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注目トピックス 日本株 みずほリース Research Memo(5):2026年3月期も最終増益予想 *16:05JST みずほリース Research Memo(5):2026年3月期も最終増益予想 ■みずほリース<8425>の今後の見通し● 2026年3月期連結業績予想の概要2026年3月期の連結業績予想は営業利益が前期比8.1%減の45,000百万円、経常利益が同13.9%減の57,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が2.3%増の43,000百万円としている。営業利益・経常利益については、営業資産残高の順調な積み上げ等によって政策金利引上げに伴う資金コストの増加と前期の一過性収益のはく落影響を一定程度打ち返す見込みだが、将来のさらなる飛躍を見据えた経営基盤強化のため人的投資やシステム投資を継続することで販管費が増加すること等により、減益予想となっている。親会社株主に帰属する当期純利益は、前期の特別損失・税金費用が一巡し増益予想としている。国内リース・不動産事業を中心とするコア分野が堅調であり、グロース分野と位置付ける環境エネルギー事業や海外・航空機事業の営業資産残高も増加基調であることを勘案すれば、好業績が期待できると弊社では考えている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展) <HN> 2025/07/02 16:05 注目トピックス 日本株 みずほリース Research Memo(4):2025年3月期は大幅増益で過去最高 *16:04JST みずほリース Research Memo(4):2025年3月期は大幅増益で過去最高 ■みずほリース<8425>の業績動向1. 2025年3月期連結業績の概要2025年3月期の連結業績は売上高が前期比6.0%増の695,423百万円、営業利益が同23.9%増の48,966百万円、経常利益が同30.1%増の66,219百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同19.4%増の42,038百万円となった。前回予想(2025年2月5日付で営業利益を据え置き、経常利益を5,000百万円上方修正、親会社株主に帰属する当期純利益を2,000百万円上方修正し、営業利益47,000百万円、経常利益60,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益40,000百万円)を上回る大幅増益で過去最高となった。全社ベースの契約実行高は同22.3%増の1,795,684百万円、期末営業資産残高は同14.8%増の3,281,857百万円と順調に増加した。コア分野である国内リースや不動産に加え、グロース分野の海外・航空機事業も伸長した。売上総利益は同17.3%増加し、売上総利益率は同1.2ポイント上昇して12.4%となった。販管費は同9.6%増加し、販管費率は同0.2ポイント上昇して5.4%となった。この結果、営業利益率は同1.0ポイント上昇して7.0%となった。営業外収益・費用では、受取配当金が同1,002百万円減少、支払利息が同1,889百万円増加したものの、持分法による投資利益が同7,526百万円増加(前期は10,482百万円、当期は18,008百万円)した。この結果、経常利益率は同1.7ポイント上昇して9.5%、親会社株主に帰属する当期純利益率は同0.6ポイント上昇して6.0%、ROA(=経常利益÷総資産)は同0.2ポイント上昇して1.8%、ROE(=当期純利益÷自己資本)は同0.1ポイント低下して12.2%となった。そして、ROA、ROEを含めて、中期経営計画で掲げた最終年度(2026年3月期)財務目標を1期前倒しで達成した。親会社株主に帰属する当期純利益(前期比68億円増益)増減要因分析は、売上総利益段階で127億円増加(差引利益の増加で211億円増加、資金原価の増加で84億円減少)、営業利益段階で95億円増加(人件費・物件費の増加で40億円減少、信用コストの減少で8億円増加)、経常利益段階で153億円増加(持分法投資損益の増加で75億円増加、その他の営業外損益の悪化で17億円減少)、そして税金費用等増加で75億円減少、非支配株主利益で10億円減少となった。差引利益は不動産・環境エネルギー事業の伸長、インド子会社の通期連結効果などで順調に増加した。資金原価は円金利上昇と営業資産残高拡大に伴って増加した。人件費・物件費は業容拡大に伴う人員増や賃金引き上げ、IT投資等により増加した。持分法投資損益はジェコスを持分法適用関連会社化した効果(一過性収益の負ののれん47億円を含む)や、米国Aircastle社の収益改善効果などにより増加した。事業分野別の持分法投資損益は国内リース事業が同65億円増の87億円、不動産・環境エネルギー事業が同1億円増の45億円、海外・航空機事業が同10億円増の46億円(うち米国Aircastle社が同23億円増の13億円)、ファイナンス・投資事業が同1億円減の2億円となった。その他の営業外損益では国内金利上昇による支払利息の増加が影響した。税金費用等は特別損失に本社移転(2026年春予定)損失引当金繰入額7億円を計上したほか、米国Aircastle社CFC税制にかかる繰延税金資産の取り崩し37億円が影響した。不動産・環境エネルギー事業、海外・航空機事業が大幅に拡大2. 事業分野別の動向事業分野別(管理会計ベース)に見ると、売上総利益は国内リース事業が前期比3億円減の352億円、不動産・環境エネルギー事業が同49億円増の292億円(不動産が同44億円増の274億円、環境エネルギーが同5億円増の18億円)、海外・航空機事業が同67億円増の185億円(海外現法が同55億円増の132億円、航空機・船舶等が同12億円増の53億円)、ファイナンス・投資事業が同13億円増の34億円となった。契約実行高は国内リース事業が同263億円増の8,223億円、不動産・環境エネルギー事業が同2,091億円増の7,050億円(不動産が同1,894億円増の6,644億円、環境エネルギーが同197億円増の406億円)、海外・航空機事業が同1,123億円増の2,348億円(海外現法が同1,180億円増の2,046億円、航空機・船舶等が同57億円減の302億円)、ファイナンス・投資事業が同205億円減の336億円となった。期末営業資産残高は国内リース事業が同316億円増の1兆4,479億円、不動産・環境エネルギー事業が同3,575億円増の1兆3,778億円(不動産が同3,343億円増の1兆2,400億円、環境エネルギーが同232億円増の1,378億円)、海外・航空機事業が同186億円増の2,595億円(海外現法が同274億円増の1,059億円、航空機・船舶等が同89億円減の1,536億円)、ファイナンス・投資事業が同153億円増の1,967億円となった。国内リース事業の売上総利益は、前期の大口解約益(約14億円)はく落の影響で小幅に減少したが、この要因を除くベースではおおむね順調に推移した。不動産・環境エネルギー事業の売上総利益は、不動産における大型ブリッジ案件の成約も寄与して大幅に拡大した。海外・航空機事業の売上総利益も大幅に拡大した。海外現法におけるインド子会社の通期連結効果と大口売却益計上がけん引した。ファイナンス・投資事業の売上総利益は、営業資産残高の積み上げにより順調に増加した。高い信用格付で財務の健全性を維持3. 財務の状況財務面で見ると、2025年3月期末の資産合計は前期末比534,725百万円増加して3,898,061百万円、負債合計は同463,030百万円増加して3,496,565百万円、純資産合計は同71,695百万円増加して401,495百万円となった。業容拡大に伴って営業資産残高が増加し、一方で有利子負債残高が同435,643百万円増加して3,278,071百万円となった。有利子負債残高の内訳(構成比)は借入金(円貨)が54%、CPが20%、社債(円貨)が14%、外貨が8%、債権流動化に伴う支払債務が3%となった。純資産については、丸紅及びみずほフィナンシャルグループを割当先とする第三者割当増資(2024年6月払込)を実施して資本金及び資本剰余金が増加したほか、当期純利益の計上により利益剰余金が増加した。この結果、自己資本比率は同0.6ポイント上昇して9.8%となった。業容拡大に伴って有利子負債が増加傾向だが、特に懸念材料とは言えず、高い信用格付を維持していること、調達手段の多様化により安定的な資金調達を実施していること、自己資本比率が上昇傾向であることなどを勘案すれば、財務の健全性が維持されていると弊社では考えている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展) <HN> 2025/07/02 16:04 注目トピックス 日本株 みずほリース Research Memo(3):リース取引を中心に各種金融サービスを展開 *16:03JST みずほリース Research Memo(3):リース取引を中心に各種金融サービスを展開 ■事業概要1. 事業の概要みずほリース<8425>はリース取引を中心に各種金融サービスを展開している。リース取引とは、借手となる顧客(企業等)が希望する物件(産業機械、工作機械、事務用機器、輸送用機器、医療機器、商業設備、物流施設等)を、リース会社が顧客に代わって購入し、顧客に賃貸する取引である。リース物件の所有権はリース会社にあり、リース会社は顧客から物件価格・金利・諸税・保険料等を含めた代金をリース料として受け取る。リース取引の分類としてはファイナンス・リースとオペレーティング・リースの2種類がある。ファイナンス・リースは契約期間中に契約を解除できず(解約不能)、かつ物件価格と諸経費のおおむね全額をリース料として借手が負担する(フルペイアウト)取引である。さらにファイナンス・リースは、リース資産の所有権が借手に移転する「所有権移転取引」と、リース会社に留まる「所有権移転外取引」に分類される。一方、オペレーティング・リースは資産の所有権がリース会社に残り、契約終了後には資産を返却するのが一般的である。リース取引を利用することによる借手側のメリットとしては「設備導入時に多額の資金が不要」「設備の使用予定期間にあわせてリース期間を設定できる」「資産のアウトソーシング効果が得られる」などがある。同社は決算短信・有価証券報告書ベースの報告セグメント区分を、リース・割賦(不動産、産業・工作機械、情報関連機器、輸送用機器、環境・エネルギー関連設備等のリース及び割賦販売業務)、ファイナンス(不動産、航空機、船舶、環境・エネルギー分野等を対象とした金銭貸付、出資、ファクタリング業務等)、その他(中古物件売買、発電事業等)としている。2025年3月期のセグメント別売上高(外部顧客への売上高)はリース・割賦が645,193百万円、ファイナンスが41,488百万円、その他が8,742百万円、営業利益(全社費用等調整前)はリース・割賦が28,356百万円、ファイナンスが23,808百万円、その他が1,402百万円、契約実行高はリース・割賦が957,031百万円(内訳はファイナンス・リースが389,832百万円、オペレーティング・リースが507,350百万円、割賦が59,848百万円)、ファイナンスが814,940百万円、その他が23,712百万円、営業資産残高はリース・割賦が1,970,339百万円(内訳はファイナンス・リースが1,040,972百万円、オペレーティング・リースが815,415百万円、割賦が113,951百万円)、ファイナンスが1,217,493百万円、その他が94,024百万円となった。営業利益ベースで見ると、リース・割賦とファイナンスが収益の2本柱となっている。売上総利益は拡大基調、営業資産残高は不動産・環境エネルギー関連が大幅増加2. 事業分野別の推移同社は決算短信・有価証券報告書ベースの報告セグメント区分とは別に、管理会計ベースの事業分野別区分(国内リース事業、不動産・環境エネルギー事業、海外・航空機事業、ファイナンス・投資事業)の売上総利益、期末営業資産残高、契約実行高を公表しており、当レポートでは同社資料に基づき、事業分野別の区分によって分析・解説を進めていく。管理会計ベースの事業分野別売上総利益と構成比、期末営業資産残高と構成比、契約実行高と構成比の過去5期(2021年3月期~2025年3月期)の推移は以下のとおりである。2025年3月期の全社ベースの売上総利益は863億円で、売上総利益構成比(事業分野別の売上総利益は2025年3月期決算説明資料より開示、2023年3月期までは差引利益を開示)は国内リース事業が40.8%、不動産・環境エネルギー事業が33.8%、海外・航空機事業が21.4%、ファイナンス・投資事業が3.9%となった。不動産・環境エネルギー事業と海外・航空機事業は売上総利益額が大幅に拡大し、売上総利益構成比も上昇した。国内リース事業は売上総利益構成比が低下傾向だが、売上総利益額は堅調に推移している。この結果、国内リース事業、不動産・環境エネルギー事業、海外・航空機事業が3本柱というバランスの取れた収益構造となっている。全社ベースの期末営業資産残高は2021年3月期末23,224億円から2025年3月期末32,819億円へ拡大した。国内リース事業は同15,319億円から14,479億円へとやや減少したが、不動産・環境エネルギー事業が同4,373億円から13,778億円へと大幅に拡大した。そして期末営業資産残高構成比は国内リース事業が同66.0%から44.1%へ低下し、不動産・環境エネルギー事業が同18.8%から42.0%へ上昇した。また全社ベースの契約実行高(事業別契約実行高は2024年3月期決算説明資料より開示)は2023年3月期14,705億円から2025年3月期17,957億円へ拡大した。国内リース事業は同9,465億円から8,223億円へ減少したが、不動産・環境エネルギー事業が同4,083億円から7,050億円へ、海外・航空機事業が同707億円から2,348億円へ大幅に拡大した。これは、成長性の高い環境エネルギー等のグロース分野や、サーキュラーエコノミー等のフロンティア分野への事業展開を加速させているためである。強固な顧客基盤、事業基盤、資金調達基盤、人材基盤が特徴・強み3. 特徴・強み、リスク要因・収益特性、課題・対策同社の特徴・強みとしては、みずほグループというわが国屈指の企業グループを中心とする強固な顧客基盤、優良アセットを積み上げた事業基盤、徹底したリスク管理、業界トップ水準の外部信用格付に基づく資金調達基盤、リース取引や金融サービスに関する豊富な知識・ノウハウを持つ人材基盤などがある。リース業界における一般的なリスク要因としては、世界経済低迷や金利・為替の急激な変動等による企業の設備投資抑制、取引先の業績悪化・経営破綻等による信用コストの発生、保有するアセットの価値下落、信用格付等による資金調達への影響などがある。こうした需要変動リスク、信用リスク、アセットリスク、資金調達にかかる流動性リスクや金利変動リスク、自然災害リスク等に対して、同社は経営への影響を低減するため、リスク管理グループ長が全社的視点でリスクマネジメントを統括・推進するとともに、各リスク所管部門を通じてリスク事象に対して迅速かつ機動的に対応する体制を整備している。各リスク所管部門は、事業に関連するリスクの把握・制御を適時に実施するとともに、実効性を検証する。そしてリスク管理委員会において、リスク低減に関する諸施策の遂行状況、浸透状況や有効性に関する検証を行い、その結果を取締役会に報告している。