注目トピックス 日本株ニュース一覧
注目トピックス 日本株
新興市場銘柄ダイジェスト:AppBankは大幅に反落、サイバー・バズがストップ高
<6177> AppBank 169 -20大幅に反落。新規材料は見当たらないが、前日急騰の反動で利益確定売りが出ている。AppBankは14日、連結子会社の3bitter(東京都新宿区)がエリア限定ガチャサービスを正式に開始したと発表。位置情報テクノロジーを利用し、コンサート会場や店舗などへの来場者だけがエリア限定のガチャを購入できる。サービスの正式開始を好感して15日に20%近くも株価が上昇したため、短期筋による値幅取り狙いの売りも加わっているようだ。<6195> ホープ 256 -9朝高後、後場にマイナス転換。23年3月期の純損益を従来予想の0.76億円の黒字から49.22億円の黒字(前期実績197.30億円の赤字)に上方修正している。破産手続きの開始が決定された子会社ホープエナジー(福岡市)の譲渡に伴い、負債の部に計上されている特別勘定を損益に振り替えることから特別利益48.46億円が発生する見込みとなったため。営業損益予想は1.26億円の黒字(同166.51億円の赤字)で据え置いた。<5035> HOUSEI 928 +150ストップ高。自社の顔認証ソリューション「WIDEdge」を活用し、顔パスによる大手セキュリティサービスの警備モードの解除と電気錠の解錠を実現したと発表している。玄関口に設置したネットワークカメラが出勤者の顔を認識し、WIDEdgeが登録済みの社員を認証する。OKの場合は警備モードの解除と電気錠の解錠を行う。出勤者はICカードを利用せずに入室が可能となる。<4260> ハイブリッドテク 839 +54年初来高値。スタートアップ支援プロジェクトの第6弾支援先として、3Dアバターを活用したカスタマイズ絵本を提供するえほんインク(東京都品川区)を選定したと発表している。同社が提供するオリジナル絵本は、クラウドファンディングで目標額を上回る支援を得るなどマーケットニーズの高さが顕著という。14日には第5弾支援先として受発注・入出庫・在庫管理を完全無料で一元化できるソフトを提供するSpes(同)を選定していた。<7069> サイバー・バズ 1524 +300ストップ高。Webサービスを手掛けるWithLIVE(東京都渋谷区)の全株式を取得し、完全子会社化すると発表している。取得価額は概算で約6.02億円。株式譲渡実行日は10月3日の予定。WithLIVEは、アーティストやタレントとのオンライントーク販売プラットフォーム事業などを展開している。サイバー・バズが持つインフルエンサーやタレントとのネットワークを用い、WithLIVEの成長加速を目指す。<6554> エスユーエス 869 +35大幅に反発。22年9月期の期末配当を従来予想の10.00円から15.00円(特別配当5.00円含む。前期末実績7.00円)に増額修正している。安定的な株主還元を実施する基本方針と財政状態などを総合的に勘案した結果、特別配当として5.00円を加えることとした。エスユーエスの通期業績予想は、純利益が前期比5.4%減の4.23億円、1株当たり純利益は48.08円となっている。
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2022/09/16 15:36
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PCNET Research Memo(10):5期連続で増配を実施、2023年5月期も1.0円増配を計画
■株主還元策パシフィックネット<3021>は中期的な安定成長を最も重要な経営目標としており、株主への利益還元についても安定的に拡大することを目標としている。これを具体化し、利益還元強化と安定配当の方針を明確にするため、2021年5月期から、「純資産配当率(DOE)」を導入した配当方針へ変更している。これまで配当額については、親会社株主に帰属する当期純利益の30%以上を配当性向の目安として決定していく方針としていた。変更後は配当性向30%以上、かつ純資産配当率(DOE)5%以上を目標としている。DOEは企業が株主資本に対してどの程度の配当を支払っているかを示す指標であり、真の配当性向とも呼ばれている。配当水準を示す指標としては配当性向が一般的であるが、親会社株主に帰属する当期純利益は変動幅が大きいため、株主還元の状況を示す指標として株主資本を基準にしたDOEへの注目が高まっている。2022年5月期の年間配当は前期比6.0円増配の1株当たり36.0円となった。2023年5月期においては、前期比1.0円増配の1株当たり37.0円を計画している。なお、同社の配当額の推移については、2018年5月期の年20.0円以降、毎期増額を継続している。(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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2022/09/16 15:30
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ファンペップ Research Memo(10):、現在は開発ステージの段階にあるため配当は実施していない
■株主還元策ファンペップ<4881>は株主への利益還元について重要な経営課題と認識しているものの、現在は開発ステージの段階にあるため配当は実施しておらず、手元資金については研究開発活動に優先的に充当し、早期に収益化を実現して企業価値の向上を図ることが株主還元になると考えている。こうしたなか、多くの株主に同社株式を中長期的に保有してもらうことを目的に、株主優待制度の導入を2021年6月に発表している。優待内容は、毎年6月末及び12月末現在の株主(100株以上保有)を対象に、機能性ペプチド配合商品等を株主優待割引価格で購入できるようにした。2022年6月末の株主向けには、ポケッタブルウイルス除去スプレーを希望小売価格の40~50%割引価格で、また、化粧品シリーズを希望小売価格の50%割引価格にて提供する。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2022/09/16 15:30
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PCNET Research Memo(9):各事業がすべて直接的にESGにつながる特徴を有する
■ESGへの取り組みパシフィックネット<3021>は、各事業がESG の直接的な支援に直結する特徴を有する。IT サブスクリプション事業では、レンタル及びその終了後はリユースすることで「環境」、働き方改革の支援やDX支援による「社会」、情報漏えい防止による「企業統治」を担う。ITAD 事業では、リユース・リサイクル、使用済み機器の適正処理による「環境」、情報漏えい防止、使用済み機器の適正処理による「企業統治」が該当する。コミュニケーション・デバイス事業では、三密回避ツールの提供という形で「社会」に貢献している。さらに、IT サブスクリプション事業におけるシェアリングエコノミー(共有経済)から、ITAD 事業におけるサーキュラーエコノミー(循環型経済)へ活用される。同社の事業は、循環型社会、CO2削減、DX推進などSDGsの実現に直結するものであり、企業のESG対応が進むことが、同社の事業規模拡大につながると言える。ESGの対応に当たり、多くの企業が直面している課題について、同社が支援する内容は以下の通りとなっている。・E(Environment)カーボンニュートラルの推進が急務となっている。東証プライム市場では、CO2排出量・削減目標の開示が義務付けられ、環境に配慮した経営でないとみなされると、投資家離反によって企業価値が下落し、競争力が低下するリスクがある。こうした課題に対して、同社では適正処理により、CO2の削減を実現する。具体的には、PC再利用で製造時・廃棄時に発生するCO2を削減するうえ、再販できないPCはすべて部品に分解し、100%国内で再利用している。こうした一連の成果を可視化するCO2削減効果レポートも提供している。・S(Social)社内のIT人材が慢性的に不足しているという課題を抱える企業は多い。行動様式の変化により、DX推進が急務となっており、さらに働き方の変化やセキュリティ脅威への対応でIT担当者の業務量が急増している。一方で日本のIT人材は不足しており、人材拡充が困難かつコストも高くなっている。こうした課題に対して、同社がPC管理・運用業務を引き受けることで、社内のIT人材の有効活用が可能になるとしている。同社のPCサブスクリプションもしくはLCMサービスを利用することで、PC導入から、運用管理・適正処分まですべて同社へ外注することが可能となり、社内のIT人材をDXなどのコア業務へシフトできるようになる。・G(Governance)企業統治の観点では情報セキュリティの強化が急務となっている。使用済みPC・サーバーは、データ消去などの適切な処理が必要であり、怠ると情報漏えいの危険が高い。個人情報保護法の改正等により、情報漏えい事故を起こした際の事業リスクが高まっている。こうした課題に対して、同社では厳格な適正処理を行うことで情報漏えいのリスクを最小化するサービスを提供している。高い安全性が担保されたセキュリティ環境とデジタル化でデータ消去の完全性を確保している。従業員・部外者の持ち出しも阻止できる。NIST SP 800-88 Rev.1(NIST(米国国立標準技術研究所)が「媒体のデータ抹消」の規格として提案している文書番号)に準拠し、復元が完全に不可能と認定されたデータ消去作業を実施している。(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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2022/09/16 15:29
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ファンペップ Research Memo(9):抗体医薬品の世界市場規模は522億米ドル超、成長ポテンシャルは膨大
■今後の成長戦略ファンペップ<4881>は今後も独自技術である抗体誘導ペプチドの優位性を生かして、抗体医薬品が既に発売されている「炎症領域」を中心に開発パイプラインを拡充していく戦略となっている。標的となるタンパク質は既に上市されている抗体医薬品と同じであるため、リード化合物を特定する時間が通常よりも大幅に短縮できるほか、有効性や安全性についても既に抗体医薬品で確認されているため、開発リスクも小さい。第1相臨床試験によって体内で抗体産生がどの程度できているか、また免疫原性を調べることで薬効などをある程度読むことができる点もメリットと言える。今後の事業戦略としては、既存パイプラインの開発を進めると同時に2年に1本のペースでパイプラインを拡充していくことを目指している。同社は研究開発人員が当初2名でスタートし(2022年6月末は10名)、直近6年間で3本の抗体誘導ペプチドを開発した実績からみて、実現可能なペースと言える。既に、精神神経疾患や疼痛、アレルギー性疾患、高血圧、抗血栓、脂質異常症などを対象疾患とした候補化合物も保有しており、今後これらのなかから開発パイプラインに加わるものが出てくると予想される。また、人材投資については、基礎研究分野の人材だけでなく、今後は開発パイプラインの増加に伴ってCMC※関連や薬事関連の専門知識を持つ人材の採用も進めていく方針だ。※CMC(Chemistry, Manufacturing and Control)…Chemistryは化学、Manufacturingは製造、Controlはそれらの品質管理を意味する。医薬品製造の承認を申請する際には非臨床試験から臨床試験さらに市販後に向けて、評価される製造物を定義づけることが求められる。製造物の処方や規格及びそれらの評価方法や設定根拠、包材を含めた原材料の管理、原料や製造物の製造プロセスを検討し、製造物の品質評価を統合して行う概念。当面は開発ステージとなるため、営業損失が続く見込みだが、抗体誘導ペプチドの開発対象となる領域での抗体医薬品の世界市場規模は主要製品だけで522億米ドルを超えており、中長期的な成長ポテンシャルは極めて大きいと弊社では見ている。今後判明する見込みである「FPP003」臨床試験における抗体産生力や免疫原性などのデータが良好であれば、「FPP005」などのライセンス契約交渉も一気に前進する可能性が高いだけに、その内容が注目される。また、同社では抗体誘導ペプチドの自社開発に注力していく方針だが、将来的には抗体誘導ペプチドの創薬プラットフォーム技術である「STEP UP」を提供することで収益を獲得していくことも、選択肢の一つとして視野に入れている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2022/09/16 15:29
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PCNET Research Memo(8):データ消去需要は引き続き拡大し適正処理サービスでは優位性
