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ワコム Research Memo(4):2023年3月期上期は増収減益。「ブランド製品事業」が想定を超える減速
配信日時:2022/12/02 15:04
配信元:FISCO
■決算概要
1. 2023年3月期上期の業績概要
ワコム<6727>の2023年3月期上期の連結業績は、売上高が前年同期比7.7%増の54,138百万円、営業利益が同69.8%減の2,284百万円、経常利益が同45.1%減の4,203百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同44.0%減の3,231百万円と増収ながら減益となった。
「ブランド製品事業」(中低価格帯モデル)が経済環境悪化に伴う消費マインドの急激な冷え込みやコロナ特需(オンライン教育や巣ごもり需要など)の落ち着きなどにより減収となったものの、円安によるプラス効果※や「テクノロジーソリューション事業」の伸びによりカバーし、売上高全体では増収を確保することができた。
※売上高全体を約80億円押し上げる要因となった。
損益面では、円安効果※1や「テクノロジーソリューション事業」が収益を押し上げた一方、「ブランド製品事業」における粗利益率の低下や販管費(研究開発費を含む)の増加※2により営業減益となった。なお、「ブランド製品事業」における粗利益率の低下は、製品ミックスの悪化や為替変動によるドル建て仕入価格の高騰に対してドル建て以外の売上収入の部分が為替変動のマイナス影響を受けたことなどが主因である。
※1 営業利益全体を約5億円押し上げる要因となった。ただ、セグメント別に見ると、「ブランド製品事業」には約8億円のマイナス要因、「テクノロジーソリューション事業」には約15億円のプラス要因となっており、それぞれ違う出方となっていることには注意が必要である。また、営業外収益として、円安による為替差益(19億円)を計上した。
※2 約9億円の研究開発費の増加を含む約25億円の販管費の増加(うち、約11億円が円安による増加要因)となった。
財政状態については、棚卸資産の増加などにより総資産が前期末比10.7%増の81,165百万円に拡大した一方、自己資本は内部留保及び為替換算調整勘定の増加分と、自己株式の消却等に伴う減少分がほぼ均衡し、同0.7%増の43,786百万円と同水準で推移したことから、自己資本比率は53.9%(前期末は59.3%)に若干低下した。
2. 事業別の業績概要
(1) ブランド製品事業
売上高は前年同期比21.1%減の20,425百万円、セグメント損失は1,852百万円(前年同期は5,494百万円の利益)と減収減益となりセグメント損失を計上した。売上高は、主力の「クリエイティブソリューション」(特に中低価格帯モデル)が、経済環境悪化に伴う消費マインドの急激な冷え込み、コロナ特需(オンライン教育や巣ごもり需要など)の落ち着きに加え、中国の一部地域でのロックダウンの影響等を受けて減収となった。また、「ビジネスソリューション」についても流動的な市況の変化等の影響によりわずかな増収にとどまった。損益面で大幅な減益(セグメント損失の計上)となったのは、高収益の「ペンタブレット製品」の落ち込み(製品ミックスの悪化)や為替変動によるドル建て仕入価格の高騰に対してドル建て以外の売上収入の部分が為替変動のマイナス影響を受けたほか、積極的な研究開発投資も利益を圧迫する要因となった。
a) クリエイティブソリューションの売上高
前年同期比23.4%減の18,181百万円と減少した。製品別に見ると、「ディスプレイ製品」は、プロ向け製品が伸びた一方、消費マインドの冷え込みやコロナ需要の落ち着き等により中低価格帯のエントリーモデルが減収となった。一方、「ペンタブレット製品」については、経年等の影響によりプロ向け製品が減収になるとともに、「ディスプレイ製品」と同様、中低価格帯モデルが大きく落ち込んだ。「モバイル製品他」についてもモバイル製品及びスタイラスペン製品ともに減収となった。
b) ビジネスソリューションの売上高
前年同期比4.5%増の2,244百万円と伸長した。流動的な市況の変化や案件進捗の影響を受けるなか、わずかな増収にとどまった。
(2) テクノロジーソリューション事業
売上高は前年同期比38.3%増の33,713百万円、セグメント利益は同55.4%増の6,552百万円と大幅な増収増益となった。売上高は、コロナ禍の影響により生産サプライチェーンの制約等があったなか、「AESテクノロジーソリューション」「EMRテクノロジーソリューション」がともに大きく伸びた。損益面でも、次世代技術開発等に向けた研究開発投資を加速する一方、増収による収益の押し上げや円安によるプラス効果により大幅な増益を実現した。
a) AESテクノロジーソリューションの売上高
OEM提供先メーカー各社から引き続き高い評価を獲得しており、前年同期比28.9%増の12,748百万円と大きく伸長した。
b) EMRテクノロジーソリューション他の売上高
OEM提供先メーカーのポートフォリオ変化が奏功し、前年同期比44.7%増の20,965百万円と大きく伸長した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
