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サンワテクノス Research Memo(4):“やりたいこと”を“できる”に変えるものづくりのベストパートナー目指す
配信日時:2024/12/24 15:04
配信元:FISCO
*15:04JST サンワテクノス Research Memo(4):“やりたいこと”を“できる”に変えるものづくりのベストパートナー目指す
■サンワテクノス<8137>の長期ビジョンと中期経営計画
1. 長期ビジョン
同社グループは、社是「人を創り 会社を興し 社会に尽くす」の下、グローバルネットワークを活用し、顧客への「最新の情報」「ニーズを捉えたソリューション」「安全安心のサービス」を提供するとともに、パートナー企業との協業により、産業の振興、持続可能な社会の実現に貢献してきた。ここ数年はグローバルな社会情勢の変化が著しく、市場環境も大きく変化していることから、同社グループの目指す方向性をより明確にするため、2031年3月期に向けた長期ビジョン「Sun-Wa Vision 2030」及び2023年3月期を初年度とする3ヶ年の第11次中期経営計画「SNS2024(Sun-Wa New Stage 2024)」を策定した(2022年5月発表)。長期ビジョンにおけるミッション(使命・存在価値)、ビジョン(同社グループが目指す姿)、バリュー(ミッションを果たしビジョンを実現するための価値観)については以下のとおりとなる。
ミッションについては「世界中の技術をつなぎ 新たな価値を創造し 豊かな社会づくりを支える」と定義し、グローバルネットワークを活かして、最新の技術提案と最適な製品を提供することで持続可能な社会の発展に貢献する。また、ビジョンとして「“やりたいこと”を“できる”に変える、ものづくりのベストパートナー」を目指すことを掲げた。
ミッションを果たしビジョンを実現するためのバリュー(価値観)については、「顧客志向」「チャレンジ精神」「チームワークとコミュニケーション」の3つのポイントを挙げている。「顧客志向」では、常に顧客目線で物事を考え、価値観を共有することで真の顧客ニーズをくみ取り、最良の理解者として全力を尽くす。「チャレンジ精神」では、自らの成長のために高い目標を掲げ、変化を恐れず前向きに挑戦することで創造性・専門性を高め、企業活力の向上を図る。また「チームワークとコミュニケーション」では、相手を尊重し、違いを理解し、その価値を認めることで新たな価値を創造する。また、パートナー企業を大切にしていくことで総合力を発揮するとしている。
事業戦略・成長戦略の実行により2026年3月期以降は収益拡大ステージに入る見通し
2. 中期経営計画「SNS2024(Sun-Wa New Stage 2024)」の進捗状況
(1) 経営数値目標と進捗状況
2023年3月期からスタートした3ヶ年の中期経営計画「SNS2024」では、最重要経営指標を「売上高」から「営業利益」に設定し、最終年度となる2025年3月期に70億円の目標を掲げると同時に、企業価値の向上に取り組み、PBR1.0倍超の早期実現を目標に掲げていた。ただ、インフレによる世界的な景気減速、設備投資の見直し等の影響により、2025年3月期の営業利益計画は30.8億円と当初目標の70億円を下回る見込みとした。産業用エレクトロニクス分野を主戦場とする企業については、企業の設備投資の動きに強く影響を受けるため、業績に好不調のサイクルが出るのは仕方がないが、2025年3月期については外部環境の悪い時期と重なったため、当初目標との乖離が大きくなったと言える。
実際、2023年3月期以降の3期間累計で見れば、営業利益は168億円と当初目標の180億円に近い水準を稼ぎ出す見込みとなっている。また、2020年3月期から2022年3月期までの3期間累計との比較で見れば営業利益は1.9倍に拡大し、営業利益率も2.1%から3.4%に上昇するなど、中期的なトレンドで見れば利益規模が拡大し、収益性も向上する見込みとなっており、同社が2023年3月期以降に取り組んできた事業戦略・成長戦略の効果が一部出始めているものと弊社では評価している。