■事業環境(1) ビジネス向けITサービス市場日本の民間ITサービス市場については、少子化やDXの必要性等からIT人材不足は深刻化しており、パシフィックネット<3021>のサービス分野であるIT機器の管理・運用保守等、情報システムの負担軽減につながるサービスへのニーズはさらに拡大すると考えられる。また新たな生活様式によるテレワーク対応等からクラウド活用は必須となることから、企業によるDXのためのIT投資も持続的に拡大すると想定される。最近では新型コロナウイルス対策で政府が実施した雇用調整助成金や休業支援金の不正受給を巡り、会計検査院は厚生労働省に調査手法の改善を求める異例の是正要求を出したと報じられた。これによると会計検査院の調べで約3億円の不正受給などが新たに判明したようであり、総支給額が5兆円を超える事業の事後調査の甘さが露呈した。業務のデジタル化などの対応が急務であり、相当古いPCを使用しているとも見られている自治体向けIT機器の整備とともに、IT機器の更新を促す可能性があることが考えられる。また、企業においても依然としてサポート対応切れのPC活用は少なくないもようで、定期的な入れ替え需要は存在すると弊社では見ている。加えて「所有から利用へ」の傾向が拡大することにより、同社におけるサブスクリプション形式でのサービス利用の割合がさらに増加することが見込まれる。(2) ITAD市場ITAD市場(使用済みIT機器の回収・データ消去、リユース・リサイクル販売)においては、回収・データ消去市場は「Windows10」PCの入れ替え拡大により使用済みIT機器の排出台数が増加に転じ、さらに2019年12月に発生し社会問題となったハードディスク転売事件により適正処分の重要性がクローズアップされ、データ消去需要は引き続き拡大が見込まれる。2022年5月期はコロナ禍における影響から排出が予想を大きく下回ったものの、2025年に向けた更新需要に伴い排出量は増えることになる。IT機器のリユース・リサイクル市場については、高い価値のリユース品は安定した国内流通市場が存在しているが、低い価格のリサイクル品については、バーゼル条約(有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関する条約)の規制強化等により有害物質を含むリサイクル品の輸出禁止が厳格化されており、世界的な廃プラスチック問題や中国等の廃プラスチック輸入禁止により、プラスチックを多く含むIT機器の海外流通が難しい状況となっている。そのため、近い将来、適正処理に対応したサービスへ転換していく必要性が非常に高くなると想定されている。そのなかで同社は、以前から適正処理サービスを推進しており、データ消去サービスを強化しているほか、リサイクル品については国内リサイクルまたは適正処理を行っている。そのため、今後同事業を行っている業界の再編が進むとともに、同社の優位性が高まることにより適正処理サービスの需要拡大が見込まれると弊社では考えている。(3) ガイドレシーバー市場ガイドレシーバー市場(「イヤホンガイド(R)」の製造販売・レンタル・保守・メンテナンス)における主な顧客は観光業界であるが、コロナ禍により大きな打撃を受けている。ただし、世界遺産等での採用が継続しているほか、企業による利用も着実に増えてきており、シェア90%を有するガイドレシーバーの優位性もあって、回復傾向を見せてくるだろう。(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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2022/09/16 15:28
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ファンペップ Research Memo(8):当面は研究開発費が先行し、営業損失が続く見通し
■業績及び財務状況1. 業績動向(1) 2022年12月期第2四半期累計の業績概要ファンペップ<4881>の2022年12月期第2四半期累計の業績は、事業収益が前年同期比99.5%減の0.6百万円、営業損失が515百万円(前年同期は186百万円の損失)、経常損失が520百万円(同170百万円の損失)、四半期純損失が521百万円(同172百万円の損失)となった。事業収益は前年同期に計上した「SR-0379」のマイルストーン125百万円がなくなったことが減収要因となり、機能性ペプチドの販売で0.6百万円を計上した。利益面では、減収による利益減に加えて「SR-0379」「FPP003」の臨床試験費用を中心に研究開発費が前年同期比191百万円増加したことが営業損失の拡大要因となった。なお、第2四半期末の人員については前期末比横ばいの15名(派遣社員2名含む)、うち研究開発部門は10名となっている。(2) 2022年12月期の業績見通し2022年12月期の業績見通しについては、研究開発プロジェクトの進捗状況やライセンス契約締結の有無など不確定要素が多いことから現段階では未定としている。事業方針について研究開発面では、「SR-0379」「FPP003」の臨床試験の評価・分析を行い、2022年内のトップラインデータ発表を予定しているほか、「FPP005」については2023年の臨床試験開始に向け準備を進めていくことにしている。そのほか、新規パイプラインの創出に向けた探索研究にも引き続き注力していく。また事業開発面では、製薬会社とのライセンス契約や共同研究契約等の締結に向けたアライアンス活動を推進していく計画となっている。研究開発費は臨床試験等の進展に伴い1,200~1,600百万円、その他の販管費は230百万円とそれぞれ期初計画から変更はないが、研究開発費についてはレンジの下限に近い水準となりそうだ。人員については研究開発や事業開発部門の強化を図るため、数名程度の増員を予定している。なお、2023年12月期の研究開発費の水準については、10億円程度と若干減少する見通しだ。臨床試験を実施するのが「FPP005」だけになるためで、「FPP003」については次の開発ステージに進んだとしても、住友ファーマが単独で進めていくため同社の開発費負担は発生しない。事業活動資金は2~3年分を目安に確保すべく、資金調達については適宜実施2. 財務状況2022年12月期第2四半期末の財務状況を見ると、資産合計は前期末比378百万円減少の2,986百万円となった。流動資産では、現金及び預金が312百万円減少したほか、前渡金が92百万円減少した。固定資産では有形固定資産の取得で6百万円、東京オフィス移転先への敷金差入れにより差入保証金が6百万円増加した。負債合計は前期末比33百万円減少の155百万円となった。前受金が7百万円増加した一方で、未払金が39百万円減少したことによる。また、純資産合計は前期末比344百万円減少の2,831百万円となった。新株予約権の行使により資本金及び資本剰余金がそれぞれ88百万円増加したものの、四半期純損失521百万円の計上が減少要因となった。2022年12月期第2四半期末の現金及び預金の残高は2,694百万円となっている。同社では今後も開発ステージが続く見込みであることから、研究開発を中心とした事業活動のための手元資金については2~3年分を目安に確保しておきたい考えであり、2021年12月に発行した第三者割当による第9回新株予約権の行使により、当面の資金調達を進めていくことにしている。新株予約権数は43千個(株式数で430万株相当、議決権ベースの希薄化率24.83%)で、2022年8月末時点での行使率は27.3%となっている。7月~8月の行使により62百万円調達しており、未行使分をすべて下限行使価額200円で行使したとすれば624百万円調達できることになる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2022/09/16 15:28
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PCNET Research Memo(7):2023年5月期業績は増収増益を予想。成長ペース拡大へ積極投資は継続
■今後の見通しパシフィックネット<3021>の2023年5月期の連結業績予想については、売上高6,100百万円(前期比10.8%増)、営業利益400百万円(同17.0%増)、経常利益375百万円(同12.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益236百万円(同12.5%増)を計画している。2023年初めからPC更新期に入るため、サブスクリプションへのシフトを検討するケースが増えると考えられ、重要な成長機会を迎えることになる。経済産業省の調査(2019年3月)によると、IT人材不足は2030年に最大79万人と予測されている。職種はプログラマーから情報管理者まで様々だが、企業にとって適切な情報管理システムの運営は重要課題となっている。加えて、ハッカーの攻撃、スパイウェアの侵入などが多発しており、企業防衛の観点からも重要度が増している。ITサブスクリプション事業はクラウドサービスの受注拡大や短期レンタルについても好調な推移を見込んでおり、前期同様、好調な受注状況は続くと見られるほか、それに伴う先行投資は前期同様の規模で継続することになる。同社では法人利用PCに占めるサブスクリプションの台数を2022年の300万台強から2025年には700万台超を予想している。さらに、SaaSの普及やサブスクリプションサービスの拡大によって、PCサブスクリプション(中長期レンタル)の認知度も向上しており、導入企業や商談が増加している。また、DXやセキュリティ対策などでIT人材は慢性的に不足しているため、IT部門の業務負担軽減ニーズが高まっていることから、2025年に向けて予想を大きく上回る可能性もあると考えられる。なお、2023年5月期のITサブスクリプション事業については、下期からの加速を見込んでいる。ITAD事業では回収依頼案件が今後本格化するほか、データ消去受注は依然高水準として、下期からの回復が見込まれる。コロナ禍によるリスクはあるものの、コミュニケーション・デバイス事業については国内市場の開拓が進んでいる。観光需要次第とはなるが、日本国内の世界遺産指定の増加など回復局面での伸びが期待されるほか、企業による利活用が増えてきている点には新たな需要創出として注目されよう。コロナ禍の今後の展開については、感染拡大による影響は残るものの、行動制限しない形での経済活動の正常化に向けた動きが中心となると見られる。これまで取り組んできた事業構造改革によって同社は環境変化に強く持続的成長が可能な収益構造に転換した。2023年からの3年間で2,800万台のPC更新需要が見込まれており、前期に想定を下回った企業によるPC排出についても、更新が迫られるなかで今後は増えてくることが見込まれる。(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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2022/09/16 15:27
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ファンペップ Research Memo(7):熊本大学と脂質異常症を対象とした抗体誘導ペプチドの共同研究を開始
■ファンペップ<4881>の主要開発パイプラインの動向4. その他の開発状況(1) 脂質異常症を対象とした共同研究開発に関する新たな取り組みとして、2022年4月に熊本大学と脂質異常症に対する抗ANGPTL3※抗体誘導ペプチドの創出を目指した共同研究を開始した。脂質異常症とは中性脂肪やコレステロールなどの脂質代謝に異常をきたした状態を言い、以前は高脂血症と呼ばれていた。動脈硬化の主要な危険因子であり、放置すれば脳梗塞や心筋梗塞などの動脈硬化性疾患を引き起こす原因となる。※ANGPTL3(アンジオポエチン様タンパク質 3)は肝臓より分泌され、脂質代謝や血管新生に関わるホルモン様のタンパク質。脂質異常症の治療には、スタチン系薬剤が一般的に広く使用されているが、家族性高コレステロール血症※の場合や心血管イベントのリスクが高い患者においてスタチン系薬剤で効果が不十分な場合は、PCSK9阻害薬など他の薬剤との併用療法が行われている。一方、動脈硬化は血中の中性脂肪の上昇により促進されることが知られており、ANGPTL3阻害薬は血中LDLコレステロールに加えて中性脂肪も低下させる作用を持つことから、抗体治療薬の開発が進んでいる。2021年には米国、欧州にて家族性高コレステロール血症を適応症とする抗体医薬品「Evkeeza(R)」が販売承認されている。※遺伝子異常により、生まれつき血中のLDLコレステロールが著しく増加する疾患で、幼児期から動脈硬化が進行し、小児期に心筋梗塞などを発症する。患者数は100万人に1人の割合で発生する難治性希少疾患で、国内でも難病指定されている。共同研究先の熊本大学大学院生命科学研究部の尾池教授は、脂質異常症における国内のオピニオンリーダーであり、ANGPTLファミリーに関する研究や、ペプチドワクチンによる治療法の研究を行っていたことから、今回の共同研究につながった。今後、抗体誘導ペプチドによる動物実験を進めていくことにしており、将来的に家族性高コレステロールを対象とした抗体医薬品の代替治療薬になるものと期待される。(2) マイクロニードル技術を用いた次世代製剤技術2021年8月にメドレックスと共同開発契約を締結し、マイクロニードル技術を用いた次世代製剤技術の開発に取り組んでいる。従来、抗体誘導ペプチドは注射しか投与手段がなかったが、マイクロニードル技術を用いることにより、無痛経皮投与を患者自身で行うことが可能になるほか、従来の注射剤と比較して少ない投与量で高い免疫効果を得られる可能性がある。注射剤だと血液中に薬剤が流入することでペプチドが早く分解してしまうが、経皮投与の場合は皮内にペプチドが長く留まるため分解も遅く、結果的に抗体産生力も注射剤と比較して高まると考えられるためだ。現在、同社にてマイクロニードルを用いて動物実験を実施しており、抗体価が注射投与と比較してどの程度増えるか確認している状況にある。共同研究契約については1年間延長しており、今後も共同開発を進めていくが、その他にも新しい製剤技術が出てきているため、様々な方法を検討していくことにしている。(3) 花粉症治療薬候補品「FPP004」「FPP004」は大阪大学大学院医学系研究科との共同研究のもとで同社が創製した開発化合物で、IgEを標的タンパク質とする抗体誘導ペプチドとなる。IgEはアレルギー性疾患の発症・進展に関与する重要因子で、花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)が代表的な疾患として知られている。花粉症の患者数は国内で約4~5千万人と多い一方で、既に多くの抗ヒスタミン薬が開発、販売されている。効果が不十分な重症例では抗IgE抗体医薬品の「ゾレア(R)」※が処方されている。現在、「FPP004」は前臨床試験段階にあるが、人的リソースを「FPP005」等に優先的に投下していくことから、当面の間、バックアップ化合物の探索研究を進めていく方針に変更している。本化合物の優位性を改めて確認したうえで、2023年12月期以降に前臨床試験を再開する計画となっている(開発化合物をバックアップ化合物に変更する可能性有り)。※2019年12月にノバルティス ファーマの抗IgE抗体「ゾレア(R)」が抗体医薬品として初めて花粉症への適応拡大の承認を取得した。(4) 新型コロナウイルス感染症ワクチン「FPP006」「FPP006」はペプチドワクチンの一種である抗体誘導ペプチドの技術基盤を活用して開発されたもので、既存のワクチンがウイルス全体や標的タンパク質(mRNAワクチン、DNAワクチン、ウイルスベクターワクチン、組換えタンパク質及び不活性化ワクチン等)を抗原として用いて免疫を誘導するのに対し、「FPP006」はウイルスの変異の報告がないペプチド配列(エピトープ)を選択し、効率的に免疫を誘導する点が特徴となっている。この特徴を活かして、高効率で副反応が少なく、ウイルスの変異の影響を受けないワクチンの開発を、AMEDの助成金を活用して大阪大学大学院医学系研究科主導で進められている。開発の進捗については非公表となっており、効果が判明した際に大阪大学大学院医学系研究科から発表することになっている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2022/09/16 15:27
