注目トピックス 日本株ニュース一覧

注目トピックス 日本株 アイル、ビプロジー◆今日のフィスコ注目銘柄◆ アイル<3854>2023年7月期第1四半期業績は、売上高が前年同期比22.9%増の35.98億円、営業利益は同117.9%増の7.28億円だった。パッケージソフトウェア「アラジンオフィス」の商品力の強化を、業種別に継続して進め、販売面でもパートナー企業との連携になどによって、豊富な業種別の導入事例をもとに顧客毎に最適なシステム活用方法を提案することで、受注実績も堅調に推移した。株価はリバウンド基調を継続しており、25日線が支持線として機能している。ビプロジー<8056>3000円~3300円辺りでのレンジ推移を継続している。直近では3100円~3200円辺りでの推移を見せており、煮詰まり感が意識されてきた。一目均衡表では雲のねじれが起きるタイミングに近づいてきており、トレンドを強めてくる可能性がありそうだ。レンジ上限突破を想定したリバウンド狙い。 <FA> 2022/12/08 08:57 注目トピックス 日本株 ビーアンドピー---小ロット生産の強みを生かした新規事業「オーダーグッズ制作事業」を開始 ビーアンドピー<7804>は6日、新規事業として「オーダーグッズ制作事業」を開始することを発表。オーダーグッズは、近年、小ロットでオリジナリティのあるグッズの需要が高まっている。同社は、保有する印刷ノウハウや保有設備を活用し、インクジェットプリント事業にて、これまでに培ってきた小ロット多品種生産能力の強みを活かし、幅広い商品ラインナップを準備する。2023年にはオーダーグッズ専門の通販サイトの開設を予定している。販売促進用グッズの製造受託に加え、キャラクタービジネス市場にて、キャラクターグッズを扱う法人やコンテンツホルダーと連携し、同事業を成長させていくとしている。キャラクター、オーダーグッズ市場は、成長市場であり同社の新しい取り組みも期待が持てる。 <SI> 2022/12/08 08:45 注目トピックス 日本株 ADR日本株ランキング~ソニーGなど全般軟調、シカゴは大阪比75円安の27585円~ ADR(米国預託証券)の日本株は、ソニーG<6758>、ファナック<6954>、ファーストリテ<9983>、三井住友<8316>、デンソー<6902>、HOYA<7741>、富士通<6702>、セコム<9735>、日東電<6988>など、対東証比較(1ドル136.55円換算)で全般軟調。シカゴ日経225先物清算値は大阪比75円安の27585円。米国株式市場はまちまち。ダウ平均は1.58ドル高の33597.92ドル、ナスダックは56.33ポイント安の10958.55で取引を終了した。景気後退懸念がくすぶり、寄り付き後、下落。需要鈍化懸念を背景とした携帯端末のアップル(AAPL)の下落がけん引したハイテクセクターの売りが上値を抑制した。ただ、利上げ観測が緩和し、長期金利の低下やドル安が企業収益回復に繋がるとの期待が下支えとなり、終盤にかけダウは小幅高で終了。ナスダック総合指数は終日軟調推移となった。7日のニューヨーク外為市場でドル・円は、137円40銭から136円22銭まで下落し136円58銭で引けた。米7-9月期単位労働コストの伸びが予想以上に鈍化したほか、米景気後退懸念に米国債相場が上昇。長期金利低下に伴うドル売りに拍車がかかった。ユーロ・ドルは、1.0550ドルまで上昇後、1.0488ドルまで反落し1.0507ドルで引けた。NY原油先物1月限は続落(NYMEX原油1月限終値:72.01 ↓2.24)。■ADR上昇率上位銘柄(7日)<6770> アルプス 19.25ドル 1314円 (29円) +2.26%<2802> 味の素 32.73ドル 4469円 (53円) +1.2%<8267> イオン 20.75ドル 2833円 (26.5円) +0.94%<6479> ミネベア 32.26ドル 2203円 (11円) +0.5%<8604> 野村HD 3.58ドル 489円 (1.4円) +0.29%■ADR下落率下位銘柄(7日)<6753> シャープ 1.77ドル 967円 (-35円) -3.49%<8359> 八十二 35.14ドル 480円 (-13円) -2.64%<8306> 三菱UFJ 5.45ドル 744円 (-11.8円) -1.56%<8309> 三井トラスト 3.05ドル 4165円 (-64円) -1.51%<7270> SUBARU 8.15ドル 2226円 (-30円) -1.33%■その他ADR銘柄(7日)<1925> 大和ハウス 22.51ドル 3074円 (-25円)<1928> 積水ハウス 18.23ドル 2489円 (-10円)<2503> キリン 15.53ドル 2121円 (0.5円)<2802> 味の素 32.73ドル 4469円 (53円)<3402> 東レ 10.69ドル 730円 (-4円)<3407> 旭化成 14.7ドル 1004円 (-8.5円)<4523> エーザイ 71.3ドル 9736円 (-5円)<4901> 富士フイルム 51.5ドル 7032円 (-24円)<4911> 資生堂 46.34ドル 6328円 (-34円)<5108> ブリヂストン 18.2ドル 4970円 (-41円)<5201> AGC 6.63ドル 4527円 (-23円)<5802> 住友電 11.37ドル 1553円 (-13円)<6301> コマツ 22.37ドル 3055円 (-29円)<6479> ミネベア 32.26ドル 2203円 (11円)<6503> 三菱電 19.31ドル 1318円 (-9円)<6645> オムロン 51.15ドル 6985円 (-20円)<6702> 富士通 26.89ドル 18359円 (-91円)<6723> ルネサス 4.62ドル 1262円 (-12円)<6758> ソニーG 79.04ドル 10793円 (-82円)<6762> TDK 34.51ドル 4713円 (-17円)<6902> デンソー 26.22ドル 7161円 (-49円)<6954> ファナック 15.13ドル 20660円 (-140円)<6988> 日東電 30.55ドル 8343円 (-57円)<7201> 日産自 6.8ドル 464円 (0.3円)<7202> いすゞ 12.36ドル 1688円 (-13円)<7203> トヨタ 141.86ドル 1937円 (-12.5円)<7267> ホンダ 23.85ドル 3257円 (-30円)<7270> SUBARU 8.15ドル 2226円 (-30円)<7733> オリンパス 19.41ドル 2650円 (-1.5円)<7741> HOYA 98.12ドル 13399円 (-66円)<7751> キヤノン 22.48ドル 3070円 (-16円)<7974> 任天堂 10.51ドル 5741円 (-41円)<8001> 伊藤忠 61.09ドル 4171円 (-28円)<8002> 丸紅 113.05ドル 1544円 (-1円)<8031> 三井物 574.49ドル 3922円 (-21円)<8053> 住友商 16.13ドル 2203円 (-15.5円)<8267> イオン 20.75ドル 2833円 (26.5円)<8306> 三菱UFJ 5.45ドル 744円 (-11.8円)<8309> 三井トラスト 3.05ドル 4165円 (-64円)<8316> 三井住友 6.77ドル 4622円 (-49円)<8411> みずほFG 2.45ドル 1673円 (-8円)<8591> オリックス 80.12ドル 2188円 (-12円)<8604> 野村HD 3.58ドル 489円 (1.4円)<8766> 東京海上HD 20.44ドル 2791円 (-14円)<8802> 菱地所 13.43ドル 1834円 (-11.5円)<9202> ANA 4.26ドル 2909円 (-11.5円)<9432> NTT 27.07ドル 3696円 (-24円)<9735> セコム 15.05ドル 8220円 (-45円)<9983> ファーストリテイ 61.05ドル 83364円 (-616円)<9984> ソフトバンクG 21.77ドル 5945円 (-22円) <ST> 2022/12/08 08:07 注目トピックス 日本株 前日に動いた銘柄 part2 レーザーテック、新日本科学、東京エレクトロンなど 銘柄名<コード>7日終値⇒前日比*テモナ<3985> 346 -26特段の材料ないまま急伸の反動。*日医工<4541> 133 -8マネーゲームの動き一巡で。*レーザーテック<6920> 26280 -1375米SOX指数は2.4%の下落に。*新光電気工業<6967> 3745 -150半導体関連株安の流れが波及する。*新日本科学<2395> 2280 -121直近安値割り込んで下値不安も。*デクセリアルズ<4980> 3005 -130半導体関連株安で信用買い方の処分売り優勢。*エムアップ<3661> 1240 -25グロース株安で手仕舞い売り優勢の流れが続く。*東京エレクトロン<8035> 44820 -1760SOX指数下落で半導体製造装置が軟化。*gumi<3903> 710 -11決算発表接近で見切り売り優勢に。*SHIFT<3697> 28140 -580米グロース株安の流れが波及。*住石HD<1514> 3419 +49井村俊哉氏の株式買い増しを材料視。*JエスコムHD<3779> 170 -32連日の株価急騰で過熱警戒感も。*TDSE<7046> 1900 +64直近の急伸に対する利益確定の動き。*DWTI<4576> 259 -1緑内障・高眼圧症治療剤の新規配合点眼剤の国内販売開始。*TKP<3479> 2811 +21823年2月期の営業損益予想を上方修正、連結子会社を三菱地所などに売却。*ACSL<6232> 1922 +22物流専用ドローンの製品デザインと想定仕様決定。*pluszero<5132> 5960 +200直近IPO、短期的な調整一巡感で再度物色か。*DELTA−P<4598> 840 -36米国FDAによるDFP-10917のオーファンドラッグ指定について発表。*トラース・オン・プロダクト<6696> 276 -9第3四半期決算を嫌気した動きか。*リファインバースグループ<7375> 2347 +124廃車回収インテークマニホールドをリサイクルした「REAMIDE」新グレード開発。*リボミック<4591> 210 -40足元の急伸に対する反動。*フリー<4478> 3005 +5同社などグロース市場の主力処は高安まちまち。 <NH> 2022/12/08 07:32 注目トピックス 日本株 前日に動いた銘柄 part1 三越伊勢丹、サイバー・バズ、ダブル・スコープなど 銘柄名<コード>7日終値⇒前日比*三越伊勢丹<3099> 1287 +44中国の「ゼロコロナ政策」緩和の動きを材料視。*クラレ<3405> 1107 +22活性炭と関連製品の価格改定を発表。*Speee<4499> 1645 -82国内証券が投資判断と目標株価を引き下げ。*HPCシステムズ<6597> 2095 +55NTT東日本と「ギガらく5G」の再販契約。*サイバー・バズ<7069> 1590 +1111対1のライブトークやオンラインイベントが行える各種オリジナルメニューを提供開始。*アイパートナーズ<7345> 569 +80オリックス銀行の遺言代用信託を取り扱い開始。*ダブル・スコープ<6619> 1800 +115韓国子会社がイオン交換膜スタックモジュール供給で合意。*SMN<6185> 500 +43読売新聞や大日本印刷と新広告サービス運用で協業。*東リ<7971> 223 +19特に材料なく高寄りから値頃感妙味に。*東邦チタニウム<5727> 2864 +175ボーイング「787ドリームライナー」の受注間近など材料視か。*NTN<6472> 290 +8前日にはゴールドマン・サックス証券が投資判断2段階格上げ。*富山第一銀行<7184> 555 +27井村俊哉氏大株主銘柄として住石HDの株価急伸が刺激にも。*大阪チタニウムテクノロジーズ<5726> 4235 +185東邦チタと同様に航空機関連として関心か。*ブイキューブ<3681> 814 +45直近安値水準までの調整で自律反発か。*フジクラ<5803> 1070 +38ゴールドマン・サックス証券では新規に買い推奨。*千葉興業銀行<8337> 387 +16銀行株高の中で値頃感の強さに関心。*クミアイ化学工業<4996> 909 +30先週末の上方修正などあらためて材料視か。*いちご<2337> 307 +11短期的な突っ込み警戒感によるリバウンドの動き。*FIG<4392> 460 +30ドローン関連として物色人気波及。*ピジョン<7956> 2163 +75中国の行動規制緩和に対する期待で。*F&LC<3563> 2672 +120三井住友トラストアセットの保有比率上昇。*東京一番フーズ<3067> 527 -49立会外分売実施による需給悪化を警戒。 <NH> 2022/12/08 07:15 注目トピックス 日本株 クルーバー---2023年3月期11月度月次売上状況 クルーバー<7134>は5日、2023年3月期11月度月次売上状況を発表。メイン事業であるアップガレージ(リユース事業)の全店売上高は、22.50億円(前年比108.3%増)と好調に推移した。直営店の売上高は、全店が4.45億円(前年比112.1%増)、既存店が4.02億円(同108.8%増)となった。一方、フランチャイズ店の売上高は、全店が18.05億円(同107.4%増)、既存店が17.47億円(同105.1%増)となった。前月に引き続きスタッドレスタイヤを中心として、直営店・フランチャイズ店の販売及び買取が好調に推移し、通期での売上高累計は前年比109.7%増となった。特に直営店は既存店の好調に加え、今期の新規出店増加もあり、前年比で全店売上高が大きく増加した。新規出店の状況は11月26日にフランチャイズ店のアップガレージ山形鶴岡店がオープンし、アップガレージブランドの総店舗数は 220 店舗となった。 <SI> 2022/12/07 17:28 注目トピックス 日本株 日経平均寄与度ランキング(大引け)~日経平均は3日ぶり反落、東エレクとファーストリテが2銘柄で約115円分押し下げ 7日大引け時点の日経平均構成銘柄の騰落数は、値上がり108銘柄、値下がり109銘柄、変わらず8銘柄となった。日経平均は3日ぶり反落。6日の米株式市場でダウ平均は350.76ドル安と続落。利上げ長期化を懸念した売りが先行。また、ゴールドマン・サックスやJPモルガンなどの金融大手の最高経営責任者(CEO)が景気の先行きについて悲観的見解を示したことも投資家心理を悪化させ、一段と売りが広がった。ナスダック総合指数は−2.00%と大幅に3日続落。米国株安を引き継いで日経平均は215.58円安からスタート。ただ、為替の円安進行を支援要因に寄り付き直後からは下げ渋る展開となり、前場中ごろには27786.25円(99.62円安)まで下げ幅を縮めた。一方、景気後退懸念も根強く、その後は騰勢一服。また、中国11月貿易収支での輸出入の減少などを背景に中国・香港株が軟調だったことも重石となり、午後は日経平均も下げ幅を広げる展開となった。大引けの日経平均は前日比199.47円安の27686.40円となった。東証プライム市場の売買高は10億4570万株、売買代金は2兆6362億円だった。セクターでは鉱業、電気機器、機械が下落率上位になった一方、空運、銀行、電気・ガスが上昇率上位となった。東証プライム市場の値下がり銘柄は全体の37%、対して値上がり銘柄は57%だった。値下がり寄与トップは東エレク<8035>となり1銘柄で日経平均を約60円押し下げた。同2位はファーストリテ<9983>となり、TDK<6762>、ファナック<6954>、アドバンテ<6857>、信越化<4063>、ダイキン<6367>などがつづいた。一方、値上がり寄与トップはソフトバンクG<9984>となり1銘柄で日経平均を約10円押し上げた。同2位は資生堂<4911>となり、7&iHD<3382>、アステラス薬<4503>、三越伊勢丹<3099>、東京海上<8766>、フジクラ<5803>などがつづいた。*15:00現在日経平均株価  27686.40(-199.47)値上がり銘柄数 108(寄与度+52.57)値下がり銘柄数 109(寄与度-252.04)変わらず銘柄数  8○値上がり上位銘柄コード  銘柄       直近価格         前日比 寄与度<9984> ソフトバンクG   5967           50 +10.27<4911> 資生堂         6362           130 +4.45<3382> 7&iHD      5492           72 +2.47<4503> アステラス薬     2103           11 +1.88<3099> 三越伊勢丹      1287           44 +1.51<8766> 東京海上       2805          28.5 +1.46<5803> フジクラ       1070           38 +1.30<7267> ホンダ         3287           16 +1.10<7203> トヨタ自      1949.5            6 +1.03<8591> オリックス      2200          28.5 +0.98<1925> 大和ハウス      3099           28 +0.96<5301> 東海カーボ      1113           26 +0.89<6098> リクルートHD   4248            8 +0.82<8331> 千葉銀         828           23 +0.79<5802> 住友電工       1566           22 +0.75<3405> クラレ         1107           22 +0.75<8233> 高島屋         1721           43 +0.74<8267> イオン       2806.5           21 +0.72<9009> 京成          3875           40 +0.68<7272> ヤマハ発       3335           20 +0.68○値下がり上位銘柄コード  銘柄       直近価格         前日比 寄与度<8035> 東エレク       44820         -1760 -60.27<9983> ファーストリテ   83980         -1620 -55.47<6762> TDK         4730          -110 -11.30<6954> ファナック     20800          -290 -9.93<6857> アドバンテス     9390          -140 -9.59<4063> 信越化        17040          -275 -9.42<6367> ダイキン工     21915          -265 -9.07<6971> 京セラ         6865           -85 -5.82<6273> SMC        61310         -1400 -4.79<6758> ソニーG       10875          -140 -4.79<4901> 富士フイルム     7056          -105 -3.60<2802> 味の素         4416          -104 -3.56<6645> オムロン       7005           -97 -3.32<9433> KDDI       4020           -16 -3.29<6976> 太陽誘電       4325           -95 -3.25<6594> 日本電産       8299          -113 -3.10<2801> キッコマン      7470           -90 -3.08<7832> バンナムHD     8852           -86 -2.94<9613> NTTデータ     2050           -17 -2.91<6981> 村田製         7349          -106 -2.90 <FA> 2022/12/07 16:39 注目トピックス 日本株 アジア投資 Research Memo(11):安定収益の底上げにより、将来的な復配の可能性に期待 ■株主還元日本アジア投資<8518>は、業績の悪化に伴う累積損失を計上していることから、2009年3月期以降、配当の実績はない。今後も有利子負債の削減による財務体質の改善と安定収益の拡大に向けた投資に取り組む方針であることから、しばらくは配当という形での株主還元は見送られる可能性が高いと弊社ではみている。ただ、中期経営計画に従い、プロジェクト投資による安定収益の底上げが進んでくれば、将来的には復配はもちろん、安定的な配当が可能となるものと期待できる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫) <SI> 2022/12/07 16:31 注目トピックス 日本株 アジア投資 Research Memo(10):メガソーラープロジェクトが過去数年の収益安定化に貢献 ■日本アジア投資<8518>の業績推移1. 業績を見るためのポイント一般の事業会社の売上高に当たるものが営業収益であり、投資業務における回収額(営業投資有価証券売却高)のほか、利息・配当収入や組合持分利益(インカムゲイン)に加えファンド業務における運営報酬などによって構成される。ただ、その大部分を占めている営業投資有価証券売却高は、投資額(取得原価)を上回ってこそ利益が創出されるものであるため、営業収益が増えたからと言って必ずしも業績が向上しているとは限らない。したがって、同社の業績指標としては、取得原価などを差し引いた投資損益やインカムゲイン(利息・配当収入や組合持分利益)、運営報酬などを足し合わせた営業総利益に注目するのが妥当であると考えられる。なお、営業総利益は、投資先の業績悪化や株式市場の低迷による「営業投資有価証券評価損」や「投資損失引当金繰入額」を反映しているため、それらが期間損益の大きな下振れ要因となり得ることにも注意する必要がある。2. 過去の業績推移過去の業績(従来連結基準)を振り返ると、リーマンショックによる世界同時不況や東日本大震災、為替相場の変動などによる影響を受けながら不安定な状況で推移してきた。ただ、2016年3月期以降は、メガソーラープロジェクトによる収益貢献等により、7期連続の黒字決算を達成している。安定収益である運営報酬はファンド運用残高の縮小に伴って減少傾向にある。一方、投資損益(実現キャピタルゲインに評価損及び投資損失引当金を加味したもの)は、不安定に推移してきた。特に注目すべきは、評価損及び引当金繰入額が投資損益を圧迫してきたところである。ただ、2016年3月期以降、比較的落ち着いた動きとなってきているのは、運用資産の中身がリーマンショック後に積み上げた良質の資産(より適正価格で取得できたもの)や再生可能エネルギー等のプロジェクト投資資産に入れ替わってきたことを反映しており、今後は巡航レベルの範囲内で推移するものとみている。一方、リーマンショックの影響等による業績の落ち込みと財務状況の悪化を受け、財務体質の改善と収益力の強化に取り組んできたことから、有利子負債残高(借入金・社債、新株予約権付社債)は年々減少するとともに、販管費(特に人件費や賃借料)の削減にも努めてきた。有利子負債残高は2016年3月期の16,910百万円から2022年3月期には5,943百万円と約65%の削減を実現しており、販管費も縮小傾向をたどっている。もっとも、販管費については、2022年3月期に増加に転じており、ファンド設立やプロジェクト投資資産の積み増しなど、今後の事業拡大に向け、人件費等を中心に増加に向かう可能性もある。また、有利子負債の削減に伴って、財務基盤の安定性を示す自己資本比率も大きく改善してきた。2016年3月期は新株予約権が行使されたことに加え、First Easternとの資本業務提携に伴う自己資本の増強及び債務の圧縮(約8.3億円)によって自己資本比率は21.9%に大きく上昇。その後も新株予約権の行使や内部留保により改善を続け、2022年3月期には52.0%の水準を確保している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫) <SI> 2022/12/07 16:30 注目トピックス 日本株 アジア投資 Research Memo(9):日本とアジアにまたがる独立系の総合投資会社(2) ■会社概要3. 企業特徴(1) 収益モデル日本アジア投資<8518>の収益構造は、「PE投資」と「プロジェクト投資」と2つの異なるタイプの投資によって構成されているところに大きな特徴がある。そのうち「PE投資」の収益源は、大きく「実現キャピタルゲイン」と「インカムゲイン」「ファンドの運営報酬」の3つに分類されるが、「実現キャピタルゲイン」による業績インパクトが最も大きい。なお、「実現キャピタルゲイン」については、投資額を上回る金額で回収(売却)することによって得られるため、キャピタルゲインの拡大のためには、成長性のある企業への投資や投資先に対する成長支援に加えて、スムーズな売却が不可欠となる。投資先は経営基盤の未熟なベンチャー企業であることから、経済情勢の影響を受けやすいうえに、スムーズな売却のためにはIPO環境を含めた株式市場の動向に大きく左右されるため、ハイリスク・ハイリターン型の収益と言える。一方、「インカムゲイン」については、投資先からの配当収入のほか、出資しているファンドの持分利益などによるものであり、ミドルリスク・ミドルリターン型の収益となっている。また、「ファンドの運営報酬」は、管理報酬と成功報酬によって構成されており、管理報酬はファンドの運用残高におおむね連動するが、成功報酬は運用成果(パフォーマンス)に応じて増減するものである。