注目トピックス 日本株ニュース一覧

注目トピックス 日本株 アートネイチャー---2022年5月度単体月次売上高速報を発表 アートネイチャー<7823>は15日、2022年5月度の単体月次売上状況(速報)を発表した。5月度の総売上高は前年同月比4.5%増となった。オーダーメイドウィッグ、増毛・育毛商品等の主要商品売上高は、男性向けが同1.8%減、女性向けが同5.9%増、合計が同1.4%増となった。女性向け新規の当期累計(2022年4月-2022年5月)は、2021年9月から販売を開始した新商品「フィーリン」の効果もあり、前期比55.5%増となった。 <ST> 2022/06/16 09:24 注目トピックス 日本株 クックビズ、ファーストリテ◆今日のフィスコ注目銘柄◆ クックビズ<6558>2022年11月期業績予想の修正を発表。売上高は13.0億円から14.5億円、営業利益を5000万円から9000万円に上方修正した。中長期成長戦略のうち、当期から新たに採用総合パッケージの受注が加わったことで、顧客ニーズに合ったサービス展開を推進できていること、またコストコントロールも継続して徹底できていることが主な要因。株価は支持線として意識される25日線まで調整を見せており、リバウンド狙いのタイミングに。ファーストリテ<9983>5月10日につけた直近安値55700円をボトムにリバウンドを強め、6月9日には70750円まで上昇。その後は調整を見せているが、ボリンジャーバンドは+2σを上回る水準から+1σを下回ってきており、過熱感は和らいだであろう。週間形状では52週線を捉えてきており、昨年3月高値110500円をピークとした調整トレンドラインの転換が意識されてくる。 <FA> 2022/06/16 08:39 注目トピックス 日本株 ADR日本株ランキング~ソニーGなど全般堅調、シカゴは大阪比230円高の26510円~ ADR(米国預託証券)の日本株は、ソニーG<6758>、ソフトバンクG<9984>、ファナック<6954>、任天堂<7974>、ファーストリテ<9983>、HOYA<7741>、富士通<6702>、資生堂<4911>、日東電<6988>、オムロン<6645>など、対東証比較(1ドル133.75円換算)で全般堅調。シカゴ日経225先物清算値は大阪比230円高の26510円。米国株式市場は上昇。ダウ平均は303.70ドル高の30668.53ドル、ナスダックは270.81ポイント高の11099.16で取引を終了した。6月小売売上高やニューヨーク連銀製造業景気指数が予想外のマイナスに落ち込み金利が低下したため、ハイテク中心に買われ寄り付き後、上昇。米連邦準備制度理事会(FRB)が市場の思惑通り連邦公開市場委員会(FOMC)で1994年以降最大となる0.75%の追加利上げを決定し、インフレ抑制に努める強い姿勢を見せると一段と買いが広がった。FRBの金利見通しも市場予想との大きな乖離を縮小し、投資家はインフレ対応でFRBへの信頼を取り戻し終日堅調推移を維持。パウエル議長が0.75%の利上げが異例であることを強調し金利がさらに低下するとハイテクの買いも強まった。15日のニューヨーク外為市場でドル・円は、134円96銭へ上昇後、133円51銭まで下落し、133円80銭で引けた。米連邦準備制度理事会(FRB)は連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利であるフェデラルファンドFF金利の誘導目標を0.75%ポイント引き上げ、1.50%-1.75%に決定した。声明では、インフレが需給バランスで上昇しており広範な圧力を指摘。インフレを2%に戻すことを強く公約すると断固とした姿勢を見せ、追加利上げが適切と見るとしたため、金利先高観にドル買いが一時加速。その後の会見でパウエル議長が0.75%の利上げが通常ではなく次回会合は0.5%または、0.75%の利上げにとどまる可能性を示唆したため金利が低下し、ドル売りが強まった。ユーロ・ドルは1.0359ドルまで下落後、1.0470ドルまで反発し、1.0447ドルで引けた。欧州中央銀行(ECB)が金融引き締めにもとづく新たな債務危機を回避する新たな手段を創設する計画を発表したため警戒感などがくずぶりユーロ売りが優勢となった。NY原油先物7月限は大幅続落(NYMEX原油7月限終値:115.31 ↓3.62)。■ADR上昇率上位銘柄(15日)<6479> ミネベア 35.44ドル 2370円 (56円) +2.42%<6976> 太陽電 157.75ドル 5275円 (115円) +2.23%<5631> 日製鋼 11.77ドル 3148円 (63円) +2.04%<8267> イオン 16.57ドル 2216円 (44円) +2.03%<1812> 鹿島 10.97ドル 1467円 (29円) +2.02%■ADR下落率上位銘柄(15日)<8303> 新生銀 2.79ドル 1864円 (-72円) -3.72%<6361> 荏原 19.89ドル 5321円 (-139円) -2.55%<6753> シャープ 1.87ドル 1000円 (-26円) -2.53%<8411> みずほFG 2.21ドル 1478円 (-31円) -2.05%<7012> 川重 8.31ドル 2778円 (-53円) -1.87%■その他ADR銘柄(15日)<1925> 大和ハウス 22.77ドル 3045円 (4円)<1928> 積水ハウス 17.28ドル 2311円 (-22円)<2503> キリン 15.26ドル 2041円 (8円)<2802> 味の素 22.89ドル 3062円 (18円)<3402> 東レ 10.53ドル 704円 (-0.2円)<3407> 旭化成 15.89ドル 1063円 (6円)<4523> エーザイ 38.09ドル 5095円 (11円)<4901> 富士フイルム 51.65ドル 6908円 (-11円)<4911> 資生堂 38.56ドル 5157円 (66円)<5108> ブリヂストン 19.01ドル 5085円 (20円)<5201> AGC 7.4ドル 4949円 (-81円)<5802> 住友電 10.92ドル 1460円 (6.5円)<6301> コマツ 24.68ドル 3301円 (-1円)<6479> ミネベア 35.44ドル 2370円 (56円)<6503> 三菱電 21.11ドル 1412円 (6.5円)<6645> オムロン 50.35ドル 6735円 (36円)<6702> 富士通 25.62ドル 17133円 (33円)<6723> ルネサス 5.04ドル 1348円 (8円)<6758> ソニーG 84.34ドル 11280円 (165円)<6762> TDK 33.09ドル 4426円 (41円)<6902> デンソー 28.28ドル 7565円 (17円)<6954> ファナック 15.12ドル 20223円 (183円)<6988> 日東電 35.24ドル 9427円 (27円)<7201> 日産自 7.94ドル 531円 (-2.6円)<7202> いすゞ 11.67ドル 1561円 (-10円)<7203> トヨタ 156.75ドル 2097円 (17円)<7267> ホンダ 24.92ドル 3333円 (28円)<7270> SUBARU 9.09ドル 2432円 (-15.5円)<7733> オリンパス 20.43ドル 2733円 (28円)<7741> HOYA 92.32ドル 12348円 (133円)<7751> キヤノン 24.39ドル 3262円 (11円)<7974> 任天堂 52.75ドル 56443円 (233円)<8001> 伊藤忠 55.3ドル 3698円 (-4円)<8002> 丸紅 100.1ドル 1339円 (6円)<8031> 三井物 484.37ドル 3239円 (26円)<8053> 住友商 13.78ドル 1843円 (-6円)<8267> イオン 16.57ドル 2216円 (44円)<8306> 三菱UFJ 5.54ドル 741円 (0.8円)<8309> 三井トラスト 3.02ドル 4039円 (-71円)<8316> 三井住友 5.97ドル 3992円 (-24円)<8411> みずほFG 2.21ドル 1478円 (-31円)<8591> オリックス 86.81ドル 2322円 (7.5円)<8604> 野村HD 3.65ドル 488円 (-2円)<8766> 東京海上HD 55.61ドル 7438円 (3円)<8802> 菱地所 14.49ドル 1938円 (1.5円)<9202> ANA 3.7ドル 2471円 (38.5円)<9432> NTT 28.6ドル 3825円 (1円)<9735> セコム 15.17ドル 8116円 (10円)<9983> ファーストリテイ 51.13ドル 68386円 (1246円)<9984> ソフトバンクG 19.04ドル 5093円 (65円) <ST> 2022/06/16 07:47 注目トピックス 日本株 CAICA DIGITAL---2Qは2ケタ増収・営業利益及び経常利益が黒字化、暗号資産の投融資・運用が好調を維持 CAICA DIGITAL<2315>は14日、2022年10月期第2四半期(21年11月-22年4月)連結決算を発表した。売上高が前年同期比36.9%増の36.61億円、営業利益が0.64億円(前年同期は2.43億円の損失)、経常利益が0.59億円(同2.37億円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純利益が同151.1%増の5.15億円となった。同社グループは、デジタル金融の世界を切り拓くべく、ITサービス事業においては、大手SIer等の既存顧客からの受注の拡大に加え、一次請けの比率向上に努めた。金融サービス事業においては、暗号資産を原資産とした商品の開発・販売や自己勘定による暗号資産の投融資・運用による売上拡大に努めている。当第2四半期累計期間の売上高は2ケタの増収となった。これは、CAICAテクノロジーズにおけるシステム開発が堅調であることに加え、カイカエクスチェンジホールディングス、カイカエクスチェンジ及びカイカキャピタルの連結子会社化による寄与、とりわけカイカキャピタルにおける暗号資産の投融資・運用が好調であり、前年同期比で売上高が大幅に増加した。利益面については、営業利益、経常利益ともに黒字転換を達成した。これは主にカイカキャピタルにおける暗号資産の投融資・運用による利益が大きく伸長したことによるもの。カイカ証券における売上高低迷の影響、及びカイカエクスチェンジホールディングス、カイカエクスチェンジ、カイカキャピタルの3社の販売費及び一般管理費の取込等の影響はあったが、前年同四半期比では大きく改善し、各損益は増益となった。2022年10月期通期の連結業績予想については、売上高が前期比28.4%増の76.32億円、営業利益が2.11億円、経常利益が2.01億円、親会社株主に帰属する当期純利益が4.72億円とする期初計画を据え置いている。 <ST> 2022/06/15 18:48 注目トピックス 日本株 アルプス技研---月次別稼働率と技術者数推移を更新、高稼働率を維持 アルプス技研<4641>は15日、2022年5月度の月次別稼働率と技術者数推移を発表した。5月の全社稼働率は、前月比0.6%増の90.1%(新卒を除くと97.7%)、技術者数は4,268名となった。前年同月より技術者数は増加し、稼働率は引き続き高水準を維持している。 <ST> 2022/06/15 17:43 注目トピックス 日本株 日経平均寄与度ランキング(大引け)~日経平均は4日続落、東エレクとダイキンが2銘柄で約41円分押し下げ 6月15日大引け時点の日経平均構成銘柄の騰落数は、値上がり55銘柄、値下がり166銘柄、変わらず4銘柄となった。日経平均は4日続落。14日の米株式市場でNYダウは151ドル安と5日続落。5月卸売物価指数(PPI)が予想を僅かに下回ったものの、引き続き大幅な伸びとなったことで、連邦準備制度理事会(FRB)の急速な金融引き締めを織り込む形で金利が上昇し、売りが強まった。一方、引けにかけてハイテク株が持ち直したため、ナスダック総合指数は+0.17%と小幅反発。まちまちな米株市場の動きを引き継いだ日経平均は4.18円安とほぼ横ばいからスタート。取引開始直後に一時プラス転換する場面があったが、すぐに失速。明朝に控える米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果公表とパウエルFRB議長の記者会見を前に、その後は大引けまで緩やかに下げ幅を広げる動きが続いた。大引けの日経平均は前日比303.70円安の26326.16円となった。東証プライム市場の売買高は12億2653万株、売買代金は2兆7623億円だった。セクターでは石油・石炭、鉱業、電気・ガスを筆頭に全般売り優勢。一方、パルプ・紙、銀行、証券・商品先物取引、海運の4業種が上昇した。東証プライム市場の値下がり銘柄は全体の84%、対して値上がり銘柄は14%となった。値下がり寄与トップは東エレク<8035>となり1銘柄で日経平均を約24円押し下げた。同2位はダイキン<6367>となり、リクルートHD<6098>、ファナック<6954>、コナミHD<9766>、テルモ<4543>、KDDI<9433>などがつづいた。一方、値上がり寄与トップはファーストリテ<9983>となり1銘柄で日経平均を約3円押し上げた。同2位はNTTデータ<9613>となり、電通グループ<4324>、スズキ<7269>、ホンダ<7267>、三井不<8801>、シャープ<6753>がつづいた。