注目トピックス 日本株
【IPO】フツパー<478A>---初値は1344円(公開価格1020円)
配信日時:2025/12/24 09:55
配信元:FISCO
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注目トピックス 日本株
イノベHD Research Memo(6):株主還元を強化
*11:36JST イノベHD Research Memo(6):株主還元を強化
■成長戦略3. 株主還元策イノベーションホールディングス<3484>の株主還元については2024年3月期より配当方針を変更し、配当性向を40%~50%台でDOE(株主資本配当率)2ケタ台とした。さらに利益成長に合わせて連続増配を行う方針としている。この方針に基づいて2026年3月期の配当予想は2025年11月13日付で期末4.00円上方修正して、前期比6.00円増配の34.00円(期末一括)としている。5期連続増配で予想配当性向は44.8%となる。DOEは2024年3月期が10.1%、2025年3月期が11.7%と2期連続で2ケタ台を達成している。また株主優待制度については、毎年3月31日時点で同社株式を500株以上保有し、かつ1年以上継続して500株以上保有している株主を対象に、ジェフグルメカード10,000円分を贈呈する。「居抜き」店舗の活用は廃棄物削減に貢献4. サステナビリティ経営同社はサステナビリティ経営も強化している。CSR活動としては2019年6月より、同社が転貸借した飲食店を利用して、子ども食堂「お店のこども食堂」を推進している。食事が十分に取れない子どもへの食事の提供にとどまらず、親の帰宅まで居場所がない子どもへの居場所づくり、子育て支援など、より広く開かれた社会的インフラになることを目指している。この取り組みが評価されて2022年度グッドデザイン賞を受賞した。なお2025年9月末時点の累計実績は参加店舗数が86店舗、食事提供数が10,458食となった。また店舗転貸借事業は「居抜き」店舗を活用するため、造作物(厨房機器、エアコン、テーブル、床コンクリート、排水管、排気ダクト、看板等)の廃棄量削減に貢献するビジネススキームである。店舗の造作物は一般的に解約時に毎回撤去され、契約時に毎回新たに設置されるのが通常だが、居抜き物件(造作物が残っており、すぐに営業できる状態の物件)を飲食テナントに転貸することで、造作物のリユース・リデュース(再使用・発生抑制)を行い、廃棄物を削減できる。同社の直近5年間の居抜き物件成約数は1,215件(平均物件面積55.3m2)、同物件面積における飲食店の標準的な造作物重量(推計)は約13,200kgであり、削減した造作物の廃棄量を試算(成約件数1,215件×標準的な造作物重量13,200kg)すると約16,038tとなり、大型(10t)トラック約1,603台分に相当する。各種施策の着実な実行により企業価値向上を目指す5. 東証プライム市場の上場維持基準適合に向けた計画書同社は2022年4月に実施された東証の市場区分見直しに伴ってプライム市場へ移行したが、移行基準日(2021年6月30日)時点の流通株式時価総額がプライム市場の上場維持基準に適合していなかったため、2021年12月15日付でプライム市場の上場維持基準適合に向けた計画書を開示した。中期経営計画で掲げた各種施策の着実な実行によって継続的な業績向上と企業価値の向上を図るとともに、積極的な株主還元策、IR活動などの取り組みも強化し、2028年3月末までに流通株式時価総額の上場維持基準適合を図るとしている。その後、流通株式比率の向上に向けて2023年11月に、自己株式を活用した第三者割当による第3回新株予約権(行使価額修正条項及び停止要請条項付)の発行を決議した。割当先は東海東京証券(株)、発行新株予約権総数は9,000個(新株予約権1個につき100株)、行使可能株価は1,340円、下限行使価額は1,198円、行使期間は2023年12月7日~2026年12月7日、調達予定金額(差引手取概算額)は1,077百万円である。なお同社が保有する自己株式900,608株を活用するため新株は発行しない。流通株式比率の向上により、流通株式時価総額の向上及び1日平均売買代金の増加に好影響を及ぼし、東証プライム市場の上場維持基準の充足に資することが期待される。また2025年5月13日付で上場維持基準の適合に向けた計画(改善期間入り)に基づく進捗状況をリリースした。2025年3月31日時点では流通株式時価総額がプライム市場の上場維持基準に適合していないため、引き続き中期経営計画で掲げた各種施策の着実な実行によって継続的な業績向上や企業価値の向上を図り、改善期間である2026年3月末時点での適合を目指す。一方で、当期より1年間の改善期間に入っていることを考慮し、状況を鑑みつつ東証スタンダード市場への市場変更も検討するとの認識も表明している。また2025年11月18日付で第3回新株予約権の行使可能株価に基づく行使制限期間を2026年6月5日へ延長した。転貸借物件数が増加基調である点を評価、利益成長の加速を期待6. 弊社の視点外食産業の規模は大きく、店舗数では同社がターゲットとする小規模事業者が大半を占めている。また、開業・廃業による入れ替えが激しいため、同社の「東京・飲食店・居抜き」領域の店舗転貸借事業にとってビジネスチャンスは豊富であり、さらなる市場開拓余地も大きい。こうした事業環境の下、ストック収益のベースとなる転貸借物件数が右肩上がりの増加基調であり、今後も安定的に収益拡大基調が期待できる点を弊社では高く評価している。さらに、これまで推進してきた人材育成や営業組織改革の効果が顕在化してきたことに加え、店舗転貸借事業では空中階や非飲食店舗への事業領域拡大、不動産売買事業では安定的な利益の確保、家賃保証事業では事業展開エリアの拡大などを推進する方針である。人材育成の成果として、物件にあった値付けによって転貸借賃料・粗利が上昇傾向の模様であり、これらの戦略によって中長期的に利益成長の加速が期待できると弊社では注目している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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2025/12/24 11:36
