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ワコム Research Memo(11):「ライフロング・インク」の提供を通じて、持続可能な社会に寄り添う
■社会への取り組みワコム<6727>ではESG や持続可能な社会への取り組みを重視しており、同社ホームページに「社会への取り組み」について、基本的な考え方や具体的な活動を開示している。特徴的なのは、同社のテクノロジーをビジョンとして掲げる「ライフロング・インク」と関連付けているところである。人が一生の間に積み重ねていく「書く/描く」体験を支え、未来に伝えていくことを通じて、持続可能な社会に寄り添っていくところに同社の存在意義や価値創造の源泉があると認識している。人々が過ごす日々はもちろん、クリエイティブからビジネス、教育の分野まで幅広い「ライフロング・インク」の可能性※を様々なコミュニティのパートナーとともに追求することで、ユーザーとともに同社自身の持続的な成長にもつなげる方向性と言える。※例えば、教育分野であれば、学習中の視線データとペンの動きから生徒個人の学習特性を明らかにし、個人に合わせた学習環境を提供する「教育向けAI インク」をパートナーとともに開発している。また、世界各地の拠点で生活する個々の社員とローカルコミュニティとの関わりを大切にするとともに、環境に配慮したオペレーションと商品開発にも取り組む。社会の未来像についても、1 社だけでなく、アルスエレクトロニカ※1などのコミュニティとともに提案を続けていく。また、STEAM 教育※2や探求型学習※3に対する技術サービスについても社会実装する方針である。※1 世界的なクリエイティブ機関であるアルスエレクトロニカは、オーストリアを拠点に40 年以上にわたり「先端テクノロジーがもたらす新しい創造性と社会の未来像」について提案を続けている。※2 社会の潮流となりつつあるSTEAM(科学、技術、工学、芸術、数学)教育を構成するArt の領域で、AI 技術を活用してクリエイターの創作活動を可視化することにより創作活動の学びにつなげることが可能となる。※3 例えば、プログラミング教育とデジタルペンを組み合わせて生徒個人のインクデータの軌跡をAI 技術で解析することにより、論理的な思考能力の育成につなげることが可能となる。また、気候変動への対応についても、環境経営における重要な課題として捉えており、気候変動イニシアティブ(JCI)へ参加し、CO2排出量を年率2.5%削減(基準年:2014年度)していくことにより、2030 年度に達成すべきCO2排出量目標も公表している。そのなかで、温室効果ガスの削減とCO2排出量(Scope1、Scope 2)等の環境パフォーマンスの情報公開にも取り組むとともに、気候変動が事業環境に及ぼすリスクや機会の分析を踏まえた事業活動を行っている。また、サプライチェーン全体でのCO2排出量削減につながる行動を、「ワコム サプライヤー行動規範」への賛同と実践を通じて取引先にも要請している。そして、年々増加している水害などの自然災害により企業活動が制限されるリスクに対しては、BCPを策定し対応を進めている。なお、同社は統合報告書の内容をカバーするとともに、同社の理念や社員の思いなどを一連のストーリーとして伝える「Wacom Story Book(仮称)」の発行(2023 年3 月期末まで)を準備しているようだ。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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2022/12/02 15:11
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ワコム Research Memo(10):成長加速に向けて、新コア技術及び新ビジネスモデルの立ち上げに注力
■成長戦略2. 6つの主要技術開発軸と具体的な価値例(1) ペンの技術(現行コア技術/現行ビジネスモデル)ワコム<6727>の提供価値の源泉であるデジタルペンの技術をさらに発展させ、環境ケア型商品を含む新商品群の導入を目指す。(2) ペンと紙の技術(現行コア技術/現行ビジネスモデル)あらゆる「紙」との連携(ディスプレイ、アプリ)により、新たな顧客群の開拓に取り組む。(3) デジタルインク技術(現行コア技術/現行ビジネスモデル)データフォーマットやアプリ連携、クラウド対応などにより、クリエイティブや教育分野などでリモートDX体験を提供する。(4) AI とデジタルインク技術(新コア技術/新ビジネスモデル)AI とインク連携サービスを実現するプラグイン開発により、個別最適化教育や創作支援サービスなどへ発展させる。(5) XR 描画技術(新コア技術/新ビジネスモデル)XR 空間での3D 描画技術により、クリエイティブ、教育、建築、医療等向けに新しい3D 描画ワークフローを提供する。(6) セキュリティ認証技術(新コア技術/新ビジネスモデル)手書きによる個人認証技術により、クリエイティブ、医療等向けに個人認証や著作権保護サービスを提供する。3. 対象市場の成長性同社では、デジタルペンとインクにおける事業機会は、これまでのクリエイティブ(デジタルコンテンツ制作/創作)市場のみならず、教育DX 市場、ワークフローDX 市場といった、規模が大きく、高い成長性※が見込まれている3つの領域に存在すると捉えており、これらの領域でテクノロジー・リーダーシップを発揮することが、同社自身の成長加速にもつながるものと認識している。特に同社が注力するAI、XR、Security の新コア技術との組み合わせを通じた新しい価値提供が、これらの領域の変革や成長に欠かせない要素となっており、同社戦略の方向性とも符合している。※同社資料より、デジタルコンテンツ制作/創作市場の年平均成長率(2021 年~2027 年)は9.5%(出所:Maia Research)、教育DX(Edtech)市場(2021 年から2030 年)の年平均成長率は16.8%(出所:Grand View Research)、ワークフローDX 市場(2022 年から2023 年)の年平均成長率は16.5%(出所:IDC)といった予想がされている。4. 成長のイメージと財務方針中期経営方針「Wacom Chapter 3」については、現行コア技術/現行ビジネスモデルをさらに推進する一方、次のステージでの成長加速に向けて新コア技術/ 新ビジネスモデルの立ち上げに注力する戦略である。最終年度の数値目標の設定はしていないが、年度ごとに業績予想のガイダンスとともに成長の方向性や取り組んでいる戦略軸の進捗を示していく考えである。また、財務方針については、1) 新たな指標としてROIC25~30%程度を設定したほか、2)ROE20%程度、3)配当性向30%程度としたうえで取締役会でも本質的な議論を活発に行い、事業活動の効率性や資本効率に目配りしながら成長の実現の可能性を高める方針である。ただ前述のとおり、経済環境悪化に伴う足元業績の減速により当初の成長イメージについては時間的な遅れが生じる見通しであり、「Wacom Chapter 4」に突入する2026年3月期以降に2ケタの営業利益率を達成し、維持していく事業構造を目指すシナリオのようだ。具体的な修正プランについては、1次報告、2次報告(2023年3月期決算発表時)の2回に分けて開示する予定である。5. 弊社の注目点弊社でも、この期間中に3つの新コア技術(AI、XR、Security)及び新ビジネスモデルを立ち上げ、いかに成長加速に向けた基盤づくりを行っていくのかが最大の注目点であり、同社の方向性や将来性を占ううえでも重要な判断材料になるものと見ている。そのためには、同社自身における技術開発はもちろんのこと、他社との連携により新しいサービスとしての価値をいかに生み出していけるかが成否を決することになるであろう。特にデジタルインクとAI による新たな価値提案は、すでに動き始めた教育分野以外にも様々な分野で可能性があるうえ、他社に先駆けてデータやノウハウが蓄積できれば、革新的な領域で圧倒的なポジションを確立できる公算も大きくなるだろう。そうなれば、有力なパートナーとの連携にも拍車がかかる可能性も期待できる。過去2 年間はコロナ禍による一過性の影響を受けた一方、足元ではコロナ特需の落ち着きと経済環境悪化に伴う消費マインドの急激な冷え込みによりブレーキがかかる格好となったが、エントリーユーザー向けの商品の裾野拡大や新たな需要の取り込みにより、デジタルペンやデジタルインクに関する体験ユーザーのベースは確実に拡大していると考えられる。中期的な新コア技術、新ビジネスモデルの立ち上げが上手くいった場合には、ハードとソフトの相乗効果も十分期待できると考えられる。また、新ビジネスモデルにおいては、SaaS(サービスとしてのソフトウェア)での提供が軸になるものと考えられるが、課金型の収益モデルへのシフトが同社の成長性や収益性にどのような変化を及ぼすのかについても注目したい。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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2022/12/02 15:10
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ワコム Research Memo(9):4ヶ年の中期経営方針「Wacom Chapter 3」を推進、修正プランも想定
