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イノベHD Research Memo(3):飲食店は開業・廃業による入れ替わりが激しくビジネスチャンスが豊富
配信日時:2025/12/24 11:33
配信元:FISCO
*11:33JST イノベHD Research Memo(3):飲食店は開業・廃業による入れ替わりが激しくビジネスチャンスが豊富
■事業概要
(2) 飲食店はビジネスチャンスが豊富
日本の外食産業の市場規模は2020年~2021年にコロナ禍の影響で縮小したものの、それ以前は25~26兆円で安定的に推移していた巨大マーケットであり、2022年以降はコロナ禍の影響が和らいで回復基調となっている。そして飲食店数はイノベーションホールディングス<3484>がターゲットエリアとしている東京都で約6.7万件、首都圏1都3県合計で約13.2万件に上る。さらに東京都の飲食店の従業員数別事業者数で見ると、同社が主な顧客ターゲットとしている従業員数1~9人の小規模事業者(個人経営、法人経営)が約74.3%を占めている。また、飲食店は他の産業と比較して開業・廃業による入れ替わりが激しいため、同社の店舗転貸借事業にとってビジネスチャンスは豊富である。同社が保有する転貸借物件数は2026年3月期中間期末時点で2,856店まで拡大し、大手飲食チェーンを凌駕する規模に成長しているが、ターゲットエリアとしている東京都だけでもさらなる市場開拓余地が大きい。
ストック型収益モデルで、安定的かつ成長性の高い新たな不動産ビジネス
(3) ストック型収益モデルで、安定的かつ成長性の高い新たな不動産ビジネス
同社の店舗転貸借事業においては、不動産オーナー・不動産仲介に対して賃料・仲介料等を支払い、店舗出店者から賃料・手数料等を得て、その差額(転貸差益額)が同社の収益となる。店舗出店者との成約時に得るイニシャル収入(礼金・手数料等)は成約件数等によって変動するが、ランニング収入(賃料・更新料収入等)は成約以降、退店に伴う解約まで継続的に計上される。そのため、転貸借物件(同社が不動産オーナーから賃借した物件のうち店舗出店者と転貸借契約を締結している店舗物件)数の増加に伴って収益を積み上げるストック型のビジネスモデル(転貸借物件数×転貸差益額)となる。転貸借物件数が増加基調であり、高いストック収益の割合を維持しながら売上・利益を伸ばしていけるビジネスモデルだ。
また同社では店舗転貸借事業を、一般的な仲介業やサブリース業ではなく、不動産業における新たなビジネスと位置付けている。競合や競争が少ない独自の事業であることに加え、一般的な不動産市況の変化や景気に左右されにくく、ストック型収益が積み上がる安定的なビジネスであり、かつ市場開拓余地が大きく成長性の高いビジネスでもある。
転貸借物件数は増加基調
(4) 転貸借物件数
同社は積極的な店舗開拓を推進しており、転貸借物件数は安定的に増加基調である。コロナ禍の影響で一時的に伸び率が鈍化する局面があったものの、2025年3月期末の転貸借物件数は2009年3月期末の115件に対して約23.5倍の2,706件となり、2026年3月期中間期末時点では2,856件まで拡大している。そして転貸借物件数の積み上げによって売上高も増加基調である。
店舗の総合プロフェッショナル集団
(5) 特徴・強み
同社の店舗転貸借事業の特徴・強みとしては、住宅は取り扱わずにドメインを店舗(特に飲食店舗)物件に絞って専門特化していること、仲介業務を行わずにサブスク(ストック)型の賃料収益の積み上げに注力していること、所有リスクと資金調達を回避できる転貸ビジネスによって効率的な経営を実践していること、市場性の高い東京23区の中心部で集中的に物件を確保していること、低投資での出店・起業と廃棄物抑制(エコロジー)を同時に実現する居抜き物件に特化していることなどがある。
さらに、店舗の総合プロフェッショナル集団であることが競合優位性となっている。多くの店舗物件を取り扱ってきた豊富な経験値や飲食店立地の目利きをベースとして、常時100件以上のリーシング可能な物件を保持するとともに、「居抜き店舗.com」において日々入手する物件情報をスピーディに掲載・更新することで情報価値を高めている。こうした点も出店希望者とのマッチングを実現する強みとなっている。物件管理面では、トラブル対応・解決策やトラブル未然防止方法のカルテ化・仕組化などノウハウの組織化も推進し、物件管理活動の質の向上によって賃料等の回収率は実質的に100%近い水準を維持している。
不動産売買事業は転貸借事業で培ったノウハウを活用して店舗不動産を仕入販売
3. 不動産売買事業
アセットイノベーションが展開する不動産売買事業は、店舗不動産物件を仕入れて販売している。優良物件確保など不動産業者とのリレーションシップ強化も視野に入れているため、安定した利益創出を目指し、一定の保有枠の中で資金効率を重視して売買を行っている。なお実績として平均仕入額は約96百万円、平均保有期間は約7.7ヶ月である。