*15:00現在日経平均株価  26326.16(-303.70)値上がり銘柄数  55(寄与度+19.39)値下がり銘柄数 166(寄与度-323.09)変わらず銘柄数  4○値上がり上位銘柄コード  銘柄       直近価格        前日比 寄与度<9983> ファーストリテ   67140           90 +3.16<9613> NTTデータ     1859           10 +1.76<4324> 電通グループ     4205           45 +1.58<7269> スズキ         4035           39 +1.37<7267> ホンダ         3305           18 +1.27<8801> 三井不         2888           33 +1.16<6753> シャープ       1026           31 +1.09<8253> クレセゾン      1525           24 +0.84<4568> 第一三共       3081           8 +0.84<5232> 住友大阪       3585          130 +0.46<4061> デンカ         3320           55 +0.39<4188> 三菱ケミHD    801.8         18.2 +0.32<6178> 日本郵政       964.8          8.2 +0.29<8306> 三菱UFJ     740.2          7.6 +0.27<7751> キヤノン       3251           5 +0.26<3402> 東レ         704.2          7.2 +0.25<4042> 東ソー         1787           14 +0.25<2002> 日清粉G       1499           7 +0.25<8725> MS&AD      4059           23 +0.24<8331> 千葉銀         746           6 +0.21○値下がり上位銘柄コード  銘柄       直近価格        前日比 寄与度<8035> 東エレク       51000         -710 -24.95<6367> ダイキン工     19885         -480 -16.87<6098> リクルートHD   4017         -155 -16.34<6954> ファナック     20040         -365 -12.83<9766> コナミHD      7840         -320 -11.25<4543> テルモ         3827          -78 -10.96<9433> KDDI       4353          -49 -10.33<6762> TDK         4385          -95 -10.02<6645> オムロン       6699         -246 -8.65<4507> 塩野義薬       6493         -241 -8.47<4519> 中外薬         3380          -79 -8.33<6861> キーエンス     46250         -1860 -6.54<6857> アドバンテス     7730          -90 -6.33<6976> 太陽誘電       5160         -180 -6.33<6981> 村田製         8050         -201 -5.65<9735> セコム         8106         -151 -5.31<4704> トレンド       6570         -150 -5.27<8058> 三菱商事       4383         -149 -5.24<4503> アステラス薬     1995         -29.5 -5.18<4901> 富士フイルム     6919         -135 -4.74 <FA> 2022/06/15 16:23 注目トピックス 日本株 テクマト Research Memo(11):配当性向は20%以上を基本に内部留保充実とのバランスを考えながら配当を実施 ■株主還元策テクマトリックス<3762>は株主還元策として配当金と株主優待制度を導入している。配当方針としては配当性向20%以上を基本方針として、内部留保充実とのバランスを考慮しながら決定していく。2023年3月期の1株当たり配当金は前期比1.0円増配の21.0円(配当性向33.0%)を予定している。ここ数期間は配当性向で30%以上の水準を維持しながら増配を続けていることから、2023年3月期も業績が計画を上回り、配当性向で30%を下回る水準になればさらなる増配の可能性も出てくる。また、株主優待に関しては毎年9月30日時点で500株以上保有の株主を対象に実施している。500株以上1,000株未満で1,500円相当の商品または寄付を、1,000株以上保有で4,000円相当の商品または寄付を選択できる内容となっている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <EY> 2022/06/15 16:11 注目トピックス 日本株 テクマト Research Memo(10):PSPの連結化により医療分野の中期的な成長期待が一段と高まる ■テクマトリックス<3762>の今後の見通し2. 中期経営計画「BEYOND THE NEW NORMAL」の進捗状況(1) 基本方針と戦略テーマ2022年3月期からスタートした中期経営計画「BEYOND THE NEW NORMAL」では、デジタル化への急激なシフトと産業構造の劇的な変化を新たな成長機会と捉え、社会にとって必要不可欠な領域に向けた事業を加速し、社会課題を解決するためのサービス提供を通じて、持続可能な社会の創造に貢献していくことを基本方針に掲げた。事業戦略としては前中期経営計画において推進した「クラウド関連事業の戦略的・加速度的推進」「セキュリティ&セイフティ(安心と安全)の追求」を継続している。また、基本戦略としては「取扱製品の拡大・新規サービスの立ち上げ」「サービス化の加速(サービス比率拡大)」「データの利活用(AIの利用を含む)」「多様なアライアンス・M&A(既存事業の拡充と新規事業の創出)」「海外市場での事業の拡大」「グループ間連携の強化によるシナジーの創出」「人材育成/組織開発(ダイバーシティの推進を含む)」の7つのテーマに取り組んでおり、初年度の進捗状況についてはおおむね順調に進んだものと同社では評価しているようだ。(2) 経営数値目標経営数値目標については、旧PSPを連結化したこと、初年度の業績状況も踏まえて見直しを行っている。2024年3月期の連結業績目標としては売上収益で当初目標を6,000百万円上回る46,000百万円、営業利益で同100百万円上回る5,100百万円とした。事業セグメント別で見ると、情報基盤事業は売上収益で同1,000百万円増加の29,000百万円、営業利益で同横ばいの3,600百万円とした。クラウド型セキュリティ対策製品の需要が想定以上に伸びていることが売上収益の増額要因となる。一方、営業利益については据え置いた格好だが、新たな費用増要因はなく保守的に見て据え置いたものと考えられる。一方、アプリケーション・サービス事業は売上収益で同5,000百万円増加の17,000百万円、営業利益で同100百万円増加の1,500百万円とそれぞれ上方修正した。売上収益については旧PSPの寄与によるところが大きい。また、営業利益については前期比でも2倍増と急回復する見通しだが、PSPの増益や教育事業の収益改善効果を見込んでいる。(3) PSPの今後の展開についてPSPとNOBORIを事業統合した目的は、既存のクラウド型PACS「NOBORI」の顧客基盤を拡大し収益力を一段と高めていくことに加えて、両社の開発部門を統合して技術リソースを最適配分することでPHRやAI、データ利活用分野等の新規サービスの開発スピードを加速し、医療分野での高成長を実現していくことにある。旧PSPのPACS製品については今後クラウドサービスへシフトし、2026年4月を目途に完全統合することになっている。両社合わせて導入医療施設数は約2,200施設、市場シェアは22%超だが、今後も継続的な機能と品質向上を図ることで新規顧客を開拓し、市場シェア拡大を目指していく。なお、2022年4月にはキヤノンメディカルシステムズ(株)と販売の協業に関して基本合意を締結したことを発表しており、こうした取り組みも「NOBORI」のシェア拡大につながると弊社では見ている。協業の目的は互いの製品・サービスを相互供給し、ソリューションとして顧客に販売していくというもの。具体的には、PSPのクラウドPACS「NOBORI」と読影用ビューアーソフトウェア「EV Insite R」の2品目をキヤノンメディカルシステムズで、キヤノンメディカルシステムズのAI解析技術や3D画像処理技術を用いた読影支援ソリューション「Abierto Reading Support Solution」をPSPで取り扱う。相互の製品を組み合わせることで画像診断における読影品質の向上と効率化を実現し、顧客開拓を推進していくことになる。キヤノンメディカルシステムズはMRI装置やCT装置などの大手メーカーであり、PACSについてもオンプレミス型で大手の一角を占めていたが、クラウドサービスに市場が移行していることを受け「NOBORI」の取り扱いも開始することになったようだ。キヤノンメディカルシステムズの顧客基盤や販売ネットワークはPSPよりも大きいことから、「NOBORI」の新規顧客獲得につながる取り組みとして注目される。協業の効果が出てくるのは2024年3月期以降になりそうだ。また開発力の強化という点では、旧PSP、旧NOBORIの開発テーマで重複するものがあり、これらを整理・統合し、余剰となった開発リソースを新規プロジェクトに配置していくことが可能となる。当面は旧PSPのPACS製品と「NOBORI」を連携するためのプロジェクトにリソースが充当されるため、統合効果が出始めるのは同プロジェクトが終わってからとなる。新生PSPの業績については、クラウドシフトの影響で短期的には伸び悩むものの、クラウドシフトが完了するであろう2027年3月期には少なくとも統合前の2社合計の営業利益(14億円)の水準に戻っているはずだ。さらに言えば、クラウドサービスは顧客基盤が大きくなるほど利益率も上昇する収益構造であるから、PACS事業だけで見れば統合前の利益水準以上に拡大している可能性がある。これにPHRやAI、データ利活用サービスなど新規事業が育ってくれば、さらなる成長が期待できることになる。新規事業を育成していくうえでも、旧PSPを子会社化し顧客基盤(医療施設数)を2倍に拡大した意義は大きく、今後の展開が注目される。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <EY> 2022/06/15 16:10 注目トピックス 日本株 テクマト Research Memo(9):2023年3月期業績は豊富な受注残を背景に増収増益が続く見通し ■今後の見通し1. 2023年3月期の業績見通しテクマトリックス<3762>の2023年3月期の連結業績は、売上収益で前期比17.8%増の43,000百万円、営業利益で同7.1%増の4,000百万円、税引前利益で同6.8%増の3,970百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益で同7.1%増の2,540百万円と増収増益が続く見通し。情報基盤事業を中心に既存事業の拡大を見込んでいる。旧PSPの業績への影響については、売上収益で寄与するものの、営業利益はクラウドシフトを推進するためほとんど貢献を見込んでいない。また、2022年3月期に445百万円を計上した本社移転関連費用について、2023年3月期も約2億円を織り込んでいる。為替が円安にシフトしており情報基盤事業のコスト増への影響が懸念されるものの、二次代理店や最終顧客との交渉により一定水準の費用増分は価格転嫁する格好となっており、影響は限定的となっている。足元も良好な受注環境に変化は見られず受注残高も豊富にあることから、会社計画の達成は十分可能と弊社では見ている。(1) 情報基盤事業情報基盤事業の売上収益は前期比11.3%増の27,500百万円、営業利益は同6.4%増の3,250百万円を見込んでいる。売上収益はクラウド型セキュリティ対策製品を中心とした需要拡大と豊富な受注残を背景に、2ケタ成長が続く見通しだ。また、営業利益には本社移転関連費用約1億円を織り込んでいる。営業利益率が12.4%から11.8%に低下する要因は、主に販売構成比の変化によるもので、2022年3月期に引き続き大型案件の比率が上昇し、売上総利益率の低下要因となった。為替の円安が進んでいることもコスト増要因となるが、為替変動部分の一部は二次代理店や最終顧客に転嫁すること、長期契約で前受金として既に徴収している部分については為替変動の影響を受けないことから、その影響は軽微と考えられる。現在は130円/ドルを前提に受注活動を行っている。なお、半導体不足でアプライアンス製品の納期が延伸する傾向が続いているが、顧客も現在の納期を前提に早めの発注をしていることもあり、売上収益への影響は少ないものと見られる。足元の受注状況は引き続き好調となったようだ。特に、ロシアによるウクライナ侵攻の発生以降、マルウェアを使った電子メールによるサイバー攻撃が急増していることもあり、次世代型メールセキュリティ製品「Proofpoint」の引き合いが活発化している。また、期待される新製品としては2021年12月に販売代理店契約を新たに締結したSentinelOne,Inc.の自律型AIエンドポイントセキュリティ製品「SentinelOne」が挙げられる。様々な攻撃テクニックを検知する自律型AIエンジンによりクラウド上の分析を行うことなく、エンドポイントのエージェントのみでマルウェアの検知や防御、修復などのインシデント対応を「自律的に」行う製品である(=運用担当者の業務負担軽減)。検知能力は非常に高く、2020年版のMITRE ATT&CK※評価では、WindowsとLinux環境の両方で業界唯一100%検知を達成するなど、業界では後発ながらも技術力は最も高く評価されている。同社では今後3年間で10億円の販売を目標としている。※MITREは、米国の連邦政府が資金を提供する非営利組織。ATT&CK は脆弱性を悪用したサイバー攻撃を、戦術と技術または手法の観点で分類したナレッジベースのことで、不定期もしくは四半期に一度、最新の脅威情報を追加している。多くのセキュリティ製品が参照情報としてATT&CKを活用し、製品評価を行っている。(2) アプリケーション・サービス事業アプリケーション・サービス事業の売上収益は前期比31.3%増の15,500百万円、営業利益は同10.3%増の750百万円を見込んでいる。営業利益には本社移転関連費用約1億円を織り込んでいる。売上収益の増加要因としては、旧PSPが年間で寄与することが大きいが、既存事業においても医療分野、ソフトウェア品質保証分野、CRM分野で2ケタ増収、ビジネスソリューション分野で1ケタ増収となる見通しだ。営業利益の伸びが10.3%増と70百万円増の小幅にとどまるのは、教育事業に対する先行投資を継続することに加えて、旧PSPのPACS製品の販売形態をオンプレミス型からクラウドサービスにシフトすることで、一時的に利益が落ち込むことを想定しているためだ。旧PSPでは2021年6月期に8億円強の営業利益であったが、2023年3月期はほぼ利益貢献しないことを前提に計画に織り込んでいる。2022年3月期は2ヶ月分で170百万円の利益貢献があったため、ほぼ同額の減益を見ていることになる。