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注目トピックス 経済総合 NYの視点:【今週の注目イベント】FOMC、ECB理事会議事録、米欧英PMI、日本CPI、独GDP *07:37JST NYの視点:【今週の注目イベント】FOMC、ECB理事会議事録、米欧英PMI、日本CPI、独GDP 今週は、米連邦準備制度理事会(FRB)が11月開催分の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録、欧州中央銀行(ECB)が10月定例理事会の議事要旨を公表する予定で注目が集まる。両中銀とも、利上げ終了、来年のほぼ1%近くの利下げが短期金融市場では織り込まれつつある。そのほか、米欧英のPMIやドイツの国内総生産(GDP)で景気動向を見極め。さらに、日本は消費者物価指数(CPI)発表を予定しており、緩和策終了の可能性を探る。FRBは11月会合で、2会合連続で政策金利据え置きを決定。パウエル議長は長期金利の上昇により追加利上げの必要性を弱めるとの他のFRB関係者の見解に同意を示したものの、インフレは目標値である2%にはまだほど遠いとの見解を維持し、追加利上げの可能性も完全には排除しなかった。政策金利を据え置くことで、過去の大幅利上げによるインフレや経済への影響を見極めていく姿勢を再表明。ただ、最新のインフレ指標は鈍化傾向を証明。さらに、雇用統計で失業率が上昇傾向にあり4%に近づいたほか、週次新規失業保険申請件数でも継続受給者数が8週連続で増加し2年ぶり高水準に達し労働市場のひっ迫緩和も徐々に明らかになり始めたため、短期金融市場では利上げ終了を完全に織り込んだ。■今週の主な注目イベント●米国20日:10月先行指数21日:10月シカゴ連銀全米活動指数、10月中古住宅販売件数、FOMC議事録公表22日:週次新規失業保険申請件数、10月耐久財受注、11月ミシガン大消費者信頼感指数23日:感謝祭で休場24日:11月製造業・サービス業PMI●欧州21日:欧州委、EU予算案、ラガルドECB総裁と独財務相がインフレ対処を巡り講演22日:ユーロ圏消費者信頼感23日:ユーロ圏製造業・サービス業PMI、独・仏製造業PMI、ECB10月理事会議事要旨公表24日:独GDP、ラガルドECB総裁が講演●中国20日:1年物、5年物プライム●英国20日:英中銀ベイリー総裁講義22日:ハント財務相、秋の声明発表、停滞する英国経済の底入れに焦点23日:製造業PMI●日本24日:CPI <CS> 2023/11/20 07:37 注目トピックス 経済総合 国内外の注目経済指標:日本の10月コアCPIは前年比+3%に上昇か *14:00JST 国内外の注目経済指標:日本の10月コアCPIは前年比+3%に上昇か 11月20日-24日週に発表される主要経済指標の見通しについては、以下の通り。■22日(水)午後10時30分発表予定○(米)10月耐久財受注-予想は前月比-3.2%参考となる9月実績は前月比+4.6%。民間の航空機・同部品の増加が寄与した。10月については民間の航空機・同部品の受注は大幅に減少するとみられており、全体の数値は前月比マイナスとなる見込み。なお、非防衛財の新規受注は増加するとみられる。■23日(木)午後6時発表予定○(欧)11月ユーロ圏HCOB製造業PMI -参考となる10月実績は43.1参考となる10月実績は43.1。生産指数は横ばい、新規受注指数は低下。11月については新規受注の増加は期待できないこと、生産指数は伸び悩んでいることから、顕著な改善は期待できず、10月実績と差のない水準にとどまる可能性がある。■24日(金)午前8時30分発表予定○(日)10月全国消費者物価コア指数-予想は前年比+3.0%参考となる9月実績は前年比+2.8%。上昇率は13カ月ぶりに3%を下回った。政府による料金抑制策が続く電気・ガス代の低下が全体を押し下げた。10月については原材料費、物流費が上昇傾向にあること、宿泊費も上昇していることから、上昇率は9月実績を上回る可能性がある。■24日(金)午後11時45分発表予定○(米)11月サービス業PMI -予想は50.5参考となる10月実績は50.6で速報値から下方修正された。ただ、インフレ圧力が低下しつつあることは好材料。11月については大幅な改善は期待できないものの、節目の50を維持する見込み。○その他の主な経済指標の発表予定・20日(月):(米)10月景気先行指数・21日(火):(米)10月中古住宅販売件数・23日(木):(英)11月サービス業PMI、(欧)11月サービス業PMI・24日(金):(米)11月製造業PMI <FA> 2023/11/18 14:00 注目トピックス 経済総合 NYの視点:米インフレ鈍化や労働市場ひっ迫緩和、住宅市場の減速、FRBの政策の効果が徐々にあらわれる *07:44JST NYの視点:米インフレ鈍化や労働市場ひっ迫緩和、住宅市場の減速、FRBの政策の効果が徐々にあらわれる 米労働省発表の先週分新規失業保険申請件数(11/11)は前週比1.3万件増の+23.1万件と前回21.8万件から予想以上に増加し8月中旬来で最高となった。失業保険継続受給者数(11/4)は186.5万人と、前回183.3万人から予想以上に増加し、21年11月以降ほぼ2年ぶり最高となった。8週連増の増加。労働市場は底堅く消費や経済を支えてきた。しかし、企業は徐々に採用ペースを減速。失業率も下げ止まった。賃金の伸びも一服し、年末のホリデーシーズンを控え消費の減速が一部で確認されている。住宅ローン金利上昇にもかかわらず、強い需要に支えられてきた住宅市場にも鈍化の兆しが見られる。米11月NAHB住宅市場指数は34と、予想外に昨年12月来で最低に落ち込んだ。5月から8月にかけて、住宅建設企業の楽観的見方を示す50を回復後、再び3カ月連続で50割れ。主要項目である一戸建て販売は1月来で最低。販売見通しも39へ、44から下落した。購買見込み客足指数も21と、昨年12月来で最低となった。11月フィラデルフィア連銀製造業の仕入れ価格は14.8と10月23.1から低下し7月来で最低となった。6か月平均の17.4を下回った。6か月先の予想でも仕入れ価格は37.9と、48.5から低下し、6か月平均の40.8を下回った。 販売価格は14.8と、10月14.6から小幅上昇。6か月平均の13.6を上回った。6か月先の予想では34.5と、46.9から低下、6か月平均は上回った。インフレ鈍化や労働市場のひっ迫緩和、住宅市場の過熱後退の兆候は連邦準備制度理事会(FRB)の政策が効果を表した証拠とも言える。市場では来年の利下げを1%織り込む中、FRBは依然慎重。米クリーブランド連銀のメスター総裁は、インフレが中銀の目標2%を完全に回復するには時間を要するとし、インフレ鈍化のさらなる証拠を見たいと述べた。また、クック米FRB理事も「経済活動の急激な減速リスクに対応する」「引き締まった金融状況が経済の一部を損傷している兆候が見られる」としながらも、「エネルギー価格が急激に上昇するリスクは顕著」としたほか、「需要には引き続き勢いがあり、インフレの鈍化を遅らせる可能性」を指摘しており、中立な姿勢を明らかにした。 <CS> 2023/11/17 07:44 注目トピックス 経済総合 金は再び2000ドルを目指すか サンワード貿易の陳氏(花田浩菜) *17:13JST 金は再び2000ドルを目指すか サンワード貿易の陳氏(花田浩菜) 皆さん、こんにちは。フィスコリサーチレポーター花田浩菜の気になるレポートです。今回は、NY金についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、『金は再び2000ドルを目指すか』と述べています。続いて、『14日に発表された10月米消費者物価指数(CPI)は前年同月比3.2%上昇と、伸びは前月(3.7%上昇)から鈍化し、市場予想(3.3%上昇)を下回り、前月比では横ばいと、2022年7月以来1年3カ月ぶりの低水準となった』とし、『インフレ低下の進展を示唆する内容を受け、FRBによる利上げ局面が終了したとの見方が台頭。米長期金利が低下し、外国為替市場で対ユーロでのドル売りが活発化する中、金は一時1970ドル台まで上伸した』と解説しています。次に、『CMEのフェドウオッチでは、FRBが12月の連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を据え置く確率をほぼ100%織り込んだ』と伝え、『インフレ鈍化を受けてFRBが追加利上げを見送り、来年5月までに利下げに転じるとの観測が広がった。このため、インフレ低下基調が年内さらに強まり、ドルが一段安になるとの想定から、金相場は再び2000ドルを目指して上昇する可能性が強まるだろう』と考察しています。また、『テクニカル的には、10月27日に高値2019ドル台を付けた後、今月13日には1935ドル台まで下落したが、0.38倍戻しの1967ドルを達成したため、0.5倍(半値)戻しの1977ドルを目指して上昇しよう』分析しています。NY金の予想レンジは、『1950~1980ドル』と想定しています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の11月15日付「金は再び2000ドルを目指すか」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。フィスコリサーチレポーター 花田浩菜 <CS> 2023/11/16 17:13 注目トピックス 経済総合 プラチナは水準切り上げへ サンワード貿易の陳氏(花田浩菜) *17:11JST プラチナは水準切り上げへ サンワード貿易の陳氏(花田浩菜) 皆さん、こんにちは。フィスコリサーチレポーター花田浩菜の気になるレポートです。今回は、NYプラチナについてのレポートを紹介します。陳さんはまず、『プラチナは水準切り上げへ』と述べています。続けて、『14日に発表された10月米消費者物価指数(CPI)は前年同月比3.2%上昇と、伸びは前月(3.7%上昇)から鈍化し、市場予想(3.3%上昇)を下回り、前月比では横ばいと、2022年7月以来1年3カ月ぶりの低水準となった』と伝え、『インフレ低下の進展を示唆する内容を受け、FRBによる利上げ局面が終了したとの見方が台頭。米長期金利が低下し、外国為替市場で対ユーロでのドル売りが活発化する中、プラチナは急反発し一時895.5ドルと節目の900ドルに接近した。終値は892.8ドル』と解説しています次に、『ワールド・プラチナ・インベストメント・カウンシル(WPIC) によると、プラチナは2023年から2027年まで不足が続く見込みで、今年の不足は過去最大の31.3トンと予想されている。不足は数年にわたり、自動車触媒に使われるパラジウムの代替としてのプラチナの需要で、プラチナの地上在庫も縮小し、水素経済の発展が進む時代に、プラチナ市場は需給の引き締まりが強まると予想されている』と伝えています。こうしたことから、陳さんは、『インフレ鈍化を受けてFRBが追加利上げを見送り、来年5月までに利下げに転じるとの観測が広がった。このため、インフレ低下基調が年内さらに強まり、ドルが一段安になると想定される。