■成長戦略ワコム<6727>は、4ヶ年の中期経営方針「Wacom Chapter 3」(2022 年3 月期~2025 年3 月期)に沿った取り組みを推進しており、2023年3月期は2年目となる。「Wacom Chapter 3」では、「ライフロング・インク」のビジョン※を継承するとともに、これまでの取り組みをさらに発展・進化させるべく、改めて「5つの戦略軸」を設定した。その実行に当たっては「6つの主要技術開発軸」を定め、コーポレート技術ロードマップとして運営し、具体的な価値提供と持続的な成長につなげる方針である。また、コーポレート・ガバナンス改革等を通じた経営の質の向上、同社独自のアプローチによる社会・コミュニティへの関わりにも取り組む方針である。※「お客様と社会に対して、ワコムの技術に基づく『人間にとって意味のある体験』を長い長い時間軸で、ご提供し続けていきます」というもの。1. 5つの戦略軸の設定(1) テクノロジー・リーダーシップ引き続き、同社の提供価値の源泉である技術革新に注力し、圧倒的な技術優位を維持・展開していく戦略である。クリエイティブ(デジタルコンテンツ制作)や教育分野をはじめ、各種ワークフローDX(行政窓口手続き、書類申請、業務フローでのPDF 書き込み、電子投票等)への寄与、様々な最新機種やデジタル文具等への搭載、スマートホームソリューションへの組み込みなどに取り組んできたが、今後もハードウェア、ソフトウェア、サービスにまたがる技術開発により、最高の「ペンと紙とインク体験」を提供していく考えだ。(2) コミュニティ・エンゲージメント同社だけではなくコミュニティ(パートナー)と深く連携し、価値ある体験を形成していく戦略である。具体的には、ピクシブ(株) との共同による大規模オンライン作画フェスの開催※、教育分野などで広く導入されているChromebook 対応認定商品やアンドロイド対応、リモート環境での創作ワークフローの構築などで連携を図っている。※直近では、2022 年6 月18 日と6 月25 日に、世界中のクリエイター約1 万人が参加する大規模オンライン作画フェス「Drawfest(ドローフェス)」の3 回目を共同開催した。(3) 新しいコア技術、新しい価値創造既存のコア技術に加え、新しいコア技術をもとに新しい価値を創造する戦略である。既存技術と親和性の高いAI、XR、Security の3 分野を選択し、新コア技術と新しいビジネスモデルで新しい価値提供を実現していく考えだ。例えば、デジタルインクとAI による新しい教育体験※1の創造や、ブロックチェーン証明による著作権の保護※2、XR 空間での描画体験※3などについては、すでに他社との協業によりプロジェクトが動いている。※1 Z会グループとの教育分野における「手書き×デジタル」の利用に向けた包括的な業務提携契約を締結したほか、エスディーテック(株)とは「手書き×デジタル」のAI 利活用に向けた共同開発などに取り組んでいる。※2 デジタル署名認証技術を用いて、デジタルアート作品やその証明書に署名を組み込んで作品証明とし、制作者の権利を保全して流通させる仕組み。※3 複数・遠隔地のクリエイターとの共同作業や2D と3D を自由に行き交う新たなクリエーション体験など。(4) 持続可能な社会へ貢献する技術開発環境ケアに貢献する技術開発と商品開発により、持続可能な社会発展への貢献を目指している。すでに気候変動イニシアティブ(JCI)への参加や環境ケア技術開発部門の設置により、同社ならではのサステナビリティを意識した技術革新を進めている。また「使い続けていく」ことを体現する企業活動にも取り組んでおり、例えば廃材で作られた「コネクテッド・インク」※で使用されたステージを家具へ再利用する団体の活動支援なども行っている。※同社が主催するオープンイベントであり、東京、北京、デュッセルドルフ、ポートランド等の会場で毎年開催されている。人間の創造性の源に思いを馳せ、アート、教育、テクノロジーなど多様な領域のパートナーと共創する「創造的混沌」がテーマとなっている。同社のコミュニティエンゲージメント(社会への貢献)が体験できるイベントであり、同イベントで紹介したプロジェクト以外にもパートナーとの様々な取り組みや同社の新たな挑戦を垣間見ることができる。「コネクテッド・インク 2022」の内容は同イベントのホームページから閲覧できるようにしている。(5) 意味深い成長経済的な成長(財務側面)をしっかり確保しながら、顧客・ユーザー、社会・コミュニティ、関連する個人など多面的側面での「意味深い成長」を模索する方針であり、長期的な視点での持続的な成長を目指す。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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2022/12/02 15:09
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ワコム Research Memo(8):「テクノロジーソリューション事業」がここ数年の業績の伸びをけん引
■ワコム<6727>のこれまでの業績推移コロナ禍以前の2020 年3 月期までの売上高推移を見ると、2017 年3 月期にいったん大きく落ち込んだのは、円高に加え、過度な社内IT インフラ投資、製品サイクルの移行等の影響が重なったことが理由である。その後は、「テクノロジーソリューション事業」の伸びとともに回復したものの、「ブランド製品事業」については縮小傾向をたどり、「ブランド製品事業」のマイナスを「テクノロジーソリューション事業」のプラスでカバーする構造が続いてきた。もっとも、2021 年3 月期はコロナ禍をきっかけとしてオンライン教育向けなどを中心に「ブランド製品事業」が急拡大すると、巣ごもり需要が一巡した2022 年3 月期もプロ向けディスプレイ製品や「テクノロジーソリューション事業」の伸びにより、2 期連続で過去最高売上高を更新した。なお、「ブランド製品事業」が2020 年3 月期まで縮小傾向にあったのは、主力となってきた「ペンタブレット製品」における中低価格帯での競争激化に対して、「ディスプレイ製品」への戦略的な需要シフトで十分に埋め合わせできなかったことが理由である。ただ、「ディスプレイ製品」は、利益率の高いエントリーモデルも新たな市場を開拓しつつあり、さらにプロ向けも新たな需要を取り込みながら伸びてきたことから、売上高の中身(構成比) が変化しつつあることには注意が必要である。一方、「テクノロジーソリューション事業」におけるここ数年の伸びは、タブレット・ノートPC 向けペン・センサーシステムの市場拡大に加え、スマートフォン向け(特に、サムスン電子のGalaxy シリーズ向け)も機能強化等の効果により、好調に推移していることが理由である。損益面では、営業赤字となった2017 年3 月期を除くと、積極的な研究開発や新製品開発をこなしながら営業利益率は4% 台から6% 台で徐々に改善してきた。2021 年3 月期以降は、増収に伴う収益の押し上げや製品ミックスの改善、販管費の最適化等により2 期連続で高い利益率を確保している。財務面では、減損損失の計上により大幅な最終損失となった2017 年3 月期の自己資本比率はいったん低下したが、その後は内部留保の積み増しにより改善傾向にあり、当面の財務健全化の目安である60% に近づいてきた。また資本効率を示すROE やROIC も高水準で推移しており、同社の財務内容は非常に優れていると評価できる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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2022/12/02 15:08
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ワコム Research Memo(7):2023年3月期の業績予想を減額修正。通期でも増収減益となる見通し
■業績見通し1. 2023年3月期の業績見通し2023年3月期の連結業績予想についてワコム<6727>は、上期実績や今後の見通し等を踏まえ、2022年10月14日に減額修正を公表した※。売上高は前期比9.4%増の119,000百万円、営業利益は同53.9%減の6,000百万円、経常利益は同45.0%減の7,900百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同46.1%減の5,900百万円と通期でも増収減益となる見通しである。※期初予想から、7月29日と10月14日の2回の業績修正を行った。その結果、売上高は期初予想比9,000百万円減、営業利益は同7,700百万円減、経常利益は同5,800百万円減、親会社株主に帰属する当期純利益は同4,300百万円減となった。売上高予想を減額修正したのは、主に「ブランド製品事業」によるものであり、市場環境の変化に鑑み、1)「ペンタブレット製品」及び「ディスプレイ製品」における中低価格帯モデルの販売予測を見直したこと、2)一部製品の市場投入時期を延期したことが理由である。その結果、「ブランド製品事業」は前期比で減収となる一方、「テクノロジーソリューション事業」は、円安によるプラス効果※やOEM提供先メーカーとの強い関係を維持することで、通期でも大幅な増収を確保する見通しとなっている。※想定為替レート(2022年10月以降)は、1米ドル=140円(前期の通期平均は112.86円)、1ユーロ=138円(同131.01円)を前提としており、年間売上高(全体)を前期比で約160億円、年間営業利益(全体)を約10億円押し上げる要因と見ているようだ(弊社推定)。損益面では、「テクノロジーソリューション事業」の伸びや円安によるプラス効果はあるものの、「ブランド製品事業」における販売予測の見直し等による売上減に加え、上期同様に製品ミックスの悪化やドル高傾向継続によるマイナス影響に伴う粗利益率の低下により、大幅な減益となる見通しである。