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サンワテクノス Research Memo(2):2025年3月期中間期は減収減益も、各段階利益は予想数値上回る
配信日時:2024/12/24 15:02
配信元:FISCO
*15:02JST サンワテクノス Research Memo(2):2025年3月期中間期は減収減益も、各段階利益は予想数値上回る
■サンワテクノス<8137>の業績動向
1. 2025年3月期第2四半期(中間期)の業績概要
2025年3月期第2四半期(中間期)の連結業績は、売上高で前年同期比21.9%減の69,426百万円、営業利益で同52.1%減の1,650百万円、経常利益で同54.6%減の1,681百万円、親会社株主に帰属する中間純利益で同58.7%減の1,271百万円と減収減益となったものの、各段階利益は予想数値を上回って着地した。予想数値比での上振れ要因は、期中平均レートが152.25円/米ドルと前提レート(137.90円/米ドル)に対して円安で推移したことに加えて、売上総利益率の改善や経費抑制の効果などによる。
同社が事業領域とする産業用エレクトロニクス・メカトロニクス業界では市況低迷による設備投資の減少や部品手配の調整が続くなかで、制御機器や電機品、電子部品、設備機器などの売上が減少した。受注高についても前年同期比15.6%減の64,027百万円と減少基調が続いているが、半期ベースで見ると前下期比で4.9%増と約3年ぶりに増加に転じ、受注水準としては底を打ったものと見られる。2024年9月末の受注残高は46,964百万円と直近のピークから5割の水準まで減少したが、売上月数に換算すると4.1ヶ月分と2020年以前が約2ヶ月分の水準であったことからするとまだ高い水準にあり、下期も受注残高の解消が続くものと考えられる。
2025年3月期第2四半期(中間期)の営業利益増減要因について見ると、売上総利益率の改善(前年同期比1.0ポイント上昇)で381百万円、為替レートの変動で76百万円※、その他経費の抑制で191百万円の増益要因となったが、売上高減少に伴う利益減2,440百万円をカバーできなかった。売上総利益率の改善要因は、利益を重視した営業活動に取り組んだことや相対的に利益率の低かったアジア地域での太陽光関連業界向け大型案件が前期で一巡したことなどが挙げられる。営業外収支は為替差損益の悪化(-219百万円)を主因として、同227百万円のマイナスとなった。また、特別利益として当期も投資有価証券売却益を167百万円計上した(前年同期は557百万円計上)。同社は資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた施策の1つとして、2024年3月期より政策保有株式を段階的に売却する方針を打ち出しており、その一環となる。売却資金は成長投資のほか株主還元に充当する方針としている。
※ 期中平均為替レートは152.25円/米ドルと前年同期の134.85円/米ドルから約17円/米ドルの円安となり、国内事業会社で30百万円の増益要因となった。また、海外事業会社は仕入販売取引で3百万円、期末換算レート差で43百万円の増益要因となった。
自動車関連(EV)業界向けの電子部品や制御機器が増加、地域別では欧米地域が増収
2. 部門別、地域別動向
同社は売上高について、取扱商品別に電機・電子・機械の3部門に分けて内訳を開示しているほか、地域別セグメント情報として売上高及び営業利益を開示している。
(1) 部門別売上高の動向
電機部門の主な商材は、サーボモータやモーションコントローラ、インバータ、マシンコントローラ、パワーコンディショナなどが挙げられ、主に安川電機<6506>の製品を取り扱っている。主要顧客としてはSCREENホールディングス<7735>、KOKUSAI ELECTRIC<6525>、パナソニックホールディングス<6752>、ニコン<7731>、ダイフク<6383>などが挙げられる。売上高は、自動車関連(EV)業界向けの制御機器(制御盤)の販売が増加した一方で、FA業界向けの制御機器(制御盤)や太陽光関連業界向けの電機品(サーボモータ、スカラロボット)の販売が減少し、前年同期比20.8%減の14,903百万円と前下期からの減少傾向が続いた。ただ、四半期ベースで見ると前第4四半期の5,833百万円を底にして、当第1四半期は7,220百万円、第2四半期は7,683百万円と2四半期連続で増加するなど回復感が出始めている。