注目トピックス 日本株
イノベHD Research Memo(5):2026年3月期通期は上方修正して過去最高予想
*11:35JST イノベHD Research Memo(5):2026年3月期通期は上方修正して過去最高予想
■今後の見通し● 2026年3月期通期連結業績予想の概要イノベーションホールディングス<3484>の2026年3月期通期の連結業績予想は2025年11月13日付で上方修正し、売上高が前期比16.4%増の19,388百万円、営業利益が同28.5%増の1,743百万円、経常利益が同35.2%増の1,935百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同23.8%増の1,274百万円としている。中間期の業績に鑑みて、前回予想(2025年5月13日付公表値、売上高18,872百万円、営業利益1,604百万円、経常利益1,578百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1,030百万円)に対して、売上高を516百万円、営業利益を同139百万円、経常利益を同357百万円、親会社株主に帰属する当期純利益を同244百万円それぞれ上方修正して大幅増収増益・過去最高予想としている。店舗転貸借事業の成約件数が期初の想定を上回るほか、不動産売買事業の大型案件成約、家賃保証事業における外販営業活動強化の効果なども寄与する見込みだ。修正後の主要KPIは、店舗転貸借事業の成約件数(新規契約と後継契約の合計)が同109件増の597件、期末転貸借物件数は同323件増の3,029件(前回予想は成約件数が同88件増の576件、期末転貸借物件数が同318件増の3,024件)の計画としている。修正後の通期予想に対する中間期の進捗率は売上高が48.5%、営業利益が57.3%、経常利益が55.6%、親会社株主に帰属する当期純利益が55.8%である。人材育成や営業組織再編の効果が顕在化しており、ストック収益の順調な積み上げで好業績が期待できると弊社では考えている。■成長戦略営業力増強により転貸借物件数の積み上げを推進1. 中期経営計画(2026年3月期~2028年3月期、ローリング方式)同社は2025年5月に策定した中期経営計画(2026年3月期~2028年3月期、ローリング方式)において、目標値に最終年度2028年3月期の売上高25,342百万円、営業利益2,237百万円、営業利益率8.8%、店舗転貸借事業の成約件数790件、転貸借物件数3,924件を掲げ、長期目標としては2031年3月期の売上高300億円規模、営業利益30億円規模、転貸借物件数5,500件を掲げている。なお2026年3月期本決算時に2027年3月期以降の計画をローリング予定である。事業環境としては、インバウンドを含む人流増や価格改定(値上げ)により飲食店の売上が増加しており、出店需要が高水準に推移して賃料も上昇傾向である。また一方では、原材料・光熱費の高騰や人手不足の深刻化などで既存店の退店も予想され、物件仕入とリーシングの両面で同社の店舗転貸借事業に適した事業環境が継続する見込みだ。こうした事業環境を背景に、基本方針として事業用不動産に特化した3事業(店舗転貸借事業、不動産売買事業、家賃保証事業)を各子会社にて積極展開し、シナジーも創出しながらグループの継続的な成長を加速する。重点施策は、採用や教育の包括的強化による営業組織のさらなる拡充、各事業の特性を踏まえた顧客獲得の仕組づくりやIT化、各事業間で顧客やノウハウを共有する等の事業シナジー追求、ノウハウのデジタル化や業務のシステム化等のDX推進、子会社への権限移譲による企業家精神の発揮や迅速な意思決定の実現としている。店舗転貸借事業で培ったノウハウ、ネットワーク、物件ストックを生かし、不動産事業者・オーナーを接点とする3事業の展開とシナジー創出を加速させる。店舗転貸借事業の営業戦略としては、営業力増強のための3つの施策「営業増員」「組織最適化」「営業教育」により営業体制構築を図る方針であり、営業人員数については直近の2026年3月期中間期末時点の53名(仕入18名、リーシング35名))から、2028年3月期に80名規模の体制を目指す。従来の目標である100名規模を引き下げる形となったが、営業の仕組化・効率化が進んだため従来よりも少人数での対応が可能になった。そして「営業増員」の量的強化策としては、素養や素質のある営業人員(中途・営業経験者)を積極的に採用する。「組織最適化」の配置最適化策としては、リーシングを分業化して全体最適と早期戦力化を図るとともに、各個人の適性により効果的な配置を行う。「営業教育」の質的強化策としては、独自のリーシングノウハウを可視化・体系化・eラーニング化して新入社員に効率的にレクチャーするとともに、仕入ノウハウについても可視化・体系化を進めて効率的な育成・戦力化を図る。さらに市場開拓に向けた仕入エリア戦術として、仕入担当者35名程度で1,000駅及び2,000不動産業者にアプローチするほか、乗降客数100万人以上のターミナル駅及び大規模有力不動産業者には複数の仕入担当を配置し、仕入物件数月間50件(年間600件)を目指す。これらの営業力増強や市場開拓によって、転貸借物件数の中長期的な目標である5,500件の達成を目指す。店舗転貸借事業は空中階や非飲食店舗領域への展開を本格化2. 