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みんかぶニュース コラム 明日の株式相場に向けて=全体相場一服でも個別株物色の宴は続く  週明け8日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比131円安の4万780円と続落。前週末時点のヒアリングでは、今週は日経平均の上値追いが止まると予想する市場関係者は少なくなかった。名実ともに7月相場入りとなった前週は、週末こそ1円安と足を止めたが反落と呼べる類いのものではなく、週間ベースでは1300円以上も上昇した。ショートポジションを取っていた海外ヘッジファンドの買い戻しが利いた形だが、そのアンワインドの動きも一巡した気配がある。  そのなか、今週はきょうと明後日(10日)に7月の恒例イベントともいえるETF分配金捻出に伴う売りが合計1兆3000億円規模で顕在化する。となれば、ここはとりあえず嵐が過ぎるまで雨宿りしようかという気分になるのが投資家心理だ。前週末の米国株市場は相変わらずナスダック総合株価指数とS&P500指数の両指数が強く、揃って史上最高値を更新したが、この最高値街道を併走する姿にも目が慣れてしまった。日本株の上げ足はナスダックやS&P500よりも更に勾配が急である。米株高に引っ張られて云々という状況ではなさそうだ。個別株戦略にも知恵が求められる場面である。  個別株では日経平均やTOPIXの上昇に連動しやすい主力大型株が注目されているが、本来ならば相場の花形である半導体セクターに視点を合わせるのが正攻法。ただ、半導体製造装置大手では、固有の思惑とはいえレーザーテック<6920.T>が崩れ足となっていることが大きく、他の銘柄についてもやや疑心暗鬼に苛まれるケースが出てきそうだ。6月18日以降、目を見張る陽線の連打で存在を輝かせたアドバンテスト<6857.T>だったが、モメンタム相場で快走したものの、ふと立ち止まるとPERが70倍を超えており、上昇一服となる可能性も否めない。しばらく株価が冴えなかったソシオネクスト<6526.T>は目先調整一巡感が出ているものの、手掛かり材料に事欠くなか、ここが買い場かどうかは判然としない。  半導体主力銘柄からいったん離れて大型株を俯瞰してみる。例えば炭素繊維世界トップの東レ<3402.T>は25年3月期に業績急回復が見込まれていることで、再び実需買いが入り始めた感触。また、データセンター向けばかりに視線が向いていた半導体関連にも変化が出ている。最近の電子部品株人気は、スマートフォンのエッジAI搭載に伴い買い替え需要を喚起するというシナリオが原動力となっている。スマホ生産プロセスで必須となるロボドリルで圧倒的なファナック<6954.T>などもマークしておいて面白そうだ。  一方、中小型ではサイバーセキュリティー関連に元気な銘柄が多い。銘柄によって跛行色はあるものの、政策的な後押しを拠りどころに総じて投資資金の流れ込むルートが確立されているように見える。6月19日に紹介したFFRIセキュリティ<3692.T>やサイバートラスト<4498.T>はその後順調に上値追いを続けているが、依然として上値余地は十分残されていると思われる。目先の押し目を狙っていきたい。このほか、5月上旬のマド開け急伸後、異色の右肩上がりチャートを継続しているイー・ガーディアン<6050.T>などにも目を配っておきたい。ただし、参戦する際にはロスカットルールを自らに課しておく。強い銘柄につくのは黄金セオリーだが、流れが変わったと感じた時に間髪を入れず降りる勇気は必要。これはすべての「強い株」に共通する。  小型株の一本釣りでは、まずノムラシステムコーポレーション<3940.T>。DX導入・運用支援という時流に乗る銘柄だが、何と株価は100円台。これは株式分割を繰り返したことによるものだが、週足チャートでは綺麗な三角もち合いを形成している。また、大規模病院向けを主力とする医療用汎用ファイルシステムの最大手であるファインデックス<3649.T>も医療DX関連の有望株で面白い。  あすのスケジュールでは、6月のマネーストックが朝方取引開始前に日銀から発表される。また、午前中に6カ月物国庫短期証券の入札と5年物国債の入札が行われる。午後取引時間中には5月の特定サービス産業動態統計が開示。また、引け後に発表される6月の工作機械受注額(速報値)にも関心が高い。このほか、債券市場参加者会合が10日までの日程で開催される。海外では特に目立ったイベントはないが、FRB高官の発言機会が相次ぐことで、関係者の注目を集めている。この日の日本時間夜にFRBのバー副議長が講演を行うほか、日本時間10日未明にFRBのボウマン理事が講演を行う予定となっている。(銀) 出所:MINKABU PRESS 2024/07/08 17:00 みんかぶニュース コラム <注目銘柄>=古河電工、生成AI関連需要も拡大  古河電気工業<5801.T>に注目したい。同社の24年3月期の連結営業利益は前の期比27.7%減の111億7100万円だった。光ファイバー・光関連部品などの不振が響いたが、ワイヤーハーネスなど自動車部品事業が回復し、従来予想を約60億円上回って着地した。25年3月期の同利益は前期比2.2倍の250億円と急回復する見通し。光ファイバー市場の好転や自動車関連の伸びなどが寄与しそうだ。  生成AIの市場急拡大に伴い、データセンターで冷却用ヒートシンクなどの機能製品が伸びている。株価は年初から急上昇しているが連結PBRは0.8倍台となお割安。先行き5000円を視野に入れた上昇相場が期待できる。(地和) 出所:MINKABU PRESS 2024/07/08 10:00 みんかぶニュース コラム 8日の株式相場見通し=反発か、米株高を受け堅調な地合い続く  8日の東京株式市場は強弱観対立のなかも主力株をはじめ堅調な値動きとなることが予想され、日経平均株価は反発し4万1000円近辺での推移が予想される。前週末の欧州株市場は高安まちまちの展開だったが、米国株市場ではNYダウをはじめ主要株価指数が揃って上昇し、ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数と機関投資家がベンチマークとするS&P500指数は史上最高値を更新している。この日の朝方に発表された6月の米雇用統計は、非農業部門の雇用者数の伸びが若干コンセンサスを上回ったものの、4月と5月の数字がいずれも下方修正されるなど労働需給の緩和を示す内容だった。これを受けFRBによる早期利下げ観測の高まりから幅広い銘柄に物色の矛先が向かった。ただ取引時間中はナスダック指数が終始プラス圏で強調展開をみせたものの、ダウはマイナス圏で推移する場面も多く、市場エネルギー不足のなか景気敏感株などの持ち高を積極的に増やす動きは限定的だった。東京市場では前週末に日経平均株価が6日ぶりに上昇一服となったが、下げ幅は1円でほぼ横ばいで着地した。目先高値警戒感はあるものの、旺盛な買い意欲がきょうも全体相場を支えそうだ。一方、外国為替市場では米長期金利の低下を背景にドルが売られ、足もと1ドル=160円台の推移と円高方向に押し戻されていることは、輸出セクターなどの上値を重くする可能性がある。また、ETF分配金の捻出に伴う売り圧力も意識され、日経平均は軟化するケースも考えられる。  5日の米国株式市場では、NYダウ平均株価が前営業日比67ドル87セント高の3万9375ドル87セントと小幅反発。ナスダック総合株価指数は同164.457ポイント高の1万8352.759だった。  日程面では、きょうは7月の日銀地域経済報告、6月の景気ウォッチャー調査、5月の国際収支など。海外では5月の米消費者信用残高など。 出所:MINKABU PRESS 2024/07/08 08:00 みんかぶニュース コラム 来週の株式相場に向けて=日経平均4万円時代の新投資戦略を探る  5日の東京市場で日経平均株価は前日比1円安と6日ぶりに小反落。前日までの5日間で1500円強上昇していただけに利益確定売りも出た様子だが、引けにかけ下げ幅は縮小し、相場の基調の強さを感じさせた。   日経平均株価は4日には、3月22日高値を抜き4万913円と史上最高値を更新し、TOPIXも34年半ぶりに最高値を塗り替えた。今春の急上昇後は、6月下旬まで3万9000円ラインでの一進一退が続いただけに「次に相場が動き出すのは7月下旬からの決算発表以降ではないか」とみる市場関係者は少なくなかった。それだけに足もとの急伸には意外感もあり、「中国株に向かった資金が再び東京市場に舞い戻った」「トランプ復活相場を先取りし始めた」などの見方が飛び交っている。  