注目トピックス 日本株

ククレブ Research Memo(7):2026年8月期もCREソリューションに対する需要は旺盛で高成長が続く見通し

配信日時:2025/12/24 13:07 配信元:FISCO
*13:07JST ククレブ Research Memo(7):2026年8月期もCREソリューションに対する需要は旺盛で高成長が続く見通し ■ククレブ・アドバイザーズ<276A>の業績動向

3. 2026年8月期の業績見通し
2026年8月期の連結業績は、CREソリューションビジネスに対する旺盛な需要を背景に、売上高で前期比83.9%増の4,700百万円、営業利益で同79.4%増の1,100百万円、経常利益で同74.4%増の1,044百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同57.1%増の700百万円と、大幅増収増益が続く見通しである。計画策定時点のパイプラインの売上計上予定時期と過去からのトレンドをベースに、四半期ベースでの業績見込みを開示している。2025年8月期は上期に収益が偏重していたが、2026年8月期は下期偏重型となる見通しのため、第2四半期までの営業利益は前年同期比で2ケタ減益が続く点には留意が必要である。

2026年8月期は、B/S活用による不動産投資の大型売却案件が予定されている第3四半期がピークとなり、売上高で2,231百万円、営業利益で434百万円となる見通しである。足元のCREソリューションビジネスにおける需要は活発で、パイプラインも順調に積みあがっていることから、会社計画を達成する可能性は高い。なお、実際の案件計上時期が顧客事由などにより前後することで、各四半期の計上額は会社計画から変動する可能性がある。

(1) 新規事業の始動
2026年8月期はCREソリューションビジネスの新たな取り組みとして、HAZMAT※1倉庫等を含めた開発やマスターリースなどのプロジェクトを推進する。具体的には、取得済みの北海道北広島市の土地において、8棟で構成される賃貸型危険物倉庫の開発プロジェクト※2に事業法人2社と共同で着手する。2026年3月頃に、開発主体となる特定目的会社(開発TMK)に土地を売却する予定である。その後、開発TMKから開発に関するプロジェクトマネジメント業務を受託するほか、HAZMAT倉庫のマスターリース事業を展開する。竣工後は、REITまたは私募ファンドへの売却を想定している。同社にとっては、1つのプロジェクトで複数の収益ポイントが発生する。現在、兵庫県・福岡県・熊本県の3つの物件でも提案活動を進めており、2027年8月期以降の収益貢献を見込んでいる。

※1 HAZMATとは危険物(Hazardous Materials)を指す。HAZMAT倉庫は関連法規に準拠し、これらの物質を安全に保管・取り扱うために設計された倉庫で、具体例として半導体・蓄電池などの材料が挙げられる。
※2 土地面積2.1万平方メートル、建物面積約8,500平方メートル(計画段階)で、2026年4月に着工、2027年4月に竣工予定。

危険物倉庫の供給は、面積ベースで年々増加傾向にあるものの、自社所有の倉庫が多く、賃貸型の危険物倉庫の供給はまだ少ない。今後は国策として半導体や蓄電池等の産業の育成が進み、危険物倉庫の賃貸需要の拡大も予想されるため、同領域における成長余地は大きいと見られる。

(2) 不動産テックシステムの付加価値向上
具体的な取り組みとして、「CCReB AI」では、不動産売買動向予測のさらなる精度向上に向け、2025年9月よりアルゴリズム研究の第一人者である兵庫県立大学の加藤特任教授と共同研究を開始した。新たな分析手法を加えることで、様々な観点から資産効率の良い企業を分析し、対象企業の資産効率面での評価や参考にすべき類似企業を特定したうえで、不動産売買予測ロジックに組み込むことを想定している。また、生成AIによる「壁打ち機能」を搭載し、提案書自動作成の高度化にも取り組む予定である。

「CCReB CREMa」は2025年9月に3つの機能を追加した。1つ目は地図連携機能であり、登録された物件及びニーズ情報を地図上にマッピングできるようになった。従来はExcelなどで管理していた拠点情報を地図上で可視化し、一元管理できるようになった。2つ目は出力機能で、登録済み物件の詳細情報をPDFやPowerPointへ出力できるようになった。3つ目は外部サービス連携機能で、物件概要の詳細画面から、外部企業が提供する不動産テックサービス(登記情報取得サービス、全国地価マップなど)へ直接アクセスできるようになった。

同社は今後もこれらツールの機能を拡充して利便性を高め、利用者数の拡大、重要なデータベースの役割を果たす「CCReB CREMa」の登録物件数を拡大し、収益拡大につなげていく。

(3) 資本業務提携について
同社はCREプラットフォーマーとして戦略的なアライアンスを強化する方針を打ち出すなかで、2025年10月に地主及びエムエル・エステートとの資本業務提携を発表した。

地主とは2025年5月に業務提携を発表し、提携後すぐに相互に不動産取引を実行するなど成果も出始めているが、今後の両社の一層の事業成長及びシナジー創出を目的に、資本関係を含むより強固な関係を構築した。今回の提携により、相互の不動産案件情報を連携し、共同投資や仕入強化による事業拡大を目指す。また、地主に対してAIを活用した不動産テックシステムの受託開発も行う。システム開発は、子会社のククレブ・マーケティングで行う予定である(実際の開発の大部分は外部リソースを活用する)。資本提携については、同社が同年11月に実施した第三者割当増資により108,400株(発行済株式(自己株式除く)比率で2.17%)を地主が取得した。

エムエル・エステートとは2021年12月に資本業務提携契約を締結しており(2025年8月末時点の保有株式数90,919株)、従来から親会社のみずほリースの顧客向けにCRE戦略提案の共同実施や、不動産投資のためのファイナンス機能の提供などを行ってきた。今回の提携は、中期経営計画で掲げたさらなる成長戦略として、一定の投資金額を超えるCRE案件においてパートナー企業との共同出資やCREファンド組成を行うなかで、パートナーの1社として協業し、両社の事業成長及びシナジー創出を企図している。また、新規ビジネスの創出や人材相互交流などの連携も強化する方針で、すでに人材の受け入れが始まっている。資本提携の内容としては、同じく第三者割当増資により、46,500株をエムエル・エステートが取得した(発行済株式(自己株式除く)比率0.93%であり、既存保有株式と併せて2.75%)。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

<HN>

Copyright(c) FISCO Ltd. All rights reserved.

ニュースカテゴリ