2026年3月期下期以降の事業展開テンポイノベーションの店舗転貸借事業では、新規チャネルからの物件仕入を開始し、好立地の空中階や非飲食店舗領域への展開を本格化させる。空中階の非飲食物件の取り扱い数は2026年3月期中間期の成約件数の1割弱となり、既に成約件数増加に一定の貢献を果たしている。このため下期以降も継続して取り組む。採用については前期の実績(営業21名、物件管理9名)を踏まえ、引き続き採用単価の引き下げを図りつつ積極的な採用を行う。なお、2026年3月期中間期の採用実績は営業が3名、物件管理が8名だった。下期は営業5名程度、物件管理10名超の採用を予定している。また集客面では、自社サイト「居抜き店舗.com」(客付)及び「店舗買取り.com」(仕入)について、掲載物件の質・量・利便性向上などにより集客拡大を推進する。アセットイノベーションの不動産売買事業では、仕入経験者の増員(2026年3月期は中間期実績として1名増員、下期にも1名増員予定)と都心6区への重点営業のほか、一般法人や宅建業者へのアプローチを強化して積極的な顧客開拓を推進する。また業務システム導入(2026年3月期第1四半期より本格稼働)による業務効率化や、グループ間連携のための勉強会実施(第1回目を2025年11月に実施、第2回目を2026年3月に実施予定)などを推進する。セーフティーイノベーションの家賃保証事業では、積極的な支店展開と採用により営業力を強化し、新規代理店の開拓と保証利用の促進を行う。支店展開については2024年12月に東京・日本橋支店を開設、2025年3月に横浜支店を開設、同年9月に大阪支店を開設、同年10月に本社を東京都新宿区へ移転し、2026年3月(予定)には福岡支店を開設する。採用に関しては2026年3月期中間期に20名を採用した。下期も継続的に採用を行う。人材育成の面では勉強会、事例共有、質問LINEグループなどを活用して入社3ヶ月での自立を目指し、効率的に家賃保証のプロフェッショナル育成を図る。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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2025/12/24 11:35
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イノベHD Research Memo(4):2026年3月期中間期は計画超の大幅増収増益
*11:34JST イノベHD Research Memo(4):2026年3月期中間期は計画超の大幅増収増益
■業績動向1. 2026年3月期中間期連結業績の概要イノベーションホールディングス<3484>の2026年3月期中間期の連結業績は、売上高が前年同期比13.5%増の9,406百万円、営業利益が同46.6%増の998百万円、経常利益が同54.3%増の1,077百万円、親会社株主に帰属する中間純利益が同51.4%増の711百万円だった。前回予想(2025年5月13日付の期初公表値、売上高9,092百万円、営業利益778百万円、経常利益769百万円、親会社株主に帰属する中間純利益501百万円)に対して売上高は314百万円、営業利益は同220百万円、経常利益は同308百万円、親会社株主に帰属する中間純利益は同210百万円それぞれ上回る大幅増収増益だった。店舗転貸借事業において、成約件数(新規契約と後継契約の合計)が増加してイニシャル収入が増加し、転貸借物件数の増加に伴ってランニング収入も積み上がった。利益面では家賃保証事業と不動産売買事業も寄与した。全体の売上総利益は同42.1%増加し、売上総利益率は同4.7ポイント上昇して23.3%となった。販管費は人件費(給与手当、業績賞与の増加など)や家賃(子会社の支店開設など)を中心に同38.6%増加し、販管費比率は同2.3ポイント上昇して12.7%となった。この結果、営業利益率は2.4ポイント上昇して10.6%となった。成約件数、転貸借物件数とも順調に増加2. 事業別の動向セグメント別に見ると、店舗転貸借事業(家賃保証事業を含む)は売上高が前年同期比17.5%増の8,581百万円、営業利益が同30.1%増の734百万円で、営業利益率は同0.9ポイント上昇して8.6%となった。不動産売買事業(売買物件保有期間における賃料収益を含む)は売上高が同16.1%減の825百万円、営業利益が同126.4%増の264百万円で、営業利益率は同20.2ポイント上昇して32.1%となった。なお四半期別の売上高は、店舗転貸借のイニシャル収入及び不動産売買のイニシャル収入は変動するが、店舗転貸借事業のランニング収入(転貸借物件からの賃料収入などストック型収益)は安定的に増加基調となっている。また家賃保証事業も事業展開本格化に伴って増加基調である。店舗転貸借事業の成約件数は同68件増加して285件、期末転貸借物件数は同311件増加して2,856件となった。個人・小規模飲食事業者の旺盛な出店需要に対応して小規模・好立地の居抜き店舗物件の積極的な仕入を推進した。四半期別の推移を見ると、成約件数は2025年3月期第1四半期をボトムとして回復に転じた。営業力強化に向けた人材の育成や営業組織の構造改革の効果が顕在化し始めたほか、仕入物件の対象拡大も寄与して同第4四半期以降は140件台で推移し、従来の110~130件前後での推移から水準を切り上げる形となった。転貸借物件数は順調に積み上がっている。また、解約数は引き続き低位安定のトレンドで推移している。不動産売買事業は期中に3物件を売却、3物件を取得して中間期末時点の保有物件数は4件となった。前年同期(3物件を売却、6物件を取得)との比較では、大型物件の反動で売上高が減少したものの、高収益物件の売却により営業利益は大幅に増加した。実質的な自己資本比率は高水準3. 