注目トピックス 経済総合ニュース一覧
注目トピックス 経済総合
Web3.0でも亡国、日米暗号資産の業界規模感は100倍超の差
英政府は4月4日、ステーブルコインを国内で利用できるようにするための法制化など、自国を暗号資産(仮想通貨)技術と投資の世界的なハブとして位置づけていく方針を発表した。米国では2021年4月、コインベース(Coinbase)がナスダックに上場を果たし、ビットコインを中心とした暗号資産による先物・オプション、同先物によるETFなど金融商品化でも同国マーケットは先を行く。対する日本の動きは鈍いと言わざるを得ない。東京証券取引所が暗号資産交換業の新規株式公開(IPO)を受け付けていないなどという話は、その代表例である。国内暗号資産交換業大手コインチェックは国内を素通りし、2022年内をめどに特別買収目的会社(SPAC)との統合を通じてナスダック市場へ上場する予定である。また、4月2日には国内の暗号資産交換業大手ビットフライヤーが投資ファンドに買収されるとの報道があったものの、株式全体の評価額は最大450億円であるという。コインベースの時価総額約5.5兆円と比較した規模感の違いは歴然だろう。日本国内には、暗号資産業界が育成される土壌が極めて乏しい。このままでは、日本から暗号資産が継続的に失われる状況が容易に想定できる。季節要因の部分もあるとはいえ、2022年1月に日本の経常収支が過去最大に迫る1.1兆円の赤字であったことは記憶に新しいだろう。日本は既に貿易収支が損益線もしくは赤字傾向であり、「成熟した債権国」である。EVの普及による国内自動車産業の弱体化、それによる更なる貿易収支の悪化が観測されれば、「成熟した債権国」から「債権取り崩し国」に転落する可能性もある。その際、赤字収支を埋める必要があり、海外からの資金流入を図る政策を推し進めることが肝要になる。分散をキーワードにブロックチェーン技術が多用されるWeb3.0の世界においては、暗号資産の活用も多分野に及ぼう。web3.0は非中央集権的・分散的なインターネットと解釈されている。web1.0の頃は通信環境も悪く、サイト開設者が一方的に情報を開示する状況であるのに対して、web2.0は通信環境の向上、それに伴うリアルタイムおよび双方向性に特徴があり、GAFAMやプラットフォーム企業が大きく成長している。ただ、GAFAMやプラットフォーム企業が中央集権的に情報を持ちすぎているという欠点も浮上しており、非中央集権的・分散的にデータを管理していこうという方向性が台頭している。ビットコインやイーサリアムに代表とされる暗号資産も非中央集権的・分散的であり(非中央集権的・分散的な環境を実現するために使い勝手が良く)、web3.0との相性が非常に良い。暗号資産の取り込みに失敗するということは、とりもなおさずweb3.0でも遅れを取ることになろう。暗号資産による直接的な海外からの資金流入が果たせないことはもちろん、web3.0の世界における収益機会のロスということで、日本は先に述べた海外からの資金流入の重要な1つのルートを失うことになる。今の日本に必要なものは、「新たな資本吸収戦略」であろう。
<TY>
2022/04/08 09:02
注目トピックス 経済総合
NYの視点:2022年FOMC投票権持つブラードSTルイス連銀総裁、金融政策の立ち遅れ認める
米連邦準備制度理事会(FRB)は高インフレ対処の金融政策の立ち遅れを認め、できるだけ速やかに正常化を進めたい考えが明らかになった。22年の連邦公開市場委員会(FOMC)の投票権を有するセントルイス連銀のブラード総裁は、下半期に政策金利であるFF金利誘導目標を3%-3.25%まで引き上げることが望ましいと急速な利上げを支持。さらに、出来るだけ速やかにパンデミック緊急策として導入したバランスシートの規模を縮小させる必要性を主張した。FRBは3月開催分のFOMC議事要旨の中で、各月米国債600億ドル、住宅ローン担保証券350億ドルと、合計950億ドル規模の縮小が適切となるとの見解で合意した。2017-19年のペースの2倍で縮小を進めることになる。年内、利上げで3%、バランスシート縮小が0.5-0.75%の利上げに相当するため、3.5-3.75%程度に金融政策が引き締まる計画。今後は、経済がこのペースの利上げに十分なだけ強まるかどうかに注目が集まる。
<FA>
2022/04/08 08:32
注目トピックス 経済総合
(中国)上海総合指数は売り先行もプラス圏回復、景気対策の強化期待を好感
7日の上海総合指数は売り先行。前日比0.48%安の3267.81ptで寄り付いた後は、日本時間午前10時48分現在、0.10%高の3286.71ptで推移している。当局が景気対策を強化するとの期待が好感されている。一方、米利上げペースの加速観測が外資の流出懸念を強めている。また、国内での新型コロナウイルス感染の再拡大も引き続き足かせになっている。
<AN>
2022/04/07 10:53
注目トピックス 経済総合
オリエンタルランドを対象とするプット型eワラントが上昇率上位にランクイン(7日10:16時点のeワラント取引動向)
新規買いは原資産の株価下落が目立つTDK<6762>プット175回 4月 4,150円を順張り、日本郵船<9101>コール154回 5月 11,500円を逆張り、日本郵船コール154回 5月 11,500円を逆張りで買う動きなどが見られる。手仕舞い売りとしてはイーサリアム2022年5月 プラス5倍トラッカー3回 5月 2,450米ドル、WTI原油先物リンク債_2022年6月限コール8回 4月 80米ドル、Inpex<1605>コール237回 4月 1,100円、イーサリアム2022年4月 プラス5倍トラッカー3回 4月 2,200米ドルなどが見られる。上昇率上位はオリエンタルランド<4661>プット147回 4月 19,000円(+66.7%)、テルモ<4543>コール50回 4月 4,250円(+62.5%)、WTI原油先物リンク債_2022年6月限プット9回 4月 80米ドル(+60.0%)、WTI原油先物リンク債_2022年6月限プット10回 4月 85米ドル(+55.6%)、ホンダ<7267>プット240回 4月 2,900円(+50.0%)などとなっている。(カイカ証券)
<FA>
2022/04/07 10:43
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NYの視点:MBS売却はゲームチェンジャー、ハト派意見ゼロも警戒感=3月FOMC議事録
連邦準備制度理事会(FRB)は2018年来の利上げを実施した3月FOMC議事録を公表した。その中で、多くの高官が50ベーシスポイント(BP)の利上げを主張したが、ウクライナ戦争が不透明感を生んだため25BPにとどめたことが明らかになった。ただ、多くの高官が年内1回以上50BPの利上げが正当化される可能性を主張した。また、バランスシート縮小ペースでは米国債が600億ドル、住宅ローン担保証券が350億ドルと、各月950億ドル規模の縮小が適切となるとの見解で合意した。加えて、FRBは期限失効となった保有資産規模の縮小が軌道に乗ったら、住宅ローン担保証券(MBS)の売却も検討する可能性を指摘。ただ、市場ではMBSの売却はゲームチェンジャーと考えられている。万が一、実施された場合、現在米国経済をけん引している住宅市場を混乱させ、経済を景気後退入りさせる可能性も警戒される。さらに、FOMC議事録では、ハト派の見解が全く見られず、タカ派に傾斜し均衡が見られないことも懸念材料としてとらえられている。
<FA>
2022/04/07 07:31
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(中国)上海総合指数は0.40%安でスタート、国内の新型コロナ感染増を警戒
6日の上海総合指数は売り先行。前日比0.40%安の3269.42ptで寄り付いた後は、日本時間午前10時46分現在、0.24%安の3274.68ptで推移している。国内での新型コロナウイルス感染再拡大に歯止めがかからないことを受け、売り圧力が強まっている。外部環境では、米金融引き締めペースの加速観測が引き続き警戒されている。ただ、指数の下値は限定的。景気対策への期待などが引き続き指数をサポートしている。
<AN>
2022/04/06 10:54
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第一生命ホールディングスを対象とするコール型eワラントが上昇率上位にランクイン(6日10:27時点のeワラント取引動向)
手仕舞い売りとしてはInpex<1605>コール237回 4月 1,100円、プラチナリンク債 プラス5倍トラッカー43回 4月 925米ドルなどが見られる。上昇率上位は第一生命ホールディングス<8750>コール150回 4月 2,950円(+50.0%)、イビデン<4062>プット110回 4月 5,300円(+35.9%)、第一生命ホールディングスコール149回 4月 2,550円(+34.3%)、イビデンプット111回 4月 6,200円(+32.8%)、第一生命ホールディングスコール153回 5月 3,050円(+31.4%)などとなっている。(カイカ証券)
