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STG Research Memo(5):2026年3月期は投資負担で利益圧迫も、M&A効果で中計数値目標は上方修正
配信日時:2025/12/25 11:05
配信元:FISCO
*11:05JST STG Research Memo(5):2026年3月期は投資負担で利益圧迫も、M&A効果で中計数値目標は上方修正
■今後の見通し
1. 2026年3月期の業績見通し
STG<5858>の2026年3月期の業績見通しは、M&Aによる売上増加を見込む一方で、先行投資費用や一時的な市場環境の課題が織り込まれるため、利益は一時的に抑制される見込みである。売上高は、前期比5.8%増の6,800百万円となる見通しで、主に2025年9月に子会社化したE-Castが増収に寄与する。E-Castは、大手グローバルメーカー向けに高い収益性を維持する見通しである。利益面では、営業利益は同34.0%減の320百万円、経常利益は同33.7%減の340百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同35.8%減の250百万円を予想している。減益要因としては、E-Cast買収に伴う一過性のM&A関連費用が発生したこと、自動車部品関連でトランプ関税の影響が出ることが予想されること、既存のマレーシア子会社で見込んでいた大型受注のための金型売上の発生時期が翌期以降にずれる見込みとなったことなど、複数の要因が挙げられる。事業環境としては、米国の関税政策や米中貿易摩擦などによる世界経済の下振れリスクが存在するものの、電動車の普及や製品の軽量化ニーズの高まりを背景に、主力である軽量化金属部品(マグネシウム合金部品やアルミニウム合金部品)に対する顧客からの需要は引き続き根強いと見ている。
2. 中期経営計画
同社は、2024年12月に中期経営計画「Challenge 100」を公表した。2025年3月期から2028年3月期の3期を対象とし、コンセプトは「同業他社にはない独自の技術力をもとに成長し、事業の拡大を実現させます」である。当初計画では、最終年度である2028年3月期に連結売上高10,000百万円、連結営業利益800百万円の達成を目標に、売上高の内訳として既存事業で8,000百万円、M&Aによる増加分として2,000百万円を見込んでいた。しかし、同社は中期経営計画の達成に向けて成長スピードを一層加速させることを目的に、2025年9月29日にアルミニウムダイカストメーカーであるE-Castを子会社化したことを受け、中期経営計画の目標数値を上方修正した。2027年3月期の連結業績から通年で組み込まれることで、高い収益ポテンシャルが発揮される見込みだ。E-Castは、買収前の2024年12月期時点で、24.4%の売上高営業利益率を達成しており、高い収益性と成長余力を有するE-Castの業績貢献を見込む。既存のマレーシア子会社STX PRECISION (JB)においても、生産能力の大幅増強と事業領域の拡大を目的とした大規模な設備投資を実施している。大型の新プロジェクトの受注に対応するための増産体制の構築を主眼としており、2027年3月期中までに生産能力を50%増となる見込みである。修正計画では、2028年3月期の目標は、連結売上高を12,000百万円、連結営業利益を1,200百万円へと引き上げた。特に営業利益については、目標とする連結営業利益率を当初の8%から10%へと上方修正した。また、M&Aによる売上高は4,000百万円に倍増し、そのうちE-Castが1,600百万円、今後のM&A実施が2,400百万円寄与する計画である。さらに営業利益については、M&Aによる寄与は400百万円(E-Cast250百万円、今後のM&A実施見込み150百万円)を見込んでいる。
中期経営計画目標達成に向けた課題として、(1)生産能力の向上、人員の確保、(2)収益力を維持拡大させるための技術の継承、(3)課題を解決させるための資金調達の3つを挙げている。
(1) 「生産能力の向上、人員の確保」については、積極的な設備投資の継続、新たな生産拠点の整備、M&Aの活用を主要な取り組みとしている。特に、マレーシア工場では、アルミニウム合金部品の生産能力拡大に加えマグネシウム合金部品の取り扱いを開始するための設備投資の準備を進めており、2027年3月期中に生産能力の50%増強を目指している。また、地政学的リスクを勘案し、ASEANでの生産能力向上を一層強化するため、フィリピンなど新たな国への進出も含めた生産拠点の設立を予定している。
