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ダイナミクマップ Research Memo(6):2026年3月期中間期はライセンス型売上が拡大し、損失が縮小
配信日時:2025/12/30 11:36
配信元:FISCO
*11:36JST ダイナミクマップ Research Memo(6):2026年3月期中間期はライセンス型売上が拡大し、損失が縮小
■ダイナミックマッププラットフォーム<336A>の業績動向
1. 2026年3月期中間期の業績概要
2026年3月期中間期の業績は、売上高が前年同期比9.0%増の2,451百万円、調整後EBITDAが565百万円の損失(前年同期は1,097百万円の損失)、営業損失が1,142百万円(同1,308百万円の損失)、経常損失が1,073百万円(同1,409百万円の損失)、親会社株主に帰属する中間純損失が1,163百万円(同1,416百万円の損失)となった。なお、調整後EBITDAは同社の重要利益指標であり、営業利益+減価償却費+政府補助金+M&A関連費用により算出される。
売上高を収益モデル別に見ると、プロジェクト型は米国における新規整備案件が一巡した影響から前年同期比12.6%減の1,506百万円となったものの、ライセンス型は特にトヨタ自動車グループのウーブン・バイ・トヨタ向けのオートモーティブ法人ライセンス案件などが寄与し、同80.2%増の944百万円と拡大した。利益面について、調整後EBITDAは565百万円の損失と依然損失ではあるものの、前年同期の1,097百万円の損失から大幅に改善した。人件費や外注費などのコストが増加したものの、限界利益率が高いライセンス型売上の拡大により収益性が向上した。同社の収益モデルのポートフォリオが着実に変化しており、ストック性の高いライセンス収入の伸長が収益基盤の安定化に寄与し始めていると見られる。
2. M&Aの実施
同社は、地域のデジタルインフラ整備を支えるため、地方の測量会社をグループ化する取り組みを始めた。その第1歩として、2025年10月1日に富山県の日本海測量設計(株)を子会社化した。このM&Aの目的は、測量技術の拡充と機動的に業務を進められる体制の構築にある。その背景には、地方の測量会社が抱える構造的な課題がある。事業承継の難しさから業界再編が進まないこと、若手や中堅の技術者が他業界へ流出していること、また資金面の制約から3次元測量やドローン測量といった新技術への設備投資が進んでいないことなどが挙げられる。このままでは地域のインフラ整備を担う人材が不足し、国が推進するデジタルインフラ整備が遅れるおそれがある。こうした課題を踏まえ、同社は測量会社をネットワーク化し、各地域に分散した測量機能を維持・強化することで、社会課題の解決に貢献する。広範囲でのデータ整備が可能になれば、将来的には3Dデータを活用したライセンス型ビジネスの拡大にもつながると見込んでいる。今回のM&Aはその基盤づくりであり、今後のロールアップ戦略を見据えた取り組みである。なお、買収価格は385百万円(アドバイザリー費用等を含む)である。
また、同社は測量事業を統括する新会社としてダイナミックマッププラットフォームコンサルタンツ(株)を設立した。公道に加えて空港・港湾・物流センターなど、狭いエリアや特殊な現場にも対応するため、自社の測量能力を強化し、多様な計測手段を使い分けられる体制を整えることがねらいである。車両走行によるMMS(Mobile Mapping System:移動式高精度3次元計測システム)に加え、ドローン・ハンディレーザー・スマートフォンのLiDARなどを組み合わせることで、より柔軟かつ迅速なデータ取得を目指す。センサー技術の進化やAIの普及により3次元測量の重要性が高まるなか、同社はM&Aと新会社設立を通じて、デジタルインフラ構築を主導する体制の整備を進める。
3. 財務状況と経営指標
2026年3月期中間期末の財務状況を見ると、総資産は前期末比3,870百万円減少の12,105百万円となった。流動資産は同4,052百万円減少の8,510百万円であり、主には現金及び預金が3,447百万円減少したことによる。固定資産は同182百万円増加の3,595百万円であり、主には無形固定資産が326百万円増加したことによる。
負債合計は前期末比2,395百万円減少の4,621百万円となった。流動負債は同1,704百万円減少の4,320百万円であり、主には1年内返済予定の長期借入金が1,166百万円減少したことによる。固定負債は同690百万円減少の301百万円であり、主には長期借入金が750百万円減少したことによる。純資産合計は同1,475百万円減少の7,483百万円となった。主には親会社株主に帰属する中間純損失を計上したことによる。なお、同社は2025年8月に減資を実施しており、減少分を全額資本準備金に振り替えている。
経営指標を見ると、借入依存度の低下や自己資本比率の改善により、財務健全性が着実に高まっている。自己資本比率は61.6%と前年同期比で5.7ポイント改善し、有利子負債比率も31.2%まで低下して同16.3ポイント改善した。一方で、流動比率は197.0%と依然として高水準にあるものの、同11.5ポイント低下しており、短期資金の厚みがやや薄くなった点には留意が必要である。それでも、全体としては堅実な財務運営により成長投資に充てる余力を維持しつつ、財務リスクを適切に管理している姿勢がうかがえる。
同社は短期的な利益よりも中長期の成長を重視する投資フェーズにある。借入依存度を抑えて自己資本を厚くすることで、外部環境の変動に強い資本構造を形成している。加えて、研究開発や新規サービス立ち上げに向けた投資余力も確保しており、将来の収益拡大に資する戦略的な布石を打つことができる状況にある。短期的な指標の変動はあるものの、財務の安定性と成長への積極姿勢がバランスよく共存しており、中長期の企業価値向上に向けた健全な経営が続いていると評価する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林 拓馬)