財務の状況財務面で見ると、2026年3月期中間期末の資産合計は前期末比579百万円増加して16,231百万円となった。主に保養所売却に伴いその他の流動資産(未収入金)が同182百万円減少した一方で、不動産売買事業の物件売却により現金及び預金が同293百万円増加、転貸借物件数の増加により差入保証金が同328百万円増加した。負債合計は同328百万円増加して11,964百万円となった。主に未払法人税等が同81百万円減少した一方で、前受収益が同123百万円増加、預り保証金が同137百万円増加した。有利子負債残高は長期借入金が同42百万円増加して145百万円となった。純資産合計は同250百万円増加して4,267百万円となった。主に利益剰余金が同241百万円増加した。この結果、自己資本比率は同0.6ポイント上昇して26.2%となった。なお同社の店舗転貸借事業の特性上、賃借人と転貸人の双方に対して計上している差入保証金と預り保証金、及び前払費用と前受収益の割合が高くなっている。これを相殺した実質的な自己資本比率は同2.0ポイント上昇して60.0%となった。実質的な自己資本比率が高水準であるほか、キャッシュ・フローの状況にも特に懸念材料が見られないことから、財務の健全性は良好と弊社では評価している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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2025/12/24 11:34
注目トピックス 日本株
イノベHD Research Memo(3):飲食店は開業・廃業による入れ替わりが激しくビジネスチャンスが豊富
*11:33JST イノベHD Research Memo(3):飲食店は開業・廃業による入れ替わりが激しくビジネスチャンスが豊富
■事業概要(2) 飲食店はビジネスチャンスが豊富日本の外食産業の市場規模は2020年~2021年にコロナ禍の影響で縮小したものの、それ以前は25~26兆円で安定的に推移していた巨大マーケットであり、2022年以降はコロナ禍の影響が和らいで回復基調となっている。そして飲食店数はイノベーションホールディングス<3484>がターゲットエリアとしている東京都で約6.7万件、首都圏1都3県合計で約13.2万件に上る。さらに東京都の飲食店の従業員数別事業者数で見ると、同社が主な顧客ターゲットとしている従業員数1~9人の小規模事業者(個人経営、法人経営)が約74.3%を占めている。また、飲食店は他の産業と比較して開業・廃業による入れ替わりが激しいため、同社の店舗転貸借事業にとってビジネスチャンスは豊富である。同社が保有する転貸借物件数は2026年3月期中間期末時点で2,856店まで拡大し、大手飲食チェーンを凌駕する規模に成長しているが、ターゲットエリアとしている東京都だけでもさらなる市場開拓余地が大きい。ストック型収益モデルで、安定的かつ成長性の高い新たな不動産ビジネス(3) ストック型収益モデルで、安定的かつ成長性の高い新たな不動産ビジネス同社の店舗転貸借事業においては、不動産オーナー・不動産仲介に対して賃料・仲介料等を支払い、店舗出店者から賃料・手数料等を得て、その差額(転貸差益額)が同社の収益となる。店舗出店者との成約時に得るイニシャル収入(礼金・手数料等)は成約件数等によって変動するが、ランニング収入(賃料・更新料収入等)は成約以降、退店に伴う解約まで継続的に計上される。そのため、転貸借物件(同社が不動産オーナーから賃借した物件のうち店舗出店者と転貸借契約を締結している店舗物件)数の増加に伴って収益を積み上げるストック型のビジネスモデル(転貸借物件数×転貸差益額)となる。転貸借物件数が増加基調であり、高いストック収益の割合を維持しながら売上・利益を伸ばしていけるビジネスモデルだ。また同社では店舗転貸借事業を、一般的な仲介業やサブリース業ではなく、不動産業における新たなビジネスと位置付けている。競合や競争が少ない独自の事業であることに加え、一般的な不動産市況の変化や景気に左右されにくく、ストック型収益が積み上がる安定的なビジネスであり、かつ市場開拓余地が大きく成長性の高いビジネスでもある。転貸借物件数は増加基調(4) 転貸借物件数同社は積極的な店舗開拓を推進しており、転貸借物件数は安定的に増加基調である。コロナ禍の影響で一時的に伸び率が鈍化する局面があったものの、2025年3月期末の転貸借物件数は2009年3月期末の115件に対して約23.5倍の2,706件となり、2026年3月期中間期末時点では2,856件まで拡大している。そして転貸借物件数の積み上げによって売上高も増加基調である。店舗の総合プロフェッショナル集団(5) 特徴・強み同社の店舗転貸借事業の特徴・強みとしては、住宅は取り扱わずにドメインを店舗(特に飲食店舗)物件に絞って専門特化していること、仲介業務を行わずにサブスク(ストック)型の賃料収益の積み上げに注力していること、所有リスクと資金調達を回避できる転貸ビジネスによって効率的な経営を実践していること、市場性の高い東京23区の中心部で集中的に物件を確保していること、低投資での出店・起業と廃棄物抑制(エコロジー)を同時に実現する居抜き物件に特化していることなどがある。さらに、店舗の総合プロフェッショナル集団であることが競合優位性となっている。多くの店舗物件を取り扱ってきた豊富な経験値や飲食店立地の目利きをベースとして、常時100件以上のリーシング可能な物件を保持するとともに、「居抜き店舗.com」において日々入手する物件情報をスピーディに掲載・更新することで情報価値を高めている。こうした点も出店希望者とのマッチングを実現する強みとなっている。物件管理面では、トラブル対応・解決策やトラブル未然防止方法のカルテ化・仕組化などノウハウの組織化も推進し、物件管理活動の質の向上によって賃料等の回収率は実質的に100%近い水準を維持している。