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ステップ Research Memo(6):2023年9月期業績計画はコロナ禍の動向が不透明なため保守的に策定
■今後の見通し1. 2023年9月期の業績見通しステップ<9795>の2023年9月期の業績は、売上高で前期比5.9%増の14,456百万円、営業利益で同5.6%増の3,862百万円、経常利益で同4.6%増の3,900百万円、当期純利益で同4.1%増の2,668百万円と増収増益が続く見通しだ。ただ、収益認識会計基準等の適用に伴う312百万円のプラス要因を除いたベースで見ると、売上高は3.5%増、営業利益は2.7%減となる。これはコロナ禍の今後の動向が生徒募集に影響を与えるため、その影響がやや不透明な状況であることによる。また、利益面では人件費や水道光熱費、広告宣伝費、求人費等の増加を織り込んだ。人件費については前期同様に増加する見込みであるほか、水道光熱費が電気料金の値上げにより約30%増、金額で約50百万円の増加となる見通しである。広告宣伝費については折込チラシの量は減少するものの、紙代の値上げにより金額ベースでは若干増となる可能性がある。また、求人費についても採用活動の強化に伴い若干増を計画している。(1) 生徒数の動向とスクールの新設計画小中学生部門の生徒数は2022年10月末で前年同期比3.2%増となっている。小学生については同6.0%増と堅調で、中学生も受験学年となる3年生は同5.5%増と堅調だが、1年生が0.3%増、2年生が1.3%増と、夏場にコロナ第7波が直撃した影響を受けた。中学1~2年生については入塾のタイミングが先送りされた格好で、11月に入ってから第8波が到来しつつあることを考慮すれば年内は同様のペースが続く見通しだ。ただ、新規入塾のタイミングとなる2023年3月頃にコロナ禍が収束していれば、様子見していた生徒の入塾ペースが一気に増え、業績の上乗せ要因となる可能性はある。いずれにしても、今後のコロナ禍の動向次第と言える。一方、高校生部門の生徒数は2022年10月末で前年同期比4.5%増となっており、学年別で見れば1年生が同11.2%増と好調で、2年生が同0.8%減、3年生が同3.4%増となっている。2年生についてはコロナ禍の影響で低迷しているものと考えられ、3年生に繰り上がる春先には増加に転じるものと予想される。このため高校生部門についても、コロナ禍が春先までに収束している状況であれば、10月末時点の伸び率を上回る可能性も十分考えられる。なお、新規開校については小中学部で4スクールを2023年春に予定しており、高校部は移転・増床も含めて現段階で予定はない(物件が見つかれば移転増床の可能性有り)。小中学部4スクールは、「STEP」の井土ヶ谷スクール(横浜市南区)、鶴見スクール(横浜市鶴見区)、溝の口スクール(川崎市高津区)、「Hi-STEP」の武蔵小杉スクール(川崎市中原区)となる。横浜市鶴見区には初進出となり、立地も駅直結の好立地な条件であるため初年度から生徒獲得が期待される。また、武蔵小杉は学齢人口が増加している人気エリアで競争も激しいが、川崎エリアを攻略するための重要な拠点となる。これらの開校により、JR南武線の主要駅はほぼカバーしたことになり、川崎エリアのトップ校である多摩高校での合格実績トップを早期に奪取する戦略だ※。※2022年春の合額実績は52名で、臨海セミナー77名、湘南ゼミナール62名に次ぐ3番手。(2) 学童保育の展開について学童保育部門については、2020年に新規開設した2教室を含めて、現在3教室を運営している。生徒数は2022年10月末時点で336名と順調に拡大を続けている。安心・安全で有意義な放課後ライフの実現、知的な成長の場になることをコンセプトに、知的好奇心を育む各種教育プログラム※を提供していることが特徴で、生徒や保護者からも好評を得ていることが背景にある。※楽しく学ぶ「探求プログラム」として、サイエンス、プログラミング、はば広教養、ことば、英語、英検講座、英会話、算数、算数(思考)の9種類があり、「エンジョイプログラム(スポーツや趣味の習い事)」として手話、将棋、百人一首、音楽、ダンス、体育の6種類を用意している。収益面では、2016年に開校した「湘南教室」に続き、「辻堂教室」も2022年9月期に黒字化を達成、営業利益率も10%を超える水準となった。「茅ヶ崎教室」についてはコロナ禍の影響で生徒数がやや伸び悩み黒字化まではしばらく時間を要するものの、今後生徒数の増加により収益性向上が期待できる状況となっている。同社は黒字化に向けての収益モデルが確立できたことから、2023年春に4校目となる白楽教室(横浜市神奈川区)を開校することを決定した。生徒募集も初年度から小学1年生~4年生までの一斉募集を行う。従来は段階を踏まえて募集してきた。横浜市では各小学校で学童のサービスが提供されているが、同社は各種教育プログラムも提供する高付加価値型のサービスとしてニーズがあるものと考えており、横浜でも生徒を獲得し収益化できるものと判断した。開校3年目で黒字化できれば、そのほかのエリアにも順次広げることにしている。「STEPキッズ」の生徒はそのまま「STEP」に入塾する可能性が高いため、「STEPキッズ」のネットワークを広げることで「STEP」全体の生徒数増加につなげていく戦略だ。また、同社は2022年春に「STEPキッズ」で提供する教育プログラムだけを取り出して、小学3年生~6年生を対象に提供する「ステップジュニアラボ」湘南教室を、JR藤沢駅北口の新校舎内に開設した。プログラム内容は算数、国語、英語、英会話、英検に加え、サイエンス、プログラミング、ダンス、音楽、手芸、作文などを揃えている。小学生の学ぶ意欲、成長意欲に積極的に応えていく新機軸のスクールとして、「STEPキッズ」と共に一体となって成長させる考えで、コンテンツの研究開発の場として時間を掛けて取り組んでいくことにしている。(3) 採用計画成長の源泉となる人材の採用については、2022年春に新卒で前期比約2倍となる60名と過去最高の採用を行った。2023年春は中途採用も含めて50名弱とやや減少する見込みだが、採用については今後も継続して行う方針である。2021年よりオンラインでの会社説明会や面接を実施しているほか、2022年にはYoutubeの公式チャンネルを開設し、インターンシップや教師研修の様子、教師の一日の流れなどの動画をアップするなど、仕事内容をアピールすることで全国から入社を希望する学生を増やしていきたい考えだ。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2022/12/19 16:26
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ステップ Research Memo(5):自己資本比率は80%以上を堅持し、ネットキャッシュも増加傾向が続く
■業績動向2. 財務状況と経営指標ステップ<9795>の2022年9月期末の財務状況を見ると、総資産は前期末比782百万円増加の27,573百万円となった。主な変動要因を見ると、流動資産では現金及び預金が707百万円増加し、固定資産では減価償却の進展により有形固定資産が61百万円減少し、長期前払費用が102百万円増加した。負債合計は前期末比1,141百万円減少の2,774百万円となった。前受金が317百万円増加した一方で、有利子負債が1,156百万円、未払法人税等が299百万円それぞれ減少した。同社は2020年9月期にコロナ禍による影響の長期化に備えて3,050百万円の借入れを実施したが、その後段階的に返済を進めており、ここ数年で最も低い水準となっている。また、純資産は配当金支払いで792百万円の支出があったものの、当期純利益2,563百万円を計上したことにより、前期末比1,924百万円増加の24,798百万円となった。経営指標を見ると、自己資本比率は有利子負債の減少及び純資産の増加によって前期末の85.4%から89.9%に上昇した。有利子負債比率も1.5%まで低下し、ネットキャッシュ(現金及び預金−有利子負債)は前期末比1,864百万円増加の8,992百万円と過去最高水準に積み上がっている。なお、財務の健全性を見る指標の1つである固定比率(固定資産÷自己資本)について見ると、2017年9月期末の94.1%から2022年9月期末は72.0%と低下傾向が続いている。従来は、生徒たちの学習環境をより良いものにするため、地域によっては賃借するよりも自社物件化した方が合理的であるとの判断の下、条件に適う不動産物件があれば購入して校舎を建設してきたため高水準であったが、ここ数年は横浜市や川崎市でのスクール展開に注力していることが要因となっている。これらエリアは土地代も含めたコストが高いため、賃借物件での展開が主になっている。今後も横浜市、川崎市での出校が増えていくことを考えると、固定比率の低下傾向が続き、財務の健全性も一段と向上していくものと弊社では見ている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2022/12/19 16:25
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ステップ Research Memo(4):2022年9月期業績は生徒数が順調に増加し、増収増益で着地
■業績動向1. 2022年9月期の業績概要ステップ<9795>の2022年9月期業績は、売上高で前期比4.7%増の13,653百万円、営業利益で同4.2%増の3,656百万円、経常利益で同3.8%増の3,728百万円、当期純利益で同3.7%増の2,563百万円と2期連続の増収増益、過去最高を更新した。なお、収益認識会計基準等の適用に伴い売上高、営業利益、経常利益で312百万円の減額要因※となっており、旧会計基準ベースで見れば、売上高で7.1%増、営業利益で13.1%増、経常利益で12.5%増と実質2ケタ増益を達成したことになる。※従来基準では、諸費用(教材費等)による売上高について各学期の初月(1月、4月、9月)に一括して売上計上してきたが、新基準では1月計上分を1~3月、4月分を4~7月、9月分を9~12月の各月に按分計上する方法に変更した(8月は夏期講習のため諸費用売上なし)。これにより、従来基準で9月に計上していた諸費用売上高のうち、10~12月の3ヶ月分の売上計上時期が翌期にずれ込むこととなり、その影響額が312百万円となっている。(1) 売上高の増加要因売上高の内訳を見ると、小中学生部門が前期比4.8%増の10,935百万円、高校生部門が同4.3%増の2,717百万円といずれも順調に増加した。期中平均生徒数は全体で同6.7%増、小中学生部門で同7.1%増、高校生部門で同5.0%増となった。2020年はコロナ禍の影響を受けたものの、2021年春以降は再び入塾生徒数の増加傾向が続いた。2022年7~8月にコロナ第7波が直撃した影響で、夏期講習の参加を経て入塾する生徒数が減少したものの、会社計画は達成した。特に、小学生については期中平均で前期比12.5%増と好調に推移した。中学生や高校生のスクール・校舎で定員に達し、募集を打ち切るスクールが増加していることを受け、小学生の段階から通塾する動きが顕著となった。高校生部門においても「横浜校」や「大船校」では増床を実施したものの、依然として入塾希望が多く、「大船校」では受験学年で全教科満席に達するなど、講師数や校舎の収容能力に余裕があればさらに生徒数を伸ばせた可能性がある。小中学部の138スクールの状況を見ると、2022年11月第1週時点で定員に達したスクール数は1年生で38スクール(2022年4月比7スクール増)、2年生で61スクール(同16スクール増)、3年生で36スクール(同10スクール増)、延べ135スクールとなっている。1年前が118スクール、2年前が53スクール、コロナ禍前となる2019年が69スクールであったことを考えると、コロナ禍以降に人気が一段と高まったことが窺える。充席率(定員に対する塾生数の割合)で見ても88.6%(1年生84.0%、2年生91.2%、3年生89.8%)とほぼ満席に近い状況となっている。これは高い合格実績に加えて、コロナ禍でも徹底した感染対策を施したうえでライブ授業を継続してきたこと(状況に応じてオンライン授業にも対応)、志望校を決める際にも的確なアドバイスを行うなど生徒や保護者のニーズに対応した質の高いサービスを提供してきたことで支持を高め、口コミでそれが広がり入塾希望者の増加につながっていると考えられる。開校経過年数別の生徒数(小中学部)の動向について見ても、開校から10年以上経過したスクールの平均生徒数が205人と高水準を維持している点は注目される。これらスクールはもともとの地盤である神奈川県南西部が中心で、「STEP」のシェアが高いエリアが多いのだが、対象学年人口が減少している地域も多く、揺るぎないブランド力を確立していることが窺える。また、開校から1~10年未満のスクールについては着実に1スクール当たりの平均生徒数が増加しており、収益性の向上につながっている。なお、2022年9月期における新規開設は小中学生部門で3スクールとなり、いずれも注力エリアである川崎市に2022年3月に開校した。「武蔵新城スクール(川崎市中原区)」「武蔵中原スクール(川崎市中原区)」はJR南武線沿線に位置し、神奈川県内で最大規模の生徒数(約1,300人)を持つ公立中学校が近隣にあるエリアとなる。また、「向ヶ丘遊園スクール(川崎市多摩区)」は小田急線沿線のスクールで、駅近隣に条件に適う物件が見つかったため、当初計画にはなかったが追加で開校することになった。平均生徒数が68人と前年同期の79人と比較して少ないように見えるが、川崎市はまだ出校数が11校と少なくブランド力もその他の地域と比較して低いためで、こうした点を考慮すると順調な滑り出しになっているとの認識だ。また、高校生部門では新規出校がなかったが、「横浜校」の2号館を3月に開設したほか1号館を増床、「大船校」についても3号館を増設した。(2) 費用の状況売上原価は前期比5.1%増の9,217百万円となり、売上原価率は67.5%と同0.2ポイント上昇したが、これは会計基準変更によるものであり、旧会計基準で換算した場合は66.0%と実質1.3ポイントの低下となった。低下要因を見ると、人件費率で0.5ポイント、教材費で0.3ポイント、減価償却費で0.2ポイント、その他費用で0.5ポイント低下しており、主に1スクール当たり生徒数の増加による固定費比率の低下が原価率の改善要因となっている。ただ、水道光熱費に関しては下期に入って電気料金の値上げが進んだ影響で、前期比0.1ポイント上昇し、金額ベースでも同21.2%増となった。販管費は前期比3.1%増の779百万円となり、販管費率では5.7%と同0.1ポイント低下した。旧会計基準ベースでは0.2ポイント低下したことになる。人件費率が0.2ポイント低下したほか、広告宣伝費率が0.1ポイント低下したことによる。広告宣伝費については定員に達するスクールが増えたことで折込チラシを中心に削減が進み、金額ベースでも前期比5.9%減となった。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2022/12/19 16:24