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PCNET Research Memo(6):ITサブスクリプション事業の年平均成長率は30.3%
■業績動向3. セグメント別業績(1) ITサブスクリプション事業ITサブスクリプション事業は成長率が高く、市場規模も大きいほか、ストック収益化や持続的成長が可能であると言える。個人向けと異なり、法人向けPC市場はサブスクリプション(中長期レンタル)・リース・購入といった保有形態があるが、サブスクリプション型の比率が年々拡大している。パシフィックネット<3021>のサブスクリプションは故障対応などのPC管理といった保守サービスを含んでいるほか、中途解約は月単位で可能、さらに経理処理はオフバランスで費用も平準化されるため、企業にとってはメリットが大きく、利用が拡大している。同事業はコロナ禍でも着実に成長し、年平均成長率は30.3%となり、2023年5月期も順調に成長すると見込まれる。2022年5月期においては、売上高が3,493百万円(前期比18.6%増)、セグメント利益は406百万円(同21.2%減)だった。前述の通り減価償却費が先行する事業であるため、売上高は半年後辺りから順次計上となる事業特性がある。2022年5月期は今後の市場拡大を踏まえて、人材・設備・デジタル化へ先行投資のほか、サブスクリプション資産の取得を前期末比1.5倍と大幅に増やしたことからセグメント利益は減益となった。とはいえ、今後の利益成長に向けた先行投資を主因とした減益であるため、弊社ではネガティブに捉える必要はないと考える。(2) ITAD事業ITAD事業は規模ではなく、収益性の向上、環境変化への対応力強化を現状は事業方針としているため、これに向けた収益構造の改革を実施している。使用済みのIT機器の回収台数は、コロナ禍による影響は大きく使用済みIT機器の排出が大幅に鈍化した。また、2022年3月のまん延防止措置解除後、商談は一部回復するものの、部材の需給ひっ迫の影響により、企業の新品調達が難航したことにより、回収台数が想定よりも減少した。これにより、売上高が1,939百万円(前期比10.4%減)、セグメント利益は574百万円(同23.9%減)だった。なお、「PCNET Auction」は2022年3月にグランドオープンを完了し規模拡大が期待される。(3) コミュニケーション・デバイス事業コミュニケーション・デバイス事業については、ワイヤレスガイド機「イヤホンガイド(R)」の製造販売・レンタル・保守・メンテナンスを手掛けている。「イヤホンガイド(R)」は送信機と受信機からなる小型無線機で、通常では案内が難しい環境でも快適に内容を伝え聞くことができ、観光業界で利用されるワイヤレスガイドでは90%以上の圧倒的シェアを有する製品である。売上高は78百万円(前期比37.2%減)、セグメント損失が66百万円(同33百万円の損失)と、コロナ禍による観光需要の減少の影響を受けて大幅な減収となった。しかし、国内旅行や法人での需要開拓が進んでいるほか、2022年4月以降は需要が回復傾向にある。依然としてコロナ禍は続くが、制限付きとはいえ観光客の受け入れも再開しており、漸次的に事業環境も回復していくことになると弊社では見ている。また、これまでも世界遺産に認定された多くのエリアで観光案内利用などに採用されているが、2022年6月には世界農業遺産に認定されている「大崎耕土」をガイドレシーバーで案内するため、一般社団法人みやぎ大崎観光公社にて「イヤホンガイド(R)」が採用された。このほか、企業における活用として、アズビル<6845>ではazbilグループにおけるマザー工場として稼働する湘南工場の新生産棟や、研究開発拠点である藤沢テクノセンターにおいて、外部企業・団体向けに紹介している見学受け入れの際のコミュニケーション促進を目的として採用している。建設業界ではタワーマンション工事における連絡ツールといった活用も増えており、工場・施設見学、美術館・博物館、セミナー会場、国際会議での同時通訳、スポーツ会場での解説など幅広いシーンでの利用が増えている。状況は引き続き不透明ななかで早期の本格回復は厳しいと考えられるものの、利用範囲の拡大によって緩やかながら回復傾向を見せてくると弊社では考えている。(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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2022/09/16 15:26
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ファンペップ Research Memo(6):「FPP005」は2023年の臨床試験開始の見込み
■主要開発パイプラインの動向3. FPP005(乾癬)「FPP005」は大阪大学大学院医学系研究科との共同研究のもとでファンペップ<4881>が創製した開発化合物で、IL-23を標的タンパク質とする抗体誘導ペプチドとなる。IL-23は自己免疫疾患において主要な役割を担うTh17細胞を分化・安定化するサイトカインで、乾癬においてもIL-23により活性化されたTh17細胞が、IL-17AやTNF-αを含む炎症性サイトカインを産生することにより慢性的な炎症を引き起こす。乾癬の治療では、既存治療が効かないまたは重症例の患者にTNF-α、IL-17及びIL-23を阻害する抗体医薬品が使用されているが、IL-23は炎症性サイトカインの産生過程において、IL-17A及びTNF-αの上流に位置するため、維持投与期に投与間隔を3ヶ月まで広げても有効性が持続することが特徴となっている。「FPP005」はIL-23を標的タンパク質としており、感染症ワクチンと同じ作用機序で自己の体内で抗体を誘導できることから、少ない投与回数で高い持続性を有することが期待されている。開発状況については、2021年1月より開始した前臨床試験が順調に進んでいることから、2023年にも臨床試験に進む見通しとなっている。適応症としては乾癬またはクローン病※などの炎症性腸疾患が候補となるが、乾癬での開発に高い関心を見せる製薬会社も多いことから、「FPP003」と同様に乾癬を対象にしてオーストラリアで第1/2a相臨床試験を行い、その後に炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎等)に適応拡大していくことになりそうだ。※炎症性腸疾患の一つで、主に小腸や大腸などの消化管に炎症が起きることにより、びらんや潰瘍ができる原因不明の慢性疾患。主な症状としては腹痛、下痢、血便、発熱、肛門付近の痛みや腫れなどがあり、日本では難病指定されている。ライセンス交渉についてはすでに国内外の複数の製薬企業が関心を示しており協議を進めている状況にある。海外企業に関しては新規モダリティであることから、ヒトでのPOC取得を重視しているようで、最終交渉段階に至るまでにはしばらく時間がかかりそうだ。一方、国内企業に関しては関心度がより高いようで、第1/2a相臨床試験中であっても契約を締結できる可能性がある。鍵を握るのは「FP003」の臨床試験の結果で、特に免疫原性が治療薬として機能する水準であれば、契約締結時期も一気に早まる可能性がある。「FP005」に関しては、自社で第2相臨床試験まで行い価値を高めたうえで導出する選択肢もあるが、経営基盤を強化する観点から早期導出を基本方針に交渉を進めていく方針である。なお、2016年2月に同社の抗体誘導ペプチドプロジェクトの研究開発支援に関する提携契約※を締結していたメディパルホールディングス<7459>(以下、メディパル)が、この度、利益分配等の対象開発品として新たに「FP005」を選定したことを発表している。これにより同社は、「FPP005」から得られる契約一時金及びマイルストーン収入の一定率をメディパルに支払うことになる。※同社が、メディパルから抗体誘導ペプチドの研究開発資金に関する契約一時金及び3年間にわたる研究開発協力金を受け取り、メディパルは本研究から創出された抗体誘導ペプチドのうち一定数の対象開発品を選定したうえで、同開発品から得られる契約一時金及び開発マイルストーン収入の一定率を受け取る契約となっている。抗IL-23抗体医薬品については、乾癬のほか乾癬性関節炎やクローン病、潰瘍性大腸炎なども適応疾患となっており、「ステラーラ(R)」「スキリージ(R)」「トレムフィア(R)」などが商品化されている。市場規模は3品目合計で2020年の10,986百万米ドルから2025年には18,140百万米ドルとに拡大するとの調査会社の予測※もある。抗IL-17A抗体の2倍弱の市場規模となるだけに、大型パートナー契約につながる可能性もあり、その動向が注目される。※Informa「Datamonitor Healthcare」(2021年11月)。2021年の販売実績は3品目合計で14,200百万円米ドルとなっている(会社公表値)。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2022/09/16 15:26
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PCNET Research Memo(5):成長機会に向けた積極的な先行投資の結果サブスクリプションの受注が2倍に増加
■業績動向1. 2022年5月期の連結業績パシフィックネット<3021>の2022年5月期の連結業績は、売上高が5,507百万円(前期比5.4%増)、営業利益が342百万円(同55.5%減)、経常利益が334百万円(同56.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益が209百万円(同57.7%減)だった。環境変化に強く持続的成長が可能な収益構造に転換2. 事業構造改革の成果これまで取り組んできた事業構造改革により、同社は環境変化に強く持続的成長が可能な収益構造に転換した。フロー収益は2016年5月期の3,826百万円から1,939百万円に減少する一方で、ストック収益が736百万円から3,493百万円に成長しており、この間の売上高は4,563百万円から5,507百万円と20.7%の増収となる。この構造改革成功の要因として、従業員の意識が変化し自律的に改革を進めていること、これによりサービス価値と生産性の向上を実現したことを挙げている。これは、「経営方針」にも掲げている「全従業員総活躍企業」を進めた結果である。(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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2022/09/16 15:25
注目トピックス 日本株
ファンペップ Research Memo(5):乾癬治療薬「FPP003」臨床試験は2022年内から成績評価を実施予定
■主要開発パイプラインの動向2. FPP003(乾癬、強直性脊椎炎)「FPP003」は、大阪大学大学院医学系研究科及び住友ファーマとの共同研究のもとでファンペップ<4881>が創製した開発化合物で、IL-17Aを標的タンパク質とする抗体誘導ペプチドとなる。IL-17Aは免疫反応に関するサイトカインの一つであり、幅広い免疫性疾患に関与しており、主なところでは乾癬や強直脊椎炎、乾癬性関節炎などの疾患原因となっている。同社がオーストラリアで進めている乾癬を適応症とした第1/2a臨床試験は2022年6月に被験者登録が完了し、2022年内から成績評価を実施する予定となっている。主要評価項目である安全性及び忍容性に関するデータ結果に加え、抗体産生の有無や免疫原生※の評価など薬効に関するデータについても明らかとなる見通しだ。また、国内では2022年4月から強直性脊椎炎を対象とした医師主導の第1相臨床試験が開始されている。※産生した抗体が、病原体等の標的に対して免疫反応を引き起こす能力。免疫原生の能力が高いと治療効果が期待できることになる。(1) 乾癬乾癬とは慢性の炎症性皮膚疾患のことで、その多くは尋常性乾癬と呼ばれる疾患となる。表皮細胞が異常増殖し、紅斑が現れて表面に鱗屑が付着して剥がれ落ちるなどの症状となる。患者数は国内で約43万人、米国で約800万人と言われている。治療法としては、軽症から中等症患者に対しては塗り薬などの局所療法が行われ、中等症から重症患者に対しては光線療法(紫外線照射)や内服療法(メトトレキサート、経口低分子医薬品等)が、また、これらの治療法が効かない患者には、抗体医薬品が使用されている。同社の開発する「FPP003」は、抗体誘導ペプチドの特性から長期間にわたり治療効果が持続するものと考えられており、内服療法や抗体医薬品の患者層をターゲットとして「有効性」「安全性」「投与回数」により優位性を示すことで上市を目指している。作用メカニズムは抗体医薬品と同様のため、体内で十分な活性を持つ抗体を産生できれば上市まで進む可能性が高く、また価格面での優位性があるだけに抗体医薬品等の代替医薬品として市場に浸透していくものと弊社では予想している。抗IL-17A抗体医薬品としては「コセンティクス(R)」「トルツ(R)」などが販売されている。そのほか乾癬治療用抗体医薬品としては、抗TNFα抗体医薬品の「ヒュミラ(R)」や「レミケード(R)」なども使用されている。前臨床試験における乾癬モデルマウスの薬効試験では、発赤や肥厚、白色鱗屑などの皮膚炎症状で有意な改善効果が確認されている。前述の通り第1/2a相臨床試験※の結果については2022年内から成績評価を実施する予定となっている。安全性と忍容性に関するデータに加え、抗体産生の有無や免疫原性など薬効に関わるデータも判明する見通しだ。同試験結果を分析してオプション契約先の住友ファーマが今後の開発方針を決定することになる。試験結果が良好なものであれば住友ファーマがオプション権を行使して、北米での独占的開発及び販売ライセンス契約を締結したうえで、第2b相臨床試験を進めていくものと予想される。