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STG Research Memo(4):2026年3月期中間期は増収を達成も、M&A関連費用の一過性要因により減益
配信日時:2025/12/25 11:04
配信元:FISCO
*11:04JST STG Research Memo(4):2026年3月期中間期は増収を達成も、M&A関連費用の一過性要因により減益
■STG<5858>の業績動向
1. 2026年3月期中間期の業績概要
2026年3月期中間期の連結業績は、売上高が3,044百万円(前年同期比6.1%増)、営業利益が79百万円(同56.2%減)、経常利益が101百万円(同50.2%減)、親会社株主に帰属する中間純利益が70百万円(同54.6%減)となった。主力製品である軽量化金属部品に対する顧客からの根強い需要が継続したことで売上高が堅調に推移し、増収を達成したものの、各利益項目で大幅な減益を計上した。営業利益が大幅に減少した最大の要因は、E-Castの子会社化に関する一過性のM&A関連費用である。営業利益の増減分析では、増益要因は売上高の増加による174百万円、一方で減益要因は支払手数料の増加が142百万円(うちM&A関連費用の増加が122百万円)、売上高の増加に伴う製造原価の増加が95百万円、賃上げの実施及び増産に向けた人員増加を反映した人件費の増加が37百万円、その他費用が2百万円である。これらの費用増加が、売上増による利益の押し上げを上回った。仮に一過性のM&A関連費用が発生していなければ計算上の営業利益は202百万円となり、前年同期比11.2%増の営業利益水準であったと推測される。
同社の顧客が属する情報通信機器、精密電気機器、自動車部品業界では、技術革新が常に必要とされ、新製品への開発投資は継続されている状況にある。同社はマレーシアでアルミニウムダイカスト事業を行うE-Castを子会社化したものの、E-Castの企業結合日は2025年9月29日であり、みなし取得日を2025年6月30日としているが、中間連結決算日との差異が3ヶ月を超えないことから、当中間期の実績には含まれていない。生産した工場の所在地を基準とした国別売上高を見ると、マレーシア(1,113百万円、構成比37%)と日本(508百万円、構成比17%)が売上を大きく伸ばした一方、タイ(838百万円、構成比27%)は減少、中国(584百万円、構成比19%)は横ばい傾向を示した。当中間期は、M&Aによる将来の成長基盤を確保するための先行投資フェーズで、一時的に利益が抑制された期間であったと総括できる。
2. 財務状況と経営指標
(1) 財務状況
2026年3月期中間期末における総資産は、前期末比2,613百万円増の9,265百万円となった。総資産の増加は、2025年9月に実施されたE-Castの買収に伴い、資産及び負債が連結対象に取り込まれたことによる。流動資産合計は同731百万円増の4,699百万円で、現金及び預金が614百万円、売掛金及び電子記録債権が150百万円増加したことが主因である。固定資産合計は同1,872百万円増の4,549百万円で、主に有形固定資産が1,191百万円、M&Aに伴い発生した無形固定資産が669百万円増加したことによる。流動負債合計は同563百万円増の3,049百万円で、主に短期借入金が289百万円、1年内返済予定の長期借入金が149百万円増加したことによる。固定負債合計は同1,764百万円増の3,507百万円で、これはM&Aのための資金調達により長期借入金が1,698百万円増加したためである。純資産合計は同285百万円増の2,708百万円となった。これは、優先株式の発行等による資本剰余金が504百万円、親会社株主に帰属する中間純利益(70百万円)の計上による利益剰余金が34百万円増加した一方で、為替換算調整勘定が減少したことが影響した。総資産の増加幅(M&Aによる負債増加を含む)が純資産の増加を上回った結果、自己資本比率は前期末の36.4%から29.2%へ低下した。
(2) 連結キャッシュ・フロー
2026年3月期中間期末における現金及び現金同等物の残高は1,679百万円となり、前期末比で614百万円増加した。営業活動によるキャッシュ・フローは168百万円の収入となった。税金等調整前中間純利益101百万円、減価償却費199百万円、棚卸資産の減少額86百万円が収入要因となった一方で、仕入債務の減少額189百万円などが支出要因として働いたためである。投資活動によるキャッシュ・フローは2,010百万円の支出となった。支出の大部分は、E-Castの子会社株式の取得による支出1,815百万円が占めており、有形固定資産の取得による支出149百万円も発生した。財務活動によるキャッシュ・フローは2,501百万円の収入となり、大規模な資金調達を実施した。主に長期借入れによる収入1,882百万円と、日本政策投資銀行へのA種優先株式の発行による収入496百万円があったことによる。短期借入金の純増加額が285百万円であったが、長期借入金の返済による支出92百万円、配当金の支払による支出35百万円も発生している。全体として、M&Aや設備投資といった成長戦略のための先行投資(投資活動による大規模支出)に対し、資本調達(財務活動による大規模収入)によって対応した結果であると言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 星 匠)