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ステップ Research Memo(3):プロ教師による質の高い学習指導に定評(2)
■会社概要(2) ドミナント展開と口コミ情報による効率的なマーケティング戦略ステップ<9795>は県内の湘南地区や中西部において既に揺るぎないブランド力と業界シェアを確立している。横浜市内でも計画的にスクール数を増やし生徒数の獲得を進めている。今後は横浜市内での着実な展開に加えて今まで手薄だった川崎市での新規開校に注力する方針を打ち出している。教室の展開は、地域集中型のドミナント戦略を基本としている。また、生徒の募集活動に関して過大な広告宣伝費をかけずに、生徒やその保護者による口コミ情報を基本に据えていることが特徴の1つとなっている(ホームページや一部折込みチラシも活用)。このため、同社の広告宣伝費率(対売上比)は2022年9月期で0.98%と極めて低く、業界平均を大きく下回っている。近年は定員数に達して募集を打ち切るスクールが増えてきたことも、広告宣伝費の抑制につながっている。これらは同社の教育サービスに対する生徒・保護者からの高い評価の反映とも言える。顧客満足度の客観的評価として、2022年11月に発表されたオリコン顧客満足度(R)ランキングにおいて、「小学生 集団塾 首都圏」ランキングで7年連続1位、「高校受験 集団塾 首都圏」ランキングで6年連続1位、「大学受験 塾・予備校 現役 首都圏」ランキングで5年連続1位をそれぞれ獲得するなど、実際に通塾する生徒や保護者から高い評価を受けていることが外部の調査機関より明らかとなっている。(3) 高い収益性・安定性3つ目の特徴としては、業界のなかでも高い収益性を誇り、かつ抜群の収益安定性を兼ね備えていることが挙げられる。この要因としては、広告宣伝費率の低さに加えて、進学塾としての圧倒的なブランド力や高い顧客満足度により入塾を希望する生徒が多く、教室当たり平均生徒数が高水準で安定していること、校舎の開設も教師の育成に合わせて、年間で3~4校と無理のないペースで進めていること、事業を学習塾に特化しているため本社機能がスリム化されていること、などが挙げられる。2020年9月期はコロナ禍において授業料の返還や特別授業料の適用を行ったため、営業利益率が20%の水準を下回ったものの、こうした施策を取ったことで逆に生徒や保護者からの信頼感が高まった。そして入塾生徒数がさらに増加したことで、2021年9月期の営業利益率は26.9%とコロナ禍前の水準を上回り、2022年9月期においても高水準を維持した。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2022/12/19 16:23
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ステップ Research Memo(2):プロ教師による質の高い学習指導に定評(1)
■会社概要1. 事業内容ステップ<9795>は1975年の創業以来、神奈川県内で小中学生、現役高校生を対象とした学習塾「STEP」を展開し、2016年3月からは新たに学童保育部門「STEPキッズ」(小学1~4年生)を開設している。2022年10月末時点で、小中学生部門138スクール(うち23スクールはハイレベルな指導を行う「Hi-STEP」)、高校生部門15校、個別指導部門1校、学童保育部門3校、ステップジュニアラボ1校の合計158校を展開している。生徒総数もスクールの新設とともに年々増加しており、2022年10月末時点で3.2万人を超えた。売上高の約80%を小中学生部門で占めており、県内の公立進学高校トップ19校の合格者数では他塾を圧倒する実績を誇り、その学習指導力の高さと堅実経営に定評がある。2. 同社の特徴と強み同社の特徴と強みは、「教師のプロ化による質の高い学習指導」「ドミナント展開と口コミ情報による効率的なマーケティング戦略」「高い収益性・安定性」に集約することができる。(1) 教師のプロ化による質の高い学習指導同社は「教師は学習指導のプロでなければならない」という考え方のもと、教師を正社員化し、授業内容の専門化・高技術化に努め、その学習指導力によって高い進学実績を積み上げることを成長基盤としてきた。2022年10月末時点における全教師数719名のうち正社員教師は687名で、そのほか専任講師24名、非常勤講師8名(うち3名は英語科ネイティブ講師)の構成となっており、正社員比率で95.5%に達するなど、ほぼ100%がプロの教師と呼べる指導体制となっている。また、教師が生徒獲得のための勧誘活動(電話勧誘やポスティングなど)を行うこともなく、学習指導に専念できる体制を整えていることも特徴となっている。各教師においては「日々指導技術の研鑽を怠らず、一人ひとりの生徒と向き合い、学力向上に真摯に取り組んでいく」ことを基本方針として、研修会なども定期的に行いながらスキルアップに努めている。具体的には、新人・2年目研修を毎週4時間実施しているほか、地域別研修を隔週で金曜日に2時間半、必要に応じてフォローアップ研修を毎週火曜日に2時間実施し、教務力の向上に努めている。こうした教師のプロ化による質の高い学習指導によって、2022年春の高校入試では神奈川県内の公立高校トップ19校で2,395名(前年比203名増)の合格者を輩出、うち15校(前年15校)で塾別の最多合格者数となった。県内公立高校に進学した「STEP」生徒のうち、42.8%がトップ校に合格したことになる。また、県内特有の試験制度となる特色検査※(記述型)を実施した19校のうち15校(同15校)で塾別最多合格者数を出すなど、特色検査対策でも圧倒的な実績を誇り、神奈川県内の公立トップ校を目指す学習塾としてのブランド力がさらに強固なものとなっている。学習指導の質の高さもさることながら、過去の入試問題の分析・対策能力や的確な進学指導力なども高い合格実績につながっている。県内の競合大手としては、臨海セミナー、湘南ゼミナールなどがあるが、いずれも公立トップ19校の合格者数では、同社の半分以下の水準となっており、年々その差も開いてきている。さらに、「STEP」生徒の通学圏内で男女共学校として最難関と位置付けられる東京学芸大学附属高校(国立)の合格実績でも、合格者数は183名(帰国生と内部進学を除く。正規合格者112名は同総数240名のうち46.7%を占める)に達し、同社によると14年連続で全塾中トップの合格者となったと言う。※特色検査:神奈川県公立高校入試において、共通試験や面接とは別に行う学力検査のこと。主に進学校が導入しており、問題を解決する粘り強い思考力等を把握するための科目横断型の試験。一方、現役高校生向けの高校生部門に関しても、2022年春の大学受験では難関大学の合格者実績が2021年に続き大幅に増加した。国公立大学への合格者数が307名(前年比37名増)、早慶上智大学が468名(同30名増)、MARCH及び東京理科大学の合格者数が1,958名(同496名増)で、延べ合計2,733名(同563名増)となり、最難関の東京大学合格者数も13名(前年比3名増)と過去最高を更新した。この躍進の要因について、コロナ禍のなかでも質の高い授業を続けてきたことに加えて、地方から首都圏の大学に進学を志望する学生がコロナ禍で減少した結果、首都圏の現役高校生にとって競争環境面で有利に働いたものと分析している。また、チューター制度が有効に機能したことも要因と考えられる。チューターとは、高校生の学習や進路、悩みなどの相談を受け、個々人に合わせた学習計画や合理的な受験作戦を提案するなど的確なアドバイスを行うスタッフである。同社では高校部の各校舎に専任のチューターを1校当たり2~8名配属しており、受験への不安を抱える生徒にとって良きアドバイザーとなっている。同社はチューターの機能を、小中学生部門の校舎でも導入し始めており、校舎で窓口業務とチューターの機能を果たすスクールキャストと呼ばれる正社員スタッフを増員している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2022/12/19 16:22
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ステップ Research Memo(1):神奈川県に特化した学習塾として今後も安定成長が続く見通し
■要約ステップ<9795>は神奈川県内で小学5~高校3年生を対象とした学習塾「STEP」を展開している。教師のプロ化による質の高い学習指導力に定評があり、高校受験においては「トップ校」と呼ばれる県内公立進学校(19校)の合格者数で、2位の学習塾を2倍以上引き離し独走状態となっている。2022年9月末の校舎数は小中学生部門138スクール、高校生部門15校、個別指導部門1校のほか、学童保育部門「STEPキッズ」3校及び2022年4月に新設した「ステップジュニアラボ」1校の計158校(前期末比4校増)となっており、在籍生徒数は3万人を超える。1. 2022年9月期の業績概要2022年9月期の業績※は、売上高で前期比4.7%増の13,653百万円、営業利益で同4.2%増の3,656百万円と2期連続の増収増益となり過去最高を更新した。夏場に新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)の第7波が直撃し、新規入塾生徒数の伸びにブレーキがかかったものの、期中平均生徒数では前期比6.7%増と順調に増加し、おおむね会社計画どおりの着地となった。部門別の生徒数伸び率は小中学生部門で前期比7.1%増、高校生部門で同5.0%増となり、なかでも小学生については同12.5%増と好調に推移した。中学生や高校生のスクール・校舎で定員に達し募集を打ち切るスクールが増加していることをうけて、小学生の段階から入塾する動きが出たためだ。新規開設については、注力エリアの川崎市内で小中学生部門3スクールを開校し、順調な立ち上がりを見せた。※2022年9月期より収益認識会計基準等を適用したことに伴い、従来基準と比較して売上高、営業利益ともに312百万円の減額要因となっており、同一会計基準で比較した場合は売上高で7.1%増、営業利益で13.1%増となる。2. 2023年9月期の業績見通し2023年9月期の業績は売上高で前期比5.9%増の14,456百万円、営業利益で同5.6%増の3,862百万円と増収増益が続く見通しだが、会計基準変更の影響を除けば実質3.5%増収、2.7%減益見通し※となる。これはコロナ禍の先行きの動向が不透明なため、生徒数の明確な予想が困難であること、また、人件費の増加や物価上昇等により水道光熱費をはじめとしたコスト増を見込んでいることが要因だ。新規開校については、小中学生部門で4スクール(川崎市及び横浜市で各2スクール)、学童保育部門で1校(横浜市)を予定している。学童保育部門は既存の3校中、2校が黒字化し収益モデルを確立できたことから、横浜に進出することとなった。学童に教育プログラムを組み合わせた高付加価値サービスを提供していることが特徴で、横浜でも収益化できることが確認できれば、積極的に事業展開する方針となっている。※2022年9月期の売上高、営業利益に312百万円を加算して算出した伸び率。3. 今後の成長戦略成長戦略として、小中学生部門はシェア拡大余地のある横浜、川崎エリアを中心に年間3~4校ベースでスクールを開校し、安定成長を目指す。横浜・川崎エリアでシェア15%※を獲得できれば生徒数は現状の1.4倍まで拡大できる可能性がある(藤沢市のシェアは24%)。高校生部門についてはブランド力がここ数年で高まっており、既存校舎の増床・移転を進めながら今後も着実な成長を目指す。学童保育部門については現在3校のみであるが、横浜で収益化を実現できれば、県内全域に展開することを視野に入れている。対象学年が従来の8学年(小学5年生~高校3年生)から12学年に拡大することになり、中長期的な成長ポテンシャルも一段と高まることになる。※圏内のSTEP生÷市立中学校生徒数4. 株主還元策株主還元策として、配当性向30%を目安に安定配当を行うことを基本方針としており、2023年9月期は前期比2.0円増配の48.0円(配当性向29.9%)と連続増配を予定している。また、株主優待制度も導入しており、毎年9月末の株主に対して保有株式数と継続保有期間に応じてオリジナルQUOカード(500~4,000円分)を贈呈している。■Key Points・2022年9月期業績は生徒数が順調に増加し、増収増益で着地・2023年9月期業績計画はコロナ禍の動向に左右されるため、やや不透明な状況・「STEP」は横浜・川崎エリアに注力、学童保育は横浜進出で本格展開を目指す(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2022/12/19 16:21