オプション権の行使期間は試験結果を住友ファーマが受領して6ヶ月以内となるため、2023年内には本契約が締結されるかどうか明らかとなる見通しだ。仮に、オプション権が行使されなかった場合には、他の製薬企業とライセンス交渉を進めていくことになる。※臨床試験の概要は、尋常性乾癬患者を対象として、「FPP003」(4用量)またはプラセボを3回(1日目、15日目、19日目)皮下投与するプラセボ対照二重盲検試験となり、主要評価項目として安全性と忍容性を、副次評価項目として薬物動態及び免疫原性を評価し、有効性についても評価する。症例数は全36例。(2) 強直性脊椎炎強直性脊椎炎とは、青年期に発症する脊椎と仙腸関節を主な病変部位とする全身性の慢性炎症性疾患を指す。病変部位では靭帯と骨との付着部位に炎症・骨化が起こり、疼痛、膨張、運動制限等がみられる。症状が進むにつれて、次第に脊椎や関節の動きが悪くなり、脊椎が強直(骨性に固まり動かなくなる)して日常生活能力が著しく低下するケースもある。原因は不明で国の指定難病にもなっている。治療法としては、非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDs)が使用されているが、効果が不十分な場合や副作用の問題がある場合には「コセンティクス(R)」や「ヒュミラ(R)」などの抗体医薬品が使用されている。同社は2018年度よりAMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)の「創薬支援推進事業・希少疾病用医薬品指定前実用化支援事業」に採択され、助成金により前臨床試験を進めてきた。脊椎関節炎モデルのラットを使った薬効試験では関節炎症状の改善効果が示されたことから、2022年4月より大阪大学大学院医学系研究科にて医師主導の第1相臨床試験※が開始されている。同試験についてもAMEDの2021年度「難治性疾患実用化研究事業(2次公募)/希少難治性疾患に対する画期的な医薬品の実用化に関する研究分野」に採択され、助成金を使って進めていくことになる。試験期間は2022年10月までを予定しており、結果が良ければ次の開発ステージに進むことになるが、住友ファーマと協議して開発方針を決定していくことになりそうだ。※第1相臨床試験の概要は、健康成人を対象に「FPP003(低用量、高容量)」とプラセボを比較する二重盲検試験となり、「FPP003」の安全性と忍容性を評価する。また、「FPP003」により産生される抗体を測定し、IL-17Aに対する免疫原性の評価や薬物動態評価も行う。症例数は全20名(低用量群8例、高容量群8例、プラセボ群各2名)。(3) 市場規模乾癬や強直性脊椎炎等の治療薬となる抗IL-17A抗体医薬品の市場規模は、2020年の5,810百万米ドルから2025年には9,942百万米ドルに成長することが調査会社で予測※されている。また、経口低分子医薬品「Otezla」(2021年2,249百万米ドル)も含めて考えると、2025年には12,000百万米ドルを超える市場規模となる。開発に成功すれば高額な抗体医薬品の代替として市場に浸透する可能性が高いだけに、「FPP003」の第1/2a相臨床試験の結果、特に薬効に関わる抗体産生の状況や免疫原性の評価について、国内外のメガファーマからも注目されている。なお、「FPP003」については2016年の開発当初から住友ファーマと共同研究を進めて研究開発リスクを共有してきた経緯から、マイルストーン総額の金額は一般的な水準よりも低く設定されているもようだ。一方、販売ロイヤリティ料率は一般的な水準と見られる。※Informa「Datamonitor Healthcare」(2021年11月)。抗IL-17A抗体医薬品である「トルツ(R)」「コセンティクス(R)」の2021年販売実績は6,930百万米ドルとなっている(会社公表値)。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2022/09/16 15:25
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PCNET Research Memo(4):サブスクリプションで多様化する顧客ニーズに合わせたサービス拡大で成長
■強みパシフィックネット<3021>はIT機器の導入・運用管理・クラウド・セキュリティを「サブスクリプション」モデルで提供し、適正処分に至るまでの包括的な企業の情報システムを支援するITサービスのオンリーワン企業である。1988年7月の創業以来、企業のIT戦略と情報システム部門を支援してきており、これまで10,000社以上の企業との取引により培った実績とノウハウがある。同社の強みは、この実績とノウハウを基盤とした、革新を続けるIT社会において多様化する顧客ニーズに合わせたサービスの拡大により、幅広い分野をワンストップで展開できることにある。同社は長年にわたるレンタル事業を、新時代のビジネスモデルである「サブスクリプション」に変化させ「Marutto(まるっと)365」として2018年11月からいち早くスタートさせている。今後起こるであろう技術革新やDXを実現するための課題、例えばユーザー企業におけるIT人材不足といった情報システム部門が抱える課題にいち早くサービスを展開できるといった「顧客ファースト」による機動力も、これまでの実績やノウハウで培ってきた強みであろう。また、ITサブスクリプション事業で行っているレンタルPCのレンタル終了後は、返却されたPCをリユース品として再販売している。ITサブスクリプション事業とITAD事業の2つの事業の相乗効果が得られること、CO2削減等をはじめとした企業のESG対応が追い風になることも同社の大きな強みと言える。新たな取り組みとして、健全なネットオークションのプラットフォームを構築し、IT機器分野でのさらなるリユース促進を図るため、「PCNET Auction」を立ち上げた。2021年11月から取引先を中心としたプレオークションを開催してきたが、新規入札会員の申込が順調に増え、オークション運営における準備等もすべて整ったため、2022年3月よりグランドオープンし、順調にITAD事業の利益向上に貢献している。「PCNET Auction」では、出品数は直近で7,000~8,000程度と見られ、月平均1万台程度を想定している。また、入会員数は100社を超えている。同社の全拠点からの出品数の拡大のほか、法人・自治体向け出品代行の実施によって、出品数はさらに拡大することが見込まれる。また、同社が管理している機器であることから、商材の品質に対する高い安心感があるため、潜在ニーズは相当高いと見られ、弊社では今後のさらなる流通量の拡大が期待できると見ている。また、同社のセキュリティ体制の実績として、官公庁やメガバンクなどセキュリティ管理を非常に重要視する顧客からも評価を得ている(ISO27001認証取得)ほか、Microsoftソリューションの特定の領域内において、クラス最高の能力を備えていることを証明する「Microsoft Gold Partner」を獲得している。サービス面においては、導入から運用保守・処分まで一気通貫のサービスが可能なため、コストを抑えるだけでなく、一元管理も実現している。また、不要になった使用済みIT機器の引き取り・回収においては、業界で唯一すべての支店にテクニカルセンターを併設している。このため、国内全域でサービス対応可能であるほか、東京テクニカルセンターにおいては首都圏最大級の面積で、24時間有人警備、多重セキュリティエリア、入退室管理など、国内最高レベルのセキュリティ環境を備えている。(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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2022/09/16 15:24
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ファンペップ Research Memo(4):皮膚潰瘍治療薬の第3相臨床試験のデータは2022年4Q発表予定
■主要開発パイプラインの動向ファンペップ<4881>の開発パイプラインとしては、皮膚潰瘍を適応症とする「SR-0379」のほか、抗体誘導ペプチド技術で開発した乾癬及び強直性脊椎炎を適応症とする「FPP003」、花粉症を適応症とする「FPP004」、乾癬を適応症とする「FPP005」の4品目があり、そのほかにも複数の開発候補品を抱えている。1. SR-0379(皮膚潰瘍)「SR-0379」は皮膚潰瘍(褥瘡(床ずれ)及び糖尿病性潰瘍)の治療薬として、2021年6月より国内で第3相臨床試験が開始され、2022年7月に被験者登録が完了している。4Qにはトップラインデータが公表される見通しで、良好な結果であれば塩野義製薬と協議したうえで販売承認申請の準備を進めていくものと見られ、早ければ2024年の上市が期待される。現在の皮膚潰瘍の治療法では、皮膚組織が欠損した場合、感染の疑いがある場合にはまず細菌の付着・増殖を抑えるための治療(消毒剤や抗生物質などを使用)を一定期間施してから、組織再生のための治療(細胞増殖因子の投与)を行う必要があり、治療期間が長くなることが課題となっていた。「SR-0379」は、創傷治癒促進効果に加えて抗菌作用もあることから、従来よりも治療期間を短縮できる効果が見込まれ、患者のQOL向上につながる治療薬として期待されている。2018年から2019年にかけて実施した第2相臨床試験(症例数120例)の結果では、プラセボ群に対して潰瘍面積の縮小率において有意差が得られなかったものの、重症度の評価指標である「DESIGN-R®スコア」で有意に重症度が改善したとの結果が出ている。同社は同結果を受けてPMDAとの協議のうえ、「SR-0379」の第3相臨床試験では簡便な外科的措置(縫合、植皮、有茎皮弁)が必要な重度な患者(入院患者)を対象に、主要評価項目について「植皮等の簡便な外科的処置に至るまでの日数」とし、プラセボ対照二重盲検比較試験(120例、1回/日、28日間投与)を実施した。弊社では第2相臨床試験の結果から、第3相臨床試験の主要評価項目において有意差を得る可能性は高いと見ている。皮膚潰瘍は患者や医療現場からも治療期間の短縮に対するニーズが強く、高齢化社会の進展に伴う「寝たきり患者」問題や糖尿病性皮膚潰瘍患者の増加などからも社会ニーズにマッチした製品と言える。「SR-0379」は誰にでも使えるスプレー式で、ベッドサイドに置いておけるため、安定性や利便性の面でもメリットがある。このため開発に成功すれば、既存薬(細胞増殖因子)の市場を代替していくものと予想される。同社では各種統計データから、皮膚潰瘍患者数を、国内で約100万人(褥瘡約20万人、糖尿病性潰瘍約80万人)、米国で約230万人(褥瘡約50万人、糖尿病性潰瘍約180万人)と試算している。今回の第3相臨床試験では重度の皮膚潰瘍患者が対象となっているが、その特性から中度や軽度の患者にも適応拡大される可能性がある。皮膚潰瘍治療薬としては、軟膏タイプのものから湿布、スプレータイプのものまで様々なものがあるが、スプレータイプの治療薬となる「フィブラストスプレー(科研製薬<4521>)」は薬価が約8千円/瓶で、国内売上は約27億円(2022年3月期実績)となっている。当面はこの代替を狙っていくことになるが、すべての皮膚潰瘍患者で利用されることになれば、国内だけで潜在市場は約100億円程度が見込まれる。なお、「SR-0379」については2015年に塩野義製薬と全世界を対象としたライセンス契約を締結しており、契約総額(契約一時金、開発マイルストーン、販売マイルストーンの合計)は100億円となっている。今後、マイルストーン収入が発生するタイミングとしては、販売承認申請時または承認取得時が想定される。なお、海外市場については第3相臨床試験の結果を見て、塩野義製薬が開発を進めていくか判断していくことになる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2022/09/16 15:24
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PCNET Research Memo(3):ITサブスクリプション事業は持続的成長の基盤、規模の拡大を進める最重要分野
■事業概要パシフィックネット<3021>の事業セグメントは、サブスクリプション型サービスが大部分を占める「ITサブスクリプション事業」と、使用済みIT機器のデータ消去及び適正処理サービス等を手掛ける「ITAD事業」、「イヤホンガイド(R)」の製造販売・レンタル・保守・メンテナンスを手掛ける「コミュニケーション・デバイス事業」に区分される。1. ITサブスクリプション事業ITサブスクリプション事業は法人・官公庁が業務で使用するPCのサブスクリプション(中長期レンタル中心)での提供及び、運用保守・クラウド等のITサービスが主な事業となる。同社が将来収益の拡大、持続的成長の基盤、環境変化への耐性強化として事業規模の拡大を進めている事業である。同事業の規模拡大にはPCの仕入のほか、IT人材・設備への投資に加え、基幹システムやCRM(顧客管理)システム刷新等のシステム投資の拡大のためのサービス提供インフラの先行投資が必要となる。そのためPCの仕入による減価償却費が先行することにより、受注時期とサブスクリプション開始時期(売上計上)にタイムラグが数ヶ月から半年程度ある。同分野は2025年10月にWindows 10サポート終了が予定されているため、PC更新需要の拡大と同事業の規模拡大に備えた投資を先行させている。主なソリューションとしては、企業が業務で使用するPC等のIT機器を月額課金で提供するIT機器サブスクリプション、Microsoft 365等のクラウド導入サービス、デバイスの導入・運用保守・データ消去と通信、クラウド等をパッケージ化し、各種運用管理の業務負荷軽減に対応した「Marutto(まるっと)365」が挙げられる。また、「まるっとテレワーク Marutto Device Service」では、社内ヘルプデスク、PCの保管・配送、アカウント登録・管理など、情報システム担当者も含めた全社でのテレワークを可能にさせるソリューションを提供している。その他、従来の基盤構築に加え、サーバーの仮想化やクラウド環境の構築、リモート対応を中心とした保守サービスを備えた「ITインフラ構築支援ソリューション」の提供により、企業の働き方改革や業務の生産性向上、デジタル化、アウトソーシングニーズに対応している。