なお、将来を見据えた研究開発投資については年間7,000百万円(前期比27.8%増)を予定しており、積極的な方針に変化はない。事業別の業績見通しと活動方針については以下のとおりである。(1) ブランド製品事業売上高を前期比1.2%減の52,000百万円、セグメント利益を同92.0%減の700百万円と見込んでいる。売上高は、市場環境の変化に鑑み、中低価格帯モデルの販売予測を見直したことや、一部製品の市場投入時期の延期により微減収となる見通しである。一方、損益面では、上期同様に製品ミックスの悪化やドル高傾向継続によるマイナス影響による粗利益率の低下に加えて、積極的な研究開発投資を継続する方針の下、通期では黒字を確保するものの大幅な減益を見込んでいる。(2) テクノロジーソリューション事業売上高を前期比19.3%増の67,000百万円、セグメント利益を同18.1%増の10,500百万円と見込んでいる。タブレット・ノートPC市場の需要減退による影響を見込むものの、上期に引き続き円安によるプラス効果やOEM提供先メーカーとの強い関係の維持・発展により、増収となる見通しである。損益面では、将来に向けた積極的な研究開発投資を加速しつつも、増収による収益の押し上げにより増益を確保する想定となっている。2. 弊社の見方修正後の業績予想を達成するためには、下期売上高64,862百万円(前年同期比10.8%増)、営業利益3,716百万円(同32.0%減)が必要となる。弊社では、世界的に不安定な経済情勢や為替相場の動向、サプライチェーンの混乱など、先行き不透明な事業環境については決して楽観視できないものの、同社の業績予想はそういった不確実性についても合理的な範囲で反映した水準となっており、十分に達成可能であると見ている。なお、「ブランド製品事業」における粗利益率の低下要因の1つとなっている為替変動影響を含む仕入コストの上昇については、価格転嫁でカバーする方針のようだ。また、新製品についても、部材高騰の要素を含めて、新しく実装する価値に見合った価格付けを進める考えであり、こういった価格戦略が損益の改善にどのように寄与してくるのかもポイントになると言えるだろう。注目すべきは、中期経営方針「Wacom Chapter 3」の成長イメージへのキャッチアップに向けて、どのようにリカバリーしていくのかにある。まずは、前述した「事業リカバリーの方向性と取り組み」を確実に執行する方針としており、その具体的な進捗と成果をフォローしていきたい。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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2022/12/02 15:07
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ワコム Research Memo(6):同社フラッグシップモデルの市場投入や、OEM先への同社技術搭載で成果を残す
■ワコム<6727>の主な活動実績1. セルシスとの資本業務提携2022 年4 月に、イラスト、マンガ、アニメーション制作アプリ「CLIP STUDIO PAINT」等を展開するセルシスと資本業務提携※を締結した。セルシスとは20 年以上にわたって協業し、クリエイティブ・コミュニティをともに支えてきたが、本提携によって両社の協業をさらに深めるところにねらいがある。具体的には以下のような取り組みを進める方針であり、まさに中期経営方針「Wacom Chapter 3」(詳細は後述)に掲げる新コア技術/新ビジネスモデルの目玉となる活動の1つと捉えることができる。※第三者割当により約16 億円規模の株式を取得(約5%)した。今後10% を超えない範囲で追加取得する予定。1) 教育など特定用途に向けた、同社製品と「CLIP STUDIO PAINT」を通じたクリエイティブ制作体験の共同開発2) KISEKI ARTサービス※と「CLIP STUDIO PAINT」の連携による新しい価値提供のための共同開発3) デジタル著作権管理、創作にまつわる権利保護に向けた技術の「CLIP STUDIO PAINT」への実装とサービス運営の検討4) 新しいクリエイティブ制作ワークフロー開発に向けた同社製品、新機能の「CLIP STUDIO PAINT」との連携、開発5) パートナー企業に対する、同社製品と「CLIP STUDIO PAINT」を連携させた共同開発・提案※「クリエイターやアニメーターの方々の創造の軌跡のデータが、作品そのものに比肩し得る価値を持ち、アーティスト自身に帰属する資産である」という考えの下、ペンや筆の動きといった創作の過程をデジタル技術で捉える(創作の軌跡を可視化する)サービス。これにより、アーティスト自身が「気づき」を得てスキルアップを図ったり、作品を楽しむための新しい価値提案をするなど、様々な活用を支援することが可能となる。2. デジタルペン技術が「Galaxy Z Fold4」向け「Sペン」に搭載サムスン電子が2022年8月10日に発表したスマートフォン「Galaxy Z Fold4」向けの「Sペン」に、同社のデジタルペン技術が引き続き採用された。「Galaxy Z Fold4」は、OSに大型画面及び折りたたみ式画面での使用に最適化されたGoogleのAndroid 12Lを初めて搭載し、折りたたみ式メインディスプレイ画面の角度設定を75度~115度の間で柔軟に変えながら高度なマルチタスク作業を自在にこなすところに特徴があり、その際、同社のEMR技術を搭載した「Sペン」が本領を発揮することになる。すなわち、細部にわたる緻密な操作が容易かつ自在にできるため、モバイル環境で絵を描いたり、ビデオコールをしながらメモ書きしたり、メールを読みながらTo-Doリストをチェックすることなども手軽に行うことができる。同社とサムスン電子との長年にわたるコラボレーションによる成果と言え、今後、さらにその領域を広げ、深くしていく考えだ。また、サムスン電子以外では、レノボの第2世代Foldable PCにも同社のAESペンが実装されており、折りたたみデバイス向けは今後もさらに増える傾向にあるようだ。3. フラッグシップモデル「Wacom Cintiq Pro 27」の市場投入製品ポートフォリオ強化の一環として、いよいよ2022年9月にはプロ向けディスプレイ製品「Wacom Cintiq Pro 27」を発表した。クリエイティブソフトウェアとシームレスに連携し、快適に操作できるところに特徴があり、ペン精度やマルチタッチ、リフレッシュレート、鮮やかで正確な色再現性に加え、より使いやすい製品デザインやカスタマイズ性など、液晶ペンタブレットのユーザーに重要視されるポイントが大幅に向上し、没入感のある制作環境を実現している。ユーザーからは「描いていてストレスになる箇所が全くない」「描きやすい!」「ワコムは進化を続けているなあという印象」「ユーザーの声を聞いてくれた」といったフィードバックが寄せられているようだ。同社では、引き続き新商品群を導入予定であり、商品ポートフォリオ強化を継続する方針である。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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2022/12/02 15:06
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ワコム Research Memo(5):「ブランド製品事業」リカバリーに向けた施策を打ち出す
■決算概要3. 事業リカバリーの方向性と取り組みワコム<6727>では、「ブランド製品事業」(中低価格帯モデル)の落ち込みについて、経済環境悪化に伴う購買優先度の低減及びコロナ特需の落ち着きといった外部要因に加え、販路マネジメントや商品ポートフォリオなど内部要因にも改善すべき余地があるとの認識に立ち、1)B2B及び自社オンラインストアの強化、2)はく落した市場需要の再開拓(一般教育やクリエイティブ教育、DX等)、3)商品ポートフォリオの刷新継続、4)新価値提供/新ビジネスモデルの開始に取り組む方針としている(上記3と4は従来からの継続案件)。ただ、後述する中期経営方針「Wacom Chapter 3」の戦略方向に変更はない。また、足元業績の下振れに伴い、「Wacom Chapter 3」の成長のイメージについてはアップデートする予定としている。すなわち、経済環境悪化の影響等により今後の成長イメージに時間的な遅れが生じたため、2024年3月期からのターンアラウンドを目指すとともに、「Wacom Chapter 4」に突入する2026年3月期以降で2ケタの営業利益率を達成し、維持していく事業構造を実現するシナリオのようだ(当初イメージより約2年の遅れ)。なお、修正プランについては、1次報告、2次報告(2023年3月期決算発表時)の2回に分けて開示する予定である。4. 2023年3月期上期の総括以上から、2023年3月期上期を総括すると、「ブランド製品事業」(中低価格帯モデル)の想定を超える減速をどう評価するかに尽きるだろう。コロナ特需のはく落はある程度予想できたものの、消費マインドの冷え込みによる影響が、流通在庫調整の動きを含めて、想定以上に急激かつ大きかった。特に中低価格帯モデルにおける市場特性として、インフレ進行の初期段階では所得水準が相対的に低い層になるほど消費マインドが左右されやすく、購買優先度も比較的低くなりがちなことを勘案すれば、景気循環的な影響はある程度やむを得ないとの見方もできる。もっとも弊社では、取引先(OEM提供先メーカー)からの評価の高さや搭載実績、各パートナーとの協業の動きなどから判断して、デジタルペンや同社技術に対するポテンシャルの大きさ自体の評価を変える必要はないと見ている。したがって、いかに自社ブランドにて景気循環的な影響を受けない市場を掘り起こしていくのかが今後の課題と言えるだろう。同社が事業リカバリーの方向性として、とりわけ市場の大きな一般教育分野やクリエイティブ教育分野の取り込み、あるいはユーザーの裾野拡大に向けて、チャネル強化を含め、しっかりとユースケースの開拓や体験型アプローチをかけていくことをテーマに掲げたところは、まさに基盤となる市場の創出や育成を目指すものであり、改めて今後やるべきことを再確認できたという点においては前向きに評価したい。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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2022/12/02 15:05
