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Jオイル Research Memo(3):「あぶら」の高付加価値化を追求し、収益性と成長性の向上を図る
配信日時:2025/12/24 11:23
配信元:FISCO
*11:23JST Jオイル Research Memo(3):「あぶら」の高付加価値化を追求し、収益性と成長性の向上を図る
■事業概要
1. 事業内容
J-オイルミルズ<2613>は、同社及び子会社6社(うち海外2社)、持分法適用関連会社5社(うち海外3社)により構成され、油脂事業を中心に国内外で複数の事業を展開している。油脂事業では主に家庭用油脂、業務用油脂、ミールの製造・加工・販売を行う。スペシャリティフード事業では、乳系PBF部門と食品素材部門にわけられ、乳系PBF部門では業務用マーガリン、粉末油脂、食品素材部門ではスターチ製品、トコフェロールなど大豆機能性素材、大豆シートなどの製造・加工・販売を行う。また、その他の事業では主に不動産賃貸などを行う。
油脂汎用品の需要は安定しているが大きく伸びておらず、また原料を輸入に依存しているため、大豆相場や菜種相場、為替相場といった海外市況の変動に影響されやすい収益構造である。こうした事業環境・収益構造のなか、同社はこれまで培ってきたノウハウや技術などの強みを基盤に「あぶら」の持つ価値や可能性を広げることで、おいしさ・健康・低負荷といった様々な機能を付与した高付加価値化を徹底的に追求し、収益性と成長性の向上を図っている。なお、2026年3月期中間期のセグメント別売上高構成比は油脂事業91.4%、スペシャリティフード事業8.2%、その他0.3%、セグメント利益の構成比はそれぞれ77.7%、18.6%、3.7%となった。
2. 油脂事業
油脂事業では、サラダ油やキャノーラ油などのベーシックオイルから、調理や調味、健康といった様々な領域に活用できる高付加価値オイルまで幅広く展開している。家庭用油脂は家庭用で定評のある「AJINOMOTO(R)」ブランドで展開しており、国内オリーブオイル市場のリーディングブランドであるJOYL「AJINOMOTOオリーブオイル」やベーシックオイルのJOYL「AJINOMOTOさらさら(R)キャノーラ油」をはじめ、オメガ3(n-3系脂肪酸)を摂取できるJOYL「AJINOMOTOえごま油」、コレステロールを下げる特定保健用食品JOYL「AJINOMOTO健康サララ(R)」、使用量と油ハネを半減させるJOYL「AJINOMOTOダブルハーフ」など、消費者の料理・健康づくりに役立つ商品を提供する。
業務用油脂は「JOYL」ブランドで展開し、生食から炒め物、フライに幅広く使用できる「JOYLサラダ油」、軽い風味の「JOYLキャノーラ油」、油脂の使用量の削減と環境・作業負荷の軽減を両立する独自技術「SUSTEC(R)(サステック)」を活用した「JOYL長徳(R)」シリーズ、プロの料理人向けに味や香り、食感や「出来立て感」などの多様な「おいしさ」をデザインする「JOYL PRO(R)」シリーズなど、汎用品から高付加価値品までラインナップしている。
油糧では、良質なたんぱく質を多く含む大豆や菜種などの搾り粕(ミール)を、配合飼料の原料向けなどに供給する。なお、油脂事業に占める業務用油脂の売上構成比が5割以上あることから、業務用に強みを持つという同社の特徴がうかがえる。
3. スペシャリティフード事業
スペシャリティフード事業の乳系PBF部門、食品素材部門はともに、顧客の食の課題に対するソリューションとして、食材の機能を生かした製品を提供する。乳系PBFでは、「グランマスター(R)」シリーズや一般用の業務用マーガリン、ショートニング、製菓・製パン材料向けの業務用油脂加工品、植物油を原料とした粉末油脂を扱う。食品素材では、「TXdeSIGN(R)(テクスデザイン)」シリーズ、大豆機能性素材(ファイン)、大豆シートを製造・販売する。