需給逼迫要因もあり、NYプラチナ相場は950~1000ドルのレンジを目指して上昇する可能性が強まろう』と考察しています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の11月15日付「プラチナは水準切り上げへ」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。フィスコリサーチレポーター 花田浩菜 <CS> 2023/11/16 17:11 注目トピックス 経済総合 トルコリラ円今週の予想(11月13日) サンワード貿易の陳氏(花田浩菜) *17:17JST トルコリラ円今週の予想(11月13日) サンワード貿易の陳氏(花田浩菜) 皆さん、こんにちは。フィスコリサーチレポーター花田浩菜の気になるレポートです。今回は、トルコリラ円についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、今週のトルコリラ円について『上値の重い展開が続きそうだ』と述べています。続けて、『トルコ経済には依然として不透明感が強い。先週発表されたトルコ10月製造業PMIは48.4と前回の49.6から悪化し、好不況の分かれ目となる50を4カ月連続で下回った。米連邦準備制度理事会(FRB)が「タカ派」姿勢を見せたことで、外資流出も懸念された』と伝えています。さらに、『イスラム武装勢力ハマスとイスラエルの戦争を巡って欧米諸国との関係悪化が懸念されている。エルドアン大統領は「米国によるイスラエルへの無制限支援」を批判した』と言及しています。陳さんは、『トルコのインフレ抑制は遅々として進んでいない。トルコの10月消費者物価指数(CPI)は前年比+61.36%(予想+62.50%)および、コアCPIは前年比+69.70%(予想+70.90%)はいずれも市場予想を下回った。政策金利は35%だが、名目金利からインフレ率を差し引いた実質金利は-26%となって、依然として厳しい状況が続いている』と述べています。また、『トルコ中銀のエルカン総裁は、23年のインフレ見通しを前回の58%から65%へ上方修正、来年のインフレ見通しを前回の33%から36%へ上方修正した。ただ、「ディスインフレを確実にするため、断固とした態度で、利用可能なあらゆる手段を活用し続ける」と「タカ派」姿勢を鮮明にしている』伝えています。こうしたことから、陳さんは、トルコリラ円の今週のレンジについては、『5.10円~5.50円』と予想しています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の11月14日付「トルコリラ円今週の予想(11月13日)」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。フィスコリサーチレポーター 花田浩菜 <CS> 2023/11/15 17:17 注目トピックス 経済総合 (中国)10月の経済指標はおおむね堅調、不動産投資はさえない *11:12JST (中国)10月の経済指標はおおむね堅調、不動産投資はさえない 10月の鉱工業生産の増加率(前年同月比)や小売売上高(同)は、それぞれ4.6%、7.6%となり、そろって予想以上に伸びている。一方、不動産投資の増加率(同)はマイナス9.3%となり、前月と予想のマイナス9.1%を下回った。 <AN> 2023/11/15 11:12 注目トピックス 経済総合 (中国)上海総合指数は0.69%高でスタート、経済指標発表前で神経質 *11:04JST (中国)上海総合指数は0.69%高でスタート、経済指標発表前で神経質 15日の上海総合指数は買い先行。前日比0.69%高の3077.03ptで寄り付いた後は、日本時間午前10時57分現在、0.50%高の3071.47ptで推移している。10月の各種経済指標の発表がきょう15日日本時間11時ごろに控え、神経質な展開が続いている。一方、米利上げの終了観測などが好感されている。また、国内の追加の金融緩和期待も指数をサポートしている。 <AN> 2023/11/15 11:04 注目トピックス 経済総合 10周年を迎えた一帯一路(2)【中国問題グローバル研究所】 *10:52JST 10周年を迎えた一帯一路(2)【中国問題グローバル研究所】 ◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信している「10周年を迎えた一帯一路(1)【中国問題グローバル研究所】」の続きとなる。一帯一路が迎えた変化と課題一帯一路が多くの途上国にとって魅力的に映り、より伝統的な借款や援助のルートと大きく異なっていた点は、中国側が現地の政治への「不干渉」を強調したことだ。プロジェクトへの資金提供の見返りとして、経済的・民主的プロセスや制度の改革が求められることはなかった。こうした紐付きでないアプローチは、融資の規模の大きさがゆえに中国の影響力と融資が各国の内政問題に発展し、何度も失敗の道をたどることとなった。ザンビア、モルディブ、スリランカ、ネパール、フィリピン、いずれの国においても、中国の投資規模に関連する問題をめぐって国内政治に対立が生まれた。中国は不干渉の方針を取ったに過ぎないと主張するだろうが、一帯一路の影響の大きさからすれば、それが参加国の国内政治の中核に関わっていることは間違いない。借金の返済実績の乏しい国々にも大規模な融資を行ったことで、中国は多くの欧米諸国が以前から認識していたものと同じ問題に直面することとなった。一帯一路が始まった当初、返済リスクに対して中国は敢えて目をつぶっているように見えた。多くの取引が秘密裏に行われ、中国による融資の全容は開示されなかった。必然とも言えるように、スリランカのような国々が債務返済に苦しみ、世界銀行やIMFに救いの手を求めたときにも、中国からの債務の規模が他の債権者に明かされることはなかった。また、中国が提示した債務条件は中国金融機関への支払いを優先させるものではないか、という懸念もあった。過去何度も債務再編措置を実施してきたパリクラブ(主要債権国会合)でさえも、中国の債務を交渉プロセスに組み込むのには苦労している。すべての債権者にとって公平かつ公正な解決策を見つける作業への協力に、中国が消極的であったからだ。一帯一路を批判する者たちはしばしば、その債務規模の大きさから返済が果たされないことはほぼ確実であり、支払いの代償として北京が当該国の重要な資産を掌握できるようになるため、被援助国を債務の罠にはめることになる、と主張してきた。同プログラムに対する評価としては厳しすぎるものであるが、伝統的なルートから外れた追加債務の存在が、やがてはプロジェクトの未完遂、中国への多額の債務、そして、はるかに大きく組織化された相手国に抵抗する術をほとんど持たないという無力さを突きつけ、弱い立場に各国を立たせることになるのは火を見るよりも明らかだ。一帯一路プログラムから離脱した国はごくわずかだが、直近の離脱国であるイタリアとフィリピンへの注目度は高く、両国が経験した事例は、当初の期待に対して冷静な現実を突きつけるものだった。フィリピンでは注目度の高いプロジェクトの多くが軌道に乗ることなく終わり、中国側からの資金援助も実現しなかった。イタリアでは目立ったプロジェクトこそなかったものの、対中貿易赤字は中国に有利な形で膨らみ、中国が好んで使う「ウィンウィンの協力」(「合作共赢」)は欠片も見られなかった。先日のサミットでは、フィリピンのマルコス大統領は出席したが、イタリアは不参加であった。そのフィリピンでは中国の投資が反故になったばかりか、中国によるフィリピンの領海侵犯が続き、海軍や地元の漁師を脅かし続けている。世界での経済的なウィン・ウィンの関係をもってしても、悪化の一途をたどる南シナ海の地政学的状況を覆い隠すことはできない。それでも、習近平が一帯一路に見る未来は明るい。彼の親友であり、先の一帯一路フォーラムにも参加したウラジーミル・プーチンは、農業やパイプラインへの中国からの新たな投資の確保に失敗したが、同プロジェクトにこれ以上ない高評価を与えた。初期に見られた乱暴な融資や楽観主義は過去のものとなり、中国の融資は劇的に鈍化した。2018年以降、中国は2,400億米ドルを超える一帯一路関連債務の再編を余儀なくされたという報告もある。こうした厳しい経済状況下において、中国は新たな困難に対応し、適応してきた。経済・貿易インフラが一帯一路の肝であることに変わりはないが、先のフォーラムで習近平は一帯一路を米国主導の西側諸国に対する地政学的対立軸として捉え直そうとしていた。ロシアと中国の際限なき友好関係は変わらずこの中心にあり、両首脳はほぼあらゆる国際的な話題において米国を批判し、ロシアとウクライナの戦争、ハマスとイスラエルの戦争、そのほか世界が直面しているあらゆる危機の責任が米国にあるとして憚らなかった。両首脳にとって、自分たちの対峙する相手が西側諸国であることは明白だが、国家間の関係における「力こそ正義」という冷徹なアプローチの先に、実際に何を見据えているかは明確には見えてこない。習近平は、中国の発展と中国の文明が他国の模範となるのだという姿勢を隠そうともしてこなかったし、一帯一路は習近平が「グローバル安全保障イニシアティブ(Global Security Initiative、GSI)」、「グローバル発展イニシアティブ(Global Development Initiative、GDI)」「グローバル文明イニシアティブ(Global Civilization Initiative、GCI)」と呼ぶ大きな構想のパターンにも当てはまる。だが、一帯一路の恩恵を受けている国々も含めた各国首脳は、習近平やプーチンの世界観に心から賛同しているのだろうか? それを見極めるのは難しいが、各国首脳の一帯一路フォーラムへの参加人数が減少しているという事実はおそらく、途上国側も中国のインフラに興味はあれど、中国の思想や統治にはさほど関心がないことを良く示す兆しだろう。習近平は中国社会と中国共産党の中枢にイデオロギーを呼び戻したが、同時に、環境の要求に応じて適応できることも示した。一帯一路は融資の規模を縮小し、単に経済的なものという範疇を超えて、欧米に対抗する地政学的な対立軸を築くためのより広範な政治的イニシアティブの一部となった。一帯一路は過去のものとなるわけではなく、一部の人々の期待通りの成功こそ収めはしなかったが、新たなものへと姿を変えた。今後10年間は、習近平の描いた未来像が、彼の抱える資金の魅力ほどに多くの国々を惹きつけられるかどうかが試されるだろう。写真: 中国「一帯一路」 北京で国際会議(※1)https://grici.or.jp/ <CS> 2023/11/15 10:52 注目トピックス 経済総合 10周年を迎えた一帯一路(1)【中国問題グローバル研究所】 *10:49JST 10周年を迎えた一帯一路(1)【中国問題グローバル研究所】 ◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページでも配信している(※1)フレイザー・ハウイーの考察を2回に渡ってお届けする。誕生を祝して数週間前、習近平の代名詞とも言える地政学的プロジェクトの10周年を記念する、第3回一帯一路フォーラム(BARF)が北京で開催された。フォーラムには22人の国家元首と140か国の代表が参加したが、代表者の多くは比較的低いランクの政府高官であり、一部の国々ではメディア関係者のみの参加となった。