教育事業の損失継続と旧PSPの減益分を、既存事業の増益と本社移転関連費用の減少でカバーする構図となる。なお、旧PSPでは既存顧客へのクラウドシフトを進めていく予定だが、顧客がリプレイス時にオンプレミス版を継続する可能性もあり、その比率が高ければ売上収益・営業利益の増額要因となる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <EY> 2022/06/15 16:09 注目トピックス 日本株 テクマト Research Memo(8):長期契約案件の増加に伴い流動資産の前渡金、流動負債の前受金が増加 ■業績動向3. 財務状況と経営指標テクマトリックス<3762>の2022年3月期末の財務状況を見ると、資産合計は前期末比12,507百万円増加の52,503百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産では現金及び現金同等物が3,521百万円、営業債権及びその他の債券が2,010百万円、前渡金が4,142百万円、前払保守料が938百万円それぞれ増加した。前渡金と前払保守料については、情報基盤事業における長期契約案件の増加やストック型サービスの拡大が主な増加要因となった。非流動資産では有形固定資産が783百万円減少した一方で、その他の金融資産が1,175百万円、繰延税金資産が730百万円それぞれ増加した。なお、旧PSPの連結化による影響額は株式取得日(2022年2月15日)における旧PSPの取得資産合計が7,001百万円(うち、現金及び現金同等物2,994百万円)だったことから、ほぼ同程度の増加要因になったと見られる。負債合計は前期末比8,660百万円増加の32,301百万円となった。流動負債では契約負債が6,284百万円、営業債務及びその他の債務が789百万円、未払法人所得税が577百万円それぞれ増加した。契約負債の増加については長期契約の増加やストック型サービスの拡大に伴う前受金の増加が主因となった。非流動負債ではリース負債が926百万円減少した一方で、退職給付に係る負債が637百万円増加した。有利子負債は304百万円の減少となった。なお、旧PSP分の引受負債については株式取得日において3,420百万円となった。資本合計は前期末比3,847百万円増加の20,202百万円となった。利益剰余金が1,698百万円増加したほか、旧PSPの連結化及び旧NOBORIの利益増に伴い、非支配持分が1,673百万円増加したことによる。経営指標を見ると、親会社所有者帰属持分比率は前期末比4.7ポイント低下の32.4%となったが、これは将来売上計上される前受金の増加が主因となっている。一方で、有利子負債比率は同3.0ポイント低下の6.4%となり、手元キャッシュも180億円以上と潤沢なことから、財務基盤の強化がさらに進んだものと判断される。収益性については、本社移転関連費用を計上したことや、アプリケーション・サービス事業の収益性低下によって前期比で低下したものの、ROEで14.9%、売上収益営業利益率で10.2%とそれぞれ10%台を維持した。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <EY> 2022/06/15 16:08 注目トピックス 日本株 テクマト Research Memo(7):クラウド型セキュリティ対策製品の成長続き、情報基盤事業は2ケタ増収増益(2) ■テクマトリックス<3762>の業績動向(2) アプリケーション・サービス事業アプリケーション・サービス事業の売上収益は前期比18.2%増の11,802百万円、営業利益は同19.3%減の679百万円となった。旧PSPの連結化による影響(売上収益1,270百万円、営業利益170百万円)と本社移転関連費用244百万円を除いたベースでは、売上収益で同5.5%増の10,532百万円、営業利益で同10.3%減の754百万円となり、いずれも会社計画(売上収益10,000百万円、営業利益700百万円)を上回って着地した。売上収益は医療分野、ソフトウェア品質保証分野、ビジネスソリューション分野でそれぞれ2ケタ増となり過去最高を更新したが、利益面では新規事業となる教育事業への先行投資や、CRM分野での受注の遅れに起因する売上・利益の未達が響いて、減益となった。一方で、同分野の受注実績は堅調に推移しているため、今後の業績の復調は期待できると見ている。同セグメントにおける受注高については、前期比21.6%増の12,850百万円と2期ぶりに増加に転じ、受注残高も同47.7%増の14,030百万円と大幅に積み上がった。受注残高の増加分の大半は旧PSPの連結化による影響と見られるが、既存事業ベースでも10億円程度積み上がったものと思われる。なお、ストック型売上比率(単体のアプリケーション・サービス事業及び旧NOBORIの売上収益に占める比率)は前期の55.1%から60.0%に上昇した。「NOBORI」を中心にクラウド型サービスが順調に成長していることや、ソフトウェア品質保証分野でもサブスクリプション型のライセンス販売が増加していることなどが要因となった。a) 医療分野医療分野の売上収益は旧PSPを除いたベースでも前期比2ケタ増と好調に推移した。クラウド型PACS「NOBORI」の既存顧客の更新や新規受注、他社からのリプレイス案件がいずれも堅調に増加したことが主因だ。「NOBORI」に保管している検査件数は前期比17.7%増、画像を保管している患者数は同14.0%増と2ケタ成長が続き、シェアの拡大が着実に進んでいるものと見られる。また、新規事業として取り組んでいるPHRサービスについては地域連携医療機関など大規模病院を中心に導入が進み利用者数も増加しているが、業績への影響は軽微となっている。ただ、超高齢化社会の進展とともに地域医療連携の重要性が高まるなか、個人(患者)の医療情報を共有化できるPHRサービスは医療連携を円滑に進めるツールになると同社では見ており、今後は旧PSPの顧客基盤も含めて導入施設数を増やし、収益化を目指していく考えだ。また、PHRをタッチポイントとしてクラウド型PACSの顧客開拓にも取り組んでいく。医知悟の遠隔読影サービスについては健診需要が堅調に推移し、計画を上回って推移した。A-Lineが提供する医療被ばく線量管理サービス「MINCADI」については、2020年4月より病院でのデータ管理が義務化されたことで需要拡大が期待されたが、コロナ禍により規制当局の監査が厳しく実施されていないこともあり伸び悩んだ。そのほかAIベンチャーやエムスリーなどと協業して取り組んでいるAI画像診断支援サービスについては、脳腫瘍や肺炎の診断支援で利用が着実に進んだ。保険適用も条件付きで認められるなど、徐々に普及に向けた環境は整いつつある。同サービスについては2022年4月にPSPとエムスリーが合弁で設立したエムスリーAIに販売・マーケティング機能が引き継がれることになり、今後はエムスリーが持つ幅広い顧客基盤や営業力を生かして、事業展開を加速していくことになる。b) CRM分野CRM分野の売上収益は前期比1ケタ減となった。2021年3月期まで継続していた既存顧客のシステムバージョンアップ等の更新需要が一巡したことや、コロナ禍により商談が長引き受注回復の時期が下期にずれ込んだことが影響した。このため、受注ベースでは会社計画を達成したものの売上収益・営業利益は未達となった。なお、同社は受注拡大施策として周辺サービスを手掛けるベンダーとの連携を国内外で積極的に進めている。海外では2021年7月にタイのソーシャルデータ分析クラウドサービス最大手であるWISESIGHTを傘下に持つTZO Company Ltd.に出資し、WISESIGHTと業務提携を行った。WISESIGHTはタイのローカル企業だけでなく、日系企業やグローバル企業など約300社を顧客に抱えており、これら既存顧客や新規顧客に対して「FastHelp」を販売していく。既に受注実績もあり、タイだけでなく東南アジア地域での拡販も協業して進めていく予定だ。また、WISESIGHT以外にも同様にシナジーが見込める企業があれば提携し、販売ネットワークを拡充しながら事業展開を加速していく方針となっている。c) ソフトウェア品質保証分野ソフトウェア品質保証分野は前期にコロナ禍の影響で冷え込んでいた製造業からの受注が回復し、売上収益は前期比2ケタ増となった。自動車業界を中心に組み込みソフトウェアの品質向上を目的としたテストツールの受注が増加した。また、サブスクリプション型ライセンス契約の増加により受注残高も増加した。d) ビジネスソリューション分野ビジネスソリューション分野は受注・売上ともに計画を上回り、売上収益は前期比2ケタ増となった。既存顧客である学術系公共機関向けのシステム開発案件が堅調だったほか、金融機関向けリスク管理分野においてLIBOR※廃止に対応した開発案件の需要を取り込めたことが増収要因となった。また、2022年3月期上期に発生した不採算案件の損失を下期の収益増でカバーし、営業利益も増益となり計画を達成した。※LIBOR(London Interbank Offered Rate):ロンドン金融市場における銀行間取引金利のこと。本指標の恒久的な公表停止が確定しており、同指標を参照してシステム取引を行っていた金融機関や企業は代替金利指標への移行などの対応を進める必要がある。子会社の状況については、山崎情報設計が売上収益・営業利益ともに計画どおりに推移し、カサレアルはIT分野のオンライン研修サービスやクラウド関連技術に関するコンサルティングサービス、受託開発等が順調に推移し、売上収益・営業利益ともに計画を上回った。e) 教育分野教育分野では「ツムギノ」の垂直立ち上げを目指すべく、営業・マーケティング活動を大幅に強化するなど積極的な投資を実施した。2021年4月に主体的な学びを重視する先進的な私立学校で複数導入されたほか、国立大学付属小学校や一部の公立校でも導入された。販売体制の強化にも取り組んでおり、2021年10月には教育機関向けにGoogleソリューションの豊富な販売実績を持つシネックスジャパン(株)※と再販パートナー契約を締結している。同事業に関しては2023年3月期が損失のピークとなる見込みで、事業開始5年目となる2026年3月期の黒字化を目指している。※政府のGIGAスクール構想において学校へのパソコン導入のうち約25%の導入(Chromebook)に関わった実績を持つ。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <EY> 2022/06/15 16:07 注目トピックス 日本株 テクマト Research Memo(6):クラウド型セキュリティ対策製品の成長続き、情報基盤事業は2ケタ増収増益(1) ■テクマトリックス<3762>の業績動向2. 事業セグメント別の動向(1) 情報基盤事業情報基盤事業の売上収益は前期比18.0%増の24,711百万円、営業利益は同11.4%増の3,054百万円となった。本社移転関連費用201百万円を除いたベースでは同18.8%増の3,255百万円となり、売上収益・営業利益ともに会社計画(売上収益23,000百万円、営業利益3,000百万円)を上回って着地した。また、受注高は同9.8%増の29,916百万円、受注残高は同25.2%増の25,901百万円となった。下期の受注高が前年同期比7.9%減と失速したが、これは2021年3月期下期に超大型案件があったことやコロナ禍でリモートワークに対応したセキュリティ製品の特需が発生した反動による影響である。実際には中規模から大規模の受注案件が増加するなどネットワークセキュリティに対する需要の裾野は広がっており、活発な引き合い状況が続いたとの認識だ。企業の情報システムに対するサイバー攻撃は年々巧妙化しており、サイバー攻撃によって工場の稼働がストップするといったケースも発生するなど被害も甚大となってきている。リモートワークの普及によってサイバー攻撃を受けるリスクが高まっていることもあり、ネットワークセキュリティ対策を一段と強化する動きが継続している。特に、国内外で事業拠点を多く持つ大企業においてセキュリティ対策をクラウド上で一括管理できる、Palo Alto Networks社製のSASE※と呼ばれる「Prisma Access」の受注が大幅に増加した。受注案件の規模も3~5年契約で大型化する傾向にあり、受注残高が積み上がる要因ともなった。※SASE(Secure Access Service Edge):ネットワークとセキュリティの機能を包括的にクラウドから提供すること。クラウドサービスの普及が進むなかで、これまでクラウドのポリシーは利用サービス別に適用されることが多かったが、SASEは単一のクラウドに集約し包括的に管理するという新しい概念。受注規模が大型化することで売上総利益率は数ポイント程度の低下要因となったが、増収効果による人件費率の低下により吸収できたため、利益率(本社移転費用控除前)も前期並みの水準を維持した。なお、需要が急増しているPalo Alto Networks製品の一次代理店は同社以外にも複数あるが販売実績は同社がトップとなり、パロアルトネットワークス(株)が開催したイベント「Japan Partner Day 2022 Virtual」において、4年連続で「JAPAN Distribution Partner of the Year」※を受賞した。そのほかにもエンドポイントセキュリティ製品を提供するTanium(合)や次世代型メールセキュリティ製品を提供する日本プルーフポイント(株)をはじめ多くの企業から同社の販売実績やサポート体制が高く評価され、同様の賞を受賞した。※「JAPAN Distribution Partner of the Year」は、販売実績や前年度からの成長、販売後のサポートサービスの提供において大きな成果を達成した日本のディストリビュータを表彰するもので、同社は2018年から4年連続の受賞となった。分野別の売上動向を見ると、2021年3月期にリモートワークの普及に伴って特需的に増加したリモートアクセス製品や個人認証システムは減少したものの、次世代ファイアウォールを中心にクラウド型セキュリティサービスが大きく伸長したほか、増加するマルウェア対策として「Proofpoint」等のメールセキュリティ製品も好調に推移した。さらに、セキュリティシステムの高度化に伴い、統合セキュリティ運用・監視サービス「TPS(TechMatrix Premium Support)」の受注も前期比で2倍増となった。今後も収益性の高いストック型ビジネスとして、契約件数の積み上げを図っていく。子会社のクロス・ヘッドについては、半導体不足に起因した各種ネットワーク製品の供給遅れで大手SI企業との共同プロジェクトが一部延伸したものの、その他は順調で会社計画を上回る増収増益となった。また、OCHについても自社企画製品やリモートデスクトップ・サービス等のサブスクリプション課金モデルの事業が好調で、会社計画を上回る増益となった。