同社の業績は資産売却、M&A関連費用、信用コスト等の一時的要因で変動する可能性があるものの、強固な顧客基盤、事業基盤、資金調達基盤、人材基盤を強みとして、コア分野が岩盤収益基盤となり、全体としてのリスク極小化が図られていると弊社では評価している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展) <HN> 2025/07/02 16:03 注目トピックス 日本株 みずほリース Research Memo(2):みずほグループの大手リース会社 *16:02JST みずほリース Research Memo(2):みずほグループの大手リース会社 ■会社概要1. 会社概要みずほリース<8425>はみずほグループの大手リース会社である。みずほフィナンシャルグループ及び丸紅との連携を中心に、M&A・アライアンスを積極活用するインオーガニック戦略によって成長を加速させるだけでなく、新たなビジネス領域の創出によって「金融の枠を超えて成長する企業」を目指している。みずほリースグループは同社と200以上の子会社及び関連会社で構成されている。主な連結子会社は第一リース(株)、みずほ東芝リース(株)、エムエル・エステート(株)、みずほオートリース(株)、ユニバーサルリース(株)、瑞穂融資租賃(中国)有限公司、Mizuho Leasing (Singapore) Pte. Ltd.、PT MIZUHO LEASING INDONESIA Tbk、Mizuho RA Leasing Pvt. Ltd.(インド、Rent Alpha Pvt. Ltd.が2025年3月に社名変更)、Mizuho Capsave Finance Pvt. Ltd.(インド、Capsave Finance Pvt. Ltd.が2025年5月に社名変更)、Mizuho Leasing (UK) Ltd.、IBJ Air Leasing (US) Corp.など、主な持分法適用関連会社はみずほ丸紅リース(株)、リコーリース<8566>、日鉄興和不動産(株)、みずほキャピタル(株)、ジェコス<9991>、Krungthai Mizuho Leasing Co., Ltd.(タイ)、Aircastle Limited(米国)、Vietnam International Leasing Co., Ltd.などである。なお同社は、みずほフィナンシャルグループ及び丸紅の持分法適用関連会社となっている。2025年3月期末時点の総資産は3,898,061百万円、純資産は401,495百万円、株主資本は326,983百万円、自己資本比率は9.8%、発行済株式数は282,666,300株(自己株式2,763,080株を含む)である。なお2024年4月1日付(効力発生日)で株式5分割を行った。2. 沿革同社は、1969年12月に(株)日本興業銀行(現 (株)みずほ銀行)を中心とする事業会社の出資により(株)パシフィック・リースとして設立され、1981年11月に商号を興銀リース(株)に変更、2004年10月に東京証券取引所(以下、東証)市場第2部に株式上場、2005年9月に東証市場第1部に指定替え、2019年10月に商号を現在のみずほリース(株)に変更、2022年4月に東証の市場区分見直しによりプライム市場へ移行した。事業展開ではM&A・アライアンスを活用しながら業容を拡大し、2019年3月にみずほフィナンシャルグループと資本業務提携、2024年5月に丸紅と資本業務提携した。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展) <HN> 2025/07/02 16:02 注目トピックス 日本株 みずほリース Research Memo(1):2025年3月期は中期経営計画最終年度の財務目標を1期前倒しで達成 *16:01JST みずほリース Research Memo(1):2025年3月期は中期経営計画最終年度の財務目標を1期前倒しで達成 ■要約みずほリース<8425>は、みずほグループの大手リース会社である。みずほフィナンシャルグループ<8411>及び丸紅<8002>との連携を中心に、M&A・アライアンスを積極活用するインオーガニック戦略によって成長を加速させるだけでなく、新たなビジネス領域の創出によって「金融の枠を超えて成長する企業」を目指している。1. コア分野の着実な拡大を図りながら、成長性の高い分野への事業展開を加速事業分野別の2025年3月期売上総利益構成比は国内リース事業が40.8%、不動産・環境エネルギー事業が33.8%、海外・航空機事業が21.4%、ファイナンス・投資事業が3.9%となった。岩盤収益基盤となるコア分野(国内リース、不動産)の着実な拡大を図りながら、成長性の高い環境エネルギー等のグロース分野やサーキュラーエコノミー等のフロンティア分野への事業展開を加速させており、国内リース事業、不動産・環境エネルギー事業、海外・航空機事業が3本柱というバランスの取れた収益構造となっている。同社の特徴・強みとしては、みずほグループを中心とする強固な顧客基盤、優良アセットを積み上げた事業基盤、業界トップ水準の外部信用格付に基づく資金調達基盤、リース取引や金融サービスに関する豊富な知識・ノウハウを持つ人材基盤などがある。2. 2025年3月期は大幅増益・過去最高で中期経営計画最終年度財務目標を1期前倒しで達成2025年3月期の連結業績は売上高が前期比6.0%増の695,423百万円、営業利益が同23.9%増の48,966百万円、経常利益が同30.1%増の66,219百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同19.4%増の42,038百万円となった。前回予想(2025年2月5日付で経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益を上方修正)を上回る大幅増益で過去最高となった。契約実行高は同22.3%増の1,795,684百万円、期末営業資産残高は同14.8%増の3,281,857百万円と順調に増加した。コア分野である国内リースや不動産に加え、グロース分野の海外・航空機事業も伸長した。そして中期経営計画で掲げた最終年度(2026年3月期)財務目標を1期前倒しで達成した。3. 2026年3月期は営業資産残高の順調な積み上げで最終増益予想2026年3月期の連結業績予想は営業利益が前期比8.1%減の45,000百万円、経常利益が同13.9%減の57,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が2.3%増の43,000百万円としている。営業利益・経常利益については、営業資産残高の順調な積み上げ等によって政策金利引上げに伴う資金コストの増加と前期の一過性収益のはく落影響を一定程度打ち返す見込みだが、将来のさらなる飛躍を見据えた経営基盤強化のため人的投資やシステム投資を継続することで販管費が増加すること等により、減益予想となっている。親会社株主に帰属する当期純利益は、前期の特別損失・税金費用が一巡し増益予想としている。国内リース・不動産事業を中心とするコア分野が堅調であり、グロース分野と位置付ける環境エネルギー事業や海外・航空機事業の営業資産残高も増加基調であることを勘案すれば、好業績が期待できると弊社では考えている。4. 複層的な事業ポートフォリオマネジメントを推進同社は2023年5月に「中期経営計画2025」(2024年3月期〜2026年3月期)を策定した。中長期的に目指す姿を「リース会社から大きな飛躍を遂げ、事業・社会的課題解決に寄与するマルチソリューション・プラットフォーマー」として、目指す姿の実現に向けて飛躍的な成長を遂げるため、ビジネス・経営基盤双方へ積極的に経営資源を投下する期間と位置付けた。基本戦略は、成長の時間軸が異なる複層的な事業ポートフォリオマネジメントとして、岩盤収益源として着実・継続的な成長を実現するコア分野、中長期目線での飛躍によりコア分野に次ぐ収益柱を目指すグロース分野、長期目線で大きく花開くことを展望するフロンティア分野に分類し、みずほグループ及び丸紅との連携を中心にM&A・アライアンス等のインオーガニック戦略を積極活用しながら、事業ポートフォリオ運営の変革・高度化を推進する。■Key Points・みずほグループの大手リース会社、丸紅とも資本業務提携・強固な顧客基盤、事業基盤、資金調達基盤、人材基盤などが特徴・強み・2025年3月期は大幅増益で中期経営計画最終年度財務目標を1期前倒しで達成・2026年3月期は営業資産残高の順調な積み上げで最終増益予想・複層的な事業ポートフォリオマネジメントを推進(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展) <HN> 2025/07/02 16:01 注目トピックス 日本株 日産東HD Research Memo(9):配当性向30%以上維持、年間配当金24.0円を継続 *15:09JST 日産東HD Research Memo(9):配当性向30%以上維持、年間配当金24.0円を継続 ■株主還元策1. 配当政策日産東京販売ホールディングス<8291>は、株主への利益還元を行うことを経営の重要課題の1つと認識している。基本方針は、成長性を確保するための内部留保も考慮しながら、配当性向30%以上の維持を目標に据えるとともに、業績に応じた機動的な対応を行うなど株主還元を強化することである。このため、2025年3月期の年間配当金を24.0円(中間配当金12.0円、期末配当金12.0円)とした。2026年3月期の年間配当金は24.0円(中間配当金12.0円、期末配当金12.0円)を予定している。人気車種を意匠したQUOカードを贈呈2. 株主優待制度同社は、株主の日頃の支援に感謝するとともに、同社株式への投資魅力を高め、より多くの株主に中長期的に同社株式を保有してもらうことを目的に、株主優待制度を導入している。対象は、基準日(3月31日)の株主名簿に記載または記録された同社株式5単元(500株)以上保有している株主である。株主優待の内容は、同社人気車種を意匠したオリジナルデザインのQUOカードを、500株以上1,000株未満を保有する株主に1,000円分、1,000株以上5,000株未満を保有する株主に2,000円分、5,000株以上を保有する株主には保有継続期間2年未満で3,000円分、保有継続期間2年以上で5,000円分を贈呈している。贈呈の時期は、毎年1回、同社定時株主総会終了後(6月下旬頃)に発送する予定としている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) <HN> 2025/07/02 15:09 注目トピックス 日本株 日産東HD Research Memo(8):重点施策を引き続き着実に実行 *15:08JST 日産東HD Research Memo(8):重点施策を引き続き着実に実行 ■中期経営計画3. 中期経営計画の重点施策日産東京販売ホールディングス<8291>の中期経営計画は順調に進捗しており、引き続き、電動化リーダー、安全・運転支援技術、モビリティ事業という3つの重点施策を着実に実行する方針である。(1) 電動化リーダー電動化リーダーとは、EVなど電動車のパイオニアとしての強みを生かし、電動車を運転する感動を世の中に広げ、カーボンニュートラルの推進に直接的に貢献していくことである。国産メーカーでは日産自動車以外本格参入していないにもかかわらず、EVに対する消費者の関心は高く、EVの購入意欲が高まっている。そこで同社は、販売・営業体制、整備体制・設備、急速充電器網など長年にわたって蓄積してきたEVのノウハウやインフラを生かし、早期に電動車販売比率90%以上(既に達成済みで上方修正の可能性あり)、EVの年間販売台数10,000台の達成を目指すこととした。このため、既存のEV、今後登場する予定の新型車EVなどの販売を一段と強化し、東京都内で33%という日産のEV販売シェアを持続させ、将来もEVのフロントランナーとしてとして電動化をけん引していく考えである。また、EV販売によるCO2排出量1.6万トン削減やEV給電による災害時のエネルギーマネジメント、充電インフラの拡充、再生可能エネルギー利用の店舗網構築を目指すことで、モビリティ社会への対応を先行的に展開、環境や社会に対し直接的な貢献を強める考えである。(2) 安全・運転支援技術同社は、先進の安全・運転支援技術による安心と安全をより多くの顧客に提供し、それを支える整備体制によって日々の安心と安全もサポートする方針である。このため、試乗車1,400台を配備して店舗での試乗機会を増やすとともに、レンタカーによる試乗機会を生かして、顧客がプロパイロットなど先進運転支援システムを体験する機会を広げている。なお、プロパイロットは既に主要車種の97%に標準装備またはオプション設定されているため、事故発生率も年々減少している模様である。また、整備士の採用や育成を強化し、技術革新に対応できる人財基盤を整備するとともに、DXを活用した検査ラインの自動化などにより作業の効率化と作業精度の向上を進めている。車載式故障診断装置の全店配備や特定整備制度の認証取得に向けた最新整備機器の導入、既に一日の長がある整備士のさらなる技術力の向上、安心・安全なカーライフに直結する「電子制御システム整備」の体制構築も推進する。(3) モビリティ事業モビリティ事業を強化することで、所有からリースやシェアへシフトしている消費トレンドに的確に対応していく方針である。1997年から展開している新車個人リース「P.O.P」については、販売ノウハウなどをベストプラクティスとして全社で生かし、顧客へのベネフィットを訴求することで、利用率・定着率の向上と乗り換えの促進につなげている。この結果、「P.O.P」は、早期の買い替えを通じて同社の新車販売の拡大に貢献する事業として急成長した。同社の保有台数も1.6万台となり、早期代替需要による整備・保険などのストック収益の拡大に寄与している。また、「P.O.P」の好調を受けて中古車個人リースにも参入し、好調な立ち上がりとなった。モビリティ事業ではほかに、レンタカー事業が代車利用の需要を捉えて順調に成長しており、「日産レンタカー」を全店に配備するとともに運用台数を増強している。成長投資として人的資本の充実を図る4. 投資計画同社は、中期経営計画のなかで既存領域への継続投資に加えて、注力領域へ積極的な投資を行う戦略を掲げており、4年間で総額300億円規模の投資を実行する予定である。内訳は、持続的成長のための既存ビジネス強化を目的としたネットワーク刷新や環境対応、事業ポートフォリオ再構成に250億円~、変革への推進力となる人財・DXを目的として、ITによる効率/生産性向上や事業の多角化、ベストプラクティス強化に20億円~、新規事業への参入や資本業務提携による事業領域拡大を目的としたモビリティ関連やEV周辺事業などに30億円~としている。積極的な投資により収益力向上を図り、2027年3月期にはROE(自己資本当期純利益率)7.0%を計画する。また、ROE向上のために、ネットワークの刷新や新たな顧客接点の構築、効率化投資などにより営業利益率4.2%、収益拡大に向けた投資と資産の有効活用(不要な資産の圧縮)によりROA(総資産当期純利益率)3.4%、財務安全性を確保しつつ資本構成の最適化を図ることでD/Eレシオ0.26倍を目指す。現段階の投資の進捗については、中期経営計画期間内に投資効果の実現を図るため、2024年3月期~2025年3月期の2年間で223億円の過去最大規模の戦略的投資を行っている。