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サナエノエンヤス【フィスコ・コラム】
配信日時:2025/10/12 09:00
配信元:FISCO
*09:00JST サナエノエンヤス【フィスコ・コラム】
自民党の高市新総裁の就任直後から、円安圧力が強まっています。同氏が掲げる「積極財政」や「金融緩和継続」がクローズアップされているためです。ただ、旧来型の自民党政治に変わりはなく、現時点で日本売りを回避しており、円安も目先は収束が期待されます。
10月4日の自民党総裁選で高市氏が選出されると、ドル・円は週明けの3日間で選挙前の148円台から152円台へと急伸。新政権の積極財政や日銀の緩和維持観測を背景に金利差が意識され、海外勢の円売りが進みました。債券市場では国債増発観測から円資産全体に調整が入る一方、株式市場は政策期待を追い風に堅調地合いに。「日本売り」というより、「円売り・株買い」が主導する構図です。
高市氏の経済政策「サナエノミクス」は経済を「国家戦略」として位置づけ、従来よりも政治主導の姿勢が目立ちます。成長政策を安全保障と直結させ、防衛、半導体、エネルギーなど国益に関わる分野へ集中的に資金を投じる方針です。プライマリーバランス規律の凍結を視野に入れた財政出動や原子力再稼働、先端技術投資など、明確な優先順位を伴う点が特徴。「安定」から「国力強化」へ軸足を移した格好です。
ただ、党役員人事を見る限り、従来通り当選回数重視や論功行賞が顕著で、旧来型の自民党政治から大きな変化は見られません。総裁選は党内で唯一派閥を形成する長老議員の意向が大きかったと報じられており、新総裁もムラ社会の総本山である永田町の掟(おきて)には抗えないようです。「初の女性総裁」のわりに、沈滞ムードを振り払うような将来像が見えてこない理由はこの辺りにあるのでしょう。
金融緩和と財政出動を組み合わせて景気を下支えし、公共投資や産業支援によって内需を確保する点は、アベノミクスへの逆戻り。しかし、自民党は今や衆参両院で少数与党です。連立の枠組みが大きく変わる気配が濃厚で、それ自体は円買い要因になるはず。そして、政治主導のサナエノミクスの実現は、歳出抑制に目を光らせる財務省によって阻止されると見る方が自然です。
だとすれば、足元の円安は当面続くとしても、一段の下落にはつながらない、ともみられます。政策運営の折衝が「女性初の宰相」としての真価を試す場となります。逆に言えば、極端な円安は官僚が抑え込む公算が大きいということです。「高市首相」がそうした壁を乗り越えた時こそ円の信認が大きく揺らぎ始め、日本売りの起点になるとみます。
(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。 <ST>
10月4日の自民党総裁選で高市氏が選出されると、ドル・円は週明けの3日間で選挙前の148円台から152円台へと急伸。新政権の積極財政や日銀の緩和維持観測を背景に金利差が意識され、海外勢の円売りが進みました。債券市場では国債増発観測から円資産全体に調整が入る一方、株式市場は政策期待を追い風に堅調地合いに。「日本売り」というより、「円売り・株買い」が主導する構図です。
高市氏の経済政策「サナエノミクス」は経済を「国家戦略」として位置づけ、従来よりも政治主導の姿勢が目立ちます。成長政策を安全保障と直結させ、防衛、半導体、エネルギーなど国益に関わる分野へ集中的に資金を投じる方針です。プライマリーバランス規律の凍結を視野に入れた財政出動や原子力再稼働、先端技術投資など、明確な優先順位を伴う点が特徴。「安定」から「国力強化」へ軸足を移した格好です。
ただ、党役員人事を見る限り、従来通り当選回数重視や論功行賞が顕著で、旧来型の自民党政治から大きな変化は見られません。総裁選は党内で唯一派閥を形成する長老議員の意向が大きかったと報じられており、新総裁もムラ社会の総本山である永田町の掟(おきて)には抗えないようです。「初の女性総裁」のわりに、沈滞ムードを振り払うような将来像が見えてこない理由はこの辺りにあるのでしょう。
金融緩和と財政出動を組み合わせて景気を下支えし、公共投資や産業支援によって内需を確保する点は、アベノミクスへの逆戻り。しかし、自民党は今や衆参両院で少数与党です。連立の枠組みが大きく変わる気配が濃厚で、それ自体は円買い要因になるはず。そして、政治主導のサナエノミクスの実現は、歳出抑制に目を光らせる財務省によって阻止されると見る方が自然です。
だとすれば、足元の円安は当面続くとしても、一段の下落にはつながらない、ともみられます。政策運営の折衝が「女性初の宰相」としての真価を試す場となります。逆に言えば、極端な円安は官僚が抑え込む公算が大きいということです。「高市首相」がそうした壁を乗り越えた時こそ円の信認が大きく揺らぎ始め、日本売りの起点になるとみます。
(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。 <ST>
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