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注目トピックス 日本株 アンジェス Research Memo(7):椎間板性腰痛症を対象としたNF-κBデコイオリゴDNAは開発戦略を策定中 ■アンジェス<4563>の主要開発パイプラインの動向3. NF-κBデコイオリゴDNANF-κBデコイオリゴDNAは、人工核酸により遺伝子の働きを制御する「核酸医薬」の一種で、生体内で免疫・炎症反応を担う「転写因子NF-κB」に対する特異的な阻害剤となる。主にNF-κBの活性化による過剰な免疫・炎症反応を原因とする疾患の治療薬として、研究開発を進めている。● 椎間板性腰痛症(注射投与)椎間板性腰痛症の患部にNF-κBデコイオリゴDNA(開発コードAMG0103)を注射投与することによって、慢性腰痛に対する鎮痛効果とともに、椎間板変性に対する進行抑制や修復を促す効果が期待される。新タイプの腰痛治療薬として2018年2月より米国で後期第1相臨床試験(25症例)を実施し、全症例の投与後12ヶ月間におけるトップラインデータを2021年4月に発表した。発表資料によれば、12ヶ月間の観察期間を通じて重篤な有害事象は認められず高い安全性が確認されたこと、有効性についても投与早期に腰痛が大幅に軽減し、腰痛の抑制効果も投与12ヶ月後まで継続したことが確認されたとしている。また、患者自身からも高い満足度が得られており、良好な結果が得られたものと同社では評価している。治験責任医師からも、「AMG0103は素晴らしい安全性プロファイルを有し、12ヶ月にわたり腰痛を有意に軽減しており、慢性椎間板性腰痛症に苦しむ患者に対して画期的治療薬となる可能性があると考えています。さらに、腰痛の軽減に加えて、椎間板の高さを回復させる可能性が示唆されたことは注目に値します。」とのコメントを得ている。現在、慢性椎間板性腰痛症に関しては、一般療法としてステロイド注射(対処療法)が使用されることが多いが、同治療薬との比較においても同等以上の効果が得られたとしている。ステロイドが一時的な対処療法であるのに対してAMG0103は炎症を抑制する効果があり、その結果として腰痛の症状が改善することが理由と考えられる。椎間板性腰痛症は慢性的な腰痛疾患で特に中高年層に多く、米国の患者数は577万人程度と見られている。米国では治療法として椎間板内注射が一般的であり、手技に習熟している医師も多くAMG0103の導入が進む環境は整っている。ただ、価格面を考えると鎮痛効果だけでは既存治療法と差別化が難しいため、椎間板変性に対する進行抑制効果や修復促進効果などが今後の臨床試験で確認できれば開発成功に向けて大きく前進するものと思われる。第2相臨床試験では米国だけでなく欧州や日本での実施も新たな検討項目として上がっているもようで、トップラインデータの発表を受けて国内外の製薬企業からの注目度も高まっており、第2相臨床試験の開始前にライセンス契約が決まる可能性もある。ただ、まだ症例数も少ないことから、第2相臨床試験を実施しさらなるデータを蓄積したうえで契約交渉に臨む可能性が高いと弊社では見ている。同社では、今後の開発方針を2023年春までに明らかにしたい意向を示している。なお、AMG0103の開発に成功すれば、慢性椎間板性腰痛症に使用される世界初の核酸医薬品となる可能性がある。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <SI> 2022/12/07 15:47 注目トピックス 日本株 アンジェス Research Memo(6):新型コロナDNAワクチンは経鼻投与製剤での開発を目指し共同研究を開始 ■主要開発パイプラインの動向2. 新型コロナウイルス感染症予防DNAワクチン及び治療薬(1) 新型コロナウイルス感染症予防DNAワクチンアンジェス<4563>は2022年9月7日付で新型コロナウイルス感染症(武漢型)向けDNAワクチンの開発中止と合わせて、変異株(オミクロンBA.5等)に対する改良型DNAワクチンの経鼻投与製剤についての研究開始を発表した。新型コロナウイルス感染症(武漢型)向けDNAワクチンについては、高用量製剤での臨床試験を2021年より行ってきたものの主要評価項目である、12週後のSARS-CoV-2のシュードウイルスに対する中和活性及び12週後のSARS-CoV-2スパイク(S)糖タンパク質特異的抗体価が期待する水準に達しなかったため中止を決定した。なお、初期のワクチンの開発中止により、これまで共同研究に参画してきた大阪大学及びタカラバイオ、ダイセル、EPSグループ、ファンペップ、新日本科学等との初期のワクチンに関する共同研究も終了している。一方で、これまでの研究開発の知見を生かして、プラスミド※の発現効率や導入効率の向上等、プラットフォームの見直しを行い、将来発生する可能性のある新たな変異株への対応も視野に入れ、安全でより効果の高い改良型DNAワクチンの経鼻投与製剤の開発を進めるべく、スタンフォード大学と共同研究契約を締結した。同大学が開発した「Gold-Nanostar Octopod」技術を活用して開発を進めていく。同技術を用いて作製した経鼻投与ワクチン(武漢型の遺伝子配列を持つプラスミドDNA)でマウス実験を実施したところ、ワクチン投与後に血清中の抗体(IgG、IgA、IgM)上昇が確認されたほか、β株等の変異株に対しても中和活性を示したこと、組織学的な検討によりリンパ節・脾臓においてスパイクタンパク質に対する細胞性免疫反応、液性免疫反応が確認されたことなどから、同技術を用いて研究開発を行う価値があると判断した。共同研究の期間としてはおおむね3年程度、研究費は約3百万ドルを見込んでいる。コロナワクチンの主流となっているmRNAワクチンは保存温度の条件がマイナス70℃以下だが、DNAワクチンはマイナス20℃以下でよく、また凍結乾燥剤にすれば室温での保存も可能となる。このため、冷蔵設備や低温物流等のインフラが整備されていない発展途上国で需要があると同社では見ており、順調に開発が進めばライセンス契約も視野に入れ海外で臨床試験を行うことを想定している。※プラスミド(plasmid)とは、大腸菌などの細菌や酵母の核外に存在し、細胞分裂によって娘細胞へ引き継がれるDNA分子の総称。一般的に環状の2本鎖構造を取り、染色体のDNAからは独立して複製を行う。その独立した遺伝子複製機構から、遺伝子組み換え操作のベクターとして創薬などで利用されている。このプラスミドを大腸菌に導入し、大腸菌の大量培養により目的のDNAを増幅する。プラスミド製法では、HGF遺伝子治療用製品「コラテジェン(R)」が上市済みであり、製法そのものについての安全性は確認されている。なお、今まで実施してきた新型コロナウイルス感染症(武漢型)向けワクチンの研究開発費用は国の補助金等で賄われており、入金された補助金は監査が完了した分を営業外収益として計上する格好となっている。2021年12月期に1,399百万円を計上し、2022年12月期第3四半期累計では118百万円を計上した。残りの金額については前受金として流動負債に計上しており、2022年12月期第3四半期末時点で5,764百万円となっている。今後、開発プロジェクトの実績報告書を関係当局に提出し、監査・承認を経て補助金等の金額が確定(補助金収入として計上)することになる。関係当局の年度末が3月のため、残額分の一部は計上時期が2023年12月期にずれ込む可能性もある。(2) 新型コロナウイルス感染症治療薬「AV-001」の開発状況カナダのVasomuneとの共同開発品である「AV-001」(Tie2受容体アゴニスト化合物)※は、もともと2018年より全世界を対象に急性呼吸不全など血管の不全を原因とする疾患を対象とした治療薬として共同開発を進めてきたものだが、中等度から重度の新型コロナウイルス感染症肺炎患者向けの治療薬としても効果があると判断し、2020年より米国で臨床試験を開始した。開発状況は、2022年1月より米国で前期第2相臨床試験を開始し、今のところ順調に登録が進んでいる(目標症例数は約120例)。ただ、新型コロナウイルス感染症の変異株に関しては重篤な肺炎を発症する感染者が急減している状況を鑑み、今後は急性呼吸窮迫症候群を含めた肺疾患への対応を検討する方針である。※同社は2018年7月にVasomuneと、急性呼吸不全など血管の不全を原因とする疾患を対象とした「AV-001」の全世界を対象とした共同開発契約を締結した。開発費用と将来の収益を折半し、また、同社がVasomuneに対して契約一時金及び開発の進捗に応じたマイルストーンを支払う契約となっている。急性呼吸窮迫症候群の患者数は米国だけで26万人いる。なお、「AV-001」の開発にあたっては、米国及びカナダの政府関係機関からVasomuneが助成金を獲得しており、開発費負担分に応じて同社もVasomuneから補助金の一部を受領している。2022年12月期第3四半期累計では補助金収入として251百万円(2021年12月期は100百万円)を営業外収益として計上した。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <SI> 2022/12/07 15:46 注目トピックス 日本株 アンジェス Research Memo(5):HGF遺伝子治療用製品は国内での本承認取得準備と米国での臨床試験を実施中 ■主要開発パイプラインの動向アンジェス<4563>の主要開発パイプラインには、HGF遺伝子治療用製品、新型コロナウイルス感染症DNAワクチン、NF-κBデコイオリゴDNA、高血圧DNAワクチン等がある。各パイプラインの概要と進捗状況、今後の開発方針は以下のとおり。1. HGF遺伝子治療用製品HGF遺伝子治療用製品は血管新生作用の効果を活用して、閉塞性動脈硬化症のなかでも症状が進行した慢性動脈閉塞症向け治療薬として開発が進められてきた。慢性動脈閉塞症とは、血管が閉塞することによって血流が止まり、組織が潰瘍・壊疽を起こして最終的に下肢切断を余儀なくされることもある重篤な疾患である。治療法としてはカテーテル治療や血管バイパス手術などが行われているが、手術ができない状態になっているケースも多く、新たな治療法の開発が望まれていた。HGF遺伝子治療用製品は、血管が詰まっている部位周辺に注射投与することによって新たな血管を作り出し、血流回復によって潰瘍の改善を図るというもの。国内では2019年3月に、「標準的な薬物治療の効果が不十分で、血行再建術の施行が困難な慢性動脈閉塞症における潰瘍の改善」を効能、効果または性能として、条件及び期限付販売承認を取得し※、同年9月より「コラテジェン(R)筋注用4mg」として提携先の田辺三菱製薬を通じて販売を開始した。用法は、虚血部位に対して筋肉内投与を4週間間隔で2回行い(4mg/回)、症状が残存する場合には4週間後に3回目の投与を行うことも可能となっている(薬価は約61万円/1瓶(4mg))。※本承認の条件は、承認日から5年以内に、1)重症化した慢性動脈閉塞症に関する十分な知識・治療経験を持つ医師のもとで、創傷管理を複数診療科で連携して実施している施設で本品を使用すること、2)条件及び期限付承認後に改めて行う本品の製造販売承認申請までの期間中は、本品を使用する症例全例を対象として製造販売後承認条件評価を行うこと、の2項である。条件及び期限付承認となるため、製造販売後承認条件評価を実施※1し、同結果をもって本承認の申請を行うことになる。同社では2021年末に必要症例数の患者登録を完了しており、1年間の経過観察期間を経てデータを収集、評価・分析を行う。2023年前半頃にも判明する結果が良好であれば本申請を行い、2024年の本承認取得を目指す。市販後調査についてはデータの集積を目的に今後も継続する予定である。なお、同時並行で進めていた「安静時疼痛」の適応追加を目的とした第3相臨床試験については、プラセボ群との比較において有意差が得られなかったため、開発中止を決定した(2022年9月7日発表)。同社では適応追加により製品価値を高めたうえで薬価の引き上げを目指していたが、「潰瘍の改善」のみで本承認取得を目指すことになる。ただ、薬価の引き上げ交渉を行う方針に変わりはない。国内の慢性動脈閉塞症の患者数は約80万人だが、このうち「コラテジェン(R)」が使用可能な患者数※2は0.5~2万人程度と同社では推計している。※1 5年以内に120症例のデータを収集し、非投与群(プラセボ)80症例との比較を行い有効性の確認を行う。※2 投与対象肢の動脈に閉塞又は狭窄部位が認められ、かつ潰瘍を有していること(平均10cm程度、最大約30cmまで)。血行再建術の適応が困難なこと。既存の内科的治療や処置による症状改善が認められないこと。