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高値圏のスイスフラン【フィスコ・コラム】
配信日時:2024/01/21 09:00
配信元:FISCO
*09:00JST 高値圏のスイスフラン【フィスコ・コラム】
スイスフランは昨年末から上昇基調を強め、対ユーロで過去最高値圏に浮上。世界の主要中銀の利下げ観測が広がるなか、スイスの引き締め余地が背景にあります。一方、中東の戦況悪化が警戒されており、フランの安全通貨としての買いも継続しそうです。
ユーロ・スイスフランは昨年12月27日、心理的節目の1ユーロ=0.94フランを上抜け、同29日には過去最高値となる0.9253フランまで値を切り上げました。年明け以降は伸び悩んでいるものの、0.94フラン付近となお高値水準を維持しています。対円も171円付近と、やはり過去最高値を付けました。さらにドルやポンド、豪ドルなど他の主要通貨に対してもやはり高値圏で推移しています。
スイス中銀は2022年6月に引き締めサイクルに入り、政策金利をそれまでの-0.75%から23年6月には+1.75%まで引き上げました。その後同年9月、12月と、2会合連続で据え置きを決定。現時点で米連邦準備制度理事会(FRB)の早期利下げ観測でドル売りに振れていますが、欧州中銀(ECB)も今年前半にはハト派寄りに転じるとみられ、フランは消去法的に買いが入りやすい状況です。
スイスの消費者物価指数(CPI)は昨年夏場以降に前年比で+2.0%を割り込んでいます。が、1月8日に発表された12月CPIは+1.7%と、前回の+1.4%から加速。中銀の引き締めは終了したとみられるものの、各国・地域の金融政策への思惑が交錯するなか、スイスの利下げは近くないとの見方からフランが買われています。今月25日開催のECB理事会は一段のユーロ安・フラン高の要因と見込まれます。
スイス経済の成長維持も、フラン買いを支えています。直近7-9月期国内総生産(GDP)は前期比、前年比とも低水準ながらプラスを確保。国内物価は政府に統制やエネルギー価格が反映しにくい構造のため、インフレの伸びは主要国のなかでは低水準にとどまっています。小売売上高はなおマイナス圏ながら改善しつつあり、目先はスイス経済を支える要因になるとみられます。
さらに安全通貨としての買いも継続しそうです。英米軍は1月12日に親イラン武装組織フーシ派を攻撃し、中東での戦況悪化が警戒されています。ハマス・イスラエル紛争はいったん休戦した後、戦闘が再開。今後イランが参戦した場合、第5次中東戦争も想定されるでしょう。11月の米大統領選でトランプ前大統領再登板の現実味も増すなか、地政学リスクが高まればドルからフランへの資金流入も考えられます。
(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。
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ユーロ・スイスフランは昨年12月27日、心理的節目の1ユーロ=0.94フランを上抜け、同29日には過去最高値となる0.9253フランまで値を切り上げました。年明け以降は伸び悩んでいるものの、0.94フラン付近となお高値水準を維持しています。対円も171円付近と、やはり過去最高値を付けました。さらにドルやポンド、豪ドルなど他の主要通貨に対してもやはり高値圏で推移しています。
スイス中銀は2022年6月に引き締めサイクルに入り、政策金利をそれまでの-0.75%から23年6月には+1.75%まで引き上げました。その後同年9月、12月と、2会合連続で据え置きを決定。現時点で米連邦準備制度理事会(FRB)の早期利下げ観測でドル売りに振れていますが、欧州中銀(ECB)も今年前半にはハト派寄りに転じるとみられ、フランは消去法的に買いが入りやすい状況です。
スイスの消費者物価指数(CPI)は昨年夏場以降に前年比で+2.0%を割り込んでいます。が、1月8日に発表された12月CPIは+1.7%と、前回の+1.4%から加速。中銀の引き締めは終了したとみられるものの、各国・地域の金融政策への思惑が交錯するなか、スイスの利下げは近くないとの見方からフランが買われています。今月25日開催のECB理事会は一段のユーロ安・フラン高の要因と見込まれます。
スイス経済の成長維持も、フラン買いを支えています。直近7-9月期国内総生産(GDP)は前期比、前年比とも低水準ながらプラスを確保。国内物価は政府に統制やエネルギー価格が反映しにくい構造のため、インフレの伸びは主要国のなかでは低水準にとどまっています。小売売上高はなおマイナス圏ながら改善しつつあり、目先はスイス経済を支える要因になるとみられます。
さらに安全通貨としての買いも継続しそうです。英米軍は1月12日に親イラン武装組織フーシ派を攻撃し、中東での戦況悪化が警戒されています。ハマス・イスラエル紛争はいったん休戦した後、戦闘が再開。今後イランが参戦した場合、第5次中東戦争も想定されるでしょう。11月の米大統領選でトランプ前大統領再登板の現実味も増すなか、地政学リスクが高まればドルからフランへの資金流入も考えられます。
(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。
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