今後は、さらなる新規事業や資本提携も視野に入れた投資を予定し、特に店舗ネットワークや設備関連、DX推進、人的資本の充実を図る。なかでも人的資本の充実に関しては、同社の競争力の源泉である人財への投資を成長投資と位置付けている。未来の人財の育成を軸に、モビリティ関連事業を中心に販売と整備の充実を図り、現場力の高度化や組織力の強化を継続的かつ計画的に進めていく。さらに、企業理念の浸透やDE&I推進、自主自発の発揮など多面的な施策によって、従業員のエンゲージメントと定着率の向上を図る考えだ。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) <HN> 2025/07/02 15:08 注目トピックス 日本株 日産東HD Research Memo(7):モビリティの進化を加速させ、新しい時代を切りひらく *15:07JST 日産東HD Research Memo(7):モビリティの進化を加速させ、新しい時代を切りひらく ■中期経営計画1. 企業理念日産東京販売ホールディングス<8291>を取り巻く事業環境は、「CASE」や「MaaS」の考え方が広がるとともに、カーボンニュートラルに対する社会全般の意識や、所有からシェアやリースなどへとシフトする顧客の自動車に対する考え方、店頭からオンラインへという顧客の購買プロセス、人口減少や多様な働き方など、変化が加速している。同社はこれらの環境変化に対応するため、EV普及によるカーボンニュートラル社会の実現への貢献、個人リースのノウハウを生かした販売、店舗ネットワークや試乗車を生かしたモビリティ事業の拡張、リアルとデジタルを融合したブランド体験ができる店舗づくり、働き方改革や生産性向上に向けた業務・運営体制の改善などを取り組むべき課題として挙げている。これらに加え、移動の楽しみや安心・安全・快適な運転といった普遍的価値を提供し続けるため、同社は企業理念「モビリティの進化を加速させ、新しい時代を切りひらく 笑顔あふれる未来のために、わたしたちは走り続ける」を掲げている。そして企業理念の実現へ向けた通過点として、同社は、電動化リーダー、安全・運転支援技術、モビリティ事業を重点施策とする4ヶ年の中期経営計画(2024年3月期~2027年3月期)を策定し、現在実行している。売上高も含め目標達成の可能性が高まる2. 中期経営計画の進捗中期経営計画では、新車販売台数のコロナ禍前水準への回復、新車事業の収益拡大、ストックビジネスでの収益上積み、人財・デジタルへの投資強化、設備費・経費の最適化に取り組み、2027年3月期に売上高1,550億円、営業利益65億円、配当性向30%以上などの財務目標の達成を目指している。また、カーボンニュートラルへ向けた動きも推進し、乗用車の電動化比率90%以上の維持、EV販売によるCO2排出量1.6万トン削減という長期非財務目標の達成も同時に目指している。このうち、財務目標の中心となる営業利益については、2024年3月期に3年前倒しで達成し、連続減益予想の2026年3月期でさえ目標をクリアするほど収益の改善が進んでいる。このほか大半の指標はほぼ達成したが、唯一、売上高だけが2025年3月期で約130億円、目標に対してビハインドしている。しかし、2026年3月期は「リーフ」などボリュームゾーンをねらった新型車2車種、中期経営計画最終年度の2027年3月期には高速での燃費を改善した第3世代e-POWERを載せた人気の新型大型ミニバン「エルグランド」を投入する予定である。このため、最終的に売上高も目標を達成する可能性が高まったといえよう。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) <HN> 2025/07/02 15:07 注目トピックス 日本株 日産東HD Research Memo(6):「店舗ネットワーク刷新戦略」を加速 *15:06JST 日産東HD Research Memo(6):「店舗ネットワーク刷新戦略」を加速 ■業績動向3. トピックス日産東京販売ホールディングス<8291>の中期経営計画における「店舗ネットワーク刷新戦略」を加速するため、2025年3月期は新規出店・移転・建替え・リニューアルを過去最多となる7拠点で実施した。内訳は、東伏見店(2024年4月)、東八三鷹店(同年8月)、U-Carひろば鹿浜店(同年9月)、ルノー練馬・アルピーヌセンター練馬(同年10月)、葵交通(同年5月)、「車検館」青梅店(25年1月)、八王子店(同年3月)で、顧客利便性の向上、従業員の働きやすさ、店舗機能の高度化を図った。特にEVに対応するインフラ構築や、次世代型店舗としてエネルギーマネジメントなどを積極的に推進するとともに、ソーラーパネルやEVのリユースバッテリーを活用して地域の環境や防災に貢献する蓄電システムを設置するなど、モビリティ拠点としての役割も強化した。2025年3月期は、これらの店舗ネットワークをベースに、継続的に地域や社会への貢献を行った。東京都が実施する「TOKYOこども見守りの輪プロジェクト」に参画し、2024年6月に東京都との間で覚書を締結した。また、同社の販売店や事業所において地域の子どもたちの安全・安心を見守る活動に取り組んだ。地域で開催される様々なイベントにおいてEVを活用した電力を提供、災害など万一の際に活用でき静かな非常用電源として好評であった。日産東京販売が運営する「三郷ファーム」では、水耕栽培により生産した多種多様な野菜を、定期的に子ども食堂に寄付している。また、2014年以降、交通遺児育英会への寄付を毎年続けている。新型車などで増収予想も、先行費用で減益見込み4. 2026年3月期の業績見通し2026年3月期の業績は、売上高145,000百万円(前期比2.4%増)、営業利益7,000百万円(同5.6%減)、経常利益6,500百万円(同11.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益4,000百万円(同7.2%減)を見込んでいる。減益予想とはいえ営業利益は引き続き高水準を見込む。持続的成長に向け、人的資本の充実や顧客利便性の向上、店舗投資など中期経営計画に沿った取り組みを引き続き着実に進め、事業の成長を図るとともに企業価値の向上に努める考えである。売上面については、新型車やマイナーチェンジ車の投入と、店舗ネットワーク刷新により増収を見込む。そのため、試乗車や出店(大型2店の統合・移転・増床を予定)など積極投資を実施する計画である。こうした積極投資は試乗車の管理や在庫効率化によって吸収する予定だが、物価上昇に伴うコスト圧力に加え、待遇向上や採用・教育、働く環境の整備などの人的資本投資や、支援システム導入といったDX投資などの先行的な費用の増加により営業利益は減益を見込んでいる。事業別では、新車販売は、2025年6月に発表された新型「リーフ」と、人気ゾーンの新型ハイブリッド軽自動車の新型車の計2車種がけん引し、マイナーチェンジ車を含めて販売台数と収益をともに引き上げる計画である。また、前期の店舗ネットワーク刷新が集客力と商談力の向上に通期寄与するとともに、AIを活用した営業支援(顧客ターゲティング・販売スキル支援・在庫管理)によって販売活動の効率化と受注率の向上を図る。特に、これまで営業マンの勘所で見極めていた顧客ターゲットを販売ビッグデータから抽出できるようにしたり、ロールプレイングを人対人から人対AIにすることで様々なシチュエーションへの対応を1人で習得できるよう販売スキルの向上を効率化する。個人リースについては、構成比が拡大することを想定しており、新車販売台数の増加とともに顧客基盤の強化につなげる考えだ。中古車販売は、足元は相場が緩やかに下落しはじめたため減収を想定するが、高収益な小売販売の比率を一段と高めることで収益の最大化を進める。中古車個人リースは、引き続き拡販を進めることで再販車両の活用と新たなリピート需要の創出を図る。整備事業は、35万件の顧客基盤を背景にした安定的な整備入庫により微増収を見込み、「車検館」は新規出店効果(青梅店)などにより4期連続増収増益を予想する。手数料収入等は、新車の販売拡大により増加に転じると見られる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) <HN> 2025/07/02 15:06 注目トピックス 日本株 日産東HD Research Memo(5):減益とはいえ、営業利益は過去2番目の実績と堅調 *15:05JST 日産東HD Research Memo(5):減益とはいえ、営業利益は過去2番目の実績と堅調 ■業績動向1. 2025年3月期の業績動向日産東京販売ホールディングス<8291>の2025年3月期の業績は、売上高が141,605百万円(前期比4.9%減)、営業利益が7,412百万円(同14.9%減)、経常利益が7,367百万円(同11.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益が4,312百万円(同41.2%減)となった。前期が好調だったこともあって減収減益となったが、営業利益と経常利益については前期に次ぐ過去2番目の高い実績となった。期初予想と比べると、売上高で8,395百万円の未達、営業利益で88百万円の未達、経常利益で367百万円の過達、親会社株主に帰属する当期純利益で188百万円の未達となったが、堅調な水準を維持したと言うことができる。なお、事業セグメントは、2023年10月に情報システム関連事業を担っていた連結子会社TCSの全株式譲渡により、自動車関連事業の単一セグメントとなったため、当期よりセグメント情報の記載を省略している。また、前期に株式譲渡による関係会社株式売却益を特別利益に計上した反動で、親会社株主に帰属する当期純利益が大幅減益となった。売上高については、中古車販売が販売単価の上昇、整備事業が堅調な入庫により増収となったが、新型車が端境期となったうえ、前期上期に納車が集中した反動などにより減収となった新車販売をカバーできなかった。利益面では、中古車販売や整備事業が堅調だったことでポートフォリオが改善して売上総利益率が向上した。一方で、賃上げや店舗ネットワークの刷新による費用増に対し、人員コントロールなどによる販管費全般の削減を行ったが、営業利益は減益となった。期初予想との比較で売上高が未達になったのは、新車が端境期となったことで新車販売台数が想定ほどに伸びなかったことが要因で、一方、営業利益が少額の未達にとどまったのは、販管費を抑制できたこと、中古車販売と整備事業が堅調だったことが要因である。35万件の顧客基盤と複数の事業によるバランスの良い収益構造に支えられ、中期経営計画で掲げるモビリティのワンストップサービスやカーライフといった戦略は順調で、過去2番目の高い利益を達成することができた。なお、同社に新車を供給する日産自動車の経営が、2024年秋以降不安定化していることが懸念されている。しかし、同社の販売力は健在で、新型車が端境期のなかでも一定水準の販売台数を維持できていることから、現時点で同社の販売競争力が落ちているということはない。また、2026年3月期は想定どおり新型車が投入される見込みであること、これまでコロナ禍の供給遅れなど厳しい時期にも対応できたことを考えると、2026年3月期及び2027年3月期ともに大きな影響は生じないと考えられる。ただし、問題が長期化した場合には、新車開発面やブランドイメージ面で不透明感が生じるかもしれない。個人リース、中古車販売、整備事業が堅調に推移2. 事業別の売上動向事業別の売上高は、新車販売の伸び悩みとそれに伴う手数料収入等の減少を、個人リースや中古車販売、整備事業でカバーする形となった。(1) 新車事業新車登録台数については、全国で前期比1.0%増、同社が地盤とする東京都内で同0.3%増と微増傾向となったが、同社は同9.0%減であった。これは、EV補助金の関係から前期上期にEVの登録が一時的に集中したこと、2023年3月期に新車販売を押し上げた新型車「サクラ」が一巡したこと、新型車が端境期となったことが要因である。マイナーチェンジ車も少なかった模様である。ただし、EVの販売台数が減ったとはいえ、e-POWER車を中心に新車販売台数は24千台前後という通常水準を維持したことに加えて提案型営業の深化によりe-POWER車の「セレナ」や「ノート」のなかでも高額車を中心に販売できたため、販売単価と利益は高水準を持続することができたようだ。また、近年のEVに対する世界的なネガティブキャンペーンに関しては、欧米における補助金削減や一定国での高シェアに原因があるため、EVシェアが2%前後と低い日本には当てはまらない。むしろ国内でもEV補助金が手厚い東京を同社が地盤としていること、EVに消極的と言われたトヨタ自動車の本格参入で市場の活性化が期待できることなどを考えると、市場環境は良好といえる。(2) 個人リース収益性の高い新車個人リース「P.O.P」の販売が前期比1.3%増と堅調に伸長し、引き続き安定した顧客基盤を構築することができた。これは、新型車の投入がなかったにも関わらず、消費者の間でカーリースへの認知が広がったこと、ベストプラクティスの浸透で新車販売時にリースを推奨するなど全員が提案営業できる体制になってきたことが要因だと思われる。近年、新車個人リースは同業や異業種の参入が相次いでおり、ここ7~8年は2ケタ成長するなど市場が拡大している。しかし、カーリースの契約では残価や残存期間など制度や仕組みの説明にEVと同様の高い説明スキルが必要で、会社によってはそれがハードルになる場合が多い。同社は約30年間積極的に個人リースを展開してきた経験が大きな強みとなっており、トップシェアにもつながっている。なお、個人リースの契約は基本的に5年だが、実際には3年で乗り換える顧客が多く、大きく増えた前々期の乗り換えが来期には始まる見込みである。(3) 中古車事業中古車販売においては流通市場全体で在庫が不足気味となるなか、販売単価が上昇し高採算の小売販売が増加したことが粗利確保と販売効率向上につながり、過去最高益となった模様である。同社の中古車は、日産自動車のサイトを通じて販売されることが多かったが、現在では、ベストプラクティスの効果や、高年式で良質な中古車が揃っていることが一般の中古車購入希望者に好評で、同社の中古車販売店で直接消費者に販売することが多くなっているようだ。また、中古車個人リースは、ニーズが多様化するなか前期比倍増ペースで増えており、将来のリピート顧客への期待も高まっている。(4) 整備事業整備事業では13万件超のメンテナンスパック会員という安定したストック基盤に支えられて、引き続きメンテナンス需要を着実に取り込んだ。なかでも「車検館」は、入庫予定のデジタル化を進めるなど仕組み面で利便性を向上したうえ、新たに1店舗を出店するなどリピート顧客の確保と新規顧客の獲得に取り組んだ結果、3期連続で最高益を更新した。また、同社がこのような「車検館」のノウハウを取り込むことで、ストック基盤のさらなる活用を図ることができている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) <HN> 2025/07/02 15:05 注目トピックス 日本株 日産東HD Research Memo(4):強みはEV販売、顧客基盤、ネットワーク、ベストプラクティス *15:04JST 日産東HD Research Memo(4):強みはEV販売、顧客基盤、ネットワーク、ベストプラクティス ■事業概要2. 同社の強み日産東京販売ホールディングス<8291>は、総合モビリティ事業のフロントランナーとして「CASE」や「MaaS」の時代に優位性を発揮することができる。