国家元首22人というのは結構な数にも聞こえるが、前回2019年の開催時より14人も減っている。一帯一路とは何であるかを端的に表現するなら、それは中国と世界150か国を結ぶ約1兆ドル規模のインフラプロジェクトである。計画の実行開始から10年を経た今、その成功如何を問うてみる価値はあるだろう。一帯一路の目標は達成できたのか? この10年間で一帯一路はどう変わったのか? 世界の指導者たちの出席率が大幅に低下したことを、どう解釈するべきか?答えは簡単ではない。そもそも、一帯一路プロジェクト全体が明確に定義されたことはなく、その名称さえもやや誤解を招きやすい代物であるからだ。一帯一路はしばしば、古代シルクロードの現代版として紹介される。この言葉は19世紀後半にあるドイツ人によって初めて使われたもので、王朝時代の中国と中東・ヨーロッパを結んでいた、中央アジアを横断する交易路のネットワークを指している。しかし、一帯一路における「路」とは陸路ではなく海路を指しており、「帯」とはアジア大陸を横断する鉄道と道路によって形成される経済ベルトを略したものである。そもそも、習近平のプロジェクトは別の名前で呼ばれており、10年前には、漢字の一路一带を直訳しただけの「One Belt, One Road」または「OBOR」という、かなり不格好な名称が使われていた。それに、中国がグローバル規模の投資に乗り出したのは今回が初めてではない。習近平が一帯一路について語り始める少なくとも10年前から、中国は多くの途上国に対してインフラ投資を行ってきたが、実績のほどはと言えば必ずしも芳しいものではなかった。これら初期のプロジェクトは一帯一路のスローガンの傘の下に行われたが、一帯一路プロジェクトの何たるかが明確にされることはほとんどなかった。過去10年間の活動で特徴的だったのは、各国が一帯一路の名のもとに中国と正式に覚書を交わすようになったことだ。これらの覚書は詳細が曖昧であったり、さらに心配なことに秘密裏に交わされたりする場合も多く、それほどの多額の投資の始まりとしてはいかにも頼りない。それでも、2018年半ばの70か国を大きく上回る約140か国が中国と覚書を交わしている。プロジェクトが明瞭なものではないにもかかわらず、ほとんどの途上国がここに一枚噛むことを望んだのであった。曖昧だった詳細も、いつかは明らかになるのだろう。一帯一路プロジェクトの恩恵を受けられるのは、覚書を通じて中国と協定を結んだ国だけであり、中国が長年かけて示してきたことがあるとすれば、それはインフラを建設できるということだ。一帯一路とは実質的には、中国国内経済で持て余していたインフラ建設能力の輸出であった。時としてBRIは中国から世界への贈り物だとされることもあったが、実際には贈り物などではなく、すべて借金で行われたものだった。モルディブの橋からパキスタンの発電所や高速道路、アフリカの鉄道に至るまで、被援助国は空港、高速道路、橋、発電所、地下鉄、電気通信などさまざまなプロジェクトのために中国の銀行から資金を借り入れ、プロジェクトの建設は中国の請負業者が担当する、というのが常だった。伝統的に借入へのアクセスが限られていた資金難の国々への融資も受け入れる、という中国の申し出は、断るには惜しいものだった。世界銀行や米国、EUといった他の貸し手とは異なり、他国の問題には干渉しないという中国の方針もあって、一帯一路という安全な傘の下で汚職が蔓延することとなった。中国国内の開発事業は汚職と切っては切れない関係にあり、現地関係者への賄賂や買収はビジネス慣行の一部となっていた。中国が契約に関する秘密保持を求めるようになると、汚職が横行するようになったばかりか、将来の需要や収益予測も極端に楽観的なものとなった。つまり、取引額が高騰して、被援助国がより多くの負債を抱えることとなった。短期的な影響だけを見て、「アメリカからは講義を受け、中国からは鉄道を得る」という捉え方がなされた。橋や有料道路の建設資金を借り入れ、借金は将来的に利用者から徴収する通行料で返済するというのは、新たなインフラを実現する方法としては申し分ない。だが、通行料が高すぎて地元の人々がとても道路を使えそうにない、つまり実質的に徴収不可能だとしたらどうだろう? 利用者数が当初の予測を大幅に下回ることもありうる。返済条件があまりに過酷で、10年後という現実的な期限ではなく、わずか5年で返済しなければならなかったとしたら? 中国とヨーロッパを結ぶ数千キロの鉄道線路というのはいかにもインパクトが大きい話であるが、果たしてそれは経済的に実行可能で、航空貨物のスピードや海上輸送の膨大な輸送量に太刀打ちできるものだろうか? 多くの国々にとって、真新しい巨大なインフラは祝福どころか大きな問題へと簡単になり得るのだ。こうした問題は中国国内では日常茶飯事であり、やはり過度に楽観的なプロジェクト展望がインフラの大規模な供給過剰を招いている。中国ににある数万キロの高速鉄道路線のうち、建設費の回収どころかランニングコストをまかなえるほどの採算が取れている路線はごくわずかだ。では、全体的には成功と言えるか否か? 一帯一路は一度たりとも、実際の目標や測定可能なターゲットのある定義の明確なプログラムであったことはなく、成功と思ったもの勝ちという側面がある。たしかに数多くの覚書に調印がなされ、大量のコンクリートが打ち込まれ、取引こそ完了したものの、当初の投資への期待は多くの国々で実現しなかった。それでも、一帯一路の性質がどういう変化を遂げたか、同プログラムがもたらした意図せざる結果に対して北京がいかなる対応を強いられてきたかが、この10年間で明らかとなってきた。それを、ここから検討してみよう。「10周年を迎えた一帯一路(2)【中国問題グローバル研究所】」に続く。写真: 中国「一帯一路」 北京で国際会議(※1)https://grici.or.jp/ <CS> 2023/11/15 10:49 注目トピックス 経済総合 ウォール街を知るハッチの独り言 高まるシンガポール株の投資妙味(マネックス証券 岡元 兵八郎) *09:29JST ウォール街を知るハッチの独り言 高まるシンガポール株の投資妙味(マネックス証券 岡元 兵八郎) さて、マネックス証券の「メールマガジン新潮流」が、11月13日に配信されました。そのなかから今回は、同証券のチーフ・外国株コンサルタント、『ハッチ』こと岡元兵八郎氏のコラム「高まるシンガポール株の投資妙味」の内容をご紹介いたします。10年ぶりにシンガポールを訪れる機会を得ました。これまで、仕事に絡む出張というと米国でしたが、今回はとある目的がありシンガポールへと向かうことになります。アジアの優等生として知られているシンガポールは、人口約580万人で日本と同じ島国です。経済の規模でこそ日本より小さいですが、世銀による2022年の1人当たりのGDPは日本が33,800ドルに対し、シンガポールは 82,800ドルと日本を遥かに超えています。2007年に初めてシンガポールが日本を抜いてから、その後格差は拡大する一方です。シンガポールの所得税は0%から始まり、320,000シンガポールドル(およそ3,550万円)以上の所得で最高税率が22%と、やる気のある労働者にとっては非常に魅力的な環境となっています。そんなシンガポール、昔訪れた時には安い国だというイメージがあったのですが、今日ではあらゆるものが高く感じます。私の知っている10年前のシンガポールドルの為替レートが63円ですから、現在の111円ですと、為替だけで76%も割高となっています。加えて、過去10年の年間平均2%といわれるインフレも加味すると高く感じるのは当たり前です。今年5月に訪れたアメリカの1ドル135円も高いと思っていましたが、高いのはアメリカだけではありません。日本もインフレでものの値段が上がっていますが、為替が高くなった海外のものの値段と比べるとまだまだ日本は割安であるというのは、日本を訪れる様々な国からやってきた外国人の意見ですね。アメリカへ行った時には日本人が貧乏になったと感じましたが、同じような感覚をシンガポールへ行っても覚えました。主に為替のせいではあるのですが、このまま円安が続くと豊かだった日本人の立場はどうなるのかと不安に思ったところです。シンガポールには、アジアで時価総額9番目の株式市場があります。シンガポールの株式市場の時価総額はおよそ57兆円です。国際金融センターとしての役割を果たしていると言われているシンガポールですが、MSCIシンガポール指数のセクター別のウエイトを見てみると、金融セクターが半分近くを占めています。世界の主要株価指数が下落した2022年に4%上がっていた同指数ですが、今年に入ってからはこれまで4.5%下げています。タイ、マレーシアなどの他のASEAN諸国の株価指数が今年軒並みマイナス圏で推移していることを考えるとこの国の株価だけが売られているわけではありません。では、シンガポール株のバリュエーションはというと、シンガポールST指数のデータが入手できた2008年からこれまでの平均PERは14.6倍ですが、来年のEPSを使うと現在のバリュエーションは約10倍、2025年の予想EPSを使うと9.5倍と歴史的に見てかなり割安な状況であり、指数の配当利回りも5.4%と米国10年債を超えるレベルとなっています。なお、肝心の今回のシンガポール訪問の「とある目的」なのですが、これは日本でも有名な投資家であるジム・ロジャーズさんとのインタビューを行うためでした。ロジャーズさんとの、インタビューの様子は今後マネックス証券のオウンドメディア「マネクリ」にて紹介していく予定ですのでお楽しみに。マネックス証券 チーフ・外国株コンサルタント 岡元 兵八郎(出所:11/13配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より、抜粋) <CS> 2023/11/15 09:29 注目トピックス 経済総合 NYの視点:米10月CPI予想以上に改善もドル安基調転換判断は時期尚早か *07:52JST NYの視点:米10月CPI予想以上に改善もドル安基調転換判断は時期尚早か 米労働省が発表した10月消費者物価指数(CPI)は前月比0%と、伸びは9月+0.4%から予想以上に鈍化し、昨年7月来で最低となった。連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ指標として特に注視しているコア指数は前年比で+4.0%と、予想外に9月+4.1%から伸びが鈍化し21年9月来で最低の伸びにとどまった。インフレがFRBの望み通りに順調に鈍化している証拠となり、短期金融市場での利上げ確率は0%となった。短期金融市場での利下げ時期も7月から6月に再び前倒しされた。市場は来年1%の利下げを織り込んだ。ただ、CPIコア指数は鈍化したとはいえ4%で目標の2%の2倍。FRB高官は、インフレ鈍化の兆候を認めつつも、勝利宣言はまだ時期尚早との考えを維持する可能性が強い。12月12日、13日に開催される次回FOMC直前には、11月CPIの発表でさらにインフレの進展状況を確認していくことになる。結果次第では利上げ観測が再燃する可能性も除外できない。CPIショックで、ドル買いポジションなどの損切に拍車がかかり、ドルは大幅下落となった。しかし、米国よりも英国や欧州の景気の急激な冷え込みが目立つ。