なお、情報基盤事業(単体)におけるストック売上比率は、サブスクリプション課金モデルであるクラウド型セキュリティサービスの急成長を背景に2021年3月期以降急上昇しており、2022年3月期は74.7%と2期前の38.6%から2倍近くに上昇した(IFRSへの会計基準の変更の影響も一部あり)。今後もサブスクリプション課金モデルのサービス拡大が見込まれるため、ストック売上比率は高水準で推移し、同事業は安定した収益性が続くものと予想される。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <EY> 2022/06/15 16:06 注目トピックス 日本株 クリアル---販売用不動産を取得、クラウドファンディングによる商品提供のパイプラインに クリアル<2998>は14日、運営する不動産ファンドオンラインマーケット「CREAL」でのクラウドファンディングによる商品提供のパイプラインとすることを目的に、販売用不動産を取得することを発表。同物件は、東京都品川区に所在する延床面積801.39平方メートルの鉄筋コンクリート造(地上14階)の共同住宅。取得価格は、同社の2022年3月期の連結純資産の額10.45億円の30%相当額以上としている。契約締結日は6月15日、引き渡し日は8月31日(予定)。販売予定時期は2024年3月期以降の計画としている。 <ST> 2022/06/15 16:05 注目トピックス 日本株 テクマト Research Memo(5):2022年3月期業績は情報基盤事業がけん引し、過去最高を連続更新 ■業績動向1. 2022年3月期の業績概要テクマトリックス<3762>の2022年3月期の連結業績は、売上収益で前期比18.1%増の36,513百万円、営業利益で同4.2%増の3,734百万円、税引前利益で同9.2%増の3,718百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益で同3.0%増の2,371百万円と増収増益となり連続で過去最高を更新した。受注高についても前期比13.1%増の42,767百万円と2ケタ成長が続き、受注残高は前年同期末比32.2%増の39,931百万円と年間売上収益を上回る規模まで積み上がった。企業へのサイバー攻撃が年々巧妙化するなかで、クラウド型セキュリティ対策製品の需要が引き続き好調に推移したことが主因だ。2022年3月期の業績には、旧PSPの業績を2ヶ月分取り込んだ影響(売上収益1,270百万円、営業利益170百万円)と一過性の費用である本社移転関連費用445百万円が営業利益に含まれており、これら特殊要因を除いたベースで見ると売上収益は同13.9%増の35,243百万円、営業利益は同11.9%増の4,009百万円となり、いずれも会社計画を上回って着地した。また、親会社の所有者に帰属する当期利益の増益率が税引前利益よりも低くなっているのは、旧NOBORIの利益増や旧PSPの連結化によって、非支配持分が前期の79百万円から186百万円に増加したことが主因である。なお、同社はグループ各社の本社機能を2022年12月に新本社(東京都港区港南)に移転・集約化する予定となっており、2023年3月期も関連費用として約2億円を見込んでいる。移転・集約化の目的としては、1)グループ間連携を強化し、中期経営計画の着実な遂行と持続的成長を実現すること、2)在宅勤務の継続的活用とともに、創造的活動を促進するコラボレーションの場としてオフィスを再定義し、新たな働き方に対応したオフィス空間を構築すること、3)災害時における従業員の安全確保と事業継続対応の強化を図ること、の3点を挙げている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <EY> 2022/06/15 16:05 注目トピックス 日本株 テクマト Research Memo(4):情報基盤事業、アプリケーション・サービス事業を展開(3) ■テクマトリックス<3762>の会社概要c) ソフトウェア品質保証分野ソフトウェア品質保証分野では、ソフトウェアの品質向上や開発工程の生産性向上を目標に、開発過程での全ライフサイクルを支援するベスト・オブ・ブリード※の開発支援ツール(テストツールなど)及びコンサルティングサービスを提供している。取扱製品のなかでは、ソフトウェアテストツールであるParasoft社製品が組み込み系ソフトウェアの開発分野で高い市場シェアを持っている。※同一メーカーのシリーズ製品を使うのではなく、メーカーが異なっても最良と思われる製品を選択し、その組み合わせで利用すること。対象となるのは、デジタル家電や情報通信機器、自動車、医療機器、ロボットなどソフトウェアが組み込まれる機器のほか、金融システムのようなミッションクリティカルなソフトウェア等も含まれる。市場別売上収益については、自動運転技術やEV(電気自動車)関連技術の開発需要が旺盛な自動車業界向けが最も大きくなっている。d) ビジネスソリューション分野ビジネスソリューション分野では、金融向けソリューションのほか学術ソリューション(学術研究事業支援)、BIソリューションを開発・提供している。また、連結子会社のカサレアルでインターネットサービスに関連するシステム開発や、技術者向けの教育研修サービスを行っている。2019年11月に子会社化した山崎情報設計では、金融取引統合管理システム「Apreccia」シリーズを中心に事業を展開している。e) 教育分野新規事業として、教育機関向けクラウド型サービス「ツムギノ」の提供を2021年4月より開始している。2020年4月に(学)軽井沢風越学園向けに導入した、学びの個別化を実現することを目的に開発したコミュニケーション・プラットフォーム「typhoon」をベースに、校務支援システムと一体化させたプラットフォームサービスとして開発・提供している。学校教育における指導方針がこれまでの全員一斉・受動型から自主的・探求型へとシフトし、教職員の業務負担が増加するなかでICTを活用して、校内外にわたるコミュニケーション機能や学びの蓄積機能、教職員の校務支援機能を提供するクラウドサービスである。今まで蓄積してきたクラウド型サービスや情報セキュリティシステムの構築ノウハウを生かして開発しており、特長としては、低価格化(月額数百円/IDの利用料)を実現していること、マルチプラットフォームに対応可能なこと、子どもが中心となるコミュニケーション・プラットフォームではあるが、保護者や地域の住民なども参加できるプラットフォームとして設計されていること、堅牢な情報セキュリティ対策が施されていることなどが挙げられる。特に、情報セキュリティ対策については、競合サービスとの差別化要因になると考えられる。「ツムギノ」は2021年11月に(一社)ASP・SaaS・AI・IoTクラウド産業協会が主催した「ASPIC IoT・AI・クラウドアワード2021」の社会業界特化系ASP・SaaS部門において準グランプリを受賞するなど、今後の成長が期待できるサービスとして注目される。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <EY> 2022/06/15 16:04 注目トピックス 日本株 テクマト Research Memo(3):情報基盤事業、アプリケーション・サービス事業を展開(2) ■テクマトリックス<3762>の会社概要(2) アプリケーション・サービス事業アプリケーション・サービス事業では、特定市場や特定業界向けにシステム開発、アプリケーション・パッケージ、テスト・ソリューション、クラウドサービス等の事業を展開している。対象分野としては医療、CRM、ソフトウェア品質保証、ビジネスソリューションの4領域で、売上構成比は各分野ともに20%~30%で拮抗している。また、新規事業として教育分野のソリューション事業も開始している。a) 医療分野医療分野は、新生PSP、医知悟、A-Lineが提供する製品・サービスで構成されているが、売上収益の大半はPSPの事業で占められる。新生PSPのうち旧NOBORIについては、クラウド型PACSサービス「NOBORI」を主に展開している。クラウドサービスは初期導入コストが不要なほか、データをクラウド上で安全に管理するため、病院側でデータバックアップ等のメンテナンス業務が不要になるといったメリットがある。また患者本人の同意と医療施設間の公開設定があれば、他施設の患者の画像やレポートをシームレスに参照することも可能となる。2012年に「NOBORI」のサービスを開始して以降、既存のオンプレミス(サーバを院内に設置する方式)ユーザの切り替えや、競合他社システムを利用する中規模・大規模病院のリプレイス、小規模医療施設の新規開拓などを進めてきたことにより2022年3月末時点で契約施設数は約1,100施設まで拡大した。医用画像等の総検査件数は2.48億件、延べ患者数で4,083万人(複数の病院で画像診断を受ける患者はダブルカウントされている)のデータが「NOBORI」のクラウド上に保管されている。月額利用料は最低5万円からとなるが、料金は導入後5年間に蓄積される画像データの予想量に基づく従量課金制となっており、大学病院等のヘビーユーザではその数十倍となるケースもある(サービス契約期間は5年間)。サービス開始から11年目を迎えるが、顧客事由による解約(閉院等)を除けばサービス内容を理由とした解約は発生しておらず、顧客からも高い評価を受けている。そのほか旧NOBORIのサービスとしては、2021年1月より有料サービスを開始した個人(患者)向けのPHR・医療情報共有アプリ「NOBORI」がある。現在、無料版と有料版(月額100円)を提供しており、無料版はデータ保存期間が1年、有料版は無期限となっている。共有できる医療情報(カルテ情報、検査画像、薬歴情報等)やサービス内容(予約申込やキャンセル等)については医療施設によって異なる。一方、旧PSPではオンプレミス型のPACS製品「EV Insite」のほか放射線管理業務システム等の開発販売及び各種ハードウェア製品の販売を行っている。主軸であるPACS製品に関しては、大規模施設を含む約1,100の医療施設に導入している。旧NOBORIと競合関係にあったが、両社の顧客基盤や技術基盤は補完関係にあり、両社のリソースを合わせることでシナジーを高め、PACS市場におけるシェア拡大、並びにAIを活用した新規サービスの開発などにも注力し、事業展開を加速していく戦略となっている。新生PSPのPACS市場におけるシェアは稼働施設数ベースで22%超と富士フイルムメディカル(株)に次ぐ第2位となるが、クラウド型サービスでは約7~8割と圧倒的なシェアを握っている。医療分野のクラウドサービスでは個人情報保護の観点からセキュリティ対策が重要となるほか、外部保存しているファイルサイズが非常に大きい医用画像をストレスなく院内で参照することが求められるため、ミッションクリティカルなシステムを構築する高い技術力が必要とされている。旧NOBORIでは情報基盤事業で培ったネットワーク及びセキュリティ分野における豊富な知見と高い技術力、サポート体制を強みにして、こうした課題を解決し顧客の開拓に成功してきた。旧PSPの既存顧客に対してもこうした強みやクラウドサービスのメリットを訴求していくことで、オンプレミス型からの切り替えを進めていく戦略となっている。旧NOBORIと旧PSPの業績規模を直前期で比較して見ると、旧PSPが売上収益で約2.3倍、営業利益で約1.8倍大きいが、成長率に関してはクラウドサービスの拡大を背景に旧NOBORIが高くなっている。また、営業利益率に関しても旧NOBORIが19.3%と旧PSPの15.0%を上回っている。「医知悟」は遠隔画像診断(読影)を行う放射線科医等の専門医と、画像診断を必要とする医療施設等をつなぐ情報インフラを提供するサービスである。「iCOMBOX」と呼ばれる専用通信装置を送り手側・受け手側の双方に設置し、「iCOMSERVER(センターサーバ)」を介して送受信するプラットフォームである。2022年3月末現在で650拠点以上の施設に導入され、利用専門医数は1,400名以上(実質的に稼働している放射線科医の約3分の1が利用)、月間の依頼検査数は約20万件、市場シェアは約34%でトップとなっている。主な導入施設は、医療施設のほか大手健康診断事業者、衛生検査所、各種病院等である。また、「NOBORI」ユーザであれば専用通信装置を設置しなくても施設外の画像診断を行うことが可能となっている。2019年に子会社化したA-Lineは、クラウド型の医療被ばく線量管理システム「MINCADI」を開発・提供している。「MINCADI」は、医用画像検査装置より得られる情報を自動的に取得し、患者ごとの医療被ばく線量や検査ごとの撮影条件をクラウド上で管理し、最適化するためのソリューションである。導入施設数ベースの市場シェアは第2位(200施設超)で、数量ベースのシェアは約21%とトップクラスとなっている。b) CRM分野CRM分野では、企業の顧客サービス向上を支援するコンタクトセンターCRMシステムをオンプレミス及びクラウドサービスで提供している。電話、メール、SNS等による「顧客との接触履歴」と「顧客の声」を一元管理し、コンタクトセンター運営を効率化するCRMシステム「FastHelp」のほか、FAQナレッジシステム「FastAnswer」等を提供している。CRMシステム市場では、パッケージ製品で国内トップシェア、SaaS型ではセールスフォース・ドットコムが主な競合先となる。クラウド型サービスの提供に加え、今後はオンプレミスのライセンスについてもサブスクリプション型課金モデルへの移行を進め、ストック型ビジネスの拡大を目指している。主要パートナーは、(株)ベルシステム24(ベルシステム24ホールディングス<6183>子会社)のほか、NEC<6701>や伊藤忠テクノソリューションズ<4739>など大手システム・インテグレーターであり、各企業のコンタクト(テレマーケティング)センターや顧客サポートセンターで導入されている。また、医薬品業界で「FastHelp」の導入実績が高いことも特長となっている。製薬企業では、日本製薬工業協会(製薬協)において提唱されている「くすり相談窓口」を一般向けに設置しており、国内の多くの製薬企業に同社のCRMシステムが導入されている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <EY> 2022/06/15 16:03 注目トピックス 日本株 テクマト Research Memo(2):情報基盤事業、アプリケーション・サービス事業を展開(1) ■会社概要1. 会社概要テクマトリックス<3762>は、ニチメン(株)(現 双日<2768>)の営業部門の戦略子会社として設立されたニチメンデータシステム(株)が前身である。