このうち、「TXdeSIGN」シリーズは、スターチ(でんぷん)の力で口あたりや舌ざわり、噛み応えなど新しいテクスチャー※を創出する業務用スターチの新ブランドである。レトルト・冷解凍時の粘度や食感の維持、パンの歯切れや口どけの向上、畜肉加工品の食感やジューシー感の向上など、様々な調理シーンや食品加工場面で活用されている。また、ファインでは、吸収性が高く骨を丈夫にする納豆菌由来のビタミンK2、大豆シートでは、海外向けに大豆たんぱくをベースとしたシート状大豆食品「まめのりさん(R)」を扱っている。
※ 材料の表面を全体的にとらえた視覚的・触覚的な特徴。食では食感に相当する。
4. 高付加価値品
「おいしさ×健康×低負荷」の実現に向け、成長戦略商品として高付加価値品の拡大を目指している。高付加価値品は、オリーブオイル、長持ち油「長徳」シリーズ、スペシャリティフード事業各製品、高機能油脂製品の4カテゴリーがあり、全製品のなかでも特に市場ニーズが強く高い売上総利益率が期待できる製品である。「あぶら」「でんぷん」「たんぱく質」などの植物性原料に独自の加工技術やアプリケーション技術を用いることで、従来の「おいしさ×健康」というテーマに「低負荷」を加えた付加価値を提供し、環境や労働などにおける社会課題の解決への貢献も目指す。
たとえば、業務用食用油の主力商品である長持ち油「長徳」シリーズは、従来のフライ油に比べ油脂の劣化を抑え、廃油量を抑制できることから、フライ油使用量や油の交換作業の削減につながり、コスト・作業負荷の低減を実現、環境負荷の抑制に寄与することで、地球環境に配慮した仕様となっている。また、スペシャリティフード事業の「スペシャリティ」には、「当社ならではの付加価値の高い製品を提供したい」という思いが込められている。
2026年3月期中間期の高付加価値品の状況は、売上高が358.6億円(前年同期比3.5%増/売上高構成比約32%)、売上総利益率が同2.1ポイント上昇の20.9%、売上総利益は74.9億円(同15.0%増)となり、収益貢献度が高い結果となった。油脂事業のボラティリティをカバーし、全社の成長に弾みをつけるカテゴリーだと言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<MY>
1. 事業内容
J-オイルミルズ<2613>は、同社及び子会社6社(うち海外2社)、持分法適用関連会社5社(うち海外3社)により構成され、油脂事業を中心に国内外で複数の事業を展開している。油脂事業では主に家庭用油脂、業務用油脂、ミールの製造・加工・販売を行う。スペシャリティフード事業では、乳系PBF部門と食品素材部門にわけられ、乳系PBF部門では業務用マーガリン、粉末油脂、食品素材部門ではスターチ製品、トコフェロールなど大豆機能性素材、大豆シートなどの製造・加工・販売を行う。また、その他の事業では主に不動産賃貸などを行う。
油脂汎用品の需要は安定しているが大きく伸びておらず、また原料を輸入に依存しているため、大豆相場や菜種相場、為替相場といった海外市況の変動に影響されやすい収益構造である。こうした事業環境・収益構造のなか、同社はこれまで培ってきたノウハウや技術などの強みを基盤に「あぶら」の持つ価値や可能性を広げることで、おいしさ・健康・低負荷といった様々な機能を付与した高付加価値化を徹底的に追求し、収益性と成長性の向上を図っている。なお、2026年3月期中間期のセグメント別売上高構成比は油脂事業91.4%、スペシャリティフード事業8.2%、その他0.3%、セグメント利益の構成比はそれぞれ77.7%、18.6%、3.7%となった。
2. 油脂事業
油脂事業では、サラダ油やキャノーラ油などのベーシックオイルから、調理や調味、健康といった様々な領域に活用できる高付加価値オイルまで幅広く展開している。家庭用油脂は家庭用で定評のある「AJINOMOTO(R)」ブランドで展開しており、国内オリーブオイル市場のリーディングブランドであるJOYL「AJINOMOTOオリーブオイル」やベーシックオイルのJOYL「AJINOMOTOさらさら(R)キャノーラ油」をはじめ、オメガ3(n-3系脂肪酸)を摂取できるJOYL「AJINOMOTOえごま油」、コレステロールを下げる特定保健用食品JOYL「AJINOMOTO健康サララ(R)」、使用量と油ハネを半減させるJOYL「AJINOMOTOダブルハーフ」など、消費者の料理・健康づくりに役立つ商品を提供する。