管理報酬が収益の下支えとなっていることから、こちらもミドルリスク・ミドルリターン型の収益と言える。「PE投資」の本来の目的は、「実現キャピタルゲイン」の獲得にあり、業績へのインパクトも一番大きいことから、「PE投資」全体で見れば、ハイリスク・ハイリターン型の投資事業とみなすことができる。一方、ここ数年、注力している「プロジェクト投資」の収益源についても、「実現キャピタルゲイン」と「インカムゲイン」などに分類されるが、「プロジェクト投資」の本来の目的は、売電収益などプロジェクトからの安定的な「インカムゲイン」を積み上げていくところにある。もっとも、長期で保有するだけでなく、プロジェクトの一部を短・中期で途中売却することにより、利益と資金を確保しながら資産の拡大を図っていくことも重要な投資戦略となっているが、その場合の「実現キャピタルゲイン」については、将来にわたる「インカムゲイン」(含み益)の前倒し的な実現に近い。したがって、「プロジェクト投資」全体では、ミドルリスク・ミドルリターン型の投資事業とみなすことができる。以上から、全体を俯瞰すれば、「インカムゲイン(配当収入や売電収益等)」や「ファンドの運営報酬」などの安定収益に加えて、「プロジェクト投資資産」の一部売却により基礎となる利益を確保しながら、「PE投資資産」の売却によりアップサイドの「実現キャピタルゲイン」を狙う複合的な収益構造と言える。(2) 同社の強み同社の強みは、a)アジアでの歴史、b)最先端の業界情報収集力、c)ベンチャー企業とのネットワーク、d)ファイナンススキーム構築力の4つに集約できる。a) アジアでの歴史1981年に経済同友会を母体として設立以来、40年にわたり日本とアジアの経済交流に貢献し、アジアでの高い知名度を有している。b) 最先端の業界情報収集力投資候補となる企業やプロジェクトの発掘を通じて、専門性の高い、業界の最先端の動向を把握している。c) ベンチャー企業とのネットワーク国内外で300社超の上場実績を有し、これまでの投資活動を通じて、多数のベンチャー企業と親密な関係を構築している。そのネットワークを、投資先企業の支援や同社が新規事業テーマを開拓する際のアライアンスに活用している。d) ファイナンススキーム構築力国内外で3,300億円の累計投資実績を有している。プロジェクト投資では、同社からの投資資金だけでなく、プロジェクトファイナンスなどの融資資金も交えた調達スキームを構築している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫) <SI> 2022/12/07 16:29 注目トピックス 日本株 アジア投資 Research Memo(8):日本とアジアにまたがる独立系の総合投資会社(1) ■会社概要1.事業概要日本アジア投資<8518>は、日本とアジアにまたがる独立系の総合投資会社として、PE投資のほか、再生可能エネルギーなどプロジェクト投資も手掛けている。豊富な投資経験とブランド、ネットワーク、人材、事業パートナーなどの事業基盤を生かしながら、革新的な技術やビジネスモデルを持ち、高い成長力を有するベンチャー企業及び中堅・中小企業等への投資や成長支援を通じて、日本とアジアの両地域における産業活性化や経済連携の拡大などに貢献してきた。同社グループは、自己資金(自己勘定)による投資のほか、金融機関等の出資者からの出資及び同社グループ自身の出資により組成される「投資事業組合(ファンド)」からの投資を行っている。同社グループが管理運用等を行っているファンド運用残高は16,787百万円(10ファンド)、同社グループの自己資金及び運用ファンドによる投融資残高は13,618百万円の規模となっている(2022年9月末時点)。事業セグメントは投資事業の単一であるが、投資種類別には、「PE投資」と「プロジェクト投資」の2つに区分される。投資種類別の概要は以下のとおりである。(1) PE投資日本及びアジア(特に中華圏)における成長企業等に対して、自己勘定及び同社グループが管理運営するファンドからの投資(PE投資)を行うとともに、投資先企業に対しては、同社が持つ様々なリソースやネットワークを活用し、投資先企業と一体となって事業拡大に取り組み、キャピタルゲイン(投資差益)等の獲得を目指すものである。また、同社グループが組成した投資事業組合(ファンド)からの管理運営報酬等も収益源となっている。なお、各投資先企業が事業を拡大し利益が計上された場合でも、同社の業績に直接的な影響を与えることはなく、投資先企業の株式売却時にキャピタルゲインとなって初めて影響を与える点に注意が必要である。2022年9月末の同社グループの自己資金及び運用ファンドによるPE投資残高は7,427百万円(84社)となっている。VC業界を取り巻く環境が変化するなかで、新たなファンド設立には苦戦しており、ファンド運用残高は既存ファンドの満期到来等もありほぼ横ばいで推移している。もっとも、投資方針(本体投資分)の抜本的な見直しにより、既存の資産から事業テーマ※に関連するパートナー企業への戦略投資へと入れ替えを進めている。※同社が取り組むべき事業テーマとして、再生可能エネルギー、ヘルスケア(介護施設・障がい者グループホーム)、スマートアグリ(植物工場)、ディストリビューションセンター(物流施設)などを選定し、後述するプロジェクト投資を推進するとともに、プロジェクトの開発や運営を手掛けるパートナー企業へのPE投資(戦略投資)にも注力している。(2) プロジェクト投資メガソーラープロジェクトを中心とした再生可能エネルギー(バイオマス、バイオガス、風力等を展開)に加え、ヘルスケア(介護施設、障がい者グループホーム)、スマートアグリ(植物工場)、ディストリビューションセンター(物流施設)等のプロジェクトへ投資を行っている。発電所、工場、住居施設、倉庫といった設備を保有するSPC(特別目的会社)に対して投資を行い、これらの設備を建設し、完成後の設備の運営により生み出される利益から投資に対する分配を受けるほか、完成後に設備を売却して利益を得ることもある。2022年9月末の同社グループの自己資金及び運用ファンドによるプロジェクト投融資の残高は6,191百万円となっている。これらのプロジェクトでは、同社及びその他投資家からの出資金に加えて、金融機関からのプロジェクトファイナンス等でも資金調達をしており、同社はレバレッジ効果により投資した資金の収益性を高めている。また、プロジェクトの企画や開発に精通したベンチャー企業とパートナーシップを組んでいるところも特徴的である。これまでは長期保有による安定収益獲得を目的としたプロジェクトを中心に積み上げてきたが、今後は、短期での売却を前提としたプロジェクト投資に軸足を移し、長期と短期の厚みのある収益構造の確立を目指す方針である。地域別の投融資残高は、日本が約82%、中華圏(中国、香港、台湾)他が約18%である。投資種類別では、再生可能エネルギー等の「プロジェクト投資」の投融資残高が約45%、未上場企業に投資を行う「PE投資」が約55%である。「PE投資」のうち、プロジェクト投資のパートナー企業への戦略投資が約21%、その他が約79%となった。2.沿革同社の前身である日本アセアン投資株式会社は、1981年7月に経済同友会を母体として設立された。日本とASEAN間の民間投資を促進することが設立の経緯である。1985年12月には、海外経済協力基金(OECF)の資本参加により、半官半民の体制となった(ただし、1989年10月にOECFによる保有株式は民間企業へ売却されている)。1988年頃からは、当時の政府が公約した「貿易黒字の資金還流」の一翼を担うべく、ASEAN各国に拠点を設立してASEANでの投資事業を開始した後、1991年6月には、現在の日本アジア投資株式会社に商号変更し、次第にASEANに限定していた投資対象地域を、日本・台湾・韓国にも拡大した。その後も順調に業績を拡大すると、1996年9月に日本証券業協会に店頭売買銘柄として株式を登録した。2005年からは中国での投資事業に本格参入し、2007年12月には中国子会社を設立した。2008年6月に東京証券取引所市場第1部へ上場を果たした後、2012年には安定収益の拡大のため再生可能エネルギープロジェクトへの投資も開始した。その後、ヘルスケア(介護施設・障がい者グループホーム)、スマートアグリ(植物工場)、ディストリビューションセンター(物流施設)と、投資をするプロジェクトの種類を多様化している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫) <SI> 2022/12/07 16:28 注目トピックス 日本株 アジア投資 Research Memo(7):2022年3月期より3ヶ年の中期経営計画を推進(2) ■今後の方向性3. 弊社による注目点弊社でも、VC業界を取り巻く環境変化への対応や課題解決に向けて新たな投資方針を打ち出し、資産の入れ替えを進めながら収益基盤の強化を図っていく日本アジア投資<8518>の方向性には合理性があると評価している。特に、物流施設や障がい者グループホームなど、新たな軸となり得るプロジェクト投資が立ち上がってきたことや、それに紐づく戦略投資の積み上げは、今後の収益拡大に向けた足掛かりとして注目すべきポイントと言える。したがって、この計画期間中で、いかに本格的に軌道に乗せていくかが重要なテーマとなろう。これまでの資産の伸びや収益の下支えに貢献してきたメガソーラーに代わるプロジェクト投資資産の積み上げに注目したい。また、世界的に注目されているSDGsへの取り組みを、パートナー企業や各金融機関等と連携を図りながら成功させ、同社成長に取り込んでいく戦略が大きなカギを握るものと捉えている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫) <SI> 2022/12/07 16:27 注目トピックス 日本株 アジア投資 Research Memo(6):2022年3月期より3ヶ年の中期経営計画を推進(1) ■今後の方向性1. これまでの経緯日本アジア投資<8518>は、2022年3月期より3ヶ年の中期経営計画を推進しており、2年目を迎えている。前中計(2019年3月期~2021年3月期)では、「日本とアジアをつなぐ投資会社として少子高齢化が進む社会に安心・安全で質と生産性の高い未来を創ります」という新たな経営理念のもと、VC業界を取り巻く環境変化への対応や課題解決に向けて、投資方針(本体投資分)の抜本的な見直し※を行い、収益拡大に向けた足掛かりを築いてきた。今回の中計では、第2段階として収益やキャッシュ・フローの安定化を実現し、更なる成長に向けた投資を拡大するシナリオとなっている。※収穫期に入る既存のPE投資資産の売却により、利益・資金を確保するとともに、本体投資分については、「事業テーマ」を明確に持ち、そのテーマを軸に「企業への投資」(PE投資)と「事業への投資」(プロジェクト投資)を組み合わせる戦略的投資を推進し、安定収益の拡大と財務健全性向上を目指す。2. 中期経営計画の方向性と進捗(1) 全体像投資活動のコアバリューを「ベンチャー投資と特色有るアジアのネットワークを活用した日本とアジアの未来に貢献するSDGs投資」と位置付け、少子高齢化とポストコロナの日本の未来社会で生み出されるイノベーションから創出される事業を見出し、投資活動を通じて成長を支援する方針である。もっとも、基本的な投資方針に大きな変更はなく、戦略投資とプロジェクト投資によりバランスシートの早期改善と安定した収益の造成を図るとともに、ベンチャー投資により高い収益性の確保を目指す方向性である。また、SDGsを強く意識した投資活動に取り組むほか、日本とアジアをつなぐ投資活動も継続する考えだ。(2) SDGsへの取り組み事業テーマに沿って取り組むべき課題を特定し、具体的な投資機会へと結び付けていく考えである。(3) 行動計画とこれまでの進捗状況a) PE投資PE投資のうち、フィナンシャル投資(戦略投資以外のPE投資)では、引き続き、既存の資産を流動化し、資産の入れ替えを完了させる一方、新たな投資方針に基づく3本のファンドを組成する計画である。また、戦略投資では、既存の投資先を成長させ売却益を得るとともに、新規分野でのパートナー企業への戦略投資も行っていく。これまでの実績では、(株)あおぞら銀行との合弁会社が2本の新規ファンドを組成したほか、戦略投資先のリニューアブル・ジャパンが2021年12月に上場を果たし、第1号IPO案件となった。b) M&A仲介等国内外のパートナーと連携し、FA業務(M&A仲介)のパイプラインを積み上げ、収益を拡大していく。これまでの実績では、日中クロスボーダー投資の専門家集団であるAIS CAPITAL(株)と業務提携を締結している。c) プロジェクト投資・ディストリビューションセンター(物流施設)重点分野として投資残高を増やす計画である。また、プロジェクトの初期段階に投資し、その後、ミドルリスク・ミドルリターン志向のレイターステージの投資家を呼び込むことで、同社の採算性を向上させる戦略を描いている。