(2) 「収益力を維持拡大させるための技術の継承」については、厳格な品質管理体制の構築による高品質へのこだわりの徹底及び既存の技術やノウハウを生かした様々な製造手法への対応を図る。具体的には、従来外注していた金型製造工程の内製化に取り組むことで、利益率の向上と金型技術力の向上に努めているほか、マグネシウムの活用に関する引き合いに対応するため、消費者向け製品(BtoC事業)の開発にも取り組んでいる。
(3) 「課題を解決させるための資金調達」では、成長戦略に必要な資金を確保するため、優先株式の発行や銀行借入の活用による積極的な資金調達を実施する。2025年6月30日には、普通株式の希薄化に配慮し、転換価格を上場来高値よりも高い1株2,500円に設定した優先株式(500百万円)を日本政策投資銀行に割り当てた。この調達資金は、中期経営計画期間中の設備投資やM&A等の成長投資に充当する。具体的には、連結子会社STX PRECISION (JB)のさらなる増産体制構築のための投融資資金として200百万円、フィリピン等での生産拠点設立に100百万円を2027年3月期までに充当し、残額をM&A資金及び増加運転資金に充当する予定である。事業展開のスピードアップと海外に会社を設立する際のリスク低減のため、引き続きM&A戦略を積極的に推進する。特にシナジー効果が見込める現事業の周辺領域企業のM&Aを推し進め、長期目標達成への礎を築く。マレーシアを中心としたASEANにおけるアルミニウムダイカスト事業は成長余地が大きいと考えており、事業継承などによる売却案件を取り込む一方、国内においてもダイカスト事業に限定せず、金属加工事業者としての事業領域の拡大や生産能力の拡大を希求し、新たな買収先を選定していく方針である。
中期目標達成後も、長期目標として連結売上高30,000百万円、連結営業利益3,000百万円の達成を確実にするため、さらに取り組みを強化する考えである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 星 匠)
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1. 2026年3月期の業績見通し
STG<5858>の2026年3月期の業績見通しは、M&Aによる売上増加を見込む一方で、先行投資費用や一時的な市場環境の課題が織り込まれるため、利益は一時的に抑制される見込みである。売上高は、前期比5.8%増の6,800百万円となる見通しで、主に2025年9月に子会社化したE-Castが増収に寄与する。E-Castは、大手グローバルメーカー向けに高い収益性を維持する見通しである。利益面では、営業利益は同34.0%減の320百万円、経常利益は同33.7%減の340百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同35.8%減の250百万円を予想している。減益要因としては、E-Cast買収に伴う一過性のM&A関連費用が発生したこと、自動車部品関連でトランプ関税の影響が出ることが予想されること、既存のマレーシア子会社で見込んでいた大型受注のための金型売上の発生時期が翌期以降にずれる見込みとなったことなど、複数の要因が挙げられる。事業環境としては、米国の関税政策や米中貿易摩擦などによる世界経済の下振れリスクが存在するものの、電動車の普及や製品の軽量化ニーズの高まりを背景に、主力である軽量化金属部品(マグネシウム合金部品やアルミニウム合金部品)に対する顧客からの需要は引き続き根強いと見ている。
2. 中期経営計画