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1. 2026年3月期中間期の業績概要
2026年3月期中間期の業績は、売上高が前年同期比9.0%増の2,451百万円、調整後EBITDAが565百万円の損失(前年同期は1,097百万円の損失)、営業損失が1,142百万円(同1,308百万円の損失)、経常損失が1,073百万円(同1,409百万円の損失)、親会社株主に帰属する中間純損失が1,163百万円(同1,416百万円の損失)となった。なお、調整後EBITDAは同社の重要利益指標であり、営業利益+減価償却費+政府補助金+M&A関連費用により算出される。
売上高を収益モデル別に見ると、プロジェクト型は米国における新規整備案件が一巡した影響から前年同期比12.6%減の1,506百万円となったものの、ライセンス型は特にトヨタ自動車グループのウーブン・バイ・トヨタ向けのオートモーティブ法人ライセンス案件などが寄与し、同80.2%増の944百万円と拡大した。利益面について、調整後EBITDAは565百万円の損失と依然損失ではあるものの、前年同期の1,097百万円の損失から大幅に改善した。人件費や外注費などのコストが増加したものの、限界利益率が高いライセンス型売上の拡大により収益性が向上した。同社の収益モデルのポートフォリオが着実に変化しており、ストック性の高いライセンス収入の伸長が収益基盤の安定化に寄与し始めていると見られる。
2. M&Aの実施
同社は、地域のデジタルインフラ整備を支えるため、地方の測量会社をグループ化する取り組みを始めた。その第1歩として、2025年10月1日に富山県の日本海測量設計(株)を子会社化した。このM&Aの目的は、測量技術の拡充と機動的に業務を進められる体制の構築にある。その背景には、地方の測量会社が抱える構造的な課題がある。事業承継の難しさから業界再編が進まないこと、若手や中堅の技術者が他業界へ流出していること、また資金面の制約から3次元測量やドローン測量といった新技術への設備投資が進んでいないことなどが挙げられる。このままでは地域のインフラ整備を担う人材が不足し、国が推進するデジタルインフラ整備が遅れるおそれがある。こうした課題を踏まえ、同社は測量会社をネットワーク化し、各地域に分散した測量機能を維持・強化することで、社会課題の解決に貢献する。広範囲でのデータ整備が可能になれば、将来的には3Dデータを活用したライセンス型ビジネスの拡大にもつながると見込んでいる。今回のM&Aはその基盤づくりであり、今後のロールアップ戦略を見据えた取り組みである。なお、買収価格は385百万円(アドバイザリー費用等を含む)である。
また、同社は測量事業を統括する新会社としてダイナミックマッププラットフォームコンサルタンツ(株)を設立した。公道に加えて空港・港湾・物流センターなど、狭いエリアや特殊な現場にも対応するため、自社の測量能力を強化し、多様な計測手段を使い分けられる体制を整えることがねらいである。車両走行によるMMS(Mobile Mapping System:移動式高精度3次元計測システム)に加え、ドローン・ハンディレーザー・スマートフォンのLiDARなどを組み合わせることで、より柔軟かつ迅速なデータ取得を目指す。センサー技術の進化やAIの普及により3次元測量の重要性が高まるなか、同社はM&Aと新会社設立を通じて、デジタルインフラ構築を主導する体制の整備を進める。
3. 財務状況と経営指標
2026年3月期中間期末の財務状況を見ると、総資産は前期末比3,870百万円減少の12,105百万円となった。流動資産は同4,052百万円減少の8,510百万円であり、主には現金及び預金が3,447百万円減少したことによる。固定資産は同182百万円増加の3,595百万円であり、主には無形固定資産が326百万円増加したことによる。
負債合計は前期末比2,395百万円減少の4,621百万円となった。流動負債は同1,704百万円減少の4,320百万円であり、主には1年内返済予定の長期借入金が1,166百万円減少したことによる。固定負債は同690百万円減少の301百万円であり、主には長期借入金が750百万円減少したことによる。純資産合計は同1,475百万円減少の7,483百万円となった。主には親会社株主に帰属する中間純損失を計上したことによる。なお、同社は2025年8月に減資を実施しており、減少分を全額資本準備金に振り替えている。
経営指標を見ると、借入依存度の低下や自己資本比率の改善により、財務健全性が着実に高まっている。自己資本比率は61.6%と前年同期比で5.7ポイント改善し、有利子負債比率も31.2%まで低下して同16.3ポイント改善した。一方で、流動比率は197.0%と依然として高水準にあるものの、同11.5ポイント低下しており、短期資金の厚みがやや薄くなった点には留意が必要である。それでも、全体としては堅実な財務運営により成長投資に充てる余力を維持しつつ、財務リスクを適切に管理している姿勢がうかがえる。
同社は短期的な利益よりも中長期の成長を重視する投資フェーズにある。借入依存度を抑えて自己資本を厚くすることで、外部環境の変動に強い資本構造を形成している。加えて、研究開発や新規サービス立ち上げに向けた投資余力も確保しており、将来の収益拡大に資する戦略的な布石を打つことができる状況にある。短期的な指標の変動はあるものの、財務の安定性と成長への積極姿勢がバランスよく共存しており、中長期の企業価値向上に向けた健全な経営が続いていると評価する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林 拓馬)
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