ただ、足もとで急伸している三井住友フィナンシャルグループ<8316.T>の連結PBRはようやく1倍に達し、配当利回りは3%近辺と依然として割安感がある。半導体関連にも魅力的な銘柄は多い。いよいよ本格的な日経平均4万円時代に入りつつあり、市場では新たな投資戦略が模索されているが、「バリュー株とグロース株の循環相場」(アナリスト)の様相を呈するなか、ここからの本格的なサマーラリーへの期待は強い。  来週の相場を探るうえでは、今晩の米6月雇用統計の結果の影響は大きいが、同様に11日の米6月消費者物価指数(CPI)への関心は高い。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は9日と10日に上下両院で議会証言を行う。政治要因でも、7日にはフランスの国民議会(下院)選挙の決選投票が行われる。また、日本では同日に東京都知事選がある。更に株式需給面では8日と10日にETFの分配金捻出で約1兆2000億円の売りが出るとの観測も出ている。  上記以外のスケジュールでは、米国では12日に米6月生産者物価指数(PPI)、米7月ミシガン大学消費者マインド指数が発表される。米国で決算シーズンに突入し、12日にJPモルガン<JPM>、シティグループ<C>、ウェルズ・ファーゴ<WFC>が決算発表を予定している。  国内では8日に5月毎月勤労統計調査、6月景気ウォッチャー調査、11日に5月機械受注が発表される。また、消費・小売関連企業の決算が本格化。8日にウエルシアホールディングス<3141.T>、9日にハニーズホールディングス<2792.T>、10日に吉野家ホールディングス<9861.T>、サイゼリヤ<7581.T>、11日にファーストリテイリング<9983.T>、セブン&アイ・ホールディングス<3382.T>、12日に良品計画<7453.T>、ドトール・日レスホールディングス<3087.T>などが決算を発表する。来週の日経平均株価の予想レンジは4万400~4万1400円前後。(岡里英幸) 出所:MINKABU PRESS 2024/07/05 17:06 みんかぶニュース コラム <注目銘柄>=FFRI、官公庁向けで強さ発揮するサイバーセキュリティー企業  FFRIセキュリティ<3692.T>の上昇トレンドについていきたい。足もと企業や自治体へのサイバー攻撃を巡るニュースが相次ぐなか、株式市場ではサイバーセキュリティー関連株への関心が急速に高まっている。同社は防衛省など官公庁向け案件に強みを持つセキュリティー企業であり、関連銘柄の一角として注目だ。  前24年3月期は売上高が前の期比25%増の24億4600万円、営業利益が同2.5倍の4億9700万円と急拡大し、過去最高業績を更新。安全保障に絡むセキュリティー調査や研究案件が増加した。好業績を背景に上場後初となる配当を実施した。続く25年3月期も増収増益を見込み、引き続き配当も行う方針だ。(イ) 出所:MINKABU PRESS 2024/07/05 10:00 みんかぶニュース コラム 5日の株式相場見通し=一進一退か、米株休場も欧州株高はポジティブ  5日の東京株式市場は材料不足が意識されるなか、日経平均株価は前日終値を挟み一進一退の展開か。前日は米国株市場が独立記念日の祝日に伴い休場だったことで、手掛かり材料が少なく方向感が見えにくい。ただ、前日の欧州株市場は独DAXや仏CAC40をはじめほぼ全面高様相に買われたことで、リスク選好ムードは続いている。前日に日経平均は約3カ月半ぶりに史上最高値を更新、TOPIXは1989年12月以来、約34年半ぶりに最高値を更新した。短期間の急上昇により過熱感も拭えず、日経平均は前日まで5日続伸し、この間に1500円以上も水準を切り上げていることで、目先利益確定売りから上昇一服となる可能性はある。ただ、全体指数が軟化する場面では出遅れた向きの押し目買いが想定され、下値に対しても底堅い動きが見込まれる。なお、日本時間今晩に6月の米雇用統計の発表を控え、この内容を見極めたいとの思惑もあり、売り買いともにポジションを一方向に傾けにくいタイミングともいえる。取引時間中は外国為替市場の動向や、米株価指数先物の動きが日経平均やTOPIXに影響を与える可能性がある。  日程面では、きょうは5月の家計調査、6月上中旬の貿易統計、消費活動指数、5月の景気動向指数(速報値)など。海外では5月のユーロ圏小売売上高のほか、6月の米雇用統計など。また、ウィリアムズNY連銀総裁がインドで講演する。 出所:MINKABU PRESS 2024/07/05 08:01 みんかぶニュース コラム 明日の株式相場に向けて=トランプ相場はインフレと共に  きょう(4日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比332円高の4万913円と5日続伸。今週は1989年12月以来約34年半ぶりの史上最高値更新を視野に置くTOPIXの動向にマーケットの関心が高かった。その結果は、首尾よく週初から上値指向を続けノンストップで達成した。ついでにというと語弊があるが、3月下旬にひと足先に34年ぶりの最高値更新を果たしていた日経平均株価も、TOPIXと足並みを揃え最高値街道に再突入する形となった。  7月はETFの分配金捻出のための売りが出て全体相場の上値を押さえるという見方が強かった。昨年もこのETF絡みの売り圧力が喧伝され7月上旬から中旬にかけて日経平均、TOPIXともに下値模索の展開を強いられ週足で大陰線を引いた。ところが今年は真逆の展開となっている。7月のETF分配金捻出に伴う売りは、毎年恒例ともいえる需給イベントだが、今回も7月第2週前半(来週前半)に1兆数千億円規模の売りが東京市場にのしかかるという観測があった。市場では「これ(ETF絡みの売り)を見込んで前週あたりからショートポジションを積み上げる向きが急増、結果的に売り方は強制的な買い戻しを迫られ、TOPIXの34年ぶり最高値を演出する格好となった」(ネット証券マーケットアナリスト)とする。  6月は後半に入ってから前半の不調が嘘に思えるような急速な上昇トレンドを形成したが、これが7月初旬に入ってからの下げ余地を大きくするであろうという穿(うが)った見方につながった面もある。「海外ヘッジファンドの買い戻しが6月いっぱいで終了するという思惑も働いた。それもあって玄人筋ほど売りから入りやすく、結果的に踏み上げ相場の肥やしになってしまった」(中堅証券ストラテジスト)と指摘する。  米大統領選を前にした最初のテレビ討論で、こんなに早くバイデン氏がコーナーポストに追い詰められるような形になるとは誰も想定していなかったはずだが、マーケットがもう一つ見誤ったのは、トランプ大統領返り咲きの可能性が高まったことで株式市場全体がここまでリスクオンに振れるという現実であったと思われる。「もしトラ」という言葉自体に元来肯定的な響きはない。もしもトランプ氏が大統領選に勝利した場合、株式市場はリスクに遭遇するというニュアンスであり、これは2016年のヒラリー・クリントン氏とトランプ氏の大統領選の際に生まれたスラングである。しかし、当時はトランプ氏が大統領に就任すると米国株は急上昇トレンドに突入した。空売りのアンワインドが一気に進み全体相場を押し上げる構図となった。しかし、今回は過去の実績から、「もしトラ」は必ずしも株式市場にとってネガティブではないという学習効果が働いている。  そうしたなか、トランプ氏が掲げる政策でもっともマーケットの視線を引き付けているのは他国への追加関税だ。とりわけ中国からの輸入品には一律60%超の関税をかけ、その他の国や地域からの輸入品に10%の関税をかける案を提示している。これは、物価上昇圧力となってモノのインフレを再燃させる。一方、大型減税の拡充(減税の恒久化と法人税率の一段の引き下げ)では、財政出動に伴う過剰流動性の創出がインフレ圧力の顕在化につながる。更にトランプ氏は不法移民の取り締まり強化で数百万人単位を強制送還させる案を掲げており、これは労働者需給を逼迫させサービス分野のインフレを巻き起こす。  つまり、トランプ大統領はインフレの足音とともに再登場する絵図が浮かぶ。原油市況や非鉄市況がここにきて静かに上昇傾向を見せ始めているのはそのシナリオに沿ったものだ。しかも、日本は折からの円安に歯止めがかからない状況で、これはかなりのインフレ環境に晒されることになる。一方でタカ派になり切れない日銀。これを横目に今の株高は「インフレ対策で株を買う」というロジックが底流しているようにも見える。  あすのスケジュールでは、5月の家計調査、6月上中旬の貿易統計がいずれも朝方取引開始前に開示される。また、午前中に3カ月物国庫短期証券の入札が行われる。午後取引時間中には消費活動指数、5月の景気動向指数(速報値)などが発表される。