注目トピックス 日本株
デリカフHD Research Memo(7):2024年3月期に売上高450億円、経常利益10億円を目指す
配信日時:2022/01/05 16:17
配信元:FISCO
■今後の見通し
2. 第四次中期経営計画
2022年3月期からスタートしている第四次中期経営計画「Transformation 2024」では、コロナ禍で大きく変化した市場環境において新たな食の生活様式に対応するため、デリカフーズホールディングス<3392>の強み(企業力、研究開発力、販売力、調達力)を生かしながら、従前の延長線上にないビジネスモデルを構築していくことを掲げ、以下の基本方針に取り組んでいる。
(1) 事業ポートフォリオの変革
コロナ禍で主力市場としてきた外食業界が大打撃を受けるなか、2021年3月期より事業ポートフォリオの変革に取り組んできた。前述したように進捗は順調で、コロナ禍に強い外食や量販・小売、給食、中食業界での顧客開拓に取り組んできたことで、2021年10月の売上高はコロナ禍前を上回る水準まで回復している。
アフターコロナでは外食市場の回復も見込めることから、外食市場の回復にしっかりと対応しつつ、そのほかの業界に向け顧客開拓・取引深耕を継続していく方針だ。また、新規事業となるミールキット事業については、2024年3月期に売上高で22億円強、BtoC事業については30億円強をそれぞれ目指していく。
販売先ポートフォリオの拡充に加えて、商品ラインナップの拡充(冷凍野菜の製造開始)による売上拡大も見込まれる。冷凍野菜は賞味期限が格段に伸びるためフードロス削減につながるといったメリットもあり、当面の目標として年間数億円規模の売上を目指す。
これら取り組みにより、2024年3月期の売上高に占める外食向け(コロナ禍に強い外食含む)の比率は2021年3月期の73.8%から63%に低下し、そのほか業界向けや新規事業の比率が26.2%から37%に上昇する計画となっている。ただ、足元はそのほか業界向けの顧客開拓が順調に進んでいることから、そのほか業界向けの比率が売上成長に伴ってもう少し上昇する可能性もあると弊社では見ている。
(2) 青果物流通インフラの構築
a) 新工場・物流センターの拡充と新エリアへの進出
同社は2024年3月期までに、新工場または物流センターを3ヶ所開設する計画を立てている。候補地としては、需要増加が見込まれる関東地区・関西地区に加えて、直営事業所が空白地帯だった中国地区に拠点を開設する予定で、まずは需要増が見込まれる関東地区・関西地区を優先していく方針だ。設備投資額は土地代や建屋の内容によって変わるが、直近では福岡FSセンターで23億円となっており、工場の場合は同程度の投資額が必要になると見られる。稼働時期は2025年3月期以降となる見込みだ。なお、減価償却費は大型投資が一段落したこともあり、当中期経営計画期間内は横ばい水準が続くものと予想される。
b) 幹線物流網の強化と物流事業への参入
同社は現在、幹線便として仙台~東京~福岡までのルートを構築しており、野菜の調達・販売機能の強化を図っている。今後、さらに北へのルートを伸ばす予定にしており、資材・商材の共同購買及びフードロスを防ぐ在庫コントロール機能を強化していく考えだ。配送の内製化率については2020年3月期の約3割から現状は約4割まで上昇しており、当面は現状の水準を維持していくことにしている。もっとも物流の受託サービスがさらに増えるようであれば、内製化率を高めていくことも検討していく。物流受託サービスについては、自社トラックの空きスペースを活用した配送サービスとなるため、追加コストをかけずに利益を確保できるサービスとなっている。2022年3月期からは弁当など食料品の配送サービスも開始しており、売上高も前期比2倍増の4億円弱まで伸びる見通しだ。
c) イノベーション・DXによる徹底した効率化の推進
AIやRPAの活用による業務の効率化を推進していく。前述した受発注システム以外にも、在庫管理システムの高度化やBIツールの導入などを進めていく予定にしている。また、RPAを上手く活用していくため、若手社員を中心にした勉強会なども開催しており、社員レベルでのスキルアップも図っている。
(3) 経営数値目標