<FA>
2022/04/06 10:52
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コラム【新潮流2.0】:シングルベッド(マネックス証券チーフ・ストラテジスト広木隆)
◆シングルベッドで犬と寝ている。犬とはMonday Night Liveに時々登場するフレンチブルドッグのピース君である。彼は僕の布団に潜り込んで、ベッドの真ん中を占領しようと体を押し付けてくる。シングルベッドは狭く、非常に窮屈だ。朝起きると首や肩がガチガチに凝っている。持病の五十肩も悪化する一方だ。フレンチブルドッグの寝息はうるさくて安眠できない。悪い夢を見て夜中に何度も目が覚める。◆シャ乱Qに「シングルベッド」という曲があった。シングルベッドで恋人と寝ていた売れない頃の情景を描いたものだ。いくら愛する人とでも大人2人が寝るにはシングルベッドではさぞ窮屈だろう。歌の主人公には、シングルベッドで抱いていたものが恋人の他に、もうひとつあった。シングルベッドで「夢」とお前抱いていた、と歌うのだ。夢なら問題ない。いや、むしろ夢を抱くにはシングルベッドに限る。◆新年度である。この4月から新成人となった18歳の人も含め、進学や就職など新しい環境でスタートを切る若い人に心よりエールを送りたい。諸君に伝えたいことは夢を持つことの大切さである。世の中を眺めれば、悲惨な戦争、インフレによる生活苦、その一方でお給料は上がらない…どこにも夢なんか持てる状況ではないかもしれない。でも、だからこそ、夢を持とうではないか。夢は僕らを未来へ運ぶ力になる。◆さて僕の夢は何だろう。差し当たっては、キングサイズのダブルベッドで寝ることか。大きなベッドが置けるくらいの広い部屋に住むことだ。世俗的な小さい夢でお恥ずかしい限りです。春である。「春眠暁を覚えず」は夢のまた夢。いまは安眠が何より欲しいのである。マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木 隆マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木 隆(出所:4/4配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より抜粋)
<FA>
2022/04/06 09:21
注目トピックス 経済総合
NYの視点:FOMCの重要メンバーが速やかなQTを示唆、市場はタカ派5月FOMCの準備へ
連邦準備制度理事会(FRB)のブレイナード理事は、インフレを押し下げることが最重要で、一連の利上げで、系統的に引き締めを継続するFRBの方針を再表明した。さらに、バランスシート縮小を17−19年に比べてかなり速やかに実施していく方針も再表明。早くて5月連邦公開市場委員会(FOMC)に速やかにバランスシート縮小する可能性が強いと言及した。同総裁は通常ハト派、または中立として知られることから、タカ派発言はサプライズととらえられている。また、同時に、FRBの中でも議長と同じく影響力が強い副議長候補でもあるため、市場は同氏の発言を重要視。議長や副議長と同じくFOMCでの影響力が強いNY連銀のウィリアムズ総裁も週末の講演で、FRBが早くて5月FOMCで資産保有縮小を開始することが可能だと言及している。ウクライナ戦争は短期的にインフレを引上げるが、直接的な米国国内総生産(GDP)への影響はおそらく「小さい」との見方。22年のFOMCメンバーではないが、やはり通常はハト派寄りの米サンフランシスコ連銀のデイリー総裁も5月FOMCでの50ベーシスポイントの利上げに傾斜しつつある、とタカ派に転じた、このため、FOMCでは5月の大幅な利上げの論拠が高まりつつあると見られる。発言に足並みが揃えられている兆候が見られ、5月3日、4日に予定されているFOMCに向けて、より伝達が活発化し、市場がFRBの大幅な引き締めに向けた準備を進めていく可能性がある。ブレイナード理事は「バランスシート縮小は3月の見通しに示された以上に引き締め効果がある」としている。FRBは利上げとバランスシートの縮小の効力は同じとしており、利上げ幅を25ベーシスポイントに抑え、保有資産の縮小を加速させていく選択肢もある。どちらにしても、金利上昇に伴うドル買いが継続すると見られる。
<FA>
2022/04/06 07:38
注目トピックス 経済総合
楽天グループを対象とするコール型eワラントが上昇率上位にランクイン(5日10:01時点のeワラント取引動向)
新規買いは、原資産の株価下落が目立つ第一生命ホールディングス<8750>コール152回 5月 2,650円を逆張り、第一生命ホールディングスコール152回 5月 2,650円を逆張り、商船三井<9104>プット119回 5月 3,034円を順張りで買う動きなどが見られる。手仕舞い売りとしてはInpex<1605>コール242回 5月 1,450円などが見られる。上昇率上位は楽天グループ<4755>コール339回 4月 1,200円(+71.4%)、第一生命ホールディングスプット129回 4月 2,150円(+61.1%)、東京海上ホールディングス<8766>プット77回 4月 6,800円(+59.7%)、楽天グループコール338回 4月 1,050円(+56.3%)、第一生命ホールディングスプット130回 4月 2,550円(+51.5%)などとなっている。(カイカ証券)
<FA>
2022/04/05 10:28
注目トピックス 経済総合
NYの視点:FRB高官、米5月FOMCで50bpの利上げに傾斜、同時に景気への懸念も浮上
サンフランシスコ連銀のデイリー総裁は4/1日の3月雇用統計発表後、英FT紙のインタビューで、5月連邦公開市場委員会(FOMC)での0.5%ポイントの利上げの確率が高まったと見られるとの考えを示した。総裁は初期にこのような修正を行うことは適切であると、より信じるようになったと述べた。FRBは3月のFOMCで0.25%の利上げを決定。2018年以降で初めてとなる利上げに踏み切ったが、ロシアのウクライナ侵攻を受けた不透明感から、0.25%の利上げにとどめた。その後も物価圧力は強まり、3月雇用統計も堅調な雇用の伸びや賃金の上昇も加速したことが証明された。総裁は労働市場は非常に強く、「ひっ迫は持続不可能な水準」と、パウエル議長の見解を繰り返した。企業主は従業員を確保、維持することが困難な状況になっている、と言及。デイリー総裁は22年の投票権を有さない。中立金利は2.3%から2.5%と見ている。FRBの議長や副議長と同様にFOMCで影響力があるNY連銀のウィリアムズ総裁も週末の講演において、深刻なインフレリスクに対処するため、「FRBは政策金利を中立に戻す必要がある」との考えを表明した。さらに、FRBは早くて5月FOMCで資産保有縮小開始が可能だと言及した。ウクライナ戦争は短期的にインフレを引上げるが、直接的な米国国内総生産(GDP)への影響はおそらく「小さい」との見方。同時に、米国債市場では急激な大幅な利上げで、経済が近い将来景気後退に陥るとの脅威が強まりつつある。米国債相場では長短金利の逆転も見られる。遠くにベンチマークとして注目されていた2年債と10年債の利回りも逆転。JPモルガン銀のダイモンCEOは、ウクライナ戦争により、ロシアからの撤退など、10億ドルの損害がでるとしたほか、今後数年、制裁などで、世界経済や地政学に主要な影響を与えると警告した。ドルの上昇ペースも抑制される。
<FA>
2022/04/05 07:31
注目トピックス 経済総合
米ドルを対象とするニアピンeワラントが上昇率上位にランクイン(4日10:05時点のeワラント取引動向)
新規買いは、原資産の株価下落が目立つオリックス<8591>プット192回 4月 2,450円を順張りで買う動きなどが見られる。手仕舞い売りとしてはビットコイン先物インデックスリンク債_2024年 トラッカー1回 5月 1.0米ドル、ユニ・チャーム<8113>コール114回 4月 4,800円などが見られる。上昇率上位はニアピン米ドルr2 1338回 5月 113円(+19.4%)、オリックスプット192回 4月 2,450円(+17.5%)、ニアピン米ドルr2 1339回 5月 115円(+17.5%)、ミネベアミツミ<6479>プット85回 4月 2,750円(+16.7%)、オリックスプット195回 5月 2,350円(+16.7%)などとなっている。(カイカ証券)
<FA>
2022/04/04 15:52
注目トピックス 経済総合
NYの視点:【今週の注目イベント】FOMC議事録、ECB理事会議事要旨、など
