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ダイナミクマップ Research Memo(1):2026年3月期中間期は損失縮小。収益基盤を強化し、黒字転換を目指す
配信日時:2025/12/30 11:31
配信元:FISCO
*11:31JST ダイナミクマップ Research Memo(1):2026年3月期中間期は損失縮小。収益基盤を強化し、黒字転換を目指す
■要約
ダイナミックマッププラットフォーム<336A>は、自動運転に必要な高精度3次元地図データ(High Definition Map。以下、HDマップ)を開発・提供し、現実世界を精密にデジタル化する技術を中核に事業を展開している。HDマップは車線・交差点構造・標識などを10cm以内の精度で記録し、自動運転及び先進運転支援システム(Advanced Driver-Assistance Systems。以下、ADAS)の制御に直接活用される。国内外26ヶ国で事業を展開し、日系自動車メーカー10社を含む多くの企業と協業するなど、事業基盤を築いている。収益はプロジェクト型とライセンス型の2本柱で構成され、量産車への搭載や継続更新によるストック収益も拡大傾向にある。また、同社は3Dデータ技術をインフラ管理・防災・都市計画・物流など非自動車領域にも展開しており、デジタル社会の基盤となる空間情報プラットフォームを提供することで、広範な社会課題の解決に寄与している。
1. 2026年3月期中間期の業績概要
2026年3月期中間期の業績は、売上高が前年同期比9.0%増の2,451百万円、調整後EBITDAが565百万円の損失(前年同期は1,097百万円の損失)、営業損失が1,142百万円(同1,308百万円の損失)、経常損失が1,073百万円(同1,409百万円の損失)、親会社株主に帰属する中間純損失が1,163百万円(同1,416百万円の損失)となった。なお、調整後EBITDAは同社の重要利益指標であり、営業利益+減価償却費+政府補助金+M&A関連費用により算出される。
売上高を収益モデル別に見ると、プロジェクト型は米国における新規整備案件が一巡した影響から前年同期比12.6%減の1,506百万円となったものの、ライセンス型は特にトヨタ自動車<7203>グループのウーブン・バイ・トヨタ(株)向けのオートモーティブ法人ライセンス案件などが寄与し、同80.2%増の944百万円と大きく拡大した。利益面については、調整後EBITDAは565百万円の損失と依然損失を計上したものの、前年同期の1,097百万円の損失から大幅に改善した。人件費や外注費などのコストが増加したものの、限界利益率が高いライセンス型売上の拡大により収益性が向上した。
2. 2026年3月期業績見通し
2026年3月期通期の連結業績は、売上高が前期比6.2%減の7,000百万円、調整後EBITDAは500百万円の損失(前期は609百万円の損失)の見通しであり、期初計画を据え置いている。ライセンス型売上は、HDマップ搭載車種の拡大や法人向けデータライセンスの増加を背景として、同96.4%増の2,300百万円と大幅な拡大を見込んでいる。オートモーティブビジネスでは、量産車向けHDマップの搭載メーカー・車種の拡大に加え、自動運転・ADAS分野の主要プレイヤーへのライセンス販売などを強化する方針である。3Dデータビジネスでは、販売パートナーを通じた既存HDマップデータの販売拡大を推進する。一方で、プロジェクト型売上は同25.3%減の4,700百万円を見込んでいる。同社は将来的な収益性向上やライセンス型売上の拡大に直結する案件を優先して受注する方針を掲げており、データカバレッジの拡大、新たな道路クラスのHDマップ整備、自動車メーカーとの協業による地域拡大など、戦略的テーマに沿った案件を中心に推進する。また、3Dデータビジネスでは、政府・民間プロジェクトにおいて、将来のライセンス商材開発につながる案件の獲得を目指している。利益面は、ライセンス型売上の拡大に伴う収益性の改善により調整後EBITDAの損失幅は前期から縮小する見込みであり、売上全体では慎重な見通しを維持しながらも、事業構造の転換を着実に進め、収益性の向上を重視する計画である。同社が中期的に目指す「ライセンス型を中心とした安定収益モデル」への移行に向けて、順調な進展が期待される。
3. 中長期の成長戦略
同社は売上高・ライセンス型売上・調整後EBITDAを重要経営指標に設定し、特に限界利益率の高いライセンス型売上の拡大を戦略の中心に据えている。オートモーティブビジネスでは、量産車へのHDマップ搭載拡大を軸に、ライセンス型売上の積み上げを図っている。HDマップ搭載車の販売台数に応じて発生するライセンスフィーやメンテナンスフィーに加え、整備済み地図データの提供を通じた法人向けライセンスも拡大傾向にある。既にウーブン・バイ・トヨタ向けに法人ライセンス契約を締結したほか、海外大手半導体メーカーとも新たに契約を進めており、自動車メーカー・自動運転システム開発企業・半導体メーカーなど多様な企業からの引き合いが増加している。自動運転やADASで活用が進むEnd-to-End AIの学習データとして高精度地図の重要性が増しており、事業規模の拡大が見込まれる。3Dデータビジネスでは、地図データを交通計画・物流・都市シミュレーションなど多様な用途へ展開し、より広い市場での成長を図る。ViewerやGuidanceなどのソフトウェア商品に加え法人向けデータライセンスが拡大しており、ドイツPTV Groupとのデータ提供契約の締結によって海外市場での流通経路を強化しており、グローバルでのデータ販売の加速が期待される。
■Key Points
・2026年3月期中間期はライセンス型売上が拡大し、損失が縮小
・2026年3月期はライセンス型売上の拡大により、事業構造の転換が進む
