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ネットイヤー Research Memo(6):生成AI技術の積極活用により競争力を強化、業績は成長軌道に入る
配信日時:2025/12/05 11:06
配信元:FISCO
*11:06JST ネットイヤー Research Memo(6):生成AI技術の積極活用により競争力を強化、業績は成長軌道に入る
■ネットイヤーグループ<3622>の今後の見通し
2. 中期経営計画
(1) 中期経営計画の概要
同社は2025年6月に3ヶ年の中期経営計画を発表した。2024年6月に代表取締役社長に就任した廣中氏の強いリーダーシップのもと、「生成AIを最大限活用することに全振りする」ことを活動指針として掲げた。今後3年間で、「戦う市場領域を高付加価値領域、戦う社員を高付加価値人材へと転換」「企業のマーケティング領域をデジタル×AIで支援」「2027年3月期の売上高利益率を安定的に10%計上する仕組みをつくる」「市場における当社ブランディングを強化する」の4点の実現に向けた取り組みを推進していく方針だ。
営業戦略としては、重点顧客(年間取引高5億円以上)を増やすべく、候補企業となりうる新規顧客(年間取引高1~5億円)の開拓と育成に注力していく。ロングテールの顧客企業群(取引高1億円以下)については、徹底的に生成AIを活用することで収益性の向上を図っていく。また、NTTデータグループとの協業についても生成AIの利活用をテーマとしたコンサルティング案件を中心に拡大を目指す。NTTデータグループは2025年4月に、OpenAIと戦略的提携を発表し、OpenAIの国内初の販売代理店として「ChatGPT Enterprise」の提供を開始している。今後、各業界に特化したAIエージェントの開発プロジェクト等において同社が参画する可能性がある。
業績目標としては、2028年3月期に売上高52億円、営業利益5.2億円、営業利益率10%を掲げた。2026年3月期を生成AIを事業面で利活用する転換期と位置付け、受注の拡大と生産性向上につなげていく。売上高のうち、ビジネスディベロップメント事業(フルファネルマーケティングで全方位のデジタルマーケティング支援を行うサービス)は、2026年3月期見込みの7億円から2028年3月期は15億円と2倍増を目指す。一方、ビジネスグロース事業(フルファネルマーケティングを除いた顧客の成長を支援するサービス)については、28億円から35億円と年率12%の成長を見込む。そのほか、インキュベーション事業として生成AIをコア技術とするスタートアップ企業への出資やアライアンスを実施し、共同開発するAI関連サービスで2028年3月期に2億円の売上を目指す。
(2) 生成AIの重点領域
a) 既存顧客のデジタルメディアを生成AI仕様に転換
インターネットを使った情報の検索行動において、これまではブラウザ検索が中心であり、企業はデジタルメディア(自社Webサイト)について、ブラウザ検索のアルゴリズムに沿った形でSEO対策を進めてきた。しかし、ここ1~2年で探索行動が生成AIツールに移行しつつあり、デジタルメディアもAIO/LLMO対策に対応した仕様に変換していく必要が出てきている。UX/CXを起点にこれまで数多くの企業のデジタルメディアを手掛けてきた同社にとっては、受注拡大の好機となる。
b) 生成AIツールの活用で社内外の生産性を向上
生成AIツールを積極的に活用することで、社内外での生産性向上を推進する。既にその効果は原価率の改善や販管費の抑制など顕在化し始めているが、今後もより一層活用を進めていくことで、全体の収益性を高めていく。社外での活用例としては、デジタルメディアの開発に生成AI技術を活用することで受注単価は従前とほぼ同水準ながらも要員数を削減できた。また、ホテル業界における人手不足対策のソリューションとして、夜間のフロント電話応対業務を音声AIで自動化する概念実証を大手ビジネスホテルチェーンで実施し、今後はチェックインや館内案内業務への拡張を予定している。
c) ABACモデル時代の企業側のAIエージェント開発に注力
同社では近い将来、企業と顧客(消費者等)のコミュニケーションが、双方のAIエージェントで完結する世界が到来することを想定しており、これを同社ではABACモデルと呼称している。この新しい時代に向けたサービス展開の第1段階として、企業側のAIエージェントの開発に注力する方針で、OpenAIと戦略提携したNTTデータグループとの協働により競合他社に対する優位性が高まる。
(3) 人材戦略
人材戦略については、生成AI関連の技術者の育成・採用を強化する方針で、社内でのリスキリングを実施している。そのほか、キャリア採用についてはエージェント会社を絞り込み、インセンティブを増やしてでも優秀な人材の採用を進める考えだ。また、生成AI領域で同社のブランド力を強化することで、採用力の向上につなげる。具体的な施策として、生成AI活用事例を積極的にPRしていくほか、カンファレンスなどでの発表も行い認知度の向上を図っていく。また、中長期的な視野で事業の主軸となる人材を定め、戦略的に確保・育成するとともに、それらの人材のパフォーマンスを最大化するための人事制度等の仕組みも整備する。要員に関しては、2025年3月期の194名から2027年3月期は228名まで増員する計画だ。
(4) NTTデータグループとの協業
NTTデータとの資本業務提携以降、NTTデータが持つ顧客資産や技術力を背景として、案件拡大や新規顧客の開拓など一定の成果に結びつけてきた。現状は、NTTデータ向けの売上の大半を占める大口顧客のデジタルマーケティング支援案件の縮小に伴い、売上高は2023年3月期の1,352百万円をピークに減収傾向が続いているが、今後は生成AI領域におけるビジネス展開をNTTデータでも積極的に推進していく方向性を打ち出していることから※、同社との協働案件も増える可能性が高く、これまで以上にシナジーを創出できる好機になると弊社では見ている。