このため、技術・ビジネスの両面で優れた製品・サービスを発掘する“目利き力”及び“マーケティング力”、レベルの高い“ビジネスオペレーション力”といった商社で培われたノウハウを受け継ぎ、事業展開を進めていることが最大の強みであり、特長となっている。同社の連結子会社は、医用画像管理システム及びクラウドサービスの提供及び個人向けPHRサービスを提供するPSPや、その子会社で遠隔画像診断のインフラサービスを提供する(同)医知悟(いちご)及び医療被ばく線量の管理システムを提供する(株)A-Line、また、ネットワークやサーバの運用・監視及びネットワークエンジニアの派遣、IT製品の輸入・販売・サポートを行うクロス・ヘッド(株)、その子会社でネットワークシステムのコンサルティング・設計・構築・保守や運用監視サービス、ネットワークインフラサービス等を展開するOCH(株)(旧 沖縄クロス・ヘッド(株))、システム開発やIT技術者の教育サービス等を展開する(株)カサレアル、金融機関向けパッケージ製品Aprecciaシリーズの設計・開発を行う山崎情報設計(株)の合計7社となる。また、2022年4月にPSPとエムスリー<2413>の合弁会社として、AI技術を用いた医用画像診断支援サービスを提供するエムスリーAI(株)を設立し、持分法適用会社としている。2. 沿革同社の創業は1984年で、ニチメン(現 双日)の営業部門の戦略子会社として発足した。1990年に受託開発事業に本格参入し、某大手都銀より為替ディーリングシステムを受注し、金融分野で事業開拓の第一歩を踏み出す。1996年には業務パッケージ事業にも参入し、自社開発品となるCRMパッケージ「FastHelp」の販売を開始したほか、1998年にDICOM※対応医用画像サーバ「Secured DICOM Server(現SDS Image Server)」の販売を開始するなど、アプリケーション・サービス事業にも領域を拡大していった。※DICOM:Digital Imaging and COmmunications in Medicineの略で、CTやMRI、CRなどで撮影した医用画像のフォーマットと、それらを扱う医用画像機器間の通信プロトコルを定義した世界標準規格。また、2005年にJASDAQ市場に株式を上場し(現在は東証プライム)、上場で調達した資金を使ってM&Aを推進、事業基盤の拡充に取り組んできた。具体的には、2007年に医療分野の子会社として医知悟を設立したほか、2008年にクロス・ヘッドを連結子会社化、2009年にカサレアルを完全子会社化、2014年にクロス・ヘッドがOCHを完全子会社化している。また、CRM分野での海外展開を目的に、2018年にタイのバンコクに駐在員事務所を開設している。なお、医療分野では2018年にNOBORIを設立し、医療システム事業を会社分割によって同社へ承継し事業展開を進めてきたが、2022年2月に同業のPSPを子会社化し、同年4月にNOBORIを吸収統合する形で新生PSPがスタートした※。※PSPの株主構成比率は、同社50.02%、三井物産<8031>20.00%、エムスリー18.70%、大日本印刷<7912>11.28%となる。3. 事業内容同社の事業は、ネットワーク及びセキュリティシステムの構築、保守、運用・監視サービスを展開する情報基盤事業と、医療分野やCRM分野等の業界及び業務特化型ソリューションサービスを展開するアプリケーション・サービス事業の2つのセグメントで構成される。直近3年間の事業セグメント別構成比では、情報基盤事業が売上収益で65~68%、営業利益で75~82%と過半を占めている。また、営業利益率では情報基盤事業が10%台前半、アプリケーション・サービス事業が1ケタ台後半の水準となっている。情報基盤事業に対してアプリケーション・サービス事業がやや低くなっているが、これはアプリケーション・サービス事業で展開するクラウドサービス等の投資負担が重いためで、償却前営業利益率で見れば情報基盤事業を上回る水準※となっている。また、アプリケーション・サービス事業では新サービスの開発に向けた投資も積極的に行っているため、投資状況によって今後も営業利益率が変動する可能性があるが、趨勢的には売上拡大とともに収益性も上昇していくものと予想される。各事業の内容は以下のとおり。※2022年3月期の償却前営業利益率は、情報基盤事業が14.9%、アプリケーション・サービス事業が17.0%となっている。(1) 情報基盤事業情報基盤事業では、ネットワーク及びセキュリティ分野において独自の目利き力を生かし、北米を中心に高い技術力、競争力、成長力を持つ製品を見極め、単なる製品販売にとどまらずシステム構築から保守サポート、運用・監視サービスに至るまでワンストップ・ソリューションでサービスを提供している。主に、仮想化ソリューション※1、次世代ネットワーク、セキュリティ、ストレージ等の分野を対象としているが、ここ最近は企業の情報システムに対するサイバー攻撃の増大を背景に、クラウド型セキュリティ対策関連の需要が大きく伸長している。主要取扱製品・サービスとしては、Palo Alto Networksの次世代ファイアウォール※2、F5の負荷分散装置※3、Trellixの不正侵入防御システム、Dell Technologiesのクラスターストレージなどがあり、それぞれ販売一次代理店となっている。いずれも世界で高いシェアを持つ製品となっており、2022年3月期の単体売上収益に占める製品売上構成比ではPalo Alto Networks社製品が最も高く3~4割程度を占めるまでになっている。※1 コンピュータシステムを構成する資源(サーバ、ストレージ、ソフトウェア等)に関する技術。複数から構成されるものを論理的に1つのもののように見せかけて利用できるほか、逆に1つのものを論理的に複数に見せかけて利用できる技術。※2 使用されるポート番号やプロトコルなどに関係なく通過するアプリケーションを識別し、それを使うユーザの特定及び制御を行い、さらに幅広い脅威に対するスキャニングを実施することでITネットワーク環境において必要とされる可視化と制御を行うセキュリティシステム。※3 Webサイトへのアクセス集中による反応の低下やシステムダウンを防止するため、多数のアクセス(負荷)が集中した場合に適切に複数のサーバに振り分ける(分散する)装置。情報セキュリティ関連市場の拡大が続くなかで受注競争も激しくなっているが、同社は高い技術力に加えて、24時間365日の保守サポート体制、有人による運用・監視サービスなど、ワンストップで高品質なサービスを提供できる総合力を強みとして、民需・官需問わず幅広い顧客層において実績を積み上げている。連結子会社のクロス・ヘッドは、ネットワークシステムの運用・監視、ネットワークエンジニアの派遣、セキュリティ製品・ストレージ製品の販売、クラウドサービスの導入支援等を行っている。AWS(Amazon Web Services)の認定資格取得者数が約200人と全従業員の過半を占めるまでになっており、2019年5月にはAWSからAPN(AWS Partner Network)アドバンスドコンサルティングパートナー※の認定を取得している。クロス・ヘッドの子会社となるOCHは、データセンター運営やSIerのノウハウと自社クラウド基盤及びネットワーク基盤を生かし、中小企業向けにデータ保護や情報セキュリティなどの自社開発プロダクト、パートナープロダクトサービスをエンタープライズ水準で提供している。※APNアドバンスドコンサルティングパートナーは、AWSに関する営業・技術体制があり、AWSでのシステムインテグレーションやアプリケーション開発等の実績が非常に豊富なパートナーが認定を受けられる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <EY> 2022/06/15 16:02 注目トピックス 日本株 テクマト Research Memo(1):ネットワークセキュリティ製品の好調続く、医療分野もM&A効果による成長期待 ■要約テクマトリックス<3762>は、情報基盤事業とアプリケーション・サービス事業を展開する。情報基盤事業では、独自の“目利き力”により、北米を中心に高い技術力、競争力、成長力を持つネットワーク及びセキュリティ関連の製品を見出し、製品販売にとどまらず、システム構築、保守、運用・監視サービスまでを含めたワンストップ・ソリューションサービスを提供しているのが強みである。また、アプリケーション・サービス事業では、医療、CRM、ソフトウェア品質保証、ビジネスソリューションと新たに開始した教育事業の5つのソリューションサービスを展開している。医療分野では2022年2月に同業のPSP(株)を連結子会社化し、同年4月に子会社の(株)NOBORIを吸収合併消滅会社として両社を合併し、新生PSP(株)として事業をスタートした。1. 2022年3月期の業績概要2022年3月期の連結業績は、売上収益で前期比18.1%増の36,513百万円、営業利益で同4.2%増の3,734百万円といずれも過去最高を更新した。クラウド型セキュリティ対策製品の需要が引き続き拡大し、業績のけん引役となった。受注高も前期比13.1%増の42,767百万円と2ケタ成長が続いた。なお、旧PSPの業績を2ヶ月分(売上収益1,270百万円、営業利益170百万円)取り込んだほか本社移転関連費用445百万円を計上しており、これら特殊要因を除いたベースでは売上収益で13.9%増、営業利益で11.9%増となる。旧PSPはオンプレミス型PACS※1の大手で、クラウド型PACSを展開するNOBORIの競合相手であったが、両社の顧客基盤・技術基盤は補完関係にあり統合することでシナジーを創出し、新規事業であるPHR※2サービスやAI診断サービスといった、データ利活用による事業展開を加速していく戦略となっている。※1 PACS(Picture Archiving and Communication Systems):MRIやCT、超音波診断装置、内視鏡、PET等の医療検査機器で撮影された画像データを受信、データベースへ保存し、端末に表示するシステム。旧PSP、旧NOBORIともに導入施設数は約1,100施設で、統合後の稼働施設数ベースでは国内シェア22%超の第2位となる。※2 PHR(Personal Health Record):個人の健康に関する様々な情報を指す。「NOBORI」は、患者の自己管理の下にクラウド上に医療情報を集約化するスマホアプリを提供している。2. 2023年3月期見通し2023年3月期の連結業績は売上収益で前期比17.8%増の43,000百万円、営業利益で同7.1%増の4,000百万円となる見通し。情報基盤事業はクラウド型セキュリティ対策製品の需要拡大を背景に売上収益で同11.3%増、営業利益で同6.4%増となり、アプリケーション・サービス事業は売上収益で31.3%増、営業利益で10.3%増を見込む。売上収益は旧PSPの連結化による増収効果が大きいが、営業利益は旧PSPの貢献をほとんど見込んでいない。これまで、旧PSPはオンプレミス型のPACS製品の提供を行っていたが、今後はNOBORIとの合併を契機に旧PSPの既存取引先に対してクラウド型のPACS製品の提供に切り替えていく方針であることから、一時的に収益が落ち込むことを想定しているためだ。ただ全体的には保守的な印象が強く、会社計画を達成する可能性は高いと弊社では見ている。3. 中期経営計画「BEYOND THE NEW NORMAL」の進捗について同社は新生PSPが発足したことに伴い、中期経営計画の業績目標値を上方修正した。最終年度の2024年3月期は当初計画(売上収益40,000百万円、営業利益5,000百万円)に対して売上収益で46,000百万円、営業利益で5,100百万円とした。売上収益に対して営業利益の上積みが少ないのは、クラウドサービスへの移行期となる旧PSPの利益貢献がまだ小さいためだ。旧PSPの営業利益は2021年6月期で888百万円となっており、既存顧客のクラウドシフトが一巡すれば少なくとも同程度の利益貢献が期待できることになり、次期中期経営計画では旧NOBORIとの統合効果も含めて業績面への貢献が顕在化してくると、弊社では見ている。情報基盤事業については、サイバーセキュリティ対策のトータルソリューションプロバイダーとして今後も安定的な成長が見込まれ、これに医療分野を中心としたアプリケーション・サービス事業の成長が加わることにより、業績は中長期的に拡大基調が続くものと弊社では見ている。■Key Points・2022年3月期業績は情報基盤事業がけん引し、過去最高を連続更新・2023年3月期業績は豊富な受注残を背景に増収増益が続く見通しで、利益計画は保守的な印象・新生PSPが発足により医療分野の中期的な成長期待が一段と高まる(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <EY> 2022/06/15 16:01 注目トピックス 日本株 ハウスコム Research Memo(8):2022年3月期は減配も配当性向30%は維持 ■株主還元策ハウスコム<3275>は株主還元策として配当を実施している。企業価値を継続的に拡大し株主に利益を還元することを重要な経営課題と位置付けており、配当性向30%の継続を基本方針としている。2022年3月期はコロナ禍の影響を受け、1株あたり年間配当金は前期より3円少ない15円、配当性向31.0%となった。「配当性向30%」はコロナ禍の影響があるなかでも維持しており、今後業績の拡大にともない配当も増配されていくものと弊社は考える。特に、新成長戦略の着実な実行により成長性、収益性、双方が高まっている同社は、今後の成長スピードが加速することが予想され、配当の成長率が高まる可能性もあると弊社は分析する。株主優待について、同社は2020年に新優待制度となる「ハウスコム・プレミアム優待倶楽部」を開始した。保有株式数に応じて優待ポイントが贈呈され、好きな商品と交換できる。個人投資家のなかでも、配当に優待を含めた実質利回りといった株式のインカムゲインによる評価をベースとして、コロナ禍収束後の業績回復シーンにおいて株価上場を検討する志向のある投資家層が注目することが想定できる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎) <SI> 2022/06/15 15:58 注目トピックス 日本株 ハウスコム Research Memo(7):企業市民としてESG経営を積極的に推進 ■積極的なESG経営ハウスコム<3275>は新成長戦略の「グループ経営を前進させるための内部体制の強化」において「多様な人材・多様な働き方の受容」を定めており、ESG経営にも注力している。環境(Environment)への取り組みは、エコカーの導入、LED照明への切り替えを推進しているほか、34の店舗で再生可能エネルギーへの切り替えを実施した。