・ライセンス型売上の拡大により収益基盤を強化。早期の黒字転換を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林 拓馬)
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ダイナミックマッププラットフォーム<336A>は、自動運転に必要な高精度3次元地図データ(High Definition Map。以下、HDマップ)を開発・提供し、現実世界を精密にデジタル化する技術を中核に事業を展開している。HDマップは車線・交差点構造・標識などを10cm以内の精度で記録し、自動運転及び先進運転支援システム(Advanced Driver-Assistance Systems。以下、ADAS)の制御に直接活用される。国内外26ヶ国で事業を展開し、日系自動車メーカー10社を含む多くの企業と協業するなど、事業基盤を築いている。収益はプロジェクト型とライセンス型の2本柱で構成され、量産車への搭載や継続更新によるストック収益も拡大傾向にある。また、同社は3Dデータ技術をインフラ管理・防災・都市計画・物流など非自動車領域にも展開しており、デジタル社会の基盤となる空間情報プラットフォームを提供することで、広範な社会課題の解決に寄与している。
1. 2026年3月期中間期の業績概要
2026年3月期中間期の業績は、売上高が前年同期比9.0%増の2,451百万円、調整後EBITDAが565百万円の損失(前年同期は1,097百万円の損失)、営業損失が1,142百万円(同1,308百万円の損失)、経常損失が1,073百万円(同1,409百万円の損失)、親会社株主に帰属する中間純損失が1,163百万円(同1,416百万円の損失)となった。なお、調整後EBITDAは同社の重要利益指標であり、営業利益+減価償却費+政府補助金+M&A関連費用により算出される。
売上高を収益モデル別に見ると、プロジェクト型は米国における新規整備案件が一巡した影響から前年同期比12.6%減の1,506百万円となったものの、ライセンス型は特にトヨタ自動車<7203>グループのウーブン・バイ・トヨタ(株)向けのオートモーティブ法人ライセンス案件などが寄与し、同80.2%増の944百万円と大きく拡大した。利益面については、調整後EBITDAは565百万円の損失と依然損失を計上したものの、前年同期の1,097百万円の損失から大幅に改善した。人件費や外注費などのコストが増加したものの、限界利益率が高いライセンス型売上の拡大により収益性が向上した。
2. 2026年3月期業績見通し
2026年3月期通期の連結業績は、売上高が前期比6.2%減の7,000百万円、調整後EBITDAは500百万円の損失(前期は609百万円の損失)の見通しであり、期初計画を据え置いている。ライセンス型売上は、HDマップ搭載車種の拡大や法人向けデータライセンスの増加を背景として、同96.4%増の2,300百万円と大幅な拡大を見込んでいる。オートモーティブビジネスでは、量産車向けHDマップの搭載メーカー・車種の拡大に加え、自動運転・ADAS分野の主要プレイヤーへのライセンス販売などを強化する方針である。3Dデータビジネスでは、販売パートナーを通じた既存HDマップデータの販売拡大を推進する。一方で、プロジェクト型売上は同25.3%減の4,700百万円を見込んでいる。同社は将来的な収益性向上やライセンス型売上の拡大に直結する案件を優先して受注する方針を掲げており、データカバレッジの拡大、新たな道路クラスのHDマップ整備、自動車メーカーとの協業による地域拡大など、戦略的テーマに沿った案件を中心に推進する。また、3Dデータビジネスでは、政府・民間プロジェクトにおいて、将来のライセンス商材開発につながる案件の獲得を目指している。利益面は、ライセンス型売上の拡大に伴う収益性の改善により調整後EBITDAの損失幅は前期から縮小する見込みであり、売上全体では慎重な見通しを維持しながらも、事業構造の転換を着実に進め、収益性の向上を重視する計画である。同社が中期的に目指す「ライセンス型を中心とした安定収益モデル」への移行に向けて、順調な進展が期待される。
3. 中長期の成長戦略
同社は売上高・ライセンス型売上・調整後EBITDAを重要経営指標に設定し、特に限界利益率の高いライセンス型売上の拡大を戦略の中心に据えている。オートモーティブビジネスでは、量産車へのHDマップ搭載拡大を軸に、ライセンス型売上の積み上げを図っている。HDマップ搭載車の販売台数に応じて発生するライセンスフィーやメンテナンスフィーに加え、整備済み地図データの提供を通じた法人向けライセンスも拡大傾向にある。既にウーブン・バイ・トヨタ向けに法人ライセンス契約を締結したほか、海外大手半導体メーカーとも新たに契約を進めており、自動車メーカー・自動運転システム開発企業・半導体メーカーなど多様な企業からの引き合いが増加している。自動運転やADASで活用が進むEnd-to-End AIの学習データとして高精度地図の重要性が増しており、事業規模の拡大が見込まれる。3Dデータビジネスでは、地図データを交通計画・物流・都市シミュレーションなど多様な用途へ展開し、より広い市場での成長を図る。ViewerやGuidanceなどのソフトウェア商品に加え法人向けデータライセンスが拡大しており、ドイツPTV Groupとのデータ提供契約の締結によって海外市場での流通経路を強化しており、グローバルでのデータ販売の加速が期待される。
■Key Points
・2026年3月期中間期はライセンス型売上が拡大し、損失が縮小
・2026年3月期はライセンス型売上の拡大により、事業構造の転換が進む
・ライセンス型売上の拡大により収益基盤を強化。早期の黒字転換を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林 拓馬)
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