していく予定だ。こうした取り組みにより、会員事業及び保険事業の契約件数を2024年9月期までに500万件、2030年9月期までに1,000万件の突破を目指す。また、将来的には海外市場への展開も視野に入れている。海外で同様のビジネスモデルでサービス展開している企業はなく、今後調査・検討を進めていく計画である。(3) 経営数値目標中期経営計画における数値目標としては、2024年9月期に連結売上高22,000百万円、営業利益2,500百万円、経常利益2,650百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1,800百万円を掲げている。3年間の年平均成長率は売上高で17.8%、営業利益で21.1%となり、2ケタ成長を継続していくことを目標に掲げている。また、営業利益率については2022年9月期はアクトコール等の子会社化によって9.6%と一旦、低下する見込みとなっているが、2024年9月期には11.4%まで上昇する計画となっている。前提となるKPIを見ると、会員事業や保険事業のサービス契約件数は年率11.6%の成長で2024年9月期に5,471千件を目指す。この目標値は新規事業や提携先拡大による効果をほとんど見込んでおらず、上積みできる可能性は高いと弊社では見ている。一方で、連結従業員数は新ERPシステムの導入と組織体制の見直しによる業務効率の向上によって増員を抑えていく方針である。2024年9月期末は2021年9月期末比31名増の375名となり、1人当たり生産性の向上が営業利益率上昇に寄与することになる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2022/01/05 15:18
注目トピックス 日本株
JBR Research Memo(7):3ヶ年の中計を発表、2024年9月期に営業利益2,500百万円を目指す(1)
■今後の見通し1. 中期経営計画(1) 中期経営計画の概要ジャパンベストレスキューシステム<2453>は2024年9月期までの3ヶ年中期経営計画を発表した。経営理念の再定義と全社戦略を策定し、事業ポートフォリオの整理と組織体制の見直しを遂行することで年率2ケタ成長を目指していくことになる。a) 経営理念の再定義同社は創業以来、「困っている人を助ける!」をミッションに掲げ、事業を進めてきた。今回もミッションは変わらないが、ビジョンについては若干変えて「We create the “Best Rescue System”(いつも暮らしに寄り添い、安心できるベストな仕組みやサービスを創る)」とした。b) 全社戦略の設定経営戦略として、営業・業務の両面で「パートナーシップ戦略」を推進し、最小の組織・資源で最大価値を発揮することをテーマとして掲げた。営業戦略については、既存事業の成長と新規事業を推進していく。既存事業については市場環境の変化に機微に対応しながら、提携先の拡大やM&A等も活用することで収益基盤をさらに強固なものとし、安定成長を目指していく。また、新規事業についてはM&Aやスタートアップ企業との連携、共同開発等により、積極的な創出を推進していく方針だ。業務戦略については、コールセンター業務や各カンパニーで行っていた業務を、新たに組織化する業務本部に一元化することで、業務品質の向上とコスト効率化を図っていく。また、新ERPシステムの導入による業務の標準化や効率化を推進していくほか、人材育成の強化や施工パートナー等のサービスインフラの拡充も進めていく計画である。新ERPシステムでは、受注から販売、決済、顧客管理までグループのすべてのシステムが統一されるため、事業部間連携による重層営業の効果も一段と上がると期待される。管理・財務戦略については、2022年4月の東京証券取引所市場再編に伴うプライム市場への移行に向けて、ガバナンス体制の強化や各種委員会の設置等の検討を進めていく。また、SDGs等の取り組みについても今後積極的に開示していく予定である。c) 事業ポートフォリオ整理同社では現在の各事業を、収益性の高い成長・成熟事業、育成事業、課題事業の3つに整理し、それぞれの戦略を推進していく。収益性の高い成長・成熟事業は主に、会員事業、保険事業となるが、これらは契約件数を積み上げていくことで持続的な成長を図っていく。新たに子会社化したアクトコールに関しては、2021年9月期の営業利益率が3%台と同社の会員事業の利益率23.6%と比較して乖離が大きいが、同社では収益性が低い原因をある程度把握しており、ここを改善することで利益率を引き上げていくことは可能と考えている。具体的には、アクトコールではコールセンターへの入電件数が多く、これがコールセンターの外注費増加につながり、収益性の低い原因の1つとなっていた。入電内容が駆けつけサービスの対象外であるケースが多く、これらの入電件数を減らすことで外注費の削減が可能となる。