不動産売買事業は転貸借事業で培ったノウハウを活用して店舗不動産を仕入販売3. 不動産売買事業アセットイノベーションが展開する不動産売買事業は、店舗不動産物件を仕入れて販売している。優良物件確保など不動産業者とのリレーションシップ強化も視野に入れているため、安定した利益創出を目指し、一定の保有枠の中で資金効率を重視して売買を行っている。なお実績として平均仕入額は約96百万円、平均保有期間は約7.7ヶ月である。家賃保証事業は事業用不動産専門の家賃保証で外部案件を積極獲得4. 家賃保証事業セーフティーイノベーションが展開する家賃保証事業は、2022年4月に連結子会社の店舗セーフティー(株)(現 セーフティーイノベーション)を設立して参入した。飲食店舗に限らず事業用不動産専門の家賃保証事業として事業展開を本格化させるため営業人員増強やエリア拡大を進めており、2024年12月に東京・日本橋支店を開設、2025年3月に横浜支店を開設、同年9月に大阪支店を開設、同年10月に本社を東京都新宿区へ移転した。さらに2026年3月(予定)には福岡支店を開設する。将来的には全国展開を目指す。飲食店舗転貸借ビジネスの先駆者として高い競合優位性5. リスク要因・収益特性と課題・対策不動産業における一般的なリスク要因としては不動産市況、金利負担、市場競合などがあるが、テンポイノベーションの店舗転貸借事業は一般的な不動産市況の変化や景気に左右されにくい安定性があり、かつ市場開拓余地が大きく成長性の高いビジネスである。また、所有リスクと資金調達を回避できる転貸ビジネスであり、金利上昇による直接的な影響を受けない。店舗物件の賃貸借契約における差入保証金等については、賃貸人の破産・倒産等により差入保証金を回収できないリスクがあるが、同社の場合は特定の不動産オーナーに依存しておらず、多額の未回収が発生するリスクは小さい。市場競合リスクに関しては、多くの不動産業者は仲介業務が主力であり、また大手不動産事業者は大型オフィスビルやマンション等の開発・販売・賃貸を主力としている。同社の店舗転貸借事業は小規模飲食店を主な顧客ターゲットとしているため物件仕入ルート構築の難易度が高く、人的先行投資などでサブスク(ストック)ビジネスとしての収益化に長期間を要することもあり、新規参入・展開は限定的である。同社と同様のビジネスを展開する小規模事業者も存在するが、物件仕入や出店者獲得で特に競合する場面は見られない。そのため市場競合リスクは小さく、飲食店舗転貸借ビジネスの先駆者として同社は高い競合優位性を有していると言えるだろう。また、転貸借契約を締結している店舗出店者が経営悪化等で退店し、後継入居者を獲得できなかった場合は空き家賃が発生することになる。ただし、立地や経済条件等で市場性が低いと判断した場合は、不動産オーナーとの賃貸借契約を解約して空き家賃リスクを抑えている。さらに転貸借契約も特定の飲食チェーンに依存していないため、店舗出店者が大量退店するリスクも小さい。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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2025/12/24 11:33
注目トピックス 日本株
イノベHD Research Memo(1):2026年3月期は上方修正して過去最高予想
*11:31JST イノベHD Research Memo(1):2026年3月期は上方修正して過去最高予想
■要約イノベーションホールディングス<3484>は、経営理念に「貢献創造~挑戦と進化~」を掲げ、飲食店向けの居抜き店舗を転貸借する店舗転貸借事業、家賃保証事業、及び不動産売買事業を展開している。飲食店舗の総合プロフェッショナル集団であり、飲食店舗転貸借ビジネスの先駆者である。1. 店舗転貸借事業、不動産売買事業、家賃保証事業を展開同社は報告セグメント区分を、飲食店向けの居抜き店舗物件を転貸借する店舗転貸借事業(店舗家賃保証事業を含む)及び不動産売買事業(売買物件保有期間における賃料収益を含む)としている。店舗転貸借事業は(株)テンポイノベーション、不動産売買事業は(株)アセットイノベーション、家賃保証事業は(株)セーフティーイノベーションが展開している。店舗転貸借事業は不動産オーナーから賃借した店舗物件を飲食店テナントに転貸借する事業で、ターゲットを「東京・飲食店・居抜き」店舗に特化して事業展開している。収益モデルは転貸借物件数の増加に伴って収益を積み上げるストック型のビジネスモデルである。飲食店は他の産業と比較して開業・廃業による入れ替わりが激しいため、同社の店舗転貸借事業にとってビジネスチャンスは豊富である。そして転貸借物件数が増加基調であり、店舗転貸借ビジネスの先駆者として高い競合優位性を有していることも勘案すれば、安定的かつ成長性の高いビジネスモデルと言えるだろう。2. 2026年3月期中間期は手掛ける3事業のすべてが好調で計画超の大幅増収増益2026年3月期中間期の連結業績は、売上高が前年同期比13.5%増の9,406百万円、営業利益が同46.6%増の998百万円、経常利益が同54.3%増の1,077百万円、親会社株主に帰属する中間純利益が同51.4%増の711百万円だった。前回予想(2025年5月13日付の期初公表値)に対して売上高は314百万円、営業利益は同220百万円、経常利益は同308百万円、親会社株主に帰属する中間純利益は同210百万円それぞれ上回る大幅増収増益だった。店舗転貸借事業において、成約件数(新規契約と後継契約の合計)が増加してイニシャル収入が増加し、転貸借物件数の増加に伴ってランニング収入も積み上がった。利益面では家賃保証事業と不動産売買事業も寄与した。