血行動態の指標が一定水準以下であること等。一方、米国では2020年2月より後期第2相臨床試験がスタートしている。2019年6月に閉塞性動脈硬化症のうち、包括的高度慢性下肢虚血についてのグローバル治療指針※が公表され、同治療指針を踏まえて下肢切断リスクの低いステージ1~2の患者を対象に臨床試験を進めている。国内の臨床試験は症状が比較的重い患者が対象であったが、米国では軽度な患者を対象としているのが特徴だ。主要評価項目は「潰瘍の改善」と「血流の改善」としており、治験プロトコルはHGF遺伝子治療用製品またはプラセボを4週間の間隔を置いて4回投与するというもの。被験者を4mg/回、8mg/回、プラセボの3群に分けて各20症例のデータを収集する。※グローバル治療指針(Global Vascular Guidelines;GVG):包括的高度慢性下肢虚血(CLTI:Chronic limb-threatening ischemia)の初期段階から適切な治療マネージメントを提供することで患者のQOLの向上を図ることを推奨している。本ガイドラインでは臨床ステージを4段階(clinical stage1~4)に分け、それぞれのステージにおける治療方針が示されており、今回の試験では下肢切断リスクの低いclinical stage1と2を対象としている。このステージの患者には、まず潰瘍の治療を考慮することがガイドラインで推奨されており、該当する患者数は閉塞性動脈硬化症患者778万人のうちの約60%を占めると専門家は指摘している。被験者の登録状況は2022年10月時点で90%が完了するなど順調に進んでおり、1年間の経過観察を経て2024年前半には試験結果を発表できる見通しだ。試験結果が良好であれば、RMAT※指定制度を用いて早期承認を目指すことも選択肢の1つとして考えられる。米国における閉塞性動脈硬化症の患者数は日本と比べて格段に多いだけに、今後の開発動向が注目される。※RMAT(Regenerative Medicine Advanced Therapy):重篤な疾患を開発対象とした再生医療の先端治療法で、臨床試験で一定の効果を示したものに対する指定制度。RMAT指定を受けた品目は優先審査と迅速承認の機会を得ることができる。そのほか、2019年2月にイスラエルのKamadaとイスラエルを対象国とした導出(独占的販売権許諾)に関する基本合意書を締結しており、現在はKamadaが規制当局と協議を進めるなど申請準備段階にある。また、2020年10月にはスペシャルティ薬(特定疾患専門薬)を扱うトルコのEr-Kimと、トルコでの導出に関する基本合意書を締結した。今後、Er-Kimが薬事承認を取得後に独占販売権を締結し、販売、マーケティング、現地での医療活動に関する役割を担っていく。薬事承認に先立って、Named Patient Program※を活用したトルコでの販売を開始する予定となっているが、コロナ禍が続いたこともあり現時点では新たな動きは見られていない。※Named Patient Programとは、特定の患者に代わって、医師からの要求に応じて、人道的見地から当該国での未承認の医薬品を提供するプログラムのこと。同プログラムに申請して承認されれば、患者は後期段階の臨床試験中の薬や他国で既に承認済みの薬の提供を受けることが可能となる。なお、「コラテジェン(R)」は販売承認を条件付きながらも国内で得られたことで、国内初の遺伝子治療用製品となっただけでなく、世界初のプラスミド(DNA分子)製品及びHGF実用化製品、末梢血管を新生する治療用製品、循環器医療領域での治療用製品となり、遺伝子医薬のグローバルリーダーを目指す同社にとっては大きな第一歩を踏み出したものと評価される。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <SI> 2022/12/07 15:45 注目トピックス 日本株 アンジェス Research Memo(4):Emendoが臨床開発段階に入れば米国株式市場でIPOを検討 ■EmendoBioの開発状況2. アンジェス<4563>の今後の事業戦略Emendoでの今後の事業戦略は、自社開発による収益化とOMNIプラットフォーム技術のライセンス供与による収益獲得の2軸で展開する方針である。自社開発については、ELANE変異によるSCNを対象とした臨床開発を進めるべく、IND(新薬臨床試験開始)申請に向けてFDA(米国食品医薬品局)との協議を行っている段階で、順調に進めば2023年にも臨床試験を開始できる見通しだ。SCNとは骨髄における顆粒球系細胞の成熟障害により発症する好中球減少症のことで、遺伝子変異により出生後の早期から好中球減少による中耳炎、気道感染症、蜂窩織炎、皮膚感染症を反復し、肺炎や敗血症などその他の疾患に至るケースもある。100万人に2人の割合で発症する希少疾患で、SCNの約7割はELANE変異によるものとなっている。現在の治療法は、ST合剤(抗生剤、スルファメトキサゾール・トリメトプリム)による感染予防が一般的で、感染症がコントロールできない場合にはG-CSF※を使用して好中球の誘導を促すことになる。ただ、G-CSFを高用量で使用した場合、骨髄異形成症候群や急性骨髄性白血病へ移行し、造血幹細胞移植が必要となるケースもある。Emendoでは患者から造血幹細胞を取り出し、OMNIプラットフォームを用いて正常な機能を有するELANEを発現させたうえで患者の体内に戻し、好中球の機能を回復させる根治療法の開発を目指している。動物実験では正常な遺伝子を傷つけずに、異常な遺伝子のみを正確に区別して破壊し、その結果、造血幹細胞が好中球に分化できるようになったことが確認されている。※G-CSF(顆粒球コロニー刺激因子):サイトカインの一種で顆粒球産出の促進、好中球の機能を高める作用がある。EmendoではまずELANE変異によるSCNでPOCを取得することを最優先課題として取り組んでおり、その後に他のパイプラインの臨床開発も進めていくことにしている。現在、前臨床試験段階では血液系や眼科系の遺伝性疾患の開発プロジェクトを複数進めている。一方、OMNIプラットフォームのライセンス供与については、バイオベンチャーからメガファーマまで合計10社程度の引き合いがきており、複数社と交渉を進めている段階にある。特に、CAR-T療法の開発企業からの関心度が高い。CAR-T療法は免疫細胞療法の1つで、がん患者のT細胞に標的抗原に対するCAR(Chimeric antigen receptor:キメラ免疫受容体)をコードする遺伝子を導入することで、がん細胞に対する攻撃力を高める治療法だが、先進のゲノム編集技術を用いることで、治療効果の高い新薬を効率的に開発できる可能性があるためだ。CRISPR/Cas9技術を使った開発も進められているが、既述のとおり「オフターゲット効果」がないOMNIプラットフォーム技術のほうが安全性も高いことから、ライセンス契約が締結される可能性は高いと弊社では見ている。契約交渉では、特定の開発プロジェクトで同技術を利用したい企業と、複数の開発プロジェクトで包括的に同技術を利用したい企業があるようで、いずれにしてもEmendoでは疾患別に非独占的ライセンス契約を締結する方針で、ペプチドリーム<4587>のようなビジネスモデルを志向している。Emendoの人員は2020年の子会社化時点で50名強程度であったが、その後開発体制を強化し現在は100名程度、うち、75名が博士号を持つなど優秀な人材が集結している。研究開発費は2021年12月期で23億円程度だったが、2023年以降、臨床試験が開始されれば開発費も増加することが予想される。2023年の事業運営資金については同社が2022年10月に発行した新株予約権の行使により調達する予定だが、その後については米国でIPOを行い、独自で株式市場から調達することも選択肢の1つとして考えている。米国ではゲノム編集技術を用いた臨床開発段階のバイオベンチャーが複数社上場しており、時価総額は収益化前段階でも数億ドル(数百億円)から数十億ドル(数千億円)規模で評価されている。国内でゲノム編集技術のバイオベンチャーとしてはモダリス<4883>が上場しているが、時価総額は100億円程度にしか過ぎない。開発の進捗状況やパイプライン、ライセンス契約の有無等によって異なるものの、総じて米国のほうが投資家からの期待値の高いことが要因として考えられ、米国市場のほうが効率的に資金調達を行うことが可能とも言える。まずは臨床試験を開始してからとなるが、Emendoが独自で資金調達できるようになれば、同社の資金負担も大幅に軽減されることになる。なお、従業員数で同じ規模の企業ということで見れば、Verve Therapeutics、Caribou Biosciences、Graphite Bioが該当する。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <SI> 2022/12/07 15:44 注目トピックス 日本株 アンジェス Research Memo(3):安全性の高いゲノム編集技術を強みに、遺伝性疾患の治療薬開発に取組む ■アンジェス<4563>のEmendoBioの開発状況1. ゲノム編集とOMNIプラットフォームの特徴ゲノム編集とは、特定の塩基配列(ターゲット配列)のみを切断するDNA切断酵素(ヌクレアーゼ)を利用して、思い通りに遺伝子を改変する技術を指す。以前からゲノム編集技術はあったが、2012年にこれまでの技術よりも短時間で簡単に標的とするDNA配列を切断できるCRISPR/Cas9(クリスパーキャスナイン)と呼ばれる革新的な技術が登場したことで、製薬業界においてもゲノム編集技術を用いた開発が活発化した。ただ、これらの技術は狙った遺伝子とは異なる箇所(標的DNA配列と似た配列)を切断してしまう「オフターゲット効果」があり、安全性という面で課題となっていた。これに対して、Emendoが独自開発したOMNIプラットフォーム技術では、標的のDNA配列を高精度に切り取る独自のヌクレアーゼ(OMNIヌクレアーゼ)を数多く作出し、これらの中から適切なヌクレアーゼを選択して、それを標的配列に対して最適化することで、「オフターゲット効果」のない安全性の高いゲノム編集を可能としている。ゲノム編集による医薬品の開発を進める場合には、効率性だけでなく安全性も強く求められるため、OMNIプラットフォームの持つ特徴は優位性があると評価される。また、もう1つの特徴としてはアレル特異的遺伝子編集が可能であるという点が挙げられる。アレル特異的遺伝子編集とは、対をなすアレル(対立遺伝子)の一方を傷つけることなく、異常のある遺伝子のみをターゲットにして編集することを言う。ヒトは父型と母型の2つのアレル(対立遺伝子)を一対として持っており、片方のアレルが異常配列となることで発症する遺伝病を優性遺伝(機能獲得型変異/ハプロ不全)、両方のアレルに必要な遺伝子が欠損することで発症する遺伝病を劣性遺伝(複合型ヘテロ接合体/ホモ接合体)、または伴性遺伝(性別によって発症の仕方が異なる遺伝病)と呼ぶ。遺伝性疾患のうち、アレル特異的遺伝子編集の対象となるのは優性遺伝と劣性遺伝のうちの一部で、遺伝性疾患の過半を占めることになる。これはOMNIプラットフォームを活用したゲノム編集による治療薬の開発領域が幅広いことを意味している。Emendoの調べによれば、遺伝性疾患の治療薬の市場規模は全体で約2兆円の規模があり、このうち1.1兆円がOMNIプラットフォームの対象領域になりうると見ており、潜在的な成長ポテンシャルは大きい。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <SI> 2022/12/07 15:43 注目トピックス 日本株 アンジェス Research Memo(2):大阪大学発のバイオベンチャーで、遺伝子医薬に特化した開発を進める ■会社概要1. 会社沿革アンジェス<4563>は1999年に設立された大阪大学発のバイオベンチャーで、HGF遺伝子(肝細胞増殖因子)の投与による血管新生作用の研究成果を事業化することを目的に設立された。HGF遺伝子治療用製品では、田辺三菱製薬(株)と2012年に米国市場、2015年に国内市場で末梢性血管疾患を対象とした独占的販売権許諾契約を締結している。2019年3月に国内で慢性動脈閉塞症患者向けに条件及び期限付製造販売承認を取得し、同年9月から田辺三菱製薬を通じて販売を開始しているほか、米国にて2020年2月より後期第2相臨床試験を実施している。その他のパイプラインでは、2018年より米国で椎間板性腰痛症を対象とした核酸医薬品であるNF-κBデコイオリゴDNAの後期第1相臨床試験を開始したほか、同年4月よりオーストラリアで高血圧症を対象としたDNAワクチンの第1相/前期第2相臨床試験を開始し、いずれも良好な結果が得られたことを発表している。