注目トピックス 日本株
クリアル Research Memo(6):2026年3月期中間期は減収ながら売上総利益は堅調(2)
配信日時:2026/01/15 12:06
配信元:FISCO
*12:06JST クリアル Research Memo(6):2026年3月期中間期は減収ながら売上総利益は堅調(2)
■クリアル<2998>の業績動向
3. KPIの動向
「CREAL」の売上総利益はGMV×テイクレートからなる。テイクレートは、案件組成手数料、ファンド運用期間手数料、償還手数料からなる確定フィーと、ファンドの外部売却時のキャピタルゲインのプロフィットシェアである変動フィーで構成され、これまでの実績から8~10%としている。GMVは調達時点(ファンド成約時点)の数値で集計・公表されるが、収益費用の認識方法は「不特法1号2号スキーム」と、2026年3月期より開始した「不特法3号4号スキーム」とでは異なる。「不特法1号2号スキーム」では収益費用の認識が総額ベースで行われ、「CREAL」の売上高及び売上総利益への計上は取引決済時点(物件売却時点)となる。そのため、GMVの成約から売上総利益の計上までに多くのファンドで約1年前後のタイムラグが生じる。一方「不特法3号4号スキーム」ではSPCが資産を所有し、同社がファンド運用の受託者となるため、同社は収益の認識をネットベース(フィー収入)で行い、ファンド組成時に取得報酬、運用中に期中報酬、物件売却時に売却報酬とそれぞれの実行タイミングに合わせて収益が発生する。つまり、不特法1号2号スキームと比較し、全体として収益の認識タイミングが早まり、物件売却に左右されない安定的な収益基盤を確保できる。またSPCがファンド組成時に金融機関から借入れを行うことが可能なため、レバレッジ効果からファンドが大型化する傾向になり、その分売上総利益の先行指標のGMVも拡大する。一方で、「CREAL PB」の売上総利益は売上高×売上総利益率で算出される。また、「CREAL PRO」はフィー収入が主体で、売上の大部分が売上総利益となる。主力の「CREAL」の売上総利益は全体の69.0%(2026年3月期中間期)と利益成長に大きく貢献することから、同社はGMVと投資家数を最重視し、リピート投資率、売上総利益等もKPIとしている。
GMVは2026年3月期中間期末時点で累計840.5億円(前年同期末比41.3%増)と大きく成長した。2026年3月期の獲得GMVは中間期末時点で107.4億円、期初計画400億円に対する進捗率は26.9%となる。期初予想では下期に不特法3号4号ファンドの拡大を見込んでおり、中間期末時点としては予想どおりの進捗と同社では評価している。また累計投資家数は2026年3月期中間期末時点で117,859人(同44.5%増)となり、2026年3月期に10万人を突破した。2026年3月期の獲得投資家数は20,794人となり、期初計画35,000人に対する進捗率は59.4%と好調だ。この要因はSNS等のマーケティング施策による。顧客獲得単価を抑制したほか、効率的な投資家獲得が奏功した。不動産クラウドファンディングは競争が激化しているが、まだ伸びしろの大きい市場である。同社は業界のリーディングカンパニーとして商品開発力やマーケティング力を駆使し、品質の高いサービスを提供することで競争を勝ち抜く方針だ。
GMVに関する重要指標の1つである「CREAL」投資家のリピート投資率※は2026年3月期第2四半期単体で89.9%と前四半期比0.7ポイント低下した。リピート投資率は新規投資家の投資割合にもよるため獲得施策等の状況によって上下するが、2026年3月期に入っても90%前後を維持しており、引き続き高水準を保っている。
※ 過去1年間に投資実績がある投資家の投資金額が該当四半期のGMVに占める割合。
なお「CREAL」は、ファンド運営終了後も償還された金額と同水準、もしくはそれ以上の金額を新ファンドへ再投資するロイヤリティの高いユーザー層を獲得していることから、SaaSに近い安定積み上げ型モデルの収益構造となっている。同社はSBIホールディングスとの提携強化が進んでいるほか、ファンドの拡充にも注力しており、今後もさらなるGMV及び累計投資家数の成長が想定され、再投資プラス新規投資のループも大きく拡大するものと予想される。「CREAL」は成長性と安定性を内包し、同社事業全体の成長ドライバーとして、さらなる高い成長ポテンシャルを有するサービスになると弊社では見ている。
財務健全性はクラウドファンディング特有の影響を除いた貸借対照表を基に判断
4. 財務状況と経営指標
