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サンマルクHD Research Memo(6):中期経営計画の目標値を上方修正
配信日時:2025/12/25 11:36
配信元:FISCO
*11:36JST サンマルクHD Research Memo(6):中期経営計画の目標値を上方修正
■成長戦略
1. 中期経営計画(2025年3月期~2029年3月期)の目標値を上方修正
サンマルクホールディングス<3395>は2024年5月に中期経営計画(2025年3月期~2029年3月期)を策定し、中間目標として2026年3月期の売上高660億円、営業利益38億円、最終年度2029年3月期の目標として売上高800億円、営業利益65億円を掲げていたが、牛カツ業態のM&A及び既存事業の進捗を踏まえて2025年11月18日付で目標値を上方修正した。またM&Aに伴い利益目標を営業利益からのれん等償却前営業利益に変更し、新たな目標値を2029年3月期の売上高1,000億円、のれん等償却前営業利益90億円とした。
基本方針についても一部を見直して、1) 「鎌倉パスタ」業態の継続出店及び派生業態の展開によるパスタ業態のポテンシャル最大化、2) 「サンマルクカフェ」の出店再開・店舗純増による成長、3) 国内外における牛カツ業態の成長加速とした。また新規M&Aの検討も継続する。
1) 「鎌倉パスタ」業態については従来方針に変更はなく、「鎌倉パスタ」業態が健全な成長を維持しているため、レストラン事業の中核業態として継続的な出店とリブランディングも含めた各種PR施策を通じてさらなる成長を目指す。また派生業態である「おだしもん」と「てっぱんのスパゲッティ」についても出店を拡大する。
2) の「サンマルクカフェ」については、従来は店舗運営効率の改善を重点施策としていたが、2025年3月期までに不採算店舗の整理がおおむね完了したことに加え、「プレミアムチョコクロ」など商品の高付加価値化による価格戦略が想定以上に進展し、1店舗あたり平均月商が2020年3月期を100.0として指数化すると2025年3月期は120.0となり、コロナ禍前と比べても大幅に増加した。さらに店舗オペレーション効率化も進展し、店舗運営が十分に改善された(2026年3月期中間期の喫茶事業の営業利益率は前年同期比2.1ポイント上昇して11.2%まで改善)と評価し、出店再開・店舗純増に戦略転換して成長を目指す。牛カツ業態と連携することで効率的な店舗開発も期待され、店舗数(2026年3月期中間期時点283店舗)については2029年3月期に約370店舗、中長期的にはFCを含めて500店舗を目指す。
3) の牛カツ業態の成長加速については、和の専門業態としてインバウンド需要の獲得や海外展開を期待できる業態であり、成長ドライバーと位置付けて国内外で出店及びFCの獲得を推進する。国内市場おいては概算で150〜200店舗程度の出店が可能(2026年3月期中間期末時点の国内店舗数は「牛カツ京都勝牛」が63店舗、「牛かつもと村」が29店舗の合計92店舗)と想定している。海外についてはFCで展開し、2025年11月末時点の店舗数は「牛カツ京都勝牛」が9ヶ国・26店舗(内訳は韓国1店舗、台湾9店舗、香港1店舗、タイ3店舗、インドネシア6店舗、フィリピン2店舗、カナダ1店舗、シンガポール2店舗、オーストラリア1店舗)、「牛かつもと村」が2店舗(台湾2店舗)となっている。当面はアセアン・オセアニア地域を中心に展開する計画だ。大阪・関西万博に「牛カツ京都勝牛」を出店したことを契機に、海外からの牛カツFCに対する問い合わせが急増している。2026年5月(予定)に本社機能の一部を京都市に移転するが、海外からの牛カツFC希望企業に対する「おもてなし」の効果も狙っている。