そのためには販売パートナーである不動産会社に対して商品内容を周知徹底していくことが重要となる。同社でも過去に同じ課題に直面し、改善してきたノウハウを持っており、そのノウハウをアクトコールに注入することで、早期改善が可能になると見ている。同社ではアクトコールの営業利益率について2022年9月期は6.9%を計画しているが、外注費の削減に取り組むだけでも10%まで引き上げることは可能と見ている。一方、保険事業は事業の性質上、極端に収益性を高めることは困難なため、収益性については若干の向上を図り、保険商品の拡充により売上規模を拡大していく戦略となる。新規事業に関しては、新たな提携先開拓に加え、社内外のリソースを活用しながら創出・育成していくことになる。課題事業としては、リペア事業と駆けつけ事業を挙げている。このうち、リペア事業については徐々にではあるが収益力がついてきており、今後、提携先の拡大によって作業件数を増やしていくことにより収益性を向上していく戦略となっている。また、減収傾向が続いている駆けつけ事業についても、地域金融機関等との提携により集客ルートを増やすことで、作業件数の回復を目指していくことになる。ただ、両事業ともに今後3年間で期待通りに収益性が改善しなければ、事業撤退といったことも検討していくことになる。d) 組織体制の見直し同社は「最小組織でパートナーシップを活かした効率的な事業成長」の実現に向けて、2022年1月より新たな組織体制に移行する。現状はカンパニー制を敷いており、営業系カンパニーとして7つ(駆けつけ、不動産、会員、保証、リペア、ライフテック、保険)、管理系カンパニーとして4つ(コーポレート、サービスインフラ、コンタクト、IT)の合計11カンパニー体制で事業を運営してきた。ただ、縦割りの組織体制で顧客管理システムも統一されていなかったことから、事業間連携による重層営業などが進まず非効率な状態が継続されてきた。今回、新ERPシステムの導入により各カンパニーのシステムが統一されたことを機に、組織体制を機能別組織に再編成することにした。機能を集約することで全体最適な経営資源の配分と効率化を実現していくことになる。具体的には4本部(営業本部、業務本部、管理本部、経営戦略本部)とグループ会社(保険、保証、アクトコール・TSUNAGU)に再編成する。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2022/01/05 15:17
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JBR Research Memo(6):M&Aの実施により総資産が拡大し、純資産も100億円を突破する
■ジャパンベストレスキューシステム<2453>の業績動向3. 財務状況と経営指標2021年9月期末の財務状況を見ると、総資産は前期末比6,971百万円増加の28,175百万円となった。アクトコール他1社を子会社化したことが増加要因の大半を占めている。主な増減要因を見ると、流動資産では現金及び預金が2,767百万円、未収入金が923百万円、売掛金が479百万円それぞれ増加した。固定資産では投資有価証券が661百万円減少したものの、ERPシステムの導入によりソフトウェア仮勘定が520百万円増加したほか、アクトコール他1社の子会社化に伴いのれんが1,808百万円増加した。ERPシステムについては2021年10月より稼働を開始しており、2022年9月期から償却を開始する(5年償却)。負債合計は前期末比3,210百万円増加の16,507百万円となった。会員事業における前受収益及び長期前受収益が合計1,626百万円増加したほか、有利子負債が787百万円増加した。なお、前受収益の増加については、「安心入居サポート」「あんしん修理サポート」「学生生活110番」などの会員数増加に加えて、アクトコールの「アクト安心ライフ24」の前受収益が上積みされている。期末時点で9,266百万円まで積み上がっており、2022年9月期以降に売上計上されることになる。純資産合計は前期末比3,761百万円増加の11,668百万円となった。主に資本剰余金が2,445百万円増加し、自己株式が1,357百万円減少(増加要因)したことによる。同社はアクトコール他1社を株式交換で子会社化したが、そのときに用いられた自己株式300万株の簿価は450円で過去に市場から13.5億円で購入したものとなる。その後株価は上昇し、株式交換比率を決定した際の株価は931円となっていたため、本来であれば28億円が必要だった買収資金を13.5億円のコストで実施できたことになり、自己株式を効果的に活用できたと言える。経営指標を見ると、経営の安全性を示す自己資本比率は前期末の35.8%から40.2%に上昇し、逆に有利子負債比率は31.1%から27.8%に低下した。自己株式の処分に伴い自己資本が大きく増加したことが主因だ。ネットキャッシュ(現預金−有利子負債)も80億円以上と同社の事業規模からすれば潤沢にあり、また、投資有価証券も68億円強の水準となっていることも考えると、財務の健全性は高いと判断される。同社は今後の投資有価証券の運用方針に関して、事業提携関係にある上場株式に関しては基本的に保有継続方針であるものの、その他の株式や金融商品に関しては適切な時期を見計らい徐々に減らしていく意向を示している。同様に未上場企業の株式に関してはIPOしたタイミングで一部を売却することにしている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2022/01/05 15:16