これまでの実績では、合計4件の新規案件に投資実行した一方、合計2件が竣工し売却に至っている。また、戦略投資先同士の協業による、物流施設屋上のNon-FIT型太陽光発電システムへの投資も決定した。・ヘルスケア高齢者向け施設への投資は、採算性や立地環境を中心に厳選された案件に投資を行っていく。また、障がい者グループホームでは、銀行やリース会社とファンドを組成し、50棟の投資を実行する計画である。これまでの実績では、高齢者向け施設(2件)の開発が順調に進み、そのうち1件を売却した。また、障がい者グループホームについては、昭和リース等と組成したファンドによる2拠点が完成したほか、地域金融機関との連携等により合計13拠点(建設中を含む)のプロジェクトが進んでいる。・再生可能エネルギーベトナムでの屋根置きソーラーのほか、国内のバイオガスプロジェクトへの投資を拡大する方針である。国内のメガソーラープロジェクトは、順次売却して利益計上を図っていく。これまでの実績では、合計3件のメガソーラープロジェクトを売却している。・スマートアグリ(植物工場)リーフレタス工場は大手コンビニエンスストアを軸に販売先を開拓し、まずは4号工場まで事業規模を拡大する計画である。これまでの実績では、需要拡大に対応するため、工場を増設し生産能力を拡大している。・新規事業開発既存投資テーマの周辺分野やコロナ禍に対応した事業テーマから、将来の収益の柱となる新規事業を開発していく。これまでの実績では、ぴあグローバルエンタテインメント(株)との協業によるエンタテインメントコンテンツへの投資のほか、神奈川県藤沢市のシェアアトリア施設への投資などを実行している。(4) 数値計画FA業務や短期売却を前提としたプロジェクトへの投資を拡大することにより、PE投資に比べて比較的確実性の高いフィー収入やプロジェクトの収益を拡大し、持続可能な収益構造を目指す。ただ、この計画期間中は、既存資産の流動化を完了させるため、PE投資の収益が中心となるが、最終年度の2024年3月期にはフィー収益とプロジェクトの収益で管理コストを賄い、変動の大きなPE投資の収益により超過利益(アップサイド)を目指すシナリオとなっており、営業総利益で22億円、最終利益で8.5億円を計画している。2022年3月期及び2023年3月期はともに、予定していたIPOの期ずれや上場株式の売却益の下振れ等により、業績面では計画を下回って推移しているものの、最終年度の2024年3月期は、期ずれ分の売却を含めて、数値計画の達成を目指す考えである。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫) <SI> 2022/12/07 16:26 注目トピックス 日本株 アジア投資 Research Memo(5):2023年3月期の利益予想を減額修正 ■業績見通し1. 2023年3月期の業績予想日本アジア投資<8518>は、業績予想(ファンド連結基準)について、株式市場等の変動要因による影響が極めて大きく、合理的な業績予想が困難である事業特性であることから公表を行っていない。ただ、2023年3月期については、ある一定の前提をもとに策定した「従来連結基準による見込値」を参考情報として開示している。同社は、2022年11月14日に2023年3月期の期初見込値の修正を公表した。その結果、営業収益を前期比30.7%増の3,150百万円(期初見込比150百万円増)、営業利益を同270.6%増の320百万円(期初見込比430百万円減)、経常利益を同354.4%増の280百万円(期初見込比370百万円減)、親会社株主に帰属する当期純利益を同225.0%増の160百万円(期初見込比390百万円減)と、特に利益面で大幅な減額修正を行ったものの、前期比では増収増益を確保する見通しとなっている。下期についても、予定していたIPOの売却時期がロックアップ規制により来期となったことや既存の上場株式の株価が想定を下回っていることにより、上期同様、売却益が大きく下振れる一方、未上場株式の売却益※については大きく上振れる見込みとなったこと、プロジェクトの売却が順調であることから、営業収益は期初見込値を上回る見通しとなった。※IPOにより来期以降の売却を予定していた株式について、M&Aにより下期に売却することになったことが理由である。具体的には、障がい者グループホームプロジェクトのパートナー企業(戦略投資先)であるソーシャルインクルーであり、譲渡先からの強い引き合いによるもののようだ。一方、損益面では、利益率の高い上場株式の売却が来期にずれ込んだ影響に加え、引当金の増加や植物工場の黒字化の遅れによりなどにより、営業利益は期初の見込値を下回る見通しとなった。それでも、順調に進んでいるプロジェクトの売却益などにより前期と比べれば、大幅な増益を確保する見込みである。2. 弊社アナリストの見方修正後の通期予想を達成するためには、下期の営業収益2,481百万円、営業利益918百万円が必要となる。高いハードルのように見えるが、上期に売却済みであるプロジェクト(2件)の収益計上が下期に実現すること、IPOを予定していた株式のM&Aが成立し、下期の業績に寄与することを勘案すれば、ある程度裏付けがある数値として捉えることができる。もちろん、不安定な株式市場の動向を含め、先行きの不透明な外部環境を勘案すれば、予断を許さない状況にあることは変わりはないであろう。また、引当金の増加や植物工場の黒字化の遅れも気になるが、修正後の業績予想の中には一定の影響額を見込んでいるため、さらなる下振れのリスクは限定的であると見ている。注目すべきは、来期以降の業績の伸びや中期経営計画の達成に向けて、いかに資産の入れ替えやプロジェクト投資の積み上げを図っていくのかにある。足元の業績と同様、先を見据えた取り組みもフォローしていきたい。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫) <SI> 2022/12/07 16:25 注目トピックス 日本株 アジア投資 Research Memo(4):「プロジェクト投資」の売却や積み上げは順調に進展(2) ■日本アジア投資<8518>の主な活動実績3. 新規事業開発2022年4月に、ぴあ(株)を通じて、“NAKED FLOWERS FOR YOU”※というアート展に投資を実行し、エンタテインメントコンテンツに係わる事業に参入した。現在進めている中期経営計画に掲げる新規事業開発の1つとして位置付けられる。さらに、ぴあの100%子会社で、海外事業を担う、ぴあグローバルエンタテインメント(株)との協業により、国内コンテンツのアジアを中心とした世界展開を支援する計画であり、2022年10月には東南アジア最大級のJ-POPカルチャーイベント“Anime Festival Asia Singapore 2022”に実行委員として投資参画している。※アーティストの村松亮太郎氏が率いるコンテンツ制作会社のNAKED,INC.が総合演出する。マッピング、生花、オブジェ、香り、音楽等、様々な演出を通して、五感で楽しむ花の体験型庭園。有楽町マルイの8Fに都内初の常設展示施設としてオープンしている。また、(株)エンジョイワークス※との協業により、神奈川県藤沢市のシェアアトリエ施設への投資を実行した。元工場をシェアファクトリー・シェアアトリエ等へと改装・再生し、クリエイターやアーティストが活動できる施設として再生するプロジェクトである。※創業以来15年にわたり、地域の住民や事業者、地域金融機関や自治体と連携して、特徴のある様々な不動産開発・再生プロジェクトを行ってきた実績がある。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫) <SI> 2022/12/07 16:24 注目トピックス 日本株 アジア投資 Research Memo(3):「プロジェクト投資」の売却や積み上げは順調に進展(1) ■日本アジア投資<8518>の主な活動実績1. PE投資(1) ファンド運用残高(ファンド新設の進捗)同社グループが管理運営等を行っているファンドの運用残高は10ファンドで16,787百万円(前期末は10ファンドで16,463百万円)となった。1ファンド(ファンド総額1,801百万円)※を新規設立した一方、満期延長中であった1ファンド(同2,003百万円)が減少したが、為替変動に伴う外貨建てファンドの増加により、ファンド総額では前期末より若干増加した。※同社とあおぞら銀行の合弁会社であるAJキャピタル(持分法を適用していない関連会社)が運営する、国内中小企業の事業承継を支援する2号ファンドを設立。主にスモールキャップゾーン(企業価値で10億円未満)を投資対象とし、全国の地域金融機関との連携により中小企業の円滑な事業承継を目指す。なお、2017年6月に設立した運営中の1号ファンドは、7社に投資し、これまでに3社の事業承継に成功した。(2) 投資実績(戦略投資の実行、及び既存資産の流動化の進捗)同社グループの自己勘定及び同社グループが管理運営等を行っているファンドからの投資実行額については、6社に対して合計724百万円を行った。そのうち、プロジェクト投資のパートナー企業への戦略投資が2件※含まれており、戦略投資残高は1,590百万円(前期末は1,432百万円)と増加した。一方、フィナンシャル投資(戦略投資以外のPE投資)残高は、国内の上場株式及び中華圏の未上場株式の売却により5,836百万円(前期末は6,007百万円)に減少した。それらの結果、PE投資全体の投資残高は84社で7,427百万円(前期末は86社で7,440百万円)となっている。※新たな戦略投資先として、永代供養型樹木葬のプロデュースや宗教法人のDX支援を展開する(株)366(サンロクロク)、及び電動アシスト自転車のサブスクリプションサービス“NORUDE”(ノルーデ)の運営を手掛けるサイクループ(株)の2社(3) IPOの実績予定していた国内IPOの期ずれにより、上期の実績はなかった。同社では、プロジェクト投資のパートナー企業に対して、プロジェクトでの協業を通じた支援を行う「戦略投資」に注力しており、2022年9月時点においては、2021年12月22日に上場したリニューアブル・ジャパン(株)(戦略投資先のIPO第1号)を含め、9社に対して「戦略投資」を実行中であり、今後の動向が注目される。2. プロジェクト投資(1) 投資実績投融資実行額は8件(追加投資4件を含む)に対して合計600百万円となった。他方、プロジェクトの売却は3件※であったことから、2022年9月末の投融資残高は44件で6,191百万円(前期末は43件で6,344百万円)となった。そのうち13件がメガソーラー、5件がメガソーラー以外の再生可能エネルギー、26件がその他(スマートアグリ1件、ヘルスケア14件、物流施設5件、その他6件)となっている。※メガソーラー1件(福島県いわき市)のほか、物流施設1件(埼玉県日高市)、ヘルスケア施設1件(港区南青山)の合計3件を売却した。ただ、物流施設及びヘルスケア施設の収益計上は下期となっている。(2) 各事業の進捗a) メガソーラープロジェクト1件の売却により、2022年9月末のプロジェクト数は13件(15発電所)で合計30.7MW(前期末は14件で合計33.0MW)に減少した。また、そのうち売電中のプロジェクトは9件(11発電所)で合計22.2MWとなっている。b) メガソーラー以外の再生可能エネルギー2022年9月末のプロジェクト数は、木質バイオマス発電1件(2.0MW/売電中)、バイオガス発電3件※(合計1.13MW/売電中)、風力発電1件(最大25.2MW/企画中)の合計5件となっており、前期末からの変化はない。※そのうち1件は、バイオガス発電所のオペレーターに対する投資。c) スマートアグリ(植物工場)丹波篠山工場については、植物工場野菜(リーフレタス)への需要拡大に対応するため、生産能力拡大を目的とした増設(第2工場)を実施した(2021年9月に竣工済み)。増設部分が全面稼働すると、生産量が2.3倍(年間約470トン)にまで拡大する見込みである。工場の運営は戦略投資先である(株)モーベルファームが担っているが、特許に基づく技術力により、生菌数が極めて少なく高品質かつ無農薬の野菜の量産を実現し、品質に厳しい大手企業からも高い評価を得ている。ただ、現在のところ、生産量の拡大が計画に追い付かず、黒字化にも遅れが生じている。d) ヘルスケア障がい者グループホーム1件(香川県東かがわ市)の新規実行、及び高齢者施設1件(港区南青山)の売却により、2022年9月末のプロジェクト数は合計14件(高齢者向け施設1件、グループホーム13件)となっている。障がい者グループホームは、地域金融機関との連携強化により開発スピードが加速するとともに、対象地域も拡大してきた。そのうち2022年10月に茨城県古河市のグループホームが同社5件目となる営業を開始したほか、3件が期中に竣工している。また、昭和リース(株)、ユニ・アジアインベストメント(株)とのファンド組成によるグループホームへの投資(開発)についても2拠点が完成している。