また、この日は安川電機<6506.T>の3~5月期決算発表がありマーケットの関心を集めそうだ。海外では5月のユーロ圏小売売上高のほか、6月の米雇用統計への注目度が高い。このほか、ウィリアムズNY連銀総裁がインドで講演を行う予定にある。(銀) 出所:MINKABU PRESS 2024/07/04 17:00 みんかぶニュース コラム <注目銘柄>=ラクスル、260万超の顧客基盤が強み  ラクスル<4384.T>は印刷・集客支援のプラットフォーム「ラクスル」が主力事業で、260万を超える累計登録ユーザー数が強み。また、マーケティングのプラットフォーム「ノバセル」なども展開している。  6月11日に公表した24年7月期第3四半期累計の連結決算は好調で、営業利益は前年同期比50.2%増の21億8900万円で着地。法人向け印刷販促管理サービス「ラクスルエンタープライズ」の導入企業が2000社を突破するなど、既存事業が堅調だったことが寄与した。同社は第4四半期も事業環境は大きく変わらないとみており、通期業績の上振れが期待される。  株価は6月中旬に開けたマドを埋めて仕切り直しの様相。日足チャートでは25日移動平均線と75日移動平均線とのゴールデンクロスが目前となっている。(参) 出所:MINKABU PRESS 2024/07/04 10:00 みんかぶニュース コラム 4日の株式相場見通し=続伸か、TOPIXの最高値更新が視野に  4日の東京株式市場は売り買い交錯のなかも頑強な値動きで、日経平均は続伸が予想される。前日は欧州株市場で主要国の株価が総じて高く、仏CAC40や独DAXなどいずれも1%を超える上昇を示した。フランスの国民議会選を巡る極右台頭に対する警戒感が後退し、幅広い銘柄にアンワインドの動きが出ている。一方、短縮取引となった米国株市場ではNYダウが小幅ながら安く引けたものの、ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数は3日続伸し史上最高値更新が続いた。またS&P500指数も連日で最高値を更新した。この日発表された6月の米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業景況感指数が、市場コンセンサスに反し2カ月ぶりに好不況の分水嶺である50を割り込んだほか、同日発表の6月のADP全米雇用リポートも非農業部門の雇用者数が事前予想を下回る水準だった。予想を下回る経済指標が相次いだことでFRBによる9月利下げ観測が高まり、ハイテク系グロース株を中心に追い風となった。東京市場ではTOPIXの史上最高値更新があと12ポイントあまりに迫っており、きょうはその動向が注目される。また、日経平均も今年3月につけた最高値4万888円まであと300円強の上昇で到達する位置にあり、展開次第ではTOPIXと同時に最高値更新というケースも考えられる。  3日の米国株式市場では、NYダウ平均株価が前営業日比23ドル85セント安の3万9308ドル00セントと3日ぶり反落。ナスダック総合株価指数は同159.539ポイント高の1万8188.302だった。  日程面では、きょうは対外・対内証券売買契約、6月の輸入車販売、6月の車名別新車販売、6月の軽自動車販売など。海外では5月の豪貿易収支、5月の独製造業新規受注のほか、英国では総選挙が行われる。なお、米国は独立記念日の祝日で休場となる。 出所:MINKABU PRESS 2024/07/04 08:02 みんかぶニュース コラム 明日の株式相場に向けて=「国家安全保障」の大潮流に乗る三菱重  きょう(3日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比506円高の4万580円と大幅高で4日続伸。前日の米国株市場では米長期金利の低下を背景にハイテク株への資金流入が続き、ナスダック総合株価指数が連日の最高値、更に機関投資家がベンチマークとするS&P500指数も終値で初の5500ポイント台乗せを果たし史上最高値を更新した。加えて、外国為替市場では日銀の存在など完全スルーと言わんばかりの円売り攻勢が続き、1ドル=161円台後半の円安に振れている。止まらない円安は政府・日銀にすれば気が気ではないが、株式市場にすれば輸出企業のEPS向上、あるいはインバウンド消費を増幅させる順風として大いにウェルカムというのが本音のようだ。  6月は海外投資家が日本株の持ち高を減らす傾向があり、過去10年間を振り返ると買い越したのはわずか2回、つまり8回は売り越していることになる。対して7月は10年間で6回買い越しという実績であり、今年も今月は買い戻しのタームに入る公算が小さくなさそうだ。そして、出足はどうやらその気配を漂わせている。  足もとで相場の景色もガラッと変わってきた。日経平均が4万円大台ラインを通過点とする大出直りを演じているのは事実だが、それとは違う意味で舞台が大きく回ったような印象を受ける。これまでは日米で生成AIが無双のテーマ性を発揮し、これがAI用半導体、データセンター、電力関連、エッジAIと物色領域を横に広げながら関連銘柄を刺激してきた。もちろん、これらのテーマ性が色褪せることはないが目先やや食傷気味となっていた。そこに、物色テーマとして急浮上し新たな潮流を発生させているのが「国家安全保障」だ。  米大統領選は決戦の11月5日まできっちり4カ月の時間が残されており、当然ながらまだ予断を許さないが、第1回テレビ討論を経た現状はトランプ氏が断然優位に立っている。というよりは、バイデン氏が勝利するというイメージが雲散霧消してしまったということに尽きる。これが株式市場にも大きなインパクトを与えている。「もしかしてトランプ」が「ほぼトランプ」というコンセンサスに変わってきたことで、これがマーケットの物色の流れをも支配するに至っている。  トランプ氏は同盟国に対して、軍事面で米国に頼り過ぎず自ら軍備拡大を行うことを強く要請している。トランプ大統領再選となれば防衛予算拡大に岸田政権はまい進するとの思惑が強まるなか、一方で米国の対中規制強化という政策も同時進行することになる。中国が態度を硬化させ、台湾有事という地政学リスクの蓋然性が高まっている。国家安全保障イコール防衛関連株への投資資金誘導が鮮明である。  そして、これが紛れもなく防衛省との取引額で群を抜く三菱重工業<7011.T>が怒涛の株高を続ける背景となっている。株価上昇だけではない。きょうの東京市場でディスコ<6146.T>やレーザーテック<6920.T>を押さえ、三菱重が売買代金トップに躍り出たのは特筆に値する。このほか、川崎重工業<7012.T>やIHI<7013.T>など“リアル防衛関連”が高値圏を突き進む展開となっている。また、リアル防衛関連ということであれば、防衛大手の一角であるNEC<6701.T>や三菱電機<6503.T>も外せない。   防衛関連という切り口ではサイバー空間も重要なエリアである。内閣サイバーセキュリティセンターは今月から人員を倍増させ、幹部ポストを新設することが伝わっている。既にサイバー防衛関連株が一様に動意づいており、その背景には企業へのランサムウェア被害が相次いでいることもあるが、国家安全保障という国際的な大きな枠組みの中で、有事を意識したこれまでとは違った潮流が発生している。FFRIセキュリティ<3692.T>やトレンドマイクロ<4704.T>などがそれを映している。このほかサイバーセキュリティクラウド<4493.T>などもマークしておきたい。  あすのスケジュールでは、対外・対内証券売買契約、6月の輸入車販売、6月の車名別新車販売、6月の軽自動車販売など。このほか、30年物国債の入札が予定されている。また、日本最大級のスタートアップカンファレンス「IVS2024 KYOTO」が6日までの日程で開催される。海外では5月の豪貿易収支、5月の独製造業新規受注のほか、英国では総選挙が行われる。なお、米国は独立記念日の祝日で休場となる。(銀) 出所:MINKABU PRESS 2024/07/03 17:00 みんかぶニュース コラム <注目銘柄>=ALSOK、積極的な株主還元継続に期待  ALSOK<2331.T>は、好業績と積極的な株主還元施策継続への期待を背景に、株価4ケタ台での活躍が期待できそうだ。  5月14日に発表した24年3月期連結決算は、営業利益が390億8200万円(前の期比5.6%増)となった。機械警備、常駐警備、警備輸送からなるセキュリティー事業が伸長。綜合管理・防災事業や介護事業も伸長した。  続く25年3月期は営業利益403億円(前期比3.1%増)と連続増益を見込む。