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JBR Research Memo(5):会員事業、保険事業で契約件数の積み上げが順調に進む
■ジャパンベストレスキューシステム<2453>の業績動向2. 事業セグメント別動向(1) 駆けつけ事業駆けつけ事業の売上高は前期比11.0%減の1,325百万円と減収基調が続き、営業損失25百万円(前期は50百万円の利益)となった。他社サイトを中心にWeb集客が減少し、作業件数がカギの交換関連サービスで29千件(前期比3千件減)、水まわり関連サービスで22千件(同3千件減)、ガラス関連サービスで3千件(前期比1千件減)と総じて減少したほか、2020年9月期第4四半期にPC関連サービス(2020年9月期5千件)を持分法適用関連会社の日本PCサービスに業務移管したことも減収要因となった。また、コロナ禍が続くなかで感染防止対策として他者との接触を回避する意識が引き続き強かったことも、駆けつけサービスの需要減につながったと見られる。(2) 会員事業会員事業の売上高は前期比15.1%増の6,974百万円、営業利益は同6.5%増の1,644百万円と過去最高を更新した。主力の「安心入居サポート」、「あんしん修理サポート」の契約件数が順調に拡大したほか、感染拡大防止事業を受注(274百万円)したことなどが増収要因となった。営業利益率は出動費用の増加と社内共通費用の配分見直しを実施したことにより前期の25.5%から23.6%に低下したものの引き続き高水準を維持している。2021年9月期末における会員数は前期末比948千件増加の3,347千件となった。このうち、期末に子会社化したアクトコールの630千件を除いたベースでも同318千件の増加となり増加ペースが加速した。商品別の内訳を見ると、「安心入居サポート」は同107千件増の1,020千件となった。不動産賃貸管理会社の販売ネットワークが拡大したことや、家賃等に会費を含めて提供するサブスク型の契約件数が増加した結果、サービス継続率が上昇していることが要因となっている。サブスク型の構成比率は前期の50%台から60%台に上昇しており、今後も上昇傾向が続く見通しとなっている。「あんしん修理サポート」は同198千件増の1,132千件と20%を超える高成長が続いている。主力販路であるホームセンターや家電量販店等を通じた会員数増加が続いていることに加えて、住宅メーカー経由の会員数も増加していることが要因だ。ただ、同商品は契約期間が5~10年と長期間にわたるため、当期の増収インパクトとしては「安心入居サポート」の半分程度と見られ、将来の売上となる前受収益金として積み上がる格好となっている。「学生生活110番」は同2千件減の288千件と減少に転じた。全国の大学生協を通じて取り扱う大学数は209大学と変わりなかったものの、コロナ禍の影響もあって入会率が低下したものと見られる。その他のサービスについては、不採算サービスの見直しを進めるなかで、同14千件増の275千件となった。(3) 保険事業保険事業の売上高は前期比11.7%増の4,677百万円、営業利益は同6.8%増の361百万円と過去最高を更新した。主力の家財保険「新すまいRoom保険」が計画通り伸長したほか、「スマホ保険」も着実に被保険者数を積み上げたことが増収増益要因となった。主要保険商品の被保険者数を見ると、「新すまいRoom保険」は販売代理店拡大の効果もあって、前期比22千件増の248千件となったほか、「スマホ保険」が同40千件増の55千件となった。一方、「スポーツクラブ傷害保険」はコロナ禍の影響もあって同24千件減の240千件に減少した。その他保険商品については弁護士保険等が着実に増加している。(4) リペア事業リペア事業の売上高は前期比0.6%増の266百万円、営業損失は72百万円(前期は77百万円の損失)となった。収益改善策として、施工技術を生かした高単価案件に注力したことで、売上高は2016年に事業を譲受して以降、若干ではあるものの初めて増収となった。営業損失は社内共通費用の配分額を見直したこともあり前期から拡大したもの、共通費用控除前では黒字化している。(5) ライフテック事業ライフテック事業の売上高は前期比169.7%増の230百万円、営業損失は222百万円(前期は153百万円の損失)となった。不動産賃貸入居者向けの電力販売契約件数の増加により売上高は伸長したものの、年明け以降の電力調達価格高騰の影響により損失額が拡大した。同社では事業リスクが高いと判断し、2021年9月末で同事業から撤退したことを明らかにしている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2022/01/05 15:15