今週は、米連邦準備制度理事会(FRB)が3月連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録を公表するほか、欧州中銀も3月定例理事会の議事要旨を公表する予定で注目となる。また、米国の消費動向を見極めるため、3月ISM非製造業景況指数に注目。さらに、ウクライナ戦争の行方も引き続きリスク。新型コロナパンデミックによるサプライチェーン混乱がインフレを押し上げ米国や欧州のインフレは80年代来の高水準に達した。今年に入りウクライナ戦争により物価が一段と上昇する中、先進各国の中銀が速やかに大規模緩和を解消する方針に転じている。FRBは3月FOMCで2018年以降で初めてとなる利上げを決定。パウエル議長はこの会合でバランスシート縮小を巡る計画を協議したとしており、内容に注目。議長は早くて5月に計画を発表すると言及していたが、タカ派メンバーは経済にもはやパンデミック緊急対策の大規模緩和が必要ではなく、できるだけ速やかにバランスシート解消を開始すべき、と主張している。同時に、強い雇用統計を受けて一部期間の長短金利が逆転したため、景気後退入りする兆候だと、警戒感も高まった。本年の投票権を有するカンザスシティー地区連銀のジョージ総裁はバランスシート解消を速やかに行えば利回り曲線がスティープニング化すると主張している。パウエル議長を始め、FOMCメンバーは米経済が景気後退に陥るとは予想しておらず、景気鈍化に留まると見ている。議長を含め、ほとんどのメンバーは段階的な利上げペースが好ましいとしているが、経済やインフレ指標次第で50ベーシスポイントの利上げにもオープンだとの見方を示しており、今後の指標結果に注目される。投資家や市場関係者はFRBの金融緩和解除の立ち遅れを指摘すると同時に、国債市場での長短金利の行方に一喜一憂している。急速で過剰な利上げがいずれ、景気後退につながるとの警戒感も根強い。FRB高官は総じて、利上げによる影響が制御可能だと見ており、ソフトランディングを予想している。しかし、投機家、投資家の一部はハードランディングを警戒している。歴史的に逆イールドの商状が最終的に景気後退入りに繋がっているわけではない。また、万が一、示唆しているとしても、景気後退入りは数カ月先のことになるため、ドルの上昇基調は継続か。ユーロ圏の消費者物価指数は過去最大の伸びを記録。ウクライナ戦争により、燃料危機などが影響している。同時に戦争により、域内の経済が景気後退に陥る可能性にも直面。ECBも年内の利上げ観測が再燃しており、ユーロの下値を支える。■今週の主な注目イベント●米国2日:ウィリアムズNY連銀総裁が挨拶4日:2月製造業受注、2月耐久財受注確定5日:2月貿易収支、3月サービス業PMI確定、3月ISM非製造業景況指数、ブレイナード米連邦準備制度理事会(FRB)理事がイベント参加6日:FRBが3月FOMC開催分の議事録を公表、ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁が経済見通しを議論7日:週次新規失業保険申請件数、2月消費者信用残高、ブラード・セントルイス連銀総裁、ボスティック米アトランタ連銀総裁やエバンス・シカゴ連銀総裁がイベント参加8日:2月卸売売上高。●欧州4日:独貿易5日:ユーロ圏サービスPMI6日:ユーロ圏PPI、独製造業受注7日:7日:3月定例理事会の議事要旨ユーロ圏小売り、独鉱工業生産●英国4日:ベイリー英中銀総裁講演、カンリフ副総裁講演7日:英中銀、チーフエコノミストのピル氏が講演●豪州5日:豪州準備銀金融政策決定会合●中国6日:財新サービス、総合PMI7日:外貨準備●ウクライナ7日:ゼレンスキー大統領がギリシャ議会で演説●日本8日:貿易収支、消費者信頼感
<FA>
2022/04/04 07:30
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国内外の注目経済指標:3月ISM非製造業景況指数は改善予想
4月4日−8日週に発表される主要経済指標の見通しについては、以下の通り。■5日(火)午後9時30分発表予定○(米)2月貿易収支-予想は-889億ドル参考となる1月実績は-897億ドル。輸入の増加によって赤字幅は市場予想を上回り、一段と拡大した。2月については輸出額が急増する可能性は低いとみられており、輸入に対する需要が依然として堅調であることから、貿易赤字額は1月実績に近い水準となる可能性がある。■5日(火)午後11時発表予定○(米)3月ISM非製造業景況指数-予想は58.3参考となる2月実績は56.5で1月実績を下回った。新型コロナウイルスの冬場の感染再拡大の影響が消えていなかったようだ。3月についてはロシアによるウクライナへの軍事侵攻の影響が表面化するが、雇用情勢の改善、サプライチェーン(供給網)の逼迫は解消されつつあること、受注残は高水準を維持していることから、2月実績を上回る可能性がある。■7日(木)午後6時発表予定○(欧)2月ユーロ圏小売売上高-1月実績は前月比+0.2%参考となる1月実績は前月比+0.2%の小幅な伸びにとどまった。インフレ進行の影響が出ているようだ。ネット通販も低調だった。2月については、高インフレの影響が引き続き残ること、食品や飲料の販売は伸び悩んでいることから、売上高の伸びは1月実績を下回る可能性がある。■8日(金)午前8時50分発表予定○(日)2月経常収支-予想は+1兆4885億円参考となる1月実績は-1兆1887億円で赤字幅は市場予想を上回った。貿易収支は-1兆6043億円、第1次所得収支は+1兆2890億円。2月については、第1次所得収支の黒字幅が大幅増加すること、貿易赤字の縮小が予想されることから、経常収支は1兆円を超える黒字となる見込み。○その他の主な経済指標の発表予定・4日(月):(独)2月貿易収支・5日(火):(豪)豪準備銀行政策金利発表・6日(水):(中)3月財新サービス業PMI・7日(木):(豪)2月貿易収支、(独)2月鉱工業生産・8日(金):(加)3月失業率
<FA>
2022/04/02 14:45
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(中国)上海総合指数は0.54%安でスタート、景気の先行き不安が高まる
1日の上海総合指数は売り先行。前日比0.54%安の3234.66ptで寄り付いた後は、日本時間午前10時50分現在、0.20%安の3245.59ptで推移している。上海市のロックダウン(都市封鎖)の実施などが景気の先行き不安を強めている。また、ウクライナ情勢の不透明感なども引き続き警戒されている。一方、指数は安く寄り付いた後は下げ幅を縮小させている。景気対策への期待などが引き続き支援材料となっているもようだ。
<AN>
2022/04/01 11:02
注目トピックス 経済総合
商船三井を対象とするプット型eワラントが前日比2倍の大幅上昇(1日10:45時点のeワラント取引動向)
新規買いは原資産の株価下落が目立つ日本郵船<9101>コール154回 5月 11,500円を逆張り、日本郵船コール154回 5月 11,500円を逆張り、ソニーグループ<6758>プット359回 4月 11,000円を順張りで買う動きなどが見られる。手仕舞い売りとしては商船三井<9104>コール131回 4月 3,733円などが見られる。上昇率上位は商船三井プット116回 4月 2,867円(前日比2倍)、日本郵船プット137回 4月 8,700円(+89.2%)、ユニ・チャーム<8113>コール115回 4月 5,500円(+75.0%)、コナミホールディングス<9766>コール84回 4月 7,700円(+66.9%)、商船三井プット115回 4月 2,434円(+64.3%)などとなっている。(カイカ証券)
<FA>
2022/04/01 10:56
注目トピックス 経済総合
JPX金は底堅く推移 サンワード貿易の陳氏(花田浩菜)
皆さん、こんにちは。フィスコリサーチレポーター花田浩菜の気になるレポートです。今回は、金についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、今週の金について『JPX金は底堅く推移』と述べています。次に、『29日、ロシアとウクライナの停戦交渉の進展に期待が高まり、安全資産の金には売りが膨らみ、1912.20ドル(前日比−27.60)。16日以来2週間ぶりの安値で引けた』と伝え、『この日、ウクライナ軍事侵攻をめぐる停戦交渉がトルコ最大の都市イスタンブールで再開された。協議後には、ロシアのフォミン国防次官がウクライナ北部の首都キエフなどでの軍事作戦を大幅に縮小すると決めたという。ロシア側交渉代表団の高官はこの決定は停戦を意味しないとしたものの、協議の進展に楽観的な見方が台頭した。』と解説しています。陳さんは、『金のリスクプレミアムが剥落し一時1888.30ドルまで下落。ドル安・ユーロ高に伴う割安感などから買い戻しが入り、心理的な節目である1900ドルを回復したが、戻りは限定的だった。』と述べています。また、『NY金(4月限)の上昇は1月28日の安値14780.60ドルを起点として3月8日の高値2078.80ドルが終点だった。これにフィボナッチ比率を当てはめると、0.62倍押しの1894ドルで下げ止まり、その後は一時0.38倍押しの1965ドルを上回った。ただ、ロシア・ウクライナの停戦協議に期待もあり、上値抵抗線に押し返されてしまった』と解説しています。NY金については、『当面の間、1894~1965ドルのゾーンでレンジ相場が続きそうだ。停戦交渉がまとまらない場合、節目の1950ドル水準まで浮上するとの見方もある』とし、『一方、交渉がまとまれば1900ドルを割り込む場面もあろうが、インフレ懸念を背景に下値はサポートされよう』と見解を述べています。JPX金については、『円安の追い風を受けて29日には7731円をつけて史上最高値を更新した。週明け28日午前10時10分、日銀は長期国債の利回りを0.25%に維持するため、国債買い入れ(指し値オペ)を通告した。日米の金利差拡大が意識され、ドル買い・円売りが強まり、ドル円は2015年8月以来の125円に上昇した』と伝えています。また、『足元のドル円は、122円台に下落しているが、日米の金利差拡大から、円安傾向は続くだろう。海外金融大手機関では、1ドル=150円を予想している向きもある』と言及しています。こうしたことから、陳さんは、『JPX金は円安を背景に7000~8000円で堅調に推移しそうだ』と考察しています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の3月30日付「JPX金は底堅く推移」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。フィスコリサーチレポーター 花田浩菜