また、2022年9月にスタンフォード大学と新型コロナウイルス感染症の変異株を含むウイルス性肺疾患を対象とした改良型DNAワクチンの経鼻投与製剤について共同研究を行うことを発表した。アライアンス戦略についても2018年以降積極的に展開している。2018年に共同開発契約を締結したカナダのVasomuneでは、2020年12月から新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬候補品となる「AV-001」の臨床開発を進めているほか、2018年にマイクロバイオームの研究開発を行うイスラエルのMyBiotics Pharma Ltd.に出資した。また、2020年12月には先進のゲノム編集技術を開発する米国のEmendoを買収し、子会社化している。なお、2021年4月には国内で希少遺伝性疾患検査を主目的とした衛生検査所ACRL(アンジェスクリニカルリサーチラボラトリー)を設立し、希少遺伝性疾患のオプショナルスクリーニング検査サービスを同年7月より開始している。2. 事業の特徴とビジネスモデル同社の事業の特徴は、遺伝子の働きを活用した医薬品である遺伝子治療用製品、核酸医薬、そしてDNAワクチンを遺伝子医薬として定義し、社会的な使命であるとともに確実な需要が存在する「難治性疾患」や「有効な治療法がない疾患」を開発対象領域としていることにある。また、自社開発品以外にもこうした事業方針と合致する開発候補品を海外のベンチャーや大学などの研究機関から導入して、開発パイプラインの強化とリスク分散を図っている。同社のビジネスモデルの主軸は、研究開発に特化し(製造は外部の専門機関に委託)、開発品についての共同開発や独占製造販売権許諾契約を大手製薬企業と締結することで、契約一時金や開発の進捗状況に応じたマイルストーン収入を獲得し、また、上市後の製品売上高に対して一定料率で発生するロイヤリティ収入を獲得するモデルである。臨床試験の規模や期間は対象疾患等によって異なるが、第1相から第3相試験までおよそ3~7年程度かかると言われている。臨床試験の結果が良ければ規制当局に製造販売の承認申請を行い、おおむね1~2年の審査期間を経て問題がなければ承認・上市といった流れとなる。新薬開発の成功確率は低く、基礎研究段階に特定した候補品が新薬として発売される確率は、約3万分の1と言われている。このため、HGF遺伝子治療用製品を条件付き承認とは言え、上市までこぎつけたことはバイオベンチャーとして一定の成果が得られたものと評価される。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <SI> 2022/12/07 15:42 注目トピックス 日本株 アンジェス Research Memo(1):Emendoは2023年内の臨床試験を目指し、IPOも視野に ■要約アンジェス<4563>は、1999年に設立された大阪大学発のバイオベンチャーで、遺伝子医薬を中核とした開発を進めており、長期ビジョンとして「遺伝子医薬のグローバルリーダー」になることを目指している。新薬候補品を開発し、販売パートナーとの販売権許諾契約によって得られる契約一時金や、開発の進捗状況などによって得られるマイルストーン収入、上市後の製品売上高にかかるロイヤリティ収入を獲得するビジネスモデルである。2020年12月に米国で先進ゲノム編集技術の開発を行うEmendoBio Inc.(以下、Emendo)を子会社化した。1. Emendoの事業方針についてゲノム編集を従来技術よりも安全かつ高精度に実現できる技術を有するEmendoが、2023年内に臨床試験入りを目指している。希少疾患であるELANE(好中球エラスターゼ遺伝子)関連重症先天性好中球減少症(以下、SCN)※を対象とした臨床試験で、POC取得後に製薬企業への導出を目指す。その他にも眼疾患や血液疾患など複数のパイプラインの開発を進める予定だ。また、Emendoのゲノム編集技術「OMNIプラットフォーム」に関心を寄せる製薬企業やバイオベンチャーも多く、同技術のライセンス供与に向けた協議も並行して進めている。Emendoでは同技術の適応対象となる遺伝性疾患の市場規模が1兆円を超えると試算しており、潜在的な成長ポテンシャルは極めて大きい。米国ではゲノム編集技術に対する投資家の注目度も高く、臨床開発段階のバイオベンチャーの時価総額も数億ドルから数十億ドルの評価がなされている。パイプラインの本数や開発状況、ライセンス契約の有無等にもよるが、Emendoについても臨床開発段階でIPOを行い、株式市場から開発資金を調達していくことを視野に入れている。※顆粒球系細胞の成熟障害により発症する好中球減少症で、発症すると細菌感染などが起きやすくなり、中耳炎や気道感染症、皮膚感染症等を繰り返し、敗血症等により死亡することもある。2. 主要開発パイプラインの動向同社は2022年9月に新型コロナウイルス感染症(武漢型)向けDNAワクチンの開発中止を決定し、新たに米国スタンフォード大学と改良型DNAワクチンの経鼻投与製剤に関する共同研究契約を締結したことを発表した。また、カナダのVasomune Therapeutics(以下、Vasomune)と共同開発中の治療薬「AV-001」(中等度から重度の新型コロナウイルス感染症肺炎患者を対象)については、前期第2相臨床試験を米国で継続中だ。慢性動脈閉塞症を対象としたHGF遺伝子治療用製品「コラテジェン(R)」に関しては、国内で進めていた安静時疼痛の追加適応を目指した開発の中止を発表し、今後は条件付き承認を得ている潰瘍の改善を効果・効能とした本承認取得に向け申請準備を進め、2024年の承認取得を目指す。米国で実施している後期第2相臨床試験については被験者登録が順調に進んでおり、2024年前半にも結果が判明する見通しだ。椎間板性腰痛症を適応症としたNF-κBデコイオリゴDNAや高血圧DNAワクチンについては、開発戦略を策定中で2023年春までに公表したい意向のようだ。そのほか、2022年5月に米Eiger Bio Pharmaceuticals Inc.(以下、アイガー)から導入したハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群(以下、HGPS)及びプロジェロイド・ラミノパチー(以下、PL)※1を適応症とした治療薬「ゾキンヴィ」※2の国内での販売承認申請に向けた準備を進めている。※1 HGPSやPLは遺伝子の突然変異により発症し、平均14.5歳までに心臓病(動脈硬化症)で死亡するのが一般的とされる。病気の症状としては深刻な成長障害、強皮症に似た皮膚、全身性脂肪性筋萎縮症、脱毛症、骨格形成不全、心血管系の衰えを伴う全身性動脈硬化の促進、衰弱性の脳卒中が含まれる。世界の患者数は600人程度で、日本でも難病指定されており、10人弱の患者が確認されている。※2 HGPSの死亡リスク低減、プロセシング不全性早老性PLの治療薬として、2020年11月に米国で承認された。臨床試験の結果ではHGPS患者において死亡率を60%減少させ、平均生存期間を2.5年延長させることができたとしている。開発元はメルクでアイガーはメルクから全世界での独占的権利をライセンスされた。3. 業績動向2022年12月期第3四半期累計の売上高は前年同期比3.1%増の45百万円、営業損失は12,455百万円(前年同期は12,163百万円の損失)となった。売上高はオプショナルスクリーニング検査の手数料収入を主に計上した。費用面では、研究開発費が同37百万円増加の8,527百万円となった。新型コロナウイルス感染症ワクチンの開発費が減少した一方で、Emendoの開発費が増加した。また、Emendoののれん償却額も円安の影響で同323百万円増加した。2022年12月期の業績見通しは、営業外収益として計上する新型コロナウイルス感染症に対するワクチン開発助成金の計上時期が未確定のため、合理的な算出が可能になり次第、開示することにしている。なお、同社は今後の開発資金等を確保するため2022年10月に第三者割当による新株予約権(行使価額修正条項付)を発行した。潜在株式数は3,800万株(希薄化率24.8%)、下限行使価額は124円に設定している。主にEmendoの運営資金や事業基盤強化のための資金として充当する。■Key Points・安全性の高いゲノム編集技術を強みに、遺伝性疾患の治療薬開発に取組む・Emendoが臨床開発段階に入れば米国株式市場でIPOを検討・新型コロナウイルス感染症(武漢型)向けDNAワクチンの開発中止により2023年12月期は研究開発費が減少する見通し・治療法がない疾病分野や希少遺伝性疾患等を対象に開発を進め、遺伝子医薬のグローバルリーダーを目指す(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <SI> 2022/12/07 15:41 注目トピックス 日本株 新興市場銘柄ダイジェスト:リボミックは大幅に続落、アイパートナーズがストップ高 <7375> リファインバスG 2347 +124大幅に3日ぶり反発。子会社のリファインバース(東京都千代田区)が廃車から回収したインテークマニホールドを原料として使用した再生ナイロン樹脂「REAMIDE」の新グレードを開発したと発表している。インテークマニホールドは、自動車エンジンに空気を供給する管状の部品。多くの車種でガラス繊維強化ナイロン樹脂製のものが使用されているが、これまでほとんどが最終的に焼却、熱回収されていたという。<7345> アイパートナーズ 569 +80ストップ高。子会社のAIPコンサルタンツ(横浜市)がオリックス<8591>傘下のオリックス銀行(東京都港区)と信託契約代理店の業務委託契約を締結したと発表している。AIPコンサルタンツはオリックス銀行の遺言代用信託「未来に託す」の取り扱いを開始する。提携を通じ、オリックス銀行は信託商品の販売網を拡大、AIPCコンサルタンツは新たな商品ラインアップを追加し、相続などの資産承継ニーズに対応する態勢を整える。<4591> リボミック 210 -40大幅に続落。特段の新規材料は見当たらないが、商いを伴って値を下げている。前場終了時点の下落率は東証グロース市場でトップ。リボミック株は23年3月期の営業赤字の縮小見込みや新株予約権の相次ぐ大量行使などを受けて11月28日に直近高値(283円)を付けるなど短期間に急騰。その後は利益確定売りや値幅取り狙いの短期筋によるとみられる売買などを背景に乱高下する展開が続いている。<3479> TKP 2811 +218大幅に反発。23年2月期の営業損益予想を従来の20.00億円の黒字から31.00億円の黒字(前期実績8.83億円の赤字)に上方修正している。連結子会社を三菱地所<8802>などに売却することで販管費の負担が軽減するため。貸会議室・宿泊事業が好調に推移していることも利益を押し上げる見通し。一方、売却に伴い特別損失が発生することから、純損益予想を4.00億円の黒字から15.00億円の赤字(同32.11億円の赤字)に下方修正した。<6232> ACSL 1922 +22大幅に5日続伸。日本郵政<6178>傘下の日本郵便及び日本郵政キャピタルとの資本業務提携に基づき進めている物流専用ドローンの開発状況について、製品のデザインと想定仕様が決定したと発表している。自社の従来機体と比べてペイロードを拡大して5キロにするとともに物流専用機として機体上部からの配送物の収納や機体下部からの切り離しを可能とした。社会受容性の向上を目指した機体デザインも採用した。実用化は23年以降。<4576> DWTI 259 -1伸び悩み。ライセンスアウト先の興和(名古屋市)から、緑内障・高眼圧症治療剤の新規配合点眼剤「グラアルファ配合点眼液」の国内販売を開始したとの連絡を受けたと発表している。世界で初めての組み合わせの配合点眼剤で、既存の配合点眼剤と薬理学的な作用点が異なるため、様々な緑内障・高眼圧症治療剤との併用が可能という。今後、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所は契約に基づく実施料(ロイヤリティ)を受領する。 <ST> 2022/12/07 15:35 注目トピックス 日本株 ティア Research Memo(13):安定配当を基本に業績向上時には積極的な利益還元を行う方針 ■株主還元策とSDGsへの取り組み1. 株主還元策ティア<2485>は株主還元方針として、配当金については安定配当を基本に財務状況や資金需要も勘案しながら業績向上時には積極的な利益還元を行っていく意向を示している。2023年9月期の1株当たり配当金は前期比横ばいの20.0円(配当性向63.1%)を予定している。