社会(Social)への取り組みにおいては、全従業員に占める女性比率の割合が40.8%まで高まっている。また、2020年11月には日本の企業及び団体におけるLGBTQなど性的マイノリティのダイバーシティ・マネジメントの促進と定着を支援する任意団体であるwork with Prideが策定した職場におけるLGBTQなど性的マイノリティに対する企業の取り組みを評価する指標で「シルバー認定」を取得するなど、多様性を尊重し、積極的に経営に取り込んでいる。企業統治(Governance)おいては取締役のうち社外取締役の占める割合が40%、社外監査役の比率が66.7%と外部の目をいれて企業統治を積極的に強化しているほか、取締役候補者(新任/重任を問わない)の適性及び取締役の業務執行状況の評価等を行う指名評価委員会、支配株主(親会社)との利益が相反する重要な取引について審議・検討を行う利益相反取引等審議委員会などの特別委員会も組織し、企業活動の透明性の向上に努めている。ESG経営に積極的な姿勢は投資家からの資金を呼び込むだけでなく、優秀な人材の確保にもつながると弊社は考える。良き企業市民としてESG経営を推進する中で、多様なバックグラウンドをもった優秀な人材が集まれば従来はなかったようなアイデアが生まれ、魅力的な新ビジネスにつながっていくことも大いに期待できる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎) <SI> 2022/06/15 15:57 注目トピックス 日本株 ハウスコム Research Memo(6):新成長戦略の下で安定した収益基盤の確立・競争力の強化を実行(2) ■中長期の成長戦略3. DX推進によるビジネスモデルの変革とアフターデジタルに向けたノウハウの蓄積賃貸業界でもDXが進み、5年後には「業界の壁が崩壊」、「体験が軸になる」。その中でハウスコム<3275>は「データを制する者が未来を制す」という考えのもと、DXを活用したビジネスモデルの変革を積極的に推進している。2022年3月には未来に向けたDX戦略の取り組みが評価され、「DX認定事業者」の認定を取得した。同社はDXによるビジネスモデルの変革として、データと統計手法を駆使した顧客への物件情報の提供に向けた準備を着実に進めている。具体的には、データを活用した顧客ニーズによりマッチする情報の提供や、多視点クラスタリングという統計手法を用いて顧客自身も気づいていなかった潜在的なニーズを顕在化し、顧客納得度の高い情報の提供を目指す。これらの取り組みにより顧客は従来よりも購買意欲(賃貸契約を結ぶことに対する意欲)の高い状態で来店することが想定され、成約率の向上が期待される。また、社内の活動に対しても積極的にITを活用し、コスト効率や生産性の向上を実現している。例えば、各ポータルサイト(SUUMOなどの物件情報を一覧できるサイトのこと)のデータと同社来店以降のデータを組み合わせることによって顧客ニーズの高いエリアを選定。成約率が高いことが見込まれるエリアに効率的に物件情報を掲載し、広告宣伝費の効率化を実現している。さらに、事務処理のRPA・ペーパーレス化、オンライン内見、IT重説(重要事項説明をオンライン上で行うこと)などの各種施策によって社員あたりの生産性も向上している状況だ。将来的には、上記施策によって蓄積したノウハウを活用し、リアルがデジタルに包含されるアフターデジタルの世界において競争優位を強化することを目指している。具体的には同社の強みの一つであるリアル店舗も活用しながら、顧客体験の各接点においてデータに基づくサービスを提供し、最高の顧客体験を提供。顧客生涯価値の最大化を図っていく。顧客体験が重要になってくるなかで、他社に先駆けてITの活用に着手した同社が保有する大量のデータは強みになると言える。これらに基づいたサービスが競合他社との差別化要因になるとともに、顧客体験の各接点においてサービスを提供するリテンション収入モデルへの移行による継続的な収益確保は同社の財務基盤をより強固にしていくと弊社は考える。4. 店舗数増加による規模の拡大と売買仲介への参入コロナ禍の影響を受けて2022年3月期には店舗数増加による規模の拡大と売買仲介分野への参入における具体的な進展は見られなかったものの、2023年3月期から積極的に実行していく構えだ。具体的には、甲信越地方への初出店を計画しているほか、茨城県へ5店舗目を出店する計画を立てている。また、売買仲介分野への参入については、同社に自主管理家主から現在も多数の売買情報が寄せられており、これらの情報に基づき土地の売買を内製化し、新たな収益源に育てていく考えだ。5. 最高の顧客体験を提供するライフスタイルデザイナーへ同社は、「住まいのデザインカンパニー」になることを目指している。自社の事業を仲介という領域に留めず、「ライフスタイル全般に渡って顧客に価値を提供する」と広く捉えることによって、新たな事業機会の創出、収益源の確立が活発化されることを期待したい。(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎) <SI> 2022/06/15 15:56 注目トピックス 日本株 ハウスコム Research Memo(5):新成長戦略の下で安定した収益基盤の確立・競争力の強化を実行(1) ■中長期の成長戦略ハウスコム<3275>は2021年12月に新成長戦略について発表した。新しい事業ポートフォリオへの転換と成長の加速に向けて、「事業領域拡大による収益構造の転換」「既存事業分野の競争力強化等」「店舗数増加による規模の拡大」「グループ経営を前進させるための内部体制の強化」の4施策を着実に推し進め、3年後の2025年3月期には営業収益167億円、営業利益11.9億円、ROE10.9%、8年後の2030年3月期にはそれぞれ196億円、21.3億円、12.3%の達成を目指す方針だ。店舗数に関しては2030年3月期までに262店舗に拡大することを計画。新成長戦略の下で各施策が着実に実行されている。1. 外部環境に左右されない収益構造を構築する新成長戦略は、コロナ禍の発生によって同社の収益構造が外部環境の影響を受けやすいこと、事業の成長性が店舗数の増加ペースに比例していることなどを課題として策定されたものであり、同戦略のもと、DXによる収益基盤の安定化に注力してきた。従来、同社の主な収入源は各種手数料であったため、会計上の売上総利益率がほぼ100%で、限界利益率が非常に高いビジネスモデル(売り切り収入モデル)だった。そのため、事業環境が交点・悪化を繰り返すような局面では、業績が不安定になる傾向があった。今後は、顧客との各接点において継続的にサービスを提供するリテンション収入モデルへ移行し、安定的な収益確保を図っていく。売上高に占めるストック収入の割合が高まり、外部環境の動向に左右されない収益構造になることが推察される。また、ストック収入の割合が増える中で利益率も高まっていくものと弊社は予想する。具体的には、2021年10月にリリースされた「スマートレント」と同年12月にリリースされた「スマートシステムPLUS」といった継続収入型サービスである。スマートレントは転居の際にかかる初期費用をゼロに抑えることができるという点が特徴だ。これにより、入居のハードルを下げることができる。ここ数年増加傾向にある「引越し時の初期費用を抑えたい」という入居者ニーズに応えることで住み替えのライフサイクルを早め、仲介件数の増加を図るという狙いもある。このサービスの仕組みは、オーナーや管理会社から同社が物件を賃借し転貸。入居者は初期費用額や賃料を自由に設定し、自身の資金計画に沿った形でキャッシュ・フローを組み立てることができる。同社は月々の賃料にスマートレントシステム利用料を上乗せした金額を営業収益として受け取る仕組みだ。また、入居者向けに鍵の故障対応、ガラス破損への対応、水回りのトラブルサポートなどのサービスも提供。これらサービスは無料と有料が組み合わされており、定期的な収益に加えて、入居者のサービス利用状況に応じた追加的な収益を期待することもできる。スマートレントについては現在特許出願中であり、同サービスは同社の優れた企画力を表す商材の1つと言える。また、このスキームは同社がまず物件を借りることからスタートするものであるが、これは高い財務安全性が前提となっており、総じて同社の強みが反映されたサービスであると弊社は評価する。また、スマートシステムPLUSは自主管理家主向けの継続収入型サービスである(2020年にリリースされた「スマートシステム」への反響が大きかったことを受けて利便性をさらに高めたサービス)。1部屋1,650円の料金でスマート内見による空室募集から滞納保証・入居者サポート、退去立会まで各ステップにわたって充実したサポートを受けることができるほか、共用部の清掃や法定点検といったビル管理業務など適宜必要なサービスをシステムから簡単に発注することが可能になる。同社にとっては加入部屋数に応じた定期収益、サービス利用状況に応じた追加収益を安定して得ることができるサービスとなっている。同社の強みの1つとして自主管理家主(不動産管理会社に委託せずに自ら所有物件を管理する家主のこと)との太いパイプを挙げることができる。実際、直近3年で自主管理家主物件を仲介した家主様数が3.3万名になっている。自主管理家主の開拓余地はまだまだ大きく、そういった意味でスマートシステムPLUSの伸び代も大きいと言えるだろう。新規に自主管理家主を獲得することにより、同社の売上に占めるストック収入の割合が高まっていくものと弊社は考える。2. 同業・異業種との積極的業務提携により収益獲得機会の拡大、競争力の強化を図る「既存事業分野の競争力強化等」に関しても着実に計画は進行している。2021年7月には「オンライン内見」サービスを提供する株式会社Tryellとの連携をさらに深化させ、同社の全国直営店で管理する所有物件データを「オンライン内見」情報サイトにて検索することを可能にした。また、同年12月には先述の株式会社アミックスとの提携により「ハラッパ団地・草加運営企画プロジェクト」を開始した。これらの施策によって同社が独占的に関与できる仲介件数を増やし、収益獲得機会を拡大している。将来的には、仲介にとどまらず、様々な業種の企業と提携し新サービスを提供していくことも視野にいれており(ハラッパ団地・草加においてはイベント企画会社と共同でイベントの企画・運営をすることによって、地域との接点を強化し、認知度の向上から集客促進につなげていく施策も計画しているという)、同社の競争力が高まっていくと同時に収益源が多様化していくことが期待される。また、2021年12月には株式会社サカイ引越センターとの業務提携により、スマートレントの対象に引っ越し代金を追加すると共に家具家電のレンタルサービスの提供も開始している。これにより「完全0円」での引っ越しが可能になり、顧客への訴求力が高まることは間違いないと言っても過言ではないだろう。(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎) <SI> 2022/06/15 15:55 注目トピックス 日本株 ハウスコム Research Memo(4):2023年3月期は2期連続の増収増益を目指す ■今後の見通し● 2023年3月期の連結業績見通しハウスコム<3275>の2023年3月期の連結業績について、営業収益で前期比3.7%増の14,735百万円、営業利益で同6.9%増の447百万円、経常利益で同4.7%増の643百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同5.4%増の392百万円と2期連続の増収増益、かつ過去最高の営業収益を見込んでいる。2021年12月に策定した「新成長戦略」(後述)を着実に推し進め、増収増益を達成したい考えだ。具体的には、新規出店の加速、継続収入型サービスの拡充による収益構造の転換と多様化、DX推進による最高の顧客体験の提供・生産性の向上などの各種施策の実行によって営業収益、各利益を伸長させることを計画している。2023年3月期の業績予想に関して弊社は、達成の可能性は十分にあると考える。コロナ禍になる前(2017年3月期~2020年3月期)の同社の営業収益CAGRは8.8%であり、2019年3月期の営業利益率は9.9%と事業の成長性が元々高いこと、収益性も回復してきていることなどが理由だ。また、同社はもともと業績計画を保守的に開示する傾向があり、計画の上方修正が多く見られる会社である。新成長戦略の実行により高まった成長性と収益性を考慮すると予想を上回る業績で着地する可能性もあり、投資家の注目度は今後大きく高まっていくと弊社は考える。(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎) <SI> 2022/06/15 15:54 注目トピックス 日本株 ハウスコム Research Memo(3):2022年3月期の営業収益は過去最高を記録し大幅増収増益 ■業績動向1. 2022年3月期の連結業績概要ハウスコム<3275>の2022年3月期の連結業績は、コロナ禍の影響を受けながらも段階的に社会経済活動が再開してきたことによって営業収益(売上高)で前期比15.5%増の14,206百万円、営業利益で同18.9%増の418百万円、経常利益で同6.7%増の614百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同19.4%増の372百万円となり、前期比で大幅な増収増益を達成するとともに過去最高の営業収益を記録した。2020年12月に買収し、今年度より損益が反映されることになった株式会社宅都が、主要事業エリアである大阪中心部においてコロナ禍の深刻な影響を受けたことにより、連結決算は当初想定を下回ったものの(営業収益は予想比-2.9%、営業利益は同-15.2%、親会社に帰属する当期純利益は同-23.3%)、既存事業(宅都を除いた営業収益)の業績は好調に推移した。2022年3月期の営業収益は12,775百万円とコロナ禍の影響が深刻化する前の2019年3月期の11,600百万円を上回る実績を残した。連結営業収益に関してもコロナ禍の影響が軽微だった2020年3月期を上回った。また、収益力の回復も業績に現れてきた。第4四半期の営業利益は847百万円となり、2020年3月期第4四半期の825百万円、2021年3月期第4四半期の707百万円を大きく上回る結果となった。セグメント別の業績は、不動産関連事業の営業収益が12,832百万円(前期比19.3%増)、営業利益が2,010百万円(同2.4%増)となった。国内経済活動が少しずつ活発化していくとともに多くの地域で転居需要の回復が見られるなか、同社のきめ細かい営業施策の工夫の成果が鮮明に表れ、仲介件数も同3,941件増の7万6,220件に伸長した。