当ファンドが投資するグループホームは、24時間支援体制の「日中サービス支援型」となっているが、他のプロジェクトと同様、戦略投資先であるソーシャルインクルー(株)が運営を担っている。同社では、今後も他の金融機関との協業により、同様のスキームでのファンド出資を拡大する方針である。e) ディストリビューションセンター(物流施設)物流施設1件(埼玉県日高市)の売却により、2022年9月末のプロジェクト数は合計5件となった。プロジェクトの開発は、戦略投資先であるKICホールディングス(株)が行っている。また、KICホールディングスが開発した物流施設に、同じく戦略投資先であるスマートソーラーが開発したNon-FIT型の太陽光発電システムを設置する計画を進めている。物流施設の屋上に設置する太陽光パネルと、蓄電池、商用電源を複合的・効率的に運用することで、施設の利用電力の60%を太陽光で賄う、低環境負荷型の物流施設を実現することができる。同社の戦略投資先同士の協業が成功した事例として注目される。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫) <SI> 2022/12/07 16:23 注目トピックス 日本株 アジア投資 Research Memo(2):2023年3月期上期は上場株式売却の一部見合わせ等で計画を下回る ■決算概要1. 2023年3月期上期決算の概要日本アジア投資<8518>の2023年3月期上期の業績(ファンド連結基準)は、営業収益が前年同期比9.3%増の1,112百万円、営業損失が488百万円(前年同期は413百万円の損失)、経常損失が579百万円(同529百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失が671百万円(同651百万円の損失)となった。従来連結基準では、営業収益が前年同期比75.8%増の669百万円、営業損失が598百万円(前年同期は496百万円の損失)、経常損失が640百万円(同538百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失が655百万円(同643百万円の損失)と増収ながら損失幅が拡大した。また、期初見込値(及び8月12日公表の修正見込値)に対しても、営業収益、各利益ともに下回る着地となっている。従来連結基準による業績の概要は以下のとおりである。国内上場株式やプロジェクト投資(メガソーラープロジェクト1件)の売却が増収に寄与した。営業収益が見込値を下回る着地となったのは、予定していたIPOの期ずれによる影響や、株価低迷に伴う国内上場株式の一部売却の見合わせ、海外の未上場株式における売却手続きの遅れなどが理由である。また、損益面では、それらによる株式売却益の下振れに加え、投資先に対する引当金の増加※1や植物工場(プロジェクト投資)の黒字化の遅れ※2などが見込値を下回る要因となり、損失幅も拡大した。※1 事業進捗の大幅遅延先や、回収交渉が長期化した先に対する引当金を計上。※2 需要拡大に対応すべく、生産ラインを増設(2021年9月竣工)したものの、生産量の拡大が計画に追い付いていないことが原因のようだ。財務面(従来連結基準)では、「現金及び預金」の減少やメガソーラープロジェクトの売却に伴う「プロジェクト投資」の減少などにより、総資産は前期末比9.3%減の13,576百万円に縮小した。一方、自己資本も損失計上及び上場株式の含み益の減少※に伴い同9.8%減の7,019百万円に縮小し、その結果、自己資本比率は51.7%(前期末は52.0%)とほぼ横ばいで推移した。また、有利子負債残高は前期末比8.3%減の5,448百万円となり、将来の成長に向けた投資資金を確保した上で、着実な圧縮を図っている。※その他有価証券評価差額金の減少投資種類別の業績は以下のとおりである。(1) PE投資営業収益は前年同期比23.2%増の361百万円、営業総損失は159百万円(前年同期は1百万円の利益)と増収ながら減益(損失計上)となった。営業収益は、国内上場株式の売却が増加したことで増収を確保したものの、予定していたIPOの期ずれによる影響や、株価低迷に伴う国内上場株式の一部売却の見合わせ、海外の未上場株式における売却手続きの遅れなどにより、見込値を下回る着地となった。また、損益面でも、それらに伴う株式売却益の下振れに加え、想定を超える引当金の計上により減益となった。(2) プロジェクト投資営業収益は前年同期比254.0%増の308百万円、営業総利益は同121.6%増の113百万円と増収増益となった。営業収益は、メガソーラープロジェクト(1件)の売却に加え、前期に売却した物流施設の利益配当を受領したことで大幅な増収となった。一方、損益面では、それらを通じた収益の押し上げにより増益となったものの、植物工場の黒字化の遅れや新規プロジェクトの立ち上げに伴うコストの増加により見込値には届かなかったようだ。2. 2023年3月期上期の総括2023年3月期上期を総括すると、株価低迷等を背景とした株式売却益の下振れによるところが大きく、とりわけIPOにおけるロックアップ解除後の売却は、株価変動の影響を受けやすいことから、あらためてPE投資における見通しの難しさを感じる結果となった。また、投資先に対する引当金の増加や植物工場の黒字化の遅れについても今後の動向が気になるところである。一方、プロジェクト投資の売却が順調に進んでいるところはプラスの材料であるほか、IPOの期ずれによる影響についても来期以降の業績に寄与することを勘案すれば、ニュートラルに捉えることもできる。したがって、業績の変動要因についてはさまざまな角度から評価する必要があろう。また、活動面については、プロジェクトの進捗や新規事業への投資などで着実な進展を図ることができた。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫) <SI> 2022/12/07 16:22 注目トピックス 日本株 アジア投資 Research Memo(1):2023年3月期通期は減額修正も、前期比では増収増益の見通し ■要約1.会社概要日本アジア投資<8518>は、日本とアジアにまたがる独立系の総合投資会社として、プライベートエクイティ投資(以下、PE投資)や再生可能エネルギー等のプロジェクト投資を手掛けている。1981年に(公社)経済同友会を母体として設立され、豊富な投資経験とブランド、ネットワーク、人材、事業パートナーなどの事業基盤に強みがある。革新的な技術やビジネスモデルを持ち、高い成長力を有するベンチャー企業及び中堅・中小企業等への投資や成長支援を通じて、日本とアジアの両地域における産業活性化や経済連携の拡大などに貢献をしてきた。同社グループが管理運用等を行っているファンド運用残高は16,787百万円(10ファンド)、同社グループの自己資金及び運用ファンドによる投融資残高は13,618百万円となっている(2022年9月末時点)。PE投資については、VC業界を取り巻く環境が変化するなかで、新たなファンド設立に苦戦しており、投資残高もほぼ横ばいで推移している。ただ、ここ数年はプロジェクト投資に積極的に取り組み、パートナー企業への戦略投資(PE投資)でも成果をあげている。2. 2023年3月期上期の業績2023年3月期上期の業績(ファンド連結基準※)は、営業収益が前年同期比9.3%増の1,112百万円、営業損失が488百万円(前年同期は413百万円の損失)となった。※同社は2007年3月期より、「投資事業組合に対する支配力基準及び影響力基準の適用に関する実務上の取扱い」を適用し、同社グループが管理運用する投資事業組合等を連結範囲に加えるファンド連結基準に移行している。ただ、ファンド連結基準は同社以外の外部出資者の持分が含まれていることやファンドごとの財務方針が反映されるところに注意する必要がある。同社では、投資家からの要望に応じて従来連結基準も同時に開示しているが、弊社でも、より実態を示しているとの判断から従来連結基準による分析を行っている。従来連結基準では、営業収益が前年同期比75.8%増の669百万円、営業損失が598百万円(前年同期は496百万円の損失)と増収ながら損失幅が拡大した。また、期初見込値(及び8月12日公表の修正見込値)に対しても、営業収益、各利益ともに下回る着地となっている。国内上場株式の売却やプロジェクト投資(メガソーラープロジェクト1件)の売却が増収に寄与した。営業収益が見込値を下回った主な要因は、予定していたIPOの期ずれによる影響のほか、株価低迷に伴う国内上場株式の一部売却の見合わせなどが理由である。さらに損益面では、それらに伴う営業収益の下振れに加え、投資先に対する引当金の増加や植物工場(プロジェクト投資)の黒字化の遅れなどにより損失幅が拡大した。一方、活動面については、プロジェクト投資の売却や積み上げ、新規事業開発などでも一定の成果をあげることができた。3. 2023年3月期の業績見通し同社は、業績予想(ファンド連結基準)について、株式市場等の変動要因による影響が極めて大きく、合理的な業績予想が困難である事業特性であることから公表を行っていない。ただ、2023年3月期については、ある一定の前提をもとに策定した「従来連結基準による見込値」を参考情報として開示している。同社は、2022年11月14日に2023年3月期の期初見込値の修正を公表した。その結果、営業収益を前期比30.7%増の3,150百万円(期初見込比150百万円増)、営業利益を同270.6%増の320百万円(期初見込比430百万円減)と、特に利益面で大幅な減額修正を行ったものの、前期比では増収増益を確保する見通しとなっている。下期についても、予定していたIPOの売却時期がロックアップ規制により来期となったことや、既存の上場株式の株価が想定を下回っていることにより、売却益が大きく下振れる一方、未上場株式の売却益については上振れる見込みとなったこと、プロジェクトの売却が順調であることから、営業収益は期初見込値を上回る見通しとなった。損益面では、利益率の高い上場株式の売却が来期にずれ込んだ影響に加え、引当金の増加や植物工場の黒字化の遅れなどにより、営業利益は期初の見込値を下回る想定となっている。それでも、順調に進んでいるプロジェクトの売却益などにより前期との比較では、大幅な増益を確保する見通しである。4. 今後の方向性(中期経営計画の概要)同社は、2022年3月期より3ヶ年の中期経営計画を推進している。投資活動のコアバリューを「ベンチャー投資と特色有るアジアのネットワークを活用した日本とアジアの未来に貢献するSDGs投資」と位置付け、少子高齢化とポストコロナの日本の未来社会で生み出されるイノベーションから創出される事業を見出し、投資活動を通じて成長を支援する方針である。もっとも、基本的な投資方針に大きな変更はなく、戦略投資とプロジェクト投資によりバランスシートの早期改善と安定した収益の造成を図るとともに、ベンチャー投資により高い収益性の確保を目指す内容となっている。最終年度となる2024年3月期にはフィー収益とプロジェクトの収益で管理コストを賄う一方、変動の大きな「PE投資」の収益により超過利益(アップサイド)を狙うシナリオであり、営業総利益で22億円、最終利益で8.5億円を計画している。■Key Points・2023年3月期上期の業績(従来連結基準)は、株価低迷に伴う上場株式売却の一部見合わせ等により計画を下回る着地・2023年3月期の利益予想についても減額修正。IPOの売却時期の期ずれや株価低迷による株式売却益の下振れが主因・一方、活動面ではプロジェクト投資の売却や積み上げ、新規事業開発などが着実に進展・2022年3月期より中期経営計画を推進。前中計の投資方針をさらに推し進めるとともに、SDGsを強く意識した投資活動に取り組む方針(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫) <SI> 2022/12/07 16:21 注目トピックス 日本株 オプティム---「OPTiM Geo Scan」を活用し資材の体積計測における作業人員を最大67%削減 オプティム<3694>は6日、東亜建設工業<1885>のガット船における石材などの体積計測に、「OPTiM Geo Scan」を活用する試験運用を行ったと発表。体積計測の作業人員を最大67%削減可能になることがわかった。「OPTiM Geo Scan」は、スマートフォンまたはタブレットで土構造物などの測量対象をスキャンすることで、土木現場で求められる高精度な3次元データを生成可能なアプリケーション。東亜建設工業では、埋立地の造成や防波堤の築造など、さまざまな港湾工事を行っており、工事で使われる石材などはガット船で運搬され、運搬後の検収業務として、船上で石材などの体積計測が行われる。従来の体積計測は、2~3人でポールやテープを使って行われていた。体積計測は、現場によっては毎日のように実施されるうえ、日程面で臨機応変な対応が求められるため、複数人の作業員が現場に動員されることが大きな負担になっていた。今回の試験運用の結果、ガット船における石材などの体積計測において、従来の方法と比較して、同等の作業時間で、作業人員を最大3名から1名に削減できることがわかった。