(2) 戦略方針と進捗状況
「SNS2024」で取り組む基本方針として同社は、a) イノベーションが求められる成長分野への注力、b) より高付加価値な製品と新たなソリューションの提供、c) サステナビリティ経営による持続可能な社会の実現に貢献、の3点を掲げている。このうち、イノベーションが求められる成長分野への注力に関しては、顧客セグメントを同社の強みと市場の魅力度(市場規模、成長率、利益率)を両軸にして、「積極的リソースを投入する分野(半導体製造装置、ロボット・マウンター、工作機械)」「選択的リソースを投入する分野(FA装置、車載、設備)」「その他分野」に分類し、リソースを投入する顧客セグメント別に事業戦略を立案・実行することで、売上総利益の拡大と収益力を強化する戦略となっている。
2024年3月期の売上総利益(単体、国内事業)の構成比を分野別で分けると、FA装置と車載分野が各24%と最も高く、次いで半導体製造装置分野が10%、ロボット・マウンター分野が8%、設備分野が5%、工作機械分野が3%となる。同社は3年間の目標として、これら分野の利益成長率を年率10%以上(半導体製造装置のみ15%以上)に設定し、目標達成に取り組んできた。2025年3月期第2四半期(中間期)までの進捗状況は工作機械分野が9.8%と予定どおりとなっているが、その他の分野については市場環境の悪化により、いずれも目標を下回るペースとなっている。特に、ロボット・マウンター分野は18.1%減と大幅に下回っているが、チップマウンター業界の市場環境悪化やそれに伴う部品在庫調整が要因となっている。ただ、主要顧客における部品の在庫水準は適正水準に戻ったようで、下期以降は実需に沿った動きで受注も回復に転じるものと見込まれる。全体的な景況感としてはまだ不透明感が強いものの、FA分野を中心に2025年以降は活気を取り戻すものと予想される。
顧客セグメント別の2025年3月期第2四半期(中間期)の取り組み成果について見ると、積極的リソースを投入する分野のうち半導体製造装置分野では、日系大手メーカーとの共同開発テーマを獲得したほか、米国大手メーカーとのコンタクトも進めた。また、最先端半導体の表面処理や検査工程で同技術の活用の可能性を探るべく、高性能な画像処理技術を持つロジック・アンド・デザインとの資本業務提携を行った。最先端半導体の製造技術開発は国策として強化する方向であり、同技術が採用されれば半導体製造装置業界における同社の成長ポテンシャルも一段を大きくなると予想される。ロボット・マウンター分野に関しては、半導体製造装置セグメントとの連携によって商談を獲得した。具体的には、半導体組立装置の外資系大手メーカーと新製品開発に向けた部材の商談が進んでいる。工作機械分野では、工程集約・自動化・省エネ機器への提案による商談獲得や、エムテックとの協業により開発した自社パッケージ製品「AR^2 System(エーアール・ツー・システム)」について顧客の求める機能テーマの発掘に取り組んだ。
選択的リソースを投入する分野のうち、FA装置分野では日系グローバル企業のさらなる攻略を図るべく仕入先のシーズを提案することで商談を獲得したほか、海外地域戦略を策定して外資系優良顧客の攻略活動を推進した。車載分野に関しては、ADASや電動化をテーマに主力Tier1顧客以外の開拓と取引拡大が進んだ。ADASや電動化、コネクティッド関連の商談は多く、今後も安定した成長が期待できる分野である。設備分野に関しては、安川電機のロボットとセット販売するエムテックとの協業により開発したロボットソリューションパッケージ「AR^2 System」の商談が自動車関連業界向けを中心に増加した。同ソリューションは、ロボットによる製造ラインにおいて品種切り替え時のロボットの細かな設定作業を簡便に行えることが長所となっており、従来はロボットの導入が困難であった多品種少量生産向けの製造ラインにおいても導入効果が期待できる。同様のコンセプトを持ったソリューションは他社でも提供しているが、同社の技術は高精度で制御できる点が強みとなっているようだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 長期ビジョン