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三栄コーポ Research Memo(8):2023年3月期は年間配当20円を予想
■株主還元策三栄コーポレーション<8119>では、株主に対する適切な利益還元を経営の重要課題の1つと位置付けている。将来の事業展開や不測の事態に備えて、内部留保による財務体質の充実に努め、経営基盤強化を図るため、財政状態や今後の業績動向・資金需要などを総合的に判断し利益配分を行う方針である。配当に関しては、企業理念である「随縁の思想」の下、同社と縁を紡ぐ株主が安心して株式を長期保有できるよう、可能な限り継続的に実施するとしている。コロナ禍の影響で業績が落ち込んだ2021年3月期からは年間配当20円として、一定の配当は維持する。2023年3月期においても、年間配当20円(中間10円実施済、期末10円予想)を予想する。同社では、株式への投資の魅力を高め、グループの取扱商品やブランドにより一層親しんでもらうことを目的として、2023年3月期に株主優待制度を実施することを発表した。具体的には、株主優待基準日(2023 年3月31 日)の株主に対して、保有株式数・保有期間に応じて「優待ポイント」を進呈する。優待ポイントは、同社グループの取扱商品、グループ直営店で利用できる優待割引券、指定のオンラインショップで利用できる優待割引クーポン、オリジナルQUO カード、指定の社会貢献活動への寄付の中から希望のものに変換できる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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2022/12/19 16:08
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三栄コーポ Research Memo(7):BIRKENSTOCK専門店舗運営を段階的に終了し、セレクトショップ化
■三栄コーポレーション<8119>の成長戦略1. BIRKENSTOCK専門店舗運営を段階的に終了しセレクトショップ化連結子会社ベネクシーは従来「BIRKENSTOCK」の専門店舗の運営を主力に展開してきたが、新しい戦略としてセレクトショップ化による事業再編の方向性が示された。この戦略の下、1)フットウェア事業拡充、2)「BIRKENSTOCK」専門店舗運営の段階的終了を実施する。これまで「BIRKENSTOCK」は、サンダルという商材の特性から春夏の時期に需要が集中し、年間を通した売上の確保による店舗収益の改善が課題となっていた。今後は既存店舗の複合ブランドショップ(セレクトショップ)化及びオリジナルブランド創設を含めてフットウェアの流通・修理事業の拡充を目指す。ドイツ BIRKENSTOCK GROUP B.V.とは友好的協議の下、2023年2月から2024年9月末日までに、ベネクシーによる同ブランドの専門店舗運営を段階的に終了する。なお、今後も同社では「BIRKENSTOCK」ブランド製品の販売・修理を継続する。この取り組みにより、季節に合わせたMD構成が可能となり、収益上の繁閑格差の解消が期待できる。新しい複合ブランドショップとして有力視される店舗ブランドとしては、ベネクシーが運営している「Quorinest」である。「これまで経験・体験したことのない新たな快適」の提案をテーマにしており、フランスのベレー帽ブランド「LAULHERE(ロレール)」、トルコのビーガンロープサンダルブランド「BOHONOMAD(ボホノマド)」をはじめとする、上質かつ独自性を持つ服飾雑貨ブランドを提供している。「Quorinest」は東京ミッドタウン日比谷に直営店があり、大手デベロッパーからの出店依頼も多いと言う。「Quorinest」が「BIRKENSTOCK」を含むフットウェア商品を取り込んで進化する姿が1つのモデルとなるのか、今後の進展を注目したい。2. 環境ブランドのラインナップ拡充同社は環境配慮やサステナブルな価値を訴求する多数のブランドの取り扱いを開始し、同社の特色となっている。具体的には、“より地球にやさしい”をコンセプトとした“Our EARTH Project”を本社主導で推進し、持続可能な社会の実現に向け「サステナブル」「エシカル」というキーワードに合致するブランドや商品、素材、サービスの提供を行っている。2022年11月には、おもちゃから生まれた腕時計「YOT WATCH(ヨット ウォッチ)」の販売を開始した。この時計は自社企画ブランドであり、いらなくなったプラスチックのおもちゃを回収して、カラフルな腕時計にリサイクルしている。子供のファーストウォッチとしての使用を想定し、時計を読みやすいように文字盤に数字を付けるほか、分針の色を変える工夫を加えた。さらに小冊子「とけいのよみかた」「りさいくるってなぁに?」を添付し、ファーストウォッチとしての学びに加え環境問題を学べる工夫を施したと言う。取り扱いは、自社ECサイトのほか、高島屋百貨店及び阪急阪神百貨店の一部店舗等としている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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2022/12/19 16:07
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三栄コーポ Research Memo(6):2023年3月期予想は、上期の好調を受けて各利益を上方修正
■今後の見通し三栄コーポレーション<8119>の2023年3月期の連結業績予想は、売上高が前期比8.9%増の37,000百万円、営業損失が500百万円(前期から412百万円改善)、経常損失が400百万円(前期から257百万円改善)、親会社株主に帰属する当期純損失が500百万円(前期から445百万円改善)としている。売上高・各利益ともに上期の好業績を織り込んで上方修正された。年間の売上高予想に対する2Q進捗率は49.2%(前年同期は47.9%)となり、進捗は順調である。この計画には、コロナ禍で影響を受けてきた服飾雑貨、トラベル商材や理美容家電などの急激な需要回復を見込んでいない。逆に、世界的な原材料価格や物流費の上昇及び急激な円安などの外部環境の変化による消費への影響は一定程度加味されており、やや保守的で必達ラインの意味合いが強い。家具家庭用品事業セグメントでは、巣ごもり需要の反動減の影響により若干の減収を予想する。服飾雑貨事業セグメントでは、外出需要の回復に下支えされOEM事業で堅調な推移を予想する。ブランド事業でもベネクシー及び(株)L&Sコーポレーションにおいて筋肉質な体質改善が効果発現し、増収を見込む。家電事業セグメントにおいては、増収予想ではあるものの、OEM事業で受注状況の伸び悩みが続く見込みだ。営業利益面では、上期損失が285百万円(実績)、下期損失が214百万円予想であり、尻上がりに回復傾向が鮮明となる見込みである。同社では、2023年3月期を抜本的な体質改善の年度と位置付け、全社的な事業のたな卸やコスト構造の見直しなどに取り組んでおり、下期は2024年3月期の黒字化に向けての助走期間としている。セグメント別では、稼ぎ頭である家具家庭用品事業セグメントでインテリアECが円安の影響を受けることなどによりセグメント利益で減益となる予想だ。服飾雑貨事業セグメントでは、ベネクシー及びL&Sコーポレーションの構造改革効果が表れ、セグメント利益で前期比865百万円増と大幅に改善し赤字幅が縮小する見込みである。家電事業セグメントでは、自社工場でサプライチェーン改革を進めるも、開発に時間を要するため製造原価低減が進まず、赤字幅は一時的に拡大する見込みだ。原材料価格の高騰、物流費の上昇、急激な円安等、いずれも輸入を主体とする同社にとってはマイナスの影響がある。ただし、原価高騰に関しては、販売価格への転嫁が可能な取引もある。また円安に関しては、為替の影響を受けない取引(海外拠点で製造し海外に販売する等)や為替予約などのリスク回避策なども活用しており、その影響は一定の軽減が可能である。弊社では、外部要因に関しては、ロシア・ウクライナ紛争の影響など依然として不透明感はあるものの、コロナ禍の出口が見え国内の外出・旅行需要は回復基調であり(2022年12月時点)、同社が得意とするトラベル・服飾雑貨・理美容商材への好影響が期待できると考えている。内部要因に関しては、店舗の集約がほぼ完了し今後はセレクトショップ化で反転攻勢をかける方向性で動き出し、さらなる業績の改善が期待される。(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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2022/12/19 16:06
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三栄コーポ Research Memo(5):自己資本比率は50%超、純資産100億円超。財務の健全性を維持
■業績動向2. 財務状況と経営指標三栄コーポレーション<8119>の2022年9月末の総資産は前期末比1,506百万円減の19,276百万円と資産規模が縮小した。うち流動資産は1,158百万円減少の14,548百万円となった。商品及び製品が415百万円増加したものの、現金及び預金が1,604百万円減少したことが主な要因である。固定資産は347百万円減の4,728百万円であり、投資有価証券の193百万円減が主な要因である。負債合計は1,628百万円減の9,049百万円となった。そのうち流動負債は1,597百万円減であり、短期借入金の1,166百万円減が主な要因である。固定負債は31百万円減と大きな変化はなかった。有利子負債残高は4,856百万円(前期末は6,073百万円)と主に短期借入金の返済により減少した。純資産合計は122百万円増の10,227百万円であり、利益剰余金残高7,439百万円が示すように資本は充実している。2022年9月末の経営指標では、流動比率が285.9%、自己資本比率は52.5%と依然高い水準を維持しており、安全性が高く、健全である。コロナ禍の影響で事業環境は逆風のなかにあるものの、過去からの資本が蓄積されており、財務の健全性を維持している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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2022/12/19 16:05
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三栄コーポ Research Memo(4):2023年3月期第2四半期は、インフレ影響あるも構造改革が進み赤字幅が縮小
■業績動向1. 2023年3月期第2四半期の業績概要三栄コーポレーション<8119>の2023年3月期第2四半期の連結業績は、売上高が18,203百万円(前年同期比11.8%増)、営業損失が285百万円(前年同期から72百万円の改善)、経常損失が238百万円(同4百万円の改善)、親会社株主に帰属する四半期純損失が283百万円(同91百万円の改善)となった。原材料価格高騰や物流コストの上昇等の影響は受けたものの、増収効果や構造改革が進捗したことにより各利益は改善した。売上高は、家具家庭用品事業が前年同期比で616百万円増、服飾雑貨事業が同1,071百万円増と2つのセグメントが全社の増収をけん引した。家具家庭用品事業セグメントでは、国内外での消費活動の回復を受けてOEMの受注状況が改善し、テーブルウェアを扱う子会社の売上高が伸長した。服飾雑貨事業セグメントでは、移動・行動制限の緩和が進み、トラベル商材のOEM需要が回復傾向となり、ブランドでも主力の「BIRKENSTOCK」や「Kipling」を販売する子会社が増収となった。家電事業セグメントでは、OEMの受注状況が伸び悩んだものの、理美容家電や調理家電の販売が国内外で伸長した。全社的な傾向として、コロナ禍が一段落し、外出関連商品(旅行・理美容など)の需要が戻りつつあることが窺える。売上総利益は、増収の効果はあったものの前年同期比3.2%増の4,274百万円に留まった。これは、原材料・資源価格の高騰や物流コストの上昇等が要因であり、売上高総利益率は同1.9ポイント減の23.5%と低下した。販管費は、ブランド事業において店舗戦略見直しによる経費削減が進んだこと等により、同1.3%増と伸びが抑制された。結果として、営業利益は売上総利益の増加を主因に同72百万円改善した。経常利益は、円安の大幅な進行による為替差益の減少により、同4百万円の改善に留まり、親会社株主に帰属する四半期純利益は同91百万円改善した。セグメント利益では、家具家庭用品事業セグメント(389百万円の利益)、その他(58百万円の利益)が利益計上したのに対して、服飾雑貨事業セグメント(98百万円の損失)と家電事業セグメント(221百万円の損失)が損失を計上した。(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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2022/12/19 16:04