また、新サービスとして2022年7月より、企業のIT支援及び情報システム部門の業務負荷軽減に向けて「LCM as a Service」(サブスクリプション型サービス)の提供を開始した。LCM(ライフサイクルマネジメント)は、IT資産の導入・初期セッティングから運用管理、終了後の適正処分までを一元管理する仕組みであり、同社はすべてを自社で完結できることから、顧客のPC利用実態やLCM業務の課題に合わせたサービスを構築できることが強みとなっている。2. ITAD事業ITADとは、IT Asset Dispositionの略語であり、IT機器資産の適正処分を意味する。ITAD事業は、使用済みIT機器のデータ消去・適正処理サービス、リユース・リサイクル販売が主な事業となる。データの漏えいを防ぐため国内最高レベルのセキュリティ環境にて機器の回収及びデータ消去を実施しており、2019年12月に起きた同業他社のハードディスク転売事件を機に、需要は高まっている。また、回収した機器は、すべて国内でリユース・リサイクル販売することにより、コンプライアンスと環境問題にも貢献する。同社ではデータ漏えいに対する企業・官公庁の危機意識の高まりを背景に、独自のセキュリティポリシーに基づき、確実なデータ消去作業の実施、自社テクニカルセンター設備のセキュリティ強化と作業に携わる従業員の教育に徹底して取り組んでいる。また、2022年6月より、顧客から回収した使用済みIT機器において、全台数のデータ消去のエビデンス(機器ごとの詳細データ)を自動生成し、10年間保管可能な新システム「Secure Trace(セキュアトレース)」を開発し、運用を開始している。データ消去証明書発行の有無にかかわらず、顧客から回収した使用済みIT機器のデータ消去情報をすべてデジタルで現物と紐づける画期的なシステムである。3. コミュニケーション・デバイス事業コミュニケーション・デバイス事業は、ガイドレシーバーで高い国内シェアを持つケンネットが、「イヤホンガイド(R)」の製造販売・レンタル・保守・メンテナンスを提供している。「イヤホンガイド(R)」は送信機と複数の受信機からなる、手のひらサイズのワイヤレスガイド無線機で、約100メートルの距離まで届き、マスク越しや小声でも相手に明瞭に音声が伝わる性能を有している。旅行関連市場では国内トップシェアを有しており、観光地ガイドを中心に、国際会議での通訳や騒音の多い工場見学、美術館や博物館等などでも利用されているほか、近年は日本の世界遺産での採用やコロナ感染対策ツールとしての利用も増えている。(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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2022/09/16 15:23
注目トピックス 日本株
ファンペップ Research Memo(3):皮膚潰瘍治療薬で塩野義製薬とライセンス契約を締結
■会社概要2. 会社沿革ファンペップ<4881>は2013年に設立され、本格的に事業活動を始めたのは大阪大学との間で抗体誘導ペプチドの共同研究を開始した2015年に入ってからとなる。2015年10月には塩野義製薬との間で、機能性ペプチド「SR-0379」に関する全世界を対象としたライセンス契約を締結している。また、2016年9月から旧 大日本住友製薬(現 住友ファーマ)と標的タンパク質IL-17Aに対する抗体誘導ペプチドの共同研究を開始したほか(2018年3月に開発コード「FPP003」としてオプション契約を締結)、2018年7月には塩野義製薬が「SR-0379」の皮膚潰瘍を適応症とする第2相臨床試験を国内で開始し、良好な結果を受けて同社が2021年6月より第3相臨床試験を開始している。「FPP003」についても乾癬を適応症とする第1/2a相臨床試験を、2019年4月からオーストラリアで進めている。直近では、2021年8月にメドレックスとマイクロニードル技術を用いた抗体誘導ペプチドの次世代製剤技術開発にかかる共同研究契約を締結したほか、2022年1月にはEPS創薬と中国での創薬事業の協業検討に合意したことを発表している。また、創薬以外の分野として、化粧品や除菌スプレー等の成分の一部としてペプチド原薬の販売を行っている。具体例としては、2018年3月にファンケル<4921>が発売開始した「マイルドクレンジングシャンプー」で、特徴の一つとなっている「根活トリプル成分」の一つとして採用されたほか、2020年4月に(株)SMV JAPANが発売した「携帯アルコール除菌スプレー」等に採用されている。ただ、化粧品や除菌スプレー等での使用量は少なく、業績面への影響は軽微となっている。直近では2022年2月に次世代創傷用洗浄器の開発を目指し、ファインバブル技術のリーディングカンパニーである(株)サイエンスと共同開発契約を締結している。なお、2020年12月に東京証券取引所マザーズ市場に株式上場を果たしており、2022年4月の市場区分見直しによりグロース市場に移行している。製薬企業とライセンス契約を締結し、契約一時金やマイルストーン、上市後のロイヤリティ収入を獲得していくビジネスモデル3. ビジネスモデルとリスク要因(1) ビジネスモデル同社は、大学発の創薬ベンチャーとして、機能性ペプチドの研究成果の中から実用性の高いプロダクトについて、製薬企業やアカデミア等と共同研究を行い、シーズをインキュベーションし、製薬企業等に実用化への橋渡しを行う役割を果たしている。ビジネスモデルとしては、開発ステージの第2相臨床試験までを自社で行うことを基本にしており、開発費用のかかる第3相臨床試験以降は、製薬企業等とのライセンス契約を締結することで進め、契約一時金や開発の進捗に応じて得られるマイルストーン収入、上市後の製品売上高に対して一定料率で発生するロイヤリティ収入を獲得するモデルとなる。ただ、抗体誘導ペプチドについては、標的タンパク質や作用機序が抗体医薬品で明らかとなっているため、第1相臨床試験の段階で中和抗体の産生状況などのデータが取得できれば、ある程度成功確率が読めるため、一般のケースと比較するとライセンス契約の締結タイミングが早くなる可能性もある。臨床試験の規模や期間は対象疾患等によって異なるが、第1相から第3相試験までおよそ3~7年程度かかるといわれている。臨床試験の結果が良好であれば規制当局に製造販売の承認申請を行い、おおむね1~2年の審査期間を経て問題がなければ承認・上市といった流れとなる。現在は開発ステージのため損失が続いているが、開発品が上市され、一定規模の売上に成長すれば利益化も視野に入ってくる。(2) リスク要因同社の事業リスクとしては、大きく2点挙げられる。1つ目のリスクとしては医薬品研究開発の不確実性であり、特定の開発品への依存度が高く、研究開発の延期や中止となった場合に経営状態にマイナスの影響を与えるリスクがある。こうしたリスクへの対応策として、同社はプラットフォーム技術「STEP UP」を用いた創薬活動により、2年に1品目のペースで新規開発品を創製し開発ポートフォリオを充実させていく方針となっている。通常の創薬ではターゲットの探索に時間がかかるため、新規開発品の創製期間として3~5年かかるといわれているが、抗体誘導ペプチドの場合は既存の抗体医薬品と同じターゲットで開発を行うため創製期間は約2年と短く、この点は優位点として挙げられる。2つ目のリスクとしては、特定の提携契約への依存度が高い点にあり、契約終了時に収益計画に影響を与えるリスクがある。この対応策として、同社は共同研究プロジェクトをライセンス契約に発展させることや、新規提携契約を増やしていくことで、特定の提携契約への依存度を低減していく方針となっている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2022/09/16 15:23
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PCNET Research Memo(2):企業の情報システムを支援するITサービスをサブスクリプションモデルで提供
■会社概要1. 会社概要パシフィックネット<3021>は、IT機器の導入・運用管理・クラウド・セキュリティなど企業の情報システムを支援するITサービスを「サブスクリプション」モデルで提供している。IT機器サブスクリプション時のキッティングや使用済み機器のデータ消去及び再生等の技術的作業と、顧客への配送等を掌るロジスティクス拠点でもあるテクニカルセンターを、全国7ヶ所(東京、札幌、仙台、浜松、名古屋、大阪、福岡)で展開している。さらに、ガイドレシーバーで高い国内シェアを持つ(株)ケンネットのほか、Microsoft Corporationのテクノロジー・製品・サービスに精通する(株)テクノアライアンスをグループに持つ。また、独自のIT機器専門・リアルタイムオークション「PCNET Auction」などの提供や、企業の脱炭素への取り組みを支援する「CO2削減効果レポート」のサービスを開始するなど、新たな取り組みを推進している。2. 沿革同社は1988年、PC及びその周辺機器のレンタル・販売を行う「株式会社パシフィックレンタル」として東京都渋谷区で誕生した。1997年には現在の「株式会社パシフィックネット」へと社名を変え、使用済みIT機器の回収・データ消去、リユース・リサイクル販売で事業を拡大した。そして2006年に東京証券取引所(以下、東証)マザーズへ上場、2016年には東証第2部への市場変更を果たした。その後、市場変化にあわせ果敢な事業改革を断行した。2018年5月に個人向けの中古PC販売事業が中心だった全店舗を閉鎖し、BtoBのLCM(Life Cycle Management)事業を中心としたビジネスモデルへと大幅に業態転換を図った。この結果、2019年5月期には、BtoC事業から撤退を完了、BtoBもサブスクリプション型サービス(ストック型)の売上高比率が大幅に上昇し、東証の所属業種も、2021年4月に「小売業」から「サービス業」へ変更されることとなった。2022年4月には市場区分見直しに伴い、東証スタンダード市場に変更した。(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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2022/09/16 15:22
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ファンペップ Research Memo(2):大阪大学発のバイオベンチャーで抗体医薬品の代替医薬品の開発に取り組む
■会社概要1. 技術概要ファンペップ<4881>は大阪大学大学院医学系研究科にて確立された機能性ペプチド※1のデザイン、創製、最適化の技術を実用化する目的で2013年に設立された大阪大学発のバイオベンチャーである。社名のファンペップの由来は、機能(function)を持つペプチド(peptide)の可能性を追求し、新たな医薬品等の開発によって社会に貢献する企業になるとの想いを込めて名付けられたものである。同社の機能性ペプチドはヒト由来の抗菌ペプチド「AG30」※2を起源としており、安定性や製造コストの最適化に取り組むなかで現在の主要パイプラインの一つである「SR-0379」が開発された。また、アジュバント※3機能の最適化を進めるなかで、抗体誘導ペプチドのキャリアとなる「AJP001」※4が開発されている。なお、抗体誘導ペプチドは同社の登録商標となっている。※1 ペプチドとはアミノ酸が2~50個程度つながった化合物の総称で、アミノ酸がさらに多くつながった化合物をタンパク質と呼ぶ。ペプチドのなかにはインスリン、グルカゴンなど、ホルモンとして体内の器官の働きを調整する情報伝達を担う物質もあり、特定の機能があるペプチドを人工的に合成したものと機能性ペプチドと呼び、医薬品としても開発されている。※2 「AG30」はアミノ酸を30個つなげたペプチドで、血管新生作用や抗菌活性の機能を持つ。※3 アジュバントとはワクチン製剤に含まれ、免疫反応を増強する物質を指す。※4 「AJP001」は抗体誘導ペプチドを作るためのキャリア(自己タンパク質に対して抗体を産生させる役割を持つ)となり、標的タンパク質(自己タンパク質)のエピトープと組み合わせることで、多様な抗体誘導ペプチドを作ることが可能となる。同社では「AJP001」を用いた抗体誘導ペプチドの創薬プラットフォーム技術を「STEP UP(Search Technology of EPitope for Unique Peptide vaccine)」と呼んでいる。具体的には、「AJP001」と標的タンパク質のエピトープを組み合わることで抗体誘導ペプチドを創製し、この抗体誘導ペプチドを体内に取り込むことで、標的タンパク質の働きを阻害する抗体が生み出され、疾患の症状を沈静化させるメカニズムとなる。それまで、ペプチドだけで抗体を作り出すということは免疫学の常識で考えられなかったことで、新たなモダリティ(創薬技術)として注目されている。抗体医薬品との違いは、抗体医薬品が「体外」で製造した抗体で高い薬効が見込めるものの、製造コストや薬価が高額となっているのに対して、抗体誘導ペプチドは化学合成による大量生産が可能なため製造コストを低く抑えることができるほか、「体内」で免疫細胞が一定期間持続的に抗体を産生するため、薬効が長期間(数ヶ月間)持続する可能性のあることが優位点となる。即効性はないものの患者にとっては安価に治療でき、投与回数も少なくて済むといったメリットを享受できる。特に、製造コストについては抗体医薬品の1割程度の水準に抑えることが可能になると見られ、患者負担や医療財政負担の面からもメリットは大きい。また、抗体誘導ペプチドの競合技術との比較では、既存の生物由来のキャリア(高分子)が抱えている課題点を解消できることも、「AJP001」の優位点として挙げられる。生物由来の既存キャリアについては、反復投与時に効果が減弱する可能性があること(標的タンパク質よりもキャリアに対して抗体が産生されるリスクがある)、製造上の品質確保の難易度が高いこと(生物由来で高分子のため品質管理が難しく、また、キャリアとエピトープの制御も難しい)、副作用リスクがあること(アレルギーやアナフィラキシー等が生じる可能性)などが挙げられる。知財戦略も進めており、「SR-0379」については日米、欧州の主要国で特許を取得しているほか、「FPP003」等のその他のパイプラインについてもそれぞれ日米、欧州の主要国で特許が成立または出願中となっている。なお、「AJP001」に関する特許は大阪大学が保有し、独占的使用権を大阪大学発ベンチャーのAAPが有しており、同社はAAPからサブライセンスを受ける格好となっていた。このため、同社は2022年10月にAAPを株式交換※により完全子会社化し、知財戦略を強化することを発表した。抗体誘導ペプチドの開発品については「AJP001」の特許が含まれるため、ライセンス契約交渉において、同特許がサブライセンス契約の形となっているのは好ましくなく、子会社化することで契約交渉面でも今後有利に働くと見られる。※株式交換にあたって普通株式238.55万株を新たに発行し、AAPの既存株主に割り当てる格好となり、総発行株数は約13%増加することになる。AAPは科学技術振興機構(JST)の研究成果展開事業大学発新産業創出プログラムに基づき、大阪大学の中神教授の研究成果であるAJP001及び機能性ショートペプチド群の実用化を図るために2016年4月に設立され、現在は主にアンチエイジング機能を持つ機能性ショートペプチド「OSK9」※を、大手化粧品会社へ提供している。ただ、役員のみの会社であり、2021年12月期の業績も売上計上はなく、営業損失1百万円である。子会社化以降のグループ戦略としてAAPをどのように位置付けていくかは現在、経営陣で議論しており、今後決定していくことにしている。例えば、同社が手掛けている化粧品や除菌スプレー向けペプチド原薬の販売事業を、AAPに移管して医薬品事業以外をAAPで行うなどの案が考えられる。※「OSK9」は、繊維芽細胞の増殖を促進し、ヒアルロン酸やコラーゲンの産生を促進する作用が確認されている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2022/09/16 15:22