配当性向水準が高いことから、利益拡大により一定水準以下まで低下した場合には増配余地もあると弊社では見ている。2. SDGsへの取り組みSDGsに対する取り組みとして、同社は「社会インフラとしての責任を果たす」ため、コロナ禍においても分け隔てのない葬儀を行っているほか、自治体と地域防災協定を締結し、自然災害への対応も行っている。また、「幸せに働く環境を創る」ために、ハンディキャップ雇用や高齢者雇用に取り組んでいるほか、長期休業収入サポート制度の導入やインフルエンザ・コロナワクチンの職域接種なども行っている。環境面での取り組みとしては、再利用可能な葬儀付帯品の活用や返礼品袋の削減、LED照明機器の導入などを進めている。2022年4月以降の取り組みとしては、既存会館に太陽光発電設備の設置を順次進めているほか、不要となったパソコンの社会的支援団体への寄贈、救急医療財団が作成するAED(自動体外式除細動器)マップへの同社AED設置状況の登録などに加えて、本社や会館イベントにおいて使用しなくなった衣料品を回収し、「古着deワクチン」の活動支援を行っている。また、新たに設置されたSDGsデザイン室ではCO2測定ツールの導入のほか、SDGsコミュニケーションの充実を図るため、社内報や会報誌、Webサイトによる情報発信を行っていく。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <SI> 2022/12/07 15:13 注目トピックス 日本株 ティア Research Memo(12):2024年9月期までに成長基盤構築、2025年9月期以降に利益成長加速(2) ■ティア<2485>の今後の見通し業績目標を達成するための重点施策については、引き続き以下の4点に取り組んでいく方針だ。(1) 直営・FC会館の計画的な出店と既存会館の持続的な成長出店計画について、直営店についてはドミナント戦略に基づき年間7~8店舗の出店とリロケーション・閉店2店舗を行い、2025年9月期末で104店舗を計画している。1年前の計画では年間6~7店舗の出店計画だったことから、若干出店ペース加速の方針に見直している。中核エリアとなる中部地区では多様な出店フォーマットによる出店継続(年間5~6店舗)と営業力強化により地域内シェアの拡大を進めていく。中部地区では葬儀会館と家族葬ホールの2形態で出店を進めているが、次世代型店舗の企画・開発も進めている。感染防止対策を徹底的に施し、安心安全に会葬者が参列できる施設や、先進技術を活用した施設など高付加価値サービス提供型の店舗を想定している。関東地区や関西地区では年間1店舗ペースで出店する。関東では埼玉県下で越谷市、川口市に2店舗を出店し、いずれも稼働率は高水準を維持しており、千葉県下にも1店舗を出店した。今後も上記エリアに近い場所で出店を進めるものと予想される。一方、東京都下で進めてきた葬儀相談サロンについては、現在出店している9店舗の収益力向上を優先に取り組んでいく。2022年9月期の売上規模は9店舗で約3億円と葬儀会館1店舗分を上回る規模まで成長しており、利益も本社経費負担を除いたベースでは黒字化しているが、さらなる出店を進めていくには人的リソースの拡充が必要であり、その体制を整えてから出店を再開する。一方、関西地区では大阪府下に3店舗の出店を計画しており、事業基盤を拡大していく方針だ。FC事業においては業務支援体制の整備や人財育成などFC本部の機能を強化し、新規加盟企業の開拓を推進していく。FC店舗については年間6~8店舗ペースで増加を見込み、2025年9月期末で78店舗を計画している。ただ、FC店舗数については、FC企業の意向次第となるため流動的であり、ここ数年は市場環境が悪かったこともあり計画を下回って推移している。FCの新規加盟については2023年9月期に1件の成約を目指し協議を進めている状況にある。(2) 中核エリアのシェア向上にこだわった営業促進の実施とマーケティング力の向上中核エリアでのシェア向上にこだわった営業戦略やブランド戦略をDXも活用しながら積極的に展開していく。同社は名古屋市内の斎場シェアを約27%まで拡大してきたが、当面の目標として30%を目指している。従来のペースでいけば、3年後に達成できる見通しだ。また、その他の愛知県下でもシェアを拡大していくほか、三重県の一部エリアにも直営で進出しており、今後店舗を拡大していく計画となっている。営業戦略としては、価格訴求力を高めたテレビCMや中吊り広告、折込チラシとWeb広告専用サイトのコンテンツを拡充、連携させることで葬儀受注の獲得導線を強化すると同時に、コンタクトセンターのオペレーション体制強化により、葬儀受注率のさらなる向上を図っていく。また、潜在顧客の取りこぼしをなくすため、会員の状況に合わせた最適なアプローチやスムーズな会館案内、最適なタイミングでのアフターフォロー(法要等の案内)等をコンタクトセンターで一括して行うための「顧客情報一元管理システム」を導入、稼働を開始しており、今後の業務効率の向上が期待される。ブランド戦略ではWebマーケティングの強化によって、インターネットからの会員獲得や葬儀受注獲得を推進するほかPR・IR活動の継続的な実施による日本全国を対象とした認知度向上を図っていく。また、DX戦略を推進すべく新たにDX・SXデザイン事業本部を立ち上げた。同事業本部ではDXデザイン室でDX戦略、SDGsデザイン室でSDGs関連、マーケティングデザイン室でマーケティングなどの企画を行う。具体的な取り組みとしては、2022年10月にYouTube公式チャンネルを開設し、様々な情報を発信する予定だ。また、「ティアの会」デジタル会報誌の発行を近日開始するほか、社内向けのスマートフォンアプリを2023年9月期にリリースする。DXによってティア会員に向けた接点を増やし、終活支援サービスといった新たな展開も含めた収益源の多様化を図っていく。(3) 葬儀付帯業務の内製化拡大と、行動力と分析能力を高めたM&A同社はここ数年、葬儀付帯業務の内製化を推進することで売上原価率の低減に取り組んできたが、内製化率の引き上げ余地はFC店舗も含めてまだあると見ており、今後も継続的に取り組む方針である。具体的には、中部地区、関西地区において葬儀運営スタッフとなるセレモニーアシスタントやセレモニーガードの派遣エリアを拡大していくほか、生花事業の取り扱い店舗拡大、湯灌・エンバーミングの業務エリア拡大に取り組んでいく。また、ティアサービスでは新たに(株)ベンリーにFC加盟し、既存会館の定期清掃・営繕業務の請負を開始した。一方、M&Aについても引き続き積極的に取り組む。M&Aについてはティアサービスの1件のみにとどまっていたが、現在は定期的にエリアごとのM&A候補先のリストを更新し、デューデリジェンスを実施している。市場環境が厳しいこともあって案件数は増加し、買収コストは下落傾向にあるものの、条件面で合致する案件が少ないようだ。(4) 計画に則した人財確保・育成と次世代基幹システムの構築人財戦略のうち、新卒採用に関しては3年間で約75名の採用を計画している。人財育成にあたって、新卒社員には早期育成を目的とした12ヶ月間の教育プログラムを実施しており、既存社員については施行品質の向上を目的とした研修に加えて、管理職候補育成のための研修を実施している。また、教育研修施設「THRC」で専門講師9名の稼働状況やリソース(業務内容)の配分状況を時間単位でデータ収集しており、これらデータを可視化し分析することで、人財育成に対する効率向上に取り組んでいる。人財育成システムの効率化が進めば、新規出店ペースも今まで以上に加速していくことが可能となるため、同社にとっては重要戦略の1つとなる。ICT戦略として、次世代基幹システムの構築を2023年9月期からスタートする予定となっている。ハード・ソフトの充実による多様な働き方への対応や、重大インシデントにつながりかねない出来事や状況を早期に発見できる検知システムの導入、情報セキュリティ対策の強化などに取り組んでいく。また、情報セキュリティに関する専門知識を有する人財の確保や、情報セキュリティ体制強化に向け、社員に対する教育なども実施していく。(5) 事業リスク事業リスクとしては、葬儀単価の動向が挙げられる。核家族化や少子化の進展により葬儀スタイルも家族葬など小規模に済ませるケースが今後も増加する可能性があり、こうした領域では顧客獲得競争も激しいため、葬儀単価が回復しないリスクも想定しておく必要がある。ただ、葬儀を単なる「哀悼の儀式」としてだけではなく、「哀悼と感動のセレモニー」として顧客に感謝される「究極のサービス」を提供していくことで他社との差別化は可能と弊社では考えている。実際、同社の葬儀件数(FC含む)は国内全体の葬儀件数の伸びを上回って成長を続けている。今後も店舗数の拡大とサービス品質の維持向上を図りながらシェアを拡大していくことで、中長期的に業績は安定成長が続くものと予想している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <SI> 2022/12/07 15:12 注目トピックス 日本株 ティア Research Memo(11):2024年9月期までに成長基盤構築、2025年9月期以降に利益成長加速(1) ■ティア<2485>の今後の見通し3. 中期経営計画2023年9月期からスタートした3ヶ年の中期経営計画では、スローガンとして「ティアを超える新生ティア!!」を掲げ、2025年9月期の業績目標を売上高15,690百万円、営業利益1,230百万円、経常利益1,205百万円、親会社株主に帰属する当期純利益785百万円とした。前提となる葬儀件数は年率4%台の伸びを見込んでいる。既存店については横ばいとし、新店効果による増加分で拡大していく計画だが、実際には既存店も伸びており上振れする可能性は十分ある。一方、葬儀単価についてはコロナ感染が小康状態のままで推移するとの前提で、2023年9月期の847千円からほぼ横ばい水準を見込んでいる。事業費用の見通しについては、2023年9月期業績計画の前提を基準に、2024年9月期以降は既存店の経費を同額水準とし、新店稼働に伴う経費増加と新卒採用計画、TDL建設に伴う費用増、広告宣伝費の増額などを織り込んだ。2024年9月期までは成長基盤を構築する期間と位置付け、先行投資を実施するため利益率が若干低下するが、2025年9月期以降に利益成長が加速する計画だ。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <SI> 2022/12/07 15:11 注目トピックス 日本株 ティア Research Memo(10):中長期ビジョンとして会館数を現状の約2倍の260店舗に拡大 ■今後の見通し2. 業界環境の変化と中長期ビジョン葬儀の潜在的な需要は高齢化社会の進展に伴い、2040年頃には現在の1.2倍の規模にまで拡大することが見込まれている。一方で、核家族化の進行や地域コミュニティとの関係希薄化など構造的な要因に加えて、2020年以降はコロナ禍による影響で、葬儀規模の縮小と葬儀単価の下落傾向が進行し、葬儀件数の拡大が続くなかでも市場規模は頭打ちの状況となってきている。こうしたなか、ティア<2485>は中長期ビジョンの実現に向けた外部・内部環境における課題とその対応施策について以下の通りまとめている。(1) 外部環境変化に伴う課題認識と対応施策葬儀件数の拡大と葬儀単価の低下という市場環境が続くことを前提に、内製化による事業領域の拡大と主力エリアへの出店拡大により持続的な成長を目指していく。成長を支えていくための経営基盤の構築が課題であると同社では認識しており、人財の採用・育成に継続的に取り組んでいく方針だ。また、リスク要因として仕入価格や経費、人件費等の上昇、既存会館の契約更新に伴うリスクの顕在化(賃料の値上げ等)、コロナ禍で見られたような想定外の事態が起こる可能性などが考えられ、BCP計画を策定するなどリスクへの対応策も進めている。(2) 内部体制のさらなる強化と中長期を見据えた施策コロナ禍を契機とした葬儀規模の縮小や家族葬のさらなる小規模化といった環境変化への対応施策として、家族葬ホールを中心とした店舗展開や、非中核エリアへの出店計画見直しなどを行っている。また、葬儀の事前・事後のサービス拡大や商品調達機能の強化による収益力向上に取り組んでいる。特に、事前・事後のサービスについては注力分野と位置付けている。約50万人の「ティアの会」会員に向け、既に展開している保険や墓石の販売に加え、様々な悩みを解決する新サービスを収益源としていく方針だ。成長の源泉となる人財戦略については、計画的な人財確保と教育体制の充実により、強固な組織を構築していく。