機械警備インフラを活用した新サービスの開始や「HOME ALSOK Connect」の「スマホゲート」の販売開始、情報セキュリティーサービスの拡充なども寄与する見通しで、業績上振れを予想する調査機関も多い。  決算発表時に、増配(23円70銭から24円80銭へ)と1770万株(発行済み株数の3.53%)を上限とする自社株買いを発表。株価はこれらを好感する形で上昇した。これにより、株主還元の強化策はいったん株価に織り込まれたようにみえる。ただ、会社側では従来30%としていた配当性向の目安を40~50%へ引き上げたほか、自社株買いについても今後も経営環境に応じて総合的に判断するとしている。26年3月期以降も積極的な株主還元が期待できそうであり、注目余地は十分にあろう。(仁) 出所:MINKABU PRESS 2024/07/03 10:00 みんかぶニュース コラム 3日の株式相場見通し=頑強な値動きか、米株高受けリスクオン継続  3日の東京株式市場は主力株を中心に目先筋の利益確定売りをこなし、日経平均株価は4万円トビ台で頑強な値動きとなることが予想される。前日は欧州株市場で独DAXや仏CAC40など主要国の株価が総じて軟調な値動きとなったが、米国株市場ではリスク選好の地合いを維持した。NYダウ、ナスダック総合株価指数ともに高く、後者は史上最高値を連日更新、また機関投資家が重視するS&P500指数も最高値を更新した。パウエルFRB議長がECB主催のフォーラムで米国のインフレ抑制についてかなり進展があったとの認識を示し、これをマーケットはハト派的な発言として好感する形に。米長期金利も低下しハイテク系グロース株などに追い風となった。個別では電気自動車(EV)大手のテスラ<TSLA>が10%高と値を飛ばし、全体リスクオン相場を助長している。アマゾン<AMZN>やアップル<AAPL>などのビッグテックも買われ指数押し上げに寄与した。東京市場では、前日に日経平均株価が先物主導で440円あまりの大幅高をみせ、フシ目の4万円大台に乗せた。前日の米株高を受けリスク許容度の高まっている海外投資家などの買いを誘導し、きょうも上値指向を維持しそうだ。ただ、外国為替市場で円安が一服していることや、大台回復で目先達成感からの売り圧力も拭えず、買い一巡後は上値の重い展開となることも想定される。日本時間今晩の米株市場が短縮取引となり、あすは独立記念日で休場となることもあって市場エネルギー不足も意識される可能性がある。  2日の米国株式市場では、NYダウ平均株価が前営業日比162ドル33セント高の3万9331ドル85セントと続伸。ナスダック総合株価指数は同149.463ポイント高の1万8028.763だった。  日程面では、きょうは国内では新紙幣の発行開始日。また、需給ギャップと潜在成長率が開示される。海外では6月の財新中国非製造業購買担当者景気指数(PMI)、5月の豪小売売上高、ポーランド中銀の政策金利発表、FOMC議事要旨(6月開催分)、6月のADP全米雇用リポート、週間の米新規失業保険申請件数、6月の米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業景況感指数、5月の米貿易収支、5月の米製造業受注など。 出所:MINKABU PRESS 2024/07/03 08:00 みんかぶニュース コラム 明日の株式相場に向けて=浮かび上がる「ほぼトラ」相場の片鱗  きょう(2日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比443円高の4万74円と大幅高。念願の4万円大台に一気に乗せた。いつものパターンともいえるが、後場後半になると先物主導でつむじ風に巻かれるように踏み上げ相場の色彩が強まった。きょうは高値引けではなかったものの、実需買いではなくショートポジションの手仕舞いが全体相場を押し上げる典型的な地合いとなった。何よりも値上がり銘柄数が全体の5割強を占めるにとどまっており、これは指数寄与度の高い主力大型株に資金が集中したことを物語る。  米国株市場の方はハイテク株中心に想定以上に強い動きである。米長期金利の上昇局面でもかまわずナスダック総合株価指数は最高値圏を舞い上がる。今は上がるから買う、買うから上がる、という状況で売り方もなすすべがないという感じだが、どこかで今のモメンタム相場の反動は来そうである。  米大統領選の第1回テレビ討論では、バイデン大統領とトランプ前大統領が期待にたがわず丁々発止、と言いたいところだが、お互いを罵(ののし)り合う展開で「政策論争ではなく、ひたすら仲の悪い老人同士が互いを否定するために口角泡を飛ばすという状況」(国内投資顧問系エコノミスト)という声が聞かれた。しかし、ディベートが進むとバイデン大統領の“老い”がクローズアップされる形となり、世論調査では同氏が大統領選に出馬すべきでないという回答が実に7割を超えたという。一方、トランプ氏についても過半数が出馬すべきでないという評価だったというから、有権者の「ダブルへイター」が浮き彫りとなっている。しかし、このままだと「大統領になるべきでない人を選ぶ戦い」でバイデン氏が圧倒していることになり、消去法でトランプ前大統領の返り咲きという線が濃厚となる。  米国も政治が病んでいるイメージだが、民主党内でも意見が割れ、まとまりがつかない様子だ。ブルームバーグ通信は、民主党全国委員会がバイデン氏を党候補に正式指名する手続きを前倒しすると報じた。そうしないと空中分解してしまう可能性を危惧している。4年前の再現で、バイデン大統領をたてることで対立の構図を印象づける算段だったが、時の流れは人間にとって容赦のないものであることが今回の討論で峻烈に映し出された。市場関係者によると、民主党のウルトラCとして「副大統領をハリス氏からオバマ元大統領にすげ替え、バイデン氏の影武者的存在として担ぎ上げるというジョークのような話も持ち上がっている」(ネット証券マーケットアナリスト)という。  ともあれ、2日の東京市場では「ほぼトラ」というムードが投資マネーの流れにも影響を与え始めた。トランプ氏が大統領になれば、大型減税の拡充に動くことが予想され、強力な財政出動に伴い金利の高止まりが避けられない。東京市場も日銀が大規模緩和策にピリオドを打つタイミングを測っている段階にあり、日米ともに長期金利が上昇基調をたどるとなれば、恩恵を受けるのはメガバンクや生保。三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306.T>が売買代金2位に入る大商いの中で値を飛ばしたのは、トランプ相場の片鱗という見方もできる。また、日本にも防衛予算拡大圧力がかかるとなれば、防衛省との取引金額で群を抜く三菱重工業<7011.T>だが、やはり活況高となり最高値を更新した。  きょうは中小型株が蚊帳の外であった。ただ、前日にも触れた株価3ケタ台の材料株にはしぶとく資金が流れ込んでいる。丸運<9067.T>、nms ホールディングス<2162.T>、朝日ネット<3834.T>などが好チャートを形成している。また、バイオ関連も賑わっている。きょう新規上場のPRISM BioLab<206A.T>が初値形成後にストップ高に買われたことも刺激となりやすく、動兆しきりのトランスジェニック<2342.T>あたりをマーク。このほか、サイバーセキュリティー関連でセキュアヴェイル<3042.T>に継続的な資金流入が観測されるが、当欄継続注目のソリトンシステムズ<3040.T>の上げ足にも拍車がかかった。  あすのスケジュールでは、国内では新紙幣の発行開始日となる。また、需給ギャップと潜在成長率が午後取引時間中に開示される。海外では6月の財新中国非製造業購買担当者景気指数(PMI)、5月の豪小売売上高、ポーランド中銀の政策金利発表のほか、米国ではFOMC議事要旨(6月開催分)の内容にマーケットの関心が高い。このほか、6月のADP全米雇用リポート、週間の米新規失業保険申請件数、6月の米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業景況感指数、5月の米貿易収支、5月の米製造業受注など。(銀) 出所:MINKABU PRESS 2024/07/02 17:00 みんかぶニュース コラム <注目銘柄>=綜研化学、業績急拡大で営業最高益続き超割安  綜研化学<4972.T>の戻り相場につきたい。アクリル系粘着剤の大手で、電子材料向け特殊機能材なども手掛ける。業績は足もと急拡大局面にある。24年3月期はスマートフォンの在庫調整圧力が同社のスマホ向け製品に逆風となったが、液晶ディスプレー関連製品の需要回復が寄与し、営業利益段階で前の期比88%増の38億2800万円と大幅な伸びを達成、過去最高利益を更新した。