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「戦勝国」の歴史的株高【フィスコ・コラム】
配信日時:2025/07/27 09:00
配信元:FISCO
*09:00JST 「戦勝国」の歴史的株高【フィスコ・コラム】
ベトナムの代表的な株価指数VNが3年ぶり高値圏に浮上し、なお騰勢を強めています。背景にあるのは、アメリカとの貿易交渉での実質「勝利」。「中国+1」政策も取り込み、今後も貿易拡大が見込まれるなか、株式市場は力強さを増し始めました。
VN指数は4月に米トランプ政権の「相互関税」で急落したものの、すぐに堅調さを取り戻し、節目の1300を回復。そこから強含む展開となり、2022年4月以来3年ぶりに1400台に水準を切り上げました。さらに短期的な調整をこなしながら、7月に入って1500を上抜け、足元では一時1520台に。年初から実に3割超も値上がりし、気が付いてみれば過去最高値が迫っています。
株式市場の上昇を支えているのは、外需を軸とした景気回復と物価安定です。7月5日に発表された2025年4-6月期国内総生産(GDP)は前年比+7.96%となり、製造業や輸出の拡大が企業収益を押し上げました。インフレ率は前年比+3.57%に抑えられ、通貨の安定と慎重な金融政策が奏功。こうした経済の堅調さが海外投資家の資金を呼び込み、株高の基盤となっています。
一方、米トランプ政権との貿易交渉で、当初は繊維製品や家具などに最大46%の関税が課される方針が示されたものの、ベトナムは即座に対応に乗り出しました。米通商代表部(USTR)との協議を重ねた結果、6月末には複数品目で関税発動が見送られ、主要な輸出ラインが事実上免除されます。原産地規則の厳格化や中国経由品の排除策も打ち出し、追加制裁の回避に成功しました。
ベトナムは受け身にとどまりませんでした。自由貿易協定(FTA)を活用して輸出先の多様化を進めただけでなく、国内生産の高度化にも取り組みました。米中対立を成長加速の契機と捉え、経済構造の転換を加速させています。今回の対応で国際的な信頼がさらに高まり、ベトナムは東南アジア屈指の製造拠点としての地位を固めています。対米通商摩擦を逆手に取った今回の外交的勝利が、株価上昇を牽引する主因となりました。
かつてアメリカは、共産主義の拡大阻止を名目としてベトナムに軍事介入しました。1975年のサイゴン陥落から、今年でちょうど50年が経過します。20年に及んだ戦争の末、アメリカは撤退し、ベトナムは統一国家として再出発を果たしました。世界で唯一アメリカに軍事面で勝利した経験を持つベトナムは、今回の貿易戦争でも実質撃破したと言えるでしょう。「戦勝国」ベトナムは株式市場も歴史的な局面を迎えています。
(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。 <ST>
VN指数は4月に米トランプ政権の「相互関税」で急落したものの、すぐに堅調さを取り戻し、節目の1300を回復。そこから強含む展開となり、2022年4月以来3年ぶりに1400台に水準を切り上げました。さらに短期的な調整をこなしながら、7月に入って1500を上抜け、足元では一時1520台に。年初から実に3割超も値上がりし、気が付いてみれば過去最高値が迫っています。
株式市場の上昇を支えているのは、外需を軸とした景気回復と物価安定です。7月5日に発表された2025年4-6月期国内総生産(GDP)は前年比+7.96%となり、製造業や輸出の拡大が企業収益を押し上げました。インフレ率は前年比+3.57%に抑えられ、通貨の安定と慎重な金融政策が奏功。こうした経済の堅調さが海外投資家の資金を呼び込み、株高の基盤となっています。
一方、米トランプ政権との貿易交渉で、当初は繊維製品や家具などに最大46%の関税が課される方針が示されたものの、ベトナムは即座に対応に乗り出しました。米通商代表部(USTR)との協議を重ねた結果、6月末には複数品目で関税発動が見送られ、主要な輸出ラインが事実上免除されます。原産地規則の厳格化や中国経由品の排除策も打ち出し、追加制裁の回避に成功しました。
ベトナムは受け身にとどまりませんでした。自由貿易協定(FTA)を活用して輸出先の多様化を進めただけでなく、国内生産の高度化にも取り組みました。米中対立を成長加速の契機と捉え、経済構造の転換を加速させています。今回の対応で国際的な信頼がさらに高まり、ベトナムは東南アジア屈指の製造拠点としての地位を固めています。対米通商摩擦を逆手に取った今回の外交的勝利が、株価上昇を牽引する主因となりました。
かつてアメリカは、共産主義の拡大阻止を名目としてベトナムに軍事介入しました。1975年のサイゴン陥落から、今年でちょうど50年が経過します。20年に及んだ戦争の末、アメリカは撤退し、ベトナムは統一国家として再出発を果たしました。世界で唯一アメリカに軍事面で勝利した経験を持つベトナムは、今回の貿易戦争でも実質撃破したと言えるでしょう。「戦勝国」ベトナムは株式市場も歴史的な局面を迎えています。
(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。 <ST>
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