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三栄コーポ Research Memo(3):家具家庭用品、服飾雑貨、家電の3事業が柱
■事業概要1. 家具家庭用品事業の動向三栄コーポレーション<8119>最大の事業セグメントが家具家庭用品事業である。この事業は、OEMの比率が売上高の90%前後と高く、良品計画に代表される大手顧客の事業の伸びとともに成長してきた。ブランドでは、子会社の(株)エッセンコーポレーションがドイツのテーブルウェアブランド「Villeroy&Boch(ビレロイ&ボッホ)」、フランスの鋳物ホーロー鍋ブランド「CHASSEUR(シャスール)」等を輸入販売する。近年成長著しいのは、「MINT」等の自社のeコマースインテリアショップである。楽天市場やYahoo!ショッピングで1,000を超えるアイテムを販売しており、リーズナブルな価格の良質なベッドやマットレス、アンティーク調家具、インテリア、ガーデンエクステリア、アウトドア用品等が消費者のニーズに合致している。直近では、巣ごもり需要の減退により成長は頭打ち傾向にある。同社ではマレーシアに家具・インテリアの自社工場(約4,000平方メートル)を持っており、自社ブランドやOEM商品の製造及びODM提案が図れる開発拠点となっている。2. 服飾雑貨事業の動向服飾雑貨事業ではブランド事業が売上高の約50%を占めており存在感が高く、本来は収益性の高いセグメントである。同社が取り扱う最大のブランドが、ドイツで240年以上の伝統があるコンフォートサンダル・シューズを扱う「BIRKENSTOCK」であり、子会社のベネクシーが小売り事業を運営する。1万円前後の価格帯にもかかわらず根強い支持があり、45ヶ所の直営店舗とeコマースで販売している。長く使う顧客が多い商品だけに、自社運営のアフターサービスも充実している。直営店舗は集客力のあるショッピングセンターや有名百貨店に出店している。一時期のブームが落ち着いたことや、都心を中心とした店舗間のカニバリゼーションが顕在化したこと、さらにはコロナ禍に伴う集客難などが重なり、数年前から業績が悪化したが、不採算店の閉鎖やスタッフ・販売員の販売力強化が進捗している。店舗数は、3年間で65店舗(2019年3月末)から45店舗(2022年9月末)まで縮小し、ビルトアンドスクラップを実行した。3. 家電事業の動向OEM事業では、中国の子会社である三發電器製品(東莞)有限公司、また香港の子会社である三發電器製造廠有限公司が小物家電を製造・輸出する。ブランド事業においては、調理家電の自社ブランドである「Vitantonio」、理美容家電の「mod’s hair」、電動歯ブラシの自社ブランド「ION-Sei(イオンセイ)」、業務用調理機器の「MULTI CHEF(マルチシェフ)」などを製造販売している。コロナ禍での巣ごもり消費に関連し、子会社の(株)ゼリックコーポレーションが扱う「Vitantonio」では、ホットサンドベーカーやコードレスボトルブレンダーなどが売れ筋となっている。移動・行動制限の緩和により理美容家電の国内需要にも伸びが見られる。注目は「mod’s hair」のコンパクトイオンヒートブラシで、雑誌「家電批評」のヒートブラシ部門で2022年上半期ベストバイに選ばれた。(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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2022/12/19 16:03
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三栄コーポ Research Memo(2):「くらしに、良いものを。」を世界で製造・販売する多機能商社
■会社概要1. 会社概要と沿革三栄コーポレーション<8119>は、戦後間もない1946年に装飾品の輸出業務を目的に大阪で創業し、75年以上の歴史を持つ。現在では生活用品全般を扱い、製造・輸出入・卸・小売りまでのサプライチェーンを幅広く手掛けている。海外は17ヶ所の拠点、国内直営小売店は60店舗を持つ、多機能な商社に成長した。欧州の差別化されたブランドの日本導入や、良品計画に代表されるこだわりある商品のOEM供給など、「健康と環境」をテーマとする付加価値の高い商品を取り扱う点で個性が明確である。「くらしに、良いものを。」をコンセプトに国内外でモノづくりに携わり、日本市場のみならず海外市場にも販売展開するグローバルな企業である。同社では、2022年1月より代表取締役社長に水越雅己(みずこしまさき)氏が昇格し、経営体制の刷新を行った。水越氏は住友商事<8053>出身で、卸売・小売・e コマース・通販等の豊富な経験と知見を生かし、次の10 年を見据えた事業展開を担っている。10年以上にわたり同社を率いてきた前社長の小林敬幸(こばやしのりゆき)氏は、代表取締役会長として経営に関わっている。2022年4月の東京証券取引所市場再編においては、スタンダード市場に移行した。2. 事業構成同社の事業セグメントは、「家具家庭用品事業」「服飾雑貨事業」「家電事業」「その他」に分類される。「家具家庭用品事業」は国内外の大手企業に対してOEM製品を調達する事業がメインで、家具のeコマースブランド「MINT(ミント)」もこのセグメントに含まれる(2023年3月期第2四半期の売上比は59.5%)。「服飾雑貨事業」は、サンダル・シューズの「BIRKENSTOCK」やバッグの「Kipling(キプリング)」など販売権を持つブランド商品の輸入販売及び国内外向けOEM事業を行っている(同売上比25.3%)。「家電事業」は、OEM製品調達とブランドビジネスの両方があり、ブランドとしては、調理家電の「Vitantonio(ビタントニオ)」や理美容家電の「mod’s hair(モッズヘア)」が主力である(同売上比10.7%)。「その他」の事業セグメントはペットショップなどを展開している(同売上比4.6%)。また、ビジネスモデルの面では、ブランド事業とOEM事業に分類される。ブランド事業は、海外ブランドや自社ブランド商品の卸売・小売りを主に国内で展開している。歴史があり、日本で紹介されていないブランドを主に扱うほか、近年は誕生間もない環境ブランドも積極的に導入している。2023年3月第2四半期の売上比は32.0%となっているが、生活用品カテゴリーにおいて事業の幅を広げるため、ブランド事業の比率を高めることを目標としている。OEM事業は、顧客企業のニーズに合う商品の製品仕様検討、工場選定、価格交渉、生産管理、輸出入・物流など調達業務を行う。長年の海外展開で構築されたアジアにおける製造ネットワークと自社スタッフによる生産管理が強みである(同売上比68.0%)。(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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2022/12/19 16:02
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三栄コーポ Research Memo(1):2023年3月期第2四半期は増収、赤字縮小。消費回復、構造改革が進捗
■要約三栄コーポレーション<8119>は75年以上の歴史を持ち、高付加価値品を主に取り扱う多機能な商社である。生活用品全般を扱い、製造・輸出入・卸・小売までのサプライチェーンを幅広く手掛ける。海外には17ヶ所の拠点、国内直営小売店60店舗を持つ。欧州の差別化されたブランドの日本導入や、良品計画<7453>に代表されるこだわりある商品のOEM供給など、付加価値の高い商品を取り扱う点で個性が明確である。ビジネスモデル面ではOEM事業が売上高の約7割、ブランド事業が約3割である。事業セグメント別では家具家庭用品事業、服飾雑貨事業、家電事業の3事業が柱となっている。1. 2023年3月期第2四半期の連結業績(実績)2023年3月期第2四半期の連結業績は、売上高が18,203百万円(前年同期比11.8%増)、営業損失が285百万円(前年同期から72百万円の改善)、経常損失が238百万円(同4百万円の改善)、親会社株主に帰属する四半期純損失が283百万円(同91百万円の改善)となった。売上高は、家具家庭用品事業が前年同期比で616百万円増、服飾雑貨事業が同1,071百万円増と2つのセグメントが全社の増収をけん引した。全社的な傾向として、新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)が一段落し、外出関連商品(旅行・理美容など)の需要が戻りつつあることが窺えた。営業利益は売上総利益の増加を主因に、経常利益は円安の大幅な進行による為替差益の減少により回復幅は小幅に留まるも、それぞれ改善した。2. 2023年3月期の連結業績(予想)2023年3月期の連結業績予想は、売上高が前期比8.9%増の37,000百万円、営業損失が500百万円(前期から412百万円改善)、経常損失が400百万円(前期から257百万円改善)、親会社株主に帰属する当期純損失が500百万円(前期から445百万円改善)としている。売上高・各利益ともに上期の好業績により上方修正された。営業利益面では、尻上がりに回復傾向が鮮明となる見込みである。特に服飾雑貨事業の収益性の改善が顕著となる。原材料価格の高騰、物流費の上昇、急激な円安等、いずれも輸入を主体とする同社にとってはマイナスの影響がある。ただし、原価高騰に関しては、販売価格への転嫁が可能な取引もある。また円安に関しては、為替の影響を受けない取引(海外拠点で製造し海外に販売する等)や為替予約などのリスク回避策なども活用しており、その影響は一定の軽減が可能である。内部要因に関しては、店舗の集約がほぼ完了し今後はセレクトショップ化で反転攻勢をかける方向性で動き出し、2024年3月期の黒字化に向けてさらなる業績の改善が期待できる。3. 成長戦略連結子会社(株)ベネクシーは従来「BIRKENSTOCK(ビルケンシュトック)」の専門店舗の運営を主力に展開してきたが、新しい戦略としてセレクトショップ化による事業再編の方向性が示された。この戦略の下、1)フットウェア事業拡充、2)「BIRKENSTOCK」専門店舗運営の段階的終了を実施する。今後は既存店舗の複合ブランドショップ(セレクトショップ)化及びオリジナルブランド創設を含めてフットウェアの流通・修理事業の拡充を目指す。この取り組みにより、季節に合わせたMD(マーチャンダイズ)構成が可能となり、これまでサンダルという商材の特性上、春夏の時期に集中していた収益上の繁閑格差の解消が期待できる。新しい複合ブランドショップとして有力視される店舗ブランドは、ベネクシーが運営する「Quorinest(クオリネスト)」である。「Quorinest」が「BIRKENSTOCK」を含むフットウェア商品を取り込んで進化する姿が1つのモデルとなるのか、今後の取り組みに期待したい。4. 株主還元策同社では、株主に対する適切な利益還元を経営の重要課題の1つと位置付けている。配当に関しては、企業理念である「随縁の思想」の下、同社と縁を紡ぐ株主が安心して株式を長期保有できるよう、可能な限り継続的に実施するとしている。コロナ禍の影響で業績が落ち込んだ2021年3月期からは年間配当20円として、一定の配当は維持する。2023年3月期においても、年間配当20円(中間10円実施済、期末10円予想)を予想する。■Key Points・2023年3月期第2四半期は、国内外の消費回復を追い風に増収。インフレ影響あるも構造改革が進み赤字幅が縮小・自己資本比率は50%超、純資産100億円超。過去からの資本蓄積により財務の健全性を維持・2023年3月期予想を上方修正。服飾雑貨事業の構造改革に目途、家電事業の改革を継続・「BIRKENSTOCK」専門店舗運営を段階的に終了し、セレクトショップ化。環境ブランドのラインナップ拡充(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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2022/12/19 16:01