そうした優位性は、(1) EV販売のパイオニア、(2) 顧客基盤35万件のストックビジネス、(3) 地域に根ざした店舗ネットワーク、(4) ベストプラクティスといった強みによって支えられている。(1) EV販売のパイオニア同社は、EVの販売やサービスで長年蓄積したノウハウを有し、EV販売のパイオニアとして業界をリードしている。販売面では、国産初の量産EV「リーフ」や軽自動車EV「サクラ」など充実したラインナップや、累計16,000台を超えるEVの販売実績があり、家庭用充電器の販売やEVに蓄えた電力を自宅で使うことができるV2H※の提供などEVコンサルテーションも行っている。メンテナンス体制は、日産EV認定整備士約700名、エヌティオートサービスのEV重整備工場3ヶ所を有し、EVの急速充電器も都内に約100基配備している。※ V2H:“Vehicle to Home”の略称でカーバッテリーに蓄えている電力を自宅で使えるようにする機能。(2) 顧客基盤35万件のストックビジネス同社は新車や中古車の販売に加え個人リース、整備収入につながる13万件超のメンテナンスパック会員、利用率約50%の金融商品、約13万件の保険付保などを通じ、顧客基盤35万件に上るストックビジネスを展開している。こうした既存顧客との取引による安定したストック収益で営業費の約90%をカバーしており、同社の収益体質の強さにつながっている。(3) 地域に根ざした店舗ネットワーク同社の地盤は東京都都心8区※を除く東京都全域で、東京都1,400万人の人口の約9割をカバーしている。新車販売101店舗(ルノー店4店舗を含む)、中古車販売18店舗、「車検館」13店舗、エヌティオートサービス8拠点という店舗ネットワークによって東京をドミナント化し、こうした店舗ネットワークを軸にモビリティ事業を展開することで、購買力の強い東京の消費者を囲い込んでいる。※ 東京都都心8区とは千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、台東区、渋谷区、豊島区のことで、いわゆる都心に当たり、法人需要をメインとする日産自動車の連結子会社が展開しているエリアである。(4) ベストプラクティスノウハウや情報を速やかに共有し水平展開するベストプラクティスも同社の強みである。同社はこれまでベストプラクティスによって販促や営業のヒット率や顧客のニーズに合わせた商品提案力を向上してきた。そのため、制度や仕様面で説明が難しいと言われるEV販売や個人リースに関して、競合他社に対して営業力での優位性を築けたことが販売増加につながっている。その結果、東京という高コストのエリアを地盤にしていながら、自動車ディーラーとしては相対的に高い水準の営業利益率を実現している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) <HN> 2025/07/02 15:04 注目トピックス 日本株 日産東HD Research Memo(3):事業間の利益バランスが良好 *15:03JST 日産東HD Research Memo(3):事業間の利益バランスが良好 ■事業概要1. 事業内容日産東京販売ホールディングス<8291>の事業は、個人リースを含む新車事業、中古車事業、整備事業などで構成されている。事業全体でカーライフ(モビリティ)のワンストップサービスを提供し、付加価値の高い提案とメンテナンスや金融など自動車関連サービスによって顧客のLTV(ライフタイムバリュー)を最大化するとともに、モビリティ関連事業へ展開していくことでグループシナジーを追求するビジネスモデルである。収益構造を見ると、売上高の50%以上を新車が占める一方で、売上利益は各事業間でバランスが取れている。新車を販売することで中古車販売の回転が良くなり、整備などのストックビジネスが積み上がるという安定したバリューチェーンを築いている。なお、日産自動車と日産東京販売の関係は、日産東京販売が日産自動車から新車や部用品を仕入れて一般消費者などに販売するというだけでなく、EVやe-POWERといった先端技術車のPRや試乗会開催、急速充電器の拡充などを通じて、日産自動車と消費者をつなぐ役割も担っている。(1) 新車事業子会社の日産東京販売は、EVやe-POWERなど日産自動車の新車全車種を、都内の約100店舗を通じて販売している。現在これらの店舗について、日産自動車が継続的に投入する最先端の新型車と多様化した顧客の期待やライフスタイルに合わせ、「ニッサン・リテール・コンセプト(NRC:Nissan Retail Concept)」という新世代型店舗へとリニューアルしているところである。ルノー車については、日産東京販売社内においてルノー車専門のバーチャルカンパニーとして販売店4店舗を運営、全国のルノーディーラーでNo.1の販売実績を誇っている(2025年3月期実績)。なお、新車販売台数は、少子高齢化や人口減少、自動車保有率の低下傾向などを背景に、全国で500万台程度と横ばいで推移する時代になった。ディーラーが企業として成長するには、スケールメリットや集約化によって新車販売の収益性を高めるとともに、個人リースや中古車販売、整備など新車販売以外の事業を成長ドライバーとする、独自戦略を展開する必要も生じている。(2) 個人リース「P.O.P」個人向けカーリースは、販売先がリース会社という新車事業の中の1販売形態で、自動車を所有するモノというより利用するモノと考える消費者や、諸手続きや所有の煩わしさを軽減したい消費者にとって、非常に利便性の高いサービスとなっている。個人リースで先行している同社は、日産ブランドに依存しない「P.O.P」というブランドで1997年よりサービスを展開し、東京都で約4割という高いシェアを誇っている。「頭金ゼロ・コミコミ・定額」が特徴の「P.O.P」は、通常の新車買い替えサイクルが一般的に8〜9年と言われるなか、7割以上の顧客が3年で次の新車に乗り換えるうえ、リピート率が9割以上に達するため、同社にとって非常に効率の良いビジネスとなっている。こうした特徴から、現在、自動車販売会社のみならず様々な業種が個人リースに参入しつつあるが、消費者の選択肢が広がるうえ市場活性化も期待できるため、「P.O.P」にとっては追い風になっている。(3) 中古車事業中古車の買取・販売は、収益の1つの柱であると同時に新車買い替えの販売促進という側面もある。仕入は主に新車販売時の下取車や買取、オークション等で調達している。販売は、日産自動車による認定中古車を厳しいサービスレベルをクリアした同社を含む「クオリティショップ」で取り扱っており、充実した保証やアフターサービスを提供している。オークションなどの販売ルートもあるが、収益性の高い自社在庫を自社中古車店舗で消費者に直接販売する「小売販売」が主力である。なお、新車個人リースの好調をヒントに新たな中古車の販売形態となる中古車個人リースを2023年4月に開始し、販売台数も2025年3月期は前年に対し倍増するなど順調に伸長している。(4) 整備事業整備は、日産東京販売のストックビジネスの柱として各拠点を中心に事業展開しており、メンテナンスパック会員は13万件超、グループ内の整備入庫の総台数は約65万台である(2025年3月期)。また、子会社で大規模総合自動車整備会社のエヌティオートサービス(株)は、専業としての確かなサービス品質と最新鋭の設備によって、板金・塗装や車検整備、納車整備などを行っており、グループ内の整備を集中的に扱うセンターとしての役割を果たしている。事業所は東京に7拠点、埼玉に1拠点あり、高級輸入車のアルミボディにも対応できる業界屈指の高い技術力を有している。車検は日産東京販売及び日産ブランドに依存しない車検専門店「車検館」で扱っている。「車検館」は東京を中心に神奈川、埼玉、千葉に13店舗のネットワークを有する。全店が最新設備をそろえた指定工場で、メーカーを問わず幅広い車種の自動車を入庫でき、国家資格を持つ検査員による確かな技術に基づく検査がセールスポイントである。また、価格やサービスにも定評があり、顧客の8割以上がリピーターで好調な業績を続けている。(5) その他の事業このほか、損害保険・生命保険の代理店や車両輸送・登録代行業務、日産車をベースにしたキャンピングカー専門のディーラー、不動産賃貸など、自動車販売周辺の事業へと多角化することでグループとしてシナジーを高め、幅広いユーザーの獲得につなげている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) <HN> 2025/07/02 15:03 注目トピックス 日本株 日産東HD Research Memo(2):総合モビリティ事業のフロントランナー *15:02JST 日産東HD Research Memo(2):総合モビリティ事業のフロントランナー ■会社概要1. 会社概要日産東京販売ホールディングス<8291>は、日産自動車系の自動車ディーラー(日産東京販売)など連結子会社4社と非連結子会社3社を傘下に持つ持株会社である。主力の日産東京販売は、日本の中心で人口が集中する東京を地盤に、日産及びルノーブランドの自動車を販売する事業を展開しており、全国のディーラーのなかでも最大級の規模である。同社は主に日産自動車とそのグループ会社からEVなど先端的な自動車や部用品を仕入れて販売するほか、中古車の買取・販売や車体整備・車検整備などの事業も行っており、総合モビリティ事業のフロントランナーとして、顧客に対しカーライフに関わるすべてのサービスをワンストップで提供している。同社は、1942年の商工省通牒「自動車および同部分品配給機構整備要綱」に基づき、東京府自動車配給(株)として東京市で発足した。戦後の1946年に東京日産自動車販売(株)に商号を変更した後、徐々に業容を拡大し、1961年に東京証券取引所市場第1部に上場した。1989年に東京日産コンピュータシステムを設立してシステム事業に参入、2002年には(株)車検館を設立し車検整備を強化するなど事業の多角化を図ってきた。2004年に会社分割により持株会社体制に移行して(株)東日カーライフグループへと商号を変更、2008年には日産自動車子会社の日産ネットワークホールディングス(株)に対し第三者割当増資を実施し、日産自動車の持分法適用関連会社となった。2011年には東京を地盤とする東京日産自動車販売、日産プリンス東京販売(株)、日産プリンス西東京販売(株)の3社をグループ化し、東京における日産自動車の販売をほぼ一手に引き受けることになり、商号も現在の日産東京販売ホールディングスへと変更した。グループ化が軌道に乗った2021年7月、さらなる効率化とスケールメリットを目指し、日産系自動車販売会社3社を統合して日産東京販売を設立、名実ともに国内最大級の自動車ディーラーとなった。また、グループ内の経営資源を自動車関連事業に集中させるため、2023年10月に東京日産コンピュータシステムの全株式をキヤノンマーケティングジャパン<8060>に譲渡した。新潮流や全固体電池をテコにEV市場拡大に期待2. 自動車業界の動向コロナ禍やウクライナ情勢などによる生産や流通の混乱が落ち着きを見せても、自動車業界は先端技術化やCO2排出削減など課題は尽きない。こうした状況のなか、「CASE」と「MaaS」という潮流が、自動車業界に100年に1度の大変革をもたらすと注目されている。「CASE」とは、自動車のIoT化(C:Connected)、自動運転(A:Autonomous)、所有から共有へ(S:Shared & Service)、電動化(E:Electric)のことで、自動車業界に大変革を引き起こす一連の技術進化を指す。一方「MaaS(Mobility as a Service)」は、移動自体をサービスとして捉えた「モビリティ」という考え方に基づき、様々な交通手段を最適に組み合わせて検索・予約・決済などをワンストップで提供、個人単位の移動ニーズにまで対応したサービスである。こうした大変革の波に乗ってEVを急速に普及させたのが欧米や中国で、日本では話題が先行するばかりで必ずしも普及しているとは言い難い。EVに本格的に参入している国内メーカーが日産自動車くらいで、国内の新車販売台数に占めるEVの構成比が非常に小さいからだ。このため、業界全体で急速充電器を増やすというモチベーションが働かず、消費者にEV購入の二の足を踏ませているともいえる。こうした環境ではあるが、同社は早い段階からEVやe-POWER※1といった電動車※2の普及に取り組み、電動車と相性が良いと言われるIoTには先端技術で、自動運転にはプロパイロット(ProPILOT:運転支援技術)などの技術進化で対応してきた。他社メーカーのEVでも利用可能な急速充電器を各店舗に設置し、また、リースやレンタカーなどモビリティ事業の強化も行っている。このように同社は、「CASE」や「MaaS」といった潮流に即して事業体制を構築しているため、本来肥沃な市場といえる日本でEV需要が急拡大する際には、先行者メリットを享受することができると思われる。現在、欧米ではEVの普及が頭打ちになっているが、「CASE」や「MaaS」に加え、遠からず予想される全固体電池の実用化や、自動車業界トップのトヨタ自動車<7203>の本格参入などをきっかけに、EV市場が大きく広がる日もそう遠くないことと思われる。※1 e-POWER:日産自動車独自のハイブリッドユニット。発電のみにエンジンを使用するため、EVと同様のドライビングフィールを味わえる。※2 電動車:電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHEV、PHV)、ハイブリッド車(HEV、HV)、燃料電池車(FCEV、FCV)などの総称。同社の場合はEVとe-POWER、ハイブリッド車を指す。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) <HN> 2025/07/02 15:02 注目トピックス 日本株 日産東HD Research Memo(1):営業減益も中期経営計画を上回る高水準維持 *15:01JST 日産東HD Research Memo(1):営業減益も中期経営計画を上回る高水準維持 ■要約1. 新車や中古車の販売、自動車整備などを展開する国内最大級の自動車ディーラー日産東京販売ホールディングス<8291>は、日産自動車<7201>系の自動車販売会社などを傘下に持つ持株会社で、子会社の日産東京販売(株)は日産ブランドとルノーブランドの新車販売や中古車の買取・販売、自動車整備などを行っている。国内最大級の自動車ディーラーで、販売エリアは東京都の人口の約9割をカバーする。同社は総合モビリティ事業※のフロントランナーとして、カーライフに関わるすべてのサービスをワンストップで提供しているほか、個人リースなど日産ブランドに依存しないオリジナルの事業も展開している。※ モビリティ事業:販売や整備だけでなく、自動車による移動や運搬をスムーズに行うためのサービスも含む。2. EV販売のパイオニア、顧客基盤、店舗ネットワークに加え、ベストプラクティスも強み先端技術の発展や環境問題などを背景に、自動車業界は100年に1度の大変革期にあると言われている。こうした環境のなかで同社は、EV販売のパイオニア、顧客基盤35万件のストックビジネス、東京をドミナント化する新車販売店舗101店舗(ルノー店4店舗含む)の店舗ネットワーク、及びノウハウや情報を速やかに共有し水平展開していくベストプラクティスを強みとしている。こうした強みを背景に、新車のみならず中古車や整備も含めた幅広い事業を展開し、総合モビリティ事業のフロントランナーとして優位なポジションを獲得した。他社に先駆けて展開し、早期買い替えや良質な中古車の確保といった面で大きなシナジーの出ている個人リースもベストプラクティスにより急成長した事業である。