M&Aを含めた長期的なブランドポートフォリオのイメージについては、売上規模拡大・収益性向上に向けた基本戦略として、1) 主力ブランド化に向けた収益性改善、2) 主力ブランド化に向けた規模の拡大、3) 次世代ブランド化に向けた収益性改善、4) 主力ブランドの種となるような業態の新規M&Aを推進する。当面は「生麺専門鎌倉パスタ」、「サンマルクカフェ」、牛カツ業態「牛カツ京都勝牛」及び「牛かつもと村」を主力ブランドと位置付け、新たなM&Aも含めてさらなる成長を目指す。
2029年3月期に向けたキャピタルアロケーションについては一部を見直し、株主還元(配当)に60億円(下限を50円として増配基調を想定し、従来の50億円から増額)、自社株買いに75億円(実施済み)、M&Aの借入返済及び利払いに100億円、牛カツ業態のM&Aに220億円(実施済み)、牛カツ業態の設備投資に45億円、既存業態の設備投資に170億円(変更なし)、運転資金としての必要現預金に110億円(月商2ヶ月分程度、M&Aによる増収を考慮して従来の100億円から増額)の総額780億円(従来計画は420億円以上)とした。追加のM&A案件があった場合は借入による実施を想定している。
資本コストや株価を意識した経営については、PBR(株価純資産倍率)が1倍を超える水準で推移しており、ROE(自己資本利益率)は2025年3月期末時点で8%を上回った。そして今後も株主及び投資家への適切な情報開示や建設的な対話などIR活動を強化し、株主及び投資家との対話内容を経営にフィードバックするなど企業価値の向上に努める。サステナビリティ経営については2023年3月にサステナビリティ委員会を設置し、社会課題の解決による持続可能な社会の実現と、同社グループの中長期的な企業価値向上の両立を目指している。サステナビリティを巡る各種課題への対応を経営戦略及び経営計画等に反映し、全社的なサステナビリティ施策の推進を図る。
株主還元は連結配当性向35%目安、株主優待制度も継続
2. 株主還元策
同社は株主還元について、同社グループの業績動向及び配当性向等を総合的に勘案したうえで、株主に対し利益成長に応じた安定的な配当を継続しつつ、今後のグループ内における事業拡充による将来の利益貢献を図るため内部留保の充実に努めることを基本方針としている。これをベースに今後のグループの利益成長等を勘案し、中期的な連結ベースの配当性向35%を目標としつつ、DOE(純資産配当率)等の要素も加味しながら決定する。この方針に基づき、2026年3月期の配当予想は前期と同額の52.0円(中間期末26.0円、期末26.0円)としている。予想配当性向は48.4%となる。今後は下限を50.0円として増配基調を想定している。また同社は株主優待制度も実施している。毎年3月31日時点の100株以上保有株主に対して、同社グループ店舗で割引利用できる「株主様ご優待カード1枚」(有効期間中は何度でも繰り返し利用可能)を贈呈する。
なお、2025年2月に新株予約権行使に伴って4,163,741株の新株発行を行った一方で、2024年11月に自己株式480,600株を取得、2025年2月に自己株式2,822,400株を取得、2025年3月に自己株式4,000,000株を消却、2025年8月に自己株式477,300株を取得した。
積極戦略への転換で持続的な利益成長を期待
3. 弊社の視点
同社はこれまで、事業環境変化に対応して不採算店の整理を進める一方で、メニューの高付加価値化、サービス品質の高度化、店舗オペレーションの効率化など各種施策を推進して収益性の改善を図ってきた。さらに牛カツ業態の大型M&Aも寄与して中期経営計画の目標値を上方修正するなど、収益性の向上を鮮明にしている。こうした戦略的施策の成果を弊社では評価している。今後は主力3業態として「生麺専門鎌倉パスタ」を中心とするパスタ業態の持続的な成長を図るほか、喫茶業態の「サンマルクカフェ」については出店再開・店舗純増戦略に転換し、牛カツ業態も国内新規出店や海外FC展開を積極推進する方針である。こうした積極戦略への転換によって持続的な利益成長が期待できるだろうと弊社では注目している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)