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PCNET Research Memo(1):2022年5月期はITサブスクリプション事業への先行投資を拡大
■要約パシフィックネット<3021>は、IT機器の導入・運用管理・クラウド・セキュリティを「サブスクリプション」モデルで提供し、適正処分に至るまでの包括的な企業の情報システムを支援するITサービスのオンリーワン企業である。使用済みIT機器の回収やリユースPC販売などのフロー収益に大きく依存するビジネスモデルから、IT機器やITサービスを「サブスクリプション」で提供するストック収益を柱としたビジネスモデルへの変革を目指し構造改革に果敢に取り組んだ結果、その成果が顕著に表れ、環境変化に強く持続的成長が可能な収益構造に転換している。1. 2022年5月期の連結業績2022年5月期(2021年6月~2022年5月)の連結業績は、売上高が5,507百万円(前期比5.4%増)、営業利益が342百万円(同55.5%減)、経常利益が334百万円(同56.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益が209百万円(同57.7%減)だった。ストック収益となるITサブスクリプション事業は順調に拡大しており、受注は前期比2倍に積み上がった。ただし、新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)や半導体不足に伴う影響が想定以上だった。このような環境下においても、好調な受注に対して納期遅延や機会損失を回避させるための先行仕入を拡大させたほか、今後数年間(2023~2025年)のPC更新需要の拡大と同事業の規模拡大に備えた投資を先行させたため、減価償却費の先行額が増加した。2. ITサブスクリプション事業ITサブスクリプション事業は成長率が高く、市場規模も大きいほか、ストック収益化や持続的成長が可能であると言える。個人向けと異なり、法人向けPC市場はサブスクリプション(中長期レンタル)・リース・購入といった保有形態があるが、サブスクリプション型の比率が年々拡大している。同社のサブスクリプションは故障対応などのPC管理といった保守サービスを含んでいるほか、中途解約は月単位で可能、さらに経理処理はオフバランスで費用も平準化されるため、企業にとってはメリットが大きく、利用が拡大している。同事業はコロナ禍でも着実に成長し、年平均成長率は30.3%となり、2023年5月期も順調に成長すると見込まれる。3. 2023年5月期の連結業績予想2023年5月期の連結業績予想については、売上高6,100百万円(前期比10.8%増)、営業利益400百万円(同17.0%増)、経常利益375百万円(同12.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益236百万円(同12.5%増)を計画している。2023年初めからPC更新期に入るため、サブスクリプションへのシフトを検討するケースが増えると考えられ、重要な成長機会を迎えることになる。同社では法人利用PCに占めるサブスクリプション台数を2022年の300万台強から2025年には700万台超を予想している。さらに、SaaS(クラウドサーバー上のソフトウェアを、インターネットを経由して利用)の普及やサブスクリプションサービスの拡大によって、PCサブスクリプション(中長期レンタル)の認知度も向上しており、導入企業や商談が増加している。また、DXやセキュリティ対策などでIT人材は慢性的に不足しているため、IT部門の業務負担軽減ニーズが高まっていることから、2025年に向けて予想を大きく上回る可能性もあると考えられる。なお、2023年5月期のITサブスクリプション事業については、下期からの加速を見込んでいる。■Key Points・環境変化に強く持続的成長が可能な収益構造に転換・IT部門の業務負担軽減ニーズが高まっている・2023年初めからPC更新期に入る重要な成長機会を迎える・各事業がすべて直接的にESGにつながる特徴を有する(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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2022/09/16 15:21
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ファンペップ Research Memo(1):2022年4Qに皮膚潰瘍治療薬の臨床試験データを発表予定
■要約ファンペップ<4881>は大阪大学大学院医学系研究科の機能性ペプチドの研究成果を実用化する目的で、2013年に設立されたバイオベンチャー。独自開発した機能性ペプチドをベースとした抗体誘導ペプチド技術により、高額な抗体医薬品の代替となる医薬品の開発に取り組んでいる。また、機能性ペプチドに関しては、化粧品向け等にも少量だが販売している。1. 抗体誘導ペプチドの特徴と優位性同社独自の技術である抗体誘導ペプチドは、キャリア※1となる機能性ペプチド「AJP001」に標的タンパク質(自己タンパク質)のエピトープ※2を組み合わせることで、標的タンパク質の働きを阻害する抗体を体内で産生できることが特徴となっている。生物由来のキャリアを用いる他の競合技術は、反復投与時に効果が減弱する可能性があることや製造上の品質管理が難しいことに加え、副作用を引き起こす懸念があったが、同社の抗体誘導ペプチドはこれらの課題を解消できる優位性を持つ。また、抗体医薬品と比較すると製造コストが1割程度の水準と大幅に低減できる可能性があるほか、体内で抗体が自己生成されるため、薬効の持続性といった面でも優位性があると見られ、抗体医薬品の代替薬になり得る新たなモダリティ(創薬技術)として国内外から注目されている。※1 キャリアは自己タンパク質に対して抗体を産生させる役割を果たす。※2 エピトープは抗原決定基とも呼ばれ、免疫系、特に抗体、B細胞、T細胞によって認識される抗原の一部。抗原の表面にある1~6個の単糖、または5~8個のアミノ酸残基で構成される。2. 主要開発パイプラインの動向機能性ペプチド「SR-0379」は、国内で皮膚潰瘍(褥瘡、糖尿病性潰瘍)を適応症とした第3相臨床試験の被験者登録が2022年7月に完了しており、2022年4Qにトップラインデータを開示できる見通しだ。結果が良好であれば導出先である塩野義製薬<4507>※と協議のうえ2023年内に販売承認申請を行い、2024年にも上市される可能性がある。また、オーストラリアで行われていた尋常性乾癬を適応症とした抗体誘導ペプチド「FPP003」の第1/2a相臨床試験も、2022年6月に被験者登録が完了し、2022年内から成績評価を行う予定となっている。安全性及び忍容性に関するデータに加え、抗体産生の有無など薬効に関わるデータが判明する見通しとなっている。こちらも結果が良好であれば、北米での独占的開発及び商業化権に関するオプション契約を締結している住友ファーマ(旧 大日本住友製薬)<4506>がオプション権を行使して開発を進めていくものと予想される。そのほか、「FPP005」についても乾癬を適応症候補として2023年の臨床試験開始に向けた準備を進めている状況にある。抗体誘導ペプチドについては国内外の大手製薬企業の関心も高く、「FPP003」の臨床試験結果において抗体産生量が治療薬として実用化できるレベルであることが確認されれば、「FPP005」については第1/2a相臨床試験中であってもライセンス契約を締結できる可能性がある。※塩野義製薬と全世界を対象としたライセンス契約を2015年に締結(契約総額は100億円)している。3. 業績動向2022年12月期第2四半期累計の業績は、事業収益で0.6百万円(前年同期は126百万円)、営業損失で515百万円(同186百万円の損失)となった。事業収益は、前年同期に計上した「SR-0379」の第3相臨床試験入りに伴うマイルストーン収入125百万円がなくなったことが減収要因となった。減収に加えて研究開発費が「SR-0379」「FPP003」の臨床試験費用を中心に前年同期から191百万円増加したことにより、営業損失が拡大した。2022年12月期の業績見通しについては、研究開発プロジェクトの進捗状況やライセンス契約交渉の状況により変動することから、現段階では未定としている。なお、研究開発費については1,200~1,600百万円を見込んでおり、事業収益の計上がなければ営業損失は1,400~1,800百万円程度となる見通し。2022年12月期第2四半期末の現金及び預金の残高は2,694百万円と2年弱の事業活動資金を確保しているが、2021年12月に第三者割当による新株予約権を発行しており、資金調達も進めている。また、2022年10月に大阪大学発のベンチャーであるアンチエイジングペプタイド(株)(以下、AAP)を株式交換によって完全子会社化することを発表している。AAPは大阪大学が保有する「AJP001」の特許に関する独占使用権を有しており、AAPを取り込むことによって知財戦略が強化されることになる。4. 今後の成長戦略同社では、今後も独自技術である抗体誘導ペプチドの優位性を生かして、抗体医薬品が既に発売されている「炎症領域」を中心に、2年に1本のペースでパイプラインを拡充していく方針となっている。2022年4月には熊本大学と脂質異常症に対する抗体誘導ペプチドの創出に向けた共同研究も開始しており、今後パイプラインに加わってくるものと期待される。抗体誘導ペプチドの開発対象領域における抗体医薬品の市場規模は大きく、「FPP003」「FPP005」と同じ標的を持つ抗体医薬品だけでも2020年の167億米ドルから2025年には280億米ドルに成長するとの予測がある※。抗体誘導ペプチドでこれら抗体医薬品を代替できれば、医療費の大幅低減にも貢献することになるだけに注目度も高い。まずは「FPP003」の第1/2a相の臨床試験結果、とりわけ薬効に関わるデータに注目が集まるものと思われる。※Inforama「Datamonitor Healthcare」(2021年11月)■Key Points・皮膚潰瘍向け治療薬の第3相臨床試験のトップラインデータは2022年4Q発表予定・乾癬治療薬「FPP003」の臨床試験は、2022年内から成績評価の予定・「FPP005」は2023年の臨床試験開始を見込み、ライセンス契約交渉も同時並行で進める・抗体誘導ペプチドの開発対象領域における抗体医薬品の世界市場規模は500億米ドルを超えており、成長ポテンシャルは膨大(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2022/09/16 15:21
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SANKO Research Memo(8):収益力の向上・財務体質の改善を図りつつ、安定した配当及び利益還元が基本方針
■株主還元策SANKO MARKETING FOODS<2762>の株主還元については、収益力の向上・財務体質の改善を図りながら、長期的かつ安定した配当及び利益還元を行うことを基本方針としている。ただしコロナ禍の影響で大幅な損失を計上したため2022年6月期は無配とした。2023年6月期も無配予想としている。株主優待制度については毎年6月末日及び12月末日時点の株主を対象として、保有株式数及び保有期間に応じて同社店舗で利用できる割引券を贈呈している。なお2022年8月29日には、コロナ禍における利便性向上に向けて、株主優待券利用可能店舗での会計時にGo To Eatキャンペーンプレミアム付食事券について、株主優待券との併用を可能にしたと発表している。■SDGsへの取り組みSDGsへの取り組みとしては、水産業の6次産業化により、漁業が抱える多くの課題(漁獲生産の減少、漁師の高齢化・後継者不足、漁村の限界集落化など)の解決に貢献することを目指す。すでに、産地活性化プラットフォーマーとし太刀魚・ニベの商品としての評価を高めて魚価を形成するなど、従来は流通しにくいため商品価値が低かった水産物の付加価値を高めている。また産地での加工・商品化、消費地での多様なニーズへの対応、獲れる水産物と消費者ニーズのマッチングなどで、食品ロス削減につなげることも可能になる。水産加工品のブランディングや食育への取り組みなども含めて、漁師と共に手を携えて日本の漁業や魚文化を守ることを目指している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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2022/09/16 15:18
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SANKO Research Memo(7):事業ポートフォリオ転換が完了して再成長戦略加速