これにより、作業員が体積計測のために現場に赴くことを減少させることができ、現場の働き方改革への寄与が期待されるとしている。 <SI> 2022/12/07 16:06 注目トピックス 日本株 アンジェス Research Memo(13):遺伝子医薬のグローバルリーダーを目指す ■今後の成長戦略アンジェス<4563>は経営理念として、「治療法がない疾病分野や難病・希少疾患などを対象にした革新的な遺伝子医薬の開発・実用化を通じて、人々の健康と希望にあふれた暮らしの実現に貢献する」ことを掲げ、長期ビジョンとして「遺伝子医薬のグローバルリーダー」になることを目指している。黒字化の時期に関しては、開発パイプラインの進捗状況次第となる。特に、米国でHGF遺伝子治療用製品の開発に成功した場合には、数十億円規模のマイルストーン収入(既に受領した契約一時金含む)が得られる見通しとなっているため、その動向には注目しておきたい。Emendoを子会社化したことで中期的に研究開発費の増加が予想されるが、Emendoが開発を進めるパイプライン導出の可能性や、先進的なゲノム編集ツール「OMNI プラットフォーム」のライセンス供与、IPOの実施などによって資金負担の軽減を図りながら早期の収益化を目指すものと考えられる。今後の成長戦略としては、グローバル化に向けた組織強化や人財育成、並びに技術プラットフォームの深化と拡大に取り組みながら、1)「コラテジェン(R)」の製品価値最大化、2)パイプラインの継続的拡大、3)欧米を中心としたグローバル展開の推進、4)検査事業も含めた希少遺伝性疾患への取り組み強化などに注力し、企業価値の向上を目指す方針だ。希少遺伝性疾患のオプショナルスクリーニング検査事業を行うことで、希少遺伝性疾患領域での新たな開発品候補を見出し、Emendoの「OMNIプラットフォーム」を活用して治療薬の開発に成功すれば、「遺伝子医薬のグローバルリーダーを目指す」と言う同社の長期ビジョンの実現に一方近づくことになるだけに、今後の開発動向が注目される。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <SI> 2022/12/07 15:53 注目トピックス 日本株 アンジェス Research Memo(12):Emendoの事業運営資金の調達等を目的に新株予約権を発行 ■業績動向3. 財務状況と新たな資金調達についてアンジェス<4563>の2022年12月期第3四半期末の財務状況を見ると、総資産は前期末比5,560百万円減少の39,895百万円となった。流動資産では、「コラテジェン(R)」の原薬製造に伴い原材料及び貯蔵品が317百万円増加した一方で、現金及び預金が7,847百万円減少したほか、新型コロナウイルス感染症(武漢型)向けワクチンの製造が終了したことに伴い前渡金が1,273百万円減少した。固定資産では円安の進展に伴いのれんが3,493百万円増加した。負債は前期末比243百万円増加の7,064百万円となった。新型コロナウイルス感染症に対するワクチン開発プロジェクトにかかる助成金の入金により前受金が644百万円増加した一方で、買掛金が137百万円、未払金が170百万円それぞれ減少した。純資産は前期末比5,803百万円減少の32,830百万円となった。のれんに係る為替変動の影響により為替換算調整勘定が4,403百万円増加した一方で、親会社株主に帰属する四半期純損失10,194百万円の計上により利益剰余金が減少した。同社は2022年10月に第三者割当による新株予約権(行使価額修正条項付)を発行した。潜在株式数は3,800万株(希薄化率24.8%)、下限行使価額は124円に設定している。資金調達の主な目的は、1)Emnedoの2023年12月期の運営資金、2)HGF遺伝子治療用製品のグローバル展開に対応可能な製法、生産プロセスの効率化を企図する研究開発費用、3)新規製品・プロジェクトの獲得による事業基盤の強化、既存開発品の適応症拡大・グローバル展開のための資金調達、となっている。Emendoについてはまだ開発ステージのため資金調達が必要で、同社で調達した資金を充当していくことになる。なお、前述の通り臨床試験段階に移行すればIPOを行う道筋が開け、株式市場から開発資金を調達していくことも可能になると見られる。また、新規製品・プロジェクトの獲得による事業基盤の強化のなかには、ACRLにおける検査対象疾患の拡大や検査レベルの向上に向けた設備投資などの費用も含まれている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <SI> 2022/12/07 15:52 注目トピックス 日本株 アンジェス Research Memo(11):2023年12月期は研究開発費が減少する見通し ■業績動向2. 2022年12月期の業績見通しアンジェス<4563>の2022年12月期の業績見通しは、営業外収益に計上している新型コロナウイルス感染症予防DNAワクチン開発に係る補助金収入の計上時期が流動的なことから非開示としており、合理的な算出が可能となり次第速やかに開示する方針としている。研究開発費については前期とほぼ同等の100億円規模となる見込みで、第4四半期の売上高は第3四半期までとほぼ同様の水準が続くものと予想される。また、2023年12月期の研究開発費については、Emendoでの開発費増加が見込まれる一方で、国内の新型コロナウイルス感染症(武漢型)向けワクチンやHGF遺伝子治療用製品の「安静時疼痛」を追加適応とした開発プロジェクトが終了したことにより、全体では前期比で30~40億円程度の減少が見込まれる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <SI> 2022/12/07 15:51 注目トピックス 日本株 アンジェス Research Memo(10):為替差益や補助金収入の計上により経常損失がやや縮小 ■業績動向1. 2022年12月期第3四半期累計業績の概要アンジェス<4563>の2022年12月期第3四半期累計の売上高は前年同期比3.1%増の45百万円、営業損失は12,455百万円(前年同期は12,163百万円の損失)、経常損失は10,062百万円(同11,823百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失は10,194百万円(同11,952百万円の損失)となった。売上高については、「コラテジェン(R)」が前年同期比23百万円減の7百万円となったものの、2021年4月に開設したACRLにおけるオプショナルスクリーニング検査の手数料収入は同24百万円増の38百万円となった。「コラテジェン(R)」に関しては2021年までに田辺三菱製薬向けに一定量を出荷したことによる反動減となっている。売上原価は検査事業に関連した費用の増加により73百万円を計上した。研究開発費は8,527百万円と前年同期比37百万円の増加となった。新型コロナウイルス感染症(武漢型)向けワクチンの臨床試験が完了したことにより、研究用材料費が同464百万円減少したほか消耗品費が228百万円減少した一方で、外注費が473百万円、Emendoの研究開発人員増加により給与手当が206百万円それぞれ増加した。研究開発費の4~5割を占める新型コロナウイルス感染症(武漢型)向けワクチンの開発費が減少した一方で、Emendoの研究開発費や「AV-001」の共同開発負担費用が増加した格好だ。販管費は3,899百万円と前年同期比221百万円増加した。為替の円安進行によりEmendoののれん償却額が2,106百万円と同323百万円増加したことが主因だ。一方で、支払手数料が同91百万円減少した。また、営業外収支は同2,052百万円改善した。円安の進行で為替差益が同1,646百万円増加したほか、補助金収入が同338百万円増加したことによる。なお、特別損失としてHGF遺伝子治療用製品の国内における「安静時疼痛」の追加適応を目指した第3相臨床試験を中止したことに伴い、減損損失104百万円を特別損失として計上している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <SI> 2022/12/07 15:50 注目トピックス 日本株 アンジェス Research Memo(9):新たに導入した「ゾキンヴィ」は販売承認申請に向けた準備を進める ■主要開発パイプラインの動向5. ゾキンヴィアンジェス<4563>は2022年5月に米バイオ医薬品企業のアイガーと、希少遺伝性疾患で早老症とも呼ばれるHGPS及びPLを適応症とした治療薬「ゾキンヴィ」について、日本における独占販売契約を締結した。今後、同社が日本の薬事承認取得を担当し、承認取得後にアイガーから製品を仕入れて販売していくことになる。なお、契約一時金及び開発進捗に応じたマイルストーンの支払総額は最大150万米ドルとなっている。HGPS及びPLは、患者数が世界でも合わせて600人程度と極めて少ない致死性の高い遺伝的早老症のことで、HGPSはLMNA遺伝子の点突然変異により、ファルネシル化※された異常タンパク質であるプロジェリンが生成されることにより発症する。また、PLはLMNAやZMPSTE24遺伝子の変異によりプロジェリンとは異なるファルネシル化タンパク質を生成し老化を促進する。「ゾキンヴィ」はHGPSやプロセシング不全性早老性PLの小児及び若年成人において、核膜と強固な結合を形成するファルネシル化した欠陥タンパク質(細胞の不安定化と早期老化を惹起)の蓄積を阻害する作用を持つ。臨床試験の結果ではHGPS患者の死亡率を60%減少させ、平均生存期間を2.5年延長させることができたとしている。また、安全性についても多くのPL患者が10年以上にわたって「ゾキンヴィ」治療を継続しており、副作用も嘔吐、下痢、悪心等、その大半が軽度または中等度のものとなっている。2020年11月に米国で販売承認されたのに続き、2022年7月には欧州でも販売承認を取得したことから、国内でも承認される可能性は高いと見られる。※タンパク質に行われる修飾の一種。ファルネシル化により、タンパク質の末端には疎水性のプレニル基が結合する。末端が疎水性になったタンパク質は、その疎水性の部分を細胞膜内に挿入するため、タンパク質は細胞膜(細胞の内側)につなぎ留められる。つまり、ファルネシル化されたタンパク質は、細胞の内側の細胞膜上に存在するようになる。難病情報センターの資料によると日本におけるHGPSの患者数は10人弱と極めて少ないことから、薬事承認を得るために米国の臨床試験データを援用することにしている(同臨床試験には3人の日本人データが含まれる)。同社は過去にも希少遺伝性疾患であるムコ多糖症VI型治療薬「ナグラザイム(R)」の独占販売契約を米BioMarin Pharmaceutical Inc.と2006年12月に締結し、販売してきた実績がある(契約解消に伴い2019年12月期第2四半期で販売終了)。当時の経緯を辿ると販売契約締結後、2007年6月にオーファン・ドラッグ※指定を受け、同年8月に米国での臨床試験データを援用して販売承認申請を行い、2008年3月にスピード承認されている。「ゾキンヴィ」についても、有効な治療法がなく死亡リスクの高い疾患(平均寿命14.5歳)のため、同様の手順で販売承認を取得するものと予想される。※オーファン・ドラッグは希少疾病用医薬品のことで、指定基準としては患者数が5万人未満と少なく、治療法が未だ確立されておらず代替する医薬品がないこと、またはすでにある治療薬に対して非常に高い有効性または安全性が期待される医薬品であることなどが挙げられる。オーファン・ドラッグ指定を受けると、研究開発費用の助成金が交付されるほか、優先審査を受けることが可能となる。なお、売上規模に関しては薬価や投与患者数次第ではあるものの、米国での販売価格を参考にすれば「ナグラザイム(R)」と同等かやや上回る規模になると見られる(「ナグラザイム(R)」のピーク時売上高は2018年12月期382百万円)。また、同社は薬事承認取得と並行して、新生児のオプショナルスクリーニングを行うACRLで、HGPSやPLの検査を実施する準備を進める予定である。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <SI> 2022/12/07 15:49 注目トピックス 日本株 アンジェス Research Memo(8):高血圧DNAワクチンは改良も選択肢に入れ、今後の開発方針を決定する ■アンジェス<4563>の主要開発パイプラインの動向4. 高血圧DNAワクチンプラスミドDNA製法を用いたワクチンの1つとして、高血圧症を対象としたDNAワクチン(AGMG0201)の開発を進めている。同ワクチンは大阪大学の森下竜一(もりしたりゅういち)教授の研究チームにより基本技術が開発されたもので、血圧の昇圧作用を有する生理活性物質アンジオテンシンIIに対する抗体の産生を誘導し、アンジオテンシンIIの作用を減弱させることで長期間安定した降圧作用を発揮するワクチンとなる。