店舗数の減少は、主に事業環境の変化に対応した統廃合によるものだ。店舗数が減ったなかで仲介件数が増加しているのは、新成長戦略の効果により店舗あたりの生産性が上昇している証左である。施工関連事業の営業収益が1,374百万円(同10.9%減)、営業利益が87百万円(同11.5%増)となった。施工関連事業は、営業収益こそ前期比でマイナスとなったものの、原価・経費の削減に努めた結果、利益の面では前年を上回る結果での着地となった。2022年3月期は、成長性、収益性の面で将来の見通しが明るいことを示す結果を残した。この背景にあるのは、新成長戦略(後述)の着実な実行であると弊社は考える。財務体質は非常に健全 流動比率213.5%、固定比率69.5%で手元流動性にも問題なしROEは今後の回復が期待される2. 財務状況と経営指標2022年3月期末時点の同社の財務状況は、親会社に帰属する当期純利益が372百万円と堅調に推移したことにより純資産の部の利益剰余金が355百万円増加している。利益剰余金は2019年3月期以降順調に増加しており、事業活動の結果としてしっかりと利益を積み上げてきたことが窺える。利益の積み上げの結果、自己資本比率は66.4%まで改善している。また、流動比率と固定比率がそれぞれ213.5%、69.5%であり、長短の手元流動性にも全く問題がないと言える。キャッシュも45億4500万円としっかりと積み上がっており、同社の財務健全性は高いと弊社は考える。収益性に関しては、低下傾向にあるものの、新成長戦略の下に強化された成長性・収益性によって今後、回復していくものと弊社では見ている。ROAが減少した要因は、コロナ禍の影響を受け、利益水準が下がる中で積極的なIT投資を行ってきた結果である。これらの投資は2023年3月期以降に実を結んでいくものと考える。ROEに関してはコロナ禍以前の2019年3月期が15.6%と非常に高い数値を出していたことから、今後、利益水準が回復していく中で再び高まっていくことが予想される。キャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の増加等により営業活動によるキャッシュ・フローが767百万円となり、前期比514百万円と大幅に増加している。投資活動によるキャッシュ・フローが228百万円となった。主な要因は無形固定資産の取得による支出だが、営業キャッシュ・フローの範囲内で賄われており、健全な投資活動であると言える。無形固定資産を見てみると、2019年3月期末時点の73百万円から2022年3月期末時点の1,862百万円と大幅に増加している。この点からも同社たITを積極的にビジネスに取り入れ、競争優位を強化しようとしていることが窺える。(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎) <SI> 2022/06/15 15:53 注目トピックス 日本株 ハウスコム Research Memo(2):不動産テックからビジネスモデル全体を変革する不動産DX企業への転換図る ■会社概要1. 会社概要と沿革ハウスコム<3275>は、首都圏、中部圏、関西圏及び九州圏を中心に不動産仲介及び住まい関連サービスを提供する業界有数の成長企業である。1998年に大東建託<1878>の100%出資子会社として設立。2003年に(株)ジューシィ情報センターから首都圏及び東海圏の62店舗の営業権を取得し、店舗網の基盤とした。直営店の新規出店とともに、周辺業務(損害保険代理店・リフォーム工事取次・引越取次・広告代理店など)を取り込み、順調に業績を伸ばしてきた。「住まいを通して人を幸せにする世界を創る」というミッションを掲げ、「地域社会の玄関」と位置付ける店舗を通して入居者や家主に対してのお役立ちや地域密着を徹底。出店は関東、東海、関西を中心に大規模都市や人口流動性の高い地域に集中しており、2022年3月末時点で全国にハウスコム直営店182店舗・宅都直営店24店舗・FC店1店舗を持つ。グループの従業員数は1,195名。2011年6月に、大証JASDAQ市場に上場。2019年6月には東証2部、8月には東証1部にそれぞれ昇格。2020年3月期からは、M&Aにより2社を子会社化し、連結経営をスタートさせた。2021年3月には宅都を子会社化し、関西圏の店舗網拡充を加速している。2014年3月に代表取締役社長に就任した田村穂(たむらけい)氏は、8年にわたりリーダーシップを発揮し、収益構造を改善・維持しながら、事業規模を拡大してきた。この8年間に、積極的かつ立地を吟味した店舗網の拡大、WebやAIといったITツールの積極活用、リフォーム事業への進出・拡大などを成功させている。特筆すべきは、ITがビジネスに与える可能性に早くから着目してきたことだ。画期的なサービスの開発・提供や事業活動の生産性向上に注力し「不動産テックのハウスコム」と呼ばれてきた。2015年現地に出向かなくとも物件の内見が可能な「オンライン内見」を、2016年にはチャットで部屋探しの相談ができる「マイボックス」サービスをリリースしている。経済産業省が、ITシステムのあり方を中心に、日本企業がDXを実現していくうえでの現状の課題の整理とその対応策の検討を行うことを目的とした「デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会」を設置した年が2018年ということを考えると、同社、及び代表取締役社長の田村氏がいかに先見性を持っているかということが分かるだろう。今後はDXによりバリューチェーンからバリュージャーニーへの拡大、ビジネスモデルの変革を実現し、最高の顧客体験の提供と収益性のさらなる向上を目指す構えだ。2. 事業構成同社の事業セグメントは、2020年3月期から「不動産関連事業」と「施工関連事業」の2分類に変更された。「不動産関連事業」は、住宅を探す個人に対して、アパートやマンションなどの賃貸物件を紹介し、成約時に不動産仲介手数料を得るサービスが基本となる。仲介業務の進行にあたり、関連サービスとして、入居者募集用の広告掲載依頼への対応、引越・損害保険等の各種サービスの取次業務、契約更新業務なども手掛ける。「施工関連事業」は、不動産仲介を契機として原状回復工事やリフォーム工事、鍵交換、サニタリー工事などのほか、外部のリフォームや改修工事などを行う。住む人と部屋をつなぐという点では両事業は類似する事業である。今後は、仲介手数料を得るという「売り切り型」の収益モデルに加えて、スマートレントやスマートシステムPLUSなどの「継続収入型」のサービスも新たな収益基盤として育てていく方針だ。将来的には自社単体、または他社との提携により顧客体験の各接点に対応したサービスを提供するリテンション収入モデルへの移行を計画しており、同社の収益基盤はより強固になっていくことが予想される。(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎) <SI> 2022/06/15 15:52 注目トピックス 日本株 ハウスコム Research Memo(1):収益力はコロナ禍前の水準に回復、前期比で大幅な増収増益を達成 ■要約ハウスコム<3275>は、首都圏、中部圏、関西圏及び九州圏を中心に不動産仲介及び住まい関連サービスを提供する企業である。早くからITの可能性に着目し、画期的なサービスの開発・提供や事業活動の生産性向上に注力してきたことから「不動産テックのハウスコム」と呼ばれてきた。ITの積極活用は高い成長性と収益性にも結実する。2017年3月期~2020年3月期(新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響が深刻化する以前)の営業収益(売上高)の年平均成長率(CAGR)は8.8%、2019年3月期の営業利益率は9.9%と業界内でも優れた実績を残している。今後はITとデータの活用をさらに推進し、「不動産DXのハウスコム」として成長を加速させていく考えだ。1. 2022年3月期の連結業績概要2022年3月期の連結業績は、コロナ禍の影響を受けながらも段階的に社会経済活動が再開してきたことによって営業収益で前期比15.5%増の14,206百万円、営業利益で同18.9%増の418百万円、経常利益で同6.7%増の614百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同19.4%増の372百万円となり、大幅な増収増益を達成するとともに過去最高の営業収益を記録した。2020年12月に買収し、今年度より損益が反映されることになった株式会社宅都が、主要事業エリアである大阪中心部においてコロナ禍の深刻な影響を受けたことにより、連結決算は当初想定を下回ったものの(営業収益は予想比-2.9%、営業利益は同-15.2%、親会社に帰属する当期純利益は同-23.3%)、既存事業(宅都を除いた営業収益)の業績は好調に推移した。2022年3月期の営業収益は12,775百万円とコロナ禍の影響が深刻化する前の2019年3月期の11,600百万円を上回る結果を残した。連結営業収益に関してもコロナ禍の影響がまだ軽微だった2020年3月期を上回っている。また、収益力も回復してきた。第4四半期の営業利益は847百万円となり、2020年3月期第4四半期の825百万円、2021年3月期第4四半期の707百万円を共に大きく上回る結果を残した。2. 2023年3月期の連結業績見通し2023年3月期の連結業績について、営業収益で前期比3.7%増の14,735百万円、営業利益で同6.9%増の447百万円、経常利益で同4.7%増の643百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同5.4%増の392百万円と2期連続の増収増益、かつ過去最高の営業収益を見込んでいる。2021年12月に策定した「新成長戦略」を着実に推し進め、増収増益を達成したい考えだ。具体的には、新規出店の加速、継続収入型サービスの拡充による収益構造の転換と多様化、DX推進による最高の顧客体験の提供、生産性の向上など各種施策の実行によって営業収益、各利益を伸長させる計画である。3. 中長期の成長戦略と進捗状況同社は新成長戦略のもと、「事業領域拡大による収益構造の転換」「既存事業分野の競争力強化等」「店舗数増加による規模の拡大」「グループ経営を前進させるための内部体制の強化」の4つの施策を着実に推し進めている。これら4つの施策を着実に実行するために鍵となってくるのがDX(デジタルトランスフォーメーション:データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズに応じて、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること)だ。従前から「不動産テックのハウスコム」と言われていた同社はDXに関しても強力に推進している。データと統計手法を駆使した物件情報の提案による質の高い顧客体験の実現と、それによる営業面での競争力強化、質の高い顧客体験をオンライン上で提供することによる来店時の成約率向上、スマートレント(同社が賃貸物件を借り上げ転貸することによって、入居者は敷金などの初期費用と賃料を自由に設定できるサービス。同社には月々の賃料と手数料が継続的な収入として計上される)・スマートシステムPLUS(自主管理家主向けサービス。自主管理家主はビル管理業務などを同社のシステムを通して発注できる)など継続収入型サービスのリリースと拡販、RPAなどによる工数の削減などの施策を着実に実施してきた。4. ESGを重視した経営同社は昨今の社会の潮流を反映し、ESG経営にも注力している(新成長戦略の「グループ経営を前進させるための内部体制の強化」においても多様な人材の受容などを掲げている)。再生可能エネルギーへの切替を34店舗(2022年3月期末時点)で実施するといった環境に配慮した事業活動や、女性の職員比率40.8%など多様性を重視した経営を実施している。また、同社取締役5人のうち、2人を社外取締役に充てるなど、経営に外部の目をいれることによってガバナンスの強化にも努めている。■Key Points・2022年3月期は前期比で大幅な増収増益・計画未達も既存事業はコロナ禍以前の収益力を回復・新成長戦略の着実な実行により2023年3月期も増収増益を目指す・社会の変化に迅速かつ肯定的に対応し、ESG経営にも注力(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎) <SI> 2022/06/15 15:51 注目トピックス 日本株 三和HD Research Memo(8):配当性向の目安を40.0%に引き上げ、2023年3月期は大幅な増配を予想 ■株主還元三和ホールディングス<5929>は株主還元を配当によることを基本としている。その実施に当たっては、企業体質の改善、経営基盤の強化を図りつつ、企業価値増大に向けた経営をさらに推進するために安定した配当性向を維持し、連結業績に連動した利益配分を行うことを基本方針としている。具体的な基準としては、従来は親会社株主に帰属する当期純利益に対する配当性向35.0%を目安としていたが、新中期経営計画では目安を40.0%に引き上げた。2022年3月期は業績回復を反映して、前期比2.0円増の年間配当36.0円(中間配当17.0円、期末配当19.0円)を予定し、配当性向は34.8%の見通しだ。2023年3月期には、さらなる好業績を予想し、年間配当45.0円(中間配当22.0円、期末配当23.0円)と9.0円の増配を予定し、配当性向は39.8%に上昇する見通しだ。また、同社はこれまでも度々自社株取得を実施している。2023年3月期も必要な戦略投資を行い、手元資金を考慮しつつ自社株取得を検討する。こうした株主還元は、同社グループの株主重視の経営姿勢を示すものと言える。(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希) <SI> 2022/06/15 15:28 注目トピックス 日本株 三和HD Research Memo(7):「三和グローバルビジョン2030」、「中期経営計画2024」をスタート(2) ■三和ホールディングス<5929>の中長期の成長戦略4. 基本戦略(2):アジア事業の成長力強化アジア事業の生産・販売体制を再構築しシェアを獲得することで、第4の柱としての基盤を構築する。アジアについては、生産、販売、管理、全てにおいて、未だ事業基盤が脆弱であり、それら全てを強化する必要がある。そこで第1に、設備増強による生産能力の大幅アップを図る。生産設備については、常熟工場がまもなく稼動を始める予定であり、今後ビジネス計画に沿って拡大する予定だ。また、中国以外にもベトナム、台湾、インドネシアの各拠点で生産設備の刷新に着手しており、これを着実に実行することで、コスト、品質面で優れた製品を製造、提供する。