経営数値目標として、中期経営計画の最終年度となる2024年3月期に売上高450億円、経常利益10億円、親会社株主に帰属する当期純利益6.5億円、ROE7.0%、1株当たり配当金10.0円を掲げた。売上高については今後3年間で年率11.2%成長となり、一見ハードルが高そうに見えるが、2020年3月期を起点として考えると年率2.7%成長となり、コロナ禍が収束した場合は十分達成可能な水準であり、外食向け以外の顧客開拓が進んでいることにも照らせばさらなる上積みも期待できる情勢となっている。経常利益率で2.2%という水準も過去平均と変わらない水準であり、市場環境が悪化することや予想外のコスト増要因が発生しなければ達成可能な水準と思われる。コロナ禍により2021年3月期から厳しい収益状況が続いているが、事業ポートフォリオの変革は順調に進んでおり、現在は成長ステージに入るための過渡期にあると弊社では考えている。
フードロスの削減と脱炭素化社会の構築に向けた取り組みを推進
3. SDGsの取り組みについて
SDGsに取り組む企業が増えるなか、「農と健康を繋ぐ創造企業」を経営方針に掲げる同社グループにおいても、永続的な成長と持続可能な社会の実現に向けた サスティナビリティ経営の推進に取り組んでいる。具体的には、「天の恵みである野菜を100%使い切る」持続可能な青果物流通ビジネスを創出していくことを掲げているほか、健康社会や地域貢献、環境への配慮、人財育成など分野別にテーマを掲げて、取り組みを進めている。
フードロス削減については、生野菜からカット野菜、冷凍野菜の販売、並びにミールキット事業や自社ECサイトでの販売を展開していくことで廃棄ロスの削減に取り組んでいるほか、全国5ヶ所の事業所に残渣リサイクルシステムを導入して日々発生する野菜ゴミを堆肥化し、農産物の肥料として活用する循環型の事業活動を行っている。また、青果物流事業の拡大を通じた脱炭素社会の構築に向けては、野菜の消費量拡大によって農作物の生産量拡大を図り、その結果として二酸化炭素の吸収量拡大に取り組んでいる。同社の事業活動に伴う二酸化炭素の吸収量は2021年3月期の7,040トンから、2024年3月期は42%増の10,000トンを目指している。そのほか、省エネルギー化への取り組みとして、東京と神奈川の事業所において「排水未利用冷熱を活用した温度差エネルギー冷却システム」を導入し、カット野菜製造ラインから排出される水の冷熱を利用して電力コストの削減につなげている。太陽光エネルギーなどクリーンエネルギーの活用についても推進していく予定だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<EY>
2. 第四次中期経営計画
2022年3月期からスタートしている第四次中期経営計画「Transformation 2024」では、コロナ禍で大きく変化した市場環境において新たな食の生活様式に対応するため、デリカフーズホールディングス<3392>の強み(企業力、研究開発力、販売力、調達力)を生かしながら、従前の延長線上にないビジネスモデルを構築していくことを掲げ、以下の基本方針に取り組んでいる。
(1) 事業ポートフォリオの変革
コロナ禍で主力市場としてきた外食業界が大打撃を受けるなか、2021年3月期より事業ポートフォリオの変革に取り組んできた。前述したように進捗は順調で、コロナ禍に強い外食や量販・小売、給食、中食業界での顧客開拓に取り組んできたことで、2021年10月の売上高はコロナ禍前を上回る水準まで回復している。
アフターコロナでは外食市場の回復も見込めることから、外食市場の回復にしっかりと対応しつつ、そのほかの業界に向け顧客開拓・取引深耕を継続していく方針だ。また、新規事業となるミールキット事業については、2024年3月期に売上高で22億円強、BtoC事業については30億円強をそれぞれ目指していく。
販売先ポートフォリオの拡充に加えて、商品ラインナップの拡充(冷凍野菜の製造開始)による売上拡大も見込まれる。冷凍野菜は賞味期限が格段に伸びるためフードロス削減につながるといったメリットもあり、当面の目標として年間数億円規模の売上を目指す。
これら取り組みにより、2024年3月期の売上高に占める外食向け(コロナ禍に強い外食含む)の比率は2021年3月期の73.8%から63%に低下し、そのほか業界向けや新規事業の比率が26.2%から37%に上昇する計画となっている。ただ、足元はそのほか業界向けの顧客開拓が順調に進んでいることから、そのほか業界向けの比率が売上成長に伴ってもう少し上昇する可能性もあると弊社では見ている。
(2) 青果物流通インフラの構築
a) 新工場・物流センターの拡充と新エリアへの進出