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新興市場銘柄ダイジェスト:Rebaseは大幅安、DDSが一時ストップ高
<9337> トリドリ 2233公開価格(1500円)を82.2%上回る2733円で初値を付けた。会社設立は16年6月1日。主な事業はインフルエンサーと企業をマッチングするマーケティングプラットフォームサービス「toridori base」などインフルエンサーマーケティングサービスの開発・提供。22年12月期の営業損益予想は3.80億円の赤字(前期実績4.00億円の赤字)。売上高予想は前期比87.7%増の19.86億円だが、販管費が膨らみ赤字が続く見通し。<5138> Rebase 1343 -328大幅安。前営業日の16日に新規上場し、公開価格(920円)の2.3倍となる2120円で初値を付けた。一時2294円まで上伸したが、徐々に利益確定売りに押されている。事業の中核はレンタルスペース予約プラットフォームの提供。特段の取引材料は出ていないが、年末にかけて多数の新規株式公開(IPO)が控えていることから、投資資金を確保するための換金売りに押されているようだ。<4013> 勤次郎 1470 +34大幅に4日続伸。クラウド統合認証管理サービス「勤次郎AuthLink」の提供を開始すると発表している。同サービスは、クラウド上の様々なアプリケーションの効率的な管理と運用をシングルサインオンで可能にするという。また、生体認証と組み合わせられる多要素認証によるセキュリティ強化、ユーザーごとのアクセス制御などで管理業務の工数削減を実現するとしている。<3782> DDS 84 +15一時ストップ高。指紋認証及び汗孔認証アルゴリズムに関する2件の特許出願について、中国で権利化が完了したと発表している。日本国内でも権利化済み。各特許は、近接するマニューシャ(指紋の特徴点)間の濃淡情報から周波数成分を抽出してマニューシャの位置と周波数成分の類似度で照合させる方法、汗孔などの指紋隆線の微細構造を解析することで認証を行う高精度の認証アルゴリズムについて照合の原理を示したもの。<4199> ワンプラ 1288 +96一時ストップ高。Happy Elements(京都市)を割当先として新株35万株を発行すると発表している。調達資金の約4.18億円は、新規タイトル開発に係る人件費や外注費に充てる。Happy Elementsは中国を拠点にモバイルゲーム事業を展開する企業グループの日本法人で、新株割当後は13.99%を所有する第2位株主となる。今後、業務面での両社の関係性を強化することを視野に入れて検討を進めるという。<6195> ホープ 225 +9大幅に反発。23年3月期の営業損益予想を従来の1.26億円の黒字から1.81億円の黒字(前期実績166.51億円の赤字)に上方修正している。広告事業での媒体販売、ジチタイワークス事業でのサービス受注が堅調に推移しているため。また、各種サービスの収益性が改善傾向にあるほか、販管費のコントロールでマーケティングコストが想定より抑えられる見通しとなったことも利益を押し上げる要因としている。
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2022/12/19 15:40
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日ダイナミク Research Memo(11):パーキングシステム事業は地球環境改善などに貢献するビジネス
■日本コンピュータ・ダイナミクス<4783>のESG・SDGsへの取り組み1. サステナビリティ経営を推進ESG・SDGsへの取り組みを強化し、サステナビリティ基本方針に基づいてサステナビリティ推進活動をグループ横断的に実施していくため、2021年10月にサステナビリティ推進委員会を設置した。マテリアリティとしては「カーボンニュートラル実現への貢献」「安心・安全で豊かな社会づくり」「多様な人材が活躍できる社会へ」「社会からの信頼を」を掲げている。パーキングシステム事業は放置自転車解消対策、交通混雑緩和対策、土地有効活用、地域・街づくり、CO2排出削減による地球環境改善などに貢献するビジネスである。自転車活用推進法(自転車の活用を総合的・計画的に推進することを目的として2017年5月施行)に基づいて、各地で自転車活用推進計画も進行している。2022年4月には、プロロードレースチーム「さいたまディレーブ」とオフィシャルサプライヤー契約を締結した。地域・社会への貢献も目的としている。2. ダイバーシティへの取り組みも強化人材戦略としては、健康経営、明るい職場づくり、働き方改革、キャリア支援、社内ベンチャー、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)を推進している。2021年4月にはグループ統一の新人事制度を導入し、2021年9月には健康企業宣言東京推進協議会が運営する健康優良企業認定制度「健康企業宣言」において健康優良企業「金の認定」を取得した。女性の常勤取締役/執行役員数の目標は2027年3月期1名、2031年3月期2名としている。一般的に女性取締役は社外取締役として迎えることが多いが、同社は常勤取締役/執行役員として女性の社内登用を進める方針である。また、2021年6月改訂のコーポレートガバナンス・コードへの対応を推進し、取締役のスキル・マトリックスの開示や、議決権電子行使プラットフォームへの参加なども行っている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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2022/12/19 15:31
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日ダイナミク Research Memo(10):安定的配当を基本に適切な利益還元を実施
■日本コンピュータ・ダイナミクス<4783>の株主還元策1. 安定的配当を基本に適切な利益還元を実施利益配分については、企業体質の強化と積極的な事業展開に備えて内部留保に努めるとともに、配当性向や配当利回りなどを総合的に判断し、安定的な配当を維持することを基本方針としている。配当性向の目標は設定せず、今後も経営基盤の一層の強化と積極的な事業展開を継続しつつ、適切な利益還元を実施する方針である。この基本方針に基づいて2023年3月期の配当予想は2022年3月期と同額の年間14円(中間配当7円、期末配当7円)としている。予想配当性向は18.8%となる。2. 株主優待制度また株主還元の一環として株主優待制度も実施している。毎年9月30日現在の1,000株(10単元)以上保有株主を対象として、保有株式数及び継続保有期間に応じて優待品(クオカード)を贈呈している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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2022/12/19 15:30
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日ダイナミク Research Memo(9):さらなる成長に向けてパーパスを策定
■日本コンピュータ・ダイナミクス<4783>の成長戦略1. 成長戦略加速に向けてパーパスを策定トータル・ソリューション・プロバイダーとしての成長戦略を加速するため、2022年4月に「私たち一人ひとりが未来に胸をときめかせ、誰もが活き活きと輝ける社会をつくる」という思いを込めて、グループのパーパスとして「人の鼓動、もっと社会へ。」を策定するとともに、経営理念を改定して「ユニークな技術とサービスにより、明るい未来に貢献する。」とした。また、DXビジョン「私たちNCDグループは、お客様のビジネスの変革や社会の発展に貢献し、かつ従業員が活き活きと仕事をすることで、グループ全体の成長が持続する企業を目指します。その実現のために、グループ一人ひとり知恵を絞り、意識の変革を行い、新たな発想のデジタル技術とサービス創出に挑戦します。」を掲げ、DX推進を本格化させる方針を打ち出した。そして2022年4月にDX推進部を新設し、ロードマップを策定した。2. 現・中期経営計画の最終年度目標を達成見込み現・中期経営計画「Vision2023」(2021年3月期〜2023年3月期)では、IT関連事業(システム開発事業、サポート&サービス事業)におけるNCDサービスモデルの活用、クラウド人材の育成・拡充、グループ各社との協業体制強化など、パーキングシステム事業においてはBPR施策の着実な実行による収益基盤のさらなる強化、「ECOPOOL」の戦略的拡販など、管理間接部門においてはサステナビリティ経営の推進、ガバナンス態勢の高度化、人的資本経営への取り組み強化、DXの推進などに取り組んでいる。最終年度2023年3月期の目標値については、当初計画では売上高20,000百万円、営業利益1,200百万円としていたが、IT関連事業が好調に推移した一方、パーキングシステム事業がコロナ禍の影響を大きく受けたため、修正して売上高21,000百万円、営業利益1,000百万円とした。営業利益は現時点で2023年3月期会社予想を1,000百万円としており、修正目標を達成する見込みである。弊社では2023年3月期会社予想は上振れの可能性が高いと評価しており、当初計画の営業利益1,200百万円を達成する可能性もあると見ている。3. 次期・中期経営計画では利益率向上を推進、新たな成長ステージ2024年3月期からの次期・中期経営計画に関しては、特に利益率向上を推進する方針である。下條治(しもじょうおさむ)代表取締役社長は「パーキングシステム事業の事業環境はコロナ禍で大きく変化したが、IT関連事業(システム開発事業、サポート&サービス事業)に関しては収益力が順調に向上している。次期・中期経営計画では、サステナビリティ経営を意識しながら変革や新分野へのチャレンジを加速させるとともに、特に利益率向上を意識した経営に取り組みたい」と意気込みを語っている。ストック(運用)とフロー(開発)の連携強化などによる、さらなる付加価値の向上を目指す方針だ。弊社では、IT関連事業が牽引するだけでなく、利益率向上に向けた積極的な事業展開によって新たな成長ステージに入るものと評価している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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2022/12/19 15:29
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日ダイナミク Research Memo(8):2023年3月期通期は2桁営業増益予想据え置き、さらに上振れの可能性
■今後の見通し● 2023年3月期通期連結業績予想の概要日本コンピュータ・ダイナミクス<4783>の2023年3月期通期の連結業績予想は従来予想を据え置いて、売上高が前期比2.2%増の21,000百万円、営業利益が同10.8%増の1,000百万円、経常利益が同7.6%増の1,030百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同30.9%増の600百万円としている。上期の進捗率は売上高が50.8%、営業利益が51.4%、経常利益が50.8%、親会社株主に帰属する当期純利益が54.1%と順調である。IT関連事業(システム開発事業、サポート&サービス事業)の売上高計画は前期比2.3%増の14,800百万円としている。顧客企業におけるDX投資拡大を背景として順調に伸長する見込みだ。システム開発事業では生損保の既存顧客を中心とする新規領域の案件獲得、サポート&サービス事業では保守・運用の拡大を推進する。パーキングシステム事業の売上高計画は同2.1%増の6,200百万円としている。不透明感があるものの、コロナ禍の影響が和らいで緩やかな回復基調を見込んでいる。コスト面では人的資本やDX推進に伴う戦略的投資を拡大するが、増収効果や生産性向上効果などで吸収して2桁営業増益を、親会社株主に帰属する当期純利益については前期計上の減損損失が一巡して大幅増益を予想している。全体としては保守的な印象が強く、上期の進捗率が順調だったこと、下期の構成比が高い収益特性であること、上期の営業利益押し下げ要因となった賞与引当方法変更に伴う影響が下期には軽減されること、パーキングシステム事業の売上が回復ペースを速めていること、さらなる生産性向上や業務効率化の成果が見込まれることなどを勘案すれば、通期会社予想は上振れの可能性が高いと弊社では評価している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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2022/12/19 15:28
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日ダイナミク Research Memo(7):IT関連事業の好調継続、パーキングシステム事業は回復基調
