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新晃工業 Research Memo(11):2023年3月期下期は価格改定や稼働率向上でカバーへ
配信日時:2022/12/20 16:41
配信元:FISCO
■業績動向
2. 2023年3月期の業績見通し
新晃工業<6458>は2023年3月期の業績を、売上高43,000百万円(前期比2.5%増)、営業利益5,750百万円(同0.7%増)、経常利益6,100百万円(同0.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益4,180百万円(同2.0%増)と見込んでいる。日本経済は、コロナ禍の収束が見えないなか、原材料の高騰や部材不足、円安など短期的なリスクや、少子高齢化など中長期的な課題に対応する必要に迫られている。一方、空調機は工場やデータセンターなど産業向けに安定した需要が継続しており、足下では東京や大阪の再開発事業の進行、事務所や商業施設の建設回復など比較的強い動きが続いている。このような事業環境を踏まえると、同社にとって、原材料高や部材不足への対応と同様、SIMAプロジェクトによる生産性向上を軸に中期経営計画「move.2025」で掲げた5つの重要取組項目に注力することやESG経営を推進していくことも非常に重要と言える。
2023年3月期第2四半期は納期遅延などにより売上高の進捗が弱くなったが、その分第2四半期末の受注残が例年より厚くなっており、下期に集中的に売上に計上される見込みとなっている。このため売上高は、計画線またはそれ以上を確保できる可能性が高いと考えられる。原材料高により低下した売上総利益率は、価格改定で対応してはいるものの、受注と完工のタイムラグから効果が表れるのが第4四半期以降となるため、計画より弱い状況が続きそうだ。同社は第2四半期の未達について、通期に向けて案件量確保による工場稼働率の向上や受注後の交渉、原価や販管費の抑制、SIMAプロジェクトの加速などでカバーする考えである。通期の営業利益を計画どおり達成するためのハードルは高いが、こうした施策によって原材料高などによる売上総利益率の低下をどこまでカバーできるかが、カギとなるだろう。
中長期的にリスク以上に大きくなる期待
3. 中長期成長イメージ
原材料価格の高騰や納期遅延など短期リスクを乗り越えたあと、中期成長にとって重要なポイントとなるのが、SIMAプロジェクトの完成と重要取組項目の推進である。SIMAプロジェクトは2024年3月期には一定の完成となる。国内の空調機が工場やデータセンター向けに好調で、加えて東京都心再開発や大阪万博関連、商業施設なども視野に入り、さらにバブル期納入後20年~30年が経過した水AHUの更新需要も徐々に増えてくると予想され、5つの重要取組項目も順調に進捗しそうだ。こうしたシナリオは精度の高い同社の需要予測などに基づいているため、可能性は高い。一方、現在発生している様々なリスクがこの先さらに悪化することは考えにくい。したがって、最終年度の2025年3月期に向けて業況は勢いを増し、中期経営計画目標の売上高520億円、営業利益75億円を達成する公算が高まったと言えるだろう。
長期的には、新規のオフィスビル向け需要の鈍化や労働力不足といったリスクが予測されている。しかし、データセンターや工場向けはデジタル化や生産の国内回帰などを背景に息が長く続くという見方になってきており、さらに更新需要が加わってくることが期待される。また、気候変動への対応の点からも、同社は地球温暖化係数の低い熱媒体への転換やフロンガス使用量削減につながるシステム設計を推進する方針のため、同社空調機へのニーズは長期的にも高いと予想される。労働力不足については、SIMAプロジェクトなどにより解決に向かっていることだろう。このため、同社の長期的な事業環境も良好と考えられる。ただし、大型案件が様々増えてくると新技術が必要になるうえ、諸々のリスクを考慮して在庫の確保も必要となるため、遠からず工場や倉庫への投資が必要になると思われる。また、業容拡大の点から、M&Aなどにより、空調工事分野へと領域を拡大する意向を示している。この辺りの投資と成果が、同社の長期的な成長を支えることになると思われる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<NS>