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ワコム Research Memo(4):2023年3月期上期は増収減益。「ブランド製品事業」が想定を超える減速
■決算概要1. 2023年3月期上期の業績概要ワコム<6727>の2023年3月期上期の連結業績は、売上高が前年同期比7.7%増の54,138百万円、営業利益が同69.8%減の2,284百万円、経常利益が同45.1%減の4,203百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同44.0%減の3,231百万円と増収ながら減益となった。「ブランド製品事業」(中低価格帯モデル)が経済環境悪化に伴う消費マインドの急激な冷え込みやコロナ特需(オンライン教育や巣ごもり需要など)の落ち着きなどにより減収となったものの、円安によるプラス効果※や「テクノロジーソリューション事業」の伸びによりカバーし、売上高全体では増収を確保することができた。※売上高全体を約80億円押し上げる要因となった。損益面では、円安効果※1や「テクノロジーソリューション事業」が収益を押し上げた一方、「ブランド製品事業」における粗利益率の低下や販管費(研究開発費を含む)の増加※2により営業減益となった。なお、「ブランド製品事業」における粗利益率の低下は、製品ミックスの悪化や為替変動によるドル建て仕入価格の高騰に対してドル建て以外の売上収入の部分が為替変動のマイナス影響を受けたことなどが主因である。※1 営業利益全体を約5億円押し上げる要因となった。ただ、セグメント別に見ると、「ブランド製品事業」には約8億円のマイナス要因、「テクノロジーソリューション事業」には約15億円のプラス要因となっており、それぞれ違う出方となっていることには注意が必要である。また、営業外収益として、円安による為替差益(19億円)を計上した。※2 約9億円の研究開発費の増加を含む約25億円の販管費の増加(うち、約11億円が円安による増加要因)となった。財政状態については、棚卸資産の増加などにより総資産が前期末比10.7%増の81,165百万円に拡大した一方、自己資本は内部留保及び為替換算調整勘定の増加分と、自己株式の消却等に伴う減少分がほぼ均衡し、同0.7%増の43,786百万円と同水準で推移したことから、自己資本比率は53.9%(前期末は59.3%)に若干低下した。2. 事業別の業績概要(1) ブランド製品事業売上高は前年同期比21.1%減の20,425百万円、セグメント損失は1,852百万円(前年同期は5,494百万円の利益)と減収減益となりセグメント損失を計上した。売上高は、主力の「クリエイティブソリューション」(特に中低価格帯モデル)が、経済環境悪化に伴う消費マインドの急激な冷え込み、コロナ特需(オンライン教育や巣ごもり需要など)の落ち着きに加え、中国の一部地域でのロックダウンの影響等を受けて減収となった。また、「ビジネスソリューション」についても流動的な市況の変化等の影響によりわずかな増収にとどまった。損益面で大幅な減益(セグメント損失の計上)となったのは、高収益の「ペンタブレット製品」の落ち込み(製品ミックスの悪化)や為替変動によるドル建て仕入価格の高騰に対してドル建て以外の売上収入の部分が為替変動のマイナス影響を受けたほか、積極的な研究開発投資も利益を圧迫する要因となった。a) クリエイティブソリューションの売上高前年同期比23.4%減の18,181百万円と減少した。製品別に見ると、「ディスプレイ製品」は、プロ向け製品が伸びた一方、消費マインドの冷え込みやコロナ需要の落ち着き等により中低価格帯のエントリーモデルが減収となった。一方、「ペンタブレット製品」については、経年等の影響によりプロ向け製品が減収になるとともに、「ディスプレイ製品」と同様、中低価格帯モデルが大きく落ち込んだ。「モバイル製品他」についてもモバイル製品及びスタイラスペン製品ともに減収となった。b) ビジネスソリューションの売上高前年同期比4.5%増の2,244百万円と伸長した。流動的な市況の変化や案件進捗の影響を受けるなか、わずかな増収にとどまった。(2) テクノロジーソリューション事業売上高は前年同期比38.3%増の33,713百万円、セグメント利益は同55.4%増の6,552百万円と大幅な増収増益となった。売上高は、コロナ禍の影響により生産サプライチェーンの制約等があったなか、「AESテクノロジーソリューション」「EMRテクノロジーソリューション」がともに大きく伸びた。損益面でも、次世代技術開発等に向けた研究開発投資を加速する一方、増収による収益の押し上げや円安によるプラス効果により大幅な増益を実現した。a) AESテクノロジーソリューションの売上高OEM提供先メーカー各社から引き続き高い評価を獲得しており、前年同期比28.9%増の12,748百万円と大きく伸長した。b) EMRテクノロジーソリューション他の売上高OEM提供先メーカーのポートフォリオ変化が奏功し、前年同期比44.7%増の20,965百万円と大きく伸長した。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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2022/12/02 15:04
注目トピックス 日本株
ワコム Research Memo(3):変化を捉えた製品ポートフォリオの組み替え、独自技術の事実上の標準化に取り組む
■ワコム<6727>の各事業及び主要製品の特徴1. ブランド製品事業ターゲット顧客や製品タイプ別に幅広いラインナップを有している。製品区分としては、(1) クリエイティブソリューション、(2) ビジネスソリューションの2つに分かれる。(1) クリエイティブソリューション創業来の中核であり、プロのクリエイター向けでは高いブランド力とシェアを誇る。製品タイプ別に「ディスプレイ製品」「ペンタブレット製品」「モバイル製品」の3 種類があるが、これらの違いを理解することが、競争環境や今後の成長性を判断するうえで重要となる。a) 「ディスプレイ製品」タブレット(板)が液晶パネル※になったもので、デジタルペンで液晶画面に直接描画できるという点では後述する「モバイル製品」と同じである。一方、OS や記憶装置を持たない入力デバイスという点では後述する「ペンタブレット製品」と同じ性格のPC 周辺機器と言える。大型サイズのものは価格帯が30 万円~ 50 万円前後で、ユーザーはプロやハイエンドアマチュアが中心となるが、この市場では圧倒的なシェアを誇っている。他方、市場の変化(デジタル手書(描)きユーザーの裾野拡大や「ペンタブレット製品」からの需要シフト等) に対応するため、2019 年1 月に16 インチサイズのエントリーモデルを実売6 万円台(税抜き。以下同)で販売すると、7 月には22 インチサイズ(実売10 万円台)、2020 年1 月には初心者向け13 インチサイズ(実売3 万円台)と相次いでリリースし、他社(中国メーカー等)からの価格攻勢が厳しいエントリーモデルの領域においても存在感を高めている。クラウドベースのワークフローへの対応ニーズが高まっているプロ・クリエイター向けの領域においても、2022年9月に27インチサイズ(専用スタンドと合わせて実売50万円台)のフラッグシップモデルを発表した。※「 液タブ」と称されることもある。b) 「ペンタブレット製品」デジタルペンとタブレット(黒い板状のもの)で構成される最も基本的なデバイス※であり、主力製品として貢献してきた。マウスやキーボードと同じようにPC に接続して使用するPC 周辺機器である。簡単な構成であることから、プロ向けから入門用まで幅広いラインナップとなっている。プロ向けのハイエンド市場では競争力が維持されているものの、差別化を図りづらい中低価格帯では他社との競合が激化している。また、より操作性に優れ、低価格化も進んでいる「ディスプレイ製品」への需要シフトに対して同社が戦略的に経営資源をシフトしていることから、コロナ禍前の数年は縮小傾向をたどってきた。※「板タブ」と称されることもある。c) 「モバイル製品」他「モバイル製品」は、入力デバイスとしての「ディスプレイ製品」にOS や記憶装置を搭載したものであるが、ユーザーの使い勝手からすれば、一般的なペン入力対応のタブレットPC(多くの場合、同社のペン・センサーシステムを搭載)と同じであり、一見すると競合関係(同社にとっては、「テクノロジーソリューション事業」との事業間競合)にあるとも言える。もっとも、入力性能にこだわるユーザーにとって両者の違いは明らかである一方、そうでない一般ユーザーにおいては、あくまでも入力デバイスにとどまる同社の「モバイル製品」よりもタブレットPC を選ぶことが合理的であるため、求められる性能や機能からの棲み分けははっきりしている。