同社グループは、社是「人を創り 会社を興し 社会に尽くす」の下、グローバルネットワークを活用し、顧客への「最新の情報」「ニーズを捉えたソリューション」「安全安心のサービス」を提供するとともに、パートナー企業との協業により、産業の振興、持続可能な社会の実現に貢献してきた。ここ数年はグローバルな社会情勢の変化が著しく、市場環境も大きく変化していることから、同社グループの目指す方向性をより明確にするため、2031年3月期に向けた長期ビジョン「Sun-Wa Vision 2030」及び2023年3月期を初年度とする3ヶ年の第11次中期経営計画「SNS2024(Sun-Wa New Stage 2024)」を策定した(2022年5月発表)。長期ビジョンにおけるミッション(使命・存在価値)、ビジョン(同社グループが目指す姿)、バリュー(ミッションを果たしビジョンを実現するための価値観)については以下のとおりとなる。
ミッションについては「世界中の技術をつなぎ 新たな価値を創造し 豊かな社会づくりを支える」と定義し、グローバルネットワークを活かして、最新の技術提案と最適な製品を提供することで持続可能な社会の発展に貢献する。また、ビジョンとして「“やりたいこと”を“できる”に変える、ものづくりのベストパートナー」を目指すことを掲げた。
ミッションを果たしビジョンを実現するためのバリュー(価値観)については、「顧客志向」「チャレンジ精神」「チームワークとコミュニケーション」の3つのポイントを挙げている。「顧客志向」では、常に顧客目線で物事を考え、価値観を共有することで真の顧客ニーズをくみ取り、最良の理解者として全力を尽くす。「チャレンジ精神」では、自らの成長のために高い目標を掲げ、変化を恐れず前向きに挑戦することで創造性・専門性を高め、企業活力の向上を図る。また「チームワークとコミュニケーション」では、相手を尊重し、違いを理解し、その価値を認めることで新たな価値を創造する。また、パートナー企業を大切にしていくことで総合力を発揮するとしている。
事業戦略・成長戦略の実行により2026年3月期以降は収益拡大ステージに入る見通し
2. 中期経営計画「SNS2024(Sun-Wa New Stage 2024)」の進捗状況
(1) 経営数値目標と進捗状況
2023年3月期からスタートした3ヶ年の中期経営計画「SNS2024」では、最重要経営指標を「売上高」から「営業利益」に設定し、最終年度となる2025年3月期に70億円の目標を掲げると同時に、企業価値の向上に取り組み、PBR1.0倍超の早期実現を目標に掲げていた。ただ、インフレによる世界的な景気減速、設備投資の見直し等の影響により、2025年3月期の営業利益計画は30.8億円と当初目標の70億円を下回る見込みとした。産業用エレクトロニクス分野を主戦場とする企業については、企業の設備投資の動きに強く影響を受けるため、業績に好不調のサイクルが出るのは仕方がないが、2025年3月期については外部環境の悪い時期と重なったため、当初目標との乖離が大きくなったと言える。
実際、2023年3月期以降の3期間累計で見れば、営業利益は168億円と当初目標の180億円に近い水準を稼ぎ出す見込みとなっている。また、2020年3月期から2022年3月期までの3期間累計との比較で見れば営業利益は1.9倍に拡大し、営業利益率も2.1%から3.4%に上昇するなど、中期的なトレンドで見れば利益規模が拡大し、収益性も向上する見込みとなっており、同社が2023年3月期以降に取り組んできた事業戦略・成長戦略の効果が一部出始めているものと弊社では評価している。
(2) 戦略方針と進捗状況