■日本コンピュータ・ダイナミクス<4783>の業績動向2. セグメント別動向セグメント別の動向をみると、IT関連事業は、システム開発事業の売上高が前年同期比15.1%増の4,344百万円で営業利益が同5.1%減の493百万円、サポート&サービス事業の売上高が同16.2%増の3,222百万円で営業利益が同0.9%減の333百万円だった。システム開発事業は生損保会社向け新規システム開発案件の獲得など、サポート&サービス事業は情報システム部門業務のアウトソーシング案件(ニッスイ<1332>グループ向けのシステム運用)の業務領域拡大や生損保会社向けクラウド関連新規案件などにより、いずれも2桁増収と伸長したが、営業利益は人件費等の先行投資の影響で小幅減益だった。売上高を業務別分類で見ると、主力の「SIサービス」が同30.5%増収と大幅伸長した。「ITインフラ」は同8.9%増収と堅調だった。顧客のDX需要を背景として、注力しているアカウントプランやサービスモデル化を推進し、システム開発事業では生損保会社の新商品のシステム開発案件の獲得、サポート&サービス事業では大手エネルギー会社におけるITインフラのリモート運用サービスの受注などにつながった。「パッケージ導入」は会計シェアードサービス導入(OBCの勘定奉行導入など)が好調に推移して同9.9%増収だった。パーキングシステム事業は売上高が前年同期比14.6%増の3,090百万円で営業利益が同190.0%増の367百万円だった。「機器販売」はコロナ禍の影響が継続しているものの、行動制限緩和によって通勤・通学・レジャーなどの鉄道利用状況が改善し、駐輪場利用料収入を中心に売上高が回復基調となった。新規取引先としては、新たに秩父鉄道との取引を開始し、ローカル線において駅員による駐輪場管理の必要がない月極駐輪場「ECOPOOL」を7駅にオープンした。営業利益は増収効果に加えて、外部委託業務の内製化など管理運営コスト削減施策の成果も寄与して大幅増益だった。駐輪場管理運営に係る売上の内訳は「自営駐輪場」が同110.8%増収、「指定管理」が同6.0%増収、「受託」が同7.1%増収だった。財務の健全性は良好3. 財務の状況財務面で見ると、2023年3月期第2四半期末の資産合計は前期末比515百万円減少して11,375百万円となった。現金及び預金が282百万円、受取手形・売掛金及び契約資産が321百万円、それぞれ減少した。負債合計は同798百万円減少して6,624百万円となった。買掛金が138百万円、未払法人税等が268百万円、賞与引当金が243百万円、退職給付に係る負債が132百万円、それぞれ減少した。純資産は同282百万円増加して4,750百万円となった。この結果、自己資本比率は前年同期末から4.1ポイント上昇して41.4%となった。特に懸念される点は見当たらず、財務の健全性は良好と弊社では判断している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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2022/12/19 15:27
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日ダイナミク Research Memo(6):2023年3月期第2四半期累計は大幅増収増益で着地
■業績動向1. 2023年3月期第2四半期累計連結業績の概要日本コンピュータ・ダイナミクス<4783>の2023年3月期第2四半期累計の連結業績は売上高が前年同期比15.4%増の10,672百万円、営業利益が同24.9%増の513百万円、経常利益が同24.7%増の523百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同20.2%増の324百万円だった。大幅増収増益で着地した。売上面では、IT関連事業(システム開発事業、サポート&サービス事業)がDX需要を背景として引き続き好調に推移し、パーキングシステム事業は行動制限の緩和に伴って駐輪場利用料収入を中心に売上高が回復基調となった。営業利益は、システム開発事業とサポート&サービス事業が人件費等の先行投資(賞与引当方法変更に伴う影響を含む)の影響で小幅減益だったが、パーキングシステム事業が増収効果等で回復基調となり、全体として大幅営業増益だった。全社ベースの売上総利益は増収効果や生産性向上効果等で前年同期比18.4%増加し、売上総利益率は前年同期から0.4ポイント上昇して17.0%となった。販管費は人的資本への投資やDX関連の投資などで同16.0%増加し、販管費比率は0.1ポイント上昇して12.2%となった。この結果、営業利益率は0.4ポイント上昇して4.8%となった。なお特別損失として退職給付制度移行損失等59百万円を計上した。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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2022/12/19 15:26
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日ダイナミク Research Memo(5):プロジェクト管理・品質管理を徹底
■日本コンピュータ・ダイナミクス<4783>の事業概要6. リスク要因・収益特性一般的なリスク要因として、IT関連事業(システム開発事業、サポート&サービス事業)においては、大型案件などの受注や個別案件ごとの採算性によって売上や利益が変動する可能性がある。この対策として同社は、受注委員会において見積段階から採算をチェックするとともに、受注後も審議会においてプロジェクト進捗・品質管理状況を厳重にチェックするなど、プロジェクト管理・品質管理を徹底して不採算化防止・採算維持に取り組んでいる。また全社ベースの取り組みとして、業務プロセス改善による効率化を推進している。またシステム開発事業は開発後の保守・運用サービス受託拡大によって、サポート&サービス事業は継続受託案件の積み上げによって、ストック売上が拡大(IT関連事業のストック売上比率は2023年3月期上期実績で約7割)しているため安定した収益構造となっている。パーキングシステム事業は、管理現場数・管理台数の積み上げによって駐輪場利用料収入や駐輪場管理運営受託に係るストック売上が主力となり、入札等によって受注変動がある機器販売のフロー売上の比率が低下している。なお、コロナ禍に伴う緊急事態宣言発令や外出自粛要請によって、2020年3月期第4四半期から駐輪場利用者数の減少によって駐輪場利用料収入が大きな打撃を受けた。さらに鉄道事業者の業績悪化に伴う設備投資抑制の影響も受けている。その後は行動制限緩和に伴って駐輪場利用者数が緩やかに回復傾向となっているが、コロナ禍の状況によっては本格的な回復に時間を要する可能性がある。季節要因としては、システム開発事業は顧客企業のIT投資予算の執行時期や検収時期の関係で、第2四半期(7月〜9月)及び第4四半期(1月〜3月)の構成比が高い傾向がある。このため、一時的な大型案件や不採算案件などの影響を除けば、全体として四半期ベースでは第2四半期と第4四半期の構成比が高く、また半期ベースでは下期(10月〜3月)の構成比が高い傾向がある。ただしストック売上が拡大しているため、四半期業績の平準化が進展して季節要因の影響は小さくなっている。IT事業は高水準推移7. IT関連事業は高水準推移、パーキングシステム事業は回復基調過去5期間(2018年3月期〜2022年3月期)のセグメント別売上高と構成比の推移を見ると、2020年3月期までの構成比は、概ねIT関連事業(システム開発事業、サポート&サービス事業)が6割強、パーキングシステム事業が3割強で推移していたが、2021年3月期及び2022年3月期は、パーキングシステム事業がコロナ禍の影響(外出自粛による駐輪場利用者数減少、鉄道事業者の設備投資抑制による工事や商談の延期)を受けたため、パーキングシステム事業の売上高が減少し、構成比も低下している。なお2023年3月期第2四半期の構成比は、IT関連事業が70.9%(システム開発事業が40.7%、サポート&サービス事業が30.2%)で、パーキングシステム事業が29.0%だった。いずれの事業も前年同期比2桁伸長したため、売上高構成比に大きな変動はない。過去5期間(2018年3月期〜2022年3月期)のセグメント別営業利益と構成比(全社費用等調整前)の推移を見ると、IT関連事業の営業利益は売上拡大に伴って拡大基調である。パーキングシステム事業の営業利益は2021年3月期及び2022年3月期にコロナ禍の影響を受けたが、徐々に回復傾向となっている。なお2023年3月期第2四半期の営業利益は、IT関連事業が人件費等の先行投資の影響で小幅減益だったが、パーキングシステム事業は行動制限緩和に伴って大幅増益となっている。過去5期間(2018年3月期〜2022年3月期)のセグメント別営業利益率の推移を見ると、システム開発事業はプロジェクト管理・品質管理徹底などの施策の成果で、2019年3月期以降は概ね10%を超える水準で安定的に推移している。サポート&サービス事業は、新規受託の大型案件(他社案件からの切り替え受託を含む)で一時的な初期コストが発生した場合に、利益率が低下する傾向(2018年3月期、2020年3月期)があるが、この一時的な初期コストが一巡して稼働が安定化すると営業利益率が大幅に改善(2019年3月期、2021年3月期、2022年3月期)している。パーキングシステム事業は2020年3月期まで15%前後の高い水準で推移していたが、2021年3月期及び2022年3月期はコロナ禍の影響で売上高が減少したため、営業利益率も大幅に低下した。ただし2023年3月期第2四半期は行動制限緩和に伴って売上高が回復基調となり、増収効果に加えて、管理運営コスト削減などの施策の成果も寄与して11.9%まで回復している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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2022/12/19 15:25
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日ダイナミク Research Memo(4):IT関連事業は大手優良顧客との強固な顧客基盤
■事業概要4. IT関連事業は大手優良企業との強固な顧客基盤IT関連事業(システム開発事業、サポート&サービス事業)では、大手生損保、大手エネルギー会社、大手メーカーなど、大手優良企業との強固な顧客基盤を構築している。長期継続取引が多いことも特徴である。システム開発業界は、中堅企業が大手SI(システム・インテグレータ)企業の下請けとなる2次請け・3次請け受託の多い業界構造だが、日本コンピュータ・ダイナミクス<4783>の場合はエンドユーザーとの直接取引(一次受託)が8割以上を占めている。同社の技術力・品質力の高さを示す数字と言えるだろう。また大手優良企業との長期継続取引が多いため、開発・構築したシステムの保守・運用等のストック売上も積み上がっている。他社開発案件の保守・運用受託を含めて、IT関連事業におけるストック売上比率が7割以上(2023年3月期上期)を占め、安定収益構造となっていることも特徴だ。パーキングシステムは電磁ロック式駐輪場管理・運営が主力5. パーキングシステム事業パーキングシステム事業は、電磁ロック式の駐輪機器販売及び駐輪場管理運営を主力としている。ITを活用することで駐輪場の管理運営業務を省力化・効率化するだけでなく、全国の街から放置自転車等の駐輪問題をなくし、交通混雑緩和対策、土地有効活用、地域・街づくり、CO2(二酸化炭素)排出削減による地球環境改善などにも貢献するビジネスである。放置自転車問題を解決することを目指し、1992年に当時の新技術であった2次元コードでの月極駐輪場管理方法を提案し、これをきっかけに1997年よりパーキングシステム事業を開始、1999年からNCD駐輪場の設置を開始した。当初は電磁ロック式駐輪機器や料金精算機の売り切りが中心だったが、培ってきたIT技術を生かして遠隔操作による駐輪場の無人管理を実現し、月極が主流だった駐輪場業界において、コイン駐輪場(時間貸し無人駐輪場)のパイオニアとして事業を拡大した。具体的には主力の時間貸し無人駐輪場「EcoStation21」(1999年~)や、月極駐輪場「ECOPOOL」(2013年~)などの駐輪サービスを、首都圏の駅周辺を中心として、関西、中部、九州地区等に展開(関西、中部はパートナー企業に運営委託)し、駅周辺、商業施設、地方自治体管理の駐輪場を網羅している。売上分類は「機器販売」「管理運営」「その他」としている。管理運営の区分としては、商業施設等の民間企業との契約に基づいて自社で管理運営する「自営駐輪場」、自治体からの指定管理者として管理運営する「指定管理」、鉄道会社や自治体等が運営する駐輪場を管理受託する「受託」がある。放置自転車削減に貢献するとして全国の自治体、鉄道会社、商業施設などに幅広く支持され、電磁ロック式の駐輪場設置台数として国内最大級である。2022年10月1日現在のNCD駐輪場管理箇所数は2,140箇所、管理台数は661,343台となった。なお、自治体との取引では、自治体から指定管理者に選定され、官民協働による施設の設置・運営を行って自治体とともに街づくりを支援している。