店舗転貸借事業の成約件数は同68件増加して285件、期末転貸借物件数は同311件増加して2,856件となった。3. 2026年3月期通期は上方修正して大幅増収増益・過去最高予想2026年3月期通期の連結業績予想は2025年11月13日付で上方修正し、売上高が前期比16.4%増の19,388百万円、営業利益が同28.5%増の1,743百万円、経常利益が同35.2%増の1,935百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同23.8%増の1,274百万円としている。中間期の実績に鑑みて、前回予想(2025年5月13日付公表値)に対して売上高を516百万円、営業利益を同139百万円、経常利益を同357百万円、親会社株主に帰属する当期純利益を同244百万円とそれぞれ上方修正して大幅増収増益・過去最高予想としている。店舗転貸借事業の成約件数が想定を上回るほか、不動産売買事業の大型案件成約、家賃保証事業における外販営業活動強化の効果なども寄与する見込みだ。修正後の通期予想に対する中間期の進捗率は売上高が48.5%、営業利益が57.3%、経常利益が55.6%、親会社株主に帰属する当期純利益が55.8%である。人材育成や営業組織再編の効果が顕在化しており、ストック収益の積み上げで好業績が期待できると弊社では考えている。4. 営業力増強により転貸借物件数の積み上げを推進同社は2025年5月に策定した中期経営計画(2026年3月期~2028年3月期、ローリング方式)において、目標値に最終年度2028年3月期の売上高25,342百万円、営業利益2,237百万円、営業利益率8.8%、店舗転貸借事業の成約件数790件、転貸借物件数3,924件を掲げている。また長期目標としては2031年3月期の売上高300億円規模、営業利益30億円規模、転貸借物件数5,500件を掲げている。なお、2026年3月期本決算時に2027年3月期以降の計画をローリング予定である。事業環境としては、インバウンドを含む人流増や価格改定により飲食店の売上が増加し、出店需要が高水準に推移して賃料上昇も確認できる見込みだ。また一方では原材料・光熱費の高騰や人手不足の深刻化などで既存店の退店も予想され、物件仕入とリーシングの両面で同社の店舗転貸借事業に適した事業環境が継続する見込みだ。こうした事業環境を背景に、基本方針として事業用不動産に特化した3事業(店舗転貸借事業、不動産売買事業、家賃保証事業)を各子会社にて積極展開し、シナジーも創出しながらグループの継続的な成長を加速する。■Key Points・飲食店舗転貸借ビジネスの先駆者・店舗転貸借事業は「東京・飲食店・居抜き」に特化、安定的かつ成長性の高いビジネスモデル・2026年3月期中間期は計画超の大幅増収増益・2026年3月期通期は上方修正して大幅増収増益・過去最高予想・営業力増強により転貸借物件数の積み上げを推進(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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2025/12/24 11:31
注目トピックス 日本株
Jオイル Research Memo(10):2026年3月期は1株当たり70.0円を維持。株主優待を実施
*11:30JST Jオイル Research Memo(10):2026年3月期は1株当たり70.0円を維持。株主優待を実施
■株主還元1. 配当政策J-オイルミルズ<2613>は、株主への安定した利益還元の維持に努めるとともに、企業体質の強化や積極的な事業展開に必要な内部留保など、長期視野に立った安定的かつ適正な利益配分を行うことを基本方針とする。第六期中期経営計画においては、収益拡大を通じて創出するキャッシュ・フローを成長への投資に充当するとともに、連結配当性向40%を目安として、株主への還元を安定的・継続的に強化する。内部留保資金の使途については、収益体質や経営基盤の強化を目指し、企業価値の向上に資する投資資金へと有効に活用する。こうした方針に加え、早期の収益回復も想定しており、2026年3月期の1株当たり配当金は、当初予想の普通配当70.0円(うち中間配当35.0円)を維持する見込みである。2. 株主優待同社は、同社株式の保有をより魅力あるものにするため、株主優待制度を採用している。株主優待では、同社株式の保有数に応じて、同社製品または公式オンラインショップのクーポンの贈呈、あるいは寄付を選択できる。贈呈の対象は、毎年3月31日現在の株主名簿に記録された所有株数200株以上の株主である。200株以上600株未満の株主には「3,000円相当の自社製品」を贈呈する。600株以上1,000株未満の株主には「5,000円の公式オンラインショップクーポン」または「5,000円相当の自社製品」のいずれかを選択できる。1,000株以上の株主には「8,000円の公式オンラインショップクーポン」または「5,000円相当の自社製品と3,000円の公式オンラインショップクーポン」のいずれかを選択できる。なお、600株以上の株主については、贈呈品の代わりに寄付も選択できる。贈呈時期は例年10月上旬以降を予定している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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2025/12/24 11:30
注目トピックス 日本株
Jオイル Research Memo(9):2026年3月期は減収減益を予想。収益回復へ短期と中長期の対応を強化(2)
*11:29JST Jオイル Research Memo(9):2026年3月期は減収減益を予想。収益回復へ短期と中長期の対応を強化(2)