業務用油脂は「JOYL」ブランドで展開し、生食から炒め物、フライに幅広く使用できる「JOYLサラダ油」、軽い風味の「JOYLキャノーラ油」、油脂の使用量の削減と環境・作業負荷の軽減を両立する独自技術「SUSTEC(R)(サステック)」を活用した「JOYL長徳(R)」シリーズ、プロの料理人向けに味や香り、食感や「出来立て感」などの多様な「おいしさ」をデザインする「JOYL PRO(R)」シリーズなど、汎用品から高付加価値品までラインナップしている。
油糧では、良質なたんぱく質を多く含む大豆や菜種などの搾り粕(ミール)を、配合飼料の原料向けなどに供給する。なお、油脂事業に占める業務用油脂の売上構成比が5割以上あることから、業務用に強みを持つという同社の特徴がうかがえる。
3. スペシャリティフード事業
スペシャリティフード事業の乳系PBF部門、食品素材部門はともに、顧客の食の課題に対するソリューションとして、食材の機能を生かした製品を提供する。乳系PBFでは、「グランマスター(R)」シリーズや一般用の業務用マーガリン、ショートニング、製菓・製パン材料向けの業務用油脂加工品、植物油を原料とした粉末油脂を扱う。食品素材では、「TXdeSIGN(R)(テクスデザイン)」シリーズ、大豆機能性素材(ファイン)、大豆シートを製造・販売する。
このうち、「TXdeSIGN」シリーズは、スターチ(でんぷん)の力で口あたりや舌ざわり、噛み応えなど新しいテクスチャー※を創出する業務用スターチの新ブランドである。レトルト・冷解凍時の粘度や食感の維持、パンの歯切れや口どけの向上、畜肉加工品の食感やジューシー感の向上など、様々な調理シーンや食品加工場面で活用されている。また、ファインでは、吸収性が高く骨を丈夫にする納豆菌由来のビタミンK2、大豆シートでは、海外向けに大豆たんぱくをベースとしたシート状大豆食品「まめのりさん(R)」を扱っている。
※ 材料の表面を全体的にとらえた視覚的・触覚的な特徴。食では食感に相当する。
4. 高付加価値品
「おいしさ×健康×低負荷」の実現に向け、成長戦略商品として高付加価値品の拡大を目指している。高付加価値品は、オリーブオイル、長持ち油「長徳」シリーズ、スペシャリティフード事業各製品、高機能油脂製品の4カテゴリーがあり、全製品のなかでも特に市場ニーズが強く高い売上総利益率が期待できる製品である。「あぶら」「でんぷん」「たんぱく質」などの植物性原料に独自の加工技術やアプリケーション技術を用いることで、従来の「おいしさ×健康」というテーマに「低負荷」を加えた付加価値を提供し、環境や労働などにおける社会課題の解決への貢献も目指す。
たとえば、業務用食用油の主力商品である長持ち油「長徳」シリーズは、従来のフライ油に比べ油脂の劣化を抑え、廃油量を抑制できることから、フライ油使用量や油の交換作業の削減につながり、コスト・作業負荷の低減を実現、環境負荷の抑制に寄与することで、地球環境に配慮した仕様となっている。また、スペシャリティフード事業の「スペシャリティ」には、「当社ならではの付加価値の高い製品を提供したい」という思いが込められている。
2026年3月期中間期の高付加価値品の状況は、売上高が358.6億円(前年同期比3.5%増/売上高構成比約32%)、売上総利益率が同2.1ポイント上昇の20.9%、売上総利益は74.9億円(同15.0%増)となり、収益貢献度が高い結果となった。油脂事業のボラティリティをカバーし、全社の成長に弾みをつけるカテゴリーだと言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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