3. 2026年3月期営業利益は先行費用により減益予想だが、引き続き高水準を維持する見込み2025年3月期の業績は、売上高が141,605百万円(前期比4.9%減)、営業利益が7,412百万円(同14.9%減)となった。中古車販売と整備事業は堅調であったが、新型車が端境期にあったなどの要因から減収となった新車販売をカバーできず、減収・営業減益となった。しかし、営業利益については、前期に次いで過去2番目に高い実績となるなど高水準を維持した。2026年3月期の業績見通しについて、同社は売上高145,000百万円(前期比2.4%増)、営業利益7,000百万円(同5.6%減)を見込んでいる。売上高は、新型車の投入や店舗ネットワーク刷新などにより増収に転じる見込みである。一方で営業利益は、物価上昇に加え採用・教育の整備や支援システムの導入など費用が先行するため減益予想となったが、引き続き中期経営計画を上回る高水準を維持する見込みである。4. 重点施策を着実に実行、営業利益65億円などを目指す中期経営計画は順調に進捗電動化リーダー、安全・運転支援技術、モビリティ事業という重点施策を着実に実行するなど、2027年3月期に営業利益65億円などを目指す中期経営計画の進捗は順調だ。そのなかで唯一売上高だけがビハインドして見えるが、2026年3月期は「リーフ」など新型車2車種、中期経営計画最終年度の2027年3月期には人気の大型ミニバン「エルグランド」を投入する予定であり、最終的に売上高も目標を達成する可能性が高まったといえよう。なお、新車を供給する日産自動車の経営が不安定化していることが懸念されているが、新型車が投入されなかった2025年3月期も一定水準の販売台数を確保していることから、同社の販売競争力が低下していることはないと言える。加えて、新型車の投入スケジュールが予定どおり進めば、2026年3月期~2027年3月期の業績に大きなマイナス影響を与えることはないと考える。■Key Points・国内最大級の自動車ディーラーを運営、顧客基盤や店舗ネットワークなどに強み・2025年3月期は減益とはいえ、ほぼ想定どおりで、営業利益は過去2番目の高水準・2026年3月期は営業減益予想だが、引き続き中期経営計画目標を上回って推移する見通し(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) <HN> 2025/07/02 15:01 注目トピックス 日本株 出来高変化率ランキング(14時台)~インフォメティス、エアトリなどがランクイン *14:57JST 出来高変化率ランキング(14時台)~インフォメティス、エアトリなどがランクイン ※出来高変化率ランキングでは、直近5日平均の出来高と配信当日の出来高を比較することで、物色の傾向など市場参加者の関心を知ることができます。■出来高変化率上位 [7月2日 14:32 現在](直近5日平均出来高比較)銘柄コード   銘柄名   出来高   5日平均出来高   出来高変化率   株価変化率<281A> インフォメティス  19105500  228426.14  376.89% -0.0067%<4978> リプロセル     15647900  125430.08  321.86% 0.206%<3744> サイオス      1404700  52813.64  303.68% -0.0253%<6191> エアトリ      1700500  92814.4  301.25% 0.0538%<3987> エコモット     822300  26080.98  298.04% -0.0402%<9386> 日コンセプト    692500  177992.4  275.51% 0.1149%<7709> クボテック     1683200  49035.9  275.25% -0.2476%<6915> 千代インテ     139800  38800.06  248.34% 0.0294%<2247> iF500H無   132335  34194.609  200.38% 0.0035%<7965> 象印        3251300  785659.96  197.9% 0.08%<340A> ジグザグ      331900  140208.12  184.91% -0.0692%<5133> テリロジーHD   345800  26362.96  175.79% -0.0512%<8585> オリコ       2923400  643639.8  162.93% 0.0676%<5724> アサカ理研     402800  105851.44  141.27% 0.0087%<2384> SBSHD     323800  317328.7  131.03% 0.0786%<6238> フリュー      306000  94497.72  130.79% 0.0039%<2841> iFナス100H  207279  87792.1  130.77% -0.0029%<3498> 霞ヶ関キャ     962500  3865399.8  127.6% 0.0457%<186A> アストロスケール  7877800  1654494.9  118.63% -0.0074%<6269> 三井海洋      1791500  3633648.8  116.2% 0.043%<1949> 住電設       163300  335586.4  115.54% 0.0544%<3664> モブキャストH   31603400  460009.2  107.63% 0.0681%<6330> 洋エンジ      2862000  779614.64  106.07% 0.0185%<3640> 電算        38600  35233.76  105.37% 0.0307%<5715> 古河機       184900  147702.82  101.91% 0.0631%<5290> ベルテクス     36600  33739.08  101.84% 0.0087%<6620> 宮越HD      456700  189358.92  99.58% 0.062%<1478> iS高配当     90681  128856.273  99.36% 0.0015%<3798> ULS-G     30700  69374  97.25% -0.0064%<4892> サイフューズ    847500  240443.82  89.88% -0.0923%(*)はランキングに新規で入ってきた銘柄20日移動平均売買代金が5000万円以下のものは除外 <CS> 2025/07/02 14:57 注目トピックス 日本株 TOTO---大幅続伸、社長インタビュー報道を材料視 *14:35JST TOTO---大幅続伸、社長インタビュー報道を材料視 TOTO<5332>は大幅続伸。社長インタビュー報道が伝わっており、買い材料につながっているもようだ。海外売上構成比36%の米国における関税の影響として、メキシコ工場生産品は関税が猶予されている一方、東南アジア生産品には一律関税の10%がかかっており、5月に販売価格を3-4%引き上げているもよう。それでも米国での売れ行きは絶好調とされており、同社製品の競争優位性があらためて認識される状況のようだ。 <ST> 2025/07/02 14:35 注目トピックス 日本株 アークランズ---大幅続落、第1四半期2ケタ営業減益決算を嫌気 *14:29JST アークランズ---大幅続落、第1四半期2ケタ営業減益決算を嫌気 アークランズ<9842>は大幅続落。前日に第1四半期決算を発表、営業利益は42.1億円で前年同期比14.7%減となり、据え置きの上半期計画100億円、同1.8%減、通期計画193億円、前期比18.9%増に対して低進捗と受けとめられているようだ。月次売上推移から売上高は想定線とみられるが、新規出店費用、人件費単価、水道光熱費の増加などコスト負担増が響いたほか、外食事業においては米価格の高騰で粗利益率も低下しているもよう。 <ST> 2025/07/02 14:29 注目トピックス 日本株 フォーバル---経営支援サービス「きづなPARK」がCRDビジネスサポート株式会社の提供するMcSSと連携開始 *14:27JST フォーバル---経営支援サービス「きづなPARK」がCRDビジネスサポート株式会社の提供するMcSSと連携開始 フォーバル<8275>は1日、CRDビジネスサポートが提供する「McSS(中小企業経営診断システム)」と、自社が運営する情報分析プラットフォーム「きづなPARK」との連携を開始した。CRDビジネスサポートは、一般社団法人CRD協会の100%出資子会社であり、約300万社の決算情報を保有する中小企業信用リスク情報データベース(CRD)を活用した財務分析サービス「McSS」を展開している。McSSは、信用保証協会の保証料率算定にも活用されている「CRDモデル」を用いて財務診断を行い、全国約100万社のデータと比較して、偏差値や順位により信用力を可視化する。一方、「きづなPARK」は、中小企業の経営情報を収集・蓄積・分析活用できるプラットフォームであり、開発当初より中小企業ユーザーがベンチマークとして活用できるよう、26万社のCRDデータを元にした統計加工データを提供している。今回の連携により、「きづなPARK」と「McSS」がそれぞれの機能を相互に活用できるようになり、双方のユーザーに対して中小企業経営における経営情報の可視化と将来予測、効果測定機能を提供し、企業経営の継続・拡大のさらなる支援を目指す。 <AK> 2025/07/02 14:27 注目トピックス 日本株 出来高変化率ランキング(13時台)~エアトリ、三井海洋などがランクイン *14:13JST 出来高変化率ランキング(13時台)~エアトリ、三井海洋などがランクイン ※出来高変化率ランキングでは、直近5日平均の出来高と配信当日の出来高を比較することで、物色の傾向など市場参加者の関心を知ることができます。■出来高変化率上位 [7月2日 13:32 現在](直近5日平均出来高比較)コード⇒銘柄⇒出来高⇒5日平均出来高⇒出来高変化比率⇒株価変化率<281A> インフォメティス   16130500  228426.14  373.19% 0.1144%<6191> エアトリ       1574400  92814.4  295.14% 0.0646%<7709> クボテック      1683200  49035.9  275.25% -0.2476%<9386> 日コンセプト     667900  177992.4  272.10% 0.1149%<6915> 千代インテ      126500  38800.06  237.34% 0.0357%<4978> リプロセル      4106100  125430.08  181.44% 0.0848%<5133> テリロジーHD    332800  26362.96  171.02% -0.0641%<8585> オリコ        2696700  643639.8  152.80% 0.0665%<5724> アサカ理研      344500  105851.44  122.43% 0.041%<2384> SBSHD      299300  317328.7  121.20% 0.082%<6238> フリュー       268100  94497.72  114.65% 0.0177%<3498> 霞ヶ関キャ      815300  3865399.8  106.90% 0.0571%<6269> 三井海洋       1558300  3633648.8  99.46% 0.059%<1949> 住電設        139800  335586.4  96.61% 0.048%<3664> モブキャストH    28568200  460009.2  96.38% 0.1136%<4892> サイフューズ     813200  240443.82  85.17% -0.0874%<5290> ベルテクス      31300  33739.08  83.34% 0.0008%<9612> ラックランド     121100  53253.82  81.35% -0.0317%<6330> 洋エンジ       2322600  779614.64  81.04% -0.0196%<196A> MFS        206000  42018.7  76.82% -0.0219%<5597> ブルーイノベ     571500  486431.72  74.85% -0.0263%<6620> 宮越HD       369400  189358.92  74.63% 0.068%<5715> 古河機        145600  147702.82  73.08% 0.0584%(*)はランキングに新規で入ってきた銘柄20日移動平均売買代金が5000万円以下のものは除外 <CS> 2025/07/02 14:13 注目トピックス 日本株 澁澤倉庫 Research Memo(9):増配や自己株式の取得を実施し、株主還元を強化 *14:09JST 澁澤倉庫 Research Memo(9):増配や自己株式の取得を実施し、株主還元を強化 ■株主還元策澁澤倉庫<9304>は、配当については、財務健全性の維持を前提に成長投資を積極的に行ったうえで、業績及び将来の見通しに配慮しながら実施することを基本とし、第2四半期末日及び期末日を基準とした年2回の配当を実施することを基本方針としている。配当の決定機関については、法令に別段の定めがある場合を除き、取締役会の決議による旨を定款に定めている。2025年3月期の1株当たりの年間配当金は、配当性向40.0%を目安に年間配当金100.0円を下限とした累進的配当の方針に従い、前期比40.0円増配の140.0円(第2四半期末60.0円、期末80.0円)とした。2026年3月期の1株当たり年間配当金は、株主還元強化の方針から、配当性向50.0%を基準に年間配当金140.0円を下限とする累積配当へと方針を変更するため、同40.0円増配の180.0円(第2四半期末90.0円、期末90.0円)を予定している。また、自己株式の取得については、市場環境や資本の状況などを総合的に勘案して機動的に実施することとしており、2024年度は5月と11月に実施した。加えて、資本効率の向上に向けて政策保有株式の縮減も実施している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) <HN> 2025/07/02 14:09 注目トピックス 日本株 澁澤倉庫 Research Memo(8):「中期経営計画2026」は順調に推移、初年度の営業利益進捗率39%と余裕含み *14:08JST 澁澤倉庫 Research Memo(8):「中期経営計画2026」は順調に推移、初年度の営業利益進捗率39%と余裕含み ■中期経営計画3. 「中期経営計画2026」の進捗澁澤倉庫<9304>の「中期経営計画2026」初年度の進捗状況は、業績の進捗率が営業収益で45%、営業利益で39%と順調で、余裕含みのスタートとなった。成長戦略の取り組みとして、収益力の強化では、多品種小ロット商品に対応できるよう、需要変動を吸収可能なロボットと人員を組み合わせたハイブリッドオペレーションモデルを構築した。また、商品特性に合わせた拠点新設においては、自動化オペレーションを導入した千葉北第3倉庫で24時間稼働を実現した。