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サンワテクノス Research Memo(5):高水準のROEを維持し、PBR1.0倍超の早期実現を目指す(1)
配信日時:2024/12/24 15:05
配信元:FISCO
*15:05JST サンワテクノス Research Memo(5):高水準のROEを維持し、PBR1.0倍超の早期実現を目指す(1)
■サンワテクノス<8137>の長期ビジョンと中期経営計画
3. 資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について
同社のROEは2024年3月期で10.8%と10%を上回っているものの、株価はPBRで0.75倍と1.0倍を下回る水準が続いている。この要因として、同社の持続的成長に向けた事業戦略や成長戦略が投資家から十分な理解を得られていないことや、株式の流動性が低く時価総額も300億円台と大きくはないため、大手機関投資家の運用対象銘柄となりにくいことなどが要因と同社では分析している。こうした状況を踏まえ、同社は中期経営計画「SNS2024」の着実な実行による収益性の向上や株主還元の充実、IR・SR活動の拡充に取り組むことで、PBR1.0倍超の早期実現を目指す考えだ。
(1) 収益性向上に向けた戦略
a) 営業戦略
収益力のさらなる向上を図るため、2024年4月より営業組織の再編成を実施した。具体的には、国内支社を3支社(関東、名古屋、関西)体制から5支社体制(関東支社を北関東と南関東に分割、九州支社を新設)とし、海外3地域統括部(中国地域、アジア太平洋地域、欧米地域)と併せて、今まで以上に地域における顧客密着型営業を強化するほか、各支社と顧客セグメントチームが連携をとりながら技術提案型営業を強化し、収益力の維持向上を図ることが狙いとなっている。各支社や地域統括部のトップには今まで以上にリーダーの意識改革と競争意識を芽生えさせ、組織の活性化を図ることが狙いとなっている。
b) 商品戦略
脱炭素化社会の実現に向けて、国内外でグリーントランスフォーメーション(GX)の取り組みが活発化するなか、同社も環境に優しい商品の拡販を全社で取り組み、GXの推進を行っている。太陽光パネルや蓄電システム、省エネ関連機器等の需要は中長期的に拡大が見込まれており、関連製品や電子部品並びに設備機械など幅広い取り扱い製品を国内外で拡販することで、同社の売上高も持続的に拡大していくものと予想される。
GX関連ビジネスの新規獲得案件数(商談件数)は年々増加傾向にあり、2024年3月期の約550件に対して、2025年3月期は中間期で400件超のペースとなっている。成約(受注)案件については2020年3月期以降の累計実績で556件、金額で88.1億円となっており、また現在保有している商談件数については561件、金額で395.6億円となっている。
なお、脱炭素ビジネスに関連した保有案件数477件の分野別構成比を見ると、設備自動化(ロボット自動化設備)が55%と過半を占めており、次いで省エネ機器(高効率モータ、省エネインバータ、EV充電器等)が19%、二次電池(モビリティ関連の産業機器、太陽光と連動した蓄電)が8%、環境機器・製品への部品販売(パワーコンディショナ・インバータ等への部品販売、二次電池製造・検査装置メーカーへの機器・部品販売)が8%、エネルギーマネジメント(機器の協調と制御のエネルギーマネジメント、通信ネットワーク機器、サーバ等のPCシステム)が5%、LED照明(工場・倉庫、オフィス、設備機器の照明)が5%となっている。これらのビジネスは今後も国内外で市場拡大が見込める分野であることから、同社の成長余地も大きいと弊社では見ている。
c) 技術戦略
収益性向上施策の1つとして、イノベーション本部が独自技術を有する企業とアライアンス等の実施を通じて他社との差別化が可能となる高付加価値商品の開発を行い、拡販に注力している。具体的な商品として、エムテックとの共同開発となるロボットソリューションパッケージ「3D Connectシリーズ」の第1弾となる「AR^2 System」を2023秋より販売を開始した。
「3D Connectシリーズ」は、3次元CADとロボット等のモーションコントローラをリアルタイムに連携操作させるプロセスシミュレーターを使って、設計から動作に至る各種機能を持ったモジュールを組み合わせたソリューションパッケージのことで、ARマーカー※を用いることでロボット動作における現実と仮想空間の座標の齟齬が補正され、ものづくりにおけるデジタルマニュファクチャリングが促進される。今回発売した「AR^2 System」の特徴は、ロボットに搭載したカメラが対象物等に貼付したARマーカーを読み取り、自動座標定位を行うことで高精度にロボットの相対的位置補正が可能になること、またARマーカーに動作条件(レシピ)を埋め込むことで、ロボットに判断選択をさせて動作を指示できることの2点である。ロボットは通常、所定の動作を行うためのティーチングデータを作成して運用する必要があるが、この工程を「AR^2 System」を付加することで効率的に実現するソリューションとなる。ロボットの運用ノウハウを持たない企業でも、比較的容易にロボットの導入・運用が可能になるといったメリットがある。
