注目トピックス 日本株

四電工 Research Memo(3):設備工事業を主力にリース事業や太陽光発電事業も展開

配信日時:2025/12/30 12:33 配信元:FISCO
*12:33JST 四電工 Research Memo(3):設備工事業を主力にリース事業や太陽光発電事業も展開 ■事業概要

1. 事業概要
四電工<1939>の報告セグメントは設備工事業、リース事業、太陽光発電事業である。設備工事業は、創業以来の基幹事業である四国エリアでの電力会社・送配電会社向け送配電設備工事と、オフィスビル・商業施設・物流施設・公共施設・工場等の建築設備工事(電気・空調・給排水設備工事、情報通信設備工事、システム制御工事など)が2本柱で、電気設備工事から空調・給排水設備工事までワンストップで提供できる技術力や高品質の施工力・保守力を強みとしている。施工における同社の主たる役割は現場監督であり、協力企業に施工業務を発注して現場の管理を行う。リース事業は工事用機械・車両・備品等のリースを行っている。太陽光発電事業は太陽光発電による電力の販売を行っている。また、その他事業としてCAD開発・販売事業、公共施設の設計・施設整備・運営管理を受託するPFI・指定管理者事業などを行っている。

(1)送配電設備工事
送配電設備工事のうち送電・土木工事は、主に発電所から各地の変電所へ電気を送るための送電設備(送電線・鉄塔など)に関連する工事を行う。山中等での大規模な工事も多いため工期が長期間となる。配電工事は、変電所で変圧(降圧)した電気を企業や各家庭へ送るために必要となる配電設備(電線・電柱等)に関連する工事を行う。あらかじめ送配電会社と締結した契約に基づいて、日々現場を移動しながら膨大な件数を施工する。施工については専属の協力企業と緊密な連携体制を構築している。

(2)建築設備工事
建築設備関連の電気・空調・給排水設備工事は、オフィスビル・商業施設・物流施設・公共施設・工場など、あらゆる建築物の屋内電気配線などの電気・計装工事及び空調・管工事を行っている。施主からの直接受注のほか、ゼネコン各社からも受注しており、大規模な工場や病院など特別な施設のオーダーにも応え、多くの施工実績がある。

(3)情報通信工事・システム制御工事
情報通信工事は、通信事業者の光ケーブル敷設や携帯電話基地局工事、自治体の防災無線工事や消防無線工事の請負など、保守・運用サポートを含めて通信高度化等に対応したネットワークインフラ構築に貢献している。システム制御工事は、生産工場のライン効率化や物流倉庫のオートメーション化など、制御に関わる計装工事を行っている。自社でプログラミングを行っている強みを生かし、現場の状況に応じたシステムの構築と、運用開始後の速やかなアップデートにより省エネルギーや時短化を実現している。

(4)リース事業
リース事業は、子会社のヨンコービジネスが工事用機械、車両、備品等のリースを行い、同社とのリース取引もある。新規取引先の開拓等によって売上拡大を図る一方で、与信管理の徹底などコスト低減にも努めている。

(5)太陽光発電事業
太陽光発電事業は子会社のヨンコーソーラー等が太陽光発電による電力の販売を行っている。2024年12月には、四国化成ホールディングス<4099>の子会社である四国化成工業(株)、四国電力、ヨンコーソーラーの3社がカーボンニュートラル社会の実現に向けて、太陽光発電によるオフサイトコーポレートPPA(Power Purchase Agreement)を開始した。

(6)その他事業
CAD開発・販売事業は、同社独自の建築設備CAD「CADEWA(キャデワ)」シリーズや、建築設備業支援ソフト「CRAFT DX(クラフト ディーエックス)」シリーズの開発・販売を行っている。2025年2月には「CRAFT DX」シリーズの新バージョン「V3」の販売を開始した。また2026年1月(予定)には「CADEWA」シリーズの新バージョンとしてフル3次元建築設備CAD「CADEWA Smart V7」の販売を開始する。


設備工事業の利益率が上昇、リース事業と太陽光発電事業等は安定した収益を計上
2. セグメント別の推移
セグメント別業績(セグメント間内部取引消去等調整前)の過去5期(2021年3月期〜2025年3月期)及び2026年3月期中間期の推移を見ると、主力の設備工事業は売上高が2021年3月期の82,379百万円から2025年3月期の101,348百万円へ、営業利益が同3,899百万円から同6,852百万円へそれぞれ増加し、さらに営業利益率が同4.7%から同6.8%へ上昇した。これは需要が高水準に推移していることに加え、人手不足等を背景に受注単価上昇や受注採算改善が進展し、資機材調達を含めた原価管理の徹底や施工の効率化など各種取り組みの成果である。リース事業及び太陽光発電事業等は売上高がやや減少傾向だが、いずれも安定した収益を計上している。リース事業は収益認識基準の変更の影響等もあって売上高が同3,692百万円から同2,784百万円へ、営業利益が同279百万円から同266百万円へそれぞれ減少したが、通期ベースの営業利益率はおおむね10%前後で推移している。太陽光発電事業は出力制御の増加等もあって売上高が同2,413百万円から同2,110百万円へ、営業利益が同997百万円から同800百万円へそれぞれ減少したが、通期ベースの営業利益率はおおむね35%〜40%で推移している。

なお2026年3月期の設備工事業については後段の業績欄でも解説するように、複数の大型案件(建築設備関連の電気・空調・給排水設備工事)の完工が前期に集中した反動に加え、2026年3月期は新規に着工した大型案件の進捗が初期段階にあたるため出来高が上がりにくいことを考慮して減収減益予想としている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)


<HN>

Copyright(c) FISCO Ltd. All rights reserved.

ニュースカテゴリ