電子部門の主な商材は、コンデンサやコネクタ、リレー、スイッチなどの一般電子部品のほか、ファンモーターやステッピングモーター、LED、電源装置など多岐にわたっている。主要顧客としてはデンソー<6902>、安川電機、三菱電機<6503>、オムロン<6645>、富士電機<6504>などが挙げられる。売上高は、自動車関連業界向けの電子部品(光学ユニット)の販売が増加した一方で、FA業界向けの電子機器(産業用PC)や電子部品(ケーブル、コネクタ等)の販売が減少し、同23.3%減の43,387百万円となった。設備投資関連機器の需要低迷に加えて、顧客先による部材の在庫調整が継続し減少要因となった。ただ、四半期ベースでは当第1四半期の21,962百万円を底にして第2四半期は26,425百万円と増加に転じており、当面の底は打ったものと弊社では見ている。
機械部門の主な商材は、安川電機のロボットのほか搬送装置や減速機などが挙げられる。主要顧客はデンソーやSUBARU<7270>、富士フイルムホールディングス<4901>、AGC<5201>、SUMCO<3436>などが挙げられる。売上高は、半導体製造装置業界向け設備機器(除振台)の販売が減少し、同11.8%減の6,135百万円となった。
(2) セグメント別業績動向
日本の売上高は前年同期比17.3%減の50,079百万円、営業利益は同50.7%減の1,029百万円となった。自動車関連(EV)業界向けの制御機器(制御盤)や自動車関連業界向けの電子部品(光学ユニット)の販売が増加したものの、FA業界向けの制御機器(制御盤)や電子機器(産業用PC)及び電子部品(ケーブル、コネクタ等)、半導体製造装置業界向けの設備機器(除振台)の販売減少が響いて減収減益となった。
アジアの売上高は同31.9%減の23,251百万円、営業利益は同61.0%減の509百万円となった。前年同期の売上に大きく寄与した太陽光関連業界向け電機品(サーボモータ、スカラロボット)の販売が減少したほか、FA業界向けの電子部品(コネクタ、端子台等)及び電子機器(ティーチングペンダント)や、半導体製造装置業界向けの電子機器(産業用PC)の販売も減少した。なお、アジア向けについては大半を占める中国のほか東南アジア向けについても減少したが、2024年3月期より新たに進出したインドについては現地に進出する日系インフラ企業向けの販売を開始するなど順調に立ち上がったようだ。インドでは自動車産業だけでなく、半導体などエレクトロニクス産業も自国内で育成する方針を政府が打ち出しており、電機品や電子部品、設備機器等の現地での需要を取り込むべく注力すべき市場と同社では位置付けている。
欧米の売上高は同0.3%増の3,349百万円、営業利益は同59.5%減の54百万円となった。FA業界向け電子部品(ファンモータ、コネクタ等)の販売が減少したものの、自動車関連業界向け及び生活用品業界向け産業用ロボットの販売が増加した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 2025年3月期第2四半期(中間期)の業績概要
2025年3月期第2四半期(中間期)の連結業績は、売上高で前年同期比21.9%減の69,426百万円、営業利益で同52.1%減の1,650百万円、経常利益で同54.6%減の1,681百万円、親会社株主に帰属する中間純利益で同58.7%減の1,271百万円と減収減益となったものの、各段階利益は予想数値を上回って着地した。予想数値比での上振れ要因は、期中平均レートが152.25円/米ドルと前提レート(137.90円/米ドル)に対して円安で推移したことに加えて、売上総利益率の改善や経費抑制の効果などによる。
同社が事業領域とする産業用エレクトロニクス・メカトロニクス業界では市況低迷による設備投資の減少や部品手配の調整が続くなかで、制御機器や電機品、電子部品、設備機器などの売上が減少した。受注高についても前年同期比15.6%減の64,027百万円と減少基調が続いているが、半期ベースで見ると前下期比で4.9%増と約3年ぶりに増加に転じ、受注水準としては底を打ったものと見られる。2024年9月末の受注残高は46,964百万円と直近のピークから5割の水準まで減少したが、売上月数に換算すると4.1ヶ月分と2020年以前が約2ヶ月分の水準であったことからするとまだ高い水準にあり、下期も受注残高の解消が続くものと考えられる。
2025年3月期第2四半期(中間期)の営業利益増減要因について見ると、売上総利益率の改善(前年同期比1.0ポイント上昇)で381百万円、為替レートの変動で76百万円※、その他経費の抑制で191百万円の増益要因となったが、売上高減少に伴う利益減2,440百万円をカバーできなかった。売上総利益率の改善要因は、利益を重視した営業活動に取り組んだことや相対的に利益率の低かったアジア地域での太陽光関連業界向け大型案件が前期で一巡したことなどが挙げられる。営業外収支は為替差損益の悪化(-219百万円)を主因として、同227百万円のマイナスとなった。また、特別利益として当期も投資有価証券売却益を167百万円計上した(前年同期は557百万円計上)。同社は資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた施策の1つとして、2024年3月期より政策保有株式を段階的に売却する方針を打ち出しており、その一環となる。売却資金は成長投資のほか株主還元に充当する方針としている。