また「モバイル製品」以外では、一般消費者向けにウィンドウズタブレット向けのスタイラスペン、デジタル文具など、デジタル端末でイラストレーションやメモ作成等に使用する製品群の販売を行っている。(2) ビジネスソリューション液晶ディスプレイに直接描写や文字入力ができるビジネス用途向け製品を販売している。特に、デジタルサイン分野(ホテルのチェックインやクレジットカード決済、銀行の口座開設、保険契約の締結等)、医療分野(医療文書管理や電子カルテ、インフォームドコンセント等)、公共分野(窓口申請手続き等の行政サービスや救急救命、電子投票の支援等)での利用が進んでいる。2. テクノロジーソリューション事業デジタルペン技術※に基づき、AES テクノロジーソリューションとEMR テクノロジーソリューション他の2つに分類され、ペン・センサーシステムをスマートフォンやタブレット・ノートPC メーカーに供給している。特に市場が拡大しているスマートフォン向けが、サムスン電子(Galaxy シリーズ)向けを中心に伸びている。フォルダブルデバイス(折り畳み型のスマートフォンやPC等)や電子ペーパー技術を応用した新しいデバイスにも対応するなど、タブレット・ノートPC メーカー各社からの同社技術への評価も高く、主要メーカーとの取引やプロジェクト数も順調に伸びているようだ。同社は独自のデジタルペン技術の事実上の標準化(デファクトスタンダード)を推進することにより、ユーザーの裾野を拡げながら規模拡大を優位に進める戦略である。※アクティブES(独自の静電結合。ただしバッテリー必要)方式の技術や、電磁誘導(EMR)方式の高速・高精度位置センサー(バッテリー不要)。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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2022/12/02 15:03
注目トピックス 日本株
ワコム Research Memo(2):デジタルペンとインクの事業領域で顧客価値の創造を目指すグローバルリーダー
■事業概要ワコム<6727>は、デジタルペンとインクの事業領域で、技術に基づいた顧客価値の創造を目指すグローバルリーダーである。世界150 以上の国と地域で製品を販売し、映画制作や工業デザインのスタジオで働くデザイナー、アニメーターなどプロのクリエイターからの支持により高いブランド力と市場シェアを誇る。また「テクノロジー・リーダーシップ・カンパニー」として、最新のデジタルペン技術をスマートフォンやタブレット、デジタル文具などをパートナー企業に幅広く提供しており、教育産業のパートナーとともに教育に特化した事業領域の構築にも取り組んでいる。中低価格帯モデルでの競争激化をはじめ、デジタル技術(VR/MR、AI 等)や通信環境(モバイル、クラウド、5G 等)の進展に伴うユーザーニーズやワークフローの進化、オンライン教育やテレワークの普及拡大など市場環境が大きく変化するなかで、製品ラインナップの再構築や事業モデルのさらなる進化により、新たな成長機会の創出にも取り組んでいる。事業セグメントは、自社ブランドで「ディスプレイ製品」や「ペンタブレット製品」等を販売する「ブランド製品事業」のほか、スマートフォンやタブレットなど完成品メーカー向けに独自のデジタルペン技術をコンポーネントとして供給する「テクノロジーソリューション事業」の2つに区分される。売上高・営業利益は、2つの事業がほぼ均衡しておりバランスのとれた事業構成となっている。海外販売比率(「テクノロジーソリューション事業」を除く海外現地法人売上の比率)は約86%※を占めており、為替相場の変動が業績に及ぼす影響(特に、ユーロ円の変動は営業利益への影響が大きい)には注意が必要である。※2023 年3 月期上期の連結業績より、米国が全体の29.7%、アジア・オセアニアが33.2%、欧州(ドイツ)が22.9% となっている。また開発拠点については、デジタルインクやセキュリティ関連のソフトウェア開発(欧州中心)を除くとほぼ国内に集約する一方、生産については複数の海外パートナー(多くが中国本土に生産拠点を有する日系、台湾系資本の受託生産大手企業)に委託している。ただ、サプライチェーンの地域集中リスク緩和の観点から、周辺の東南アジア地域等へ生産拠点の分散を進めている※。※その成果として、2022 年3 月期においては一部製品に係る米国の対中追加関税措置回避による過年度分の影響を含め、約9 億円相当の売上原価の改善効果を一時的に計上した。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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2022/12/02 15:02
注目トピックス 日本株
ワコム Research Memo(1):2023年3月期上期は増収ながら減益。販売予測の見直しにより通期予想を減額修正
■要約ワコム<6727>は、デジタルペンとインクの事業領域で、技術に基づいた顧客価値の創造を目指すグローバルリーダーである。映画制作や工業デザインのスタジオで働くデザイナー、アニメーターなどプロのクリエイターからの支持により高いブランド力とシェアを誇る。自社ブランドで「ディスプレイ(液晶ペンタブレット)製品」や「ペンタブレット製品」等を販売する「ブランド製品事業」と、スマートフォンやタブレットなど完成品メーカー向けに独自のデジタルペン技術をコンポーネントとして供給する「テクノロジーソリューション事業」の2つのセグメントで事業を展開している。1. 2023年3月期上期の業績概要2023年3月期上期の連結業績は、売上高が前年同期比7.7%増の54,138百万円、営業利益が同69.8%減の2,284百万円と増収ながら減益となった。「ブランド製品事業」(中低価格帯モデル)が経済環境悪化に伴う消費マインドの急激な冷え込みやコロナ特需(オンライン教育や巣ごもり需要など)の落ち着きなどにより減収となったものの、円安によるプラス効果や「テクノロジーソリューション事業」の伸びによりカバーし、売上高全体では増収を確保することができた。損益面では、円安効果や「テクノロジーソリューション事業」により収益の押し上げがあった一方、「ブランド製品事業」における粗利益率の低下(製品ミックスの悪化や、為替変動によるドル建て仕入価格の高騰に対してドル建て以外の売上収入の部分が為替変動のマイナス影響を受けたことなど)や販管費の増加により営業減益となった。活動面では、セルシス<3663>(旧 アートスパークホールディングス(株)。子会社である(株)セルシスと2022年9月1日付で合併し、商号をセルシスに変更した。以下、セルシス)との資本業務提携(「CLIP STUDIO PAINT」を通じた教育など特定用途に向けたクリエイティブ制作体験の共同開発など)や、サムスン電子「Galaxy Z Fold4」向け「Sペン」への搭載、フラッグシップモデル「Wacom Cintiq Pro 27」の発表などで成果を残すことができた。2. 2023年3月期の業績見通し2023年3月期の連結業績予想について同社は、上期実績や今後の見通し等を踏まえ、2022年10月14日に減額修正を公表した。売上高は前期比9.4%増の119,000百万円、営業利益は同53.9%減の6,000百万円と増収減益となる見通しである。売上高予想を減額修正したのは、主に「ブランド製品事業」によるものであり、市場環境の変化に鑑み、1)「ペンタブレット製品」及び「ディスプレイ製品」における中低価格帯モデルの販売予測を見直したこと、2)一部製品の市場投入時期を延期したことが理由である。その結果、「ブランド製品事業」は前期比で減収となる一方、「テクノロジーソリューション事業」については、円安によるプラス効果やOEM提供先メーカーとの強い関係を維持することで、通期でも大幅な増収を確保する見通しとなっている。損益面では、「テクノロジーソリューション事業」の伸びや円安による連結全体でのプラス効果はあるものの、「ブランド製品事業」において、売上減と製品ミックスの悪化といった主要因に加えてドル高傾向継続によるマイナス影響もあり、粗利益率が低下、連結でも大幅な営業減益となる見通しである。3. 成長戦略同社は、4ヶ年の中期経営方針「Wacom Chapter 3」(2022 年3 月期~2025 年3 月期)に沿った取り組みを推進している。経済環境悪化に伴う足元業績の落ち込みにより、成長イメージに時間的な遅れが生じたものの、戦略方向に変更はない。「ライフロング・インク」のビジョンを継承し、改めて「5つの戦略軸」を設定するとともに、その実行に当たって「6つの主要技術開発軸」を定め、具体的な価値提供と持続的な成長につなげる方針である。特に既存技術と親和性の高いAI、XR、Security の3 分野を選択し、新コア技術と新しいビジネスモデルで新しい価値提供を実現していくところが戦略の目玉となっている。既存ビジネスの伸びをベースラインとしたうえで、新コア技術・新ビジネスモデルの上乗せにより2 ケタの成長を目指す。■Key Points・2023年3月期上期は「ブランド製品事業」(中低価格帯モデル)の想定を超える減速により増収ながら減益・経済環境悪化に伴う消費マインドの冷え込みやコロナ特需の落ち着きなどが大きく影響・上期実績や今後の見通しを踏まえ、2023年3月期の業績予想を減額修正し、通期でも増収減益を見込む・2022年3月期より中期経営方針「Wacom Chapter 3」を推進。新コア技術・新ビジネスモデルの立ち上げにより成長加速を目指す方向性に変化はない(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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2022/12/02 15:01