その一環として、人事制度改革に着手しており(2023年10月以降、新人事制度導入)、キャリアプランの浸透や女性活躍の推進など働き方改革を推進することで、従業員のエンゲージメントの向上を図っていく。(3) 中長期ビジョンと成長戦略中長期ビジョンとして同社は、「日本で一番『ありがとう』と言われる葬儀社」になることを掲げており、定量目標として会館数(FC含む)で現在の約2倍となる260店舗を掲げている。成長戦略は以下のとおり。a) 事業戦略(成長力)ブランド戦略の強化とともに、中核エリアである中部地区でのさらなるシェアアップ、成長市場である関東・関西地区での新規出店の推進、新規市場(葬儀周辺事業)への参入などに取り組んでいく。b) 事業戦略(稼ぐ力)ドミナント戦略により効率的な店舗展開を進めるとともに、葬儀付帯業務の内製化推進、人財確保・育成体制強化による人財投資の効率化、出店フォーマットの多様化による資産効率の向上などにより収益力の強化を図っていく。c) 機能戦略(経営基盤)外部環境変化に伴う課題認識・対応の強化や内部体制・中長期を見据えた施策の強化に加えて、成長投資手法の多様化(M&Aの精度向上含む)や人財マネジメントの強化、倫理コンプライアンス体制の確立・強化等に取り組んでいく。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <SI> 2022/12/07 15:10 注目トピックス 日本株 ティア Research Memo(9):2023年9月期は成長投資を実行しつつ連続増収増益を目指す ■今後の見通し1. 2023年9月期の業績見通しティア<2485>の2023年9月期の連結業績は売上高で前期比6.0%増の14,075百万円、営業利益で同4.0%増の1,100百万円、経常利益で同3.5%増の1,085百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同24.9%増の710百万円と増収増益が続く見通し。前提となる葬儀単価はコロナ禍の影響を一定程度想定しつつ同4.3%の上昇を見込み、葬儀件数は同2.3%増を計画している。足元は感染再拡大の状況にあることから、葬儀単価については下振れする可能性があるものの、葬儀件数の伸びが保守的な計画となっており、件数の上積みによって単価差異分はカバーできるものと見られる。葬儀単価については、コロナ感染拡大局面では74.2~79.5万円、小康状態では84.4万円程度と見られており、2023年9月期は単価アップ施策にも取り組む方針となっている。一方、営業利益は積極的な人材投資やプロモーション投資、「TDL」開設に伴う設備投資等の費用増加を売上原価率の改善で吸収し、増益を確保する計画となっている。また、親会社株主に帰属する当期純利益については前期に計上した減損損失を見込んでいないことから、2ケタ台の増益となる見通しだ。新規出店については直営店で8店舗(リロケーション2店舗含む)、FC店で8店舗を計画している。このうち直営店については、中部圏で6店舗(リロケーション2店舗含む)、関東、関西で各1店舗を出店する。2022年11月時点で三重県下に1店舗、大阪府下に1店舗出店済みで、残り6店舗も順次出店する。なお、リロケーション2店舗(名古屋及び岡崎市内)については、経済条件の良い物件が見つかったことや葬儀会館として利便性の良い物件が見つかったことから移転を決定した。売上高の増減要因について見ると、既存店の葬儀件数増加による増収で88百万円、葬儀単価上昇による増収で493百万円、新店稼働による増収で521百万円、FC売上高の増収で29百万円となり、リロケーション・閉鎖に伴う減収337百万円等を吸収し、合計で791百万円の増収を見込む。一方、経常利益の増減要因については、売上総利益の増加で437百万円となり、人件費の増加178百万円、広告宣伝費の増加107百万円、支払手数料の増加20百万円、その他経費の増加95百万円を吸収し、合計で36百万円の増益となる見通しだ。2023年春の新卒採用者数は35名で、前年の17名から約2倍に増員する。売上原価率は前期比0.9ポイント低下の59.5%を計画している。引き続き業務の内製化を推進していくことで、商品原価率が同0.6ポイント低下する見通し。労務費率については、子会社も含めた人員増加により同0.2ポイント上昇するものの、増収効果によって雑費率は同0.4ポイントの低下を見込んでいる。子会社のティアサービスでは、「湯灌・エンバーミング※」のサービス体制強化に取り組むほか、新たに葬儀会館の定期清掃・営繕業務の請負(3名が研修中)も開始した。※エンバーミングとは、遺体を消毒や保存処理、また必要に応じて修復することで10日間から2週間程度、腐敗させることなく保存を可能にする技法のこと。遺体から感染症が蔓延することを防止する目的もある。エンバーマーと呼ばれる資格が必要で、同社では2名(他スタッフ5名)が在籍しているが、需要が多いことから体制を強化する。エンバーミングは専用施設にて処置を行う必要があるため、葬儀費用とは別に15~25万円の費用が掛かる。一方、販管費率は前期比1.0ポイント上昇の32.6%を計画している。人員体制の増強に伴い人件費率が同0.4ポイント上昇するほか、営業促進実施に伴い広告宣伝費率が同0.3ポイント、TDL建設に伴う設備投資費用の増加等によりその他経費率が同0.3ポイントそれぞれ上昇する見込みとなっている。なお、2023年9月期の設備投資額は1,571百万円を計画している(前期実績909百万円)。8店舗の新規出店に要する費用として780百万円、TDLの建設費用として402百万円、その他として389百万円となる。その他の投資には、遺体を一時保管するための大型冷蔵施設(収容能力50人程度)の建設費用が含まれている。2025年に名古屋市内の火葬場の1つが再整備のために一時的に閉鎖することが決まっており、当該エリアにおいて火葬場の処理能力が不足することが懸念されるため、遺体を一時保管するニーズへの対応策となる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <SI> 2022/12/07 15:09 注目トピックス 日本株 ティア Research Memo(8):自己資本比率は収益認識会計基準等適用により50%台に低下も、財務の健全性は維持 ■業績動向3. 財務状況と経営指標ティア<2485>の2022年9月期末の財務状況を見ると、総資産は前期末比627百万円増加の14,166百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産では現金及び預金が213百万円、売掛金及び契約資産が84百万円ぞれぞれ増加し、固定資産では新規出店に伴い有形固定資産が293百万円増加した。一方、負債合計は前期末比2,149百万円増加の6,665百万円となった。有利子負債が245百万円増加したほか、収益認識会計基準等の適用に伴う契約負債1,737百万円の計上が増加要因となった。主に「ティアの会」会員入会金について、従来は入金時に一括して収益認識していたものを、サービスが提供(葬儀施行)された際に収益認識する方法に変更した。純資産は前期末比1,521百万円減少の7,501百万円となった。親会社株主に帰属する当期純利益568百万円を計上した一方で、剰余金の配当448百万円に加えて収益認識会計基準等の適用に伴い期首に利益剰余金を1,642百万円減算したことが減少要因となった。経営指標を見ると、自己資本比率は前期末の66.6%から52.9%に低下したが、収益認識会計基準等の適用による利益剰余金の減少が主因であり、実質的な財務内容について大きな変化はなく、現金及び預金から有利子負債を差し引いたネットキャッシュも引き続き10億円強の黒字となるなど、財務の健全性は維持しているものと考えられる。収益性についても、コロナ禍で悪化した2020年9月期を底に、営業利益率、ROA、ROEともに上昇に転じている。なお、ROEが前期比で0.8ポイント上昇した要因としては、売上高純利益率が0.2%低下した一方、財務レバレッジ(総資本÷株主資本)が0.17倍、総資産回転率が0.06倍改善したことが挙げられる。財務レバレッジの改善は、収益認識会計基準等の適用による影響が大きい。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <SI> 2022/12/07 15:08 注目トピックス 日本株 ティア Research Memo(7):葬儀件数は愛知県下と関東圏で20%以上増加、葬儀事業売上高は3期ぶりの過去最高 ■ティア<2485>の業績動向2. 事業セグメント別動向(1) 葬祭事業葬祭事業の売上高は前期比8.9%増の12,857百万円、営業利益は同21.4%増の2,066百万円と2期連続の増収増益となり、売上高は3期ぶりに過去最高を更新した。コロナ禍の影響で葬儀単価が同2.9%低下したものの、新規出店の寄与も含めて葬儀件数が同12.6%増の14,189件と好調に推移したほか、原価率の改善が進んだことが増収増益要因となった。地域別の葬儀件数の伸びを見ると、名古屋市内が5.9%増、愛知県(名古屋市除く)が21.6%増、関西が6.5%増、関東が22.6%増(うち、サロン19.3%増)となり、愛知県と関東圏で大きく伸長した。愛知県については前期から新規出店を積極的に進めてきた効果が大きい(愛知県下の店舗数は2020年9月期末の23店舗から2022年9月期末は27店舗に増加)。また、関東圏については埼玉県の2店舗が好調だったほか、東京都内のサロンについてもイベント活動が奏功して葬儀件数を伸ばしている。また、2022年9月17日には千葉県内の1号店となる「ティア野田」をオープンした。同店舗は千葉県北西部に位置し、埼玉県内の店舗とも近距離であることから出店を決めた。なお、名古屋市内での斎場シェアは27.2%と上昇傾向が続いている。葬儀単価は前期比2.9%低下の813千円となった。低下要因の内訳を見ると、葬儀付帯品は0.5%上昇したものの、祭壇が2.7%減、供花・供物が0.6%減となった。祭壇単価の低下については、100万円以上の高額プランの構成比率が前期の25.3%から21.5%に低下したことに加え、「祭壇無し」プランの構成比率が同22.3%から24.1%に上昇したことが要因となっている。特に「祭壇無し」プランについてはまん延防止等重点措置が実施された第2四半期以降に大きく上昇し、葬儀単価の下落要因となっている。(2) FC事業FC事業の売上高は前期比7.2%増の426百万円、営業利益は同8.5%減の66百万円となり、売上高は2期連続で過去最高を更新した。FC会館が前期末比2店舗増加の57店舗となり、葬儀件数が同10.0%増の6,073件と順調に拡大したことにより、会館向け物品売上が増加したほか収益認識会計基準等の適用※により加盟料売上が増加した。利益面では、FC本部の強化を図るべく人員を増員したことによる人件費の増加が減益要因となった。※従来、契約開始時に一括して収益認識していたが、履行義務の充足に係る合理的な期間を見積もり、当該進捗度に基づき収益を一定期間にわたり認識する方法に変更した。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <SI> 2022/12/07 15:07 注目トピックス 日本株 ティア Research Memo(6):2022年9月期は葬儀単価の下落を件数増加で吸収し、会社計画を上回る増収増益 ■業績動向1. 2022年9月期の業績概要ティア<2485>の2022年9月期の連結業績は、売上高で前期比8.9%増の13,283百万円、営業利益で同19.2%増の1,057百万円、経常利益で同19.5%増の1,048百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同4.8%増の568百万円と増収増益となり、2022年4月に上方修正した会社計画に対しても、売上高、営業利益、経常利益で上回って着地した。売上高については3期振りに過去最高を更新したことになる。2022年9月期においても新型コロナウイルス感染者数が過去最多を更新し、感染防止対策等を強いられるなど逆風が吹くなかで、葬儀単価(直営店)は前期比2.9%下落したものの、葬儀件数が同12.6%増となったほか、売上原価率が同0.6ポイント改善したことが増収増益要因となった。会社計画比では葬儀単価(直営店)が1.9%下回ったものの、葬儀件数が3.2%上回ったこと、販管費を抑制できたことが上振れ要因となった。なお、親会社株主に帰属する当期純利益については、リロケーションを決定した店舗に関する減損損失145百万円を計上したことが下振れ要因となった。