■成長戦略3. 中長期の対応J-オイルミルズ<2613>は、戦略の見直しのなかで、外部環境に左右されない持続的に成長する企業となるため、中長期の対応も進めている。中長期対応は時間を要するが着実な実行が求められるため、従来の成長戦略を現状に合わせてブラッシュアップし、油脂事業の価値最大化、事業ポートフォリオの高度化、海外展開の加速、人的資本経営の推進などを重点分野とした。(1) 油脂事業の価値最大化油脂事業は、原材料価格や為替変動といった外部要因に業績が大きく左右される構造的リスクを抱えている。この外部依存度を低減し、事業価値を最大化することが、持続的成長に向けた重要課題である。その対応策として、同社は独自技術「SUSTEC」を活用した長持ち油「長徳」に加え、ITを基盤とする「フライエコシステム(R)」の提供を開始している。「フライエコシステム」により、油脂の劣化度合を測定し、適切なフライ油の交換時期を把握することができるため、「長徳」と合わせて使うことにより、さらなる廃油量の抑制と、フライ油交換作業の低減が可能となる。このように、製品に加えてサービスを組み合わせることで、収益モデルの多様化を図っている。また、同社の強みである、あぶらとスターチによる「おいしさデザイン」を徹底的に磨き込み、ナレッジとして体系化することで、おいしさの科学的解釈を深化させる。さらに、新たな素材の組み合わせ提案を通じて潜在的な顧客課題に切り込み、サービスレベルの拡大と高度化を目指す。(2) 事業ポートフォリオの高度化事業ポートフォリオの高度化については、「おいしさデザイン」の磨きこみと並行し、その適用範囲を食の川上、川下、海外市場へと拡げ、新たな価値の創出と事業機会の獲得を図る。食の川上では、ミール・飼料の新用途など1次産業向けの付加価値品を検討する。食の川下では、様々な素材を生かした新たなレシピを開発する。(3) 海外展開の加速海外市場の加速に向けて、ASEAN・北米を中心とした成長領域において、戦略策定と戦略推進の強化を目的に人員・体制を拡充したうえで、製品ラインナップと販売網を広げ、新たな領域を開拓する。ASEANでは、子会社J-OIL MILLS (THAILAND) Co., Ltd.が現地向けスターチを中心に着実に成長している。現地社員の増員など販売体制強化によってさらなる売上拡大と成長機会を獲得する。北米では、「まめのりさん」やビタミンK2の輸出を中心とした事業を進めているが、さらなる事業強化を図るために、現地法人Ajinomoto Health & Nutrition North America, Inc.との協業体制を構築する。同社社員の派遣を通じて、製品ラインナップと販売網を拡大する。国内においても、とりわけ機動性と専門性を高めることを目的に、M&Aや業務提携などによる海外戦略の策定・推進を担う組織と、既存海外事業の成長施策の推進する組織に分担し、取り組みを加速する。(4) 人的資本経営の推進経営基盤の強化に向けて、DXによる組織・連携の変革と人的資本経営の推進を通じて変革の推進力を高め、ビジョン実現へのスピードを加速する。DX推進では、組織・連携変革の重要4テーマ(営業マーケティング改革、業務改革、SCM物流改革、人財育成・風土改革)に加え、新たにビジネス変革も着実に遂行する。なお、2025年11月に経済産業省が定める「DX認定事業者」の認定を取得した。人的資本経営の推進では、2025年4月に設置した人財委員会において、人財育成、意識改革・評価力向上、組織力向上、DE&I・能力発揮・挑戦の4つのテーマに着手した。特に最優先課題として成長分野をリードする人財育成を強化し、「壁を越え、共に挑み、期待を超える」チームづくりを推進する。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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2025/12/24 11:29
注目トピックス 日本株
Jオイル Research Memo(8):2026年3月期は減収減益を予想。収益回復へ短期と中長期の対応を強化(1)
*11:28JST Jオイル Research Memo(8):2026年3月期は減収減益を予想。収益回復へ短期と中長期の対応を強化(1)
■成長戦略1. 第六期中期経営計画J-オイルミルズ<2613>は、成長基盤の確立と成長加速によって持続的に成長するという2030年度の目指すべき姿に向け、第六期中期経営計画(2022年3月期~2027年3月期)を実行している。当初の計画(2022年3月期~2025年3月期)では、老朽化設備への対応、拠点再構築の完成、新領域への成長投資拡大などを目指し、将来に向けた成長投資に加え、国内需要の縮小に備えるための構造改革と経営基盤を強化する計画であった。しかし、コロナ禍による外食需要の低下を脱した後も、外部環境がさらに悪化した。中間層拡大による新興国需要の拡大、ウクライナ情勢によるひまわり油の代替需要増加、米国におけるバイオ燃料向け需要増加といった国際的な油脂需要の構造変化が、急速な円安やエネルギーコスト・インフラコスト上昇と重なった。加えて、原料相場の変化を吸収するための価格改定の遅れ、マーガリン事業の収益悪化、事業ポートフォリオの偏りなど、内部環境も好ましい状況ではなかった。この結果、2022年3月期~2023年3月期の利益水準が大きく低下した。このため、中期経営計画の期間を2年延長して基盤固めを継続するとともに、素材、技術力、顧客接点といった同社の強みを生かした戦略への見直しを行った。具体的には、SCM改革や生産拠点の最適化など構造改革による収益基盤の強化、成長ドライバーとなる商品の育成・販売拡大を目指す成長戦略、海外や新規事業領域への進出に向けた積極的な投資戦略の3点を推進することとした。