物流ネットワークの拡充では、国内で主に首都圏を中心とする物流センターの増設や、全国3ヶ所の危険品倉庫新設を進めた。これにより2025年3月期は前期比で約60,000平方メートルの倉庫面積を増強した。海外では、アジアにおける自動車部品物流の強化を目的にタイのバンコクに駐在員事務所を開設し、早期の現地法人化を進めることでベトナム、フィリピンとの東南アジアの域内ネットワーク体制を構築する方針である。新規業務の獲得としては、多品種小ロット貨物である化粧品のEC物流、医療器具・キッチン用品・食品などの3PL(外部物流委託)業務を積極的に取り込み、営業収益の拡大につなげた。不動産ポートフォリオの拡充では、所有資産を賃貸する事業モデルだけでなく、私募ファンドスキームへの出資などの収益基盤の多様化を進めるほか、倉庫物件の仲介・転貸、物流不動産事業、賃貸倉庫への人材派遣、建物管理などテナント向け付加サービスなどを進めている。ESGへの取り組み強化では、同社保有賃貸施設で再生可能エネルギー化100%を達成したほか、監査等委員会設置会社へ移行するなどガバナンスの強化を進めた。現時点での主要課題は、新設拠点の早期フル稼働、業域の拡大に向けた新規事業の収益化、DXによる競争優位性の確立である。しかし、新設拠点については、多様な業務にわたる提案営業により着実に稼働率が向上している。業域の拡大においても、商社機能を取り込むことで、同社のコールドチェーンを活用した日本酒や和牛の輸出を推進しているほか、フォークリフトの販売代理店業務や顧客拠点内の荷役請負サービス提供も進展している。DXでは物流荷役機器の作業で蓄積した知財を横展開し、各拠点の機能の底上げを図っている。2026年3月期の減益予想は懸念される点だが、これは保守的な予測を含んでおり、過去と比較して利益水準が高まっていることから、進捗状況は順調と考えて問題ないと判断される。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) <HN> 2025/07/02 14:08 注目トピックス 日本株 澁澤倉庫 Research Memo(7):2027年3月期に営業利益53億円達成を目指す *14:07JST 澁澤倉庫 Research Memo(7):2027年3月期に営業利益53億円達成を目指す ■中期経営計画2. 「中期経営計画2026」と成長戦略澁澤倉庫<9304>は、「Shibusawa 2030 ビジョン」実現に向けたセカンドステージとして2024年5月に「中期経営計画2026」(2025年3月期~2027年3月期)を策定した。基本方針として、主力の物流事業の収益力の強化、国内外の物流ネットワークの拡充、物流の枠を超えた業域の拡大、物流事業とのシナジーを発揮できる不動産ポートフォリオの拡充、ESGへの取り組み強化という5つの成長戦略を推進することで持続的価値の創造を目指す。数値目標は、2027年3月期に営業収益850億円、営業利益53億円、経常利益60億円を掲げた。また、「Shibusawa 2030 ビジョン」で設定したROE10.0%以上を達成するため、そのマイルストーンとして「中期経営計画2026」でROE7.0%以上とすることを目指している。(1) 収益力の強化主力の物流事業の収益力の強化では、同社の強みを生かし、物流DXの推進、専門性の追求、倉庫機能の差別化とバリューアップにおいて具体的な施策を実行している。物流DXの推進では、機械化・自動化・情報のデジタル化による作業効率の向上と新たな価値の創造を図っている。専門性の追求では、ロボットとマンパワーによる物流波動に対応できるハイブリッドオペレーションや多品種小ロット物流モデルの開発・全国展開を推進している。倉庫機能の差別化とバリューアップでは、温湿度管理や危険品など特殊貨物に対応する拠点の拡充、流通加工・検品・EC対応といった付加価値の提供など、新たな視点の物流サービスを充実させている。(2) 物流ネットワークの拡充物流ネットワークの拡充では、専門性を発揮できる拠点や商品特性・作業形態に適した拠点など国内の物流拠点の拡充を図っている。また、現在導入している陸運配車システムの機能を強化することで配車効率や運行効率を向上、オープンネットワークにより協力会社車両も含めた運行管理や労務管理をレベルアップし、国内輸送ネットワークを強化している。香港や上海など海外拠点では、冷蔵・冷凍倉庫の増設や保冷輸送ネットワークの強化も進め、保冷車による域内物流を拡充する方針である。フィリピンやベトナムでも、提携先の所有する冷蔵倉庫を足掛かりに、コールドチェーン物流の拡充を進める。海外全域では、拠点の整備や現地企業とのパートナーシップ、ローカルマネージメント層の登用などを通じて、地域に密着した物流ネットワーク基盤の構築を目指す。(3) 業域の拡大業域の拡大では、物流の枠を超えて、付加価値のある新たなサービスを提供している。例えば、商社機能を強化することで、決済代行やマッチング、日本食材の輸出支援など、商流も兼ね備えたサービスに取り組んでいる。また、オペレーションノウハウを生かした物流機器の開発や、販売・メンテナンス請負などの販売代理、生産計画と連動したプラントロジスティクスや人材派遣事業など製造拠点内サービス、不用品の収集・運搬や再販売などリサイクル事業も展開する計画である。(4) 不動産ポートフォリオの拡充不動産事業では、安定した収益・利益を確保することで、ボラティリティの高い物流事業を支える役割を担う。同時に、成長の面で先行する物流事業との差を縮めるよう、成長を目指す。そのため、CRE戦略の推進や環境対応といった施策により、保有物件のバリューアップを進め、収益性の向上を図る。また、物流事業との連携を深めることで、物流施設賃貸業務(不動産)と請負物流業務(物流)を融合した新たな価値創造や、プロパティマネジメント業務※の拡大を目指す。さらに、自社所有物件の再開発に加え、新たな物件を取得し開発していくことも検討しており、中央日本土地建物グループ(株)や清和綜合建物(株)など不動産専業の事業パートナーとの連携も強化する方針である※ 不動産オーナーに代わって動産に関する資産管理を行う業務。(5) ESGへの取り組み強化環境への取り組みでは、GHG(温室効果ガス)排出量40%削減とリサイクル物流の事業化に向け、再生可能エネルギー導入施設の拡大、本牧倉庫をはじめとする環境配慮型施設の建設(CASBEE・ZEB※認証取得)、リサイクル・サーキュラーエコノミー事業の実現、モーダルシフト輸送サービスの強化を進めている。※ CASBEE・ZEB:CASBEE(建築環境総合性能評価システム)は建築物の環境性能を評価し格付けするシステム。ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)は、快適な室内環境を実現しながら消費するエネルギーをゼロにすることを目指した建物。CASBEEとZEBを組み合わせることで、より環境によい高水準の建築物を実現することができる。社会への取り組みでは、物流事故の削減、イノベーションの活用、人的資本価値の最大化、協力会社との連携強化を通じて、無事故の推進(安全対策強化)、従業員満足度の向上(制度、就業環境の質向上)、人権への配慮の強化(ダイバーシティの推進)、協力会社と連携した環境や安全対策・労働環境の質向上を推進する。ガバナンスへの取り組みでは、経営基盤の強化、中長期的な企業価値向上、リスクマネジメントの深化、コンプライアンスの徹底によって、グローバル化に対応したガバナンスの構築、適切なリスクテイクによる持続的な企業価値の向上、リスク・リターンの関係を最適化するリスクマネジメントの実践、コンプライアンス体制の強化、情報開示の充実を目指している。(6) 成長投資と資本政策企業価値の向上を目指し、成長戦略に伴う投資を計画どおり実行する方針である。「中期経営計画2026」期間中に、営業キャッシュ・フロー250億円のほか、財務健全性を維持しつつ外部負債の活用や資産処分により最大600億円規模のキャッシュインを見込んでいる。これに対して、必須となる更新投資100億円に加え、400億円規模の成長投資と100億円の株主還元を計画している。成長投資は、M&Aや資本提携も含め、国内事業の基盤強化、海外事業の強化・拡大、不動産ポートフォリオの拡充、事業領域の拡大・新規事業開発、DXやIT、ESG経営の強化などに充当する考えである。こうした成長戦略を支えるため、同社は資本コストや株価を意識した経営も推進している。具体的には、1倍割れしているPBRの改善に向け、ROEとPERの向上に取り組む。ROEの向上では、トップライン成長や利益率改善とともに適切な資本政策を推進する。PERの向上では、リスクプレミアムを引き下げて株主資本コストを低減するとともに、成長戦略を着実に実行することで期待利益成長率を高める。また、IR活動を通じて、こうした取り組みを丁寧に発信するとしている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) <HN> 2025/07/02 14:07 注目トピックス 日本株 澁澤倉庫 Research Memo(6):2031年3月期に営業利益6,500百万円達成を目標に掲げる *14:06JST 澁澤倉庫 Research Memo(6):2031年3月期に営業利益6,500百万円達成を目標に掲げる ■中期経営計画1. 「Shibusawa 2030 ビジョン」創業者・渋沢栄一の「正しい道理で追求した利益だけが永続し、社会を豊かにできる」という精神は、現在のサステナビリティに通じる考え方である。渋沢栄一の精神を受け継ぐ澁澤倉庫<9304>は、コーポレートスローガンを「永続する使命。」と掲げ、道徳と経済を両立することで社会の持続的成長に貢献し、あらゆるステークホルダーの未来を豊かにし、企業として成長することを目指している。また、「正しい道理で追求した利益だけが永続し、社会を豊かにできる」という精神を共有すべき価値観(Value)と位置付けるとともに、物流を超えた新たな価値創造により持続可能で豊かな社会の実現を支えることを果たすべき社会的使命(Mission)とした。そのうえで、目標とする姿(Vision)として、効率追求から価値創造へと転換することで、顧客の事業活動に新たな価値を生み出すValue Partnerとなることを目指している。同社はVision達成に向け、2021年に「Shibusawa 2030 ビジョン」を策定し、競争力の強化、サービス領域の拡大、持続的な企業価値向上のためのESG経営を進めることで、2031年3月期に営業収益100,000百万円、営業利益6,500百万円、経常利益7,000百万円、ROE10.0%以上を目指している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) <HN> 2025/07/02 14:06 注目トピックス 日本株 澁澤倉庫 Research Memo(5):2026年3月期は減益予想、新規拠点稼働率を保守的に見込むも利益拡大余地あり *14:05JST 澁澤倉庫 Research Memo(5):2026年3月期は減益予想、新規拠点稼働率を保守的に見込むも利益拡大余地あり ■業績動向2. 2026年3月期の業績見通し2026年3月期の業績見通しについて、澁澤倉庫<9304>は営業収益79,000百万円(前期比0.5%増)、営業利益4,200百万円(同10.0%減)、経常利益5,100百万円(同8.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益5,100百万円(同3.9%増)と見込んでいる。なお、親会社株主に帰属する当期純利益のみ増益となるのは、物流施設の移転に伴う特別利益や政策保有株式売却益を想定しているためである。日本経済は、雇用・所得環境の改善や企業業績の持ち直しを背景に、緩やかな回復基調が続くことが見込まれている。一方で、資源価格の変動や物価の上昇、人手不足などが経済活動を下押しする要因として依然懸念され、米国の保護主義的な通商政策による国際貿易の不透明感や景気鈍化への警戒が高まっている。こうした懸念が輸出入需要やサプライチェーン全体に影響を及ぼす可能性があり、今後の動向を慎重に注視していく必要が生じている。こうした環境において、同社は引き続き各種施策による営業収益の拡大に加え、業務効率化による採算性の向上を重点施策として展開する方針である。これにより、物流事業では倉庫・陸上運送業務の好調な継続、新規業務の通期寄与、本牧倉庫などの前期に新設した拠点の稼働率向上により、営業収益の増加を見込む。しかし、前期に新設した拠点がフル稼働するまでのタイムラグに加え、システムやDX関連の先行投資費用、人件費や作業費の増加、一部顧客の自営化による契約失注、環境負荷低減を目的とした不動産テナントビルにおけるLED照明切り替えにかかる先行経費などによる減益が見込まれるため、営業利益は2ケタ減益を見込んでいる。セグメント別では、物流事業は微増収減益、不動産事業は減収2ケタ減益と予想している。物流業界では、国内景気後退への懸念、物価上昇による内需の減速、労働力不足などに伴う物流コストの増加など、厳しい環境が続くことが想定されている。こうしたなか、物流事業は2025年3月期に稼働した本牧倉庫や大阪の危険品倉庫、増床した松戸倉庫、医療機器や食品の倉庫業務が通期で寄与するほか、栃木県の危険品倉庫が新たな拠点として寄与するため、増収を見込む。しかし、2025年3月期及び2026年3月期に新設した拠点の稼働率、倉庫業務や陸上運送業務の人件費増に対する価格転嫁をやや保守的に見積もったため、減益を予想している。不動産事業では、オフィスビルを中心に稼働状況は安定的に推移することが見込まれる。しかし、コロナ禍終息後に増加した大型テナントビルの請負工事が一巡したこと、LED化工事のESG経費や一部賃料の改定などが重なり、2ケタ減益を予想している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) <HN> 2025/07/02 14:05 注目トピックス 日本株 澁澤倉庫 Research Memo(4):2025年3月期は、工場内物流請負業務の通期寄与や拠点拡充などにより増収増益 *14:04JST 澁澤倉庫 Research Memo(4):2025年3月期は、工場内物流請負業務の通期寄与や拠点拡充などにより増収増益 ■業績動向1. 2025年3月期の業績動向澁澤倉庫<9304>の2025年3月期の業績は、営業収益が78,620百万円(前期比7.1%増)、営業利益が4,668百万円(同9.3%増)、経常利益が5,583百万円(同9.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が4,908百万円(同31.6%増)と、順調な推移となった。期初計画との比較では、営業収益で620百万円の過達、営業利益で32百万円の未達、経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益でそれぞれ283百万円、808百万円の過達となった。日本経済は、世界経済が全体的に緩やかな成長を維持するなか、雇用・所得環境の改善などを背景に、個人消費や企業の設備投資に持ち直しの動きが見られ、緩やかな回復基調で推移した。一方、物価上昇の長期化が消費者マインドの下振れなどを通じて家計に与える影響や、米国の通商政策をめぐる今後の不確実性の高まりなどにより、先行きは依然として不透明な状況が続いている。こうした環境において、同社は倉庫業や運送業の枠に留まらない総合物流機能の展開を本格化させ、飲料物流や多品種小ロット物流の拠点ネットワークを拡充し、取扱量を増やした。