代表的な導入事例としては、2007年歩道上駐輪場の先駆けとなった渋谷区あおい通り(新宿駅)、2011年最大3,000台規模の辻堂駅・テラスモール湘南、2018年渋谷地区再開発案件の渋谷ストリーム、2019年赤羽駅東口、2019年東急グループ再開発案件の南町田グランベリーパーク、2020年西武グループ再開発案件のグランエミオ所沢などがある。2021年4月には東京都江戸川区内の4駅(船堀駅、西葛西駅、葛西駅、葛西臨海公園駅)において、江戸川区が駅前放置自転車対策の一環として整備した駐輪場の指定管理者に選定され、15ヶ所22,900台分の駐輪場とレンタサイクル770台の管理運営を開始した。2022年4月には4自治体(新宿区、板橋区、品川区、川崎市)において駐輪場管理運営事業者に選定され、合計246ヶ所・約58,000台の駐輪場管理運営を開始した。また、野村不動産(株)と協業して大型商業施設「KAMEIDO CLOCK(カメイドクロック)」内に合計1,244台の駐輪場を開設した。2022年6月には立川市魅力発信拠点施設コトリンク内の自転車等駐車場合計1,820台の管理運営を開始した。ユーザー利便性向上や運営管理コスト削減に向けて、2019年11月には一部施設において駐輪場キャッシュレス決済サービス(精算機操作不要)を開始した。集金・メンテナンス回数が減少するため管理コストを削減できる。タッチレス精算のためコロナ禍の感染対策としても好評であり、順次導入を拡大する方針だ。また2022年2月には、駐輪場における利用者サービスの一環として、駐輪場への荷物受取専用ロッカー「Amazonロッカー」のサービスを開始した。宅配便の再配達の削減につながりCO2削減にも貢献する。なお、パーキングシステム事業の収益力向上に向けたBPR(Business Process Re-engineering=ビジネスプロセス・リエンジニアリング=業務改革)推進の進捗状況としては、業務プロセス・要員フォーメーションの再設計では、駐輪場でのチャットボットによる問い合わせサービスを2023年3月期第2四半期までに400ヶ所以上の駐輪場に導入した。グループ子会社の役割強化による工事等周辺業務の内製化促進では、駐輪機器設置工事・周辺工事をNCDプロスに集約したほか、指定管理現場を中心に集金業務の内製化も進展している。利用料金体系の合理化(料金改定)及びキャッシュレス決済の拡大では、QRコード決済導入現場が2023年3月期第2四半期時点で200ヶ所以上に拡大し、QRコード決済金額は約1.8倍(2022年3月実績との比較)に増加した。デベロッパー・設計事務所など新たな販路開拓では、デベロッパーとの連携強化によって2023年3月期第2四半期に代官山、平井などの再開発案件を受注した。利用料金体系の合理化については時間を要するものの、概ね順調な進捗と弊社では評価している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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2022/12/19 15:24
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日ダイナミク Research Memo(3):IT関連事業及びパーキングシステム事業を展開
■事業概要1. 事業概要と特徴・強み日本コンピュータ・ダイナミクス<4783>はトータル・ソリューション・プロバイダーとして、IT関連のシステム開発事業(システム・インテグレーション)とサポート&サービス事業(サービス・インテグレーション)、及びITソリューションのノウハウを活用した無人駐輪場関連のパーキングシステム事業(パーキング・ソリューション)を展開し、経営の3本柱としている。独立系として50年以上にわたる豊富な実績で培った高技術・高品質サービス、最新の情報技術と豊富なアプリケーション知識、ワンストップでサービスを提供するトータルソリューションを強みとしている。システム開発事業は基幹業務系システムの開発・保守受託が主力2. システム開発事業システム開発事業は、中堅企業・大企業グループ向けに、システム構築ソリューション、インフラ構築ソリューション、パッケージ・ソリューションなど、基幹業務系システムを中心に企画・設計・開発・構築・導入・保守・運用を受託するシステム・インテグレーションを展開している。大規模システム構築から小規模システム構築まで、50年以上にわたる豊富な実績で培ったノウハウをベースに、同社独自のシステム開発標準NS-SD (NCD Standard System Development)や、プロジェクト管理標準NS-PM (NCD Standard Project Management)を構築し、安定した品質を担保するシステム開発を実現している。パッケージ・ソリューションは、中堅企業のように短期間かつ低コストでシステムを導入したい企業向けのソリューションとして、戦略的パートナー企業のパッケージソフトの導入・カスタマイズ・運用支援などのソリューションを提供している。特にOracle(オラクル)のアプリケーションや、オービックビジネスコンサルタント(OBC)<4733>の基幹業務システム「奉行シリーズ」を導入するシステム構築を強みとしている。OBC「奉行シリーズ」に関しては、OBCパートナーの中でも最大規模の導入専任チームを持ち、2022年10月1日時点で導入件数(累計)が679件に達している。2022年5月には2021年~2022年シーズンの販売活動実績などが評価されて「OBC Partner Award 2022」において「OBC Partner of the Year」を受賞した。クラウド分野では、パブリッククラウドベンダー最大手であるAmazon(アマゾン・ドット・コム)のAWS (Amazon Web Services)を、同社の駐輪事業基幹システム基盤に採用して構築・運用ノウハウを蓄積するとともに、AWS活用ソリューションとしてサービスを提供している。またSalesforce.com(セールスフォース・ドットコム)日本法人の認定パートナーとして、世界No.1のクラウドCRMプラットフォーム「Salesforce」の導入支援に多数の実績を誇っている。さらに「Salesforce」向け課金型サービスとして、自社開発のオリジナルツール(タスク管理ツール「SMAGAN」、帳票作成ツール「Smart Report Meister」、画面作成・データ可視化ツール「Smappi」)や、自社開発の在庫管理ツール「倉丸(くらまる)」など連携パッケージツールも提供している。日系企業のグローバル展開を支援していることも特徴だ。ビジネスエンジニアリング<4828>のグローバル対応ERP「mcframe GA」や、中国・用友軟件の中国シェアNo.1 ERP「用友 U8」などに対応して、ERPパッケージ導入支援を行っている。サポート&サービス事業は保守・運用のアウトソーシングが主力3. サポート&サービス事業サポート&サービス事業は、アプリケーション保守・運用ソリューション、インフラ保守・運用ソリューション、業務サポート・ソリューションなど、顧客のシステムやアプリケーションの保守・運用をアウトソーシング・サービスの形で受託するサービス・インテグレーションを展開している。ネットワークシステム構築や保守・運用管理などにおいて複合障害にも対処できる専門のエンジニア集団が、顧客のシステム運用部門に代わって包括サポートする保守・運用のアウトソーシング・サービスである。本社及び長崎の2拠点のMSC(マネージドサービスセンター)で連携し、24時間・365日対応のリモート監視、サービスデスク対応などによって、システムやアプリケーションの保守・運用に関するワンストップ・テクニカルサポートを実現している。またAmazonのAWSやMicrosoft Azure等のクラウドサービス導入支援も行っている。ITIL (Information Technology Infrastructure Library)に準拠した同社の運用標準ND-OS (NCD Standard Operation Service)を構築し、顧客のITインフラ運用管理コストの削減を図っている。顧客と回線を繋いでリモート監視するため、コスト面の有利さも強みとなる。大手生保向けサポートサービス案件では、ヘルプデスク・サポートサービスやインフラ・サポートサービスとともに、顧客のもとでサポートを行うオンサイト・サポートサービスも提供している。豊富な実績で培ったノウハウ、迅速な対応力、柔軟なサービス力、包括的サポートなどを強みとして、同社がシステム構築を受託した顧客の保守・運用にとどまらず、他社が構築したシステムやアプリケーションの保守・運用を受託していることも特徴だ。なおサポート&サービス事業の拠点においては、高度なセキュリティ環境で災害時等の事業継続計画(BCP)への対応を強化している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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2022/12/19 15:23
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日ダイナミク Research Memo(2):50年以上の歴史を持つ独立系システム・インテグレータのパイオニア
■会社概要1. 会社概要日本コンピュータ・ダイナミクス<4783>は50年以上の歴史を持つ独立系システム・インテグレータのパイオニアである。トータル・ソリューション・プロバイダーとしての成長戦略を推進し、2022年4月には「私たち一人ひとりが未来に胸をときめかせ、誰もが活き活きと輝ける社会をつくる」という思いを込めて、グループのパーパスとして「人の鼓動、もっと社会へ。」を策定した。2023年3月期第2四半期末時点の事業拠点は、本社(東京都品川区)、お台場オフィス(東京都江東区)、江東サービスセンター(東京都江東区)、福岡オフィス(福岡県福岡市博多区)、小倉オフィス(福岡県北九州市)、長崎オフィス(長崎県長崎市。MSC(マネージドサービスセンター)含む)、及び五島オフィス(長崎県五島市)である。グループは同社、及び子会社のNCDテクノロジー(株)、(株)ゼクシス、天津恩馳徳信息系統開発有限公司(以下:NCD China)、NCDエスト(株)、NCDプロス(株)(出資比率67%)で構成されている。NCDテクノロジーはシステム開発等のIT関連事業、ゼクシスはパナソニックホールディングス<6752>グループ向けを中心とするシステム開発等のIT関連事業、NCD Chinaは中国におけるシステム開発事業、NCDエストは九州における駐輪場事業、NCDプロスは駐輪場管理・運営事業を行っている。2023年3月期第2四半期末の総資産は11,375百万円、純資産は4,750百万円、資本金は438百万円、自己資本比率は41.4%、発行済株式数は8,800,000株(自己株式728,932株含む)である。2. 沿革1967年3月に設立してシステム開発事業を開始、1995年10月にサポート&サービス事業を開始、1997年10月にパーキングシステム事業を開始した。株式関連では2000年9月に日本証券業協会に店頭登録(その後、取引所の合併等に伴い東証JASDAQ上場)した。そして2022年4月の東京証券取引所の市場再編に伴って東証スタンダード市場に移行した。グループ企業関連では2000年11月に日本システムリサーチ(現NCDテクノロジー)を設立、2005年4月にNCD Chinaを設立、2007年12月にゼクシスを子会社化(2008年8月に完全子会社化)、2018年3月にNCDプロスを設立、2019年4月に矢野産業(2021年9月に現NCDエストに商号変更)を子会社化した。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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2022/12/19 15:22
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日ダイナミク Research Memo(1):トータル・ソリューション・プロバイダーとして成長戦略を推進