<HN>
1. 中期経営計画(2025年3月期~2029年3月期)の目標値を上方修正
サンマルクホールディングス<3395>は2024年5月に中期経営計画(2025年3月期~2029年3月期)を策定し、中間目標として2026年3月期の売上高660億円、営業利益38億円、最終年度2029年3月期の目標として売上高800億円、営業利益65億円を掲げていたが、牛カツ業態のM&A及び既存事業の進捗を踏まえて2025年11月18日付で目標値を上方修正した。またM&Aに伴い利益目標を営業利益からのれん等償却前営業利益に変更し、新たな目標値を2029年3月期の売上高1,000億円、のれん等償却前営業利益90億円とした。
基本方針についても一部を見直して、1) 「鎌倉パスタ」業態の継続出店及び派生業態の展開によるパスタ業態のポテンシャル最大化、2) 「サンマルクカフェ」の出店再開・店舗純増による成長、3) 国内外における牛カツ業態の成長加速とした。また新規M&Aの検討も継続する。
1) 「鎌倉パスタ」業態については従来方針に変更はなく、「鎌倉パスタ」業態が健全な成長を維持しているため、レストラン事業の中核業態として継続的な出店とリブランディングも含めた各種PR施策を通じてさらなる成長を目指す。また派生業態である「おだしもん」と「てっぱんのスパゲッティ」についても出店を拡大する。
2) の「サンマルクカフェ」については、従来は店舗運営効率の改善を重点施策としていたが、2025年3月期までに不採算店舗の整理がおおむね完了したことに加え、「プレミアムチョコクロ」など商品の高付加価値化による価格戦略が想定以上に進展し、1店舗あたり平均月商が2020年3月期を100.0として指数化すると2025年3月期は120.0となり、コロナ禍前と比べても大幅に増加した。さらに店舗オペレーション効率化も進展し、店舗運営が十分に改善された(2026年3月期中間期の喫茶事業の営業利益率は前年同期比2.1ポイント上昇して11.2%まで改善)と評価し、出店再開・店舗純増に戦略転換して成長を目指す。牛カツ業態と連携することで効率的な店舗開発も期待され、店舗数(2026年3月期中間期時点283店舗)については2029年3月期に約370店舗、中長期的にはFCを含めて500店舗を目指す。
3) の牛カツ業態の成長加速については、和の専門業態としてインバウンド需要の獲得や海外展開を期待できる業態であり、成長ドライバーと位置付けて国内外で出店及びFCの獲得を推進する。国内市場おいては概算で150〜200店舗程度の出店が可能(2026年3月期中間期末時点の国内店舗数は「牛カツ京都勝牛」が63店舗、「牛かつもと村」が29店舗の合計92店舗)と想定している。海外についてはFCで展開し、2025年11月末時点の店舗数は「牛カツ京都勝牛」が9ヶ国・26店舗(内訳は韓国1店舗、台湾9店舗、香港1店舗、タイ3店舗、インドネシア6店舗、フィリピン2店舗、カナダ1店舗、シンガポール2店舗、オーストラリア1店舗)、「牛かつもと村」が2店舗(台湾2店舗)となっている。当面はアセアン・オセアニア地域を中心に展開する計画だ。大阪・関西万博に「牛カツ京都勝牛」を出店したことを契機に、海外からの牛カツFCに対する問い合わせが急増している。2026年5月(予定)に本社機能の一部を京都市に移転するが、海外からの牛カツFC希望企業に対する「おもてなし」の効果も狙っている。
M&Aを含めた長期的なブランドポートフォリオのイメージについては、売上規模拡大・収益性向上に向けた基本戦略として、1) 主力ブランド化に向けた収益性改善、2) 主力ブランド化に向けた規模の拡大、3) 次世代ブランド化に向けた収益性改善、4) 主力ブランドの種となるような業態の新規M&Aを推進する。当面は「生麺専門鎌倉パスタ」、「サンマルクカフェ」、牛カツ業態「牛カツ京都勝牛」及び「牛かつもと村」を主力ブランドと位置付け、新たなM&Aも含めてさらなる成長を目指す。