続く25年3月期も中国景気回復を追い風に液晶関連で需要を捉え、営業利益は前期比12%増の43億円予想と2ケタ増益が続く見通しにある。  PER8倍台でPBR0.6倍台と株価指標面で割安感が強い。今期年間配当も95円(前期実績も95円)予想と高水準、配当利回りに換算して3.5%前後に達する。株価は底値圏からの戻り初動にあり、5日・25日移動平均線のゴールデンクロスを形成したばかり。ここは強気に対処して面白そうだ。(桂) 出所:MINKABU PRESS 2024/07/02 10:00 みんかぶニュース コラム 2日の株式相場見通し=上値重い展開か、欧米株高と円安の影響は限定的  2日の東京株式市場は売り買い交錯のなかも3万9000円台半ばで上値の重い展開か。前日の欧州株市場では、ここ下値模索の続いていたフランス市場で主要株価指数のCAC40が5日ぶりに反発するなどリスクオフの地合いに歯止めがかかり、このほかドイツをはじめ他の主要国の株価も総じて高かった。6月末に行われたフランスの国民議会選挙は極右政党の国民連合が思ったほどは勢力を広げなかったとの見方で、過度な不安心理が後退した。また、米国株市場ではNYダウ、ナスダック総合株価指数ともに高く、ナスダック指数は最高値街道に復帰した。フランスの政局に対する懸念が薄まったことで、米株市場でも買い安心感が浮上している。また、この日に発表された6月のISM製造業景況感指数は市場コンセンサスに反し、3カ月連続で好不況の分かれ目である50を下回った。これはFRBによる早期利下げ期待を後押しするが、一方で米経済減速に対する警戒感も意識されているもよう。ダウの上昇率は0.1%とわずかにとどまっている。東京市場では月替わりとなった前日に日経平均が先物絡みの買いで続伸したが、後半は利食い圧力が表面化し一貫して上げ幅を縮小した。きょうも、上値の重さが意識されそうで朝方は利益確定売りが先行する可能性が高そうだ。外国為替市場では一段と円安が進んでいるが、ここにきて円安を好感する動きが弱まり、輸出株など株価連動性を欠いていることも気掛かり材料となる。  1日の米国株式市場では、NYダウ平均株価が前営業日比50ドル66セント高の3万9169ドル52セントと小幅反発。ナスダック総合株価指数は同146.697ポイント高の1万7879.300だった。  日程面では、きょうは6月のマネタリーベース、10年物国債の入札が予定、6月の財政資金対民間収支など。海外では豪中銀の理事会の議事要旨(6月開催分)、6月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値、5月のユーロ圏失業率、5月の米雇用動態調査(JOLTS)など。 出所:MINKABU PRESS 2024/07/02 08:00 みんかぶニュース コラム 明日の株式相場に向けて=株価3ケタの底値買い変身妙味株を探す  名実ともに7月相場入りとなった1日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比47円高の3万9631円と続伸。前週末の米国株市場はNYダウ、ナスダック総合株価指数ともに反落した。この日の取引開始前に発表されたPCEデフレーターがインフレの減速を示唆し事前予想とも一致したことで、セオリー通りならFRBの早期利下げ期待が再燃という流れだったが、後半は米長期金利が再上昇しリスク選好の地合いは続かなかった。しかし、東京市場は先物主導で買いが先行、微妙な雰囲気の中で日経平均は上値を追った。一方、TOPIXが高値引けで年初来高値を更新し、1989年の年末につけた史上最高値2884.80にあと60ポイントあまりに迫った。  今週は米国で重要イベントが目白押しである。まず、日本時間今晩の6月のISM製造業景気指数が注目され、あす2日にパウエルFRB議長がECBフォーラムで発言機会がある。週央3日にはFOMCの議事要旨(6月開催分)が開示されるほか、6月のISM非製造業景気指数も発表される。そして、週末には6月の米雇用統計が控える。  一方、欧州に目を向けると週後半の4日に英国で総選挙が行われるが、与党・保守党の大苦戦が見込まれ、敗北必至との見方。これはフランスで6月末に行われた国民議会選挙(下院)の流れを継ぐ形となる。フランス下院選は大方の予想通りマリーヌ・ルペン氏率いる極右の国民連合が第一党に躍り出ることが濃厚となったばかりで、欧州では政権与党に吹く逆風が一様に強まっていることが警戒される。片や米国では前週末行われた大統領選挙のテレビ討論会で、トランプ氏優勢というよりは、バイデン氏が自ら転んだような格好となっており、こちらもトランプ大統領復活に向けたストーリーが勝手に走り出している。これらが、どういう影響をもたらすかだが、一番明らかなのはウクライナ・ロシアの紛争について、各国が足並みを揃え支援姿勢を弱めるというシナリオ。紛争が収束する方向となればウクライナは報われないが、道義的な問題は置くとして、株式市場にとってはリスクオフの巻き戻しにつながるだけに、「望外の上昇相場につながる可能性がある」(中堅証券ストラテジスト)という声も聞かれる。  国内では7月7日の東京都知事選に耳目が集まる。過去を振り返って現職が出馬した場合は100%再選されるとあって、今回も小池百合子都知事が勝利するとの見方が強いものの、台風の目となっている前安芸高田市長の石丸伸二氏がどこまで食い込むか。ネット上で知名度を急上昇させたが、他の候補者と比べ石丸氏が論説力や政策姿勢などで群を抜いているのは明らかに見える。仮に石丸氏が当選しなくても善戦が予想され、これは自民党にとってはネガティブだ。もっとも市場関係者は「(石丸都知事爆誕でも)自民党の岸田首相おろしが加速するだけで、株式市場が今さら政局に左右されて揺らぐ要素は乏しい」(生保系エコノミスト)とする。  きょうのマーケットではTOPIXの新高値に象徴されるように、銀行や保険などの大手金融などのバリュー株優位の構図。業種別で値上がり首位となったのは低PBR株の宝庫である「海運」だった。しかし、テーマ買い意欲も活発で、29日付トップ特集「エッジAI関連7銘柄」で紹介のザインエレクトロニクス<6769.T>がストップ高、ジーデップ・アドバンス<5885.T>も一時S高に買われるなどグロース株が弱かったということでもない。  ザインも該当するが、個別株物色は株価3ケタ台の業績好変化銘柄に化ける銘柄が相次ぐ。1000円未満の中小型株で、変身余地を内包する銘柄としてはデータセンター関連の一角であるアエリア<3758.T>や自動車向け成形樹脂加工の児玉化学工業<4222.T>、eコマースで今期利益倍増が見込めるラクーンホールディングス<3031.T>などもマークしたい。  あすのスケジュールでは、6月のマネタリーベースが朝方取引開始前に開示され、午前中に10年物国債の入札が予定。午後取引終了後には6月の財政資金対民間収支が発表される。また、この日は東証グロース市場にPRISM BioLab<206A.T>が新規上場する。海外では豪中銀の理事会の議事要旨(6月開催分)、6月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値、5月のユーロ圏失業率のほか、米国では5月の雇用動態調査(JOLTS)にマーケットの耳目が集まる。このほか、パウエルFRB議長がECB主催の「ECBフォーラム」の討議に参加予定にあり、その発言内容に注目度が高い。(銀) 出所:MINKABU PRESS 2024/07/01 17:00 みんかぶニュース コラム <注目銘柄>=グンゼ、4期連続の増配を評価  グンゼ<3002.T>に注目したい。紳士肌着大手の同社は電子機能材料など非繊維部門に注力している。24年3月期の連結純利益は前の期比13.5%増の51億900万円だった。構造改革の推進による事業構造改善費用を計上したが、アパレル事業などの収益が改善した。25年3月期の同利益は前期比46.8%増の75億円の見通し。素材関係の市況回復や生産性向上の取り組みなどが寄与する。今期配当は前期比4円増の157円と4期連続増配見通しだ。  株価は業績拡大を好感し、足もとでは年初来高値を更新しているが、連結PBRは0.8倍台と依然として割安だ。積極的な株主還元の姿勢を示していることも評価材料であり、先行き6000円乗せからの一段高が期待できる。(地和) 出所:MINKABU PRESS 2024/07/01 10:00 みんかぶニュース コラム 1日の株式相場見通し=続伸か、米株軟調も円安背景に買い優勢  1日の東京株式市場は、強弱観対立のなかも日経平均株価は続伸しそうだ。3万9000円台半ばから後半で目先筋の利益確定売りを吸収し、頑強な値動きが想定される。