<FA>
2022/04/01 09:35
注目トピックス 経済総合
南アフリカランド円は、利上げを背景に上昇基調が継続しよう サンワード貿易の陳氏(花田浩菜)
皆さん、こんにちは。フィスコリサーチレポーター花田浩菜の気になるレポートです。今回は、南アフリカランド円についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、『今週の南アフリカランド円は、利上げを背景に上昇基調が継続しよう』と述べています。続けて、『南アフリカ準備銀行(中央銀行)は24日の会合で、政策金利を4.0%から4.25%に引き上げた。3会合連続の利上げ。金融政策委員会(MPC)のメンバー5人のうち決定を支持したのは3人で、残り2人は0.5ポイントの利上げを主張した』と伝えています。また、『ロシアのウクライナ侵攻を原因とするインフレ圧力への対処などを理由に、2024年末までの利上げペースが加速することも示唆した。MPCが今後の指針として活用している予想モデルは今年末時点の金利を5.06%としており、1月の予想4.91%から上昇した。24年末時点の金利は6.68%と見込まれ、1月の6.55%から同様に引き上げられた』と解説しています。さらに、『2月のロシアの軍事侵攻で資源価格が高騰し、景気の先行き不透明感が増す中、資源国通貨へ投資資金が流入している。南アフリカはロシアに次ぐパラジウムの生産国であり、この他にもプラチナ、ダイヤモンド、希少金属等が豊富に産出されるため、資源輸出を背景に貿易黒字が拡大し、通貨高を支援するという構図になっており、南アランド買いは継続しよう』と考察しています。また、『利上げによりスワップポイントの増額も見込まれることから、個人投資家の買い人気を集めそうだ』と述べています。こうしたことから、陳さんは、南アフリカランド円の今週のレンジについて、『8.20円~8.60円』と予想しています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の3月29日付「南アフリカランド円今週の予想(3月28日)」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。フィスコリサーチレポーター 花田浩菜
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2022/04/01 09:18
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NYの視点:景気後退懸念も浮上する中、バイデン政権や同盟国が石油備蓄放出で燃料価格高抑制へ
バイデン政権は史上最大の石油戦略備蓄放出計画を発表した。中間選挙を前に、燃料価格の上昇によるインフレの一段の上昇や家計への痛手を軽減することを目指す。さらに、現在、現在輸送中の制裁前に購入したロシア産原油が米国の港に到着する時期に合わせ、さらなるひっ迫を回避したい考え。新型コロナパンデミックによるサプライチェーン混乱で商品価格や燃料価格が上昇。今年に入り、ロシアのウクライナ侵攻によりサプライチェーンの混乱は収束するどころか悪化。貴金属や石油価格に加えて穀物価格も引き上げ、すでに高いインフレをさらに引き上げる可能性が懸念されている。米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ指標として注視している燃料や食料を除いたコアPCE価格指数の2月分は前年比+5.4%と、1月+5.2%から伸びが拡大し1983年3月以降ほぼ39年ぶり最大を記録。FRBの目標である2%を依然、大幅に上回っている。同時に、2月個人消費支出(PCE)は前月比+0.2%と、伸びは1月+2.7%から予想以上に縮小し12月来で最小の伸び。1月分は+2.1%から+2.7%へ上方修正された。消費の鈍化は回復を抑制する。米国債市場で、米2年債と10年債の利回り動向にも注目が集まっている。もし、利回りが逆転したら、景気後退のシグナルと警戒されている。ただ、欧州などでも同様の商状であるためドルの下落は限定的か。
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2022/04/01 07:37
注目トピックス 経済総合
(中国)上海総合指数は0.32%安でスタート、米国が対中圧力を強める
31日の上海総合指数は売り先行。前日比0.32%安の3256.13ptで寄り付いた後は、日本時間午前10時51分現在、0.23%安の3259.03ptで推移している。米国が対中圧力を強めていることが引き続き不安視されている。また、ウクライナ情勢の不透明感が解消されていないことも引き続き嫌気されている。一方、国内での金融緩和の実施観測が指数をサポートしている。
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2022/03/31 10:56
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王子ホールディングスを対象とするコール型eワラントが上昇率上位にランクイン(31日10:04時点のeワラント取引動向)
新規買いは原資産の株価上昇が目立つ商船三井<9104>コール134回 5月 3,966円を順張りで買う動きなどが見られる。手仕舞い売りとしては日経平均コール2164回 5月 24,000円、商船三井コール134回 5月 3,966円、任天堂<7974>プット389回 5月 59,000円などが見られる。上昇率上位は王子ホールディングス<3861>コール59回 4月 700円(+58.3%)、WTI原油先物リンク債_2022年6月限プット8回 4月 75米ドル(+50.0%)、王子ホールディングスコール60回 4月 800円(+50.0%)、WTI原油先物リンク債_2022年6月限プット9回 4月 80米ドル(+50.0%)、WTI原油先物リンク債_2022年6月限プット10回 4月 85米ドル(+46.9%)などとなっている。(カイカ証券)
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2022/03/31 10:21
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NYの視点:米3月雇用統計:失業率はパンデミック前の水準回復予想、FRBの引き締め加速正当化か
米国労働省はワシントンで4日、3月雇用統計を発表する。エコノミストの平均予想で、失業率は3.7%と、2カ月連続低下でパンデミック前の水準回復が予想されている。非農業部門雇用者数は49万人増と、2月67.8万人増から伸びが鈍化するものの、歴史的には依然高水準を維持する見通し。平均時給は前月比+0.4%、前年比+5.5%と、それぞれ、横ばい、+5.1%から伸びが拡大すると見られている。先行指標の中で雇用統計と相関関係が最も強いとされる民間の雇用者数を示すADP雇用統計の3月分は前月比+45.5万人と、2月+48.6万人から伸びが鈍化も予想を小幅上回った。米国経済は消費が7割を占めるため、特に注目が集まる全米のサービス業活動を示すISM非製造業景況指数雇用の3月分は48.5と、21年6月以降で初めて50を割り込み活動の縮小を示し、雇用の鈍化兆候を示した。一方で、失業保険申請件数は1969年以降53年ぶり低水準を記録しており、労働市場のひっ迫を示す結果となった。米国債相場で一部の期間で、長短金利差の逆転が見られ、経済が景気後退入りする可能性への懸念も浮上。米カンザスシティー地区連銀のジョージ総裁はバランスシートを縮小することで、利回り曲線がスティープニングすると指摘している。雇用統計の結果は連邦準備制度理事会(FRB)の引き締め加速計画を正当化すると見られる。市場の注目は次回の5月連邦公開市場委員会(FOMC)で果たしてFRBが50ベーシスポイントの利上げに踏み切るかどうか。5月までにはまだ、さらに、インフレ指標が発表されるため、結果を睨む。FRBは成長鈍化と、インフレ高進の可能性への対処で、政策で均衡を保つ必要性に迫られる。