「SNS2024」で取り組む基本方針として同社は、a) イノベーションが求められる成長分野への注力、b) より高付加価値な製品と新たなソリューションの提供、c) サステナビリティ経営による持続可能な社会の実現に貢献、の3点を掲げている。このうち、イノベーションが求められる成長分野への注力に関しては、顧客セグメントを同社の強みと市場の魅力度(市場規模、成長率、利益率)を両軸にして、「積極的リソースを投入する分野(半導体製造装置、ロボット・マウンター、工作機械)」「選択的リソースを投入する分野(FA装置、車載、設備)」「その他分野」に分類し、リソースを投入する顧客セグメント別に事業戦略を立案・実行することで、売上総利益の拡大と収益力を強化する戦略となっている。
2024年3月期の売上総利益(単体、国内事業)の構成比を分野別で分けると、FA装置と車載分野が各24%と最も高く、次いで半導体製造装置分野が10%、ロボット・マウンター分野が8%、設備分野が5%、工作機械分野が3%となる。同社は3年間の目標として、これら分野の利益成長率を年率10%以上(半導体製造装置のみ15%以上)に設定し、目標達成に取り組んできた。2025年3月期第2四半期(中間期)までの進捗状況は工作機械分野が9.8%と予定どおりとなっているが、その他の分野については市場環境の悪化により、いずれも目標を下回るペースとなっている。特に、ロボット・マウンター分野は18.1%減と大幅に下回っているが、チップマウンター業界の市場環境悪化やそれに伴う部品在庫調整が要因となっている。ただ、主要顧客における部品の在庫水準は適正水準に戻ったようで、下期以降は実需に沿った動きで受注も回復に転じるものと見込まれる。全体的な景況感としてはまだ不透明感が強いものの、FA分野を中心に2025年以降は活気を取り戻すものと予想される。
顧客セグメント別の2025年3月期第2四半期(中間期)の取り組み成果について見ると、積極的リソースを投入する分野のうち半導体製造装置分野では、日系大手メーカーとの共同開発テーマを獲得したほか、米国大手メーカーとのコンタクトも進めた。また、最先端半導体の表面処理や検査工程で同技術の活用の可能性を探るべく、高性能な画像処理技術を持つロジック・アンド・デザインとの資本業務提携を行った。最先端半導体の製造技術開発は国策として強化する方向であり、同技術が採用されれば半導体製造装置業界における同社の成長ポテンシャルも一段を大きくなると予想される。ロボット・マウンター分野に関しては、半導体製造装置セグメントとの連携によって商談を獲得した。具体的には、半導体組立装置の外資系大手メーカーと新製品開発に向けた部材の商談が進んでいる。工作機械分野では、工程集約・自動化・省エネ機器への提案による商談獲得や、エムテックとの協業により開発した自社パッケージ製品「AR^2 System(エーアール・ツー・システム)」について顧客の求める機能テーマの発掘に取り組んだ。
選択的リソースを投入する分野のうち、FA装置分野では日系グローバル企業のさらなる攻略を図るべく仕入先のシーズを提案することで商談を獲得したほか、海外地域戦略を策定して外資系優良顧客の攻略活動を推進した。車載分野に関しては、ADASや電動化をテーマに主力Tier1顧客以外の開拓と取引拡大が進んだ。ADASや電動化、コネクティッド関連の商談は多く、今後も安定した成長が期待できる分野である。設備分野に関しては、安川電機のロボットとセット販売するエムテックとの協業により開発したロボットソリューションパッケージ「AR^2 System」の商談が自動車関連業界向けを中心に増加した。同ソリューションは、ロボットによる製造ラインにおいて品種切り替え時のロボットの細かな設定作業を簡便に行えることが長所となっており、従来はロボットの導入が困難であった多品種少量生産向けの製造ラインにおいても導入効果が期待できる。同様のコンセプトを持ったソリューションは他社でも提供しているが、同社の技術は高精度で制御できる点が強みとなっているようだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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