2022年9月期の出店状況は、直営店で愛知県下に3店舗、三重県下に2店舗、千葉県下に1店舗を開設し、リロケーションにより1店舗を閉鎖した。また、三重県下のFC1店舗を直営に切り替えた。FC店については愛知県下に3店舗を開設し、これにより直営83店舗、FC57店舗の合計140店舗となった(前期末は直営77店舗、FC55店舗)。また、葬儀件数は直営で前期比12.6%増の14,189件、FCで同10.0%増の6,073件、合計で同11.8%増の20,262件と過去最高を更新し、同期間における国内全体の葬儀件数伸び率5.5%増※を上回るペースで伸長した。※経済産業省「特定サービス産業動態調査報告書」より算出。売上高の前期比増減要因を見ると、新店稼働による増収で611百万円、既存店の葬儀件数増加による増収で737百万円、FC売上高の増収で28百万円、その他の増収で24百万円となり、既存店の葬儀単価下落による減収316百万円、既存店のその他売上高の減収5百万円を吸収し、合計で1,080百万円の増収となった。また、会社計画比では葬儀件数の増加による増収で361百万円、FC売上高の増収で15百万円、その他売上高の増収で54百万円となり、葬儀単価下落による減収217百万円を吸収し、合計で213百万円の増収となった。経常利益の前期比増減要因を見ると、売上総利益の増加で504百万円の増益となり、販管費における人件費の増加147百万円、支払手数料の増加38百万円(人事制度改革に伴うコンサルティング費用)、広告宣伝費の増加9百万円、その他経費の増加136百万円を吸収し、合計で171百万円の増益となった。また、会社計画比ではその他経費が46百万円増加したものの、売上総利益が51百万円増加したほか、人件費が60百万円、広告宣伝費が21百万円それぞれ計画を下回ったことにより、合計では88百万円の増額となった。売上原価率は60.4%と前期比0.6ポイント低下した。内訳を見ると、商品原価率は「接客人財・警備」「納棺」「霊柩業務」「生花」等の内製化を進めたものの、コロナ禍対応等※の外注費が増加した結果、同0.1ポイントの上昇となった。労務費率や雑費率については増収効果により、それぞれ0.1ポイント、0.7ポイント低下した。一方、販管費は同334百万円増加したが、対売上比率では0.1ポイント低下した。金額ベースでは人員増や賃金制度改定により人件費が147百万円増加したほか、広告宣伝費が9百万円、その他経費が177百万円増加した。対売上比率では人件費率が0.2ポイント、広告宣伝費率が0.6ポイントそれぞれ低下し、その他経費が0.7ポイント上昇している。※コロナ禍対応のため、搬送チームの人員を増員したほか、火葬待ちのためパートナー企業向けに遺体の一時預かり費用が発生した。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <SI> 2022/12/07 15:06 注目トピックス 日本株 ティア Research Memo(5):適正な料金プランと高品質なサービス、ドミナント出店により成長を継続 ■事業概要4. 同社の特徴と強み(1) 同社の特徴ティア<2485>の最大の特徴は、「葬儀価格の完全開示化」と「適正な葬儀費用の提示」を行い、旧来の葬儀社の慣習を打ち破ったことにある。このため、葬儀単価についても全国平均と比較すると3割弱低い水準で推移している。ここ数年の傾向として、核家族化の進行や高齢者の独居率上昇など生活スタイルが変化してきたことや、低価格戦略を展開する葬儀社が台頭してきたことなどを背景に、「一般葬儀」から「家族葬」へシフトし、葬儀単価についても全体的に低下傾向が続いている。特に、2020年3月以降はコロナ禍を契機として、葬儀規模を縮小する動きが一段と強まり、同社のみならず業界全体の平均単価が大きく下落した。2022年9月期の葬儀単価を見ると、同社は前期比2.9%減の81.3万円と低下傾向が続いた。これは同社の地盤である愛知県でも新型コロナウイルスの感染者数が過去最多を更新するなど環境が再び悪化し、祭壇無しの「新型コロナウイルス対応プラン」等の比率が増加したことが一因となっている。コロナ禍が沈静化している状況では84万円台まで回復する傾向にあり、当面は感染状況によって葬儀単価も変動する傾向が続きそうだ。出店戦略ではドミナント出店により会館の相互補完性を高め、効率的に認知度向上を図りながら営業エリアを広げていく戦略を推進している。1会館の商圏は直径3km、稼働率は約80%を目安としている。会館の基本フォーマットは、建坪150~200坪(平屋1階建て~2階建て)で収容人員100~150人の式場1室(最近は規模に応じて間仕切りできるよう店舗の改修を進めている)に会食ルーム、親族控室を併設したタイプで、設備投資額は150~200百万円、投資回収期間は9~10年が目安となっている。また、2018年9月期より新たな店舗形態として出店を開始した家族葬専用ホールは、基本フォーマットで建坪60坪(平屋1階建て)、収容人員30人規模の式場1室と会食ルーム、親族控室を併設したタイプとなる。設備投資額は70百万円、投資回収期間は9年を目安としている。家族葬専用ホールは既存ホールの商圏の隙間を埋めていく格好で出店を進めている。そのほか、2016年9月期より東京都内で葬儀相談サロンを出店している。東京都内は土地や家賃が高い一方で、葬儀単価が全国平均を下回る水準であること、火葬場と併設する貸式場が多いことなどから、式場を自社で保有・運営するよりも貸式場を活用した方が効率的に事業を拡大できるとの判断による。現在は荒川区や葛飾区など23区内の中でも北東部エリアで出店を進めている。サロンについては東京都以外にも大阪府で直営、FC各1店舗を出店している。(2) 同社の強み同社の強みは、他社に真似のできない人財教育システムにある。「ティアアカデミー」と呼ばれる人財教育システムでは、新卒入社の新人社員に対して入社後6ヶ月間、社会人としての基礎研修だけでなく、セレモニーディレクターとしての教育※、徳育的観点からの「命」や「心」に関しての教育などを実施している。現場配属後も、OJTだけでなく3ヶ月に1度は社長セミナーを受講しており、葬儀業である前に「究極のサービス業」であることを認識し、「ご遺族に対して最高のおもてなし」により「感動」を与えられる社員になれるよう心の教育を行っている。また、客観的な判断基準として、社内検定試験を等級別に7段階に分けて実施しており、個々の社員の能力を把握できるようにしている。こうした人財教育システムが同社の質の高いサービスを作り上げており、競争力を支える源泉となっている。※葬儀の依頼を受ける際の「打ち合わせ」、通夜・葬儀の際の会場設営、ロールプレイング、OJTによる施行立会い。なお、同社は人財教育の充実を図るべく教育専用施設「ティア・ヒューマンリソース・センター(以下、THRC)」を本社隣接地に2019年に開設した。同施設は5階建てで1階は業務車両の駐車場スペース、2階はコンタクトセンター及び夜勤専門職等事務所、3~4階が研修施設となっている。3階にはモデル葬儀式場を整備しており、研修で模擬体験を繰り返し行うことで葬儀施行技術習得期間の短縮とサービス品質の向上に取り組んでいる。従来は主に各店舗でのOJTで技術習得を行っていたため、一度に育成できる人数が限られ時間も掛かっていたが、「THRC」の開設によって多数の人財育成が短期間で可能となり(=新規出店余力の増大)、葬儀業の理解度をより深めることで定着率の向上に取り組んでいる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <SI> 2022/12/07 15:05 注目トピックス 日本株 ティア Research Memo(4):将来の見込み顧客となる個人会員数が年間3万件ペースで拡大 ■事業概要3. 顧客内訳と会員数の推移ティア<2485>は直営の葬儀会館のほか自宅、寺院、公民館などを会場とした葬儀の施行全般を請け負っている。また、葬儀終了後のアフターフォローとして、忌明け法要や年忌法要の請負なども行っている。2022年9月期における葬儀売上高の顧客別構成比を見ると、「ティアの会」に加入する個人会員が64.7%、提携団体※が29.5%、フリー客が3.8%、その他が2.0%となっており、「ティアの会」会員及び提携団体で90%以上を占めている。特に、ここ数年は提携先の広がりもあって、提携団体の比率が上昇傾向にある。※「ティアの会」と同等のサービスが受けられる法人、施設との団体契約を指す。「ティアの会」は、入会金を支払うことにより会員特別価格で葬儀や葬儀後の法要、香典返しなどを利用できるほか、提携企業172社、全国226店で利用可能な「会員優待サービス」や「生き方応援ポイント」「葬儀保険」といった各種特典や割引サービスを受けられる同社独自の会員システムとなる。会員数は2022年9月期末で470,568人となり、年間3万人前後のペースで会員数が増加している。会員は将来の見込み顧客となるため、今後の収益動向を示す重要な先行指標となる。また、提携団体についても1,269団体と増加傾向が続いている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <SI> 2022/12/07 15:04 注目トピックス 日本株 ティア Research Memo(3):愛知県を中心に店舗展開を進め、直営・FC合わせて140店舗まで拡大 ■ティア<2485>の事業概要2. 店舗数の推移2022年9月期末の店舗数は、直営店が83店舗(うち、葬儀相談サロン10店舗)、FC店が57店舗(うち、サロン1店舗)の合計140店舗と年々拡大している。地域別店舗数で見ると直営店は名古屋市内で37店舗、名古屋市内を除く愛知県で27店舗、大阪府4店舗(うち、サロン1店舗)、三重県3店舗、埼玉県2店舗、東京都9店舗(すべてサロン)、千葉県1店舗となっている。また、FC店は愛知県19店舗、岐阜県16店舗、大阪府16店舗(うち、サロン1店舗)、三重県2店舗、神奈川県2店舗、和歌山県、茨城県で各1店舗を展開している。FC加盟社数は11社で、南海電気鉄道<9044>の子会社である南海グリーフサポート(株)が17店舗(うち、サロン1店舗)と最も多い。地盤となる名古屋市内の店舗数は37店舗で直営(サロンを除く)の4割強を占めている。2019年9月期以降は家族葬の需要増加に対応するため、従来よりも規模の小さい家族葬専用ホールを主に出店している。従来の葬儀会館は敷地面積で500坪前後が必要で、条件(交通の利便性等)に見合う立地の物件探索が難しく、出店が思うように進まなかったが、家族葬専用ホールは200坪前後の敷地面積で出店可能なため候補地も見つかりやすく、コンビニエンスストアの跡地に出店するケースもある。なお、名古屋市内の斎場シェアは店舗数の増加とともに年1ポイントのペースで上昇し、2022年9月期は27.2%となった。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <SI> 2022/12/07 15:03 注目トピックス 日本株 ティア Research Memo(2):葬儀・法要の請負、アフターフォロー、葬儀会館「ティア」の運営とFC事業を展開 ■ティア<2485>の事業概要1. 事業内容名古屋を地盤とした葬儀会館「ティア」の運営を目的に、1997年に設立。「日本で一番『ありがとう』と言われる葬儀社」を目指して、「葬儀価格の完全開示」「適正な葬儀費用」を業界に先駆けて提唱してきた。葬儀業が究極のサービス業であるとの認識のもと、「徹底した人財教育によるサービスの向上」によって顧客からの支持を集め、成長を続けている。事業内容は葬儀・法要の請負、葬儀施行後のアフターフォロー、葬儀会館「ティア」の運営とFC事業からなる。FC事業については出店エリアの市場調査から会館企画、従業員教育、経営指導、葬儀付帯品等の販売、アフターフォローに至るまでトータルサポートを行っている。FC事業の売上高の中には、加盟時に支払う加盟金(2百万円)や出店申込金(3百万円)のほか、ロイヤリティ収入(売上高の3%)、物品売上、社員に対する教育サービス料などが含まれる。なお、FC加盟に関しては同一商圏内に複数出店が可能な事業者であることを条件としている。以前までは同業者の加盟を認めていなかったが、今後は理念に共感する同業者にも裾野を広げていく。事業セグメント別の構成比で見ると、直営店舗で行う葬祭事業が売上高、セグメント利益ともに約97%を占める主力事業となっており、ここ数年は大きな変化はない。FC事業が収益に与える影響はまだ小さいが、将来的に全国展開を進めていく際にはFC方式での展開が効率的と考えており、いずれは上昇していくものと予想される。