■3月雇用統計の先行指標・米・1月ADP雇用統計:-30.1万人(予想:+18.0万人、12月:+77.6万人←+80.7万人)・ISM製造業景況指数雇用:53.1(52.9)・ISM非製造業景況指数雇用:48.5(52.3)・NY連銀製造業景況指数:雇用(現状):+14.5(2月23.1、6カ月平均+19.7)週平均就業時間:+3.5(+10.9、6カ月平均+12.5)6か月先雇用:+27.0(25.5、6カ月平均30.5)週平均就業時間:+15.0(15.3、6カ月平均+13.4)・フィラデルフィア連銀製造業景況指数雇用(現状):38.9(32.3、6カ月平均31.5)週平均就業時間:21.4(10.8、21.8)6か月先雇用:40.7(36.6、6か月平均43.2)週平均就業時間:14.5(2.4、6か月平均11.6)・消費者信頼感指数(%)雇用十分:57.2(53.5、27.5)不十分:33.0(34.5、53.2)困難:9.8(12.0、17.3)6カ月後増加:17.4(19.4、35.4)減少:17.7(19.6、14.8)不変:64.9(61.0、49.8)所得増加:14.9(14.7、18.0)減少:13.7(13.0、10.1)不変:71.4(72.3、71.9)・失業保険申請件数_件数 前週比 4週平均 継続受給者数03/19/22| 187,000| -28,000| 211,750| n/a03/12/22| 215,000| -14,000| 223,250| 1,350,00003/05/22| 229,000| 13,000| 231,750| 1,417,00002/26/22| 216,000| -17,000| 230,750| 1,490,00002/19/22| 233,000| -16,000| 236,500| 1,469,00002/12/22| 249,000| 24,000| 243,500| 1,474,00002/05/22| 225,000| -14,000| 253,750| 1,589,000■市場エコノミスト予想失業率:3.7%(2月3.8%)非農業部門雇用者数:前月比+49万人(2月+67.8 万人)民間部門雇用者数:前月比+49.9万人(+65.4万人)平均時給:予想:前月比+0.4%、前年比+5.5%(+0.0%、+5.1%)
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2022/03/31 07:37
注目トピックス 経済総合
従来の戦争形態を一変させたSNS…「ウクライナ市民のSNS発信」は、「ロシアへの敵対行為」と見なされるのか?
● 戦争の行方をも左右する「SNS情報」「人民戦争」は、「敵を人民の海に深く誘い入れ、包囲し殲滅する」という毛沢東理論の一つであり、自国内で敵を迎え撃つ思想とされている。人の数を武器とする考え方であり、第二次世界大戦中の旧日本軍が中国人の海に、ベトナム戦争中のアメリカ軍がベトナム人の海に飲み込まれた。現在ロシアのウクライナ侵攻において、ウクライナから発信されるSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)情報が、戦争の行方を大きく左右しようとしている。特に、ウクライナのゼレンスキー大統領が継続的にSNS発信を行い、ウクライナ人を鼓舞するとともに、ウクライナに対する国際的支援獲得に効果を上げている。ロシアのウクライナ侵攻を「ウクライナ戦争」と呼称した場合、この戦争は将来の戦争形態に大きな影響を与えることが考えられる。戦争継続中の現時点で、評価を下すことは時期尚早ではあるが、今回の戦争では多くの個人が発信するSNS情報の波が、人民戦争論における「人の海」と似通っている点が指摘できる。あくまでも、現時点ではという但し書きで、SNSがウクライナ戦争に与えた影響について考えてみたい。● 「リアルタイムで」世界に戦況を発信第一に、情報の収集及び発信の観点から、SNSは戦争の様相を大きく変えている。SNSが災害や事故において、情報収集と発信の有益なツールとなっていることは広く知られている。テレビのニュースで、「視聴者提供」とされる被災時の写真や動画が数多く確認できる。これらはSNS情報を広く収集し、これに時間と位置情報を紐づけ、サービスとして提供する会社が配信しているものである。ウクライナ戦争においても、市民や監視カメラが撮影したミサイル着弾や、逃げ惑う市民、怪我を負った人々の写真や動画が溢れている。殺戮と破壊が本質である戦争の実態が、これほど、ほぼリアルタイムに国際社会が共用できたのはウクライナ戦争が初めてといって過言ではない。ここで注意をしなければならないのは次の2点である。その一つは、SNS情報の入手及び配布には必ずそれを行う者の視点、意図せずとも、ある意味バイアスがかかることである。ウクライナから発信される情報は、多くの人間の興味を引くであろうと発信者が思う情報であり、切り取られた情報である。爆撃されたとされるほとんどの建物が民間アパートであり、破壊された戦車は全てロシア軍のものとなっている。ウクライナ軍基地の状況やウクライナ軍の被害状況が分かる情報はあえて外されている。● SNS情報には「偏りがある」もう一つは、情報に偏りがある事である。これには地域的断絶と世代的断絶がある。人口の少ない地方における発信は必然的に低くなるであろうし、SNSになじみのない高齢者が多く居住する地域の情報も少なくなる。したがって、それらの場所で生起した重要な出来事がSNSで発信される確率は低くなる。情報の伝達に関し、「バイアスがかかる」及び「情報格差がある」というのは、人が介在するという観点から、人民の海における情報伝達とほぼ同じと推定できる。むしろ、口コミで広がる情報の方が、多くの仲介者経由することにより、元の情報から乖離する傾向が大きくなるであろう。伝言ゲームで、最初と最後では全く違う言葉が伝達されることはよく知られている。この点が、元の情報を多くの人間が共有できるSNSと大きく違う点である。日中戦争における旧日本軍の非道性は、バイアスがかかったまま拡散し、実態と大きく乖離した可能性も否定できない。● 「市民のSNS情報」を利用するウクライナ軍SNSがウクライナ戦争に与える影響として挙げられる二点目は、戦争の直接手段としての情報発信である。ウクライナ市民がロシア軍の戦車や部隊の位置をSNSアプリの「テレグラム」を使用し配信し、これをウクライナ軍が利用していることが指摘されている。ドローンによる写真撮影も一般化し、多くの市民がドローンで戦況を撮影することが可能な状況となっている。ドローンによる情報収集を行えば、更に広範な情報収集が可能である。1977年に、武力紛争の形態が多様化・複雑化したことを受けて、文民の保護等に関し「ジュネーブ諸条約追加議定書」が採択された。その中では、「文民は敵対行為に直接参加しない限り、文民として保護を受ける」と規定されている。民間人がドローン等を使用して軍事情報を収集することは攻撃という「敵対行為」に直結する行為であろう。しかしながら、民間人が、攻め入ってくるロシア軍の存在をウクライナ軍が利用することを承知又は期待してSNSに投稿することは、「敵対行為」に直接参加したと言えるであろうか。毛沢東の人民戦争論は、「人民の海」を武器として考えるものであり、ここでは「軍人」と「文民」の区別は無い。毛沢東の人民戦争論が民間人の犠牲者を拡大させたという指摘も、この点を問題視している。百田尚樹氏は著書「日本国紀」において、「便衣兵(民間人に化けたゲリラ兵)はいて、日本軍はそれを見つけるたびに処刑していたから、中には弁衣兵と間違われて殺された民間人もいたかもしれない」、と記している。民間人を装った戦闘員と間違われて殺害された例は日中戦争に留まらない。ベトナム戦争において、米軍が無抵抗の村民を虐殺した「ソンミ村虐殺事件」も、米軍兵士が村民を北ベトナムのゲリラと誤判断したためとされている。● 「ウクライナ市民のSNS発信」は、「ロシアへの敵対行為」と見なされる?SNSは、ウクライナ戦争においてウクライナの大きな武器となっている。しかしながら、そのSNSの受け手である我々は、その虚実だけでは無く、それがある場面を発信者の都合の良い形で切り取った情報であるということを認識する必要がある。また、ウクライナ戦争における民間人のSNS発信を、「敵対行為」として攻撃することの是非について新たな課題を提起している。毛沢東の人民戦争論が、「軍人」と「民間人」の境界を曖昧にさせたことを彷彿させる。今回のウクライナ戦争は、情報戦の一手段としてのSNSの役割を再認識させた。同時に、SNS情報の発信者と受信者双方に「SNSリテラシー」の向上を迫っていることを忘れてはならない。サンタフェ総研上席研究員 末次 富美雄防衛大学校卒業後、海上自衛官として勤務。護衛艦乗り組み、護衛艦艦長、シンガポール防衛駐在官、護衛隊司令を歴任、海上自衛隊主要情報部隊勤務を経て、2011年、海上自衛隊情報業務群(現艦隊情報群)司令で退官。退官後情報システムのソフトウェア開発を業務とする会社において技術アドバイザーとして勤務。2021年から現職。写真:當舎慎悟/アフロ■実業之日本フォーラムの3大特色実業之日本フォーラム( https://jitsunichi-forum.jp/ )では、以下の編集方針でサイト運営を進めてまいります。1)「国益」を考える言論・研究プラットフォーム・時代を動かすのは「志」、メディア企業の原点に回帰する・国力・国富・国益という用語の基本的な定義づけを行う2)地政学・地経学をバックボーンにしたメディア・米中が織りなす新しい世界をストーリーとファクトで描く・地政学・地経学の視点から日本を俯瞰的に捉える3)「ほめる」メディア・実業之日本社の創業者・増田義一の精神を受け継ぎ、事を成した人や新たな才能を世に紹介し、バックアップする
