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CRI・MW Research Memo(2):「CRIWARE」ブランドでミドルウェアを提供
配信日時:2025/12/05 12:02
配信元:FISCO
*12:02JST CRI・MW Research Memo(2):「CRIWARE」ブランドでミドルウェアを提供
■会社概要
1. 会社概要
CRI・ミドルウェア<3698>は、主に「CRIWARE」及び「OPTPiX」というブランドで、音声・映像に特化したミドルウェア※の許諾ビジネスや技術サポートを行っている。独自開発した音声・映像のデジタル信号処理技術に強みを持ち、ゲーム事業とエンタープライズ事業を展開、ゲーム事業はミドルウェアや画像最適化ソリューションなどを提供、特に音声ミドルウェアは国内ゲーム市場でのシェアが高い。また、子会社は音響制作を手掛けている。エンタープライズ事業ではゲーム事業で培った技術を生かし、モビリティ分野、家電・IoT機器などの組込み分野、Web動画や静止画などクラウドソリューション分野をターゲットに製品展開をしている。中長期的に国内ゲーム事業に依存する事業構造を変革し、モビリティ、ゲーム、オンラインコミュニケーションの3本柱をコア事業に成長していく計画で、2030年9月期までに売上高100億円企業となることを目指している。
※ ミドルウェア:ハードウェアやOS(オペレーティングシステム)と、アプリケーションソフトウェアとの中間(ミドル)に位置するソフトウェア。様々なハードウェアやOSの特性を押さえることで、アプリケーションの動作や開発をスムーズに行う。クオリティの向上、開発工数の削減、開発期間の短縮、開発難易度の低減などの効果があり、また、アプリケーションを異なる様々なプラットフォームで容易に展開できる。
ゲーム向けで創業、モビリティなどへ業用拡大
2. 沿革
同社の前身は、(株)CSK(現 SCSK<9719>)の子会社で、1983年にソフトウェア技術の研究所として設立された(株)CSK総合研究所である。設立当初はAIなどの研究を行っていたが、音声・映像関連の研究を進める過程で、当時CSKのグループ会社であった(株)セガ・エンタープライゼス(現 (株)セガ)との関係が深まり、セガの家庭用ゲーム機向け基本ソフト(ミドルウェア)やアプリケーションソフト(ゲーム)の開発を手掛けるようになった。その後セガの子会社となったが、2001年1月にセガが家庭用ゲーム機のハードウェア事業から撤退することになったため、同社前身であるCSK総合研究所のミドルウェア事業は、セガ以外の家庭用ゲーム機向けにマルチプラットフォーム展開する必要が生じた。このため、2001年8月にCSK総合研究所からミドルウェア部門が独立する形で同社が設立されることとなった。現在でも同社株式を12.25%所有するセガのゲームの多くに同社のミドルウェアが使われているが、経営自体は独立性が高く、マルチプラットフォームとしてスクウェア・エニックス・ホールディングス<9684>や(株)バンダイナムコエンターテインメントなどゲーム業界で顧客を増やしていった。2011年にはスマートデバイス向け営業プレゼンテーションシステムでゲーム業界以外に進出、2017年には車載組込み用サウンドミドルウェアによってモビリティ業界にも進出した。なお、海外事業については2006年に米国に進出したが、ゲーム機の世代が変わりタイトルが大型化するタイミングで、一旦撤退することになった。しかし2019年に海外進出を再開、ミドルウェア活用がまだブルーオーシャンだった中国から始めたことが奏功して着実に成長、足もとでは欧米への再進出も開始したところである。
モビリティ分野のミドルウェアシフトに注目
3. 業界環境
ゲーム業界では、スマホゲームのブームが落ち着き、スマートフォンからコンソール、PCへと揺り戻しが起きている。タイトルとしては、近年様々な理由で大規模タイトルの低迷が相次ぐなか、小規模チームによるインディータイトルが活性化している。同社はマルチプラットフォーム対応を強みとするため、国内の大規模タイトルもターゲットだが、同社にとってはタイトル規模の大小以上に導入するタイトルの数が重要なため、インディーを育成するための無料製品※の投入も進めている。ゲーム業界以外では、特にモビリティ分野が伸びている。音声を必要とする場所は1台の自動車の中に多数あるうえ、自動車メーカーが音声ICからミドルウェアへとシフトしているためである。そうしたなかで、価格と品質のバランスがとれている点や、汎用マイコンを使っているため調達リスクを回避しやすい点に同社の優位性がある。また、車載ディスプレイメーターの高度化によりグラフィックソリューションの重要度が高まっていることから、同社グラフィック製品への注目も増している。
※ インディーゲームメーカーを支援する仕組み。売上規模などが一定以上になると料金が発生する。
ミドルウェアで競合とされるのは、音声に特化したカナダのAudiokinetic, Inc.の「Wwise」である。映像を得意とするRAD Game Toolsも競合ではあるが、Epic Gamesに買収されて以来、Epic Games向けの開発が中心となっているため競合とは言いづらくなった。米国Unity Technologies(Unity Software Inc.)の「Unity」と米国Epic Gamesの「Unreal Engine」については、ゲーム全体を作成しやすくするゲームエンジンなので競合ではあるが、その機能をさらに高めたい場合に同社のミドルウェアと連携することが多く、むしろ共存する間柄とも言える。現在、国内では同社がトップシェアと言われるが、海外は同社が撤退していた間に「Wwise」が欧米で地歩を固めているようだ。このため、海外ゲーム市場でのシェア獲得も戦略目標となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)
