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昭和産業 Research Memo(2):ボラティリティの高い事業体質脱却をグループ連携で推進
配信日時:2025/12/25 13:02
配信元:FISCO
*13:02JST 昭和産業 Research Memo(2):ボラティリティの高い事業体質脱却をグループ連携で推進
■昭和産業<2004>の中期経営計画の進捗状況
2024年3月期よりスタートした「中期経営計画23-25」では、「ボラティリティの高い事業体質からの脱却」を最大のテーマとし、5つの基本戦略「基盤事業の強化」「事業領域の拡大」「環境負荷の低減」「プラットフォームの再構築」「ステークホルダーエンゲージメントの強化」を掲げ、各戦略において重点施策を推進している。
「ボラティリティの高い事業体質からの脱却」では糖質カテゴリと製油カテゴリを中心に施策を推進している。糖質カテゴリでは、糖質業界におけるブランド戦略を実践している。グループのサンエイ糖化の医薬用結晶ぶどう糖や、同社の粉末水あめに代表されるような特徴のある製品ラインナップの強化を図り、結晶ぶどう糖では国内トップの70%のシェアを獲得した。これにより糖質業界では、物量、品質共に強固なポジションが形成され、ブランド力の強化につながっている。さらに同社、サンエイ糖化、敷島スターチのグループ3社が一体となり安定供給の仕組みを構築したことで、中期経営計画期間でも堅調な収益推移を見せ、ボラティリティからの脱却が加速している。製油カテゴリでは、大豆、菜種に加え、こめ油とコーン油の拡販を進めている。特に注力するコーン油では、原料はコーンスターチ製造時の副産物コーンジャームとなることから、原料はコーンスターチ生産量に左右され一般的に供給は不安定となる。しかし同社は、糖質カテゴリとグループのボーソー油脂、資本提携した辻製油、製油カテゴリをコーン油サプライチェーン(SC)で連携したことで、グループ内でのコーン油の安定供給体制の構築を実現した(SCには飼料事業も含む)。また、2025年9月には福島大学との共同研究で、コーン油に含まれる香気成分の特定に成功した。コーン油の利点を改めて定義したことで付加価値向上からの需要喚起につなげる考えである。コーン油を大豆、菜種に次ぐ成長の柱に育て、収益の安定化を進める。
「事業領域の拡大」では、「ファイン・オレオケミカル事業」で2024年10月に資本業務提携したファイトケミカルプロダクツ(株)と協業し、植物由来の高機能商品の研究開発を進めると同時に、ファイトケミカルプロダクツが開発した「イオン交換樹脂を用いた反応分離技術」を用い、こめ油副産物から機能性素材を製造販売する計画である。2025年11月には、技術を商用化する量産化プラントの前段となる開発工場が稼働を開始し、これまでより生産性の高い製造ラインでテストを実施している。なお、同量産化技術が実現すれば大豆や菜種への水平展開も期待できるようだ。ほかにもファインケミカル事業では、米ぬか由来のグルコシルセラミドを、カプセルや錠剤向けの粉末タイプと、飲料向けのエマルジョンタイプの2種類で展開している。グルコシルセラミドは機能性表示食品の機能性に関与する成分で、肌の保湿やバリア機能の改善が期待される。同社は、顧客要望に合わせ、より濃度の高い製剤等、化粧品や食品製造業界にフレキシブルに提案していく方針である。オレオケミカル事業では、こめ油製造時に発生したライスワックスを、ホットメルト接着剤(加熱により溶融し液体化する)を製造するメーカーに販売し、製品化した接着剤を同社が購入して自社製品の包材に活用している。今後は需要の見込めるバイオマス領域に対しライスワックスを水平展開するなど、用途や販路拡大の方向性を見据えている。