利下げはFRBよりも欧州中央銀行(ECB)や英中銀が開始が早まる可能性が強い。ドル安基調に転じたとの判断も時期尚早と考える。 <CS> 2023/11/15 07:52 注目トピックス 経済総合 NYの視点:米10月CPIは一段の鈍化期待、11月には拡大の可能性も残る *07:45JST NYの視点:米10月CPIは一段の鈍化期待、11月には拡大の可能性も残る 先週発表されたミシガン大消費者信頼感指数の11月期待インフレは予想外に上昇し、追加利上げ観測も再燃した。1年先の期待インフレ率は4月来で最高の4.4%。5-10年先の期待インフレ率は3%から3.2%へ上昇し、11年3月以降ほぼ12年ぶり高水準となった。原油や食品が高止まりとなり消費者の期待インフレ率が再び上昇。連邦準備制度理事会(FRB)はインフレ期待指数として同指数の動向に注目している。一方、NY連銀が毎月実施している消費者の期待調査の10月分は、1年先で3.57%と9月3.67%から低下し7月来で最低。3年先は3%で変わらず。5年先は2.7%と、9月2.8%から低下した。また、今後12カ月内に失職する確率は0.3%上昇の12.7%となった。同時に、職が見スカル確率は56.5%から56.6%へ小幅上昇した。賃金は0.1%上昇の3.1%と、パンデミック前の水準2.7%を上回っている。10月消費者物価指数(CPI)は総合では伸びの鈍化が予想されている。しかし、コア指数では横ばい予想。11月分で再び伸びが拡大する可能性も残る。大半のエコノミストはFRBの利上げは終了と見ているが、FRB高官は慎重で利上げの選択肢を排除していない。来年1月の利上げ確率は30%近くあり、市場も利上げの可能性をまだ完全には払しょくしておらずドルも売り難い環境となっている。 <CS> 2023/11/14 07:45 注目トピックス 経済総合 NYの視点:【今週の注目イベント】米中首脳会談、米政府機関閉鎖の行方、米CPI、PPI、小売売上高 *07:37JST NYの視点:【今週の注目イベント】米中首脳会談、米政府機関閉鎖の行方、米CPI、PPI、小売売上高 今週は10月消費者物価指数(CPI)や10月生産者物価指数(PPI)といった重要インフレ指標や小売売上高に注目が集まる。さらに、サンフランシスコで、アジア太平洋経済協力(APEC)会合が11日から17日にかけて開催。米中首脳は15日、1年ぶりとなる会談を予定している。両国の関係改善が期待されている。さらに、17日には再びつなぎ予算が失効するが共和党下院は政府機関閉鎖回避を目指しつなぎ融資に備えていると報じられているものの、週後半かけて合意がなければ、再び政府機関閉鎖リスクでドル売り、リスク回避が強まる可能性もある。FRBがインフレ指標として注視している食品やエネルギを除いたコアCPI指数は前年比+4.1%で9月と同水準の伸びにとどまり、インフレの頑強さが示される公算。小売売上高は3月来のマイナス成長に落ち込む見通しで予想通りの結果はドル売り材料。英中銀のチーフエコノミスト、ピル氏は利上げ終了を宣言している中、英国のCPIに注目が集まる。欧州中央銀行(ECB)もチーフエコノミスト、レーン氏の発言やラガルド総裁の講演に注目。FRB高官は依然、インフレを巡りまだやるべきことがあるとの見解だが、短期金融市場では利上げ終了観測が根強い。ただ、同様にECBや英中銀も利上げ終了観測が強まりつつあり、欧州の景気が弱く、FRBよりもECBや英中銀の利下げ開始が早まり、ドルを支援する可能性がある。■今週の主な注目イベント●APEC:11-17日15日:米中首脳会談12-13日:財務相会合●米国13日:10月月次財政収支14日:10月消費者物価指数(CPI)、グールズビー米シカゴ連銀総裁が講演15日:10月小売売上高、10月生産者物価指数(PPI)、11月ニューヨーク連銀製造業景気指数、9月企業在庫16日:10月輸出入物価指数、週次失業保険申請件数、11月フィラデルフィア連銀景況指数、10月鉱工業生産・設備稼働率、11月NAHB住宅市場指数、9月対米証券投資、メスタークリーブランド連銀総裁が23年の金融安定会議で基調演説、ウィリアムズ米NY連銀総裁、バーFRB副議長が講演17日:10月住宅着工件数・建設許可件数、つなぎ融資期限、グールズビー米シカゴ連銀総裁が講演、コリンズ米ボストン連銀総裁があいさつ、デイリー米サンフランシスコ連銀総裁が基調演説●欧州13日:デキンドスECB副総裁の講演14日:独ZEW、ECBチーフエコノミスト、レーン氏が会合参加15日:EU、秋の経済見通し公表、仏CPI、失業率17日:ラガルドECB総裁が講演●日本13日:PPI、機械受注15日:GDP、鉱工業生産16日:コア機械受注、貿易収支●英国13日:スナク英首相、外交政策に関する演説、英中銀マンMPC委員が講演14日:英中銀、チーフエコノミスト、ピル氏が討論会に参加15日:CPI16日:英中銀、ラムスデン副総裁が討論会参加、ECBのラガルド総裁やデキンドス副議長も参加17日:英中銀ラムスデン副総裁が基調演説●中国15日:小売売上高、鉱工業生産 <CS> 2023/11/13 07:37 注目トピックス 経済総合 国内外の注目経済指標:日本の7-9月期GDP成長率はマイナス予想 *14:25JST 国内外の注目経済指標:日本の7-9月期GDP成長率はマイナス予想 11月13日-17日週に発表される主要経済指標の見通しについては、以下の通り。■14日(火)午後10時30分発表予定○(米)10月消費者物価コア指数-予想は前年比+4.1%参考となる9月実績は前年比+4.1%でインフレ率は8月実績を下回った。財、住宅を除くサービス価格の上昇率は鈍化しつつあるが、複数の項目でインフレ率は高止まりしており、10月のコアインフレ率は9月実績と同水準となる可能性がある。■15日(水)午前8時50分発表予定○(日)7-9月期国内総生産(GDP)速報値-予想は前期比年率-0.4%輸入増加で外需の寄与度は前期比マイナスとなる可能性が高いこと、設備投資と政府消費は横ばいかわずかに減少すると予想されており、7-9月期の成長率は前期比年率換算でマイナスとなる可能性がある。■15日(水)午前11時発表予定○(中)10月小売売上高-予想は前年比+7.0%参考となる9月実績は前年比+5.5%で市場予想を上回った。10月については個人消費の大幅な回復は期待されていないものの、伸び率は9月実績を上回る可能性があるとみられる。■15日(水)午後10時30分発表予定○(米)10月小売売上高-予想は前月比-0.4%参考となる9月実績は前月比+0.7%。10月については、ガソリンスタンドの売上高は小幅な増加にとどまるとの見方が多いこと、自動車・同部品の売上高は減少する可能性が高いことから、前月比マイナスとなる見込み。○その他の主な経済指標の発表予定・14日(火):(欧)7-9月期ユーロ圏域内総生産改定値・15日(水):(中)10月鉱工業生産、(欧)9月 ユーロ圏鉱工業生産、(米)10月生産者物価指数・16日(木):(日)10月貿易収支、(豪)10月失業率、(米)10月鉱工業生産・17日(金):(英)10月小売売上高、(米)10月住宅着工件数 <FA> 2023/11/11 14:25 注目トピックス 経済総合 NYの視点:エコノミストの24年の米国経済の見解分かれる、パウエル議長は利上げ除外せず *07:52JST NYの視点:エコノミストの24年の米国経済の見解分かれる、パウエル議長は利上げ除外せず 中国や欧州の景気減速の影響を受けて米国経済が来年深刻な景気後退入りするとの警戒感が強まる中、ゴールドマンサックスのチーフエコノミスト、ハチアス氏は米国経済を懸念していない。経済の成長を巡る最大のマイナス要因はすでに織り込まれたとの見解。容認出来ない程の水準にまで達したインフレも23年度は経済にほぼ影響を与えずに徐々に改善基調にある。22年に平均6%近くに上昇したインフレ率は3%前後に低下しており、歓迎すべき基調だと指摘した。景気後退の確率は限定的。主要各国中銀の利上げはほぼ終了した可能性が強いことを楽観的な見通しの理由のひとつとして挙げた。24年の米国経済の向かい風として、世帯の実質賃金の伸びが強く、金融や財政引き締めによる影響は限られ、さらに、製造業活動の回復を挙げた。24年の利下げは予想していない。投資会社シタデル社のグリフィン氏は、ウクライナ露戦争、イスラエル・ハマス戦争、グローバル化の後退、米国の連邦支出拡大でインフレが今後数十年にわたり続くと警告している。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は9日の講演でインフレの改善が続くかどうかは確かではなく、インフレ2%達成への道のりを確信できないと、2%目標の達成が長い道のりである、と繰り返した。また、FRBは適切であれば追加引き締めも躊躇しないとした。短期金融市場での12月の利上げ確率は9.6%から14.5%まで上昇。来年の利下げ時期も6月から7月に先送りされた。景気や金利見通しは依然まちまち。ただ、他国に比べ米国経済は強く、ドルが引き続き底堅く推移する可能性がある。 <CS> 2023/11/10 07:52 注目トピックス 経済総合 金は地政学リスクがサポート要因だが、次の材料待ち サンワード貿易の陳氏(花田浩菜) *17:19JST 金は地政学リスクがサポート要因だが、次の材料待ち サンワード貿易の陳氏(花田浩菜) 皆さん、こんにちは。フィスコリサーチレポーター花田浩菜の気になるレポートです。今回は、NY金についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、『金は地政学リスクがサポート要因だが、次の材料待ち』と述べています。続いて、『週明け6日以降のNY金は利益確定の売りに押されている』とし、『前週の米連邦公開市場委員会(FOMC)と雇用統計の結果から、連邦準備制度理事会(FRB)による年内利上げ観測が後退。CMEのフェドウオッチによると、12月会合の金利据え置き確率は90%に上った。米長期金利も一時5.0%を超えていたが、週明けは4.5%に低下した。本来なら、これは金相場には押し上げ要因となるが、今週はブラックアウト期間明けからFRB関係者の発言が相次ぐため、今後の金融政策動向に関する手掛かりを得たいとして、利益確定売りが優勢』と解説しています。陳さんは、『利上げ停止や利下げへの確証は得られていない。さらにイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘は特定地域に留まっていることから、地政学リスクもやや後退したようだ』と言及し、『今週の金相場は、中東情勢はサポート要因だが材料待ちで上値は重いだろう』と考察しています。NY金予想レンジは、『1950~2000ドル』と想定しています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の11月8日付「金は地政学リスクがサポート要因だが、次の材料待ち」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。フィスコリサーチレポーター 花田浩菜 <CS> 2023/11/09 17:19 注目トピックス 経済総合 NYの視点:メスター総裁来年退任もクリーブランド連銀はタカ派維持へ *07:39JST NYの視点:メスター総裁来年退任もクリーブランド連銀はタカ派維持へ クリーブランド連銀のメスター総裁は任期満了で来年6月に定年退職すると発表した。