家賃保証事業は事業用不動産専門の家賃保証で外部案件を積極獲得
4. 家賃保証事業
セーフティーイノベーションが展開する家賃保証事業は、2022年4月に連結子会社の店舗セーフティー(株)(現 セーフティーイノベーション)を設立して参入した。飲食店舗に限らず事業用不動産専門の家賃保証事業として事業展開を本格化させるため営業人員増強やエリア拡大を進めており、2024年12月に東京・日本橋支店を開設、2025年3月に横浜支店を開設、同年9月に大阪支店を開設、同年10月に本社を東京都新宿区へ移転した。さらに2026年3月(予定)には福岡支店を開設する。将来的には全国展開を目指す。
飲食店舗転貸借ビジネスの先駆者として高い競合優位性
5. リスク要因・収益特性と課題・対策
不動産業における一般的なリスク要因としては不動産市況、金利負担、市場競合などがあるが、テンポイノベーションの店舗転貸借事業は一般的な不動産市況の変化や景気に左右されにくい安定性があり、かつ市場開拓余地が大きく成長性の高いビジネスである。また、所有リスクと資金調達を回避できる転貸ビジネスであり、金利上昇による直接的な影響を受けない。店舗物件の賃貸借契約における差入保証金等については、賃貸人の破産・倒産等により差入保証金を回収できないリスクがあるが、同社の場合は特定の不動産オーナーに依存しておらず、多額の未回収が発生するリスクは小さい。
市場競合リスクに関しては、多くの不動産業者は仲介業務が主力であり、また大手不動産事業者は大型オフィスビルやマンション等の開発・販売・賃貸を主力としている。同社の店舗転貸借事業は小規模飲食店を主な顧客ターゲットとしているため物件仕入ルート構築の難易度が高く、人的先行投資などでサブスク(ストック)ビジネスとしての収益化に長期間を要することもあり、新規参入・展開は限定的である。同社と同様のビジネスを展開する小規模事業者も存在するが、物件仕入や出店者獲得で特に競合する場面は見られない。そのため市場競合リスクは小さく、飲食店舗転貸借ビジネスの先駆者として同社は高い競合優位性を有していると言えるだろう。
また、転貸借契約を締結している店舗出店者が経営悪化等で退店し、後継入居者を獲得できなかった場合は空き家賃が発生することになる。ただし、立地や経済条件等で市場性が低いと判断した場合は、不動産オーナーとの賃貸借契約を解約して空き家賃リスクを抑えている。さらに転貸借契約も特定の飲食チェーンに依存していないため、店舗出店者が大量退店するリスクも小さい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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(2) 飲食店はビジネスチャンスが豊富
日本の外食産業の市場規模は2020年~2021年にコロナ禍の影響で縮小したものの、それ以前は25~26兆円で安定的に推移していた巨大マーケットであり、2022年以降はコロナ禍の影響が和らいで回復基調となっている。そして飲食店数はイノベーションホールディングス<3484>がターゲットエリアとしている東京都で約6.7万件、首都圏1都3県合計で約13.2万件に上る。さらに東京都の飲食店の従業員数別事業者数で見ると、同社が主な顧客ターゲットとしている従業員数1~9人の小規模事業者(個人経営、法人経営)が約74.3%を占めている。また、飲食店は他の産業と比較して開業・廃業による入れ替わりが激しいため、同社の店舗転貸借事業にとってビジネスチャンスは豊富である。同社が保有する転貸借物件数は2026年3月期中間期末時点で2,856店まで拡大し、大手飲食チェーンを凌駕する規模に成長しているが、ターゲットエリアとしている東京都だけでもさらなる市場開拓余地が大きい。
ストック型収益モデルで、安定的かつ成長性の高い新たな不動産ビジネス
(3) ストック型収益モデルで、安定的かつ成長性の高い新たな不動産ビジネス
同社の店舗転貸借事業においては、不動産オーナー・不動産仲介に対して賃料・仲介料等を支払い、店舗出店者から賃料・手数料等を得て、その差額(転貸差益額)が同社の収益となる。店舗出店者との成約時に得るイニシャル収入(礼金・手数料等)は成約件数等によって変動するが、ランニング収入(賃料・更新料収入等)は成約以降、退店に伴う解約まで継続的に計上される。そのため、転貸借物件(同社が不動産オーナーから賃借した物件のうち店舗出店者と転貸借契約を締結している店舗物件)数の増加に伴って収益を積み上げるストック型のビジネスモデル(転貸借物件数×転貸差益額)となる。転貸借物件数が増加基調であり、高いストック収益の割合を維持しながら売上・利益を伸ばしていけるビジネスモデルだ。
また同社では店舗転貸借事業を、一般的な仲介業やサブリース業ではなく、不動産業における新たなビジネスと位置付けている。競合や競争が少ない独自の事業であることに加え、一般的な不動産市況の変化や景気に左右されにくく、ストック型収益が積み上がる安定的なビジネスであり、かつ市場開拓余地が大きく成長性の高いビジネスでもある。