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2022/03/30 16:17
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(中国)上海総合指数は0.43%高でスタート、海外株高などで買い優勢
30日の上海総合指数は買い先行。前日比0.43%高の3217.59ptで寄り付いた後は、日本時間午前10時48分現在、0.76%高の3228.40ptで推移している。海外株高を受け、中国株も買いが優勢。また、ロシアとウクライナの停戦交渉に進展があったとの報道が好感されている。このほか、原油相場の下落がインフレ率の高進懸念をやや緩和させている。
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2022/03/30 10:57
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プラチナリンク債を対象とするプラス5倍トラッカーが上昇率上位にランクイン(30日10:04時点のeワラント取引動向)
新規買いは原資産の株価下落が目立つ日本郵船<9101>コール153回 5月 10,000円を逆張り、日本郵船コール153回 5月 10,000円を逆張り、日本郵船コール153回 5月 10,000円を逆張りで買う動きなどが見られる。手仕舞い売りとしてはビットコイン先物インデックスリンク債_2024年 トラッカー1回 5月 1.0米ドル、日本郵船プット139回 5月 8,500円、三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>コール369回 4月 875円、野村日経225レバレッジETF プラス5倍トラッカー43回 5月 11,000円などが見られる。上昇率上位はプラチナリンク債 プラス5倍トラッカー44回 4月 1,000米ドル(+57.0%)、任天堂<7974>プット386回 4月 54,000円(+50.0%)、資生堂<4911>コール66回 4月 7,700円(+50.0%)、KDDI<9433>プット224回 4月 3,600円(+43.3%)、住友金属鉱山<5713>プット256回 4月 5,100円(+43.3%)などとなっている。(カイカ証券)
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2022/03/30 10:24
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ウォール街を知るハッチの独り言 競争激化の米国の動画ストリーミングサービスの現状
さて、マネックス証券の「メールマガジン新潮流」が、3月28日に配信されました。そのなかから今回は、同証券のチーフ・外国株コンサルタント、『ハッチ』こと岡元兵八郎氏のコラム「ウォール街を知るハッチの独り言」の内容をご紹介いたします。「えっ、あなたの国でもネットフリックスが観れるのですか!」私が驚いたのは、2017年、アフリカ西部のセネガルの首都ダッカで、この国の最大手上場企業のソナテルの本社でのCFOとのミーティングをしている時のことでした。ソナテルとは、セネガルのドコモのような通信会社です。ソナテルの事業について話を伺っている際に、先方から彼らのサービスの一環としてネットフリックスのマーケティングを行なっているという話が出たのです。私にとって意外だったのは、1人当たりのGDPが当時1361ドル(当時の為替で約15万円)のこの国でネットフリックスを観る人がいるのだということでした。その後冷静に考えてみると、どの国の人であってもエンターテイメントを欲しがっており、その傾向はむしろ所得の低い国の方がその気持ちは高いのだろうなと、腑に落ちたのです。ハリウッドのグローバル進出はDVDや映画館だけでなく、インターネット上でも着実に進んでいたのです。アメリカでコード・カッティングという言葉が使われ始めました。2007〜2008年頃のことです。コードカッティングとは、ケーブルテレビを解約して、インターネットの動画配信サービスを選択する消費者動向を表す言葉のことです。アメリカでは全米的にケーブルTVが普及しており、地方にいても地上波のローカルのTVだけでなく、スーパーチャンネルと呼ばれる地方の人気TV局や、ニュース専門チャンネルなど425以上のチャンネルが観られるようになっています。ケーブルTV離れを引き起こしたきっかけが、ネットフリックス、アマゾン、HULUといったストリーミング動画配信の存在です。ネットフリックスは3,781以上の映画を、米国では月間9.99ドル(約1,200円)で観ることができ、いつでも解約可能です。一方、ケーブルTVは125ものチャンネルがあるものの、月間75ドル(約9,100円)も払う必要があります。しかも最低契約期間があるので自由にキャンセルはできません。加えて、125ものチャンネルのほとんどは観ないでしょう。米国でのストリーミングサービス業界の競争は激化する一方です。日本でもサービスを行なっているアップルTVプラスやディズニープラスに加え、映画会社やネットワークTV局も独自のストリーミングサービスを開始しています。例えば、フォックスエンターテイメントのTubiでは、3.5万以上の映画や、95以上のローカル局のニュースを24時間無料で配信したりしています。 無料なのはCMモデルだからです。4大テレビネットワークの一つNBC放送のストリーミングサービスであるピーコックは、過去のNBCが放送したドラマなどの番組を無料で見ることができます。実はアマゾンはアマゾンプライムとは別に、IMDb TVという無料でプレミアムな映画が観られるストリーミングサービスを保有しています。私が感動したのは、Pluto TVと呼ばれるストリーミングサービスで、 ここでは映画に加え、100以上のチャンネルの中で、ある特定の番組を一日中放送しているチャンネルがあるのです。日本で例えて言うと、水谷豊演じる「相棒」シリーズを24時間連続で毎日放送しているようなチャンネルが数十もあるのです。それがもちろん全て無料なのです。このような状況ですから、各社視聴者獲得のために大金をかけて、より質の高い番組を作ろうとしている訳です。米国時間3月27日夜にはアカデミー賞が発表される予定ですが、ネットフリックスオリジナル作品は合計10作品・27部門のノミネートを獲得し、2021年に続き、最もノミネートを受けた映画制作会社となりました。また今年はアップルTVからも史上初のアカデミー賞作品賞ノミネートがありました。 このように動画ストリーミングサービスから、並みいるハリウッドメジャースタジオを制する作品が登場しており、テレビ・映画ファンには見たい作品が多すぎる、忙しい時代になるかもしれません。マネックス証券 チーフ・外国株コンサルタント 岡元 兵八郎(出所:3/28配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より、抜粋)
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2022/03/30 09:19
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NYの視点:米2月JOLT求人件数:総失業者を500万件上回る、過去最大、FRBの利上げ加速正当化へ
米労働省が発表した2月JOLT求人件数は1126.6万件と過去最高付近を維持した。1月分も1128.3万件へ1126.3万件から上方修正された。総失業率の627万人を500万近く上回った。その差は、過去最大。労働市場の自信をあらわすとして注目される退職率(Quits rate)は2.9%と、1月2.8%から上昇した。自発的離職者の440万人。連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は労働市場のひっ迫が不健全な水準に達したと警戒し、利上げ加速が正当化するとの考えを示している。労働省が発表する最新3月の雇用統計の発表が待たれるが、JOLT求人件数の結果は、労働市場のひっ迫を示す新たな証拠となり、FRBの引き締め加速を正当化する。■雇用たるみダッシュボード◎金融危機前に比べ状態が改善 パンデミック: 金融危機前水準と比較2月求人率(Job openings rate):7.0%(1月7.0% ) 4.4%, 3%2月退職率(Quits rate):2.9%(2.8%) 2.3%: 2.1%2月解雇率(Layoffs/discharges rate):0.9%(前月0.9%,前年1.1%) 1.2%2月雇用者数(Nonfirm payrolls):+67.8万人(12月+48.1万人) +25.1万人,+16.18万人2月採用率(Hiring rate):4.4%(1月4.3%) 3.8%2月失業率(Unemploynent rate):3.8%(1月4.0%) 3.5%, 5%2月広義の失業率(U-6):7.2%(1月7.1%) 7.0%, 8.8%◎金融危機前に比べ状態悪化2月労働参加率:62.3%(1月62.2%) 63.4%, 66.1%2月長期失業者数(15週以上):38.3k(1月38.4k) 19k