同社は2024年3月期までに、新工場または物流センターを3ヶ所開設する計画を立てている。候補地としては、需要増加が見込まれる関東地区・関西地区に加えて、直営事業所が空白地帯だった中国地区に拠点を開設する予定で、まずは需要増が見込まれる関東地区・関西地区を優先していく方針だ。設備投資額は土地代や建屋の内容によって変わるが、直近では福岡FSセンターで23億円となっており、工場の場合は同程度の投資額が必要になると見られる。稼働時期は2025年3月期以降となる見込みだ。なお、減価償却費は大型投資が一段落したこともあり、当中期経営計画期間内は横ばい水準が続くものと予想される。
b) 幹線物流網の強化と物流事業への参入
同社は現在、幹線便として仙台~東京~福岡までのルートを構築しており、野菜の調達・販売機能の強化を図っている。今後、さらに北へのルートを伸ばす予定にしており、資材・商材の共同購買及びフードロスを防ぐ在庫コントロール機能を強化していく考えだ。配送の内製化率については2020年3月期の約3割から現状は約4割まで上昇しており、当面は現状の水準を維持していくことにしている。もっとも物流の受託サービスがさらに増えるようであれば、内製化率を高めていくことも検討していく。物流受託サービスについては、自社トラックの空きスペースを活用した配送サービスとなるため、追加コストをかけずに利益を確保できるサービスとなっている。2022年3月期からは弁当など食料品の配送サービスも開始しており、売上高も前期比2倍増の4億円弱まで伸びる見通しだ。
c) イノベーション・DXによる徹底した効率化の推進
AIやRPAの活用による業務の効率化を推進していく。前述した受発注システム以外にも、在庫管理システムの高度化やBIツールの導入などを進めていく予定にしている。また、RPAを上手く活用していくため、若手社員を中心にした勉強会なども開催しており、社員レベルでのスキルアップも図っている。
(3) 経営数値目標
経営数値目標として、中期経営計画の最終年度となる2024年3月期に売上高450億円、経常利益10億円、親会社株主に帰属する当期純利益6.5億円、ROE7.0%、1株当たり配当金10.0円を掲げた。売上高については今後3年間で年率11.2%成長となり、一見ハードルが高そうに見えるが、2020年3月期を起点として考えると年率2.7%成長となり、コロナ禍が収束した場合は十分達成可能な水準であり、外食向け以外の顧客開拓が進んでいることにも照らせばさらなる上積みも期待できる情勢となっている。経常利益率で2.2%という水準も過去平均と変わらない水準であり、市場環境が悪化することや予想外のコスト増要因が発生しなければ達成可能な水準と思われる。コロナ禍により2021年3月期から厳しい収益状況が続いているが、事業ポートフォリオの変革は順調に進んでおり、現在は成長ステージに入るための過渡期にあると弊社では考えている。
フードロスの削減と脱炭素化社会の構築に向けた取り組みを推進
3. SDGsの取り組みについて
SDGsに取り組む企業が増えるなか、「農と健康を繋ぐ創造企業」を経営方針に掲げる同社グループにおいても、永続的な成長と持続可能な社会の実現に向けた サスティナビリティ経営の推進に取り組んでいる。具体的には、「天の恵みである野菜を100%使い切る」持続可能な青果物流通ビジネスを創出していくことを掲げているほか、健康社会や地域貢献、環境への配慮、人財育成など分野別にテーマを掲げて、取り組みを進めている。
フードロス削減については、生野菜からカット野菜、冷凍野菜の販売、並びにミールキット事業や自社ECサイトでの販売を展開していくことで廃棄ロスの削減に取り組んでいるほか、全国5ヶ所の事業所に残渣リサイクルシステムを導入して日々発生する野菜ゴミを堆肥化し、農産物の肥料として活用する循環型の事業活動を行っている。また、青果物流事業の拡大を通じた脱炭素社会の構築に向けては、野菜の消費量拡大によって農作物の生産量拡大を図り、その結果として二酸化炭素の吸収量拡大に取り組んでいる。同社の事業活動に伴う二酸化炭素の吸収量は2021年3月期の7,040トンから、2024年3月期は42%増の10,000トンを目指している。そのほか、省エネルギー化への取り組みとして、東京と神奈川の事業所において「排水未利用冷熱を活用した温度差エネルギー冷却システム」を導入し、カット野菜製造ラインから排出される水の冷熱を利用して電力コストの削減につなげている。太陽光エネルギーなどクリーンエネルギーの活用についても推進していく予定だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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