前週末は欧州株市場が高安まちまちの展開だったが、独DAX指数はプラス圏で引けたものの、仏CAC40が4日続落と下値を模索し約5カ月ぶりの安値で引けた。6月末に行われる国民議会選挙は極右政党の「国民連合」が第一党に躍り出る可能性が高いとみられていたこともあり、これを目前に持ち高調整の売りが続いた。一方、米国株市場ではNYダウ、ナスダック総合株価指数ともに反落した。ダウは構成銘柄のナイキ<NKE>が急落したことが指数押し下げ要因となった。ただ、朝方は高く推移する場面もあり、ダウについてはナイキの下落による影響を除けば大引けも実質上昇して着地した計算となる。この日の取引開始前に発表されたPCEデフレーターがインフレの減速を示す数値で、事前の市場コンセンサスとも一致したことから米長期金利が低下、ハイテク株比率の高いナスダック指数も朝方は強調展開を示した。東京市場では前週は日経平均株価が週間で約1000円上昇したことで、足もとで利食い圧力が意識されやすいものの、外国為替市場では1ドル=160円台での推移が続いていることや、ここ海外投資家の日本株を買い直す動きが観測されるなか、先物主導で堅調な地合いとなることが予想される。ただ、上値の重さも拭えず、朝方取引開始前に発表される日銀短観の結果も全体相場に影響を与える可能性はある。  6月28日の米国株式市場では、NYダウ平均株価が前営業日比45ドル20セント安の3万9118ドル86セントと反落。ナスダック総合株価指数は同126.081ポイント安の1万7732.603だった。  日程面では、きょうは6月の日銀短観、6月の消費動向調査など。海外では6月の財新中国製造業購買担当者景気指数(PMI)、6月の独消費者物価指数(CPI)、6月の米ISM製造業景況感指数、5月の米建設支出など。なお、香港市場は休場。 出所:MINKABU PRESS 2024/07/01 08:00 みんかぶニュース コラム 来週の株式相場に向けて=新高値圏に浮上するTOPIXと夏相場の行方  今春以降は往来相場が続いた東京市場だが、6月は月間で1095円(2.8%)上昇と堅調。特に、今月後半には上値抵抗線となっていた3万9000円ラインを突破した。とりわけ、足もとでの強さが目立つのがTOPIXだ。今日は一時2821まで上昇し、3月22日につけた終値ベースの年初来高値2813.22を上回る場面があった。結局、後場に伸び悩んだものの、3月高値を抜ければ1989年12月の最高値2884.80が再び視野に入る。  大手銀行株が買われ三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306.T>や三井住友フィナンシャルグループ<8316.T>、みずほフィナンシャルグループ<8411.T>が年初来高値を更新した。足もとで日本の長期金利は1.0%台に上昇しており、金利上昇が銀行株には利ザヤ改善による収益拡大につながるとの期待が強い。半導体関連株に加え、日立製作所<6501.T>や伊藤忠商事<8001.T>など時価総額上位銘柄の上昇がTOPIXを牽引している。日経平均株価に比べTOPIXは内需バリュー株の影響も強いだけに、米国に加え国内金融政策の動向は注視されそうだ。  来週からは7月となり本格的な夏相場に突入するが、最大のポイントは30~31日の米連邦公開市場委員会(FOMC)と日銀金融政策決定会合となる。日銀会合に向けては1日発表の6月日銀短観への関心が高い。大企業製造業の業況判断指数(DI)は11と、3月から横ばいが予想されている。足もとでは急激な円安が進行しているが、国内金利の上昇懸念が銀行株上昇につながるかも注視される。  また、FOMCに向けては5日の米6月雇用統計が大きな焦点となる。更に、今月末の30日にはフランスで国民議会(下院)の総選挙の第1回投票が行われ、英国では4日に下院総選挙が予定されている。来週は重要イベントが目白押しであり、相場はその結果に一喜一憂する展開が予想される。  上記以外のイベントでは、海外では1日に米6月ISM製造業景況指数、2日に米5月JOLTS求人件数、3日に米6月ADP雇用統計、米6月ISM非製造業景況指数、それに6月11~12日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録が公表される。4日は米国が独立記念日で休場となる。日本では5日に5月家計調査が発表される。3日には新紙幣が発行される。安川電機<6506.T>が5日に決算発表を行う。2日にPRISM BioLab<206A.T>が東証グロース市場に新規上場する。来週の日経平均株価の予想レンジは3万9000~4万円前後。(岡里英幸) 出所:MINKABU PRESS 2024/06/28 17:16 みんかぶニュース コラム <注目銘柄>=パーカライ、業績安定感もPBRは1倍割れ  日本パーカライジング<4095.T>はPBR(株価純資産倍率)が1倍を下回っている。金属表面処理で国内トップの企業で業績に安定感があり、中期目線でマークをしておきたい。同社は25年3月期の売上高を前期比5.5%増の1320億円、経常利益を同2.8%増の205億円と計画。経常利益は18年3月期の過去最高益に肉薄する見通しだ。今期の想定為替レートは1ドル=148円。実勢のドル円レートは160円台と円安水準で推移しており、為替面での業績押し上げ効果の発揮による最高益更新の期待が膨らんでいる。  自動車・鉄鋼以外の新たな分野の開拓とともに、インド市場など海外事業の拡大などによる成長戦略を掲げる同社は、ROE(自己資本利益率)の向上策として、事業構造改革と政策保有株式の縮減を進める方針も示している。同社株は2月下旬以降、レンジ相場が続いていたものの、6月27日に年初来高値を更新するなど、もちあい上放れに向かいつつある。配当利回りは3%台とまずまずの水準とあって、全体相場の調整局面においては下値抵抗力をみせそうだ。(碧) 出所:MINKABU PRESS 2024/06/28 10:00 みんかぶニュース コラム 28日の株式相場見通し=反発、米株高と円安を好感し買い戻し優勢に  28日の東京株式市場は主力株をはじめ広範囲に買い戻され、日経平均株価は反発する公算が大きそうだ。前日の欧州株市場は主要国の株価が高安まちまちだった。30日に国民議会選挙を控える仏CAC40は3日続落と下値模索を続けたが、独DAXが3日ぶりに小幅反発するなど強さを発揮した。一方、米国株市場ではNYダウ、ナスダック総合株価指数ともにプラス圏で引けた。米長期金利の低下を受け株式の相対的な割高感が後退し、押し目買いが優勢となった。もっともダウの上昇率は0.1%弱とわずかにとどまっている。ダウの構成銘柄ではないが、半導体大手マイクロン・テクノロジー<MU>が決算発表を嫌気され7%を超える急落をみせ、その他の半導体主力銘柄にも売りが波及、フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)も続落となった。東京市場では前日に日経平均が一時400円以上下げるなどリスク回避ムードとなったが、きょうは米国の主要株価指数が頑強な値動きを示したことを受け切り返す展開が予想される。外国為替市場で1ドル=160円トビ台後半の円安に振れていることは、輸出セクター中心に追い風となりやすい。ただ、日本時間今晩に発表が予定されるPCEデフレーターの結果を見極めたいとの思惑から、3万9000円台後半では持ち高調整の売りも出やすく、上げ幅は限定的となる可能性もある。  27日の米国株式市場では、NYダウ平均株価が前営業日比36ドル26セント高の3万9164ドル06セントと続伸。ナスダック総合株価指数は同53.528ポイント高の1万7858.684だった。  日程面では、きょうは5月の失業率、5月の有効求人倍率、6月の都区部消費者物価指数(CPI)、5月の鉱工業生産指数速報値など。海外では5月の米PCEデフレーター、6月の米消費者態度指数確報値など。 出所:MINKABU PRESS 2024/06/28 08:01 みんかぶニュース コラム 明日の株式相場に向けて=「37年半ぶり円安」と米大統領選の行方  27日の日経平均株価は前日比325円安の3万9341円と4日ぶりに反落した。前日のニューヨーク市場では、取引終了後に決算を発表したマイクロン・テクノロジー<MU>の株価が8%近い下落と急落。これを受け、この日の東京市場では東京エレクトロン<8035.T>など半導体関連株が下落した。日経平均株価は前日までの3日間で1000円超上昇していたことから、利益確定売りも膨らんだ。  同時に大きな関心を集めたのが為替市場の動向だ。26日のニューヨーク市場では1ドル=160円80銭台まで円安が進行。4月29日の160円24銭を更新し、1986年12月以来、37年半ぶりの円安水準に落ち込んだ。