※ NTTデータグループは、生成AI関連ビジネスのグローバル展開を強化し、OpenAI関連ビジネスで2027年度末までに累計1,000億円規模の売上を目指している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<HN>
2. 中期経営計画
(1) 中期経営計画の概要
同社は2025年6月に3ヶ年の中期経営計画を発表した。2024年6月に代表取締役社長に就任した廣中氏の強いリーダーシップのもと、「生成AIを最大限活用することに全振りする」ことを活動指針として掲げた。今後3年間で、「戦う市場領域を高付加価値領域、戦う社員を高付加価値人材へと転換」「企業のマーケティング領域をデジタル×AIで支援」「2027年3月期の売上高利益率を安定的に10%計上する仕組みをつくる」「市場における当社ブランディングを強化する」の4点の実現に向けた取り組みを推進していく方針だ。
営業戦略としては、重点顧客(年間取引高5億円以上)を増やすべく、候補企業となりうる新規顧客(年間取引高1~5億円)の開拓と育成に注力していく。ロングテールの顧客企業群(取引高1億円以下)については、徹底的に生成AIを活用することで収益性の向上を図っていく。また、NTTデータグループとの協業についても生成AIの利活用をテーマとしたコンサルティング案件を中心に拡大を目指す。NTTデータグループは2025年4月に、OpenAIと戦略的提携を発表し、OpenAIの国内初の販売代理店として「ChatGPT Enterprise」の提供を開始している。今後、各業界に特化したAIエージェントの開発プロジェクト等において同社が参画する可能性がある。
業績目標としては、2028年3月期に売上高52億円、営業利益5.2億円、営業利益率10%を掲げた。2026年3月期を生成AIを事業面で利活用する転換期と位置付け、受注の拡大と生産性向上につなげていく。売上高のうち、ビジネスディベロップメント事業(フルファネルマーケティングで全方位のデジタルマーケティング支援を行うサービス)は、2026年3月期見込みの7億円から2028年3月期は15億円と2倍増を目指す。一方、ビジネスグロース事業(フルファネルマーケティングを除いた顧客の成長を支援するサービス)については、28億円から35億円と年率12%の成長を見込む。そのほか、インキュベーション事業として生成AIをコア技術とするスタートアップ企業への出資やアライアンスを実施し、共同開発するAI関連サービスで2028年3月期に2億円の売上を目指す。
(2) 生成AIの重点領域
a) 既存顧客のデジタルメディアを生成AI仕様に転換
インターネットを使った情報の検索行動において、これまではブラウザ検索が中心であり、企業はデジタルメディア(自社Webサイト)について、ブラウザ検索のアルゴリズムに沿った形でSEO対策を進めてきた。しかし、ここ1~2年で探索行動が生成AIツールに移行しつつあり、デジタルメディアもAIO/LLMO対策に対応した仕様に変換していく必要が出てきている。UX/CXを起点にこれまで数多くの企業のデジタルメディアを手掛けてきた同社にとっては、受注拡大の好機となる。
b) 生成AIツールの活用で社内外の生産性を向上
生成AIツールを積極的に活用することで、社内外での生産性向上を推進する。既にその効果は原価率の改善や販管費の抑制など顕在化し始めているが、今後もより一層活用を進めていくことで、全体の収益性を高めていく。社外での活用例としては、デジタルメディアの開発に生成AI技術を活用することで受注単価は従前とほぼ同水準ながらも要員数を削減できた。また、ホテル業界における人手不足対策のソリューションとして、夜間のフロント電話応対業務を音声AIで自動化する概念実証を大手ビジネスホテルチェーンで実施し、今後はチェックインや館内案内業務への拡張を予定している。
c) ABACモデル時代の企業側のAIエージェント開発に注力
同社では近い将来、企業と顧客(消費者等)のコミュニケーションが、双方のAIエージェントで完結する世界が到来することを想定しており、これを同社ではABACモデルと呼称している。この新しい時代に向けたサービス展開の第1段階として、企業側のAIエージェントの開発に注力する方針で、OpenAIと戦略提携したNTTデータグループとの協働により競合他社に対する優位性が高まる。
(3) 人材戦略
人材戦略については、生成AI関連の技術者の育成・採用を強化する方針で、社内でのリスキリングを実施している。そのほか、キャリア採用についてはエージェント会社を絞り込み、インセンティブを増やしてでも優秀な人材の採用を進める考えだ。また、生成AI領域で同社のブランド力を強化することで、採用力の向上につなげる。具体的な施策として、生成AI活用事例を積極的にPRしていくほか、カンファレンスなどでの発表も行い認知度の向上を図っていく。また、中長期的な視野で事業の主軸となる人材を定め、戦略的に確保・育成するとともに、それらの人材のパフォーマンスを最大化するための人事制度等の仕組みも整備する。要員に関しては、2025年3月期の194名から2027年3月期は228名まで増員する計画だ。
(4) NTTデータグループとの協業
NTTデータとの資本業務提携以降、NTTデータが持つ顧客資産や技術力を背景として、案件拡大や新規顧客の開拓など一定の成果に結びつけてきた。現状は、NTTデータ向けの売上の大半を占める大口顧客のデジタルマーケティング支援案件の縮小に伴い、売上高は2023年3月期の1,352百万円をピークに減収傾向が続いているが、今後は生成AI領域におけるビジネス展開をNTTデータでも積極的に推進していく方向性を打ち出していることから※、同社との協働案件も増える可能性が高く、これまで以上にシナジーを創出できる好機になると弊社では見ている。
※ NTTデータグループは、生成AI関連ビジネスのグローバル展開を強化し、OpenAI関連ビジネスで2027年度末までに累計1,000億円規模の売上を目指している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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