その結果、修正後の第六期中期経営計画では、資本効率を重視し、売上高目標を取りやめるなど目標の一部を修正し、2027年3月期に営業利益110億円、ROE8.0%、ROIC5.0%、EPS260円を新たな目標として設定した。しかし、2026年3月期の下方修正を受け、戦略の見直しに迫られることになり、短期と中長期の対応を強化する。特に短期の対応によって中期経営計画の目標である2027年3月期営業利益110億円の達成を目指している。2. 短期の対応喫緊の短期対応としては、継続的かつ適切な価格改定の実施、選択と集中による製品ラインナップの最適化、生産性向上・効率化に加え、高付加価値品の拡販を目指す。業務用油脂の高付加価値化では、ユーザーの課題や潜在的ニーズに基づいて、商品機能性の向上とバリエーションの拡充を進める。「JOYLPRO 美味得徳(R)こくアップオイル」では、独自製法により複合的なコクと後味の向上を実現し、食肉などのコスト削減時の品質保持策としての活用も提案する。家庭用油脂の高付加価値化では、機能・容量・容器など消費者ニーズに即した商品を拡充し、コラボレーションやレシピ提案を通じて、原料高騰で縮小傾向に合ったオリーブオイルの新たな需要創出を図る。具体的には、発売以来好調に販売数量を伸ばしている「スマートグリーンパック」のラインナップを拡大し、小容量帯のオリーブオイル(300g)を発売した。また、サプリメントオイルカテゴリーで新商品投入や健康訴求などを強化する。商品事例として、「AJINOMOTO MCTオイル」では消費者ニーズに対応してトライアル向け90gとリピーター向け320gを発売し、「AJINOMOTO 毎日アマニ油」では日本初のα-リノレン酸による「肌の機能性表示食品」として拡販している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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2025/12/24 11:28
注目トピックス 日本株
Jオイル Research Memo(7):2026年3月期は減収減益を予想。収益回復へ向け短期と中長期の対応を強化
*11:27JST Jオイル Research Memo(7):2026年3月期は減収減益を予想。収益回復へ向け短期と中長期の対応を強化
■今後の見通し1. 2026年3月期の業績予想2026年3月期業績予想について、J-オイルミルズ<2613>は売上高226,000百万円(前期比2.1%減)、営業利益5,000百万円(同41.7%減)、経常利益6,100百万円(同39.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益4,100百万円(同41.4%減)を見込んでいる。中間決算発表時には、期初業績予想に対して売上高で14,000百万円、営業利益で4,000百万円、経常利益で3,900百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で2,900百万円と、それぞれ下方修正を実施した。下方修正の主な要因は、原材料コスト変動を上回るミール価格の低下や、インフラなどのコストの上昇であり、特にミール価格が想定以上に下落したことである。これをカバーするため、2026年3月期は、2026年1月に3回目の価格改定を実施する計画である。3回目の効果は主に2027年3月期に顕在化する見通しである。しかし、価格反映にはタイムラグが生じることから、2026年3月期中にコスト増を完全に吸収できない見通しとなったため、通期業績予想を下方修正した。なお、価格改定効果の織り込みについては、やや保守的に見ているようだ。2. セグメント別の業績見通しセグメント別の見通しは、油脂事業が売上高で13,000百万円、セグメント利益で4,200百万円の下方修正となった。下方修正の主な要因は、価格改定によって挽回を目指したものの、バイオ燃料需要の拡大に伴う想定以上のオイルバリューの上昇、ミールバリューの下落の継続、資材やエネルギーなどインフラコストの高止まり、コスト上昇吸収のための価格改定の遅れ、加えて消費マインドの悪化による競争激化が挙げられる。一方、スペシャリティフード事業は構造改革の進展により、売上高で800百万円の下方修正となったが、セグメント利益では200百万円の上方修正となった。このように経営環境が厳しいなか、収益回復へ向けて短期と中長期の対応を強化していく。短期の対応として、継続的かつ適切な価格改定の実施、選択と集中による製品ラインナップの最適化、高付加価値品の拡販、生産性向上・効率化などが挙げられ、中長期対応は、高付加価値品の拡販や事業ポートフォリオの高度化、海外展開の加速などが挙げられる。短期の対応のうち、価格改定については、遅れはあるものの交渉を地道に丁寧に続けることで着実に引き上げる方針である。製品ラインナップの最適化と高付加価値品の拡販では、顧客ニーズに合わせた高付加価値品を開発・販売する方針である。生産性向上・効率化については、選択と集中による製品ラインナップの最適化や小ロット配送の集約などすべての業務プロセスで徹底する。2027年3月期は、短期対応の効果、特に3回目の価格改定の効果が期待されるうえ、米国におけるバイオ燃料需要拡大の影響が2026年6月に一巡することからミールバリューの下落圧力が和らぐと想定され、油脂事業の収益は回復する見通しである。スペシャリティフード事業は、引き続き増益となることが想定される。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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2025/12/24 11:27
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