転貸借物件数は増加基調
(4) 転貸借物件数
同社は積極的な店舗開拓を推進しており、転貸借物件数は安定的に増加基調である。コロナ禍の影響で一時的に伸び率が鈍化する局面があったものの、2025年3月期末の転貸借物件数は2009年3月期末の115件に対して約23.5倍の2,706件となり、2026年3月期中間期末時点では2,856件まで拡大している。そして転貸借物件数の積み上げによって売上高も増加基調である。
店舗の総合プロフェッショナル集団
(5) 特徴・強み
同社の店舗転貸借事業の特徴・強みとしては、住宅は取り扱わずにドメインを店舗(特に飲食店舗)物件に絞って専門特化していること、仲介業務を行わずにサブスク(ストック)型の賃料収益の積み上げに注力していること、所有リスクと資金調達を回避できる転貸ビジネスによって効率的な経営を実践していること、市場性の高い東京23区の中心部で集中的に物件を確保していること、低投資での出店・起業と廃棄物抑制(エコロジー)を同時に実現する居抜き物件に特化していることなどがある。
さらに、店舗の総合プロフェッショナル集団であることが競合優位性となっている。多くの店舗物件を取り扱ってきた豊富な経験値や飲食店立地の目利きをベースとして、常時100件以上のリーシング可能な物件を保持するとともに、「居抜き店舗.com」において日々入手する物件情報をスピーディに掲載・更新することで情報価値を高めている。こうした点も出店希望者とのマッチングを実現する強みとなっている。物件管理面では、トラブル対応・解決策やトラブル未然防止方法のカルテ化・仕組化などノウハウの組織化も推進し、物件管理活動の質の向上によって賃料等の回収率は実質的に100%近い水準を維持している。
不動産売買事業は転貸借事業で培ったノウハウを活用して店舗不動産を仕入販売
3. 不動産売買事業
アセットイノベーションが展開する不動産売買事業は、店舗不動産物件を仕入れて販売している。優良物件確保など不動産業者とのリレーションシップ強化も視野に入れているため、安定した利益創出を目指し、一定の保有枠の中で資金効率を重視して売買を行っている。なお実績として平均仕入額は約96百万円、平均保有期間は約7.7ヶ月である。
家賃保証事業は事業用不動産専門の家賃保証で外部案件を積極獲得
4. 家賃保証事業
セーフティーイノベーションが展開する家賃保証事業は、2022年4月に連結子会社の店舗セーフティー(株)(現 セーフティーイノベーション)を設立して参入した。飲食店舗に限らず事業用不動産専門の家賃保証事業として事業展開を本格化させるため営業人員増強やエリア拡大を進めており、2024年12月に東京・日本橋支店を開設、2025年3月に横浜支店を開設、同年9月に大阪支店を開設、同年10月に本社を東京都新宿区へ移転した。さらに2026年3月(予定)には福岡支店を開設する。将来的には全国展開を目指す。
飲食店舗転貸借ビジネスの先駆者として高い競合優位性
5. リスク要因・収益特性と課題・対策
不動産業における一般的なリスク要因としては不動産市況、金利負担、市場競合などがあるが、テンポイノベーションの店舗転貸借事業は一般的な不動産市況の変化や景気に左右されにくい安定性があり、かつ市場開拓余地が大きく成長性の高いビジネスである。また、所有リスクと資金調達を回避できる転貸ビジネスであり、金利上昇による直接的な影響を受けない。店舗物件の賃貸借契約における差入保証金等については、賃貸人の破産・倒産等により差入保証金を回収できないリスクがあるが、同社の場合は特定の不動産オーナーに依存しておらず、多額の未回収が発生するリスクは小さい。
市場競合リスクに関しては、多くの不動産業者は仲介業務が主力であり、また大手不動産事業者は大型オフィスビルやマンション等の開発・販売・賃貸を主力としている。同社の店舗転貸借事業は小規模飲食店を主な顧客ターゲットとしているため物件仕入ルート構築の難易度が高く、人的先行投資などでサブスク(ストック)ビジネスとしての収益化に長期間を要することもあり、新規参入・展開は限定的である。同社と同様のビジネスを展開する小規模事業者も存在するが、物件仕入や出店者獲得で特に競合する場面は見られない。そのため市場競合リスクは小さく、飲食店舗転貸借ビジネスの先駆者として同社は高い競合優位性を有していると言えるだろう。
また、転貸借契約を締結している店舗出店者が経営悪化等で退店し、後継入居者を獲得できなかった場合は空き家賃が発生することになる。ただし、立地や経済条件等で市場性が低いと判断した場合は、不動産オーナーとの賃貸借契約を解約して空き家賃リスクを抑えている。さらに転貸借契約も特定の飲食チェーンに依存していないため、店舗出店者が大量退店するリスクも小さい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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