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JBR Research Memo(4):2021年9月期業績は会員・保険事業が順調に拡大し、売上高で過去最高を更新
■業績動向1. 2021年9月期の業績概要ジャパンベストレスキューシステム<2453>の2021年9月期の連結業績は、売上高で前期比11.6%増の13,460百万円、営業利益で同3.0%増の1,408百万円、経常利益で同3.2%減の1,740百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同94.3%減の56百万円となった。売上高は主力の会員・保険事業の契約件数が順調に拡大したことで過去最高を4期ぶりに更新し、営業利益は2期ぶりの増益に転じた。一方で、投資有価証券売却損の増加等で営業外収支が悪化したことにより経常利益段階では若干の減益となり、特別損失として減損損失996百万円※を計上したことで親会社株主に帰属する当期純利益は大幅減益となった。※減損損失はアクトコール他1社を株式交換で子会社化する際に決定した株式交換比率の基になった同社株価(931円)に対して、2021年9月末の株価が1,262円に上昇した結果、のれん評価額が当初の想定よりも996百万円増加したため、この増加分を減損損失として一括計上したものとなっている。売上原価率が前年同期の53.3%から57.2%に上昇したが、主にはライフテック事業における電力調達価格高騰に伴う費用増と、会員事業における出動費の増加が要因となっている。2020年9月期は新型コロナウイルス感染拡大(以下、コロナ禍)による三密回避の動きがあり、出動回数も減少していたが、2021年9月期はその反動が出た。一方で、販管費の抑制に取り組んだことで、販管費率は前期の35.3%から32.3%に低下した。経常利益の増減要因を見ると、会員事業や保険事業等の主力事業の成長により168百万円、感染拡大防止事業※のスポット受注により57百万円の増益となった一方で、M&A費用44百万円、保険契約準備金の積み立て増加で73百円、電力販売事業の損失拡大で69百万円、有価証券売却損益で98百万円の減益要因となった。※自治体より飲食店見回り業務を下期に受注し、売上高で274百万円、売上粗利益で57百万円となった(会員事業に含む)。また、会社計画比では売上高で1,039百万円、営業利益で241百万円下回った。売上高については、家財保険(団体型)で販売提携先とのシステム連携に時間が掛かり、販売開始時期が遅延したことで670百万円の減額要因となり、また、電力販売事業において第2四半期以降、新規顧客開拓をストップしたことで400百万円の減額要因となり、ほぼこの2つの要因が未達要因となっている。このうち、家財保険については2021年内の販売開始に向けてシステムのテストを実施している段階にある。一方、営業利益については電力販売事業の調達価格高騰と事業撤退を決定したことで190百万円の減額要因となったほか、M&A関連費用44百万円を計上したことが未達要因となった。このため、これらの要因を除けばほぼ会社計画通りだったことになる。なお、経常利益については営業外収支を保守的に見積もっていたが、例年通り投資有価証券売却益を計上したことで、期初計画を確保した格好となっている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2022/01/05 15:14
注目トピックス 日本株
JBR Research Memo(3):日常生活でのトラブルを解決する各種サービスを提供(2)
■ジャパンベストレスキューシステム<2453>の事業概要(2) 会員事業会員事業は、会員向けに生活トラブル全般の解決サービスを提供する事業で、会員は入会金や年会費等を事前に支払うことで、該当するトラブルが発生した時に一般料金よりも低価格、または無料でサービスを受けることができる仕組みとなっている。売上高の7割強は会費売上となり、そのほか作業に要した部品代や特殊作業費等が含まれる。2021年9月末の契約件数は、生活会員及び保証会員(入会・更新・継続含む)合わせて334万件(アクトコール分63万件含む)と過去最高を更新している。主力サービスは賃貸及び分譲住宅入居者向けの「安心入居サポート」で、同事業の会費売上高の61%(2021年9月期末)を占めている。