ガートランド副総裁が中心となり、後任総裁の選考に入る。同連銀総裁は2024年度の連邦公開市場委員会(FOMC)投票権を有する。新総裁になっても通常は地区連銀の姿勢が大きく変わることが少ないため、次期総裁もメスター総裁に続いてタカ派姿勢を維持すると見られる。メスター総裁はFOMCの中でも、最もタカ派的な姿勢を維持してきた。総裁は最近の講演で、インフレを2%に戻すために連邦準備制度理事会(FRB)が年内に追加利上げが必要になる可能性があると指摘している。 <CS> 2023/11/09 07:39 注目トピックス 経済総合 南アフリカランド円今週の予想(11月6日) サンワード貿易の陳氏(花田浩菜) *17:19JST 南アフリカランド円今週の予想(11月6日) サンワード貿易の陳氏(花田浩菜) 皆さん、こんにちは。フィスコリサーチレポーター花田浩菜の気になるレポートです。今回は、南アフリカランド円についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、『今週の南アランド円は、押し目買いに堅調となろう』と述べています。続いて、『先週の南アランド円は、昨年11月30日以来、約11カ月ぶりの高値圏まで急伸した。南ア9月財政収支は悪化したが、9月貿易収支は予想を上回る黒字幅となった』と伝えています。次に、『注目された南ア政府による中間予算見直しの議会提出では、ゴドングワナ財務相が「2024ー25年度の歳入を追加で150億ZAR増やすための税制措置を提案する」と発言した』と伝えています。また、『1日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、政策金利の据え置きが決定され、パウエルB議長のハト派的な発言を受けてドルが売られた事等が背景』と言及しています。こうしたことから、陳さんは、『南アフリカ政府による財政健全化措置は、規律的な財政健全化策が好感されている事に加え、今週も米連邦準備制度理事会(FRB)による年内追加利上げの観測後退に加え、日銀による金融緩和の長期化観測は南アランド円を押し上げていくだろう』と考察しています。南アフリカランド円の今週のレンジについては、『7.8円~8.4円』と予想しています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の11月7日付「南アフリカランド円今週の予想(11月6日)にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。フィスコリサーチレポーター 花田浩菜 <CS> 2023/11/08 17:19 注目トピックス 経済総合 メキシコペソ円今週の予想(11月6日) サンワード貿易の陳氏(花田浩菜) *17:17JST メキシコペソ円今週の予想(11月6日) サンワード貿易の陳氏(花田浩菜) 皆さん、こんにちは。フィスコリサーチレポーター花田浩菜の気になるレポートです。今回は、メキシコペソ円についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、『メキシコペソ円は、米連邦準備制度理事会(FRB)による追加利上げ見通しが後退したことに加え、メキシコ経済が好調なことから堅調に推移しそうだ』と伝えています。続けて、『米連邦準備理事会(FRB)が1日まで開催した米連邦公開市場委員会(FOMC)で金利を据え置いたことを受け、予想よりタカ派的ではなかった』とし、『米10月雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比15万人増と、市場予想以上に減速。平均時給の伸びが鈍化したほか、失業率は3.9%と前月の3.8%から小幅上昇し、労働市場が失速しつつある可能性が示された。雇用統計が低調だったことでFRBの利上げは終了したとの見方が広まり、メキシコ株価指数とメキシコペソは上昇した』と解説しています。次に、『10月31日に発表した今年の7-9月実質国内総生産(GDP、速報値)は、前期比0.9%増えた。増加は8四半期連続。海外需要を中心に農業が好調で、主力の自動車産業やサービス業の伸びも続いた』と伝えています。また、『米国など海外での消費回復の恩恵を受けた農業に加え、自動車産業は米国メーカーなどが本国近くにサプライチェーンを築く「ニアショアリング」も追い風となっている。GDP前年同期比の伸び率は3.3%だった』と言及しています。陳さんは、『今週9日のメキシコ中銀会合では現行の政策金利を11.25%に据え置く見込み。日墨の金利差拡大の観点からメキシコペソには買いが入りやすいだろう』と考察しています。メキシコペソ円の今週のレンジについては、『8.35円~8.85円』と予想しています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の11月7日付「メキシコペソ円今週の予想(11月6日)」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。フィスコリサーチレポーター 花田浩菜 <CS> 2023/11/08 17:17 注目トピックス 経済総合 コラム【ポートフォリオのススメ】論理的判断と感覚的判断【2】(マネックス証券 塚本 憲弘) *09:24JST コラム【ポートフォリオのススメ】論理的判断と感覚的判断【2】(マネックス証券 塚本 憲弘) 閉じられた3つのドアのうち、1つが当たりというゲームに参加することを想像してみてください。あなたが1つのドアを選択すると、出題者が残りのドア2つのうち、はずれのドアを1つ明かします。そしてあなたは選択するドアを、残っているもう1つの開けられていないドアに変更しても良いと言われます。あなたはドアを変更しますか?確率論では正解は「ドアを変更する」です。当初1/3の当たり確率でドアを選んでいますが、ドアを変更する場合に当たる確率は2/3になります。これは1990年に実際にあった話題で「モンティ・ホール問題」と言われます(ご興味あればWikipediaご参照ください)。興味深いのはドアを変えても確率は変わらないという意見が博士号保持者も含め多くの人からなされ大論争へ発展したことです。直観と理論がかい離する代表的な事例ですが、100あるドアから1つを選んでその後98のドアが開かれた場合、自分の当初選んだドアと残りのもう1つのドアであればドアを変更する方が良いと思えるのは直観的にも受け入れやすいでしょう。論理的判断と感覚的判断【1】(https://media.monex.co.jp/articles/-/22767)では論理的判断も良いけど自分が納得のいく現実的な判断も尊重されるべきとしましたが、この事例を見るに直観にも危うさがあり、理論はそれを補完してくれる大切なものだと分かります。よく言われる金融リテラシーとはこのような理論も含むのでしょう。日本人は金融リテラシーが低いと言われますが、果たしてそうでしょうか?各国比較などデータがあるようですが、他国と異なり長期デフレを経験する中で現預金を選好してきたことは賢い選択肢と言えます。一方で物価の上昇や賃上げ基調など構造変化の兆しを感じる中で、運用手法も変化する必要があるでしょう。環境が変わればそれに対応すべく新たなリテラシーが必要となってきています。モンティ・ホール問題は1つのドアが開かれたことで確率が変化しており、直感に反する正解があることを示しています。これを資産運用における喩えに置き換えるわけではありませんが、我々の生活環境も変化する中でこれまでの感覚的判断も変わるべきところがあるでしょうし、どのような変化を捉えるべきなのか、まずはそれを論理的に伝えていくことが我々に必要なことだとも感じております。マネックス証券 インベストメント・ストラテジーズ 塚本 憲弘(出所:11/6配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より、抜粋) <CS> 2023/11/08 09:24 注目トピックス 経済総合 NYの視点:FRB高官、インフレ2%目標達成を再公約、長期債利回り急伸睨みつつ *07:41JST NYの視点:FRB高官、インフレ2%目標達成を再公約、長期債利回り急伸睨みつつ 連邦準備制度理事会(FRB)のボウマン理事、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁やグールズビー米シカゴ連銀総裁など高官は、インフレ目標達成させる任務はまだ終了しておらず、インフレの2%目標達成を再度公約した。特に、ボウマン理事は引き続き追加利上げが必要だと予想している、と最近の雇用統計で労働市場の減速が明らかになったにもかかわらずタカ派姿勢を崩していない。一方で、最近の長期債利回りの急伸を巡りウォラー理事は10年債利回りの1ポイント近くの上昇は、中銀、金融市場では地震に相当すると、警戒心を表明。理事の見解は経済指標に関する講義の中のものであり、政策に関する発言ではない。しかし、利回りの急伸が金融状況ひっ迫の警告を理事に与えたことは確かだと見られている。今週はパウエルFRB議長は米国時間8日には挨拶、9日には国際通貨基金(IMF)会合の討論会に参加予定で、追加利上げの可能性を見極めるため注目が集まる。 <CS> 2023/11/08 07:41 注目トピックス 経済総合 バランスが肝心:東南アジアにおける中国、日本、台湾のインフラ戦略(4)【中国問題グローバル研究所】 *10:53JST バランスが肝心:東南アジアにおける中国、日本、台湾のインフラ戦略(4)【中国問題グローバル研究所】 ◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信している「バランスが肝心:東南アジアにおける中国、日本、台湾のインフラ戦略(3)【中国問題グローバル研究所】」の続きとなる。台湾と中国:地域的影響力をめぐる競争が激化台湾の新南向政策(NSP)と中国の一帯一路構想(BRI)2.0によって、インド太平洋地域は戦略的競争と協調が繊細に繰り広げられる舞台となっている。どちらの構想も、アプローチと意図こそ異なれども、東南アジアと南アジアにおける影響力の拡大を狙っている点は同じである。特に地域的影響力と経済協力という文脈において、台湾と中国が厳しい競争状態にあることは明らかだ。影響力をめぐる競争:・経済的競争:台湾と中国では、同地域の国々に提供する経済的なインセンティブと投資に明確な違いがある。台湾が新南向政策のもとで質の高いプロジェクトに重点を置いているのに対し、中国は一帯一路構想2.0を通じて大規模インフラ整備を推進している。結果、東南アジアと南アジアの国々は経済協力におけるオプションを増やし、台湾・中国は協力相手の注目と好感度を競う、という状況となっている。・文化交流:言語・文化プログラムを含む一帯一路構想の文化外交イニシアチブは、台湾の文化支援活動と競合する可能性がある。台湾と中国はいずれも、人と人とのつながりや文化交流を強化することに熱心だ。各国はこれら文化プログラムいずれかの選択を迫られるやもしれず、結果として台湾の文化的イニシアチブの範囲や効果に影響を及ぼす可能性がある。