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ダイナミクマップ Research Memo(4):高精度の3次元地図で競争優位性を確立。他業種へ展開も見込む(2)
配信日時:2025/12/30 11:34
配信元:FISCO
*11:34JST ダイナミクマップ Research Memo(4):高精度の3次元地図で競争優位性を確立。他業種へ展開も見込む(2)
■ダイナミックマッププラットフォーム<336A>の事業概要
2. 3Dデータビジネス
3Dデータビジネスは高精度3次元データを活用し、自動運転分野で培った技術を幅広い産業へ展開する取り組みである。自動運転向けに構築してきたHDマップや高精度な3次元点群データを自動車以外の領域でも利用可能にし、道路交通・安全対策・物流・インフラ管理・自治体サービスなど多様な現場の効率化を図る。同社が提供するデータは、専用の計測車両によって取得した精密な道路・街路の立体情報で、カメラ・レーザー・高精度GPSを組み合わせることで、地形・建造物・道路形状・標識などをミリ単位に近い精度で捉える。こうして得られた膨大なデータを統合し、最新状態へ維持するための継続的なメンテナンスを行うことで、多用途に活用できる高品質な空間データとして提供する点が特徴である。
3Dデータビジネスで提供しているサービスは主に2つに大別される。(1)3Dデータを「見える化」するViewerサービス、(2)3Dデータを基に現場作業を支援するGuidanceサービスである。
(1) Viewerサービス
Viewerサービスの「3Dmapspocket®」は、Webブラウザ上での高精度3次元点群データ閲覧及び分析を可能とするものであり、現地へ赴かなくてもセンチメートル単位での計測や角度計算を可能とする。損害保険会社では事故現場調査の効率化に活用されており、現場に出向く回数を減らし、作業者の負担軽減に寄与する。また、道路・橋梁の点検や将来の自律移動モビリティ・MaaS(Mobility as a Service)サービスのシミュレーション用途など、インフラ管理からモビリティサービスまで幅広い応用が進んでいる。
(2) Guidanceサービス
Guidanceサービスは、同社の3次元データをタブレットに搭載し、現在位置を高精度に把握しながら作業を支援する仕組みである。代表的な例が「除雪支援システム」で、雪で道路構造が見えにくい地域でもガードレールやマンホールなどの位置を3Dで可視化し、除雪車両に安全な走行ルートを案内する。同システムによって熟練者の経験に頼っていた作業を標準化することが可能となり、また、地域の労働力不足への対応にもつながる。Guidance技術は空港・港湾における車両運行支援や、勾配情報を生かしたトラックの省燃費走行支援などにも応用が検討されており、産業領域のデジタル化を支える重要な要素となる。
3Dデータビジネスの収益構造は、大きく2つの柱からなる。1つは政府・自治体・企業などとのプロジェクト型収益で、実証実験や社会実装プロジェクトの受託を通じて売上が発生するものである。現時点ではこのプロジェクト収益が売上の中心を占める。もう1つはViewerやGuidanceなどの商品化されたライセンス収入であり、ユーザー数やデータ利用量に応じた料金体系が採用される。プロジェクト受託は研究開発の資金を外部から獲得しながら技術強化・事業基盤構築ができる点でメリットが大きい。同時に実証成果を基に新サービスを商品化できるため、ライセンス収益の拡大にもつながる構造となっている。
事業拡大に向けた取り組みとしては、政府主導の大型プロジェクトへの参画が挙げられる。国立開発研究法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金事業では、同社のHDマップが物流・人流シミュレーションの基盤データとして採用されており、全国規模でのデータ配信体制の構築を後押ししている。また、日本政府が進める「デジタルライフライン全国総合整備計画」では、3次元空間を細かく区切り位置情報を付与する「空間ID」や、自動運転向けデータ連携システムの開発を担当する。同社は日本全体のデジタルインフラ整備における要となる役割を担うため、長期的な需要拡大が見込まれる。加えて、空港・港湾などの公共エリアにおけるダイナミックマップ開発を進めており、将来的には自動運転車両からドローンまで、あらゆるモビリティの安全運行を支える基盤整備への貢献を目指す。
同ビジネスの強みは、高精度3次元データの計測から生成・提供まで一貫して行うことができる体制と、国内外で蓄積した膨大なデータアセットにある。加えて、自動運転向けに培った高度な精度管理や継続的な更新体制は他社が容易に模倣できるものではなく、産業横断的に利用可能な「共通インフラ」としての価値を高めている。また、政府プロジェクトにおける中心的ポジションは、政策的な後押しを受けながら事業領域を広げるうえで大きな競争優位性となる。同社の3Dデータビジネスは、地図データの提供にとどまらず社会のデジタル化・自動化を進めるうえで必要な基盤技術として位置付けられ、今後も多様な産業への拡大が見込まれる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林 拓馬)