サービスメニューとしては入居時の暮らし相談サポートや入居中の生活トラブルを解決・サポートするサービスがあり、不動産賃貸事業者等と販売代理店契約を結ぶことで契約件数を伸ばしている。会費は2年契約で約1.5万円となり、うち約6割が同社の収入で、約4割が代理店の販売手数料となる。売上計上方法は月分割方式となっているが、実際の資金の流れとしては契約時に2年分を一括して会員から徴収している。このため、貸借対照表上では残存期間分の対価について前受収益及び長期前受収益として計上されている。一方、代理店への手数料支払いについては契約月に一括して支払い、費用も同額分計上するため、契約ごとの損益で見ると会計上は開始1ヶ月目に損失を計上する格好となっている。同サービスに関しては契約更新率が3割台と低いことが課題であったが、継続率を高める施策として家賃の一部に会費を組み込む方式(サブスク型方式)の導入に注力している。同方式であれば引越し等で退去しない限りは、契約が継続することになるためだ。サブスク型方式の契約率は2016年9月期末時点で40%であったが、2021年9月期末時点では60%超となっている(アクトコール除く)。なお、アクトコールでも同様のサービス「アクト安心ライフ24(1年版、2年版)」または「緊急サポート24(月額版)」を提供しており、料金水準もほぼ同じだが、月額定額サービスや1年版(税込8,800円)が契約の中心となっている。その他の会員サービスとしては、全国大学生活協同組合連合会(以下、大学生協)と提携して販売している大学生向けの生活トラブル解決サービス「学生生活110番」(契約期間2年、4年、6年タイプがあり、4年契約タイプで税込9,450円、うち約7割が同社の収入)、連結子会社のジャパンワランティサポートで提供する住設機器、家電製品等のメーカー保証期間終了後のサポートを行う「あんしん修理サポート」(5年・8年・10年間保証で7,000円~、うち約8割が同社の収入)などがある。「あんしん修理サポート」の会員獲得は住宅メーカーやホームセンター、家電量販店等との提携を通じて行っているが、保証額は家電製品よりも住設機器のほうが高くなること、住宅販売時の購入価格に保証サービスを組み込みやすいことから、住宅メーカーとの提携強化に注力している。2021年9月期末の同事業部門の会費売上に占める比率は「学生生活110番」が8%、「あんしん修理サポート」が25%となっている。なお、会員事業では入会時に顧客から会費を徴収し、作業依頼を受けた場合は入会時の条件に基づいて、無料または割引価格でネットワーク店の手配を行っており、発生した作業代金または作業代金と割引価格との差額が同社の負担となる。このため自然災害の発生等により想定以上に作業件数が増加した場合は、同社の費用負担が重くなり収益性が低下するリスクがある。(3) 保険事業連結子会社のジャパン少額短期保険、レスキュー損害保険で保険事業を展開している。主力商品は、賃貸住宅入居者向けに家財を補償する「新すまいRoom保険」で、同事業保険料収入の83%(2021年9月期)を占めている。不動産賃貸事業者では入居者が賃貸契約する際に「安心入居サポート」と「新すまいRoom保険」を同時に勧めることができるため、販売効率の高い商品となる。その他の少額短期保険商品としては、事務所や飲食店などのテナント入居者向けの「テナント総合保険」、自転車による事故や盗難に備える保険「ちゃりぽ」、痴漢冤罪(痴漢被害)ヘルプコール付き「男を守る弁護士保険、女を守る弁護士保険」、「お天気保険」「結婚式キャンセル保険」などユニークな商品を多数揃えており、業界でもトップクラスの商品開発力が強みとなっている。また、少額短期保険では規則上商品化できない保険ニーズに対応するため、2019年7月にレスキュー損害保険を開業した。当初はジャパン少額短期保険からの受再保険事業からスタートし、2020年より賃貸住宅のオーナーや不動産会社向けの家財保険包括契約の販売を開始している。「新すまいRoom保険」は入居者が被保険者となるのに対して、同商品は貸し手側を被保険者とした団体保険商品となる。また、2020年7月よりワイヤレスゲート<9419>が(株)ヨドバシカメラの店舗で販売するWi-Fiサービス付きスマートフォン及びタブレット端末を対象に、購入後の破損または自然故障を保証する「スマホ保険」の提供を開始している。月額税込890円のプランの場合、故障等で掛かった費用に対して5万円(上限額・年1回)をお見舞金として補償する。月額料金の約15%が同社の売上として計上される。そのほか、2020年春からスポーツクラブ傷害保険の販売も開始しているが、2021年9月期末のいずれも保険料収入の構成比は3%程度と小さい。なお、レスキュー損害保険には日本生命保険、セブン銀行<8410>が各7.1%出資しており、今後はこれら企業と共同開発した保険商品の販売についても展開していく予定となっている。