第2に、販売体制の見直しと多品種化への対応を図る。アジアについては販売体制にも不十分な点があり、中国では販売体制を再編して、販売力の強化に取り組む計画だ。また、防火、遮熱市場では品揃えを増やして売上拡大を目指す。第3に、事業体制の基盤強化を図る。管理体制のシステム化や人材育成を、各社単位ではなくアジア全体で行う計画である。5. 基本戦略(3):防災・環境対応製品の拡充と製品・サービスのスマート化推進気候変動やデジタル化などで変化する社会のニーズに応える防災・環境対応製品の拡充と、製品・サービスのスマート化を推進する。第1の、防災・環境対応製品の拡充については、同社が取り扱う製品はもともと防災・環境対応に密接に関連しているが、昨今、環境がクローズアップされ、災害が頻繁に起きて激甚化していることから、より深く取り組む考えだ。2025年3月期までに防災商品、気候変動適応商品、気候変動緩和商品の合計で約400億円の増加、年平均8.1%の成長を目指す。この分野を今後の成長分野と捉えて、伸ばす計画だ。第2に、製品・サービスのスマート化を推進する。IoT・電動化対応製品の拡充、IoTを活用したサービス事業の拡大は、米国などでは進んでいるのに対し、国内ではこれからの状況であり、グループ全体で取り組む考えである。6. 基本戦略(4):デジタル化とものづくり革新業務プロセスのデジタル化や、生産能力拡大と省力化投資を推進する。デジタル化は待ったなしの課題であり、グローバルに取り組んでいる。日本では、設備を刷新し、社内の各種業務のデジタル化やアプリを利用した業務システムの効率化を図る。米州では、ERP(企業資源計画)による生産性改善を目指す。欧州では、物流を強化するために、社内プロセスのさらなるデジタル化に取り組む。アジアでは、ERPによる業務プロセス改善を推進する。また、ものづくり革新では、日本では設備の自動化やロボット等を活用し、施行生産性を改善する。日本では、今後はドアが伸びる見通しであり、能力の増強にも努める計画だ。米州では、米州地域全体での製造体制の最適化が課題である。欧州では、ビジネスやエリアの拡大に合わせて、製造・物流を強化する。中国では、2023年3月期の上期中に常熟工場を設立稼働させ、生産設備の最新鋭化により生産能力拡大を図る。今後3年間で、設備投資に340億円、IT投資に120億円、合計460億円と、前中期経営計画から200億円増額することで結果を出す考えだ。7. 基本戦略(5):サステナビリティ経営の推進サステナビリティとは、世界を持続的な状態にするために、経済活動と環境や社会を保護・保全する活動を両立させながら事業などを行うことである。同社グループでは、既にESG(Environment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)の頭文字)を推進、社会からより信頼される企業を目指して様々な施策に取り組んでいる。三和シヤッター工業では、2030年のCO2排出量を2019年度比で30%削減するという定量目標を掲げていたが、環境対策に対する世の中の速い動きに合わせて、2050年には事業活動に伴うCO2排出量を実質ゼロにする新たな目標を追加した。また、ESGマテリアリティ(ESGに関する重要課題)を刷新して、ものづくり、環境、人の3つの枠組みでESGを推進しているが、実効性を高めるために、11個のマテリアリティに紐づいたKPI(重要業績評価指標)を設けて取り組むこととした。こうした施策により“サステナブルで住み続けられるまちの実現”を目指している。近年、年金基金など主要投資家の間では企業の社会的責任に対する関心が高まっており、ESGに対する企業の取り組みを重視して銘柄を選別する「ESG投資」が拡大傾向にある。同社グループは、サステナビリティへのこれまでの取り組みや情報開示の姿勢が評価され、「FTSE4Good Index Series」、「FTSE Blossom Japan Sector Relative Index」、「S&P/JPXカーボン・エフィシエント指数」など、国内外のESGインデックスに組み入れられている。このようなサステナビリティへの外部評価の高まりは、同社株への投資家層の関心をさらに広げることになるだろう。(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希) <SI> 2022/06/15 15:27 注目トピックス 日本株 三和HD Research Memo(6):「三和グローバルビジョン2030」、「中期経営計画2024」をスタート(1) ■中長期の成長戦略1. 「三和グローバルビジョン2020」の振り返り三和ホールディングス<5929>の中長期の成長戦略は、長期ビジョンと、その実現に向けた具体的アクションプランとしての中期経営計画の2段構成となっている。これまで2014年3月期に策定した「三和グローバルビジョン2020」を長期ビジョンとし、その仕上げとして「第三次中期経営計画」(2020年3月期~2021年3月期)を推進してきた。しかし、世界的なコロナ禍による、想定していなかった経済環境の悪化に直面した。2021年3月期はコロナ禍対応に追われたことで達成できなかった戦略もあったため、同社グループでは中期経営計画を1年延長し、やり残した戦略の完遂を目指した。その結果、2022年3月期には、売上高は約2,000億円増の4,690億円に拡大し、特に海外売上高は2倍になった。営業利益率は2.3ポイント上昇の7.6%、ROEも4.1ポイント上昇の12.0%などの成果をあげた。ただ、コロナ禍による環境悪化の影響から、売上高を除き、数値目標は未達に終わった。特に、営業利益率の改善は小幅にとどまり、今後の課題として残った。また、三和グローバルビジョン2020で掲げた4つの基本戦略の達成状況を振り返ると、(1)「日米欧のトップブランド確立」は、日・米で地位を不動のものとし、欧州でもM&A等により成長するなど、各地域で成果を上げることができた。ただ、日・米・欧とも、需要増に伴う供給力の拡大やデジタル化などの課題が残った。(2)「サービス分野の強化」は、グループ全体のサービス売上が640億円に拡大するなど、堅調であった。特に日本では2019年の鈴木シャッター買収もあり、大きく伸びた。欧州も取り組みの成果が出始めているが、米州ではやや遅れている。今後は、サービス分野のスマート化を強化する必要がある。(3)「アジア事業の拡充と新興国への進出」は、アジアではビジネス基盤を作る段階であり、引き続き成長力強化の課題を残した。(4)「グローバル市場の全体最適化」は、グローバルな連携強化を目指したが、期待した成果は出ず、グローバル人材力強化の課題を残した。ただ、グローバル・メジャーを目指して取り組んできた長期ビジョンの下で、主要な戦略は達成できたと総括できよう。2. 「三和グローバルビジョン2030」、「中期経営計画2024」の取り組み新たに取り組む長期ビジョンの三和グローバルビジョン2030では、「To be a Global Leader of Smart Entrance Solutions ~高機能開口部のグローバルリーダーへ~」をビジョンとして掲げている。気候変動やデジタル化など、激しく変化する社会のニーズに応える高機能な開口部ソリューションをグローバルに提供するとともに、サステナビリティ経営と人材力強化により全てのステークホルダーから評価される企業グループを目指すものだ。2031年3月期に向けた基本戦略として、(1)「日・米・欧・ア 世界4極体制でのコア事業の拡大、強化」、(2)「防災・環境対応、製品・サービスのスマート化による顧客価値創造」、(3)「デジタル化とものづくり革新による生産性向上」、(4)「M&Aを活用したコア事業強化と新規事業領域への拡大、(5)「サステナビリティ経営によりグローバルに評価される企業グループへ」の5つを掲げる。長期ビジョンにおける最初の3年を「中期経営計画2024」(2023年3月期~2025年3月期)と位置づけ、気候変動やデジタル化で変化する社会のニーズに応える高機能開口部ソリューションのグローバルリーダーに向けた基盤を確立する。それを実現するための基本戦略として、(1)「日・米・欧のコア事業(シャッター・ドア、サービス)の強化、領域拡大」、(2)「アジア事業の成長力強化」、(3)「防災・環境対応製品の拡充と製品・サービスのスマート化推進」、(4)「デジタル化とものづくり革新による生産性向上」、(5)「サステナビリティ経営の推進」を掲げている。特に、アジアは目指す姿との乖離が大きく、強化のポイントである。また、防災・環境対応製品、あるいはサービスのスマート化やデジタル化も強化の必要がある。数値目標としては、最終年度の2025年3月期には、売上高5,800億円(年平均成長率7.3%)、営業利益450億円(同8.2%)、SVA190億円、ROIC17.5%、ROE13.5%と、主要指標で過去最高を目標に掲げる。また、自己資本比率51.1%、DEレシオ0.21倍を目標に財務の安全性を十分に確保しながら、キャッシュ・フローと手元資金水準を考慮し、2023年3月期から配当性向を40.0%目安に引き上げる。成長のための設備投資を大幅に増加する一方で、株主還元にも積極的に対応する方針である。セクター別では、日本は売上高2,760億円(年平均成長率5.3%)、営業利益275.0億円(同4.0%)を、米州(ODC)は売上高1,820億円(同9.4%)、営業利益135.0億円(同17.2%)を、欧州(NF)は売上高990億円(同4.9%)、営業利益62.0億円(同16.4%)を、アジアは売上高160億円(同27.7%)、営業利益8.0億円(同88.7%)の達成を目指す。グローバル・メジャーとして、日本での盤石な地位を確保・拡大するとともに、米・欧・アでの飛躍的な売上高・利益の拡大を目指す意欲的な計画といえよう。中期経営計画の今後の進捗状況に注目したい。3. 基本戦略(1):日・米・欧のコア事業の強化、領域拡大顧客ニーズに的確・迅速に対応し、シャッター事業・ドア事業及びサービス事業を含めたコア事業の強化・拡大を図る。第1に、シャッター事業・ドア事業のシェア拡大を目指す。シャッターやドアなどの基幹商品を、住宅事業及び非住宅事業において拡大し、販売価格アップも同時に行う。そして、事業拡大に向けた体制を強化していく。第2に、サービス事業の拡大を図る。サービス事業(修理、メンテ、保守点検など)は、同社のビジネスにとっては非常に重要な部分であり、日本が他地域に比べて利益率が高い理由でもある。これを重点的に伸ばすことで、売上高を2022年3月期の640億円から2025年3月期には760億円まで拡大する。第3に、M&Aを活用した事業強化と領域拡大を目指す。シャッター、ドア事業、サービス事業などコア事業の強化、建具から周辺事業への展開による新しい領域の拡大を目指し、3年間で約200億円をM&Aに投じる計画だ。(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希) <SI> 2022/06/15 15:26 注目トピックス 日本株 三和HD Research Memo(5):2023年3月期は、大幅な増収増益で過去最高の連続更新を予想 ■三和ホールディングス<5929>の今後の見通し● 2023年3月期の業績予想今後の世界経済は、コロナ禍対策に万全を期しつつ、経済活動が正常化に向かい、景気の持ち直しの動きが加速することが期待される。一方で、インフレーションの加速と利上げ、サプライチェーンの混乱等による影響に加え、中国でのロックダウンやウクライナ情勢の今後の展開により景気が下振れするリスクがある等、先行きは非常に不透明感が強い状況が続くものと予想される。こうした環境下、同社グループは、「三和グローバルビジョン2020」の仕上げの年度である2022年3月期を過去最高の業績で締めくくることができた。さらに全てのステークホルダーから評価される企業グループを目指し、2023年3月期より、「三和グローバルビジョン2030」を掲げ、その第一次として「中期経営計画2024」をスタートさせた。以上から、同社グループは2023年3月期について、売上高518,000百万円(前期比10.5%増)、営業利益39,000百万円(同9.9%増)、経常利益38,000百万円(同11.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益25,000百万円(同9.4%増)とした。大幅な増収増益で、過去最高を連続更新する予想である。売上高は初の5千億円を突破し、海外比率も初めて50%超を見込んでいる。また、原材料価格の上昇を販売価格への転嫁により吸収し、増益を確保する計画だ。同社グループは期初に慎重な業績予想を発表する傾向があり、前期も期初予想を大きく上回って着地している。ウクライナ情勢に伴う原材料価格の上昇に不透明感が残るものの、今期も期初計画を上回る業績を達成する可能性が高いと弊社では考える。セクター別の業績見通しは以下のとおりである。(1) 日本グループの中心である三和シヤッター工業と国内子会社の業績は、売上高2,478億円(前期比4.8%増)、営業利益244.7億円(同0.0%減)を予想している。売上高は、大型の再開発案件など、非住宅分野(商業施設・オフィス、学校、医療・福祉施設、工場・倉庫など)の環境改善を見込み、数量増による増収を予想。ただ、営業利益は、事業拡大に向けた先行投資や原材料価格の上昇が大きく、ほぼ前期並みの水準を見込んでいる。(2) 米州(ODC)米国のODCの業績は、売上高1,691億円(前期比21.5%増)、営業利益115.0億円(同37.3%増)と、高い増収増益率を予想している。サプライチェーンの混乱から納期が延びているものの、住宅市場の活況は続いており、売上高は、数量増による増収を見込む。営業利益は、引き続き原材料価格の上昇分を販売価格への転嫁で補い、生産性の改善により増益を予想する。(3) 欧州(NF)欧州のNFの業績は、売上高919億円(前期比7.1%増)、営業利益46.0億円(同16.9%増)と、高い増益率を予想している。売上高は、各セグメントともに増収を見込む。営業利益は、原材料価格上昇分を販売価格への転嫁で補い、営業利益率は改善する見込み。ただ、ウクライナ情勢の影響については不透明感が残る。(4) アジアアジア事業の業績は、売上高100億円(前期比30.5%増)、営業利益3.0億円(同150.3%増)を予想している。数量増により、増収増益を見込み、アジア各社ともに黒字を予想する。(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希) <SI> 2022/06/15 15:25

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