※ ARマーカーとは、現実空間にデジタルコンテンツを重ねて表示できる「AR(拡張現実)」を表示させる目印となるものを指し、画像や顔、建物など様々なものをARマーカーとして活用できる。
2024年7月に愛知県で開催された「ロボットテクノロジージャパン2024」に出展したほか、同年9月には全米の工作機械展「IMTS 2024」にも出展した。ロボット導入・運用に対するハードルが軽減されると好評を得ている。現在、進行中の商談は8億円規模で、このうち6億円超は受注獲得が有望視されるなど順調な滑り出しとなっている。同社は2025年3月期以降3年間で50億円の売上を目標としている。収益性はロボット単体で販売するよりも高くなるため、収益性向上と機械部門の売上拡大に寄与するものと期待される。
また、2024年10月に資本業務提携を締結したロジック・アンド・デザインと新たなビジネスモデルやソリューション開発を共同で進めていくことを発表した。ロジック・アンド・デザインは画像や動画を鮮明化するアルゴリズムを独自開発しているスタートアップ企業(2018年設立)で、同技術を用いた画像鮮明化装置やネットワークカメラを販売しているほか、画像鮮明化ソフトや画像復元ソフトなどの販売も行っている。同社の持つ技術の特徴は、1) 独自のアルゴリズムによってリアルタイム(遅延0.004秒)の鮮明化が可能なこと、2) 加工や予測修正は行わず、画像・映像に残る画素ごとの微弱な信号変化を捉えて視える化を実現していること(非AI処理)、3) 昼夜・雨霧など外部環境変化によるモード変更が不要なことなどが挙げられ、他の画像補正技術(ゲイン補正やHDR等)とは一線を画す。
今後展開が期待される市場としては、防犯や医療、車載、河川監視等の公共インフラ分野のほか、産業用装置・機器分野への展開も期待される。ビジネス展開としては同技術を半導体に詰め込んでASIC化し、モジュール製品として拡販すべく共同開発を進めており、2026年の販売開始を目指している。同社においては、夜間や雨霧でも画像の鮮明化がリアルタイムで可能なことから車載カメラ用途での需要が見込まれるほか、先端半導体分野の外観検査用途での需要も見込まれ、画像ソリューション分野における高付加価値商品として国内外で今後の売上成長が期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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3. 資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について
同社のROEは2024年3月期で10.8%と10%を上回っているものの、株価はPBRで0.75倍と1.0倍を下回る水準が続いている。この要因として、同社の持続的成長に向けた事業戦略や成長戦略が投資家から十分な理解を得られていないことや、株式の流動性が低く時価総額も300億円台と大きくはないため、大手機関投資家の運用対象銘柄となりにくいことなどが要因と同社では分析している。こうした状況を踏まえ、同社は中期経営計画「SNS2024」の着実な実行による収益性の向上や株主還元の充実、IR・SR活動の拡充に取り組むことで、PBR1.0倍超の早期実現を目指す考えだ。
(1) 収益性向上に向けた戦略
a) 営業戦略
収益力のさらなる向上を図るため、2024年4月より営業組織の再編成を実施した。具体的には、国内支社を3支社(関東、名古屋、関西)体制から5支社体制(関東支社を北関東と南関東に分割、九州支社を新設)とし、海外3地域統括部(中国地域、アジア太平洋地域、欧米地域)と併せて、今まで以上に地域における顧客密着型営業を強化するほか、各支社と顧客セグメントチームが連携をとりながら技術提案型営業を強化し、収益力の維持向上を図ることが狙いとなっている。各支社や地域統括部のトップには今まで以上にリーダーの意識改革と競争意識を芽生えさせ、組織の活性化を図ることが狙いとなっている。
b) 商品戦略
脱炭素化社会の実現に向けて、国内外でグリーントランスフォーメーション(GX)の取り組みが活発化するなか、同社も環境に優しい商品の拡販を全社で取り組み、GXの推進を行っている。太陽光パネルや蓄電システム、省エネ関連機器等の需要は中長期的に拡大が見込まれており、関連製品や電子部品並びに設備機械など幅広い取り扱い製品を国内外で拡販することで、同社の売上高も持続的に拡大していくものと予想される。
GX関連ビジネスの新規獲得案件数(商談件数)は年々増加傾向にあり、2024年3月期の約550件に対して、2025年3月期は中間期で400件超のペースとなっている。成約(受注)案件については2020年3月期以降の累計実績で556件、金額で88.1億円となっており、また現在保有している商談件数については561件、金額で395.6億円となっている。