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2022/03/30 07:40
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NY原油は120ドル、東京ドバイ原油は7万円へ サンワード貿易の陳氏(花田浩菜)
皆さん、こんにちは。フィスコリサーチレポーター花田浩菜の気になるレポートです。今回は、原油についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、『NY原油は120ドル、東京ドバイ原油は7万円へ』と述べています。続けて、『23日のNY原油は、110ドルを越える上昇となった。終値は114.93ドル(前日比+5.66)。ロシア産原油と、カスピアン・パイプライン・コーンソーシアム(CPC)パイプライン経由でのカザフ産の原油の輸出に混乱が生じていることで、世界供給の逼迫懸念が強まった』とし、『パイプライン運営会社のカスピアン・パイプライン・コンソーシアム(CPC)の幹部は、嵐などの悪天候が断続的に続くため、ロシア・黒海ターミナルからの原油輸出を23日に全面的に停止したと明らかにした』伝えています。また、『CPCパイプラインはカザフの主要な油種を世界需要の1.2%に相当する日量約120万バレル運んでおり、世界市場にとって大きな供給ルートとなっている。ロシアの原油輸出は日量400万~500万バレルで、このうちどの程度が市場に出回らなくなるのかは今のところ不透明』と言及しています。次に、『市場では、ロシア産原油購入の事実上の禁止が、日量200万~300万バレルの供給減をもたらしているとの見方が広がっており、その供給の代替方法を世界が見いだせるまでは、相場上昇が続くと見られている』と解説しています。さらに、『プーチン大統領が23日、日本や欧州などへの天然ガス輸出について、支払いをルーブルのみにすると述べたことも市場に動揺を起こしている』と述べています。こうしたことから、陳さんは、『NY原油は120ドルを目指す可能性が高いだろう。東京ドバイ原油は既に6万円台後半で推移しているが、円安がさらに進むことを考えれば7万円の大台が視野に入ってくるだろう』と考察しています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の3月24日付「NY原油は120ドル、東京ドバイ原油は7万円へ」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。フィスコリサーチレポーター 花田浩菜
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2022/03/29 18:34
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「日本の食糧安全保障体制」はどうなっている?ウクライナ侵攻で帯びてきた「食糧危機の現実味」【実業之日本フォーラム】
● 「世界全体の3割を占める」ロシア・ウクライナの小麦輸出ウクライナ国旗の上半分の青は青空を、下半分の黄色は小麦畑を表していると言われている。ロシアがウクライナに侵攻して1カ月が過ぎ、戦況は混とんとしている。ロシアとウクライナは有数の小麦の輸出大国であり、両国の輸出量は世界全体の3割を占めている。ロシアとウクライナの紛争により、穀物市場では小麦などの価格が高騰し、今後食料自給率の低い日本への影響は避けられないだろう。農林水産省は、令和4年4月期の「輸入小麦政府売渡価格」を令和3年10月と比べて17.3%引き上げ、1トン当たり72,530円(税込み価格)に決定した。今回のロシアのウクライナ侵攻に際し、日本の食料自給率や食料安全保障の現状等について見てみよう。● 日本の食料自給率は「G7で最低水準」日本で食料自給率の統計を取り始めたころの1965年では、カロリーベースの自給率が73%、生産額ベースが86%と、ある程度高い水準であった。その後、米の消費減少、畜産物、油脂類の消費増大等の影響により、2000年以降ではカロリーベースで40%以下(2021年は37%)、生産額ベースでも70%以下(2021年は68%)に低迷している。カロリーベースで主要国の自給率を比較すると、カナダは266%、オーストラリアは200%、アメリカは132%、フランスは125%となっており、日本の自給率はG7では、最低の水準となっている。さらに、日本は山岳地帯が多く平野が少ないという地形上の特性もあり、耕作面積は約440万ヘクタールと、アメリカの90分の1、フランスの7分の1、イギリスの4分の1にとどまっている。加えて、農業就労人口も2000年の400万人から2019年には168万にまで減少し、かつ、農業従事者の平均年齢は1990年以降約10歳高齢化し、現在では平均年齢約66歳となっている状況だ。● 世界人口、2050年には86億人へ農水省は、2050年の世界の人口増加や経済発展を見通した「食料需給上のリスク」を検討している。2050年には世界の人口は86億人に達し、世界のGDPは2010年の3.5倍に当たる225.8兆ドルに達する見通しを立て、食料の需要量は2010年の1.7倍の58.17億トンとなり、約24億トン増加すると発表している。さらに、地球温暖化による気候変動の影響やバイオエタノールの生産拡大など世界の食料需給構造の変動を見極めて、食料の安定供給を目指すとしている。一方、外務省は2020年8月、「日本と世界の食料安全保障」において、 (1)国内生産の増大、(2)安定的な輸入の確保、(3)備蓄の適切な活用を「食料安全保障」の3本柱として、食料の安定供給を図っていくとしている。● 「食糧安全保障上位」は北欧諸国が占めている英誌エコノミストは、2021年10月にその年の「世界の食料安全保障指数(Global Food Security Index)」を発表した。この調査は2012年から実施されており、2021年は、113カ国を対象に100を最も高い値として、食料の「所得に対する値頃感」、「入手しやすさ」、「品質・安全性」、「資源および強靭性」の4つの主要項目を59の指標に分けて評価している。日本の評価は79.3点、順位は8位であった。日本の「所得に対する値頃感」は10番目、「入手しやすさ」は5番目と比較的上位にある一方、「品質・安全性」は28番目、「資源及び強靭性」は14番目となっている。総合評価では、世界の首位はアイルランドで、以下、オーストリア、イギリス、フィンランド、スウェーデンが続く。上位は北欧を中心とする欧州各国が占め、主要先進国が購買力の強さを発揮した形だ。このような評価が得られたとはいえ、日本は食料の6割以上を海外からの輸入に頼っているというのが現実であり、今回のロシアのクリミア侵攻のような不測の事態が発生した際、農産物の生産停止、流通の停滞、価格の高騰などの外的要因に大きく影響を受ける体制に変わりはない。● 急がれる「日本の食糧安全保障体制の構築」2012年以降、日本の農林水産物・食品の輸出は僅かながらではあるが増加傾向にあり、2021年の輸出額は1兆2385億円となった。主な輸出先は、香港、アメリカ、中国、台湾など、近隣のアジア諸国が多くを占めている。農林水産物・食品の輸出増加は農業の発展と農業従事者の拡充に繋がるのではないだろうか。今後、さらにスマート農業(ロボット技術やICT等の先端技術を活用し、超省力化や高品質生産等を可能にする新たな農業:農水省の定義)の導入により生産性の向上や農業の魅力化を目指し、農業就労人口の増加や若年化を図り、ひいては農業振興による食料自給率の向上に繋げる政策が求められるだろう。食料安全保障については長い間そのリスクが指摘されているものの、実効性のある政策は打ち出されていないように思われる。外務省が掲げる食料安定供給策のうち、「安定的な輸入の確保」や「備蓄の適切な活用」も重要であるが、まず取り組むべきは「国内生産の増大」である。ロシアによるウクライナ侵攻のような、食料の生産、供給、流通が阻害される事態においても、国民の生存のため、あらゆる状況における堅固で安定した食料安全保障体制の構築を期待したい。サンタフェ総研上席研究員 將司 覚防衛大学校卒業後、海上自衛官として勤務。P-3C操縦士、飛行隊長、航空隊司令歴任、国連PKO訓練参加、カンボジアPKO参加、ソマリア沖・アデン湾における海賊対処行動教訓収集参加。米国海軍勲功章受賞。2011年退官後、大手自動車メーカー海外危機管理支援業務従事。2020年から現職。写真:TASS/アフロ■実業之日本フォーラムの3大特色実業之日本フォーラム( https://jitsunichi-forum.jp/ )では、以下の編集方針でサイト運営を進めてまいります。1)「国益」を考える言論・研究プラットフォーム・時代を動かすのは「志」、メディア企業の原点に回帰する・国力・国富・国益という用語の基本的な定義づけを行う2)地政学・地経学をバックボーンにしたメディア・米中が織りなす新しい世界をストーリーとファクトで描く・地政学・地経学の視点から日本を俯瞰的に捉える3)「ほめる」メディア・実業之日本社の創業者・増田義一の精神を受け継ぎ、事を成した人や新たな才能を世に紹介し、バックアップする