注目トピックス 日本株
ジェイ・エス・ビー---業績予想の修正及び配当予想の修正(増配)
ジェイ・エス・ビー<3480>は30日、2022年10月期通期(2021年11月1日~2022年10月31日)連結業績予想及び配当予想の修正(増配)を発表。2022年10月期通期の連結業績予想の売上高は前回発表予想比1.1%増の579.20億円、営業利益は同7.3%増の63.10億円、経常利益は同7.7%の61.85億円、親会社株主に帰属する当期純利益は同12.3%増の42.85億円、1株当たり当期純利益は407円80銭。賃貸入居需要の繁忙期である第2四半期連結会計期間(2月~4月)において、新規物件開発の積極展開を通じて収益基盤となる物件管理戸数が堅調に増加するとともに、オンラインによる非対面での営業活動の定着もみられ、前年に引き続き高水準の入居率を確保するに至り、好調な経営成績で推移した。また、投下資本の回収を意図した自社所有物件の売却に伴う固定資産売却益の計上も経営成績に寄与したとしている。一方、下期においては、同社グループ従業員へ利益の一部を還元するとともに、昨今の急激な物価上昇を受け、グループ従業員の生活支援とモチベーション向上を目的に、一時金としてインフレ特別手当を計上した。こうしたコスト増加要因も吸収し、当初の業績予想を上回る見込みとなったことから、通期の連結業績予想を修正するに至った。配当については創業45周年を記念して1株当たり5円の記念配当を実施する。さらに今回の連結業績予想の上方修正を踏まえ、普通配当も前回予想から3円引き上げ、1株あたり39円に修正する。これにより期末配当予想は44円となる予定。
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2022/12/02 14:58
注目トピックス 日本株
出来高変化率ランキング(14時台)~TPXダブル、エニグモがランクイン
※出来高変化率ランキングでは、直近5日平均の出来高と配信当日の出来高を比較することで、物色の傾向など市場参加者の関心を知ることができます。■出来高変化率上位 [12月2日 14:36 現在](直近5日平均出来高比較)コード⇒銘柄⇒出来高⇒5日平均出来高⇒出来高変化比率⇒株価変化率<5698> エンビプロHD 1304700 81740 1496.16% 2.81%<9287> JIF 15606 1613.2 867.39% -1.2%<1369> DIAM225 5853 955.4 512.62% -1.84%<7063> バードマン 843900 141180 497.75% -0.64%<5026> トリプルアイズ 1243600 255220 387.27% 5.42%<7375> リファインバスG 194800 40080 386.03% 9.14%<6355> 住友精密 160200 35860 346.74% 0.14%<4813> ACCESS 1796600 430800 317.04% 7.26%<1346> MXS225 31373 7586.2 313.55% -1.79%<6569> 日総工産 565200 138720 307.44% 4.79%<5009> 富士興産 563800 139160 305.15% -0.62%<1345> 上場Jリート 155400 38600 302.59% -0.51%<6255> NPC 3406200 851940 299.82% -11.09%<2138> クルーズ 2620600 684760 282.70% 13.93%<7777> 3Dマトリクス 2053800 548160 274.67% 0.99%<7050> フロンティアI 179600 49760 260.93% 2.97%<6668> プラズマ 722000 204520 253.02% 7.18%<1305> ETFTPX 1233610 351770 250.69% -1.67%<1580> 日経-1倍 88380 26318 235.82% 1.75%<2845> 野村ナスH有 381390 120512 216.47% -0.55%<6627> テラプロ 241400 77340 212.13% 5.86%<1367>* TPXダブル 11631 3815 204.88% -3.54%<6560> LTS 43300 14460 199.45% 5.48%<6050> EG 164600 55140 198.51% -3.32%<3665>* エニグモ 484000 166560 190.59% 5.23%<1320> ETF225 62565 22088.2 183.25% -1.84%<7078>* INC 463600 168580 175.00% 3.68%<6284> ASB機械 72800 26900 170.63% 3.48%<3302> 帝繊維 171000 63580 168.95% -1.4%<1597>* MXSJリート 169150 64418 162.58% -0.45%(*)はランキングに新規で入ってきた銘柄20日移動平均売買代金が5000万円以下のものは除外
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2022/12/02 14:54
注目トピックス 日本株
飯野海運---固定資産を取得 大型液化エタン輸送船2隻
飯野海運<9119>は、11月30日、現代重工業(本社:韓国)より、99,000㎥型液化エタン輸送船2隻の固定資産を取得することを発表した。今後の輸送需要増加が期待される液化エタンの輸送に従事する予定。取得予定日程は、2025年10月から2026年1月。2隻合計での取引価額は、適時開示基準である直前連結会計年度(2022年3月期)末日における連結純資産913.33億円の30%に相当する額以上であるとし、この固定資産の取得により、同社グループの2023年3月期連結業績に与える影響は軽微であるとしている。取得する船舶は、従来の燃料油と比較し二酸化炭素の排出量が少ないエタンも燃料として使用できる二元主機関搭載船。同社は、INEOS Europe AG社との間で、長期の定期用船契約を締結したことを同日発表している。同社は60年超のガス船事業の実績を持つが、初めてのVLECの定期用船契約となり、現行の約100隻の運航船隊にこの2隻が新たに加わる。エタンはエチレンの精製原料として利用されており、従来のナフサを用いた精製方法と比べて、環境負荷の低減が期待されている。
<SI>
2022/12/02 14:28
注目トピックス 日本株
ピープル---急落、第4四半期の急失速をネガティブ視へ
ピープル<7865>は急落。前日に第3四半期決算を発表、累計営業利益は6.1億円で前年同期比2.5倍となり、従来予想の5.6億円も上回る着地に。ただ、新たに公表した通期予想は4.8億円で同7.0%減益見通しとしており、業績の急速な鈍化をネガティブ視する動きが優勢に。第4四半期は米国向け売上の大幅な減少を見込んでいる。同時に公表した10月の月次動向でも、売上高は海外販売の急減速によって前年同月比59.0%減と大幅なマイナスに転じる。
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2022/12/02 14:07
注目トピックス 日本株
出来高変化率ランキング(13時台)~バードマン、住友精密などがランクイン
※出来高変化率ランキングでは、直近5日平均の出来高と配信当日の出来高を比較することで、物色の傾向など市場参加者の関心を知ることができます。■出来高変化率上位 [12月2日 13:35 現在](直近5日平均出来高比較)コード⇒銘柄⇒出来高⇒5日平均出来高⇒出来高変化比率⇒株価変化率<5698>* エンビプロHD 1231900 81740 1407.10% 3.51%<1369> DIAM・日経 5665 955.4 492.95% -1.79%<7063> バードマン 707500 141180 401.13% 1.15%<7375> リファインバスG 184400 40080 360.08% 9.55%<5026> トリプルアイズ 1162900 255220 355.65% 9.46%<6355> 住友精密 158500 35860 342.00% 0.14%<1345> 上場Jリート 152200 38600 294.30% -0.46%<1346> MXS225 29692 7586.2 291.39% -1.74%<5009> 富士興産 538400 139160 286.89% -0.53%<6255> NPC 3133100 851940 267.76% -9.88%<4813> ACCESS 1574900 430800 265.58% 7.03%<6569> 日総工産 502000 138720 261.88% 5.12%<7777> 3Dマトリクス 1941000 548160 254.09% 0.99%<7050> フロンティアI 169000 49760 239.63% 2.26%<1305> ETFTPX 1061390 351770 201.73% -1.62%<6627> テラプロ 227400 77340 194.03% 5.59%<2138>* クルーズ 1867000 684760 172.65% 16.74%<6668>* プラズマ 550300 204520 169.07% 6.9%<1320>* ETF225 58062 22088.2 162.86% -1.77%<6050> EG 144000 55140 161.15% -3.18%<1580>* 225インバー 68210 26318 159.18% 1.73%<3302> 帝繊維 164000 63580 157.94% -1.28%<9412>* スカパーJ 1096200 432120 153.68% -3.63%<9260> Wismettac 65600 26840 144.41% -2.98%<6284> ASB機械 63600 26900 136.43% 3.02%<4221> 大倉工 69300 29620 133.96% -0.75%<6560>* LTS 33600 14460 132.37% 4.35%(*)はランキングに新規で入ってきた銘柄20日移動平均売買代金が5000万円以下のものは除外