一方で、DX推進の取り組みを一層強化し、省人化とオペレーションの効率化を進め、採算性の向上に努めた。この結果、営業収益は、全国配送の飲料業務や工場内物流請負業務の通期寄与、医薬機器関連の新規獲得、飲料物流や多品種小ロット物流における拠点拡充、定温/定湿倉庫や危険品倉庫の開設などにより増加に転じた。利益面では、倉庫作業費や運送費の上昇、ドライバーの給与改定など人件費の増加、拠点新設による減価償却費の増加、DX投資の拡大などによりコスト負担は増したものの、増収効果に加え、原価上昇分の価格転嫁、新設拠点の稼働率向上、先進的な物流機器導入による業務の効率化と採算性の向上、テナントビルの稼働率向上などにより、2ケタ近い営業増益を確保することができた。なお、特別損益で政策保有株式の売却益15億円及び前々期に発生した固定資産処分損の解消により、親会社株主に帰属する当期純利益の伸びが相対的に大きくなった。政策保有株式については、連結純資産比率を5年以内に20%以下にするという縮減方針を掲げ、2024年3月期より年間8億円程度の売却を計画していたが、一部銘柄の株高を受け売却を前倒しする予定で、2026年3月期には18億円の売却額を見込んでいる。。また、当初予想との比較では、営業収益の過達は、新たに開始した医療機器の扱いや国際貨物の下期の輸出が想定以上となったこと、営業利益の未達は、本牧倉庫が下期稼働となったため先行コストの負担や集荷の後ズレがやや大きくなったことが要因である。経常利益の過達は、株式を所有する企業の業績が好調で増配が多かったこと、親会社株主に帰属する当期純利益の過達は、株式売却益の増額が要因である。セグメント別では、物流事業も不動産事業も増収2ケタ増益となった(連結調整前)。物流事業の事業環境は、個人消費の回復が小幅に留まったことから、消費財などの国内貨物の荷動きは横ばいで推移したが、円安効果による生産財の輸出や部品・部材類の輸入などを中心に輸出入は堅調な荷動きとなった。一方、人手不足や物価上昇などにより、引き続き物流コストは増加することとなった。こうした環境において、同社は、飲料物流や多品種小ロット物流の拠点ネットワークを拡充して取扱量の増大を図るとともに、医療機器など新規業務の獲得や適正な運賃・料金の確保に努めた。一方、DX推進を一層強化して省人化とオペレーションの効率化を進めるなど、採算性の向上も進めた。業務別では、倉庫業務や陸上運送業務において、飲料や工場内物流請負業務の通期寄与に加え、医薬品や医療機器、食品など新規事業やEC関連の取り扱いが増加した。また、コスト上昇のなかドライバー確保などのため、適正な運賃や料金の確保に努めた。港湾運送業務は、飲料の荷捌業務が通期寄与したほか、船内荷役業務の取り扱いが増加した。国際輸送業務は、輸入航空貨物の取り扱いは増加したものの、一部アジア域内航路での海上運賃単価の下落に加え、輸出入海上貨物や輸出航空貨物の取り扱いが低調に推移したため、減収となった。不動産事業の事業環境は、都市部のオフィスビル市場は、空室率が引き続き低下傾向を示し、賃料の上昇も見られ、全体的に安定的に推移した。こうしたなか、同社はテナントビルの稼働率向上に加え、猛暑などを背景に空調設備使用料などの不動産付帯収入が増加した。また、大型工事の受注があったビル工事請負業務も好調に推移した。既存施設においては、計画的に保守改良工事を実施することで、現有資産の価値向上を図るとともに適正料金の確保に努め、安定的な収益基盤の確保・強化を推進した。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) <HN> 2025/07/02 14:04 注目トピックス 日本株 澁澤倉庫 Research Memo(3):倉庫業を祖業に物流事業と不動産事業を展開 *14:03JST 澁澤倉庫 Research Memo(3):倉庫業を祖業に物流事業と不動産事業を展開 ■事業概要(2) 国際ロジスティクス澁澤倉庫<9304>は、通関・輸出入海貨業務、国際輸送、海上輸送、航空輸送など輸出入フォワーディングサービスや、海外現地法人による総合物流事業を行っている。また、顧客に代わってこうした輸出入手続きを行うBPO(Business Process Outsourcing)サービスも提供している。通関・輸出入海貨業務では、AEO(Authorized Economic Operator)認定通関業者として、専門知識を持つスタッフや通関士を全国の主要な港や空港に配置している。これにより、専門的なノウハウが必要な通関を含め、日用品・アパレル・化学品・食料品・機械類など多岐にわたる商品の通関を行っている。国際輸送サービスでは、中国・香港・ベトナム・フィリピンをはじめ、世界各地にある海外現地法人や提携代理店と連携し、グローバルネットワークを構築し、陸・海・空の輸送モードの最適な組み合わせによる国際輸送サービスを提供している。三国間輸送や非居住者在庫など多様なニーズに対応しており、様々な企業に対し、効率的で最適なDoor to Doorサービスを提供している。海上輸送では、NVOCC(Non Vessel Operating Common Carrier)※として、コンテナ貨物・混載貨物の海上輸送サービスや、Door to Doorの複合一貫輸送サービスなどを提供している。自動車部品や化学品など、豊富なベース貨物を確保することで、コスト競争力とスケジュールの多様性が同社の強みとなっている。航空輸送では、IATA(国際航空運送協会)の公認代理店として、精密機器から自動車部品、化学品原材料、食品・イベント輸送に至るまで、幅広いサービスを提供している。※ 船舶や航空機を持たない貨物利用運送事業者。海外事業は同社にとって成長分野で、現在、中国、香港、ベトナム、フィリピンに現地法人を置いている。中国では自社車両や自社倉庫を保有し、上海と広州を中心に自動車など機械部品や家電品、化学品、日用品などの貨物を取り扱い、輸出入フォワーディング、流通加工、陸上・海上輸送などの総合物流サービスを提供している。広州では、香港やベトナムと華南を陸路で結ぶクロスボーダー輸送サービスも手掛けている。香港では、輸出入フォワーディングなどに加え、コールドチェーン物流を活用した日本食材のレストランや個人宅向け宅配事業を展開している。ベトナムでは、ホーチミンとハノイの2拠点で輸出入フォワーディング、陸上運送、保税倉庫管理といったサービスを提供している。自動車部品をはじめとするベース貨物の大口取扱数量を強みとした海上運賃のコスト競争力や、急なニーズにも対応できる輸送能力にも定評がある。また、持分法適用関連会社で、内航船による海上輸送を含む、ベトナム全域の物流ネットワークを活用した総合物流サービスを行っている。フィリピンのマニラでは、オペレーション対応力と輸送スケジュール提案力を強みに、日系企業向け輸出入フォワーディングサービスのほか、日本製の食品やワインの輸入一貫サービスを提供している。(3) 情報システム大量かつ複雑な物流を効率的に運用するうえで、高度な情報システムは大きな差別化要因となる。同社は、日付管理や在庫の一元管理などを商品特性ごとに最適化した倉庫管理システム(WMS)、NVOCC・海貨・航空貨物・通関業務の各システムを統合しプラットフォーム化した、輸出入荷捌き・航空貨物システム、全国の配車情報を一括管理して無駄のない効率的な車両運行を行う陸運配車システム、飲料専用WMSの、4つの高度な総合物流システムを保有している。これにより、顧客それぞれに最適な輸送モードや貨物管理を提供し、陸・海・空ワンストップの総合物流サービスを実現している。さらに、高度な要求にも応えられるよう、貨物トレースシステム・GPS機能といった最新機能との連携も進めている。(4) 不動産事業同社は長年にわたり好立地で倉庫業を営んできたため、施設のなかには時代の変化とともに周辺が宅地化・都市化され、不動産としての価値が高まる一方、物流での使用に適さなくなる状況が生じている。不動産事業は、そうした物件を有効利用するため、オフィスビルや物流施設、高付加価値物流施設に再開発し、賃貸することを推進している。現在では多数の賃貸ビルを保有し、安定した収益源となっている。代表的な賃貸オフィスビルには、東京地区に澁澤シティプレイス(茅場町)や澁澤シティプレイス永代、澁澤ビル、澁澤シティプレイス蛎殻町、関西地区にドーミー三宮などがある。今後は、CRE戦略※の加速や環境に対応したバリューアップ投資により収益性を向上させるとともに、物流と融合した新たな価値の創造や不動産専業の事業パートナーとの連携による再開発事業への取り組みも積極的に検討する。※ 企業価値向上の観点からCRE(企業不動産:事務所や店舗、工場など事業用不動産)の見直しを行い、不動産投資の効率性を最大化する戦略。一方、グループ会社の澁澤ファシリティーズ(株)では、各種法令や設備の専門知識を持つスタッフが、工事・ビルマネジメントサービスを提供している。ビルの管理では、設備管理から警備、清掃、環境衛生管理に至るまでのマネジメントサービスを行う。また、同社が運営する施設の診断や補強、更新の際には建設工事や設備工事、内装工事など各種工事も請け負っており、利用者にとって快適で安全・安心な職場環境を提供している。物流の専門性・DXで競争力強化、モーダルシフトにも強み3. 同社の強み物流における強みは、専門性の追求、DX、業域の拡大、モーダルシフトのノウハウにある。こうした強みを積極的に活用することで、競争力の強化、収益機会の多様化、事業の拡大を推進している。専門性の追求では、飲料や日用品など専門特化したノウハウや、アパレル・コスメのような多品種小ロット貨物の効率的運営モデル、医療機器や危険品などの取扱いノウハウを持つ。さらに、東名阪や千葉地区でのドミナント展開により、利便性を追求している。DXでは、自動搬送機や無人搬送フォークリフトを導入し、マンパワーとオートメーション(自動化技術)を組み合わせたハイブリッドオペレーションモデルを構築することで、繁閑の波動を吸収し、業務効率化を実現している。また、車両・配車データのデジタル化により、車両の運行効率を高め、収益性を向上させている。業域の拡大では、顧客のニーズに基づき、流通加工・生産受託、BPO、物流コンサルティング、4PL(包括物流管理)、海外といった物流や物流周辺の事業を積極的に拡大している。なかでも注目されるモーダルシフトへの対応では、フェリー輸送を事業の柱とする日正運輸(株)と鉄道輸送を柱とする大宮通運(株)の子会社2社が、顧客のモーダルシフトへの要請を機動的に受ける体制を敷いている。このような強みを最大限に活用することで、顧客や商材に適した柔軟で機動的な物流サービスをトータルで提供している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) <HN> 2025/07/02 14:03 注目トピックス 日本株 澁澤倉庫 Research Memo(2):専門性やDX、業域拡大、モーダルシフトのノウハウに強みを持つ総合物流企業 *14:02JST 澁澤倉庫 Research Memo(2):専門性やDX、業域拡大、モーダルシフトのノウハウに強みを持つ総合物流企業 ■事業概要1. 会社概要総合物流企業である澁澤倉庫<9304>は、1897年、“日本資本主義の父”と言われる渋沢栄一によって創業された。渋沢栄一は明治から昭和初期にかけて官僚や実業家として活躍し、第一国立銀行や東京株式取引所(現 (株)東京証券取引所)など数多くの企業の設立・経営に携わった明治期の偉人である。なかでも「わが国の商工業を正しく育成するためには、銀行・運送・保険などとともに倉庫業の完全な発達が不可欠」との信念により早くから物流の重要性を指摘し、自ら事業主となって、日本で最も古い近代的倉庫企業の1つと言われる澁澤倉庫部を創業した。同社はその後も事業を拡大し、昭和初期にかけて主要港をはじめとする全国に支店を開設、戦後は子会社設立などによって陸・海・空へと領域を拡大して総合物流の体制を築いていった。その後、顧客のニーズに合わせて海外展開を加速する一方、好立地にある所有不動産を活用して不動産賃貸業も拡充している。ウクライナ情勢などに起因する燃油費高や円安などリスクが増す現在においても、同社は渋沢栄一の精神を基軸に、専門性の強化や機械化、DXによる自動化などにより総合物流企業として進化を続けている。倉庫業を祖業に物流事業と不動産事業を展開2. 事業内容同社は倉庫業を祖業とする総合物流企業であり、現在の事業は物流事業と不動産事業に大別される。物流事業はさらに、国内ロジスティクス(物流拠点運営、陸上運送、港湾運送、そのほかの物流)と国際ロジスティクス(輸出入・フォワーディング、BPO、海外事業)、情報システムに分けられ、同社と国内・世界各地の関連会社が有機的に連携しながらそれぞれの地盤で事業を強化している。取引先は、飲料・日用品を主力に、アパレルから家電まで多岐にわたっている。不動産事業では、保有不動産を生かした不動産開発賃貸、不動産管理などを行っている。例年、物流事業と不動産事業の営業収益構成比は9:1と偏るが、営業利益においては両事業がほぼ同等の比率を占め、近年は物流事業の構成比が高まってきている。(1) 国内ロジスティクス(a) 物流拠点運営物流拠点運営は、国内主要都市をカバーするネットワークを基盤に、倉庫保管、流通加工、輸配送機能と多様な商品の取り扱いノウハウを融合した、顧客に最適な物流サービスを提供している。倉庫保管では、一般貨物向けの常温倉庫に加え、可動式ラック倉庫、定湿・定温倉庫、危険品倉庫など、最適な保管環境を提供するとともに、顧客の商品特性に応じた多様な荷役機器を有し、サプライチェーンマネジメントの戦略拠点として倉庫・配送センター機能を提供している。流通加工では日用品やアパレル、飲料や食品に至るまで、幅広い商品を対象に、検品・詰め替え・ラベル貼付などを行う。また、生産受託では自動車部品など部材の集約や組み立てを行うサービスを提供している。輸配送では、倉庫・配送センターのスケールメリットと全国をカバーする集車ネットワークを活用し、納期・製品・輸送ロットに最適な輸送モードを提供する。特に首都圏でのECや店舗向け配送では、自社軽貨物サービスによる即日配送やリバースロジスティクス、店舗間在庫移動などにも対応している。さらに、自社開発した倉庫管理システム(WMS:Warehouse Management System)によるリアルタイムな在庫照会やEDI(電子データ交換)連携のほか、物流データ分析に基づいた調達計画や在庫配置計画の立案などDXとイノベーションを活用した物流ソリューションを提供し、労働力不足への対応やCO2排出削減などの社会課題の解決にも取り組んでいる。(b) 陸上運送陸上運送では、東名阪や千葉地区といったドミナントエリアを基盤に、全国に長距離輸送・地場輸送、共同配送、特殊車両輸送、海上コンテナ輸送、クロスドック輸送などのサービスを提供している。陸上運送サービスの最大の特徴は、トレーラーや大型車など豊富な車両と全国ネットの営業網を生かした大量ラウンド運行※1による「幹線輸送」と、自社開発の輸配送システムなどによる「地域内の地場配送」の連携にある。また、環境問題や2024年問題※2など物流における社会課題の解決策として、様々な商品をカテゴリーごとに物流拠点に集約して同一配送先に届ける共同配送を行っており、配送のローコスト化、配送先の荷受け作業の効率化、積載効率向上によるGHG(温室効果ガス)の排出、待機時間の削減、乗務員不足の解消などに寄与している。さらに、子会社と連携した鉄道輸送やフェリー輸送のモーダルシフト※3もワンストップサービスで提供しており、乗務員の労働環境改善、環境負荷低減や自然災害発生時のBCP(Business Continuity Planning)※4対策に貢献している。