■成長戦略1. 中期経営計画SANKO MARKETING FOODS<2762>は、事業ポートフォリオ転換が2021年6月期までに完了し、新規事業を手掛ける攻めの展開を図る段階に入ったとして、2021年11月に「食の総合プロデューサー」を目指す3ヶ年の中期経営計画を策定した。目標値としては最終年度2024年6月期の売上高11,500百万円、営業利益700百万円を掲げた。売上高の内訳は店舗事業(既存事業)が3,820百万円、新規事業が4,800百万円、買収事業(SANKO海商)2,880百万円とした。利益成長に向けた基本戦略としては、店舗事業における収益基盤の再構築で郊外・高効率型事業の推進、新規事業への参入では運営受託事業、中食・EC事業、ライセンス事業、水産DX(digital transformation=デジタル・トランスフォーメーション)事業、ふるさと納税事業を掲げた。2. 成長戦略をアップデート中期経営計画に対して、2022年6月期実績及び2023年6月期予想の営業利益はコロナ禍の長期化も要因として計画を下回る形となったが、店舗事業において、今後の主力業態と位置付ける郊外・高効率の中小型店舗である大衆酒場「アカマル屋」が好調に推移していること、水産セグメントにおいて、SANKO海商に続いて綜合食品を子会社化し、水産業の6次産業化に向けた生産から販売までのサプライチェーン構築が一気に進展したことを受けて、2022年6月期末時点で成長戦略をアップデートした。店舗事業における収益基盤の再構築では、総合居酒屋業態の不採算店舗の閉店が完了し、残る店舗はコロナ禍前の売上の8割でも黒字を出せる店舗となった。さらなる収益性改善に向けて残る店舗も水産を軸とした業態への転換を推進する。大衆酒場「アカマル屋」については、営業制限を受けなかったほとんどの期間において全ての既存店がコロナ禍前の売上を超えるなど好調に推移しているため、2023年6月期末時点で16店舗としていた計画を19店舗に上方修正した。新規出店を加速するとともに、さらなる投資効率の向上を推進する。日常食業態「焼肉万里」については、原料調達環境が激変しているため新規出店を一時的に抑制し、2023年6月期末時点で11店舗としていた計画を5店舗に下方修正した。新規事業では、飲食施設運営受託事業については、拡大方針に変化はないが、コロナ禍の影響による客数の変化なども勘案して不採算店を閉鎖し、採算性の良い案件へのシフトを進めている。中食事業では、低価格・低粗利の弁当事業から撤退し、料理ノウハウを活かした有名シェフ・有名店のOEM受託事業、及び「企画集約型」ビジネスモデルとしてBBQメニュー企画・開発事業などを模索している。大手酒類卸会社向けに「おつまみ」シリーズの供給なども計画している。EC事業については「生産者と産地への奉仕」をミッションとしたオウンドメディアを育成する方針だ。また、コロナ禍をきっかけに、店長経験者の店舗経験やノウハウを活用して生まれた社内ベンチャー組織(社内通称:ジーエス)による衛生・清掃事業(消毒・殺菌、空気清浄機販売、ビルメンテナンス・清掃)も順調である。飲食店舗にとどまらずリピート受注が高水準で、中期経営計画初年度の2022年6月期には売上高67百万円で利益化を達成した。ライセンス事業については、日常食業態「東京チカラめし」の直営店舗をオペレーション改善や業態開発のテスト店舗と位置付けて、固定投資を伴わないライセンス展開で事業拡大を図る方針だ。さらに香港以外のASEANエリアにも進出を計画している。3. 水産業の6次産業化を加速新規事業のうち水産DX事業については、2020年9月に沼津我入道漁業協同組合と業務提携して水産DXプラットフォーマーとしての取り組みを開始した。2021年9月に沼津魚市場における買参権を取得、同11月にSANKO海商を子会社化、同12月に漁船「辨天丸」譲受、2022年7月に綜合食品を子会社化したことで、サプライチェーンの構築が一気に進展した。これによりサプライチェーン全体をカバーする水産DX事業を展開する準備を進めている。このため水産セグメントの成長戦略をアップデートして、6次産業化を加速させる方針を掲げた。理念やテーマとして掲げる「漁師をなりたい職業に」「産地活性化プラットフォーマー」「価値ある食文化の提案」の実現に向けて、川上から川下まで展開する強みを活かして、漁獲生産の減少や漁業の後継者不足といった産地における問題の解決に貢献する。4. 「飲食×水産」の両軸経営で再成長同社は収益基盤再構築と再成長に向けた事業ポートフォリオ転換を完了した。当面は固定費をカバーするための売上拡大を優先課題としているが、同社の長澤成博代表取締役社長は「水産業の産地を活性化することで、漁師をなりたい職業にしたい」と熱く語っている。弊社では、この熱意も勘案して、水産業の6次産業化や「飲食×水産」の両軸経営で再成長に向かう可能性が高いと評価している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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2022/09/16 15:17
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SANKO Research Memo(6):2023年6月期は黒字転換予想
■今後の見通し● 2023年6月期連結業績予想の概要SANKO MARKETING FOODS<2762>の2023年6月期の連結業績予想は、売上高が前期比310.6%増の9,900百万円、営業利益が32百万円(前期は営業損失1,097百万円)、経常利益が22百万円(同、経常損失305百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益が10百万円(同、親会社株主に帰属する当期純損失439百万円)としている。SANKO海商を12ヶ月分連結、綜合食品を9ヶ月分連結するため、セグメント別売上高構成比で見ると水産セグメントが過半を占める計画となっている。事業環境としてコロナ禍の影響は2023年6月期下期に下火となり、withコロナのもとで緩やかな外食需要の回復を想定している。売上面では、水産セグメントが大幅に拡大するとともに、大衆酒場「アカマル屋」及び飲食施設運営受託事業の出店を拡大し、大幅増収予想としている。利益面では、水産流通2社を連結することで売上総利益率が低下するが、増収効果に加えて、事業ポートフォリオ転換による固定費負担軽減も寄与して黒字転換予想としている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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2022/09/16 15:16
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SANKO Research Memo(5):2022年6月期は損失縮小
■業績動向1. 2022年6月期連結業績の概要SANKO MARKETING FOODS<2762>の2022年6月期の連結業績(連結決算初年度のため前期比増減率は非記載、収益認識会計基準適用だが損益への影響なし)は、売上高が2,410百万円、営業損失が1,097百万円、経常損失が305百万円、親会社株主に帰属する当期純損失が439百万円だった。なお、SANKO海商(決算期3月31日)の連結上のみなし取得日を2021年12月31日として、SANKO海商の第4四半期(2022年1月~3月)を新規連結している。2021年6月期の非連結業績との単純比較で見ると、売上高は308百万円増収(前期比14.7%増)となり、営業損失は650百万円縮小、経常損失は1,121百万円縮小、親会社株主に帰属する当期純損失は1,378百万円縮小した。売上面はSANKO海商の新規連結が寄与して増収だが、単体ベースの売上高は2,002百万円で100百万円減少した。コロナ禍の長期化により、時間制限のない営業日数が183日にとどまったため、全体として売上回復が遅れた。利益面では、円安等による物価上昇や子会社要因で売上原価が増加したため売上総利益が66百万円(4.5%)減少したが、事業ポートフォリオ転換による都内大型店舗の閉店等により販管費が715百万円(22.3%)減少した。販管費のうち地代家賃は464百万円(53.6%)減少した。固定費負担が軽減して営業損失が縮小した。営業外収益では、新型コロナウイルス感染症拡大防止協力金等の助成金収入788百万円を計上(前期は304百万円計上)し、営業外収益全体では469百万円増加した。特別損失には子会社ののれん償却額76百万円を計上したが、前期との比較では店舗閉鎖損失や減損損失が減少し、特別損失全体では387百万円減少した。なお2022年6月期末の店舗数は直営店49店舗、フランチャイズ店4店舗となった。直営店合計では1店舗減少したが、今後の主力業態として郊外・高効率の中小型店舗中心の大衆酒場業態「アカマル屋」の出店を拡大した。固定費負担が大きい都心繁華街立地の総合型居酒屋業態「金の蔵」は7店舗まで減少したが、コロナ禍前の8割の売上でも黒字となる店舗が残っている。今後は水産を軸とする業態への転換も推進する。日常食業態「焼肉万里」については、原料調達環境が激変しているため、2022年6月期は一時的に出店を抑制した。大きな固定投資を伴わない官公庁・民間受託については、採算性の良い案件へのシフトを進めるため、コロナ禍の影響による客数の変化なども勘案して不採算店を閉鎖し、店舗数が減少した。2. 財務の状況財務面で見ると、2022年6月期末(連結)の資産合計は2021年6月期末(非連結)比128百万円増加して2,311百万円、負債合計は同57百万円増加して1,751百万円となった。流動資産では休業協力金等の影響で現金及び預金が56百万円増加、固定資産では有形固定資産205百万円を計上(2022年6月期から)、流動負債では未払費用が88百万円増加した。なお商工中金からの借入金200百万円を資本性劣後ローンに借り換えた。純資産は第三者割当増資・新株予約権行使によって増加した。この結果、自己資本比率は2.0ポイント上昇して24.0%となった。同社は、営業損失の計上などで継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象が存在しているが、今後の資金計画を検討した結果、当面の事業活動の継続性に懸念はなく、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないとしている。中長期的には自己資本の充実・自己資本比率の向上が課題となるが、有利子負債が200百万円にとどまっていることや、都心繁華街立地の大型店舗の縮小などで固定費負担が大幅に低下し、2023年6月期には黒字転換が見込まれることなどから、財務面に当面の懸念材料はないと、弊社では判断している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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2022/09/16 15:15
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SANKO Research Memo(4):水産業の6次産業化に向けてサプライチェーンを構築
■事業概要2. 水産業の6次産業化に向けてサプライチェーンを構築SANKO MARKETING FOODS<2762>は、「産地を守ることこそが、食文化を守ること」をテーマに掲げ、産地に入り、生産者とともに歩む「産地活性化プラットフォーマー」を目指し、新規事業として水産業の6次産業化に向けた動きを加速させている。2020年12月に沼津我入道漁業協同組合に加入し、沼津で水揚げされた鮮魚等のグループ飲食店舗や外食事業者への提供、一般消費者への移動販売を開始した。2021年9月には、地方卸売市場沼津魚市場における買参権(生産者が市場に水揚げした魚介類を、卸売人を通じて購入できる権利)を取得した。2021年11月には、浜松中央卸売市場の仲卸兼マグロ加工メーカーであるSANKO海商を子会社化(民事再生手続中の海商が会社分割で新設・事業承継した新・海商を子会社化して商号変更)し、沼津水産事業との連携により商品開発・供給力を強化した。2021年12月には沼津我入道漁業協同組合の組合員から、漁業研修船兼自社運用船として漁船「辨天丸」を譲り受けた。そして2022年7月には、東京都中央卸売市場の卸売業者である綜合食品を子会社化した。綜合食品は国内最大の消費地市場である豊洲市場で7社しかない大卸の1社として、全国の産地との間に立って首都圏を中心に安定的に商品を提供している。同社は綜合食品を通じて、各地の生産者(産地)から直接に水産物を取り扱うことが可能になった。この結果、漁師・漁協の生産者分野(同社の沼津水産事業部)~産地市場(沼津魚市場における買参権)~消費者市場(大卸の綜合食品、仲卸のSANKO海商)~加工会社(沼津加工場、東京・茅場町LABO)~問屋~飲食店・鮮魚店(同社飲食店)という、水産業の6次産業化に向けた生産から販売までのサプライチェーン構築が一気に進展した。コロナ禍以前から事業環境変化にいち早く対応3. リスク要因飲食業界のうち、特に居酒屋業態においては、生産年齢人口減少による市場縮小、特徴のある専門店・個店の台頭、消費者ニーズの変化による大型の総合型居酒屋業態離れ、食材価格やアルバイト人件費の上昇など構造的な逆風の流れがある。2008年のリーマンショック以降は、不況による個人消費低迷、ライフスタイル・消費者ニーズの多様化、企業の働き方改革推進などを背景とする大人数宴会需要の減少など、大型総合型居酒屋業態への逆風が一段と強まった。さらにコロナ禍による外出自粛、店舗臨時休業・営業時間短縮・酒類提供自粛などの営業制限により、大型の総合型居酒屋業態が大きな打撃を受ける形となった。同社は、2008年のリーマンショック以降に消費者の総合型居酒屋業態離れの傾向が強まったことへの対応として、いち早く事業ポートフォリオ転換に着手した。2014年以降は郊外・高効率の中小型店舗を中心とする大衆酒場業態や日常食業態の出店を推進する一方で、2019年以降には従来の主力であった都心繁華街立地の総合型居酒屋業態の閉店を加速し、事業規模を縮小した。2022年6月期末には従来の主力だった総合型居酒屋業態「金の蔵」を7店舗まで縮小して事業ポートフォリオ転換が完了した。合計店舗数は減少して売上高も大幅に減少したが、都心繁華街型の大型店舗からの撤退によって高固定費(地代家賃、人件費)負担が減少して収益圧迫要因が軽減化された。また、経営のコントロールが効きやすくなり、人材不足も解消して店舗運営に係る品質向上の効果も期待されている。さらに居酒屋業態以外の新たな収益柱構築に向けて水産業の6次産業化を推進している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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2022/09/16 15:14