なお、脱炭素ビジネスに関連した保有案件数477件の分野別構成比を見ると、設備自動化(ロボット自動化設備)が55%と過半を占めており、次いで省エネ機器(高効率モータ、省エネインバータ、EV充電器等)が19%、二次電池(モビリティ関連の産業機器、太陽光と連動した蓄電)が8%、環境機器・製品への部品販売(パワーコンディショナ・インバータ等への部品販売、二次電池製造・検査装置メーカーへの機器・部品販売)が8%、エネルギーマネジメント(機器の協調と制御のエネルギーマネジメント、通信ネットワーク機器、サーバ等のPCシステム)が5%、LED照明(工場・倉庫、オフィス、設備機器の照明)が5%となっている。これらのビジネスは今後も国内外で市場拡大が見込める分野であることから、同社の成長余地も大きいと弊社では見ている。
c) 技術戦略
収益性向上施策の1つとして、イノベーション本部が独自技術を有する企業とアライアンス等の実施を通じて他社との差別化が可能となる高付加価値商品の開発を行い、拡販に注力している。具体的な商品として、エムテックとの共同開発となるロボットソリューションパッケージ「3D Connectシリーズ」の第1弾となる「AR^2 System」を2023秋より販売を開始した。
「3D Connectシリーズ」は、3次元CADとロボット等のモーションコントローラをリアルタイムに連携操作させるプロセスシミュレーターを使って、設計から動作に至る各種機能を持ったモジュールを組み合わせたソリューションパッケージのことで、ARマーカー※を用いることでロボット動作における現実と仮想空間の座標の齟齬が補正され、ものづくりにおけるデジタルマニュファクチャリングが促進される。今回発売した「AR^2 System」の特徴は、ロボットに搭載したカメラが対象物等に貼付したARマーカーを読み取り、自動座標定位を行うことで高精度にロボットの相対的位置補正が可能になること、またARマーカーに動作条件(レシピ)を埋め込むことで、ロボットに判断選択をさせて動作を指示できることの2点である。ロボットは通常、所定の動作を行うためのティーチングデータを作成して運用する必要があるが、この工程を「AR^2 System」を付加することで効率的に実現するソリューションとなる。ロボットの運用ノウハウを持たない企業でも、比較的容易にロボットの導入・運用が可能になるといったメリットがある。
※ ARマーカーとは、現実空間にデジタルコンテンツを重ねて表示できる「AR(拡張現実)」を表示させる目印となるものを指し、画像や顔、建物など様々なものをARマーカーとして活用できる。
2024年7月に愛知県で開催された「ロボットテクノロジージャパン2024」に出展したほか、同年9月には全米の工作機械展「IMTS 2024」にも出展した。ロボット導入・運用に対するハードルが軽減されると好評を得ている。現在、進行中の商談は8億円規模で、このうち6億円超は受注獲得が有望視されるなど順調な滑り出しとなっている。同社は2025年3月期以降3年間で50億円の売上を目標としている。収益性はロボット単体で販売するよりも高くなるため、収益性向上と機械部門の売上拡大に寄与するものと期待される。
また、2024年10月に資本業務提携を締結したロジック・アンド・デザインと新たなビジネスモデルやソリューション開発を共同で進めていくことを発表した。ロジック・アンド・デザインは画像や動画を鮮明化するアルゴリズムを独自開発しているスタートアップ企業(2018年設立)で、同技術を用いた画像鮮明化装置やネットワークカメラを販売しているほか、画像鮮明化ソフトや画像復元ソフトなどの販売も行っている。同社の持つ技術の特徴は、1) 独自のアルゴリズムによってリアルタイム(遅延0.004秒)の鮮明化が可能なこと、2) 加工や予測修正は行わず、画像・映像に残る画素ごとの微弱な信号変化を捉えて視える化を実現していること(非AI処理)、3) 昼夜・雨霧など外部環境変化によるモード変更が不要なことなどが挙げられ、他の画像補正技術(ゲイン補正やHDR等)とは一線を画す。
今後展開が期待される市場としては、防犯や医療、車載、河川監視等の公共インフラ分野のほか、産業用装置・機器分野への展開も期待される。ビジネス展開としては同技術を半導体に詰め込んでASIC化し、モジュール製品として拡販すべく共同開発を進めており、2026年の販売開始を目指している。同社においては、夜間や雨霧でも画像の鮮明化がリアルタイムで可能なことから車載カメラ用途での需要が見込まれるほか、先端半導体分野の外観検査用途での需要も見込まれ、画像ソリューション分野における高付加価値商品として国内外で今後の売上成長が期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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