この歴史的な円安を受けても、トヨタ自動車<7203.T>やホンダ<7267.T>などの自動車株は値を下げており、かつてのような円安を好感する状況となっていない。  昨晩の円安は、1990年の160円35銭の安値も更新しており、一気に37年前まで時間を巻き戻した。1986年は急激な円高が進んだ年だが、年初は200円前後の水準だった。いまの円安が37年前の逆コースをたどるとすれば、一段の円の下落余地は大きいとも考えられそうだ。  特に、28日には米5月個人消費支出(PCE)デフレーターが発表される。この結果に市場は敏感に反応するとみられ、結果次第ではそのタイミングに合わせて、政府・日銀による為替介入もあるかもしれない。また、11月の米大統領選に向けた第1回目のテレビ討論会は、米現地時間27日午後9時(日本時間28日午前10時)から予定されている。明日の相場への影響は不透明だが、同討論会の結果がトランプ前大統領優勢となった場合、トランプ返り咲きを市場は一段と織り込んでいくことが予想される。  上記以外の28日のスケジュールは、海外ではイラン大統領選挙が行われる。国内では6月東京都区部消費者物価指数(CPI)が発表されるほか、5月失業率・有効求人倍率、同鉱工業生産指数が公表される。ロゴスホールディングス<205A.T>が東証グロース市場に新規上場する。 出所:MINKABU PRESS 2024/06/27 17:07 みんかぶニュース コラム <注目銘柄>=ナレルG、契約単価上昇などが業績に寄与  ナレルグループ<9163.T>は12日、24年10月期第2四半期累計(23年11月~24年4月)の連結決算を発表。売上収益は前年同期比22.9%増の102億200万円(従来予想は101億6000万円)、営業利益は同26.9%増の13億3300万円(同10億1000万円)で着地した。  同社は建設業界やIT業界向けに技術者派遣を行っており、両業界ともに人手不足が続くなか、顧客のニーズに応じて在籍人数や稼動人数が増加したことが業績に寄与。また、契約単価が上昇したほか、効率的な人員配置も奏功している。通期業績予想は従来見通しを据え置いているものの、国内建設需要の堅調さなどを考えれば上振れ余地がありそうだ。  株価は14日に直近高値2970円をつけたあとは上げ一服商状となっているが、日足チャートでは25日移動平均線と75日移動平均線とのゴールデンクロスが視野に入りつつあり、時価は仕込み好機とみたい。(参) 出所:MINKABU PRESS 2024/06/27 10:00 みんかぶニュース コラム 27日の株式相場見通し=売り優勢か、直近の急ピッチな上昇の反動で  27日の東京株式市場では主力株への売りが優勢となり、日経平均株価は軟調に推移する見通しだ。前日の米国市場ではNYダウ平均株価が小幅に上昇。ナスダック総合株価指数は続伸した。エヌビディア<NVDA>は引けにかけてプラスに転じる展開だったが、半導体株は総じて冴えない展開となり、フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)は小幅に下落。引け後に決算を発表したマイクロン・テクノロジー<MU>は時間外取引で水準を切り下げている。外国為替市場では1ドル=160円台後半まで円安が進行し、対ユーロで円相場は最安値をつけた。夜間取引で日経平均先物9月限は3万9400円台前半まで水準を切り下げている。今週に入り日経平均は急ピッチな上昇をみせており、前週末比で3営業日間の上げ幅は1000円超となっている。配当再投資の買いや、四半期末のリバランスに伴う資金の流入が日本株の底上げに寄与したとみられているが、きょうから受け渡しベースで実質的に7月相場に入り、12月期決算企業の株価は中間配当の権利落ちの影響を受けることとなる。7月上旬はETF(上場投信)の分配金捻出に伴う売り圧力が見込まれているほか、日本時間6月28日午前には米大統領選前のテレビ討論会が控えているとあって、目先の利益を確定する目的の売りが膨らむことが想定されている。更に、急速な円安の進行の反動で一時的に円が強含んだ場合は、輸出株には逆風となるだろう。一方、米長期金利の上昇は金融株やバリュー株の下支え要因となる見込み。日経平均は3万9200円から3万9600円の範囲で推移しそうだ。  26日の米国株式市場では、NYダウ平均株価が前営業日比15.64ドル高の3万9127ドル80セントと小反発。ナスダック総合株価指数は同87.502ポイント高の1万7805.156と続伸した。  日程面では、5月の商業動態統計、1~3月期資金循環統計、対外・対内証券売買契約が公表されるほか、2年物国債の入札が予定されている。5月の建機出荷額や6月の月例経済報告なども発表される。東証グロース市場には、豆蔵デジタルホールディングス<202A.T>が新規上場する。海外では1~5月の中国工業企業利益が公表される予定。米国では週間の新規失業保険申請件数や1~3月期の米実質国内総生産(GDP)確定値、5月の耐久財受注額速報値、5月の米仮契約住宅販売指数などの発表を控えている。 出所:MINKABU PRESS 2024/06/27 08:00 みんかぶニュース コラム 明日の株式相場に向けて=AI売買が作り出す違和感の正体  きょう(26日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比493円高の3万9667円と大きく上値を伸ばした。朝方に日経平均は高く始まったものの、強弱観が対立し売り買い交錯の展開だったが、その後に先物主導で上げ足を強める格好に。前引け段階では550円あまりの上昇で高値引けとなり、後場に入っても強く、終盤やや伸び悩んだとはいえ3万9000円台後半で売り物をこなし切った。  前日の海外市場を振り返ると、欧州株市場は全面安ではなかったが主要国の株価指数が総じて軟調に推移した。これで米国株市場が前日のエヌビディア<NVDA>急落の残像を引きずってリスクオフに傾くようなことになれば、東京市場もその影響は免れない。売り方としてはそこに期待した部分があったかもしれない。しかし、そうはならなかった。カギを握るエヌビディアが25日移動平均線を下回ることなく、大陽線で切り返し流れを変えた。全体指数もNYダウは6日ぶりに反落したものの、今度はこれと入れ替わりハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数が満を持して大きくリバウンド。東京市場でもこれまで上値を押さえつけていた「米ハイテク株安」の呪縛から逃れる格好となった。  株式市場に影響を与えるイベントとして、6月末のフランス国民議会選に耳目が集まっている。マリーヌ・ルペン氏率いる国民連合の躍進が予想されているからだ。極右政党の台頭とメディアは騒ぐが、これについて現地を知る市場関係者は「現在は(国民連合は)努めて中道寄りで少なくとも極右ではない。仏大統領の座を狙うマリーヌ氏がマイルド路線に車線変更したことが国民の支持増勢につながっている」(生保系エコノミスト)という。「マクロン大敗でも(想定内であり)株式市場に激震が走るということはなさそうだ」(同)とする。英国もスナク政権は左前状態で、ドイツも政局動揺が著しい。インフレが鈍化しているとはいえ、今も変わらぬ欧州経済の厳しさが与党に厳しい向かい風となっていることが窺われる。  ただ、これを日本株の売り材料に掲げるのは方向違いといえる。言うまでもなく国内も与党に吹く逆風は負けず劣らず強く、本来気にするのであればこちらの方だ。目先は今月末の仏下院選挙より、新星登場で盛り上がる七夕の東京都知事選の行方の方が、よほどマーケットにとっても大きなイベントであることは間違いない。  きょうの株式市場は日経平均が一時600円超の急伸をみせ、大引けも500円近く上昇して着地した。ただ、TOPIXは15ポイント水準を切り上げたに過ぎない。前日はTOPIX主導の上げで注目を浴びたが、これは銀行や自動車など大型バリュー株が相場の牽引役を担ったからである。きょうはガラリと変わり、相場の花形である半導体主力銘柄のハイパフォーマンスが日経平均を押し上げ、銀行株は高かったものの自動車や鉄鋼、海運といったバリュー株は鳴りを潜めた。最近はNYダウとナスダック指数にみられる逆方向の動きや、日経平均とTOPIXの波動の相違など違和感を覚える動きが目立つ。  こうした相場の波紋はAIアルゴリズム売買が自在に作り出しているような印象も受ける。昨日のTOPIXの上げ幅が際立った時には、配当再投資の買いがまことしやかに囁かれたが、理由をつけたがるのが人間のクセで、そこには本当は理由など存在しない可能性もある。