現在販売されている主な高血圧治療薬としてはARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬(経口薬))があるものの、毎日服用する必要があるため、長期的に見た患者1人当たりの治療コストは高くなる。このため、発展途上国では医療経済上の問題から使用が限定的となっている。同社が開発するDNAワクチンは既存薬よりも高薬価になると想定されるが、薬効の持続期間次第ではトータルの治療コストが既存治療薬を下回る可能性もある。同社がオーストラリアで2018年4月から実施した第1相/前期第2相臨床試験(症例数24例)の結果については、2021年10月17日付でHypertension Researchに論文として掲載された。要旨としては、安全性に問題がなく、DNAワクチンを投与した患者では、特に高用量群で抗アンジオテンシンII抗体の産生が多く認められ、全体として同ワクチンに対する忍容性は良好であるとの結果であった。ただ、被験者ごとに抗体価にバラつきがあり、今後分析する必要があるとしており、血圧降下作用といった有効性についても別の形でデータをまとめる予定である。同社では、抗体の産生量を増やすために、投与量をさらに増量して臨床試験を実施するなど、今後の開発方針について2023年春までに明らかにしたい意向だが、弊社では開発を継続するにしても第1相/前期第2相臨床試験を再度実施する可能性が高いと見ている。なお、高血圧DNAワクチンに関しては2020年6月に日本で、7月に米国でそれぞれ製剤特許及び用途特許を取得している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <SI> 2022/12/07 15:48 注目トピックス 日本株 アンジェス Research Memo(7):椎間板性腰痛症を対象としたNF-κBデコイオリゴDNAは開発戦略を策定中 ■アンジェス<4563>の主要開発パイプラインの動向3. NF-κBデコイオリゴDNANF-κBデコイオリゴDNAは、人工核酸により遺伝子の働きを制御する「核酸医薬」の一種で、生体内で免疫・炎症反応を担う「転写因子NF-κB」に対する特異的な阻害剤となる。主にNF-κBの活性化による過剰な免疫・炎症反応を原因とする疾患の治療薬として、研究開発を進めている。● 椎間板性腰痛症(注射投与)椎間板性腰痛症の患部にNF-κBデコイオリゴDNA(開発コードAMG0103)を注射投与することによって、慢性腰痛に対する鎮痛効果とともに、椎間板変性に対する進行抑制や修復を促す効果が期待される。新タイプの腰痛治療薬として2018年2月より米国で後期第1相臨床試験(25症例)を実施し、全症例の投与後12ヶ月間におけるトップラインデータを2021年4月に発表した。発表資料によれば、12ヶ月間の観察期間を通じて重篤な有害事象は認められず高い安全性が確認されたこと、有効性についても投与早期に腰痛が大幅に軽減し、腰痛の抑制効果も投与12ヶ月後まで継続したことが確認されたとしている。また、患者自身からも高い満足度が得られており、良好な結果が得られたものと同社では評価している。治験責任医師からも、「AMG0103は素晴らしい安全性プロファイルを有し、12ヶ月にわたり腰痛を有意に軽減しており、慢性椎間板性腰痛症に苦しむ患者に対して画期的治療薬となる可能性があると考えています。さらに、腰痛の軽減に加えて、椎間板の高さを回復させる可能性が示唆されたことは注目に値します。」とのコメントを得ている。現在、慢性椎間板性腰痛症に関しては、一般療法としてステロイド注射(対処療法)が使用されることが多いが、同治療薬との比較においても同等以上の効果が得られたとしている。ステロイドが一時的な対処療法であるのに対してAMG0103は炎症を抑制する効果があり、その結果として腰痛の症状が改善することが理由と考えられる。椎間板性腰痛症は慢性的な腰痛疾患で特に中高年層に多く、米国の患者数は577万人程度と見られている。米国では治療法として椎間板内注射が一般的であり、手技に習熟している医師も多くAMG0103の導入が進む環境は整っている。ただ、価格面を考えると鎮痛効果だけでは既存治療法と差別化が難しいため、椎間板変性に対する進行抑制効果や修復促進効果などが今後の臨床試験で確認できれば開発成功に向けて大きく前進するものと思われる。第2相臨床試験では米国だけでなく欧州や日本での実施も新たな検討項目として上がっているもようで、トップラインデータの発表を受けて国内外の製薬企業からの注目度も高まっており、第2相臨床試験の開始前にライセンス契約が決まる可能性もある。ただ、まだ症例数も少ないことから、第2相臨床試験を実施しさらなるデータを蓄積したうえで契約交渉に臨む可能性が高いと弊社では見ている。同社では、今後の開発方針を2023年春までに明らかにしたい意向を示している。なお、AMG0103の開発に成功すれば、慢性椎間板性腰痛症に使用される世界初の核酸医薬品となる可能性がある。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <SI> 2022/12/07 15:47 注目トピックス 日本株 アンジェス Research Memo(6):新型コロナDNAワクチンは経鼻投与製剤での開発を目指し共同研究を開始 ■主要開発パイプラインの動向2. 新型コロナウイルス感染症予防DNAワクチン及び治療薬(1) 新型コロナウイルス感染症予防DNAワクチンアンジェス<4563>は2022年9月7日付で新型コロナウイルス感染症(武漢型)向けDNAワクチンの開発中止と合わせて、変異株(オミクロンBA.5等)に対する改良型DNAワクチンの経鼻投与製剤についての研究開始を発表した。新型コロナウイルス感染症(武漢型)向けDNAワクチンについては、高用量製剤での臨床試験を2021年より行ってきたものの主要評価項目である、12週後のSARS-CoV-2のシュードウイルスに対する中和活性及び12週後のSARS-CoV-2スパイク(S)糖タンパク質特異的抗体価が期待する水準に達しなかったため中止を決定した。なお、初期のワクチンの開発中止により、これまで共同研究に参画してきた大阪大学及びタカラバイオ、ダイセル、EPSグループ、ファンペップ、新日本科学等との初期のワクチンに関する共同研究も終了している。一方で、これまでの研究開発の知見を生かして、プラスミド※の発現効率や導入効率の向上等、プラットフォームの見直しを行い、将来発生する可能性のある新たな変異株への対応も視野に入れ、安全でより効果の高い改良型DNAワクチンの経鼻投与製剤の開発を進めるべく、スタンフォード大学と共同研究契約を締結した。同大学が開発した「Gold-Nanostar Octopod」技術を活用して開発を進めていく。同技術を用いて作製した経鼻投与ワクチン(武漢型の遺伝子配列を持つプラスミドDNA)でマウス実験を実施したところ、ワクチン投与後に血清中の抗体(IgG、IgA、IgM)上昇が確認されたほか、β株等の変異株に対しても中和活性を示したこと、組織学的な検討によりリンパ節・脾臓においてスパイクタンパク質に対する細胞性免疫反応、液性免疫反応が確認されたことなどから、同技術を用いて研究開発を行う価値があると判断した。共同研究の期間としてはおおむね3年程度、研究費は約3百万ドルを見込んでいる。コロナワクチンの主流となっているmRNAワクチンは保存温度の条件がマイナス70℃以下だが、DNAワクチンはマイナス20℃以下でよく、また凍結乾燥剤にすれば室温での保存も可能となる。このため、冷蔵設備や低温物流等のインフラが整備されていない発展途上国で需要があると同社では見ており、順調に開発が進めばライセンス契約も視野に入れ海外で臨床試験を行うことを想定している。※プラスミド(plasmid)とは、大腸菌などの細菌や酵母の核外に存在し、細胞分裂によって娘細胞へ引き継がれるDNA分子の総称。一般的に環状の2本鎖構造を取り、染色体のDNAからは独立して複製を行う。その独立した遺伝子複製機構から、遺伝子組み換え操作のベクターとして創薬などで利用されている。このプラスミドを大腸菌に導入し、大腸菌の大量培養により目的のDNAを増幅する。プラスミド製法では、HGF遺伝子治療用製品「コラテジェン(R)」が上市済みであり、製法そのものについての安全性は確認されている。なお、今まで実施してきた新型コロナウイルス感染症(武漢型)向けワクチンの研究開発費用は国の補助金等で賄われており、入金された補助金は監査が完了した分を営業外収益として計上する格好となっている。2021年12月期に1,399百万円を計上し、2022年12月期第3四半期累計では118百万円を計上した。残りの金額については前受金として流動負債に計上しており、2022年12月期第3四半期末時点で5,764百万円となっている。今後、開発プロジェクトの実績報告書を関係当局に提出し、監査・承認を経て補助金等の金額が確定(補助金収入として計上)することになる。関係当局の年度末が3月のため、残額分の一部は計上時期が2023年12月期にずれ込む可能性もある。(2) 新型コロナウイルス感染症治療薬「AV-001」の開発状況カナダのVasomuneとの共同開発品である「AV-001」(Tie2受容体アゴニスト化合物)※は、もともと2018年より全世界を対象に急性呼吸不全など血管の不全を原因とする疾患を対象とした治療薬として共同開発を進めてきたものだが、中等度から重度の新型コロナウイルス感染症肺炎患者向けの治療薬としても効果があると判断し、2020年より米国で臨床試験を開始した。開発状況は、2022年1月より米国で前期第2相臨床試験を開始し、今のところ順調に登録が進んでいる(目標症例数は約120例)。ただ、新型コロナウイルス感染症の変異株に関しては重篤な肺炎を発症する感染者が急減している状況を鑑み、今後は急性呼吸窮迫症候群を含めた肺疾患への対応を検討する方針である。※同社は2018年7月にVasomuneと、急性呼吸不全など血管の不全を原因とする疾患を対象とした「AV-001」の全世界を対象とした共同開発契約を締結した。開発費用と将来の収益を折半し、また、同社がVasomuneに対して契約一時金及び開発の進捗に応じたマイルストーンを支払う契約となっている。急性呼吸窮迫症候群の患者数は米国だけで26万人いる。なお、「AV-001」の開発にあたっては、米国及びカナダの政府関係機関からVasomuneが助成金を獲得しており、開発費負担分に応じて同社もVasomuneから補助金の一部を受領している。2022年12月期第3四半期累計では補助金収入として251百万円(2021年12月期は100百万円)を営業外収益として計上した。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <SI> 2022/12/07 15:46 注目トピックス 日本株 アンジェス Research Memo(5):HGF遺伝子治療用製品は国内での本承認取得準備と米国での臨床試験を実施中 ■主要開発パイプラインの動向アンジェス<4563>の主要開発パイプラインには、HGF遺伝子治療用製品、新型コロナウイルス感染症DNAワクチン、NF-κBデコイオリゴDNA、高血圧DNAワクチン等がある。各パイプラインの概要と進捗状況、今後の開発方針は以下のとおり。1. HGF遺伝子治療用製品HGF遺伝子治療用製品は血管新生作用の効果を活用して、閉塞性動脈硬化症のなかでも症状が進行した慢性動脈閉塞症向け治療薬として開発が進められてきた。慢性動脈閉塞症とは、血管が閉塞することによって血流が止まり、組織が潰瘍・壊疽を起こして最終的に下肢切断を余儀なくされることもある重篤な疾患である。治療法としてはカテーテル治療や血管バイパス手術などが行われているが、手術ができない状態になっているケースも多く、新たな治療法の開発が望まれていた。HGF遺伝子治療用製品は、血管が詰まっている部位周辺に注射投与することによって新たな血管を作り出し、血流回復によって潰瘍の改善を図るというもの。国内では2019年3月に、「標準的な薬物治療の効果が不十分で、血行再建術の施行が困難な慢性動脈閉塞症における潰瘍の改善」を効能、効果または性能として、条件及び期限付販売承認を取得し※、同年9月より「コラテジェン(R)筋注用4mg」として提携先の田辺三菱製薬を通じて販売を開始した。用法は、虚血部位に対して筋肉内投与を4週間間隔で2回行い(4mg/回)、症状が残存する場合には4週間後に3回目の投与を行うことも可能となっている(薬価は約61万円/1瓶(4mg))。※本承認の条件は、承認日から5年以内に、1)重症化した慢性動脈閉塞症に関する十分な知識・治療経験を持つ医師のもとで、創傷管理を複数診療科で連携して実施している施設で本品を使用すること、2)条件及び期限付承認後に改めて行う本品の製造販売承認申請までの期間中は、本品を使用する症例全例を対象として製造販売後承認条件評価を行うこと、の2項である。条件及び期限付承認となるため、製造販売後承認条件評価を実施※1し、同結果をもって本承認の申請を行うことになる。