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四電工 Research Memo(1):2026年3月期は前期の大型案件の反動減だが、2027年3月期は収益拡大見込み

配信日時:2025/12/30 12:31 配信元:FISCO
*12:31JST 四電工 Research Memo(1):2026年3月期は前期の大型案件の反動減だが、2027年3月期は収益拡大見込み ■要約

四電工<1939>は四国エリアを地盤とする総合設備工事会社である。創業以来の基幹事業である四国エリアでの電力会社・送配電会社向け送配電設備工事と、オフィスビル・商業施設・物流施設・公共施設・工場等の建築設備工事(電気・空調・給排水設備工事、情報通信設備工事、システム制御工事など)が2本柱で、電気設備工事から空調・給排水設備工事までワンストップで提供できる技術力や高品質の施工力・保守力を強みとしている。さらに積極的な人材採用・育成やM&Aの活用によって施工力を高め、首都圏や関西圏への事業エリア拡大戦略を推進している。

1. 2026年3月期中間期は大型案件の反動等で減収減益だが計画水準
2026年3月期中間期の連結業績は受注高が前年同期比6.9%増の55,753百万円、売上高が同12.1%減の43,603百万円、営業利益が同20.0%減の3,635百万円、経常利益が同18.2%減の3,901百万円、親会社株主に帰属する中間純利益が同3.1%減の2,659百万円となった。大型案件の進捗が集中した前年同期との比較では減収減益だが、おおむね計画水準で推移した。また、過去5期の中間期との比較でも各利益は前年同期に次ぐ高い水準となった。受注高は順調に増加して過去最高となった。再開発案件、宿泊施設、教育施設の新築・整備工事などの大型工事を受注した。

2. 2026年3月期通期減収減益予想だが、2027年3月期は収益拡大見込み
2026年3月期通期の連結業績予想は、期初予想を据え置き、売上高が前期比5.6%減の100,000百万円、営業利益が同13.3%減の7,000百万円、経常利益が同12.1%減の7,500百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同3.4%減の5,000百万円を見込んでいる。減収減益予想だが、中間期の進捗率は売上高が43.6%、営業利益が51.9%、経常利益が52.0%、親会社株主に帰属する当期純利益が53.2%と順調である。受注環境も堅調であり、2026年3月期に新規着工した大型案件が2027年3月期以降に売上・利益計上される見込みであることを勘案すれば、トレンドとして収益拡大基調に大きな変化はないだろうと弊社では考えている。

3. 収益性のさらなる向上を推進
同社は2021年7月に策定した「中期経営指針2025」(2022年3月期〜2026年3月期)で、重点課題に「総合設備企業としての多面的な収益力の強化」「広域的な事業展開の拡充」「ライフラインの信頼性確保のための事業基盤の維持」「四電工グループとしての総合力の発揮」「環境・社会の持続性確保に向けたコミットメント」を掲げている。そして最終年度2026年3月期の目標(売上高1,000億円、営業利益60億円、ROE8.0%)を2025年3月期に1期前倒しで達成した。これは需要が高水準に推移し、受注採算性の改善が進展したことに加え、同社が原価管理の徹底などを継続して取り組んできた成果と言える。2026年3月期の業績は一時的に減速する見込みだが、大型案件の反動などの一過性要因を考慮すれば「中期経営指針2025」の進捗状況はおおむね順調と弊社では考えている。また、現在策定を進めている次期中期経営方針では、総合設備企業として多面的な収益力を一段と強化するため、現中期経営方針のテーマを深掘りし、特に受注案件に対応した効果的な技術者の配置等によって収益性のさらなる向上を推進する模様である。

■Key Points
・四国エリアを地盤とする総合設備工事会社
・2026年3月期中間期は大型案件の反動等で減収減益だが計画水準
・2026年3月期通期減収減益予想だが、2027年3月期は収益拡大見込み

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)


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