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1. 2026年3月期中間期の業績概要
2026年3月期中間期の連結業績は、売上高が3,044百万円(前年同期比6.1%増)、営業利益が79百万円(同56.2%減)、経常利益が101百万円(同50.2%減)、親会社株主に帰属する中間純利益が70百万円(同54.6%減)となった。主力製品である軽量化金属部品に対する顧客からの根強い需要が継続したことで売上高が堅調に推移し、増収を達成したものの、各利益項目で大幅な減益を計上した。営業利益が大幅に減少した最大の要因は、E-Castの子会社化に関する一過性のM&A関連費用である。営業利益の増減分析では、増益要因は売上高の増加による174百万円、一方で減益要因は支払手数料の増加が142百万円(うちM&A関連費用の増加が122百万円)、売上高の増加に伴う製造原価の増加が95百万円、賃上げの実施及び増産に向けた人員増加を反映した人件費の増加が37百万円、その他費用が2百万円である。これらの費用増加が、売上増による利益の押し上げを上回った。仮に一過性のM&A関連費用が発生していなければ計算上の営業利益は202百万円となり、前年同期比11.2%増の営業利益水準であったと推測される。
同社の顧客が属する情報通信機器、精密電気機器、自動車部品業界では、技術革新が常に必要とされ、新製品への開発投資は継続されている状況にある。同社はマレーシアでアルミニウムダイカスト事業を行うE-Castを子会社化したものの、E-Castの企業結合日は2025年9月29日であり、みなし取得日を2025年6月30日としているが、中間連結決算日との差異が3ヶ月を超えないことから、当中間期の実績には含まれていない。生産した工場の所在地を基準とした国別売上高を見ると、マレーシア(1,113百万円、構成比37%)と日本(508百万円、構成比17%)が売上を大きく伸ばした一方、タイ(838百万円、構成比27%)は減少、中国(584百万円、構成比19%)は横ばい傾向を示した。当中間期は、M&Aによる将来の成長基盤を確保するための先行投資フェーズで、一時的に利益が抑制された期間であったと総括できる。
2. 財務状況と経営指標
(1) 財務状況
2026年3月期中間期末における総資産は、前期末比2,613百万円増の9,265百万円となった。総資産の増加は、2025年9月に実施されたE-Castの買収に伴い、資産及び負債が連結対象に取り込まれたことによる。流動資産合計は同731百万円増の4,699百万円で、現金及び預金が614百万円、売掛金及び電子記録債権が150百万円増加したことが主因である。固定資産合計は同1,872百万円増の4,549百万円で、主に有形固定資産が1,191百万円、M&Aに伴い発生した無形固定資産が669百万円増加したことによる。流動負債合計は同563百万円増の3,049百万円で、主に短期借入金が289百万円、1年内返済予定の長期借入金が149百万円増加したことによる。固定負債合計は同1,764百万円増の3,507百万円で、これはM&Aのための資金調達により長期借入金が1,698百万円増加したためである。純資産合計は同285百万円増の2,708百万円となった。これは、優先株式の発行等による資本剰余金が504百万円、親会社株主に帰属する中間純利益(70百万円)の計上による利益剰余金が34百万円増加した一方で、為替換算調整勘定が減少したことが影響した。総資産の増加幅(M&Aによる負債増加を含む)が純資産の増加を上回った結果、自己資本比率は前期末の36.4%から29.2%へ低下した。
(2) 連結キャッシュ・フロー
2026年3月期中間期末における現金及び現金同等物の残高は1,679百万円となり、前期末比で614百万円増加した。営業活動によるキャッシュ・フローは168百万円の収入となった。税金等調整前中間純利益101百万円、減価償却費199百万円、棚卸資産の減少額86百万円が収入要因となった一方で、仕入債務の減少額189百万円などが支出要因として働いたためである。投資活動によるキャッシュ・フローは2,010百万円の支出となった。支出の大部分は、E-Castの子会社株式の取得による支出1,815百万円が占めており、有形固定資産の取得による支出149百万円も発生した。財務活動によるキャッシュ・フローは2,501百万円の収入となり、大規模な資金調達を実施した。主に長期借入れによる収入1,882百万円と、日本政策投資銀行へのA種優先株式の発行による収入496百万円があったことによる。短期借入金の純増加額が285百万円であったが、長期借入金の返済による支出92百万円、配当金の支払による支出35百万円も発生している。全体として、M&Aや設備投資といった成長戦略のための先行投資(投資活動による大規模支出)に対し、資本調達(財務活動による大規模収入)によって対応した結果であると言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 星 匠)
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