<HN>
1. 会社概要
CRI・ミドルウェア<3698>は、主に「CRIWARE」及び「OPTPiX」というブランドで、音声・映像に特化したミドルウェア※の許諾ビジネスや技術サポートを行っている。独自開発した音声・映像のデジタル信号処理技術に強みを持ち、ゲーム事業とエンタープライズ事業を展開、ゲーム事業はミドルウェアや画像最適化ソリューションなどを提供、特に音声ミドルウェアは国内ゲーム市場でのシェアが高い。また、子会社は音響制作を手掛けている。エンタープライズ事業ではゲーム事業で培った技術を生かし、モビリティ分野、家電・IoT機器などの組込み分野、Web動画や静止画などクラウドソリューション分野をターゲットに製品展開をしている。中長期的に国内ゲーム事業に依存する事業構造を変革し、モビリティ、ゲーム、オンラインコミュニケーションの3本柱をコア事業に成長していく計画で、2030年9月期までに売上高100億円企業となることを目指している。
※ ミドルウェア:ハードウェアやOS(オペレーティングシステム)と、アプリケーションソフトウェアとの中間(ミドル)に位置するソフトウェア。様々なハードウェアやOSの特性を押さえることで、アプリケーションの動作や開発をスムーズに行う。クオリティの向上、開発工数の削減、開発期間の短縮、開発難易度の低減などの効果があり、また、アプリケーションを異なる様々なプラットフォームで容易に展開できる。
ゲーム向けで創業、モビリティなどへ業用拡大
2. 沿革
同社の前身は、(株)CSK(現 SCSK<9719>)の子会社で、1983年にソフトウェア技術の研究所として設立された(株)CSK総合研究所である。設立当初はAIなどの研究を行っていたが、音声・映像関連の研究を進める過程で、当時CSKのグループ会社であった(株)セガ・エンタープライゼス(現 (株)セガ)との関係が深まり、セガの家庭用ゲーム機向け基本ソフト(ミドルウェア)やアプリケーションソフト(ゲーム)の開発を手掛けるようになった。その後セガの子会社となったが、2001年1月にセガが家庭用ゲーム機のハードウェア事業から撤退することになったため、同社前身であるCSK総合研究所のミドルウェア事業は、セガ以外の家庭用ゲーム機向けにマルチプラットフォーム展開する必要が生じた。このため、2001年8月にCSK総合研究所からミドルウェア部門が独立する形で同社が設立されることとなった。現在でも同社株式を12.25%所有するセガのゲームの多くに同社のミドルウェアが使われているが、経営自体は独立性が高く、マルチプラットフォームとしてスクウェア・エニックス・ホールディングス<9684>や(株)バンダイナムコエンターテインメントなどゲーム業界で顧客を増やしていった。2011年にはスマートデバイス向け営業プレゼンテーションシステムでゲーム業界以外に進出、2017年には車載組込み用サウンドミドルウェアによってモビリティ業界にも進出した。なお、海外事業については2006年に米国に進出したが、ゲーム機の世代が変わりタイトルが大型化するタイミングで、一旦撤退することになった。しかし2019年に海外進出を再開、ミドルウェア活用がまだブルーオーシャンだった中国から始めたことが奏功して着実に成長、足もとでは欧米への再進出も開始したところである。
モビリティ分野のミドルウェアシフトに注目
3. 業界環境
ゲーム業界では、スマホゲームのブームが落ち着き、スマートフォンからコンソール、PCへと揺り戻しが起きている。タイトルとしては、近年様々な理由で大規模タイトルの低迷が相次ぐなか、小規模チームによるインディータイトルが活性化している。同社はマルチプラットフォーム対応を強みとするため、国内の大規模タイトルもターゲットだが、同社にとってはタイトル規模の大小以上に導入するタイトルの数が重要なため、インディーを育成するための無料製品※の投入も進めている。ゲーム業界以外では、特にモビリティ分野が伸びている。音声を必要とする場所は1台の自動車の中に多数あるうえ、自動車メーカーが音声ICからミドルウェアへとシフトしているためである。そうしたなかで、価格と品質のバランスがとれている点や、汎用マイコンを使っているため調達リスクを回避しやすい点に同社の優位性がある。また、車載ディスプレイメーターの高度化によりグラフィックソリューションの重要度が高まっていることから、同社グラフィック製品への注目も増している。
※ インディーゲームメーカーを支援する仕組み。売上規模などが一定以上になると料金が発生する。
ミドルウェアで競合とされるのは、音声に特化したカナダのAudiokinetic, Inc.の「Wwise」である。映像を得意とするRAD Game Toolsも競合ではあるが、Epic Gamesに買収されて以来、Epic Games向けの開発が中心となっているため競合とは言いづらくなった。米国Unity Technologies(Unity Software Inc.)の「Unity」と米国Epic Gamesの「Unreal Engine」については、ゲーム全体を作成しやすくするゲームエンジンなので競合ではあるが、その機能をさらに高めたい場合に同社のミドルウェアと連携することが多く、むしろ共存する間柄とも言える。現在、国内では同社がトップシェアと言われるが、海外は同社が撤退していた間に「Wwise」が欧米で地歩を固めているようだ。このため、海外ゲーム市場でのシェア獲得も戦略目標となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)
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