■要約日本コンピュータ・ダイナミクス<4783>は、50年以上の歴史を持つ独立系システム・インテグレータのパイオニアである。トータル・ソリューション・プロバイダーとしての成長戦略を推進し、2022年4月には「私たち一人ひとりが未来に胸をときめかせ、誰もが活き活きと輝ける社会をつくる」という思いを込めて、グループのパーパスとして「人の鼓動、もっと社会へ。」を策定した。1. トータルソリューションとストック売上による安定収益構造が特徴IT関連のシステム開発事業(システム・インテグレーション)、サポート&サービス事業(サービス・インテグレーション)、及びITソリューションのノウハウを活用した無人駐輪場関連のパーキングシステム事業(パーキング・ソリューション)を展開し、経営の3本柱としている。50年以上にわたる豊富な実績で培った高技術・高品質サービス、ワンストップでサービスを提供するトータルソリューションを強みとしている。さらに、IT関連事業は大手優良企業との強固な顧客基盤と長期継続取引が特徴で、約7割にも上るストック売上比率によって安定収益構造となっている。2. 2023年3月期第2四半期累計業績は大幅増収増益で着地2023年3月期第2四半期累計の連結業績は売上高が前年同期比15.4%増の10,672百万円、営業利益が24.9%増の513百万円、経常利益が同24.7%増の523百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同20.2%増の324百万円。大幅増収増益で着地した。売上面では、IT関連事業(システム開発事業、サポート&サービス事業)がDX需要を背景として引き続き好調に推移し、パーキングシステム事業は行動制限の緩和に伴って駐輪場利用料収入を中心に売上高が回復基調となった。営業利益は、システム開発事業とサポート&サービス事業が人件費等の先行投資の影響で小幅減益だったが、パーキングシステム事業が増収効果等で回復基調となり、全体として大幅営業増益だった。3. 2023年3月期通期業績は従来予想据え置きだが上振れの可能性2023年3月期通期の連結業績予想は従来予想を据え置いて、売上高が前期比2.2%増の21,000百万円、営業利益が同10.8%増の1,000百万円、経常利益が同7.6%増の1,030百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同30.9%増の600百万円としている。IT関連事業は顧客企業におけるDX投資拡大を背景として順調に伸長し、パーキングシステム事業は不透明感があるものの新型コロナウィルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響が和らいで緩やかな回復基調の見込みである。コスト面では人的資本やDX推進に伴う戦略的投資を拡大するが、増収効果や生産性向上効果などで吸収して2桁営業増益を予想している。全体としては保守的な印象が強く、上期の進捗率が順調だったこと、下期の構成比が高い収益特性であること、上期の営業利益押し下げ要因となった賞与引当方法変更に伴う影響が下期には軽減されること、パーキングシステム事業の売上が回復ペースを速めていること、さらなる生産性向上や業務効率化の成果が見込まれることなどを勘案すれば、通期会社予想は上振れの可能性が高いと弊社では評価している。4. 利益率向上を推進して新たな成長ステージへ現・中期経営計画「Vision2023」の最終年度2023年3月期の目標値については、売上高、営業利益ともに達成見込みとなっている。2024年3月期からの次期・中期経営計画に関しては、特に利益率向上を推進する方針である。下條治(しもじょうおさむ)代表取締役社長は「パーキングシステム事業の事業環境はコロナ禍で大きく変化したが、IT関連事業に関しては収益力が順調に向上している。次期・中期経営計画では、サステナビリティ経営を意識しながら変革や新分野へのチャレンジを加速させるとともに、特に利益率向上を意識した経営に取り組みたい」と意気込みを語っている。ストック(運用)とフロー(開発)の連携強化などによる、さらなる付加価値の向上を目指す方針だ。弊社では、IT関連事業が牽引するだけでなく、利益率向上に向けた積極的な事業展開によって新たな成長ステージに入るものと評価している。■Key Points・トータル・ソリューション・プロバイダーとしての成長戦略を推進・2023年3月期通期業績は、従来予想据え置きだが上振れの可能性・次期・中期経営計画で利益率向上を推進して新たな成長ステージへ(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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2022/12/19 15:21
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ハウスコム Research Memo(7):2022年3月期は年間16円を想定
■株主還元策ハウスコム<3275>は株主還元策として配当を実施している。企業価値を継続的に拡大し株主に利益を還元することを重要な経営課題と位置付けており、配当性向30%の継続を基本方針としている。このような基本方針の下、2023年3月期は中間・期末ともに8.0円、通期で16.0円の配当を見込んでいる状況だ。これを受け、配当性向も31.4%に高まることを想定している。加えて、同社は株主還元として株主優待制度も設けている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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2022/12/19 15:07
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ハウスコム Research Memo(6):新成長戦略の下で安定した収益基盤の確立・競争力の強化を実行
■中長期の成長戦略ハウスコム<3275>は2021年12月に「新成長戦略」を発表した。新しい事業ポートフォリオへの転換と成長の加速に向けて、「事業領域拡大による収益構造の転換」「既存事業分野の競争力強化等」「店舗数増加による規模の拡大」「グループ経営を前進させるための内部体制の強化」の4施策を着実に推し進め、3年後の2025年3月期には営業収益167億円、営業利益11.9億円、ROE10.9%、8年後の2030年3月期にはそれぞれ196億円、21.3億円、12.3%の達成を目指す方針だ。店舗数に関しては、2030年3月期までに262店舗に拡大することを計画している。同戦略の下で各施策が着実に実行されており、特にデジタル化に関しては実績とノウハウがあり、先行者優位を順調に構築していると評価できる。1. 外部環境に左右されない収益構造を構築新成長戦略は、コロナ禍の発生によって同社の収益構造が外部環境の影響を受けやすいこと、事業の成長性が店舗数の増加ペースに比例していることなどを課題として策定されたものであり、同戦略の下、DXによる収益基盤の安定化に注力してきた。具体的には、引っ越しにかかる初期費用を抑えることができる「スマートレント」と、自主管理家主の物件管理をサポートする「スマートシステムPLUS」の拡販に注力している。どちらも継続収入型のサービスであり、外部環境に左右されない収益基盤の確立に寄与している。今後は法人・外国人など後払いに対する需要が高い顧客に向けて販促活動を強化し、「スマートレント」の販売拡大に注力するとしている。また、「スマートシステムPLUS」に関しては中堅管理会社の管理物件への導入などが想定されており、2024年3月期以降に業績に寄与するとしている。2. 同業・異業種との積極的業務提携による収益獲得機会の拡大及び競争力の強化2023年3月期第2四半期累計期間においては、ポケットカード(株)との提携によりスマートレントにおける家賃のクレジットカード払いを可能にしたほか、外国人留学生支援「KAKEHASHI」プロジェクトに参画し、知名度向上に取り組んだ。また、先述のとおり、中堅管理会社との連携も積極的に推進している。今後は、中堅管理会社からのリーシングサポート業務も積極的に拡大し、収益源の多様化と業績の拡大を図っていくことを計画している。3. DX推進によるビジネスモデルの変革とアフターデジタルに向けたノウハウの蓄積賃貸業界でもDXが進み、5年後には「業界の壁が崩壊」「体験が軸になる」という想定の下、同社は「データを制する者が未来を制す」と考え、DXを活用したビジネスモデルの変革を積極的に推進している。2022年3月には未来に向けたDX戦略の取り組みが評価され、「DX認定事業者」の認定を取得した。同社はDXによるビジネスモデルの変革として、データと統計手法を駆使して顧客一人ひとりに合った物件の紹介と、生産性と広告の費用対効果を最大化することに成功している。例えば、各ポータルサイト(SUUMOなどの物件情報を一覧できるサイトのこと)のデータと同社来店以降のデータを組み合わせることによって顧客ニーズの高いエリアを選定し、成約率が高いことが見込まれるエリアに効率的に物件情報を掲載して広告宣伝費の効率化を実現していることが挙げられる。さらに、事務処理のRPA・ペーパーレス化、オンライン内見、IT重説(重要事項説明をオンライン上で行うこと)などの各種施策によって、社員当たりの生産性も向上している。さらに、今後は顧客とのつながりを維持し、収益機会の増大を実現するためにデータを活用していく方針であり、外部企業との連携強化を図るとしている。4. 店舗数増加による規模の拡大と売買仲介への参入2023年3月期第2四半期累計期間において、売買事業への参入に向けた基盤整備は順調に進んだ。具体的には、品川と梅田に売買事業を扱う店舗を構え、中期経営計画の「2023年3月期までに店舗数2店舗」の目標を達成している。さらに、店舗数に関しては2022年10月末時点で203店舗(直営店202店舗、FC1店舗)となっており、下期において高円寺と緑地公園に新規出店を行う予定である。(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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2022/12/19 15:06
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ハウスコム Research Memo(5):2023年3月期は2期連続の増収増益を目指す
■今後の見通し1. 2023年3月期の連結業績見通しハウスコム<3275>の2023年3月期の連結業績については、営業収益で前期比3.7%増の14,735百万円、営業利益で同6.9%増の447百万円、経常利益で同4.7%増の643百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同5.4%増の392百万円と2期連続の増収増益、かつ過去最高の営業収益を見込んでいる。2021年12月に策定した「新成長戦略」を着実に推し進め、増収増益を達成していく考えだ。具体的には、高円寺と緑地公園への新規出店、持株会社への移行による営業力強化も通期業績予想の達成に貢献することが見込まれる。加えて、施工関連事業においては、引き続きオーナーとの直接取り引きによって利益率を高めていくほか、大規模修繕工事のニーズを的確に業績に取り込んでいくことも計画している。業績予想の根拠として同社は、仲介件数を前期比3.2%増の78,667件としている。上期の仲介件数実績は34,208件と進捗率43.5%となっており、おおむね順調に推移している状況だ。また、今期において仲介事業の単価上昇が売上の拡大に寄与したことを考慮すると、営業収益の目標を達成する可能性も高いと弊社では見ている。利益面に関してはDXによる生産性の向上により、収益性が足元で高まっていることが2023年3月期第2四半期の営業損益は上方修正されていることからも見て取れ、通期での目標達成の確度は高いと弊社は考える。なお、同社はリーシング機能や物件管理に活用できる「スマートシステムPLUSサービス」の導入などを活用して、中堅管理会社との協業にも取り組んでおり、これらの地道な取り組みが将来のさらなる成長拡大の布石になることを期待したい。2. 市場動向市場動向を見ると、2022年10月には政府の水際対策が大幅に緩和されたことにより訪日外国人の推移に回復の兆しが見え始めた。今後、Withコロナが進むとともに、訪日外国人の数が増加すれば、賃貸の需要増加とサービス業従事者の需要増加が見込まれることから、同社を取り巻く市場動向には十分明るい材料があると言えよう。(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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2022/12/19 15:05
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ハウスコム Research Memo(4):財務体質は引き続き健全
■業績動向2. 財務状況と経営指標ハウスコム<3275>の2023年3月期第2四半期末の総資産は、前期末比510百万円減の9,668百万円となった。主な増減要因を見てみると、流動資産では現金及び預金が1,320百万円減少した。固定資産では持株会社体制への移行に伴う営業保証金の預入によって投資その他の資産が865百万円増加した。負債合計については、前期末比451百万円減の2,937百万円となった。主な増減要因を見ると、流動負債では税金の支払いによって未払法人税等が199百万円、営業債務の支払いによって営業未払金が70百万円、賞与の支給によって賞与引当金が133百万円減少した。固定負債は16百万円増加した。純資産合計は前期末比58百万円減の6,730百万円だった。安全性に関する各指標に関しては、流動比率が191.1%、固定比率が84.8%となっており、引き続き長短の手元流動性に問題はないと弊社は考える。また、自己資本比率に関しては、前期末比プラス2.9ポイントの69.3%に上昇しており、高い水準を維持している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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2022/12/19 15:04