・安全保障上の懸念:一帯一路プロジェクトを通じて中国が地域における存在感を増すことで、一部の国々に安全保障上の懸念をもたらすことになる。台湾もまた、この地域における中国の軍事活動にまつわる安全保障上の懸念を表明している。結果、地域のパートナーがこうした安全保障上の問題への対処を余儀なくされ、台湾ならびに中国との外交・戦略関係に影響が及ぶ可能性がある。中国・台湾との関係のバランス:・外交上の機微:新南向政策であれ一帯一路であれ、台湾と中国の双方と関わる国は、両者それぞれとの外交関係の管理という難題に直面する。中国が掲げる「一つの中国」政策を認めつつ、台湾との協力をも必要とする国の場合、この点は特にデリケートな問題となりうる。このように相反する外交的配慮のバランスを取ることは、相当に至難の業である。・戦略の調整:競争環境の変化に伴い、台湾と中国はいずれも、地域の重要なプレイヤーであり続けるため戦略の調整を迫られている。台湾の新南向政策には、民主主義や人権といった価値観を重視するという長所があり、協力を求める国々にとって重要な決め手となりうる。一方、中国は経済力とインフラ能力をアピールしている。地域ダイナミクスへの影響:台湾と中国が繰り広げる激しい競争は、インド太平洋地域の広範囲の地域ダイナミクスに影響を及ぼしている。台湾や中国と協力することの長所と短所を各国が評価することで、この地域の政治的・経済的パワーバランスに変化が生じることになる。こうした情勢の変化が、地域の貿易、インフラ整備、政治同盟などの問題に思いもよらない影響を及ぼすかもしれない。結論から言えば、台湾と中国はインド太平洋地域における影響力と経済協力をめぐって厳しい競争を繰り広げている。台湾の「新南向政策」と中国の「一帯一路構想2.0」が併存することで、この地域の国々が選択肢を慎重に吟味し、外交的な機微を捉え、自国の利益と価値観に沿った戦略的選択を余儀なくされるようなダイナミズムが生まれている。これら2つのステークホルダーによる競争状況は今後も変化を続け、その趨勢は地域の政治、経済、文化のダイナミクスに大きな影響を及ぼすだろう。未来予想図:東南アジアの複雑なインフラ情勢東南アジアのダイナミックな情勢において、一帯一路構想(BRI)2.0、日本の自由で開かれたインド太平洋(FOIP)戦略、台湾の新南向政策(NSP)、その他の地域プレイヤーが、激しいインフラ競争を繰り広げている。このような多方面からのアプローチが、それぞれ意味合いの異なった幅広い選択肢をASEAN諸国に提供している。中国、日本、台湾はそれぞれの戦略を通じて、インフラ整備、経済協力、文化交流のための多様な機会を東南アジア諸国に提供している。日本のFOIPは、民主的価値観と法の支配に調和した、質の高いインフラとガバナンスの象徴という位置付けである。これに対して中国のBRIは、魅力的な経済的インセンティブと広範なプロジェクト・ポートフォリオが売りである。一方、台湾の新南向政策は、地域における文化的・経済的結びつきの促進に重点を置いている。複数の戦略が競合する状況において、ASEAN諸国は極めて重要な役割を担っている。彼らの戦略的な選択と行動が、この地域の政治、経済、インフラ整備の将来を大きく左右することになる。東南アジア諸国は、それぞれの戦略の利点と潜在的な課題とを天秤にかけて考える必要がある。経済的な持続可能性や環境への影響、民主主義的価値観との整合性など、考慮すべき点は多岐にわたる。こうした複雑な状況において、各国には適応力が求められる。各国とも同時に複数の地域プレイヤーと関わりながら、日本、中国、台湾その他との関係のバランスを慎重に調整している。ASEAN諸国にとっては、以下のポイントが重要となる。開発オプションの多様性:ASEAN諸国は現在、インフラ整備の選択肢が選り取り見取りの状態にある。こうした多様性が、インフラの改善や経済成長を約束し、各種の選択肢からプロジェクトを選ぶ自由を与えてくれる。いわばビュッフェ料理のようなもので、各国は自分の好みに合った選択肢を選べるというわけだ。経済的競争:主要プレイヤー3か国間の熾烈な経済競争は、ASEAN諸国に明るい兆しをもたらしている。ASEAN諸国は、このライバル関係を利用して有利な条件を引き出し、厳しい値引き交渉を有利に進め、最終的により質の高いプロジェクトを確保することができる。債務リスク軽減と自国で得られる利益の増大が、現実的な目標となるのだ。価値観との整合性:東南アジア諸国は、インフラの選択と自国が重視する価値観とを整合させられるようになった。民主主義、人権、環境の持続可能性といった原則と調和するプロジェクトがメニューに並んでいる。理想に適う、オーダーメイドのパートナーシップを結ぶことが重要となる。適応力が肝心:ASEAN諸国にとっては、地域の有力プレイヤーとの取引において、機敏かつ戦略的であることが不可欠となる。経済的利益と政治的価値のバランスを保ちながら、競争激しい舞台上で外交関係を管理することが、成功の秘訣である。地域ダイナミクスの変化:競争の激化に伴い、地域政治、経済力学、安全保障の面で考慮すべき事項も変化することが予想される。このことは、地域関係が新たな章を迎えたことを示すものであり、相互利益を得るためには各国ともに適応を迫られることになる。接続性の向上:有力3か国がいずれもインフラ整備を優先させるなか、東南アジアは物理的交流がかつてないほど活発化しようとしている。このことは国境を越えた貿易と経済機会の改善につながり、地域経済全体の活性化をもたらす可能性がある。ここまでの議論をまとめると、一帯一路2.0、日本のFOIP、台湾の新南向政策、その他様々な地域イニシアチブが併存する状況は、ASEAN諸国にとってチャンスであると同時に難局でもある。ASEAN諸国は、選択肢を慎重に見極め、自国の価値観と利益に優先順位を付け、ダイナミックかつ競争の激しい東南アジアで成功できるよう適応力を維持しなくてはならない。最終的にはこれら戦略の相互作用が、同地域の政治、経済、インフラ整備に大きく影響することだろう。東南アジア地域がチャンスと難局の入り混じった複雑な状況に取り組むなか、国際社会はこのインフラレースの行方を強い関心を持って見守っている。写真: 中国「一帯一路」メディア協力フォーラム(※1)https://grici.or.jp/ <CS> 2023/11/07 10:53 注目トピックス 経済総合 バランスが肝心:東南アジアにおける中国、日本、台湾のインフラ戦略(3)【中国問題グローバル研究所】 *10:52JST バランスが肝心:東南アジアにおける中国、日本、台湾のインフラ戦略(3)【中国問題グローバル研究所】 ◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信している「バランスが肝心:東南アジアにおける中国、日本、台湾のインフラ戦略(2)【中国問題グローバル研究所】」の続きとなる。日本のFOIP戦略:ASEANへの競争的関与「インフラ建設から質の高いイニシアチブへ - 批判的検証」の項では、中国の「一帯一路構想(BRI)2.0」において進化を続けるアプローチについて掘り下げ、世界規模のインフラ開発戦略から、より繊細な地域重視へと大きく方向転換する様子を明らかにした。中国は一帯一路構想を、質の高い持続可能なプロジェクトを優先するよう調整を加えているが、ここでの主な受益者は東南アジア諸国であるようだ。この再調整は、本項「日本のFOIP戦略:ASEANへの競争的関与」で考察する、より広範な動きと方向性を同じくするものだ。同地域において、日本は存在感の強化を積極的に推し進めている。競争の風向きを変えるのは、中国の戦略の変化だけとは限らない。日本の「自由で開かれたインド太平洋」(Free and Open Indo-Pacific、FOIP)戦略はまさに、この変化のなかで戦おうとするものであり、経済的利益と地域にとっての価値観との微妙なバランスをいかに取るかが戦いの肝となる。日本のFOIP戦略は、インド太平洋地域における日本の外交政策の重要な要素である。日本は東南アジア地域のダイナミクスを積極的に形成しようとしており、中国や台湾など同地域に参戦する他のプレイヤーとの競争状態に身を置くことは避けられない。地域的影響力をめぐる競争:・競争の増加:日本のFOIP戦略は、ルールに基づく国際秩序、航行の自由、民主的価値観といった原則を推進するものだ。同戦略は東南アジアにおける日本のプレゼンスを強化するためのものであるが、他の地域イニシアチブ、特に中国の「一帯一路構想(BRI)2.0」や台湾の「新南向政策(New Southbound Policy、NSP)」との競争を不用意に激化させるものでもある。複数の選択肢を提示されたASEAN諸国は、日本のFOIPと連携することの利点を、他の地域のプレイヤーとの連携と比較検討する必要に迫られる。・経済的競争:一帯一路構想、FOIP、NSPはいずれも、東南アジアにおける経済発展とインフラ投資の促進を目指すものである。日本が質の高いインフラとガバナンスを重視する点は、同国のFOIP戦略とも合致している。一方、中国の一帯一路構想と台湾のNSPは独自のインフラプロジェクトに取り組もうとしている。東南アジア諸国にとって、これら3国が提示する経済的インセンティブやプロジェクトのどれもが魅力的に映った場合、経済的なライバル関係が生まれることになる。価値観と利益のバランス:・質と量のバランス:FOIPは質の高いインフラ、ガバナンス、持続可能性に重点を置いており、他の地域イニシアチブとは一線を画している。FOIPのプレイヤーである日本は、透明性、環境の持続可能性、経済的実行可能性といった厳しい基準を遵守したインフラプロジェクトを推進する。東南アジア諸国は、質を重視する日本のアプローチを取るか、それとも中国の一帯一路構想が提供する、大規模で広範囲にわたるプロジェクトを取るか、決断しなくてはならない。・価値観との整合性:日本のFOIPの特徴は、民主主義、人権、法の支配といった共通の価値観を重視している点である。こうした価値観はFOIP戦略の基本であり、多くのASEAN諸国が高い関心を寄せているグッドガバナンスの原則にも適っている。地域パートナーが協力パートナーを選ぶ際は、これら価値観とプロジェクトの整合性を考慮する可能性が高い。地域ダイナミクスへの影響:日本のFOIPがASEANに競争的に関与することで、より広範な地域ダイナミクスが形成される。各国が日本、中国、台湾と連携することの是非を吟味するなかで、東南アジアの政治的・経済的バランスに影響が及ぶことも考えられる。同地域の貿易形態、インフラ開発、政治的同盟にも影響をもたらす可能性がある。変化するダイナミクスへの適応:台湾や中国と同様、日本もまた、ダイナミックかつ競争の激しい東南アジアに相応しいプレイヤーであり続けるため、戦略の適応を余儀なくされる。日本が目下抱えている課題は、同地域で他のプレイヤーが提供する魅力的な経済的インセンティブと競いながら、質の高いプロジェクト、グッドガバナンス、民主的価値観がもたらす利点を強調し続けることである。つまり、日本のFOIP戦略はASEANへの競争的関与の1つである以上、中国のBRIや台湾のNSPなど、影響力を持つ他のアクターと競合することになる。同地域にこれら戦略が併存することで、各国は各々の価値観、利益、発展の必要性に基づいて戦略的選択を行うことになる。