「冷凍食品事業」では、2025年9月に中華まんじゅう・総菜等を製造する東葛食品(株)を完全子会社化した。東葛食品は高い技術力と丁寧な製造で顧客からの評価は高い。1985年から続く出資関係により製品供給や技術交流での関係は構築済みで、両社リソースのさらなる掛け合わせから、冷凍食品、加工食品事業の底上げを図る。「海外事業」では、中国、台湾に続き、2026年3月期中にベトナムでShowa Sangyo International Vietnam(独資)の工場を立ち上げ、ASEAN向けプレミックスの供給体制を築く。将来的には、M&Aや海外企業との資本業務提携等により、海外の新たな事業領域へ進出する構想を持つ。ほかにも2025年9月には、食品メーカー穀物取扱量日本一という社会的使命もあり、業界全体の穀物輸入に関わる業務の効率化を目的とした「穀物・油糧種子の輸入に特化した業界横断型プラットフォーム」の開発に、商社以外で初めて参画した。日本の食糧インフラ支援と同時に、輸入効率化による同社取扱量の拡大で、トップシェアを確固たるものにする考えである。
■トピックス
着実な研究開発で「短直鎖糖質」が3賞を受賞、ポジション確立へ
同社が開発した、独自の酵素組み合わせ技術により製造される「短直鎖糖質」が、日本応用糖質科学会「技術開発賞」など3つの賞を受賞した。「短直鎖糖質」は、溶解性が高い一方で水の存在下で結晶化しやすく、少量の水で混錬すると結晶化に伴い全体が固形化するという特殊な性質を持つ。そのため医薬品錠剤等の糖衣では高湿度環境下でもべたつかないほか、澱粉と組み合わせることでより効果が発揮されるため、小麦粉や澱粉を含む食品に広く利用できるなどの特徴がある。同社では2021年から「AmyloSoln(アミロソルン)」という製品名で粉末水あめ製品として製造販売しており、最近では糖質カテゴリの収益向上策としてベーカリー向けに対応するなど、機能性の評価から2026年3月期上期の販売実績は前年同期比約20%増と成長している。また、前述の通り同素材のユニークな特徴は幅広い分野で応用できるため、研究開発を続けるなか、マーケットインの視点も取り入れ、顧客課題に寄り添う商品開発と提案を進める。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬 智一)
<HN>
2024年3月期よりスタートした「中期経営計画23-25」では、「ボラティリティの高い事業体質からの脱却」を最大のテーマとし、5つの基本戦略「基盤事業の強化」「事業領域の拡大」「環境負荷の低減」「プラットフォームの再構築」「ステークホルダーエンゲージメントの強化」を掲げ、各戦略において重点施策を推進している。
「ボラティリティの高い事業体質からの脱却」では糖質カテゴリと製油カテゴリを中心に施策を推進している。糖質カテゴリでは、糖質業界におけるブランド戦略を実践している。グループのサンエイ糖化の医薬用結晶ぶどう糖や、同社の粉末水あめに代表されるような特徴のある製品ラインナップの強化を図り、結晶ぶどう糖では国内トップの70%のシェアを獲得した。これにより糖質業界では、物量、品質共に強固なポジションが形成され、ブランド力の強化につながっている。さらに同社、サンエイ糖化、敷島スターチのグループ3社が一体となり安定供給の仕組みを構築したことで、中期経営計画期間でも堅調な収益推移を見せ、ボラティリティからの脱却が加速している。製油カテゴリでは、大豆、菜種に加え、こめ油とコーン油の拡販を進めている。特に注力するコーン油では、原料はコーンスターチ製造時の副産物コーンジャームとなることから、原料はコーンスターチ生産量に左右され一般的に供給は不安定となる。しかし同社は、糖質カテゴリとグループのボーソー油脂、資本提携した辻製油、製油カテゴリをコーン油サプライチェーン(SC)で連携したことで、グループ内でのコーン油の安定供給体制の構築を実現した(SCには飼料事業も含む)。また、2025年9月には福島大学との共同研究で、コーン油に含まれる香気成分の特定に成功した。コーン油の利点を改めて定義したことで付加価値向上からの需要喚起につなげる考えである。コーン油を大豆、菜種に次ぐ成長の柱に育て、収益の安定化を進める。