2026年3月期中間期末における資産合計は、前期末比1,413百万円増の54,350百万円となった。主に、現金及び預金が8,546百万円減少したが、預託金の増加4,660百万円、販売用不動産の増加4,451百万円、手付金等の計上等に伴う流動資産その他が512百万円増加したこと等による。負債合計は、同987百万円増の48,651百万円となった。主に、クラウドファンディング預り金が4,655百万円、短期借入金が2,824百万円、及び長期借入金が341百万円増加した一方で、匿名組合出資預り金が11,226百万円減少したこと等による。純資産合計は同425百万円増の5,699百万円となった。主に、新株予約権の行使による資本金及び資本剰余金の増加各17百万円、株式報酬費用の計上による新株予約権の増加46百万円と、配当金の支払い180百万円はあったものの親会社株主に帰属する中間純利益の計上521百万円等により利益剰余金が341百万円増加したことによる。同社の財務状況の特長として、負債の部にクラウドファンディング預り金7,309百万円、匿名組合出資預り金26,052百万円を計上したが、それと均衡して資産の部に現金及び預金7,153百万円、預託金7,298百万円の合計額14,452百万円のうちクラウドファンディング関連で11,196百万円、販売用不動産35,162百万円のうちクラウドファンディング関連で23,949百万円を計上した。資産合計54,350百万円のうち、64.7%をクラウドファンディング関連の勘定科目が占める。なお、匿名組合出資預り金は匿名組合出資であるため、法的に返済義務を負う性質のものではないが、貸借対照表上では負債として計上される。このため参考値ながら、クラウドファンディング特有の会計処理に関する項目を除いた実質的な自己資本比率は26.5%※1と、貸借対照表に基づく自己資本比率10.2%に比べて高い状態にある。流動比率についても貸借対照表からは111.7%となるが実質的には127.5%※2となり、財務健全性については問題ない水準と弊社では捉えている。
※1 クラウドファンディング関連の主な勘定科目及び残高として、クラウドファンディング預り金、匿名組合出資預り金を資産合計から除外して算出。
※2 クラウドファンディング関連の主な勘定科目及び残高として、販売用不動産(クラウドファンディングで募集した物件のみ、23,949百万円)、現金及び預金(クラウドファンディング関連、11,196百万円)を流動資産から除外、匿名組合出資預り金とクラウドファンディング預り金を流動負債から除外して算出。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬 智一)
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3. KPIの動向
「CREAL」の売上総利益はGMV×テイクレートからなる。テイクレートは、案件組成手数料、ファンド運用期間手数料、償還手数料からなる確定フィーと、ファンドの外部売却時のキャピタルゲインのプロフィットシェアである変動フィーで構成され、これまでの実績から8~10%としている。GMVは調達時点(ファンド成約時点)の数値で集計・公表されるが、収益費用の認識方法は「不特法1号2号スキーム」と、2026年3月期より開始した「不特法3号4号スキーム」とでは異なる。「不特法1号2号スキーム」では収益費用の認識が総額ベースで行われ、「CREAL」の売上高及び売上総利益への計上は取引決済時点(物件売却時点)となる。そのため、GMVの成約から売上総利益の計上までに多くのファンドで約1年前後のタイムラグが生じる。一方「不特法3号4号スキーム」ではSPCが資産を所有し、同社がファンド運用の受託者となるため、同社は収益の認識をネットベース(フィー収入)で行い、ファンド組成時に取得報酬、運用中に期中報酬、物件売却時に売却報酬とそれぞれの実行タイミングに合わせて収益が発生する。つまり、不特法1号2号スキームと比較し、全体として収益の認識タイミングが早まり、物件売却に左右されない安定的な収益基盤を確保できる。またSPCがファンド組成時に金融機関から借入れを行うことが可能なため、レバレッジ効果からファンドが大型化する傾向になり、その分売上総利益の先行指標のGMVも拡大する。一方で、「CREAL PB」の売上総利益は売上高×売上総利益率で算出される。また、「CREAL PRO」はフィー収入が主体で、売上の大部分が売上総利益となる。主力の「CREAL」の売上総利益は全体の69.0%(2026年3月期中間期)と利益成長に大きく貢献することから、同社はGMVと投資家数を最重視し、リピート投資率、売上総利益等もKPIとしている。