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2. 3Dデータビジネス
3Dデータビジネスは高精度3次元データを活用し、自動運転分野で培った技術を幅広い産業へ展開する取り組みである。自動運転向けに構築してきたHDマップや高精度な3次元点群データを自動車以外の領域でも利用可能にし、道路交通・安全対策・物流・インフラ管理・自治体サービスなど多様な現場の効率化を図る。同社が提供するデータは、専用の計測車両によって取得した精密な道路・街路の立体情報で、カメラ・レーザー・高精度GPSを組み合わせることで、地形・建造物・道路形状・標識などをミリ単位に近い精度で捉える。こうして得られた膨大なデータを統合し、最新状態へ維持するための継続的なメンテナンスを行うことで、多用途に活用できる高品質な空間データとして提供する点が特徴である。
3Dデータビジネスで提供しているサービスは主に2つに大別される。(1)3Dデータを「見える化」するViewerサービス、(2)3Dデータを基に現場作業を支援するGuidanceサービスである。
(1) Viewerサービス
Viewerサービスの「3Dmapspocket®」は、Webブラウザ上での高精度3次元点群データ閲覧及び分析を可能とするものであり、現地へ赴かなくてもセンチメートル単位での計測や角度計算を可能とする。損害保険会社では事故現場調査の効率化に活用されており、現場に出向く回数を減らし、作業者の負担軽減に寄与する。また、道路・橋梁の点検や将来の自律移動モビリティ・MaaS(Mobility as a Service)サービスのシミュレーション用途など、インフラ管理からモビリティサービスまで幅広い応用が進んでいる。
(2) Guidanceサービス
Guidanceサービスは、同社の3次元データをタブレットに搭載し、現在位置を高精度に把握しながら作業を支援する仕組みである。代表的な例が「除雪支援システム」で、雪で道路構造が見えにくい地域でもガードレールやマンホールなどの位置を3Dで可視化し、除雪車両に安全な走行ルートを案内する。同システムによって熟練者の経験に頼っていた作業を標準化することが可能となり、また、地域の労働力不足への対応にもつながる。Guidance技術は空港・港湾における車両運行支援や、勾配情報を生かしたトラックの省燃費走行支援などにも応用が検討されており、産業領域のデジタル化を支える重要な要素となる。
3Dデータビジネスの収益構造は、大きく2つの柱からなる。1つは政府・自治体・企業などとのプロジェクト型収益で、実証実験や社会実装プロジェクトの受託を通じて売上が発生するものである。現時点ではこのプロジェクト収益が売上の中心を占める。もう1つはViewerやGuidanceなどの商品化されたライセンス収入であり、ユーザー数やデータ利用量に応じた料金体系が採用される。プロジェクト受託は研究開発の資金を外部から獲得しながら技術強化・事業基盤構築ができる点でメリットが大きい。同時に実証成果を基に新サービスを商品化できるため、ライセンス収益の拡大にもつながる構造となっている。
事業拡大に向けた取り組みとしては、政府主導の大型プロジェクトへの参画が挙げられる。国立開発研究法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金事業では、同社のHDマップが物流・人流シミュレーションの基盤データとして採用されており、全国規模でのデータ配信体制の構築を後押ししている。また、日本政府が進める「デジタルライフライン全国総合整備計画」では、3次元空間を細かく区切り位置情報を付与する「空間ID」や、自動運転向けデータ連携システムの開発を担当する。同社は日本全体のデジタルインフラ整備における要となる役割を担うため、長期的な需要拡大が見込まれる。加えて、空港・港湾などの公共エリアにおけるダイナミックマップ開発を進めており、将来的には自動運転車両からドローンまで、あらゆるモビリティの安全運行を支える基盤整備への貢献を目指す。
同ビジネスの強みは、高精度3次元データの計測から生成・提供まで一貫して行うことができる体制と、国内外で蓄積した膨大なデータアセットにある。加えて、自動運転向けに培った高度な精度管理や継続的な更新体制は他社が容易に模倣できるものではなく、産業横断的に利用可能な「共通インフラ」としての価値を高めている。また、政府プロジェクトにおける中心的ポジションは、政策的な後押しを受けながら事業領域を広げるうえで大きな競争優位性となる。同社の3Dデータビジネスは、地図データの提供にとどまらず社会のデジタル化・自動化を進めるうえで必要な基盤技術として位置付けられ、今後も多様な産業への拡大が見込まれる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林 拓馬)
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