<NS>
1. 2023年3月期上期の業績概要
ワコム<6727>の2023年3月期上期の連結業績は、売上高が前年同期比7.7%増の54,138百万円、営業利益が同69.8%減の2,284百万円、経常利益が同45.1%減の4,203百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同44.0%減の3,231百万円と増収ながら減益となった。
「ブランド製品事業」(中低価格帯モデル)が経済環境悪化に伴う消費マインドの急激な冷え込みやコロナ特需(オンライン教育や巣ごもり需要など)の落ち着きなどにより減収となったものの、円安によるプラス効果※や「テクノロジーソリューション事業」の伸びによりカバーし、売上高全体では増収を確保することができた。
※売上高全体を約80億円押し上げる要因となった。
損益面では、円安効果※1や「テクノロジーソリューション事業」が収益を押し上げた一方、「ブランド製品事業」における粗利益率の低下や販管費(研究開発費を含む)の増加※2により営業減益となった。なお、「ブランド製品事業」における粗利益率の低下は、製品ミックスの悪化や為替変動によるドル建て仕入価格の高騰に対してドル建て以外の売上収入の部分が為替変動のマイナス影響を受けたことなどが主因である。
※1 営業利益全体を約5億円押し上げる要因となった。ただ、セグメント別に見ると、「ブランド製品事業」には約8億円のマイナス要因、「テクノロジーソリューション事業」には約15億円のプラス要因となっており、それぞれ違う出方となっていることには注意が必要である。また、営業外収益として、円安による為替差益(19億円)を計上した。
※2 約9億円の研究開発費の増加を含む約25億円の販管費の増加(うち、約11億円が円安による増加要因)となった。
財政状態については、棚卸資産の増加などにより総資産が前期末比10.7%増の81,165百万円に拡大した一方、自己資本は内部留保及び為替換算調整勘定の増加分と、自己株式の消却等に伴う減少分がほぼ均衡し、同0.7%増の43,786百万円と同水準で推移したことから、自己資本比率は53.9%(前期末は59.3%)に若干低下した。
2. 事業別の業績概要
(1) ブランド製品事業
売上高は前年同期比21.1%減の20,425百万円、セグメント損失は1,852百万円(前年同期は5,494百万円の利益)と減収減益となりセグメント損失を計上した。売上高は、主力の「クリエイティブソリューション」(特に中低価格帯モデル)が、経済環境悪化に伴う消費マインドの急激な冷え込み、コロナ特需(オンライン教育や巣ごもり需要など)の落ち着きに加え、中国の一部地域でのロックダウンの影響等を受けて減収となった。また、「ビジネスソリューション」についても流動的な市況の変化等の影響によりわずかな増収にとどまった。損益面で大幅な減益(セグメント損失の計上)となったのは、高収益の「ペンタブレット製品」の落ち込み(製品ミックスの悪化)や為替変動によるドル建て仕入価格の高騰に対してドル建て以外の売上収入の部分が為替変動のマイナス影響を受けたほか、積極的な研究開発投資も利益を圧迫する要因となった。
a) クリエイティブソリューションの売上高
前年同期比23.4%減の18,181百万円と減少した。製品別に見ると、「ディスプレイ製品」は、プロ向け製品が伸びた一方、消費マインドの冷え込みやコロナ需要の落ち着き等により中低価格帯のエントリーモデルが減収となった。一方、「ペンタブレット製品」については、経年等の影響によりプロ向け製品が減収になるとともに、「ディスプレイ製品」と同様、中低価格帯モデルが大きく落ち込んだ。「モバイル製品他」についてもモバイル製品及びスタイラスペン製品ともに減収となった。
b) ビジネスソリューションの売上高
前年同期比4.5%増の2,244百万円と伸長した。流動的な市況の変化や案件進捗の影響を受けるなか、わずかな増収にとどまった。
(2) テクノロジーソリューション事業
売上高は前年同期比38.3%増の33,713百万円、セグメント利益は同55.4%増の6,552百万円と大幅な増収増益となった。売上高は、コロナ禍の影響により生産サプライチェーンの制約等があったなか、「AESテクノロジーソリューション」「EMRテクノロジーソリューション」がともに大きく伸びた。損益面でも、次世代技術開発等に向けた研究開発投資を加速する一方、増収による収益の押し上げや円安によるプラス効果により大幅な増益を実現した。
a) AESテクノロジーソリューションの売上高
OEM提供先メーカー各社から引き続き高い評価を獲得しており、前年同期比28.9%増の12,748百万円と大きく伸長した。
b) EMRテクノロジーソリューション他の売上高
OEM提供先メーカーのポートフォリオ変化が奏功し、前年同期比44.7%増の20,965百万円と大きく伸長した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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