GMVは2026年3月期中間期末時点で累計840.5億円(前年同期末比41.3%増)と大きく成長した。2026年3月期の獲得GMVは中間期末時点で107.4億円、期初計画400億円に対する進捗率は26.9%となる。期初予想では下期に不特法3号4号ファンドの拡大を見込んでおり、中間期末時点としては予想どおりの進捗と同社では評価している。また累計投資家数は2026年3月期中間期末時点で117,859人(同44.5%増)となり、2026年3月期に10万人を突破した。2026年3月期の獲得投資家数は20,794人となり、期初計画35,000人に対する進捗率は59.4%と好調だ。この要因はSNS等のマーケティング施策による。顧客獲得単価を抑制したほか、効率的な投資家獲得が奏功した。不動産クラウドファンディングは競争が激化しているが、まだ伸びしろの大きい市場である。同社は業界のリーディングカンパニーとして商品開発力やマーケティング力を駆使し、品質の高いサービスを提供することで競争を勝ち抜く方針だ。
GMVに関する重要指標の1つである「CREAL」投資家のリピート投資率※は2026年3月期第2四半期単体で89.9%と前四半期比0.7ポイント低下した。リピート投資率は新規投資家の投資割合にもよるため獲得施策等の状況によって上下するが、2026年3月期に入っても90%前後を維持しており、引き続き高水準を保っている。
※ 過去1年間に投資実績がある投資家の投資金額が該当四半期のGMVに占める割合。
なお「CREAL」は、ファンド運営終了後も償還された金額と同水準、もしくはそれ以上の金額を新ファンドへ再投資するロイヤリティの高いユーザー層を獲得していることから、SaaSに近い安定積み上げ型モデルの収益構造となっている。同社はSBIホールディングスとの提携強化が進んでいるほか、ファンドの拡充にも注力しており、今後もさらなるGMV及び累計投資家数の成長が想定され、再投資プラス新規投資のループも大きく拡大するものと予想される。「CREAL」は成長性と安定性を内包し、同社事業全体の成長ドライバーとして、さらなる高い成長ポテンシャルを有するサービスになると弊社では見ている。
財務健全性はクラウドファンディング特有の影響を除いた貸借対照表を基に判断
4. 財務状況と経営指標
2026年3月期中間期末における資産合計は、前期末比1,413百万円増の54,350百万円となった。主に、現金及び預金が8,546百万円減少したが、預託金の増加4,660百万円、販売用不動産の増加4,451百万円、手付金等の計上等に伴う流動資産その他が512百万円増加したこと等による。負債合計は、同987百万円増の48,651百万円となった。主に、クラウドファンディング預り金が4,655百万円、短期借入金が2,824百万円、及び長期借入金が341百万円増加した一方で、匿名組合出資預り金が11,226百万円減少したこと等による。純資産合計は同425百万円増の5,699百万円となった。主に、新株予約権の行使による資本金及び資本剰余金の増加各17百万円、株式報酬費用の計上による新株予約権の増加46百万円と、配当金の支払い180百万円はあったものの親会社株主に帰属する中間純利益の計上521百万円等により利益剰余金が341百万円増加したことによる。同社の財務状況の特長として、負債の部にクラウドファンディング預り金7,309百万円、匿名組合出資預り金26,052百万円を計上したが、それと均衡して資産の部に現金及び預金7,153百万円、預託金7,298百万円の合計額14,452百万円のうちクラウドファンディング関連で11,196百万円、販売用不動産35,162百万円のうちクラウドファンディング関連で23,949百万円を計上した。資産合計54,350百万円のうち、64.7%をクラウドファンディング関連の勘定科目が占める。なお、匿名組合出資預り金は匿名組合出資であるため、法的に返済義務を負う性質のものではないが、貸借対照表上では負債として計上される。このため参考値ながら、クラウドファンディング特有の会計処理に関する項目を除いた実質的な自己資本比率は26.5%※1と、貸借対照表に基づく自己資本比率10.2%に比べて高い状態にある。流動比率についても貸借対照表からは111.7%となるが実質的には127.5%※2となり、財務健全性については問題ない水準と弊社では捉えている。
※1 クラウドファンディング関連の主な勘定科目及び残高として、クラウドファンディング預り金、匿名組合出資預り金を資産合計から除外して算出。
※2 クラウドファンディング関連の主な勘定科目及び残高として、販売用不動産(クラウドファンディングで募集した物件のみ、23,949百万円)、現金及び預金(クラウドファンディング関連、11,196百万円)を流動資産から除外、匿名組合出資預り金とクラウドファンディング預り金を流動負債から除外して算出。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬 智一)
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