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SANKO Research Memo(3):事業ポートフォリオを郊外・高効率の中小型の大衆酒場業態や日常食業態に転換
■事業概要1. 事業ポートフォリオを郊外・高効率の中小型の大衆酒場業態や日常食業態に転換SANKO MARKETING FOODS<2762>は首都圏を中心に飲食チェーンを展開している。2008年のリーマンショック以降の居酒屋業界の事業環境変化に対応して、いち早く事業ポートフォリオの転換を推進した。飲食チェーンについては、従来の主力であった「金の蔵」「月の雫」「東方見聞録」といった都心繁華街立地で空中階・地下階大型店舗中心の総合型居酒屋業態は固定費負担が大きいため縮小し、現在は、郊外の駅前商店街立地で投資効率の高い中小型店舗中心の大衆酒場業態「アカマル屋」、日常食業態「東京チカラめし」「焼肉万里」などを主力業態としている。また、ノンアセット型ビジネスモデルとしての官公庁等を中心とする飲食施設運営受託事業の拡大も推進している。2022年6月期末の店舗数(直営店)は2021年6月期末比1店舗減少の49店舗となった。業態別内訳は大衆酒場業態「アカマル屋」が3店舗増加の11店舗、総合型居酒屋業態「金の蔵」が2店舗減少の7店舗、日常食業態「焼肉万里」が増減なしの6店舗、官公庁・民間受託が3店舗減少の18店舗、その他(日常食業態「東京チカラめし」「パスタmama」など)が1店舗増加の7店舗となった。日常食業態「東京チカラめし」の海外ライセンスの拡大、新規事業として中食事業(有名シェフ・有名店のOEM受託事業、BBQメニュー企画・開発事業)やEC事業などの取り組みも推進している。ピーク時には100店舗を超えていた総合型居酒屋業態「金の蔵」が7店舗まで縮小し、大衆酒場業態「アカマル屋」が主力業態となり、事業ポートフォリオ転換が完了した形だ。なお、総合型居酒屋業態「金の蔵」は、コロナ禍前の8割の売上でも利益が出る店舗が残っており、今後は水産を軸とする業態への転換も推進する。日常食業態「焼肉万里」については原料調達環境の激変により一時的に出店を抑制した。現在の主力業態・ブランドの概要は以下のとおりである。1) 大衆酒場業態「アカマル屋」笑顔が集う大衆酒場をコンセプトにした昔ながらの店構えやコストパフォーマンスの高さを特徴としている。2) 日常食業態「焼肉万里」肉問屋が厳選した肉だけを直送で取り寄せるため、低コストで高級焼肉店のような上質の肉を楽しめることを特徴としている。3) 日常食業態「東京チカラめし」創業当時に提供していた牛丼という原点に立ち返りつつ、牛丼から進化した焼き牛丼を提供している。2021年から香港にて3店舗のライセンス出店を果たし、国内のみならず海外への進出している。4) 日常食業態「パスタmama」リーズナブルに本格的なイタリアの味が楽しめるスパゲティ専門店である。5) 日常食業態「まるが水産」「まるがまる」沼津我入道漁業協同組合との水産業プロジェクトでスタートした。朝獲れ鮮魚販売コーナーを併設した沼津発信の「魚が買える寿司屋」である。ノンアセット型ビジネスモデルとしての飲食施設運営受託事業は官公庁等を中心に展開している。なおコロナ禍の影響で客数が想定を下回っている案件もあるため、採算を重視した案件へのシフトを進めている。日常食業態「東京チカラめし」の海外ライセンスの拡大では、2021年4月に香港の飲食企業である千源集団有限公司(以下:千源集団)と同ブランドの出店に関するライセンス契約を締結、同年6月に千源集団が香港1号店を出店した。同年9月には、千源集団と香港におけるマスターライセンス契約(第三者へのサブライセンス権も含めて、香港において同ブランド店舗を独占的に展開することができるライセンス権を付与)を締結、同年9月に香港2号店、12月に千源集団が「東京チカラめし」香港3号店を出店した。国内での「東京チカラめし」のライセンスについては、2021年7月に(株)バーチャルレストランと国内におけるバーチャル店舗に関わるライセンス契約を締結している。ゴーストレストランのフランチャイズ開発に強みを持つバーチャルレストランがライセンスの加盟開発を行う。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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2022/09/16 15:13
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SANKO Research Memo(2):企業理念は「価値ある食文化の提案」
■会社概要1. 会社概要SANKO MARKETING FOODS<2762>は企業理念に「価値ある食文化の提案」を掲げ、首都圏を中心に飲食チェーンを展開するとともに、コア事業の構造改革と新領域への挑戦によって、事業ポートフォリオの転換と水産業の6次産業化を推進している。2022年6月期末の総資産は2,311百万円、純資産は559百万円、資本金は50百万円、自己資本比率は24.0%、発行済株式数は18,789,600株(自己株式数4,500株を含む)となった。本店所在地は東京都中央区新川一丁目(本社機能は東京都新宿区高田馬場一丁目)である。グループは同社、及び連結子会社1社(水産物小売・卸売・加工のSANKO海商)で構成されている。なお2022年7月に、東京都中央卸売市場の卸売業者である綜合食品を連結子会社化(2023年6月期から新規連結)した。2. 沿革1975年9月創業(JR神田駅のガード下でカレーと牛丼の「三光亭」開業)で、1977年4月に有限会社三光フーズを設立、1983年2月組織変更して株式会社三光フーズを設立した。1998年12月に個室居酒屋の先駆けとなる「東方見聞録」新宿中央東口店を開店するなど、都心繁華街立地の空中階・地下階大型店舗の居酒屋業態を主力として業容を拡大し、2002年10月に商号を株式会社三光マーケティングフーズに変更、2003年3月に日本証券業協会ジャスダック市場に株式を店頭登録、2004年9月に東京証券取引所市場第2部に株式上場、2021年10月に商号をSANKO MARKETING FOODSに変更した。なお2022年4月に実施された東京証券取引所の市場再編に伴って東京証券取引所スタンダード市場に移行・上場した。事業展開の面では、2008年のリーマンショック以降の事業環境変化に対応し、従来の主力であった居酒屋業態を縮小する一方で、大衆酒場・日常食業態などの郊外・高効率の中小型店舗の出店、官公庁を中心とする飲食施設の運営受託を拡大している。さらに、2020年9月に沼津我入道漁業協同組合と業務提携、2021年9月に沼津魚市場における買参権を取得、2021年12月に漁船「辨天丸」を譲り受けた。2021年11月には海商を子会社化してSANKO海商に商号変更、2022年7月に綜合食品を子会社化するなど、事業ポートフォリオの転換と水産業の6次産業化に向けた動きを加速させている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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2022/09/16 15:12
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スカラ Research Memo(12):株主への利益還元に積極的で、2023年6月期も14期連続の増配を予定
■株主還元策スカラ<4845>は株主還元策として、財務体質の強化と今後の事業展開を図るために必要な内部留保を確保しつつ、安定的、継続的な配当を実施していくことを基本方針とし、増配の継続を目指している。2022年6月期は損失を計上したものの、過去の投資利益の還元と今後の成長を鑑み、前期比2.0円増の1株当たり36.0円の配当を実施し、13期連続の増配となった。2023年6月期も同1.0円増の37.0円(配当性向96.0%)を予定している。なお、中期的には、増配を継続しつつ配当性向50%以下の水準になるよう、利益を拡大していく方針だ。また、資本効率の向上や経営環境に応じた柔軟な資本政策を遂行するため、自己株式の取得を実施しており、2022年5月から8月にかけて40万株(発行済株式総数(自己株式除く)の2.26%)を約300百万円で取得した。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2022/09/16 15:12
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SANKO Research Memo(1):事業ポートフォリオ転換が完了、水産業の6次産業化を推進
■要約SANKO MARKETING FOODS<2762>(三光マーケティングフーズが2021年10月1日付で商号変更)は、企業理念に「価値ある食文化の提案」を掲げ、首都圏を中心に飲食チェーンを展開している。事業ポートフォリオ転換が完了し、成長戦略をアップデートして水産業の6次産業化を推進している。1. 現在は郊外立地で投資効率の高い中小型店舗の大衆酒場「アカマル屋」が主力同社は居酒屋業態の事業環境変化に対応して、いち早く事業ポートフォリオの転換を推進した。飲食チェーンについては、従来の主力であった「金の蔵」など都心繁華街立地で大型店舗中心の総合型居酒屋業態は固定費負担が大きいため大幅に縮小し、現在は、郊外の駅前商店街立地で投資効率の高い中小型店舗中心の大衆酒場「アカマル屋」を主力業態としている。また、ノンアセット型ビジネスモデルとして、官公庁等を中心とする飲食施設運営受託事業も拡大している。2. 水産業の6次産業化に向けてサプライチェーン構築が一気に進展水産業の6次産業化に向けた動きも加速している。2020年12月の沼津我入道漁業協同組合への加入、2021年9月の沼津魚市場における買参権の取得、2021年11月の浜松中央卸売市場仲卸兼マグロ加工メーカーである(株)SANKO海商の子会社化、2021年12月の漁船「辨天丸」の譲り受けに続いて、2022年7月に豊洲市場の水産物卸売会社(大卸)である綜合食品(株)を子会社化し、生産から販売までのサプライチェーン構築が一気に進展した。3. 2022年6月期は損失縮小2022年6月期の連結業績(連結決算初年度のため前期比増減率は非記載、収益認識会計基準適用だが損益への影響なし、SANKO海商の2022年1月~3月分を新規連結)は、売上高が2,410百万円、営業損失が1,097百万円、経常損失が305百万円、親会社株主に帰属する当期純損失が439百万円だった。2021年6月期の非連結業績との単純比較で見ると、売上高は308百万円増収(前期比14.7%増)となり、営業損失は650百万円縮小、経常損失は1,121百万円縮小、親会社株主に帰属する当期純損失は1,378百万円縮小した。売上面はSANKO海商の新規連結が寄与して増収だが、単体ベースの売上高は2,002百万円で100百万円減少した。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の長期化により全体として売上回復が遅れた。利益面では円安等による物価上昇や子会社要因で売上総利益が減少したが、事業ポートフォリオ転換による都内大型店舗の閉店等が奏功し固定費負担が軽減して営業損失が大幅に縮小した。営業外収益では助成金収入が増加し、特別損失では店舗閉鎖損失や減損損失が減少した。4. 2023年6月期は黒字転換予想2023年6月期の連結業績予想(SANKO海商を12ヶ月分連結、綜合食品を9ヶ月分連結)は、売上高が前期比310.6%増の9,900百万円、営業利益が32百万円(前期は営業損失1,097百万円)、経常利益が22百万円(同、経常損失305百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益が10百万円(同、親会社株主に帰属する当期純損失439百万円)としている。事業環境としてコロナ禍の影響は2023年6月期下期に下火となり、withコロナのもとで緩やかな外食需要の回復を想定している。売上面では、SANKO海商及び綜合食品の連結によって水産セグメントが大幅に拡大するとともに、大衆酒場業態「アカマル屋」及びノンアセット型ビジネスモデルとしての飲食施設運営受託事業の出店を拡大し、大幅増収予想としている。利益面では、水産流通2社を連結することで売上総利益率が低下するが、増収効果に加えて、事業ポートフォリオ転換による固定費負担軽減も寄与して黒字転換予想としている。5. 成長戦略をアップデート、「飲食×水産」の両軸経営で再成長同社は攻めの展開の段階に入ったとして2021年11月に3ヶ年の中期経営計画を策定し、目標値として最終年度2024年6月期の売上高11,500百万円、営業利益700百万円を掲げた。その後、店舗事業において大衆酒場「アカマル屋」が好調に推移していること、水産セグメントにおいて水産業の6次産業化に向けた生産から販売までのサプライチェーン構築が一気に進展したことを受けて、2022年6月期末時点で成長戦略をアップデートした。大衆酒場「アカマル屋」出店計画を上方修正するとともに、水産セグメントを持つ強みを活かして「飲食×水産」の両軸経営で収益力の向上を目指す方針だ。同社の長澤成博代表取締役社長は「水産業の産地を活性化することで、漁師をなりたい職業にしたい」と熱く語っている。弊社では、この熱意も勘案して再成長に向かう可能性が高いと評価している。■Key Points・事業ポートフォリオを転換して郊外・高効率中小型の大衆酒場「アカマル屋」が主力業態・2023年6月期は固定費負担軽減も寄与して黒字転換を予想・成長戦略をアップデートし、「飲食×水産」の両軸経営で収益力向上を目指す(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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2022/09/16 15:11