競争のダイナミクスは今後も変化し続け、東南アジアの政治、経済、インフラ情勢に大きな影響を与えることだろう。「バランスが肝心:東南アジアにおける中国、日本、台湾のインフラ戦略(4)【中国問題グローバル研究所】」に続く。写真: 中国「一帯一路」メディア協力フォーラム(※1)https://grici.or.jp/ <CS> 2023/11/07 10:52 注目トピックス 経済総合 バランスが肝心:東南アジアにおける中国、日本、台湾のインフラ戦略(2)【中国問題グローバル研究所】 *10:51JST バランスが肝心:東南アジアにおける中国、日本、台湾のインフラ戦略(2)【中国問題グローバル研究所】 ◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信している「バランスが肝心:東南アジアにおける中国、日本、台湾のインフラ戦略(1)【中国問題グローバル研究所】」の続きとなる。インフラ建設から質の高いイニシアチブへ - 批判的検証中国はここ最近、一帯一路構想において大規模なインフラプロジェクト中心から、より小規模で質の高い取り組みへとシフトしている。この動きは、表向きには世界的な優先順位の変化に対応するものとされているが、批判的な観点から詳しく検証する必要があるだろう。エネルギー部門:その1つが、石炭火力発電所のような従来型エネルギー事業からの転換である。これは、世界的な環境問題や温室効果ガス排出量削減の必要性に沿ったものではある。だが、国内のエネルギー源が石炭に大きく依存し続けている点を見るに、持続可能性に関する中国のコミットメントには疑問が残る。一帯一路構想において再生可能エネルギーと天然ガスに重点を置いていることは称賛に値するが、中国国内のエネルギー生成を脱石炭化させるための具体的な努力を伴うべきだろう。さらに、一帯一路プロジェクトで活動している中国エネルギー企業の透明性や環境活動についても懸念されるところだ。グリーンエネルギーへの移行には期待が持てるが、実施できるものか懐疑的な見方が根強い。パキスタンのタール石炭発電プロジェクト:過去、パキスタンへの一帯一路投資には、大規模な石炭火力発電所であるタール石炭発電プロジェクトが含まれていた。しかし、環境の持続可能性や気候変動への懸念から、こうしたプロジェクトには厳しい視線が集まっている。太陽光発電や風力発電など、よりクリーンなエネルギーや持続可能なプロジェクトへの移行は、一帯一路構想の前向きな意味での転換となるだろう。交通インフラ:一帯一路構想の路線変更は、効率性と持続可能性を重視するという形で、交通インフラプロジェクトにも影響を及ぼしている。これらプロジェクトについては、慎重な再評価が必要だ。中国はこれまで、相手国の利益よりも自国の利益を優先することで知られており、ホスト国が実際どれだけの利益を享受できるか懸念が生じている。加えて、持続可能性に関する目標が明確ではなく曖昧な部分が残されており、説明責任も限られている。中国が自国の経済的・地政学的利益を優先させようとしている以上、関係各国においては、改正後のプロジェクトが純粋に自国の発展ニーズに応えるものであるか、単に中国のさらなる影響力向上の手段になるものではないか、確認が不可欠となる。中国・パキスタン経済回廊(CPEC):CPECは一帯一路構想の旗艦プロジェクトであるが、実施における透明性の欠如を批判する声や、パキスタンにとって真の経済的利益につながるのかという疑念に直面してきた。交通インフラをより小規模で効率的なプロジェクトにシフトさせるためには、新たなイニシアチブは責任の所在をより明確にし、パキスタンのニーズにより合致し、地域間の往来を真に活性化するものである必要がある。工業地域:旧来の工業団地から科学技術主導型の工業団地へのシフトは、一見前向きなものに見えるが、これも精査が必要である。これまでの一帯一路プロジェクトでは、中国人労働者の活用を促し、中国系企業の振興に向かう傾向が見られた。先端的な工業地域にシフトすることが、本当に地域経済に利益をもたらし技術移転につながるのか、という点では疑問が残る。創出される雇用の質や、現地労働力がどの程度強化されるのかという点も、潜在的な懸念事項となっている。スリランカのハンバントタ港:一帯一路プロジェクトであるハンバントタ港建設については、発生した債務の返済でスリランカが苦境に陥っており、論争の的となっている。科学技術主導の工業地域へのシフトにあたっては、スリランカのような国々がただ投資を受けるだけでなく、技術移転や雇用創出を通じて真に恩恵を受けられるよう保証するべきであり、持続不可能な債務が膨らむようなことがあってはならない。巨大プロジェクト:巨大ダムや大規模都市開発のような巨大プロジェクトについては、批判的評価が不可欠である。持続可能性と技術革新に新たに焦点を当てている点は評価できるが、なぜこうした配慮をもっと早くから優先できなかったのか、疑問が生じるところだ。従来の一帯一路モデルのもと、巨大プロジェクトがいかに大きな環境破壊や社会的混乱を引き起こしてきたかを認めた点は、評価に値する。より持続可能なイニシアチブにシフトしたことは、正しい方向への一歩を踏み出したと言える。それでも、実際に変化があったことを示す具体的な証拠は必要だ。ベオグラード-ブダペスト間の鉄道路線:一帯一路構想のもとでハンガリーとセルビアを結ぶこの高速鉄道プロジェクトは、経済面での実行可能性に関する懸念に直面している。より小規模で持続可能なプロジェクトに移行することで、真の経済的価値よりも地政学的影響力に重きを置くようなプロジェクトの成立を防ぐことができれば、正しい方向への一歩となるだろう。伝統的インフラ:基本インフラの近代化は、あらゆる開発プロジェクトにおいて必要な要素である。しかし、一帯一路構想2.0のもとでこうしたプロジェクトにシフトしたからといって、中国が過去のプロジェクトの資金調達や実行をめぐる論争を免れるとは限らない。これらプロジェクトが、中国の経済的・地政学的野心のためではなく、ホスト国の利益とニーズに真に合致したものであることを保証するには、透明性と説明責任を高める必要がある。ラオスでの一帯一路投資:ラオスは、道路や橋などの伝統的インフラプロジェクトを始めとして、広範にわたって一帯一路による投資を受けてきた。これらプロジェクトを近代化の方向へ転換させるならば、ラオスはインフラ面にとどまらず、国民の生活の質を向上させる近代的な技術や持続可能な慣行を取り入れることを通じて、確実に利益を得られるだろう。一帯一路構想における質の高いプロジェクトへのシフトは、有望ではあるものの懐疑的な見方もある。一帯一路構想の実績は、債務依存、環境への影響、地政学的影響に対する懸念によって損なわれてきた。今回発表された新たな行動目標を、中国だけでなく参加国にも利益をもたらすような具体的な行動に変換することが、今後の課題となる。こうした方向転換が目論見通り前向きな変化をもたらすためには、国際的な監視、明確なガバナンス機構、透明性の向上といった要因が不可欠だ。それをクリアして初めて、一帯一路構想は世界規模の発展、持続可能性、国際協力に真に貢献するものとなる。「バランスが肝心:東南アジアにおける中国、日本、台湾のインフラ戦略(3)【中国問題グローバル研究所】」に続く。写真: 中国「一帯一路」メディア協力フォーラム(※1)https://grici.or.jp/ <CS> 2023/11/07 10:51 注目トピックス 経済総合 バランスが肝心:東南アジアにおける中国、日本、台湾のインフラ戦略(1)【中国問題グローバル研究所】 *10:43JST バランスが肝心:東南アジアにおける中国、日本、台湾のインフラ戦略(1)【中国問題グローバル研究所】 ◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページでも配信している(※1)陳建甫博士の考察を4回に渡ってお届けする。はじめに一帯一路構想(Belt and Road Initiative、BRI)は、大規模なインフラプロジェクト中心のフェーズから、より小規模で質の高い取り組みを中心とする新たなフェーズに移行した。先ごろ開催された第3回「一帯一路」国際協力サミットフォーラムで、習近平主席はフェーズ移行に向けた8項目の行動指針を発表した。こうした方針転換の背景には、中国国内の財政難と国際的な監視の強化がある。本稿では、一帯一路2.0構想(BRI 2.0)における主な行動、関係各国への影響、日本、台湾、その他関わりの深いプレイヤーの反応など、一帯一路2.0構想が意味するものを探っていく。習近平主席は、より質的かつ持続可能な一帯一路を目指すとした。この転換の柱となる8つの行動の概要は、以下の通りである。1.一帯一路構想に沿った立体的相互連結ネットワークの構築:地域の連結を強化し、効果的な地域連携を促す。2.開かれた世界経済の構築を支援:他国との経済関係を強化しながら、国際貿易と経済協力を促進する。3.実務協力の推進:貿易・投資保護協定など実務協力を強化する。4.グリーン開発の推進:グリーンエネルギー、環境保護、持続可能性を織り込む。5.科学技術イノベーションの推進:人工知能やデジタル経済などの分野における技術進歩を積極的に推進する。6.民間交流の支援:市民団体や個人の参加を促し、文化交流を促進する。7.清廉な一帯一路の構築:一帯一路プロジェクトの透明性を確保するための腐敗防止対策を強化する。8.一帯一路国際協力メカニズムの改善:協力体制を強化し、一帯一路構想のより円滑な進展を促進する。以下の各項では、一帯一路2.0構想における重要な行動、ステークホルダーへの影響、日本や台湾その他関連プレイヤーの対応など、一帯一路2.0構想の意味するところを探る。債務、唯一の受益者、地政学的拡大が落とす影に分け入り、一帯一路構想が直面する重大な問題を分析する。また、インフラ建設から質の高いイニシアチブへの移行について批判的に検証し、東南アジアを優先するかのような中国による一帯一路構想の再調整に焦点を当てる。こうした方向転換に加えて、日本の「自由で開かれたインド太平洋(Free and Open Indo-Pacific、FOIP)」戦略や台湾の「新南向政策(New Southbound Policy、NSP)」など、ASEANに関して競合する立場にある重要なプレイヤーについて議論する。最後に、東南アジアにおける複雑なインフラ情勢とその潜在的な影響について分析し、結論とする。各項には、このダイナミックな地域におけるインフラ戦略の進化について独自の考察を記載した。債務、唯一の受益者、地政学的拡大が落とす影かつては世界的な連結と協力の道標であった一帯一路構想(BRI)も、実施から10年が経過して重大な岐路に立たされている。本セクションでは、債務、中国の利益、地政学的野心といった一帯一路構想の枠組みにける中心的な問題を探る。債務による苦境:一帯一路構想は様々なセクターのインフラ整備を大幅に加速させたが、プロジェクトの遅れやコスト超過による債務の増大という、予期せぬ課題をもたらした。当初は援助と受け止められていた中国の融資は、参加国にとっては負債として積み重なっていった。債務への懸念に対応するべく、中国はシルクロード基金(丝路基金、Silk Road Fund、SRF)やアジアインフラ投資銀行(Asian Infrastructure Investment Bank、AIIB)のような金融機関に戦略をシフトし、一帯一路構想の資金面を効果的に管理している。