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2022/12/02 13:53
注目トピックス 日本株
メルカリ---大幅続伸、赤字事業の収益性改善を見込み欧州系証券では新規に買い推奨
メルカリ<4385>は大幅続伸。UBS証券では投資判断を新規に「Buy」、目標株価を3700円としている。決済サービスの強化により国内実質トップのポジションが強まること、競合対比で利用頻度が高い米国事業の黒字化が26年6月期までに可能とみられることなどを評価。四半期決算で2つの赤字事業の収益性改善が確認できるにつれ、同業他社比で過大となっているディスカウントは解消に向かうと考えているようだ。
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2022/12/02 13:51
注目トピックス 日本株
TOKAIホールディングス---ドコモのエコノミーMVNO と「LIBMO」が連携
TOKAIホールディングス<3167>は1日、NTTドコモとTOKAIコミュニケーションズの「LIBMO」が、ドコモのエコノミーMVNOとして連携すると発表。これに伴い2022年12月21日より、全国のドコモショップでLIBMOの取り扱い、およびLIBMOサービスにおける「dポイント」の取り扱いを開始する。
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2022/12/02 13:41
注目トピックス 日本株
伊藤園---続伸、上半期営業益は増益に転換へ
伊藤園<2593>は続伸。前日に上半期決算を発表、営業利益は113億円で前年同期比4.4%増となり、従来計画の116億円に近い水準での着地となっている。第1四半期減益決算からは増益に転換へ。通期予想200億円、前期比6.4%増は据え置いている。10月の価格改定効果などによって、販売単価が上昇している。実績値はコンセンサスをやや下回ったもようだが、競合各社の苦戦が目立つ中で、相対的に底堅い決算との評価が先行。
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2022/12/02 13:37
注目トピックス 日本株
太洋工業---急反発、近畿大と共同で機能性セラミックス薄膜複合フレキシブル基板開発
太洋工業<6663>は急反発。近畿大学との共同研究で「機能性セラミックス薄膜複合フレキシブル基板」を開発したと前日に発表している。近畿大学の単結晶薄膜転写技術と同社の加工技術を組み合わせて応用することで、フレキシブルプリント配線板に形成した電極上に直接、機能性セラミックス薄膜を接合し、通電により機能性を発現させることに成功したもよう。23年度中のサンプル出荷を目指すとしており、業績インパクトを期待する動きが優勢に。
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2022/12/02 13:21
注目トピックス 日本株
ヤクルト---売り優勢、来年度までの利益成長は織り込んだと判断し国内証券が格下げ
ヤクルト<2267>は前日比変わらずを挟んで大幅続落。三菱UFJモルガン・スタンレー証券では投資判断を「オーバーウェイト」から「ニュートラル」に格下げ、目標株価は9500円としている。国内事業の高付加価値化による24年3月期までの利益成長は一旦織り込んだと判断。過去2年の業績を押し上げた新興国通貨の対円での上昇に一服感が出てきたことも考慮のようだ。今後は、海外現地通貨ベースの業績反転などを見極めたいとしている。
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2022/12/02 12:56
注目トピックス 日本株
日経平均寄与度ランキング(前引け)~日経平均は大幅反落、ファーストリテが1銘柄で約42円分押し下げ
2日前引け時点の日経平均構成銘柄の騰落数は、値上がり5銘柄、値下がり220銘柄、変わらず0銘柄となった。日経平均は大幅反落。546.24円安の27679.84円(出来高概算7億204万株)で前場の取引を終えている。1日の米株式市場でダウ平均は194.76ドル安(−0.56%)と3日ぶり反落。11月ISM製造業景気指数が新型コロナ・パンデミック以降で最低水準に落ち込んだため、景気後退入りを懸念した売りが先行した。一方、連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ減速期待を背景に長期金利がさらに低下したことでハイテクが買い戻され、相場の下値を支えた。ナスダック総合指数は+0.12%と小幅続伸。まちまちな米株式市場を受けた東京市場では、米国の低調な経済指標を受けた急速な為替の円高進行を受けて売りが先行し、日経平均は242.9円安からスタート。寄り付き後も断続的な売りが入り、前引けまで下げ幅を広げる展開となった。個別では、景気後退懸念や為替の円高進行を背景にトヨタ自<7203>、日産自<7201>、ホンダ<7267>の自動車関連のほか、郵船<9101>や川崎汽船<9107>の海運、キーエンス<6861>、SMC<6273>の機械、村田製<6981>、TDK<6762>のハイテク、INPEX<1605>、日本製鉄<5401>、三菱マテリアル<5711>、コマツ<6301>、三井物産<8031>などの資源関連まで幅広いセクターの銘柄が総じて大きく下落。NTT<9432>、KDDI<9433>の通信、第一三共<4568>、アステラス製薬<4503>の医薬品、三井不動産<8801>、三菱地所<8802>の不動産などディフェンシブ銘柄も大幅安。ヤクルト本社<2267>、JFE<5411>、バンナムHD<7832>、コナミG<9766>はレーティング格下げも重石として働いた。一方、レーザーテック<6920>とディスコ<6146>が逆行高で、その他の半導体関連株も総じて底堅い動き。円高進行がメリットになるニトリHD<9843>のほか、資生堂<4911>などディフェンシブの一角が小じっかり。サイバー<4751>はサッカーワールドカップでの日本の決勝トーナメント進出を受けてABEMA事業への期待感から大きく上昇。三菱マテリアルとのリチウムイオン電池リサイクルにおける共同開発を発表したエンビプロHD<5698>は急伸。マキタ<6586>は複数の証券会社からのレーティング格上げが観測されて上昇となっている。セクターでは医薬品、不動産、卸売を筆頭に全面安となった。東証プライム市場の値下がり銘柄は全体の94%、対して値上がり銘柄は5%となっている。値下がり寄与トップはファーストリテ<9983>となり1銘柄で日経平均を約42円押し下げた。同2位は第一三共<4568>となり、KDDI<9433>、ダイキン<6367>、オリンパス<7733>、ファナック<6954>、信越化<4063>などがつづいた。一方、値上がり寄与トップは花王<4452>となり1銘柄で日経平均を約1円押し上げた。同2位はサイバーエージェント<4751>となり、資生堂<4911>、シャープ<6753>、楽天グループ<4755>などがつづいた。*11:30現在日経平均株価 27679.84(-546.24)値上がり銘柄数 5(寄与度+4.99)値下がり銘柄数 220(寄与度-551.23)変わらず銘柄数 0○値上がり上位銘柄コード 銘柄 直近価格 前日比 寄与度<4452> 花王 5516 57 +1.95<4751> サイバー 1305 66 +1.81<4911> 資生堂 6063 29 +0.99<6753> シャープ 988 6 +0.21<4755> 楽天グループ 663 1 +0.03○値下がり上位銘柄コード 銘柄 直近価格 前日比 寄与度<9983> ファーストリテ 81530 -1250 -42.80<4568> 第一三共 4375 -222 -22.81<9433> KDDI 3982 -100 -20.55<6367> ダイキン工 22255 -470 -16.09<7733> オリンパス 2685.5 -102 -13.97<6954> ファナック 20165 -400 -13.70<4063> 信越化 17460 -390 -13.35<6762> TDK 4890 -120 -12.33<4543> テルモ 4006 -83 -11.37<4519> 中外薬 3558 -98 -10.07<7832> バンナムHD 8706 -282 -9.66<4503> アステラス薬 2071 -56 -9.59<8035> 東エレク 46670 -230 -7.88<2801> キッコマン 7590 -230 -7.88<6988> 日東電 8420 -230 -7.88<7203> トヨタ自 1953 -45.5 -7.79<6098> リクルートHD 4328 -72 -7.40<6758> ソニーG 11115 -210 -7.19<9613> NTTデータ 2081 -40 -6.85<6971> 京セラ 6905 -100 -6.85