同社は2017年5月に、愛知県内で湯灌サービス及びメイク納棺業務を行う(有)愛共(現 (株)ティアサービス)を子会社化し、2017年9月期より連結決算を開始している。現状は顧客先が同社のみとなるため売上高の影響はないが、関連業務の内製化を進めることで売上原価率の改善に寄与している。ティアサービスでは2019年9月期から生花事業を名古屋市内でスタートし、2020年9月期から墓石販売事業も一部の地域でスタートしている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <SI> 2022/12/07 15:02 注目トピックス 日本株 ティア Research Memo(1):葬儀業界でのシェアは順調に拡大、2023年9月期は成長に向けた事業基盤を構築 ■要約ティア<2485>は、葬儀会館「ティア」を中部、関西、首都圏で展開しており、2022年9月末の店舗数は140店舗(直営店83店舗(直営会館73店舗、葬儀相談サロン10店舗)、FC(フランチャイズ)57店舗)となっている。「葬儀価格の完全開示」「適正な葬儀費用」を業界に先駆けて提唱し、「日本で一番『ありがとう』と言われる葬儀社」をスローガンに、「徹底した人財教育によるサービスの向上」を実践することで1997年の設立以来、成長を続けてきた。取扱葬儀件数の市場シェアは全国で約4%(FC含む)だが、名古屋市内に限って見ると27.2%となり、年々シェアを拡大している。1. 2022年9月期の業績概要2022年9月期の連結業績は、売上高で前期比8.9%増の13,283百万円、経常利益で同19.5%増の1,048百万円と2期連続の増収増益となり、会社計画(売上高13,070百万円、経常利益960百万円)に対しても上回って着地した。売上高については3期ぶりに過去最高を更新したことになる。新型コロナウイルスの感染者数拡大の影響により葬儀単価が想定以上に下落したものの、直営店の葬儀件数が新規出店効果もあって同12.6%増加したことが増収要因となった。利益面では、人件費やコロナ対策費用等が増加したものの増収効果でカバーした。なお、新規出店は直営で7店(うち1店はFCからの切り替え、1店は既存会館のリロケーション)、FCで3店の合計10店となり、期末店舗数は前期末比8店舗増の140店舗となった。2. 2023年9月期の業績見通し2023年9月期の連結業績は、売上高で前期比6.0%増の14,075百万円、経常利益で同3.5%増の1,085百万円と増収増益が続く見通し。前提となる直営店の葬儀件数は同2.3%増、葬儀単価は同4.3%増とし、新たに直営店で8店舗(うち、2店舗はリロケーション)、FCで8店舗の出店を計画している。葬儀単価については新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響が軽微となることを前提としているため、実際には前期並みの水準にとどまる可能性もあるが、葬儀件数は保守的な印象が強く、葬儀単価が上昇しなくても件数の増加で売上計画は達成できるものと思われる。一方、利益面では内製化による原価率の改善が続くものの、将来の成長を見据えた積極的な人材投資やDX関連投資の増加等により、経常利益率は若干の低下を見込んでいる。同社は新たにDX・SX(SDGsに関する取り組み)デザイン事業本部を立ち上げ、ICTを積極的に活用してブランド力の向上や各種サービスの拡充に取り組む方針で、そのための拠点として本社隣接地に「TDL(ティア・デザイン・ラボ)※」を建設、2023年9月に開設する予定となっている(投資額402百万円)。※DXやSDGsへの取り組みなどを企画・実行するため、DX・SXデザイン事業本部(6名)を新たに立ち上げており、同事業本部の拠点として本社北側に新築ビル(建坪88坪、6階建て)を建設、2023年9月に開設予定となっている。3. 中期経営計画と重点施策3ヶ年の中期経営計画(2023年9月期~2025年9月期)では「ティアを超える新生ティア!!」のスローガンを掲げ、1)直営・FC会館の計画的な出店と既存会館の持続的成長、2)中核エリアのシェア向上にこだわった営業促進の実施とマーケティング力の向上、3)葬儀付帯業務の内製化拡大と、行動力と分析能力を高めたM&A、4)計画に則した人財確保・育成と次世代基幹システムの構築、の4項目を重点テーマとして推進し、2025年9月期に売上高で15,690百万円、経常利益で1,205百万円を目指す。2024年9月期までは持続的成長を可能とする基盤固めを行う期間と位置付けているため、利益の伸びは緩やかなものとなるが、2025年9月期以降は利益成長も加速していく計画となっている。出店戦略は、直営店を年間7~8店舗、FC店を同6~8店舗ペースで継続的に出店していく。名古屋を中心とした中核エリアでのシェア拡大に加え、関西や関東でも年間1店舗ペースで出店していく計画だ。また、今後は葬儀だけでなく葬儀の前後に出てくる様々な顧客ニーズも積極的に取り込み、終活支援サービス企業として成長を目指す考えだ。「ティアの会」会員数は47万人、提携団体は1,269団体と増加しており、これら会員に対して付加価値サービスを提供していく。■Key Points・2022年9月期は葬儀単価の下落を件数増加で吸収し、会社計画を上回る増収増益を達成・2023年9月期は成長投資を実行しつつ連続増収増益を目指す・中期経営計画では2024年9月期までに成長基盤を構築し、2025年9月期以降は利益成長が加速(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <SI> 2022/12/07 15:01 注目トピックス 日本株 出来高変化率ランキング(14時台)~インパクト、シライ電子がランクイン ※出来高変化率ランキングでは、直近5日平均の出来高と配信当日の出来高を比較することで、物色の傾向など市場参加者の関心を知ることができます。■出来高変化率上位 [12月7日 14:32 現在](直近5日平均出来高比較)コード⇒銘柄⇒出来高⇒5日平均出来高⇒出来高変化比率⇒株価変化率<4598> DELTA−P    916000  43860  1988.46% -3.2%<4576> DWTI       2144700  245520  773.53% -1.92%<3779> JエスコムHD    14578100  2167620  572.54% -16.83%<5125> ファインズ      123500  19960  518.74% -0.92%<3479> TKP        1589800  313440  407.21% 8.02%<4392> FIG        1231600  248500  395.61% 7.44%<4263> サスメド       2452600  673340  264.24% 10.28%<2039> 原油ベア       185182  57804.2  220.36% 3.08%<7133> ヒュウガプライマ   30700  9800  213.27% 7.53%<6619> WSCOPE     13965900  4665740  199.33% 7.95%<5341> アサヒ衛陶      211300  77760  171.73% 5.17%<4418> JDSC       1783400  670080  166.15% -1.29%<2038> 原油ブル       3509678  1351531  159.68% -6.67%<3186> ネクステージ     1312100  514660  154.95% -0.55%<6232> ACSL       885100  355040  149.30% 0.53%<3688> カルタHD      82000  35660  129.95% 5.68%<7561> ハークスレイ     695400  308960  125.08% 4.12%<5132> pluszero   763700  344000  122.01% 3.3%<1487> 上米債HE      11139  5022.4  121.79% 0.13%<6067>* インパクト      129000  58700  119.76% -3.34%<6658>* シライ電子      599200  273240  119.29% 5.58%<6651> 日東工        229300  104840  118.71% 2.77%<3793> ドリコム       687800  318660  115.84% 0.13%<4978> リプロセル      9582200  4492600  113.29% 10.15%<4192> スパイダープラス   2396000  1141020  109.99% 11.28%<5028> セカンドサイト    99200  48920  102.78% -5.53%<5032> ANYCOLOR   2172000  1071200  102.76% 1.3%<2929> ファーマF      2124100  1079920  96.69% 3.67%<6881> キョウデン      263100  134220  96.02% 0.95%<8699> HSHD       81200  41880  93.89% -0.1%(*)はランキングに新規で入ってきた銘柄20日移動平均売買代金が5000万円以下のものは除外 <CS> 2022/12/07 14:50 注目トピックス 日本株 Speee---急落、業績踊り場を反映し国内証券が投資判断を格下げ Speee<4499>は急落。SBI証券は投資判断を「買い」から「中立」に格下げ、目標株価も5500円から1980円にまで引き下げている。23年9月期は投資期と位置付けられ、業績の踊り場になると見込んでいる。同証券では「先を見据えた投資」というよりも「足元の状況に急遽対応を迫られたための投資」という印象としている。不透明感の増大や情報開示状況などを考慮して、従来の再来期でなく今期の一株当たり利益を株価評価に適用している。 <YN> 2022/12/07 14:43 注目トピックス 日本株 FIG---急伸、ドローン関連として物色人気波及 FIG<4392>は急伸。9月15日の年初来高値水準を更新。ドローン関連の一角として物色人気が集まっているもよう。国土交通省は、ドローンの機体が操縦者に見えない状態でも住宅地などで飛ばせるよう規制を緩和しているほか、ドローン国家資格(免許)制度も5日から新設されている。さらに、日本郵便とACSL<6232>が大型物流ドローンの新機体を6日に発表している。前日はACSLが大幅高となる展開であった。 <YN> 2022/12/07 14:28 注目トピックス 日本株 出来高変化率ランキング(13時台)~サスメド、ネクステージなどがランクイン ※出来高変化率ランキングでは、直近5日平均の出来高と配信当日の出来高を比較することで、物色の傾向など市場参加者の関心を知ることができます。