2. 2023年3月期の業績見通し
新晃工業<6458>は2023年3月期の業績を、売上高43,000百万円(前期比2.5%増)、営業利益5,750百万円(同0.7%増)、経常利益6,100百万円(同0.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益4,180百万円(同2.0%増)と見込んでいる。日本経済は、コロナ禍の収束が見えないなか、原材料の高騰や部材不足、円安など短期的なリスクや、少子高齢化など中長期的な課題に対応する必要に迫られている。一方、空調機は工場やデータセンターなど産業向けに安定した需要が継続しており、足下では東京や大阪の再開発事業の進行、事務所や商業施設の建設回復など比較的強い動きが続いている。このような事業環境を踏まえると、同社にとって、原材料高や部材不足への対応と同様、SIMAプロジェクトによる生産性向上を軸に中期経営計画「move.2025」で掲げた5つの重要取組項目に注力することやESG経営を推進していくことも非常に重要と言える。
2023年3月期第2四半期は納期遅延などにより売上高の進捗が弱くなったが、その分第2四半期末の受注残が例年より厚くなっており、下期に集中的に売上に計上される見込みとなっている。このため売上高は、計画線またはそれ以上を確保できる可能性が高いと考えられる。原材料高により低下した売上総利益率は、価格改定で対応してはいるものの、受注と完工のタイムラグから効果が表れるのが第4四半期以降となるため、計画より弱い状況が続きそうだ。同社は第2四半期の未達について、通期に向けて案件量確保による工場稼働率の向上や受注後の交渉、原価や販管費の抑制、SIMAプロジェクトの加速などでカバーする考えである。通期の営業利益を計画どおり達成するためのハードルは高いが、こうした施策によって原材料高などによる売上総利益率の低下をどこまでカバーできるかが、カギとなるだろう。
中長期的にリスク以上に大きくなる期待
3. 中長期成長イメージ
原材料価格の高騰や納期遅延など短期リスクを乗り越えたあと、中期成長にとって重要なポイントとなるのが、SIMAプロジェクトの完成と重要取組項目の推進である。SIMAプロジェクトは2024年3月期には一定の完成となる。国内の空調機が工場やデータセンター向けに好調で、加えて東京都心再開発や大阪万博関連、商業施設なども視野に入り、さらにバブル期納入後20年~30年が経過した水AHUの更新需要も徐々に増えてくると予想され、5つの重要取組項目も順調に進捗しそうだ。こうしたシナリオは精度の高い同社の需要予測などに基づいているため、可能性は高い。一方、現在発生している様々なリスクがこの先さらに悪化することは考えにくい。したがって、最終年度の2025年3月期に向けて業況は勢いを増し、中期経営計画目標の売上高520億円、営業利益75億円を達成する公算が高まったと言えるだろう。
長期的には、新規のオフィスビル向け需要の鈍化や労働力不足といったリスクが予測されている。しかし、データセンターや工場向けはデジタル化や生産の国内回帰などを背景に息が長く続くという見方になってきており、さらに更新需要が加わってくることが期待される。また、気候変動への対応の点からも、同社は地球温暖化係数の低い熱媒体への転換やフロンガス使用量削減につながるシステム設計を推進する方針のため、同社空調機へのニーズは長期的にも高いと予想される。労働力不足については、SIMAプロジェクトなどにより解決に向かっていることだろう。このため、同社の長期的な事業環境も良好と考えられる。ただし、大型案件が様々増えてくると新技術が必要になるうえ、諸々のリスクを考慮して在庫の確保も必要となるため、遠からず工場や倉庫への投資が必要になると思われる。また、業容拡大の点から、M&Aなどにより、空調工事分野へと領域を拡大する意向を示している。この辺りの投資と成果が、同社の長期的な成長を支えることになると思われる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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