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2022/12/02 12:55
注目トピックス 日本株
ベネフィット・ワン---ワン・オー・ワンとHRTech領域で連携
ベネフィット・ワン<2412>は30日、ワン・オー・ワンとHRTech領域で連携すると発表。人事・総務部の業務効率化支援を目的に、ベネフィット・ワンが提供する「ベネワン・プラットフォーム」と、ワン・オー・ワンが提供する「スキルナビ」のデータ(CSV)連携を開始する。今回の両社の協業により、「スキルナビ」で登録された社員番号や氏名などの従業員データを 「ベネワン・プラットフォーム」に連携することが可能となり、企業の人事担当者は、会員制福利厚生サービス「ベネフィット・ステーション」の登録など、データの入れ直しや、照合等のデータ登録業務の業務負荷の軽減が可能となる。同社は今後も、本協業を通して効率的な人事管理の実現を支援するとともに、人事部門のHRTech領域でDXをさらに推進するとしている。
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2022/12/02 12:14
注目トピックス 日本株
トリプルアイズ---AIZE Breath、全日本トラック協会の安全装置等導入促進助成事業対象機器に選定
トリプルアイズ<5026>は1日、アルコール検知AIクラウドシステム「AIZE Breath」が、全日本トラック協会の安全装置等導入促進助成事業における対象機器に選定されたことを発表。同協会は、事業用トラックの交通事故ゼロを目指すため、安全に資する装置等の普及を図る助成事業を行なっている。AIZE Breathは、環境優良車普及機構より助成対象機器に選定されている。ドライバーの顔画像をAIが認証しアルコール検査結果をクラウドシステムに記録するシステムである。自動記録かつ一元管理で業務工数を大幅に削減できる。ハンディタイプは、場所を選ばずアルコールチェックをすることができる。運転日報をスマホから入力できる機能も近日搭載予定である。Gマーク認定事業所が導入する場合にのみ対象となり、対象装置ごとに機器取得価格の1/2(上限2万円)が助成される。
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2022/12/02 11:36
注目トピックス 日本株
JFE---大幅反落、鋼材マージン悪化を予想し米系証券では投資判断を格下げ
JFE<5411>は大幅反落。モルガン・スタンレーMUFG証券では投資判断を「オーバーウェイト」から「イコールウェイト」に格下げ、目標株価も2000円から1650円に引き下げている。2年ぶりに鋼材在庫出荷サイクルは陰の局面に入り、今後は国内鋼材価格が調整し、鋼材マージンはやや悪化すると予想している。業界投資判断をIn-LineからCautiousに引き下げており、同社のほか神戸製鋼所の投資判断も格下げしているようだ。
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2022/12/02 11:26
注目トピックス 日本株
マキタ---続伸、複数で投資判断格上げの動き観測
マキタ<6586>は続伸。投資判断格上げの動きが複数で観測されている。大和証券では投資判断を「3」から「2」へ格上げ、目標株価も3000円から3500円に引き上げ、みずほ証券でも投資判断を「中立」から「買い」に格上げ、目標株価を3450円から3850円に引き上げているもよう。大和証券では、当面は 在庫削減が最大の経営課題となるが、今期がボトムと考えられるため、大きく調整してきた株価の反転が期待できると判断しているようだ。
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2022/12/02 11:21
注目トピックス 日本株
住石HD---ストップ高買い気配、井村俊哉氏の大量取得が明らかに
住石HD<1514>はストップ高買い気配。著名投資家である井村俊哉氏が発行済み株式数の7.65%を保有する大株主に浮上したことが大量保有報告書で明らかになっており、買い材料につながる格好となっている。10月以降に市場内で取得、保有目的は純投資としている。井村氏は三井松島の大株主として話題となっていたほか、直近では富山第一銀行の大量取得が明らかになり、株高材料とされる状況になっていた。
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2022/12/02 11:06
注目トピックス 日本株
出来高変化率ランキング(10時台)~ジャパニアス、日比谷設などがランクイン
※出来高変化率ランキングでは、直近5日平均の出来高と配信当日の出来高を比較することで、物色の傾向など市場参加者の関心を知ることができます。■出来高変化率上位 [12月2日 10:39 現在](直近5日平均出来高比較)銘柄コード 銘柄名 出来高 5日平均出来高 出来高変化率 株価変化率<9287> JIF 12400 1613.2 668.66% -1.3%<1345> 上場Jリート 130000 38600 236.79% 0.15%<1346> MXS225 25124 7586.2 231.18% -1.81%<5009> 富士興産 436600 139160 213.74% -0.44%<1369>* DIAM225 2970 955.4 210.86% -1.6%<7063> バードマン 435400 141180 208.4% 2.17%<6255> NPC 2516900 851940 195.43% -9.71%<7777> 3Dマトリクス 1532300 548160 179.54% 2.3%<6355> 住友精密 98600 35860 174.96% 0.14%<7375> リファインバスG 105900 40080 164.22% 10.71%<5026> トリプルアイズ 662800 255220 159.7% 7.44%<6569> 日総工産 349100 138720 151.66% 2.64%<3302> 帝繊維 143000 63580 124.91% -1.89%<4813> ACCESS 936300 430800 117.34% 5.15%<7050> フロンティアI 102800 49760 106.59% 5.97%<6627> テラプロ 151600 77340 96.02% 5.86%<4221> 大倉工 56900 29620 92.1% -1.35%<1651>* 大和高配40 11070 6196 78.66% -2.24%<9260> Wismettac 47100 26840 75.48% -2.44%<3950> ザ・パック 56400 32480 73.65% -2.38%<9558>* ジャパニアス 85800 50400 70.24% 4.48%<1368>* TPXDベア 48107 29281.6 64.29% 4.18%<8935> FJネクHD 145000 88440 63.95% -1.67%<1982>* 日比谷設 39800 24720 61% 0%<6050>* EG 88400 55140 60.32% -2.83%<1305>* ETFTPX 559070 351770 58.93% -2.1%<7386> JWS 39700 25160 57.79% 6.22%<2633> 野村SPH無 53100 33752 57.32% -1.34%<6140>* 旭ダイヤ 304600 195520 55.79% -3.77%<8022> ミズノ 180200 118940 51.5% 0.81%(*)はランキングに新規で入ってきた銘柄20日移動平均売買代金が5000万円以下のものは除外
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2022/12/02 10:50
注目トピックス 日本株
三菱自---大幅続落、一段のドル安・円高進行が重しに
三菱自<7211>は大幅続落。為替市場では一段のドル安・円高が進行しており、円安メリットの大きい同社など自動車関連株の売り材料につながっている。外為市場では1ドル=135円10銭台にまで一時ドル安円高が進行、前日の昨日15時頃に比べて1円20銭ほどドル安円高に振れている。12月FOMCにおける利上げペース減速観測が強まっているほか、米ISM製造業景気指数が想定以上に低下したことなどもドル安要因となっている。
<ST>
2022/12/02 10:47
注目トピックス 日本株
グッドスピード---第三者割当による行使価額修正条項付第3回新株予約権の11月における月間行使状況
グッドスピード<7676>は1日、2021年12月3日に発行した第三者割当による行使価額修正条項付第3回新株予約権の11月における月間行使状況を発表。行使された新株予約権の数(株式数)は2,339個(233,900株)、発行総数に対する行使比率は37.13%である。月末時点における未行使の新株予約権の数は472個、累計行使新株予約権の数は5,828個、累計行使比率は92.51%である。行使価額は、1日が1,571.6円、8日が1,552.5円、15日が1,810.9円、22日が2,013.0円、29日が2,095.8円である。行使制限に関する状況について、すべての回号を合算した交付株式数は233,900株、発行の払込日時点における上場株式数は3,125,900株で、行使制限に係る行使比率は7.48%である。
<SI>
2022/12/02 10:41