同社では2021年末に必要症例数の患者登録を完了しており、1年間の経過観察期間を経てデータを収集、評価・分析を行う。2023年前半頃にも判明する結果が良好であれば本申請を行い、2024年の本承認取得を目指す。市販後調査についてはデータの集積を目的に今後も継続する予定である。なお、同時並行で進めていた「安静時疼痛」の適応追加を目的とした第3相臨床試験については、プラセボ群との比較において有意差が得られなかったため、開発中止を決定した(2022年9月7日発表)。同社では適応追加により製品価値を高めたうえで薬価の引き上げを目指していたが、「潰瘍の改善」のみで本承認取得を目指すことになる。ただ、薬価の引き上げ交渉を行う方針に変わりはない。国内の慢性動脈閉塞症の患者数は約80万人だが、このうち「コラテジェン(R)」が使用可能な患者数※2は0.5~2万人程度と同社では推計している。※1 5年以内に120症例のデータを収集し、非投与群(プラセボ)80症例との比較を行い有効性の確認を行う。※2 投与対象肢の動脈に閉塞又は狭窄部位が認められ、かつ潰瘍を有していること(平均10cm程度、最大約30cmまで)。血行再建術の適応が困難なこと。既存の内科的治療や処置による症状改善が認められないこと。血行動態の指標が一定水準以下であること等。一方、米国では2020年2月より後期第2相臨床試験がスタートしている。2019年6月に閉塞性動脈硬化症のうち、包括的高度慢性下肢虚血についてのグローバル治療指針※が公表され、同治療指針を踏まえて下肢切断リスクの低いステージ1~2の患者を対象に臨床試験を進めている。国内の臨床試験は症状が比較的重い患者が対象であったが、米国では軽度な患者を対象としているのが特徴だ。主要評価項目は「潰瘍の改善」と「血流の改善」としており、治験プロトコルはHGF遺伝子治療用製品またはプラセボを4週間の間隔を置いて4回投与するというもの。被験者を4mg/回、8mg/回、プラセボの3群に分けて各20症例のデータを収集する。※グローバル治療指針(Global Vascular Guidelines;GVG):包括的高度慢性下肢虚血(CLTI:Chronic limb-threatening ischemia)の初期段階から適切な治療マネージメントを提供することで患者のQOLの向上を図ることを推奨している。本ガイドラインでは臨床ステージを4段階(clinical stage1~4)に分け、それぞれのステージにおける治療方針が示されており、今回の試験では下肢切断リスクの低いclinical stage1と2を対象としている。このステージの患者には、まず潰瘍の治療を考慮することがガイドラインで推奨されており、該当する患者数は閉塞性動脈硬化症患者778万人のうちの約60%を占めると専門家は指摘している。被験者の登録状況は2022年10月時点で90%が完了するなど順調に進んでおり、1年間の経過観察を経て2024年前半には試験結果を発表できる見通しだ。試験結果が良好であれば、RMAT※指定制度を用いて早期承認を目指すことも選択肢の1つとして考えられる。米国における閉塞性動脈硬化症の患者数は日本と比べて格段に多いだけに、今後の開発動向が注目される。※RMAT(Regenerative Medicine Advanced Therapy):重篤な疾患を開発対象とした再生医療の先端治療法で、臨床試験で一定の効果を示したものに対する指定制度。RMAT指定を受けた品目は優先審査と迅速承認の機会を得ることができる。そのほか、2019年2月にイスラエルのKamadaとイスラエルを対象国とした導出(独占的販売権許諾)に関する基本合意書を締結しており、現在はKamadaが規制当局と協議を進めるなど申請準備段階にある。また、2020年10月にはスペシャルティ薬(特定疾患専門薬)を扱うトルコのEr-Kimと、トルコでの導出に関する基本合意書を締結した。今後、Er-Kimが薬事承認を取得後に独占販売権を締結し、販売、マーケティング、現地での医療活動に関する役割を担っていく。薬事承認に先立って、Named Patient Program※を活用したトルコでの販売を開始する予定となっているが、コロナ禍が続いたこともあり現時点では新たな動きは見られていない。※Named Patient Programとは、特定の患者に代わって、医師からの要求に応じて、人道的見地から当該国での未承認の医薬品を提供するプログラムのこと。同プログラムに申請して承認されれば、患者は後期段階の臨床試験中の薬や他国で既に承認済みの薬の提供を受けることが可能となる。なお、「コラテジェン(R)」は販売承認を条件付きながらも国内で得られたことで、国内初の遺伝子治療用製品となっただけでなく、世界初のプラスミド(DNA分子)製品及びHGF実用化製品、末梢血管を新生する治療用製品、循環器医療領域での治療用製品となり、遺伝子医薬のグローバルリーダーを目指す同社にとっては大きな第一歩を踏み出したものと評価される。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <SI> 2022/12/07 15:45 注目トピックス 日本株 アンジェス Research Memo(4):Emendoが臨床開発段階に入れば米国株式市場でIPOを検討 ■EmendoBioの開発状況2. アンジェス<4563>の今後の事業戦略Emendoでの今後の事業戦略は、自社開発による収益化とOMNIプラットフォーム技術のライセンス供与による収益獲得の2軸で展開する方針である。自社開発については、ELANE変異によるSCNを対象とした臨床開発を進めるべく、IND(新薬臨床試験開始)申請に向けてFDA(米国食品医薬品局)との協議を行っている段階で、順調に進めば2023年にも臨床試験を開始できる見通しだ。SCNとは骨髄における顆粒球系細胞の成熟障害により発症する好中球減少症のことで、遺伝子変異により出生後の早期から好中球減少による中耳炎、気道感染症、蜂窩織炎、皮膚感染症を反復し、肺炎や敗血症などその他の疾患に至るケースもある。100万人に2人の割合で発症する希少疾患で、SCNの約7割はELANE変異によるものとなっている。現在の治療法は、ST合剤(抗生剤、スルファメトキサゾール・トリメトプリム)による感染予防が一般的で、感染症がコントロールできない場合にはG-CSF※を使用して好中球の誘導を促すことになる。ただ、G-CSFを高用量で使用した場合、骨髄異形成症候群や急性骨髄性白血病へ移行し、造血幹細胞移植が必要となるケースもある。Emendoでは患者から造血幹細胞を取り出し、OMNIプラットフォームを用いて正常な機能を有するELANEを発現させたうえで患者の体内に戻し、好中球の機能を回復させる根治療法の開発を目指している。動物実験では正常な遺伝子を傷つけずに、異常な遺伝子のみを正確に区別して破壊し、その結果、造血幹細胞が好中球に分化できるようになったことが確認されている。※G-CSF(顆粒球コロニー刺激因子):サイトカインの一種で顆粒球産出の促進、好中球の機能を高める作用がある。EmendoではまずELANE変異によるSCNでPOCを取得することを最優先課題として取り組んでおり、その後に他のパイプラインの臨床開発も進めていくことにしている。現在、前臨床試験段階では血液系や眼科系の遺伝性疾患の開発プロジェクトを複数進めている。一方、OMNIプラットフォームのライセンス供与については、バイオベンチャーからメガファーマまで合計10社程度の引き合いがきており、複数社と交渉を進めている段階にある。特に、CAR-T療法の開発企業からの関心度が高い。CAR-T療法は免疫細胞療法の1つで、がん患者のT細胞に標的抗原に対するCAR(Chimeric antigen receptor:キメラ免疫受容体)をコードする遺伝子を導入することで、がん細胞に対する攻撃力を高める治療法だが、先進のゲノム編集技術を用いることで、治療効果の高い新薬を効率的に開発できる可能性があるためだ。CRISPR/Cas9技術を使った開発も進められているが、既述のとおり「オフターゲット効果」がないOMNIプラットフォーム技術のほうが安全性も高いことから、ライセンス契約が締結される可能性は高いと弊社では見ている。契約交渉では、特定の開発プロジェクトで同技術を利用したい企業と、複数の開発プロジェクトで包括的に同技術を利用したい企業があるようで、いずれにしてもEmendoでは疾患別に非独占的ライセンス契約を締結する方針で、ペプチドリーム<4587>のようなビジネスモデルを志向している。Emendoの人員は2020年の子会社化時点で50名強程度であったが、その後開発体制を強化し現在は100名程度、うち、75名が博士号を持つなど優秀な人材が集結している。研究開発費は2021年12月期で23億円程度だったが、2023年以降、臨床試験が開始されれば開発費も増加することが予想される。2023年の事業運営資金については同社が2022年10月に発行した新株予約権の行使により調達する予定だが、その後については米国でIPOを行い、独自で株式市場から調達することも選択肢の1つとして考えている。米国ではゲノム編集技術を用いた臨床開発段階のバイオベンチャーが複数社上場しており、時価総額は収益化前段階でも数億ドル(数百億円)から数十億ドル(数千億円)規模で評価されている。国内でゲノム編集技術のバイオベンチャーとしてはモダリス<4883>が上場しているが、時価総額は100億円程度にしか過ぎない。開発の進捗状況やパイプライン、ライセンス契約の有無等によって異なるものの、総じて米国のほうが投資家からの期待値の高いことが要因として考えられ、米国市場のほうが効率的に資金調達を行うことが可能とも言える。まずは臨床試験を開始してからとなるが、Emendoが独自で資金調達できるようになれば、同社の資金負担も大幅に軽減されることになる。なお、従業員数で同じ規模の企業ということで見れば、Verve Therapeutics、Caribou Biosciences、Graphite Bioが該当する。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <SI> 2022/12/07 15:44 注目トピックス 日本株 アンジェス Research Memo(3):安全性の高いゲノム編集技術を強みに、遺伝性疾患の治療薬開発に取組む ■アンジェス<4563>のEmendoBioの開発状況1. ゲノム編集とOMNIプラットフォームの特徴ゲノム編集とは、特定の塩基配列(ターゲット配列)のみを切断するDNA切断酵素(ヌクレアーゼ)を利用して、思い通りに遺伝子を改変する技術を指す。以前からゲノム編集技術はあったが、2012年にこれまでの技術よりも短時間で簡単に標的とするDNA配列を切断できるCRISPR/Cas9(クリスパーキャスナイン)と呼ばれる革新的な技術が登場したことで、製薬業界においてもゲノム編集技術を用いた開発が活発化した。ただ、これらの技術は狙った遺伝子とは異なる箇所(標的DNA配列と似た配列)を切断してしまう「オフターゲット効果」があり、安全性という面で課題となっていた。これに対して、Emendoが独自開発したOMNIプラットフォーム技術では、標的のDNA配列を高精度に切り取る独自のヌクレアーゼ(OMNIヌクレアーゼ)を数多く作出し、これらの中から適切なヌクレアーゼを選択して、それを標的配列に対して最適化することで、「オフターゲット効果」のない安全性の高いゲノム編集を可能としている。ゲノム編集による医薬品の開発を進める場合には、効率性だけでなく安全性も強く求められるため、OMNIプラットフォームの持つ特徴は優位性があると評価される。また、もう1つの特徴としてはアレル特異的遺伝子編集が可能であるという点が挙げられる。アレル特異的遺伝子編集とは、対をなすアレル(対立遺伝子)の一方を傷つけることなく、異常のある遺伝子のみをターゲットにして編集することを言う。ヒトは父型と母型の2つのアレル(対立遺伝子)を一対として持っており、片方のアレルが異常配列となることで発症する遺伝病を優性遺伝(機能獲得型変異/ハプロ不全)、両方のアレルに必要な遺伝子が欠損することで発症する遺伝病を劣性遺伝(複合型ヘテロ接合体/ホモ接合体)、または伴性遺伝(性別によって発症の仕方が異なる遺伝病)と呼ぶ。遺伝性疾患のうち、アレル特異的遺伝子編集の対象となるのは優性遺伝と劣性遺伝のうちの一部で、遺伝性疾患の過半を占めることになる。これはOMNIプラットフォームを活用したゲノム編集による治療薬の開発領域が幅広いことを意味している。Emendoの調べによれば、遺伝性疾患の治療薬の市場規模は全体で約2兆円の規模があり、このうち1.1兆円がOMNIプラットフォームの対象領域になりうると見ており、潜在的な成長ポテンシャルは大きい。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <SI> 2022/12/07 15:43

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