■出来高変化率上位 [12月7日 13:56 現在](直近5日平均出来高比較)コード⇒銘柄⇒出来高⇒5日平均出来高⇒出来高変化比率⇒株価変化率<4598> DELTA−P    878100  43860  1902.05% -3.2%<4576> DWTI       2023300  245520  724.09% -0.38%<3779> JエスコムHD    13388100  2167620  517.64% -13.37%<3479> TKP        1414100  313440  351.15% 9.1%<4392> FIG        1011200  248500  306.92% 5.81%<2039> 原油ベア       178846  57804.2  209.40% 3.35%<7133> ヒュウガプライマ   28700  9800  192.86% 7.01%<6619> WSCOPE     12551600  4665740  169.02% 8.37%<4263> サスメド       1730400  673340  156.99% 6.83%<5341> アサヒ衛陶      195400  77760  151.29% 6.17%<5125>* ファインズ      48400  19960  142.48% 3.89%<4418> JDSC       1617100  670080  141.33% -2.28%<2038> 原油ブル       3148364  1351531  132.95% -7.35%<3186> ネクステージ     1178600  514660  129.01% -0.69%<6232> ACSL       808300  355040  127.66% -0.16%<1487> 米国債券(為替ヘッジ)    11136  5022.4  121.73% 0.2%<5132>* pluszero   722300  344000  109.97% 4.17%<3793> ドリコム       661400  318660  107.56% 0.13%<3688> カルタHD      73500  35660  106.11% 5.8%<6651>* 日東工        212600  104840  102.79% 2.94%<7561>* ハークスレイ     601000  308960  94.52% 5.15%<5032> ANYCOLOR   2016000  1071200  88.20% 1.17%<4978>* リプロセル      8285500  4492600  84.43% 9.25%<6881> キョウデン      242800  134220  80.90% 1.53%<7061> 日本ホスピス     59000  32780  79.99% 0%<5028> セカンドサイト    88000  48920  79.89% -5.47%<2929>* ファーマF      1898000  1079920  75.75% 3.54%<8699> HSHD       72700  41880  73.59% -0.89%<4192>* スパイダープラス   1924400  1141020  68.66% 11.15%<9824>* 泉州電業       76600  45420  68.65% 4.2%(*)はランキングに新規で入ってきた銘柄20日移動平均売買代金が5000万円以下のものは除外 <FA> 2022/12/07 14:18 注目トピックス 日本株 ハーモニック---反落、需給悪化が続くとして欧州系証券が格下げ ハーモニック<6324>は反落。クレディ・スイス証券は投資判断を「アウトパフォーム」から「ニュートラル」に格下げ、目標株価も5420円から3820円に引き下げている。ナブテスコ<6268>による同社株の売却について、21年2月から22年7月にかけて同社株式が売却された際と同様のペースで株式売却が行われるとした場合、約800万株の売却が残っていると推測しているもよう。受注は第3四半期に底を打つと予想しているが、過去に受注した案件のキャンセルが発生しているなど、株式売却による需給悪化を補うほどの力強い受注回復は当面見込めないと予想している。 <YN> 2022/12/07 14:13 注目トピックス 日本株 住友電工---急伸、インフラ投資の恩恵などに期待で米系証券が新規買い推奨 住友電工<5802>は急伸。ゴールドマン・サックス証券では、産業エレクトロニクス5社のカバレッジを新規に開始。出遅れたインフラ投資にチャンスありとして、同社とフジクラ<5803>を「買い」推奨としている。同社に関しては目標株価を2200円に設定している。短期的には光ファイバーケーブルと自動車回復が売上成長を牽引し、中長期では電力インフラ分野も投資拡大による恩恵が期待できるとみているようだ。 <YN> 2022/12/07 13:54 注目トピックス 日本株 フジオフード---一時急落、業績下方修正で赤字幅拡大も下げは限定的 フジオフード<2752>は一時急落。遅延していた第3四半期の決算を発表、営業損益は17億円の赤字となり、通期予想は従来の4.7億円の赤字から18.7億円の赤字に下方修正している。コロナ第7波による外食機会の減少、円安進行によるコスト上昇などが背景。減損損失の計上で、最終損益は0.2億円の黒字から19.7億円の赤字に下方修正。ただ、業績下振れ懸念が強かったこと、株主優待権利取りの動きから、下げ幅は限定的なものにとどまっている。 <YN> 2022/12/07 13:43 注目トピックス 日本株 日経平均寄与度ランキング(前引け)~日経平均は3日ぶり反落、ファーストリテが1銘柄で約53円分押し下げ 7日前引け時点の日経平均構成銘柄の騰落数は、値上がり127銘柄、値下がり87銘柄、変わらず11銘柄となった。日経平均は3日ぶり反落。128.93円安の27756.94円(出来高概算4億9702万株)で前場の取引を終えている。6日の米株式市場でダウ平均は350.76ドル安(−1.03%)と大幅続落。利上げ長期化を懸念した売りが先行。また、ゴールドマン・サックスの最高経営責任者(CEO)が景気後退に備えてボーナス減額や人員削減を示唆。バンク・オブ・アメリカやJPモルガンなどの金融各社のCEOも来年の経済に悲観的な見方を示したため、景気後退懸念が強まるなか一段と売りが広がった。ナスダック総合指数は−2.00%と大幅に3日続落。米国株安を引き継いで日経平均は215.58円安からスタート。一方、為替の円安進行を支援要因に寄り付き直後からは下げ渋る展開となり、前場中ごろには27786.25円(99.62円安)まで下げ幅を縮めた。ただ、景気後退懸念も根強く、その後は騰勢一服となり膠着感の強い展開となった。個別では、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)の下落を受けてレーザーテック<6920>、東エレク<8035>、ソシオネクスト<6526>など半導体関連株が大きく下落。自動運転計画のネガティブな報道を背景に米アップル株が下落したことを受け、イビデン<4062>、新光電工<6967>、TDK<6762>など関連株が大幅安。メルカリ<4385>、SHIFT<3697>などグロース株も冴えない。東京一番フーズ<3067>は立会外分売実施による需給悪化懸念で急落。一方、三菱UFJ<8306>、三井住友<8316>、みずほ<8411>、りそなHD<8308>の銀行や、東京海上<8766>、第一生命HD<8750>の保険などが堅調。大阪チタ<5726>、東邦チタニウム<5727>が揃って大幅高で、三菱マテリアル<5711>、住友鉱<5713>などその他の非鉄金属も上昇。日本製鉄<5401>、JFE<5411>の鉄鋼は中国の経済再開期待から続伸。韓国子会社が大手鉄鋼メーカーポスコ子会社とイオン交換膜スタックモジュールの供給に関する基本合意書を締結したダブル・スコープ<6619>は急騰。著名個人投資家の保有比率の拡大が判明した住石HD<1514>も急伸している。セクターでは鉱業、電気機器、海運が下落率上位となった一方、非鉄金属、電気・ガス、銀行が上昇率上位となった。東証プライム市場の値下がり銘柄は全体の29%、対して値上がり銘柄は66%となっている。値下がり寄与トップはファーストリテ<9983>となり1銘柄で日経平均を約53円押し下げた。同2位は東エレク<8035>となり、TDK<6762>、アドバンテ<6857>、信越化<4063>、ファナック<6954>、バンナムHD<7832>などがつづいた。一方、値上がり寄与トップはソフトバンクG<9984>となり1銘柄で日経平均を約7円押し上げた。同2位は資生堂<4911>となり、第一三共<4568>、豊田通商<8015>、7&iHD<3382>、ヤマハ発<7272>、ホンダ<7267>などがつづいた。*11:30現在日経平均株価  27756.94(-128.93)値上がり銘柄数 127(寄与度+60.38)値下がり銘柄数  87(寄与度-189.31)変わらず銘柄数  11○値上がり上位銘柄コード  銘柄       直近価格        前日比 寄与度<9984> ソフトバンクG   5952           35 +7.19<4911> 資生堂         6350          118 +4.04<4568> 第一三共       4369           29 +2.98<8015> 豊田通商       5290           60 +2.05<3382> 7&iHD      5477           57 +1.95<7272> ヤマハ発       3370           55 +1.88<7267> ホンダ         3296           25 +1.71<5803> フジクラ       1077           45 +1.54<7269> スズキ         4800           45 +1.54<7203> トヨタ自       1952          8.5 +1.46<8766> 東京海上       2803         26.5 +1.36<3099> 三越伊勢丹      1281           38 +1.30<5802> 住友電工       1576           32 +1.10<4523> エーザイ       9753           30 +1.03<7951> ヤマハ         5430           30 +1.03<8591> オリックス     2198.5           27 +0.92<1925> 大和ハウス      3098           27 +0.92<5301> 東海カーボ      1113           26 +0.89<6305> 日立建機       3100           25 +0.86<1801> 大成建         4175          120 +0.82○値下がり上位銘柄コード  銘柄       直近価格        前日比 寄与度<9983> ファーストリテ   84050         -1550 -53.08<8035> 東エレク       45240         -1340 -45.89<6762> TDK         4765          -75 -7.70<6857> アドバンテス     9420         -110 -7.53<4063> 信越化        17165         -150 -5.14<6954> ファナック     20940         -150 -5.14<7832> バンナムHD     8791         -147 -5.03<6367> ダイキン工     22045         -135 -4.62<6971> 京セラ         6892          -58 -3.97<9433> KDDI       4018          -18 -3.70<6273> SMC        61810         -900 -3.08<6976> 太陽誘電       4330          -90 -3.08<6758> ソニーG       10930          -85 -2.91<9613> NTTデータ     2051          -16 -2.74<4901> 富士フイルム     7081          -80 -2.74<6645> オムロン       7035          -67 -2.29<6981> 村田製         7389          -66 -1.81<2801> キッコマン      7510          -50 -1.71<2802> 味の素         4476          -44 -1.51<2413> エムスリー      4075          -16 -1.31 <CS> 2022/12/07 12:50 注目トピックス 日本株 ティーケーピー---行使価額修正条項付新株予約権の取得及び消却 ティーケーピー<3479>は、6日、第三者割当による行使価額修正条項付第8回新株予約権につき、割当先である大和証券よりその全てを取得するとともに消却することを決議した。発行新株予約権の数は39,743個。第8回新株予約権1個あたり663円のため、総額 26,349,609円。取得日及び消却日は2022年2月20日を予定している。同社は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた大規模な経済活動の停滞から再開が進み、貸会議室・宿泊事業において需要が回復基調にある。また、ウェビナーやオンライン配信サービス、会議室の長期利用等コロナ禍における新規需要を取り込んだことで、同社業績は好調に推移している。その結果、財務健全性は向上し安定的な利益創出を継続できる見通しとなったことから、本新株予約権による資金調達を中止しその全てを取得・消却することとした。 <TY> 2022/12/07 12:33

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