「事業領域の拡大」では、「ファイン・オレオケミカル事業」で2024年10月に資本業務提携したファイトケミカルプロダクツ(株)と協業し、植物由来の高機能商品の研究開発を進めると同時に、ファイトケミカルプロダクツが開発した「イオン交換樹脂を用いた反応分離技術」を用い、こめ油副産物から機能性素材を製造販売する計画である。2025年11月には、技術を商用化する量産化プラントの前段となる開発工場が稼働を開始し、これまでより生産性の高い製造ラインでテストを実施している。なお、同量産化技術が実現すれば大豆や菜種への水平展開も期待できるようだ。ほかにもファインケミカル事業では、米ぬか由来のグルコシルセラミドを、カプセルや錠剤向けの粉末タイプと、飲料向けのエマルジョンタイプの2種類で展開している。グルコシルセラミドは機能性表示食品の機能性に関与する成分で、肌の保湿やバリア機能の改善が期待される。同社は、顧客要望に合わせ、より濃度の高い製剤等、化粧品や食品製造業界にフレキシブルに提案していく方針である。オレオケミカル事業では、こめ油製造時に発生したライスワックスを、ホットメルト接着剤(加熱により溶融し液体化する)を製造するメーカーに販売し、製品化した接着剤を同社が購入して自社製品の包材に活用している。今後は需要の見込めるバイオマス領域に対しライスワックスを水平展開するなど、用途や販路拡大の方向性を見据えている。
「冷凍食品事業」では、2025年9月に中華まんじゅう・総菜等を製造する東葛食品(株)を完全子会社化した。東葛食品は高い技術力と丁寧な製造で顧客からの評価は高い。1985年から続く出資関係により製品供給や技術交流での関係は構築済みで、両社リソースのさらなる掛け合わせから、冷凍食品、加工食品事業の底上げを図る。「海外事業」では、中国、台湾に続き、2026年3月期中にベトナムでShowa Sangyo International Vietnam(独資)の工場を立ち上げ、ASEAN向けプレミックスの供給体制を築く。将来的には、M&Aや海外企業との資本業務提携等により、海外の新たな事業領域へ進出する構想を持つ。ほかにも2025年9月には、食品メーカー穀物取扱量日本一という社会的使命もあり、業界全体の穀物輸入に関わる業務の効率化を目的とした「穀物・油糧種子の輸入に特化した業界横断型プラットフォーム」の開発に、商社以外で初めて参画した。日本の食糧インフラ支援と同時に、輸入効率化による同社取扱量の拡大で、トップシェアを確固たるものにする考えである。
■トピックス
着実な研究開発で「短直鎖糖質」が3賞を受賞、ポジション確立へ
同社が開発した、独自の酵素組み合わせ技術により製造される「短直鎖糖質」が、日本応用糖質科学会「技術開発賞」など3つの賞を受賞した。「短直鎖糖質」は、溶解性が高い一方で水の存在下で結晶化しやすく、少量の水で混錬すると結晶化に伴い全体が固形化するという特殊な性質を持つ。そのため医薬品錠剤等の糖衣では高湿度環境下でもべたつかないほか、澱粉と組み合わせることでより効果が発揮されるため、小麦粉や澱粉を含む食品に広く利用できるなどの特徴がある。同社では2021年から「AmyloSoln(アミロソルン)」という製品名で粉末水あめ製品として製造販売しており、最近では糖質カテゴリの収益向上策としてベーカリー向けに対応するなど、機能性の評価から2026年3月期上期の販売実績は前年同期比約20%増と成長している。また、前述の通り同素材のユニークな特徴は幅広い分野で応用できるため、研究開発を続けるなか、マーケットインの視点も取り入れ、顧客課題に寄り添う商品開発と提案を進める。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬 智一)
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