※ 期中平均為替レートは152.25円/米ドルと前年同期の134.85円/米ドルから約17円/米ドルの円安となり、国内事業会社で30百万円の増益要因となった。また、海外事業会社は仕入販売取引で3百万円、期末換算レート差で43百万円の増益要因となった。
自動車関連(EV)業界向けの電子部品や制御機器が増加、地域別では欧米地域が増収
2. 部門別、地域別動向
同社は売上高について、取扱商品別に電機・電子・機械の3部門に分けて内訳を開示しているほか、地域別セグメント情報として売上高及び営業利益を開示している。
(1) 部門別売上高の動向
電機部門の主な商材は、サーボモータやモーションコントローラ、インバータ、マシンコントローラ、パワーコンディショナなどが挙げられ、主に安川電機<6506>の製品を取り扱っている。主要顧客としてはSCREENホールディングス<7735>、KOKUSAI ELECTRIC<6525>、パナソニックホールディングス<6752>、ニコン<7731>、ダイフク<6383>などが挙げられる。売上高は、自動車関連(EV)業界向けの制御機器(制御盤)の販売が増加した一方で、FA業界向けの制御機器(制御盤)や太陽光関連業界向けの電機品(サーボモータ、スカラロボット)の販売が減少し、前年同期比20.8%減の14,903百万円と前下期からの減少傾向が続いた。ただ、四半期ベースで見ると前第4四半期の5,833百万円を底にして、当第1四半期は7,220百万円、第2四半期は7,683百万円と2四半期連続で増加するなど回復感が出始めている。
電子部門の主な商材は、コンデンサやコネクタ、リレー、スイッチなどの一般電子部品のほか、ファンモーターやステッピングモーター、LED、電源装置など多岐にわたっている。主要顧客としてはデンソー<6902>、安川電機、三菱電機<6503>、オムロン<6645>、富士電機<6504>などが挙げられる。売上高は、自動車関連業界向けの電子部品(光学ユニット)の販売が増加した一方で、FA業界向けの電子機器(産業用PC)や電子部品(ケーブル、コネクタ等)の販売が減少し、同23.3%減の43,387百万円となった。設備投資関連機器の需要低迷に加えて、顧客先による部材の在庫調整が継続し減少要因となった。ただ、四半期ベースでは当第1四半期の21,962百万円を底にして第2四半期は26,425百万円と増加に転じており、当面の底は打ったものと弊社では見ている。
機械部門の主な商材は、安川電機のロボットのほか搬送装置や減速機などが挙げられる。主要顧客はデンソーやSUBARU<7270>、富士フイルムホールディングス<4901>、AGC<5201>、SUMCO<3436>などが挙げられる。売上高は、半導体製造装置業界向け設備機器(除振台)の販売が減少し、同11.8%減の6,135百万円となった。
(2) セグメント別業績動向
日本の売上高は前年同期比17.3%減の50,079百万円、営業利益は同50.7%減の1,029百万円となった。自動車関連(EV)業界向けの制御機器(制御盤)や自動車関連業界向けの電子部品(光学ユニット)の販売が増加したものの、FA業界向けの制御機器(制御盤)や電子機器(産業用PC)及び電子部品(ケーブル、コネクタ等)、半導体製造装置業界向けの設備機器(除振台)の販売減少が響いて減収減益となった。
アジアの売上高は同31.9%減の23,251百万円、営業利益は同61.0%減の509百万円となった。前年同期の売上に大きく寄与した太陽光関連業界向け電機品(サーボモータ、スカラロボット)の販売が減少したほか、FA業界向けの電子部品(コネクタ、端子台等)及び電子機器(ティーチングペンダント)や、半導体製造装置業界向けの電子機器(産業用PC)の販売も減少した。なお、アジア向けについては大半を占める中国のほか東南アジア向けについても減少したが、2024年3月期より新たに進出したインドについては現地に進出する日系インフラ企業向けの販売を開始するなど順調に立ち上がったようだ。インドでは自動車産業だけでなく、半導体などエレクトロニクス産業も自国内で育成する方針を政府が打ち出しており、電機品や電子部品、設備機器等の現地での需要を取り込むべく注力すべき市場と同社では位置付けている。
欧米の売上高は同0.3%増の3,349百万円、営業利益は同59.5%減の54百万円となった。FA業界向け電子部品(ファンモータ、コネクタ等)の販売が減少したものの、自動車関連業界向け及び生活用品業界向け産業用ロボットの販売が増加した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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