※1 ラウンド運行:複数の輸送ルートを組み合わせて空車区間を減らし、効率的に輸送する手法。※2 残業規制により輸送能力が不足すること。※3 トラックなどによる自動車貨物輸送を環境負荷の小さい鉄道や船舶へと転換すること。※4 自然災害やテロ、システム障害など緊急事態時の事業継続計画。(c) 港湾運送船舶代理店として船舶の効率的な入港を多角的に支援している。パイロット(水先案内人)やタグボートの手配、海上保安庁、税関、検疫所など関係省庁への各種手続き、B/L(船荷証券)発行に至るまで、広範囲にわたるサービスを提供している。また、船内荷役やはしけ運送などの港湾運送業務でも多くの実績がある。特に在来船の船内荷役では、主要港での長年にわたる経験やノウハウを生かし、鋼材などの長尺物や穀物、重機、プラントといった大型貨物の積み卸しや積み付け、ラッシング(固縛)などの作業を行っている。(d) その他の物流その他の物流として、文書保管・トランクルームサービスや引越し・家財保管サービスを提供している。文書保管・トランクルームサービスでは、都市部近隣の強固なセキュリティの施設において、顧客のオフィス文書などを保管するほか、集配専用車による輸送サービスや機密文書の廃棄処理などのサービスを提供している。引越し・家財保管サービスでは、オフィスの移転作業や社員の引越し、リフォーム・建替えに伴う家財保管を行っている。海外転勤時などの家財保管サービスにも対応している。同社は国土交通省の「優良トランクルーム」、全日本トラック協会の「引越優良事業者」、EMS国内規格である「エコステージ2」といった認定・認証を受けている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) <HN> 2025/07/02 14:02 注目トピックス 日本株 澁澤倉庫 Research Memo(1):「中期経営計画2026」の初年度となる2025年3月期は増収増益と順調に推移 *14:01JST 澁澤倉庫 Research Memo(1):「中期経営計画2026」の初年度となる2025年3月期は増収増益と順調に推移 ■要約澁澤倉庫<9304>は、倉庫業を祖業とする総合物流企業で、事業は物流事業と不動産事業に大別される。物流事業は国内ロジスティクスと国際ロジスティクス、情報システム、不動産事業は不動産開発・賃貸及び工事・ビルマネジメントサービスに分けられる。同社は、“現在のサステナビリティ(持続的成長)に通じる精神を持った、日本資本主義の父”と言われる渋沢栄一(しぶさわえいいち)が1897年に創業した。昭和初期にかけ全国に支店を開設し、戦後は陸・海・空へと事業領域を拡大、その後海外展開を加速するなど業容拡大を進めた。同社の強みは、飲料や日用品など消費財物流や多品種小ロット貨物で培った専門性、車両・配車データのデジタル化や自動搬送機の導入などのDX、海外や物流周辺への業域の拡大、そして現在注目を集めるモーダルシフトのノウハウにある。1. 2025年3月期の業績概要2025年3月期の業績は、営業収益が78,620百万円(前期比7.1%増)、営業利益が4,668百万円(同9.3%増)となった。倉庫業や運送業の枠に留まらない総合物流機能の展開を本格化させ、飲料物流や多品種小ロット物流の強みを生かして拠点ネットワークを拡充し取扱量を増加させる一方、DX推進の取り組みを一層強化するなど採算性の向上に努めた。この結果、営業収益は増加に転じた。営業利益は、輸送費や作業費などのコスト増加はあったものの、適切な運賃や料金の確保に努めたことや、先進的な物流機器導入による業務の効率化や採算性向上などにより、2ケタ近い増益を確保することができた。また、政策保有株の連結純資産比率を5年以内に20%以下とする縮減方針により、特別利益に株式売却益15億円を計上した。2. 2026年3月期の業績見通し2026年3月期の業績見通しについて、同社は営業収益79,000百万円(前期比0.5%増)、営業利益4,200百万円(同10.0%減)と見込んでいる。営業収益は、倉庫・陸上運送業務の好調継続、新規業務の通期寄与、前期に稼働した本牧倉庫などの新設拠点により、増収を予想している。営業利益は、新設拠点のフル稼働までのタイムラグ、システムやDX関連の先行投資費用、人件費や作業費の増加、一部顧客の自営化による失注、前期に好調であった不動産事業における大型テナントビル請負工事の一時的な反動減などが想定されることから、減益を見込む。ただし、同社は新設拠点の稼働率や作業人件費の価格転嫁などをやや保守的に見積もっており、今後の利益拡大余地を残しているとの見方を示している。なお、政策保有株式の縮減方針に基づき、2025年3月期を上回る18億円の株式売却を予定している。3. 「中期経営計画2026」の進捗同社は、創業者・渋沢栄一の「正しい道理で追求した利益だけが永続し、社会を豊かにできる」という精神を基軸に「Shibusawa 2030 ビジョン」を策定した。そのセカンドステージとなる「中期経営計画2026」を2025年3月期に開始し、収益力の強化、物流ネットワークの拡充、業域の拡大、不動産ポートフォリオの拡充、ESGへの取り組み強化という5つの成長戦略を推進し、2027年3月期に営業収益850億円、営業利益53億円、ROE7%以上の達成を目指している。初年度の進捗は順調な推移となった。収益力の強化では繁閑の波動(需要変動)を吸収できるロボットとマンパワーによるハイブリッドオペレーションモデルの構築が進んだ。物流ネットワークの拡充では、2024年3月期比で約60,000平方メートルの倉庫増強を実現した。業績の進捗率も営業収益で45%、営業利益で39%と、計画に対して余裕含みのスタートとなった。■Key Points・2025年3月期は、工場内物流請負業務の通期寄与や拠点拡充などにより増収増益・2026年3月期は減益予想、新規拠点稼働率を保守的に見込むも利益拡大余地あり・「中期経営計画2026」は順調に推移、初年度の営業利益進捗率39%と余裕含み(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) <HN> 2025/07/02 14:01 注目トピックス 日本株 矢作建 Research Memo(6):2030年度の売上高2,000億円規模の達成に向け、加速度的成長フェーズへ *13:46JST 矢作建 Research Memo(6):2030年度の売上高2,000億円規模の達成に向け、加速度的成長フェーズへ ■中長期の成長戦略1. 2030年に目指す姿矢作建設工業<1870>は、2030年度の目指す姿として「課題解決&価値創造型企業」を掲げており、売上高2,000億円規模の達成を目標としている。顧客や地域が抱える課題を単に解決するだけでなく、建設エンジニアリングの力によって新たな価値を創造し、社会全体の持続的発展に貢献する企業になる意志が込められている。また、リニア中央新幹線開業を見据えた「リニア経済圏」への事業拡大や、地場密着型ゼネコンとしてのポジションを生かした社会課題解決型ビジネスの展開を通じて、単なる受注者ではなく価値提供者としての立ち位置を確立する方針である。この長期ビジョンの実現に向け、2030年度までの10年間を「進化」と「拡大」の二段階で戦略的に構築している。前半5年間(2021~2025年度)は、「既存事業の深化・進化」と「新規分野・領域の探索・開拓」を並行して進め、事業規模の拡大と将来に向けた基盤づくりの期間と位置付けている。後半5年間(2026~2030年度)では、前半で築いた基盤を生かし、加速度的な成長を実現するフェーズとしている。次期中期経営計画では、利益の追求と持続的な成長を両立させながら、ROEの改善を通じて企業価値のさらなる向上に取り組む方針である。また、M&Aについても、目的を明確化したうえで、シナジー創出が見込める案件に対して積極的な検討を進める考えである。現 中期経営計画は達成見込み、成長投資も計画を上回る進捗2. 中期経営計画と進捗状況2026年3月期の売上高は、中期経営計画で掲げた目標値130,000百万円を大きく上回る168,000百万円を見込んでいる。営業利益については目標値である10,000百万円の確保を予想している。建築事業・土木事業・不動産事業のいずれも順調に進捗する見込みであり、利益面においてもバランスの取れた事業ポートフォリオを実現する見通しとなっている。中期経営計画におけるキャッシュ・アロケーションについては、利益創出と財務の健全性を両立させながら有利子負債を活用して、将来への成長投資と株主還元に適切に配分する方針としている。計画期間の5期で、累計300億円以上の成長投資及び120億円以上の株主還元を実施する計画としている。成長投資の内訳としては、不動産投資・研究開発投資・人財投資・情報化投資・M&Aへの投資を計画していたが、2025年3月期までの4期で既に約350億円を実行しており、大きく計画を上回っている。なかでも、不動産投資は産業用地開発を中心に236億円が投じられた。これにより、累計約300億円の売上高を達成し、今後の不動産事業売上拡大への寄与が見込まれる。産業用地の開発は、土地の造成(土木事業)から設計・施工(建築事業)まで一貫した事業展開が可能であり、投下資金の早期回収に加えて、安定的なキャッシュ・フローを創出する好循環を生み出している。足元では、基盤である東海圏に留まらず、関東や関西地方でも具体的なプロジェクトが進捗しており、現在開発中の用地面積は30万坪を超える規模となっている。また、「対象分野の拡張」の観点で、データセンターや高機能オフィスなどの設計・施工、大口径トンネル工事への進出も視野に入れている。M&Aは、2023年3月に京都を地盤とする北和建設を子会社化した。北和建設は、マンション工事を中心に、ホテルや福祉施設などの建築工事を手掛けており、京都を中心とした関西圏に強固な営業基盤と施工キャパシティを有している。この買収は、中期経営計画における重点施策「事業エリアの拡大」の一環であり、両社のニーズが合致しシナジーを生み出すことが期待されている。そのほか、研究開発分野では、RCS構造の改良やPW工法の信頼性向上に向けた技術投資を実施している。情報化分野では、ITインフラ整備や情報セキュリティ強化など、人財分野では、従業員の処遇改善やマネジメント研修などへの投資を積極的に行ってきた。■株主還元策「自己資本配当率(DOE)5%以上かつ累進配当」を基本とする方針へ転換同社は、経営基盤の強化と企業価値の向上に向けて、長期的な視点に立って株主資本の充実に努めるとともに、継続的かつ安定的な株主還元を実施することを基本方針としている。この方針を一層明確にするため、2025年5月に配当方針の見直しを発表した。従来の「配当性向30%以上」という方針から、2026年3月期以降は「自己資本配当率(DOE)5%以上かつ累進配当」を基本とする方針へ転換し、利益変動に左右されにくい安定配当の実現を目指す考えである。2025年3月期の年間配当は1株当たり80円となり、前期比で20円の増配となった。このうち20円は創立75周年を記念した特別配当の位置付けであり、普通配当は60円である。結果として、DOEは5.1%、配当性向は61.0%となった。2026年3月期の年間配当は90円を予定しており、普通配当ベースで30円の実質増配となる見込みである。これにより、DOEは5.6%、配当性向は58.7%となる見通しであり、株主還元の強化を明確に打ち出した姿勢と言える。また、この方針変更は、資本効率の改善を通じた企業価値向上や株式市場における評価向上を意識したものでもある。同社は株主との丁寧な対話を重視し、株主還元についても誠実かつ積極的に取り組む姿勢を示している。2008年に100万株を取得して以降は、大規模な自己株式取得の実績はないが、今後は時価総額の向上という観点から、その可能性を排除せず、必要に応じて柔軟に対応を検討していく。(執筆:フィスコ客員アナリスト 渡邉俊輔) <HN> 2025/07/02 13:46 注目トピックス 日本株 矢作建 Research Memo(5):2026年3月期は増収増益、中期経営計画目標達成見込み *13:45JST 矢作建 Research Memo(5):2026年3月期は増収増益、中期経営計画目標達成見込み ■矢作建設工業<1870>の今後の見通し1. 2026年3月期の業績見通し現 中期経営計画(2021〜2025年度)の最終年度として、2026年3月期は次なる成長ステージへの移行期として重要な期である。連結業績は、売上高168,000百万円(前期比19.4%増)、営業利益10,000百万円(同15.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益6,600百万円(同16.9%増)を見込んでいる。建築事業・土木事業において、2025年3月期の豊富な次期繰越高を背景として、複数の大型建築工事の成功進捗により、売上高は4期連続で過去最高を更新する見込みである。利益面では、販売及び一般管理費の増加を見込むものの、両事業の増収効果により、各利益で過去最高を更新する見込みである。中期経営計画との対比では、売上高の目標値であった130,000百万円を大幅に上回り、利益面では、計画策定時には想定していなかった資材費や労務費の上昇があったものの、増収効果により、営業利益は目標値である10,000百万円を確保する見込みである。建築・土木事業は高い次期繰越高を背景に増収増益見込み2. 事業別見通し(1) 建築事業建築事業では、次期繰越高119,643百万円(前期末比16.0%増)を保有している。複数の大型建築工事の施工が進捗することによって、2026年3月期の売上高予想111,600百万円を達成する蓋然性は高いと弊社では見ている。また、資材や労務費の上昇分の受注価格への転嫁を進めており、売上高総利益率は7.7%(前期比2.3ポイント上昇)を予想している。増収効果もあり、売上高総利益は8,600百万円(同3,924百万円増)と大幅増益を見込んでいる。(2) 土木事業土木事業では、次期繰越高44,342百万円(前期末比26.7%増)を確保しており、建築事業と同様に2026年3月期の売上高予想38,400百万円を達成する蓋然性は高いと弊社では見ている。売上高総利益率は16.7%(前期比2.5ポイント低下)を予想しているが、増収効果によって売上高総利益は6,400百万円(同241百万円増)を予想している。(3) 不動産事業不動産事業では、産業用地開発において、2025年3月期に引き続き、大府東海開発プロジェクト2号地の販売を見込むものの、プロジェクトの規模は2024年3月期の1号宅地及び2025年3月期の2号宅地に比べると小さく、また、分譲マンション事業において、新規供給戸数の減少から販売戸数が減少し、売上高は18,000百万円(前期比18.2%減)と減収を見込んでいる。マンション開発については、インフレにより金利や販売価格が上昇しているなかで、購買動向にも変化が見られることから、慎重に検討している。立地に合わせて、富裕層向けと実需層向けの企画を柔軟に展開する方針である。売上総利益については、減収見込みであることに加えて、利益率の高い不動産販売の割合が小さくなることから6,500百万円(同24.2%減)を予想している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 渡邉俊輔) <HN> 2025/07/02 13:45

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