このシフトの狙いは、中国の世界的影響力を守りつつ、政府債務の累積リスクを最小限に抑えることにある。こうした課題に対処するため、一帯一路構想は「より小規模で洗練されたプロジェクト」へと進化しつつある。これらプロジェクトは融資ベースの資金調達に優先順位を付け、質と持続可能性を重視するものだ。中国は量を重視するアプローチから、よりバランスの取れたアプローチへの移行を進めており、世界経済における優越的地位を維持しながら債務方面の苦境を緩和することを目指している。唯一の受益者、中国:一帯一路構想が中国に偏った利益をもたらしているという批判が浮上したのは、大部分のインフラプロジェクトの資金提供、実施、管理を中国の事業体が担っていたからだ。第3回「一帯一路」フォーラムで「共同構築」という概念を導入し、イニシアチブの再ブランディングを行ったことで、こうした認識に変化が生じた。これは、一帯一路構想が中国の利益にしかつながらないのでは、という疑念の払拭を目指すものであった。さらに中国は、電気自動車や太陽エネルギーなどの分野における商業製造に軸足を移し、参加国間で経済成長を公平に分け合うことを目指している。一帯一路構想の焦点は東南アジアに移りつつあるようだが、そこには同構想が主に中国の利益に資するものである、という認識を改めさせようとする狙いがある。中国の地政学的拡大:一帯一路構想は非イデオロギー的、非地政学的なものだと中国は主張するが、一帯一路フォーラムへの出席者の移り変わりを見れば、やはり地政学的な目的が透けて見える。ロシアやアフガニスタンのタリバン指導者の参加は、反米連合を構築し、地政学的影響力を拡大せんとする中国の努力を物語っている。一帯一路構想、上海協力機構、BRICSのような国際的な取り組み・団体は、中国の影響力をあからさまに主張するものではないが、中国のソフトパワーを拡大し、自国の利益と一致させるためのプラットフォームとして機能している。これらの行動には、欧米の覇権に挑戦し、世界の政治状況を巧妙に再編成せんとする中国の野心が反映されており、国際舞台におけるイデオロギーの覇権争いに重大な影響を及ぼすことになるかもしれない。「バランスが肝心:東南アジアにおける中国、日本、台湾のインフラ戦略(2)【中国問題グローバル研究所】」に続く。写真: 中国「一帯一路」メディア協力フォーラム(※1)https://grici.or.jp/ <CS> 2023/11/07 10:43 注目トピックス 経済総合 NYの視点:米FRB7-9月期上級融資担当調査、融資基準ほぼ変えず慎重、厳格化ペースは改善も *07:45JST NYの視点:米FRB7-9月期上級融資担当調査、融資基準ほぼ変えず慎重、厳格化ペースは改善も 連邦準備制度理事会(FRB)は7-9月期の米銀融資担当者調査を発表した。中規模から大規模の企業向け商業・工業融資の基準を厳格化したとの回答は第2四半期の50.8%から33.9%へ低下した。しかし、62.7%は融資状況を基本的に修正していないと答えた。今年3月の地銀破綻を受け、融資基準の厳格化で資金調達が困難となり米国経済が景気後退に陥る可能性が高まるとの懸念も一時強まった。調査では需要も改善。融資需要が弱まったとの回答は前四半期の51.6%から30.5%へ低下。市場の懸念をよそにFRBがインフレ制御するための利上げを継続する中、労働市場や消費は底堅く、経済を支えた。利上げも終了に近づき、金融市場混乱への脅威も後退しつつある。ただ、金融機関は依然として警戒態勢を大幅に緩めたわけではない。FRBは11月FOMCで政策金利を2会合連続で据え置くことを決定。10年債利回りは2007年来の5%に達するなどタカ派として知られるウォラー理事も長期金利の上昇で、FRBの利上げの必要性が低下するとの考えを示し利上げ見送りを支持。パウエル議長も金融市場は引き締まったとの考えを示した。クック理事は6日の講演で、米国の金融システムは堅調で柔軟性があるとしながらも、金融システムのリスクは近年上昇しており、ノンバンクを監視していく慎重姿勢を表明した。金融市場の引き締まりもひとつの理由となり、短期金融市場はFRBの利上げサイクル終了をほぼ織り込んだ。来年1月の利上げ確率も2割割れとなった。 <CS> 2023/11/07 07:45 注目トピックス 経済総合 NYの視点:【今週の注目イベント】英GDP、パウエルFRB議長、11月ミシガン大消費者信頼感指数速報値など *07:39JST NYの視点:【今週の注目イベント】英GDP、パウエルFRB議長、11月ミシガン大消費者信頼感指数速報値など 今週は英国の国内総生産(GDP)や米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長発言、11月ミシガン大消費者信頼感指数速報値などに注目が集まる。英国や欧州などの経済に鈍化の兆しが見られ英中銀、ECBも利上げ終了との見方が強まりつつある。英中銀が金融政策決定会合でタカ派的な据え置きを決定後発表される第3四半期のGDPではマイナス成長に落ち込む見込み。英中銀はメンバーの3名が今回の会合で追加利上げを支持、追加利上げも除外しなかった。ベイリー総裁もインフレのリスクは上方で利下げを検討するにはあまりにも時期尚早とタカ派色を強調したものの、市場は英中銀の次の行動は利下げとの考えを変更しておらず、GDPの結果次第でポンド売りが強まる可能性がある。ユーロ圏では小売売上高や独CPIに注目。ユーロ圏小売売上高は2カ月連続のマイナス予想。予想を下回る結果はECBの利上げ終了観測をより強め、ユーロ売り圧力となる。米国ではFRBのパウエル議長が国際通貨基金(IMF)の年次リサーチカンファレンスで世界経済における金融政策のチャレンジを議題とした討論会に参加する予定で発言に注目。10月雇用統計を受けた労働市場を巡る見解に焦点が集まる。12月会合での利上げ確率もほぼゼロ、来年の利下げ確率が上昇した。ハト派姿勢が示されると、ドル売りにさらに拍車がかかる。ただ、12月会合まではあらたな消費者物価指数(CPI)、雇用統計も発表されるため、慎重な姿勢を再表明する可能性もある。FRBは先々週開催したFOMCで市場の予想通り利上げを見送ったが、金融や与信の引き締まりが経済や物価に影響を及ぼす可能性があると指摘。今後、慎重に政策を決定していく姿勢を再表明した。議長はFOMC後の会見で、長期債利回りの上昇に注意を払っていると言及。インフレに関しても、リスクがより均衡したと、インフレの改善を指摘。さらに、今後の課題が追加利上げをするかどうかだと、利上げサイクルが最終段階に達したと考えていることを示唆したため、市場では利上げ終了期待が高まり、ドル売りに拍車がかかった。議長は同時に、インフレが目標2%達成の軌道にあることや、政策が十分に引き締め域にあることを確信できないと、追加利上げの選択肢も除外しなかった。■今週の主な注目イベント●米国7日:9月貿易収支、ローガン米ダラス連銀総裁が講演、シュミド米カンサスシテイ連銀総裁が挨拶8日:9月卸売売上高、共和党大統領候補討論会、ウィリアムズNY連銀総裁講演9日:週次失業保険申請件数、パウエルFRB議長が討論会参加、ボスティック米アトランタ連銀総裁、バーキン米リッチモンド連銀総裁がイベント参加10日:11月ミシガン大消費者信頼感指数速報値●欧州6日:ユーロ圏サービスPMI、独製造業受注7日:独鉱工業生産、独連銀ナーゲル総裁が講演8日:ユーロ圏小売売上高、独CPI、ECBチーフエコノミスト、レーン氏が講演9日:仏中銀総裁が講演、ECB経済報告●英国6日:英中銀、チーフエコノミスト、ピル氏がオンライン質疑応答に参加、金融政策報告8日:英中銀、ベイリー総裁が基調演説9日:英中銀、チーフエコノミスト、ピル氏が講演10日:鉱工業生産、GDP●日本6日:日銀、9月金融政策決定会合議事要旨公表7日:世帯支出●中国7日:貿易収支、外貨準備9日:PPI、CPI <CS> 2023/11/06 07:39 注目トピックス 経済総合 国内外の注目経済指標:9月米貿易収支で赤字幅は8月実績と差のない水準か *14:39JST 国内外の注目経済指標:9月米貿易収支で赤字幅は8月実績と差のない水準か 11月6日-10日週に発表される主要経済指標の見通しについては、以下の通り。■7日(火)午後10時30分発表予定○(米)9月貿易収支-予想は-605億ドル参考となる8月実績は-583億ドルで赤字幅は縮小。9月については財・サービスの輸入が急増する可能性は低いこと、資本財の輸出はまずまず順調とみられており、赤字幅は8月実績と大差のない水準にとどまる見込み。■9日(木)午前8時50分発表予定○(日)9月経常収支-予想は+30008億円参考となる8月実績は+2兆2797億円。エネルギー資源の輸入価格が下落し、貿易収支が改善したことが要因。9月については第一次所得収支の黒字幅は高水準とみられており、貿易収支に大きな変化はないことから、黒字幅は8月実績を上回る見込み。■9日(木)午前10時30分発表予定○(中)10月消費者物価指数-予想は前年比-0.2%参考となる9月実績は前年比0.0%で予想を下回った。内需の回復は遅れており、不動産セクターの減速が警戒されていることから、10月のインフレ率も低い伸びにとどまる見込み。■10日(金)日本時間11日午前0時発表予定○(米)11月ミシガン大学消費者信頼感指数速報-10月実績は63.8参考となる10月実績は63.8。11月についてはインフレ鈍化の思惑がやや後退していること、中東情勢の悪化で原油高が警戒されており、消費者信頼感指数は10月実績と差のない水準にとどまる可能性がある。○その他の主な経済指標の発表予定・7日(火):(中)10月貿易収支、(豪)豪準備銀行政策金利発表、(欧)9月ユーロ圏生産者物価指数・8日(水):(欧)9月ユーロ圏消小売売上高・10日(金):(英)7-9月期国内総生産 <FA> 2023/11/04 14:39 注目トピックス 経済総合 NYの視点:パウエルFRB議長は警戒されたほどタカ派姿勢示さず、追加利上げも除外せず *07:42JST NYの視点:パウエルFRB議長は警戒されたほどタカ派姿勢示さず、追加利上げも除外せず 米連邦準備制度理事会(FRB)は連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を市場の予想通り、2会合連続で据え置くことを全会一致で決定した。声明もほぼかわらずだが、経済活動は「強いペースで拡大」、雇用の伸びも前回の「減速」から「緩やかな伸び」に引上げた。パウエル議長は、「FOMCは政策を慎重に進める」としたほか、「リスクはより均衡になった」とし「問題は追加利上げをすべきかどうかだ」と、ピーク金利に一段と近づいた可能性を示唆。同時に、インフレは引き続き高過ぎで18カ月間の利上げにもかかわらず未だに十分に引き締まったかどうか確信できないと、追加利上げの可能性も除外しなかった。短期金融市場では12月の利上げ確率は9月会合後の45%前後から20%近くまで低下。ドルの上昇の勢いも失速している。 <CS> 2023/11/02 07:42

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