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2022/03/29 16:05
注目トピックス 経済総合
プライバシーと国家安全保障の境界に潜む闇…民間企業の競争が生み出すハイエンド・テクノロジーの功罪【実業之日本フォーラム】
● 国際的スパイウェア企業「NSO」とは?2022年1月、New York Timesは「世界最強のサイバーウエポンをめぐる攻防」と題してNSO Groupに関するレポートを発表した。NSOは、2010年にイスラエルのヘルツリーヤで設立されたサイバーインテリジェンス企業だ。ホームページでは、政府の情報機関や法執行機関がテロや犯罪を検知・防止するための業界最高クラスの技術を開発していることを明らかにしている。しかしながら、NSOが何の略であるかも含めて謎の多い会社である。このレポートによれば、NSOが2011年にライセンス提供を開始したスパイツール「Pegasus(ペガサス)」は、メキシコ政府による麻薬王ホアキン・グスマン逮捕をはじめとして、欧州の40か国以上で数十人の容疑者を特定し、テロ計画の阻止、組織犯罪との戦い、グローバルな子供誘拐ネットワークの壊滅などに貢献してきたとされる。犯罪のグローバル化に伴い、犯罪者たちの暗号化されたコミュニケーション能力は捜査当局の解読能力を上回るようになった。Pegasusは、21世紀の法執行機関や情報機関が直面するこうした重大な問題に一つの解決策を提供している。● 「クリックさせなくても」監視可能米国の連邦捜査局(FBI)が使用しているPegasusは「zero click」と呼ばれるバージョンだが、一般的なハッキングソフトウェアとは異なった特徴を持っている。スマートフォンのユーザーに悪意のある添付ファイルやリンクをクリックさせる必要がないため、侵入の証拠を残すことなくハッキングが可能だという。侵入後数分で、メール、撮影地情報を含む写真、テキストデータ、連絡先などがすべて抜き取られてしまう。さらに、スマートフォンの現在地を把握し、カメラとマイクのコントロールを奪うこともできるため、世界中で強力な監視ツールとして使用することも可能だ。ただし、zero clickは米国内のデバイスはハッキングできないようにプログラムされている。これは、他国から監視されることに怒る米国を恐れたイスラエル政府が、NSOに対して米国内をターゲットにできないようにプログラムすることを求めた結果だとされる。これによって、他国が米国を監視することはできなくなったが、同時に米国政府が自国民を監視することも不可能になった。● 米国は「NSOとの取引を停止」これを解消するために、NSOが最近FBIに提案したPegasusの新しいバージョンが「Phantom(ファントム)」である。Phantomは、FBIが選定した米国内の監視対象へのハッキングを可能にする。イスラエル政府は、クライアントを米国政府機関に限定することで、NSOに対してこのライセンスを許可した。NSOが作成したパンフレットには、PhantomがAT&T、Verizon、Apple、Googleといった企業からの協力なしで、独立した製品としてモバイルデバイスからのデータの抽出と監視を可能にすると記述されている。NSOはPhantomの高い能力を、「監視対象のスマートフォンを情報の金鉱にする」と表現している。こうした優れた能力のため、Pegasusには濫用される危険性も伴っている。New York Timesのレポートによると、メキシコでは犯罪の容疑者だけではなく、ジャーナリストや反体制派も監視対象になっており、アラブ首長国連邦では、市民権活動家を投獄するために使用された。サウジアラビアでは、女性人権活動家や2018年にイスタンブールで殺害され解体されたジャマル・カショギ氏の通信が監視されていた。こうしたことから、世界最大の国際人権NGOアムネスティ・インターナショナルは以前から深刻な人権侵害が行われていることを報告していたが、2020年1月、米国商務省は安全保障上の懸念がある企業として、輸出管理法に基づきNSOをエンティティ・リスト(米国商務省産業安全保障局(BIS)による貿易上の取引制限リスト)に指定した。● 新設されたイスラエル企業「パラゴン」しかし、危険視されるイスラエルの監視テクノロジー企業はNSOだけではない。2021年7月にForbesが発表したレポートによれば、2019年にテルアビブで設立されたParagon Solutions(パラゴンソリューションズ)は、50人以上の従業員がいながら公式ウェブサイトが存在せず、ウェブ上からは関連する情報がほとんど入手できない。共同創業者は、イスラエル国防軍でサイバーセキュリティと諜報活動を担当する「8200部隊」の元司令官であり、CEOやCTOをはじめとして研究部門にも8200部隊の出身者が多数存在している。さらに、取締役にはエフード・バラック元イスラエル首相が名を連ねている。Paragonの製品はスパイウェアの評論家や監視の専門家にとっても関心が高いものであり、WhatsApp、Signal、Facebook Messenger、Gmailといったインスタントメッセージツールの暗号化された通信内容を解読する技術を警察に提供している。驚くべきことに、企業幹部の説明によれば、この製品は監視対象のデバイスが再起動した場合でもアクセスを持続させることが可能だという。● 米国にもある、ハッキング企業「Boldend」攻撃的なハッキングツールではイスラエルが優勢な状況ではあるものの、米国内にもこれらと競合する企業は存在する。2017年にサンディエゴで設立されたBoldend(ボールドエンド)がそれだ。米国政府が唯一のクライアントだとされるBoldendは、サイバー戦争における任務を支援するための自動化ツールを提供していることから、自社に関する情報の開示を極力制限してきた。BoldendのホームページにはHomeとProductsの2ページしか存在せず、Homeから企業に問い合わせるためには氏名とメールアドレスを入力しなければならない。さらに、Productsのページにアクセスするには、パスワードの入力が必要になっている。Forbesが伝えるところでは、Boldendはハッキングツールに特化した企業ではないものの、この分野の有力企業としてNSOやParagonのライバルとなる可能性を秘めている。2020年には、米国の防衛大手Raytheon(レイセオン)と提携を結び、安全保障における重要な作戦のための自動化プロダクトを開発することになっている。さらに、New York Timesが入手した情報では、2021年1月、BoldendがWhatsAppのハッキングツールを開発しRaytheonに売り込みをかけていたことが明らかになった。● 難しい「プライバシーと安全保障のバランス」こうした企業間の競争は、イノベーションを促進して高度な技術の獲得を容易にする。しかしその一方で、アムネスティ・インターナショナルが指摘するように、その濫用による人権侵害拡大の可能性はますます高まることが予想される。ハイエンド・テクノロジーが国家安全保障へ与える貢献と、プライバシーを侵害する危険性は表裏一体であり、そこには国家安全保障にとって時に必要な秘匿性に起因する一種の闇が存在する。New York Timesのレポートが明らかにしたように、スマートフォンの発達と並行して、そこで毎日生み出される膨大な情報を抜き取るためのスパイウェアが、激しい企業の競争の中で開発されている。そこには、プライバシーと安全保障のバランスにどう取り組むべきかという、国家にとって難しく、かつ喫緊の課題が存在している。サンタフェ総研上席研究員 米内 修防衛大学校卒業後、陸上自衛官として勤務。在職間、防衛大学校総合安全保障研究科後期課程を卒業し、独立行政法人大学評価・学位授与機構から博士号(安全保障学)を取得。2020年から現職。主な関心は、国際政治学、国際関係論、国際制度論。写真:AP/アフロ■実業之日本フォーラムの3大特色実業之日本フォーラム( https://jitsunichi-forum.jp/ )では、以下の編集方針でサイト運営を進めてまいります。1)「国益」を考える言論・研究プラットフォーム・時代を動かすのは「志」、メディア企業の原点に回帰する・国力・国富・国益という用語の基本的な定義づけを行う2)地政学・地経学をバックボーンにしたメディア・米中が織りなす新しい世界をストーリーとファクトで描く・地政学・地経学の視点から日本を俯瞰的に捉える3)「ほめる」メディア・実業之日本社の創業者・増田義一の精神を受け継ぎ、事を成した人や新たな才能を世に紹介し、バックアップする
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2022/03/29 11:08