2029年3月期に向けたキャピタルアロケーションについては一部を見直し、株主還元(配当)に60億円(下限を50円として増配基調を想定し、従来の50億円から増額)、自社株買いに75億円(実施済み)、M&Aの借入返済及び利払いに100億円、牛カツ業態のM&Aに220億円(実施済み)、牛カツ業態の設備投資に45億円、既存業態の設備投資に170億円(変更なし)、運転資金としての必要現預金に110億円(月商2ヶ月分程度、M&Aによる増収を考慮して従来の100億円から増額)の総額780億円(従来計画は420億円以上)とした。追加のM&A案件があった場合は借入による実施を想定している。
資本コストや株価を意識した経営については、PBR(株価純資産倍率)が1倍を超える水準で推移しており、ROE(自己資本利益率)は2025年3月期末時点で8%を上回った。そして今後も株主及び投資家への適切な情報開示や建設的な対話などIR活動を強化し、株主及び投資家との対話内容を経営にフィードバックするなど企業価値の向上に努める。サステナビリティ経営については2023年3月にサステナビリティ委員会を設置し、社会課題の解決による持続可能な社会の実現と、同社グループの中長期的な企業価値向上の両立を目指している。サステナビリティを巡る各種課題への対応を経営戦略及び経営計画等に反映し、全社的なサステナビリティ施策の推進を図る。
株主還元は連結配当性向35%目安、株主優待制度も継続
2. 株主還元策
同社は株主還元について、同社グループの業績動向及び配当性向等を総合的に勘案したうえで、株主に対し利益成長に応じた安定的な配当を継続しつつ、今後のグループ内における事業拡充による将来の利益貢献を図るため内部留保の充実に努めることを基本方針としている。これをベースに今後のグループの利益成長等を勘案し、中期的な連結ベースの配当性向35%を目標としつつ、DOE(純資産配当率)等の要素も加味しながら決定する。この方針に基づき、2026年3月期の配当予想は前期と同額の52.0円(中間期末26.0円、期末26.0円)としている。予想配当性向は48.4%となる。今後は下限を50.0円として増配基調を想定している。また同社は株主優待制度も実施している。毎年3月31日時点の100株以上保有株主に対して、同社グループ店舗で割引利用できる「株主様ご優待カード1枚」(有効期間中は何度でも繰り返し利用可能)を贈呈する。
なお、2025年2月に新株予約権行使に伴って4,163,741株の新株発行を行った一方で、2024年11月に自己株式480,600株を取得、2025年2月に自己株式2,822,400株を取得、2025年3月に自己株式4,000,000株を消却、2025年8月に自己株式477,300株を取得した。
積極戦略への転換で持続的な利益成長を期待
3. 弊社の視点
同社はこれまで、事業環境変化に対応して不採算店の整理を進める一方で、メニューの高付加価値化、サービス品質の高度化、店舗オペレーションの効率化など各種施策を推進して収益性の改善を図ってきた。さらに牛カツ業態の大型M&Aも寄与して中期経営計画の目標値を上方修正するなど、収益性の向上を鮮明にしている。こうした戦略的施策の成果を弊社では評価している。今後は主力3業態として「生麺専門鎌倉パスタ」を中心とするパスタ業態の持続的な成長を図るほか、喫茶業態の「サンマルクカフェ」については出店再開・店舗純増戦略に転換し、牛カツ業態も国内新規出店や海外FC展開を積極推進する方針である。こうした積極戦略への転換によって持続的な利益成長が期待できるだろうと弊社では注目している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)
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