同社は、2024年12月に中期経営計画「Challenge 100」を公表した。2025年3月期から2028年3月期の3期を対象とし、コンセプトは「同業他社にはない独自の技術力をもとに成長し、事業の拡大を実現させます」である。当初計画では、最終年度である2028年3月期に連結売上高10,000百万円、連結営業利益800百万円の達成を目標に、売上高の内訳として既存事業で8,000百万円、M&Aによる増加分として2,000百万円を見込んでいた。しかし、同社は中期経営計画の達成に向けて成長スピードを一層加速させることを目的に、2025年9月29日にアルミニウムダイカストメーカーであるE-Castを子会社化したことを受け、中期経営計画の目標数値を上方修正した。2027年3月期の連結業績から通年で組み込まれることで、高い収益ポテンシャルが発揮される見込みだ。E-Castは、買収前の2024年12月期時点で、24.4%の売上高営業利益率を達成しており、高い収益性と成長余力を有するE-Castの業績貢献を見込む。既存のマレーシア子会社STX PRECISION (JB)においても、生産能力の大幅増強と事業領域の拡大を目的とした大規模な設備投資を実施している。大型の新プロジェクトの受注に対応するための増産体制の構築を主眼としており、2027年3月期中までに生産能力を50%増となる見込みである。修正計画では、2028年3月期の目標は、連結売上高を12,000百万円、連結営業利益を1,200百万円へと引き上げた。特に営業利益については、目標とする連結営業利益率を当初の8%から10%へと上方修正した。また、M&Aによる売上高は4,000百万円に倍増し、そのうちE-Castが1,600百万円、今後のM&A実施が2,400百万円寄与する計画である。さらに営業利益については、M&Aによる寄与は400百万円(E-Cast250百万円、今後のM&A実施見込み150百万円)を見込んでいる。
中期経営計画目標達成に向けた課題として、(1)生産能力の向上、人員の確保、(2)収益力を維持拡大させるための技術の継承、(3)課題を解決させるための資金調達の3つを挙げている。
(1) 「生産能力の向上、人員の確保」については、積極的な設備投資の継続、新たな生産拠点の整備、M&Aの活用を主要な取り組みとしている。特に、マレーシア工場では、アルミニウム合金部品の生産能力拡大に加えマグネシウム合金部品の取り扱いを開始するための設備投資の準備を進めており、2027年3月期中に生産能力の50%増強を目指している。また、地政学的リスクを勘案し、ASEANでの生産能力向上を一層強化するため、フィリピンなど新たな国への進出も含めた生産拠点の設立を予定している。
(2) 「収益力を維持拡大させるための技術の継承」については、厳格な品質管理体制の構築による高品質へのこだわりの徹底及び既存の技術やノウハウを生かした様々な製造手法への対応を図る。具体的には、従来外注していた金型製造工程の内製化に取り組むことで、利益率の向上と金型技術力の向上に努めているほか、マグネシウムの活用に関する引き合いに対応するため、消費者向け製品(BtoC事業)の開発にも取り組んでいる。
(3) 「課題を解決させるための資金調達」では、成長戦略に必要な資金を確保するため、優先株式の発行や銀行借入の活用による積極的な資金調達を実施する。2025年6月30日には、普通株式の希薄化に配慮し、転換価格を上場来高値よりも高い1株2,500円に設定した優先株式(500百万円)を日本政策投資銀行に割り当てた。この調達資金は、中期経営計画期間中の設備投資やM&A等の成長投資に充当する。具体的には、連結子会社STX PRECISION (JB)のさらなる増産体制構築のための投融資資金として200百万円、フィリピン等での生産拠点設立に100百万円を2027年3月期までに充当し、残額をM&A資金及び増加運転資金に充当する予定である。事業展開のスピードアップと海外に会社を設立する際のリスク低減のため、引き続きM&A戦略を積極的に推進する。特にシナジー効果が見込める現事業の周辺領域企業のM&Aを推し進め、長期目標達成への礎を築く。マレーシアを中心としたASEANにおけるアルミニウムダイカスト事業は成長余地が大きいと考えており、事業継承などによる売却案件を取り込む一方、国内においてもダイカスト事業に限定せず、金属加工事業者としての事業領域の拡大や生産能力の拡大を希求し、新たな買収先を選定していく方針である。
中期目標達成後も、長期目標として連結売上高30,000百万円、連結営業利益3,000百万円の達成を確実にするため、さらに取り組みを強化する考えである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 星 匠)
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