(4) リペア事業リペア事業は、住宅メーカー等の提携先企業から戸建・マンション等の床面や壁の補修作業の依頼を受け、補修サービスを提供する事業となる。石材系から金属、木質系、水まわりも含めて幅広い修復に対応できることが強みとなっており、2019年以降は宿泊施設や店舗など非住宅系の販路開拓にも注力している。対応エリアは首都圏や東北、中部、関西、九州となり、同社の正社員と約220店舗の協力店を通じてサービスを展開している。(5) ライフテック事業ライフテック事業では、不動産賃貸入居者向けを主力ターゲットに電力販売サービスを行ってきたが、電力調達価格高騰の影響で損失が拡大するなど事業リスクが高まったことにより、2021年9月末で事業撤退している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2022/01/05 15:13
注目トピックス 日本株
JBR Research Memo(2):日常生活でのトラブルを解決する各種サービスを提供(1)
■事業概要1. 会社概要ジャパンベストレスキューシステム<2453>は「困っている人を助ける!」を経営理念として、生活に関わる様々なトラブルを解決する「総合生活トラブル解決サービス」カンパニーとして1997年に設立された。2008年にジャパン少額短期保険(株)、2016年にJBRあんしん保証(株)(現 ジャパンワランティサポート(株))を子会社化したほか、2019年7月より新たにレスキュー損害保険(株)を設立、開業している。また、2020年8月に日本PCサービス<6025>の株式を取得し持分法適用関連会社としたほか、2021年9月には生活トラブルサービスを展開するアクトコール及びコールセンター運営事業を行う(株)TSUNAGUを簡易株式交換により完全子会社化し、事業規模を拡大している。2021年9月末時点で連結子会社は5社、持分法適用関連会社1社となり、連結従業員数は344名(単体は178名)の規模となっている。2. 事業の内容事業セグメントは、駆けつけ、会員、保険、リペア、ライフテックの5事業に分けて開示している。2021年9月期の事業セグメント別売上構成比を見ると、会員事業が51.8%と全体の半分を占め、次いで保険事業が34.7%、駆けつけ事業が9.8%となっており、リペア事業、ライフテック事業は2%以下と小さい。売上高のうち、会員や保険契約件数の積み上げ等によるストック型ビジネス(サブスクリプション型(以下、サブスク型)、リカーリング型含む)の比率が9割弱を占めており、安定性の高い収益基盤を構築していることが特徴であり強みとなっている。(1) 駆けつけ事業駆けつけ事業は住宅のカギ交換や水まわり、ガラス等のトラブル、害虫駆除、庭の手入れ、リフォーム等の生活全般にわたる困りごとに関して、会員以外の一般顧客から入ってくる依頼をコールセンターで受け付け(全国7拠点、365日稼働)、依頼内容に応じてパートナー店に作業手配を行うサービスで、「生活救急車」のブランド名で展開している。同社の売上高は、パートナー店が一般顧客から回収した作業代金の原則40%程度を紹介手数料収入として計上している。なお、実際の作業を依頼する店舗は契約形態の違いによってパートナー店とネットワーク店の2種類に分けられる。パートナー店とは同社が紹介する顧客とパートナー店が直接、見積契約と清算を行って、月末に紹介料を同社が請求する形態の店舗となる(駆けつけ事業に該当)。一方、ネットワーク店とは主に同社の提携企業の会員を対象に作業を行い、同社の指示に従って顧客と清算を行った後に、同社が月末に不足分等の清算を行う形態の店舗となる(会員事業に該当)※。2021年9月期末のパートナー及びネットワーク契約店舗数は3,200店舗となっている。なお、店舗によってはアクトコールと同社の両方と契約している店舗もあるため、契約条件については同社の内容に統一していく計画となっている。※パートナー店とネットワーク店の両形態で契約する店舗もある。駆けつけ事業を拡大していくためには、入電件数を増やすためのマーケティング施策(タウンページ、インターネット、チラシ、その他広告等)が重要となり、数年前まではタウンページからの入電が大半であったが、直近ではインターネット経由が4割を占めるまでになっている。また、集客の新たな導線として地域金融機関との提携も開始している。提携金融機関が同社のサポーター店となり、店頭でサービス内容や専用フリーダイヤルを告知するチラシを配布するなどのプロモーション活動を行う。入電があり、同社でサービスを提供した場合に、サービス料の一部を紹介手数料としてサポーター店に支払うスキームとなっている。同社としてはWebやタウンページにかける広告宣伝費用が不要となるため、全体で見ればコストが抑えられ効率的な集客が可能になると見ている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2022/01/05 15:12