AI売買全盛の時代に、人間の感性をベースとした相場観は裏切られることが多い。理由や解釈も含めAIがメディアを操るような(投資家を洗脳するような)時代が近づいている、もしくは訪れている証かもしれない。  あすのスケジュールでは5月の商業動態統計、1~3月期資金循環統計、対外・対内証券売買契約がいずれも朝方取引開始前に開示され、午前中に2年物国債の入札が予定されている。午後には5月の建機出荷が発表される。このほか6月の月例報告など。また、この日はIPOが1社予定されており、東証グロース市場に豆蔵デジタルホールディングス<202A.T>が新規上場する。海外では1~5月の中国工業企業利益のほか、フィリピン中銀、トルコ中銀、スウェーデン中銀、チェコ中銀などが政策金利を発表する。米国では週間の新規失業保険申請件数、1~3月期の米実質国内総生産(GDP)確定値、5月の耐久財受注額速報値、5月の米仮契約住宅販売指数などが注目されている。このほか、米7年物国債の入札も行われる。(銀) 出所:MINKABU PRESS 2024/06/26 17:00 みんかぶニュース コラム <注目銘柄>=インフォR、スタンド設置台数増でユーザー数拡大へ  INFORICH<9338.T>は、5月16日に年初来安値3145円をつけた後、6月中旬まで3500円を挟んだもみ合いにあったが、ここにきて安値圏からの離脱を図りつつある。  同社は、モバイルバッテリーのシェアリングサービスである「ChargeSPOT」が主力。5月14日に発表した第1四半期(1~3月)連結決算は、営業利益が1億2500万円(前年同期6400万円の赤字)と大幅に黒字転換した。例年、第1四半期はイベントが少なく、寒さにより人流が減少するため売上高は落ち込むが、そうしたなかにあってもコロナ禍後の人流の増加を背景としたユーザー数の継続的な増加により国内レンタル売上高が伸長。コスト管理の実施により1台当たりの営業利益も増加している。  スマートフォンの電源であるリチウムイオン電池の劣化特性やスマホの買い替えサイクルの長期化、消費電力量の飛躍的な増加などを背景にモバイルバッテリーの需要は拡大している。そうしたなか、バッテリーのシェアリングサービスを利用する人はまだ2割程度といわれており、成長余地は大きい。同社では、駅や空港などの人流が多い施設や観光地への設置を積極的に進めており、ユーザー数の更なる増加により業績拡大は継続しそうだ。  また、バッテリースタンドを活用した広告事業も既に展開しているスタンドを活用することから利益率が高く、今後の収益への寄与が期待できる。会社側では24年12月期の営業利益を16億3500万円(前期比2.7倍)と見込むが、調査機関では今期営業利益17億円、来期31億円を見込むところもある。(温羅) 出所:MINKABU PRESS 2024/06/26 10:00 みんかぶニュース コラム 26日の株式相場見通し=続伸、米ハイテク株高受け上値指向続く  26日の東京株式市場は主力株中心に買い優勢の地合いが続き、日経平均株価は続伸で3万9000円台を固める動きが予想される。前日の欧州株市場では高安まちまちの展開だったが、ドイツやフランス、英国など主要国の株価は総じて軟調に推移した。航空機大手のエアバスの急落が全体相場に影響を及ぼしている。一方、米国株市場では主要株価指数が引き続きちぐはぐな動きをみせた。この日はFRB高官によるタカ派的な発言が相次ぎ、FRBが早期利下げに慎重なスタンスとの見方が広がり、景気敏感株などへの利益確定売りが表面化した。これを背景にNYダウは6日ぶりに安くなったが、ここ下値を模索していたナスダック総合株価指数の方は4日ぶりに大きく切り返す展開となっている。個別では利食い急ぎの動きでここ急速に株価水準を切り下げていた米画像処理半導体(GPU)大手エヌビディア<NVDA>が6.8%高と大幅反発し、その他の半導体関連株の買い戻しも誘発され市場のセンチメント改善につながった。きょうの東京市場では米ハイテク株高を好感する動きが期待できそうだ。半導体銘柄で構成されるフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)は1.8%高と4日ぶりに急反発したことを受け、前日に売り込まれた半導体主力株などに買い戻しの動きが強まることが予想される。日経平均株価はショート筋の買い戻しを交え、3万9000円台半ばまで水準を切り上げる展開が考えられる。  25日の米国株式市場では、NYダウ平均株価が前営業日比299ドル05セント安の3万9112ドル16セントと6日ぶり反落。ナスダック総合株価指数は同220.837ポイント高の1万7717.654だった。  日程面では、きょうは東京市場では6月の権利付き最終売買日。海外では5月の米新築住宅販売件数、米5年物国債の入札など。このほか、アジア最大級のモバイルカンファレンスであるMWC上海が28日までの日程で行われる。 出所:MINKABU PRESS 2024/06/26 08:00 みんかぶニュース コラム 明日の株式相場に向けて=エッジAI時代幕明けの予兆  きょう(25日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比368円高の3万9173円と続伸。前日の米国株市場ではNYダウが5連騰と気を吐いたが、後半は半導体関連への売りが噴出し楽観気分が吹き飛んだ。ナスダック指数は3日続落、半導体銘柄で構成されるSOX指数については3%強の急落。そして、象徴株ともいえるエヌビディア<NVDA>は6.7%安と急落に見舞われた。時価総額世界トップに躍り出たことが報じられた直後に、もんどり打つような崩れ足で、にわかにセンチメントが悪化した。しかし、東京市場はしぶとかった。TOPIX主導の上昇で、配当再投資の買いが支えたという見方が示されていたが、米ハイテク株買いの日本株売りというロングショートの巻き戻しという観測に信憑性が高いようだ。このタイミングで3万9000円台を回復し75日移動平均線をブレークしたことは、売り仕掛けを狙っていた向きにとっては出鼻を挫かれた格好である。  ではエヌビディア急落の背景は何か。ここまで爆需を存分に享受しているGPUに何かしらのネガティブな思惑が発生している気配がある。生成AI市場の成長に今の段階で陰りが見えるはずもないので、ビジネス構造的な部分での逆風。こう考えるとアップル<AAPL>やグーグルなどが、スマートフォンやパソコンに生成AIを搭載することに対し意欲を剥き出しにしていること、これが影響している可能性がある。「AIサーバーを経由してクラウドによる生成AI提供」が現在の姿だが、これがエッジAI化されると利用者にとって一段と身近な存在となってくることは自明だ。プライバシー保護やセキュリティー、更に通信コスト面などでメリットが生じ、懸案の電力供給問題も緩和される。  結果として生成AIの市場拡大をこれまで以上に後押ししそうだ。ところが、この新潮流は厄介なことにその裏側で強力な引き潮を発生させる可能性がある。つまり、AIサーバーとそれを設置するデータセンターの増設需要にストップがかかるというシナリオだ。その場合、AIサーバー向けGPUで需要を独占しているエヌビディアの成長が止まるケースも考慮される。もちろんエヌビディアはM&Aを駆使して次の成長舞台を摸索中であり、それが間に合うかもしれないが、GPUで独り勝ちという時代は過ぎ去ることになる。  ただし、全盛を誇るエヌビディアに陰りがみられても、その場合は株式市場でエッジAI関連株に投資マネーの熱視線が向かう。米国ではクアルコム<QCOM>が関連最右翼だが、歴史の浅い市場だけに日本では現状手探り状態にある。大手ではソニーグループ<6758.T>やNEC<6701.T>などが挙げられるが、成長余地の大きい中小型株にもチャンスが回ってくる。アナログエッジAI開発で先行するソリトンシステムズ<3040.T>、エッジAI開発のクラウドプラットフォームで高実績を有するフィックスターズ<3687.T>、エッジAIカメラのオプティム<3694.T>などをチェックしておきたい。  一方、中東の地政学リスク再燃でエネルギー価格高騰に対する思惑も高まっている。INPEX<1605.T>が上昇基調を明示、この流れが他の銘柄にも飛び火する公算は小さくない。富士石油<5017.T>は株価500円台でPBRが0.4倍台、また最終利益がゲタを履いた状態ながらPER5倍台と割安。バリュー系材料株として改めてマークしたい。  エネルギー関連株の流れを汲む銘柄では5月下旬に取り上げた東邦チタニウム<5727.T>がその後順調に戻り足を形成、直近5日・25日移動平均線のゴールデンクロスを経て上値追い基調に弾みがついている。2026年に水素装置向け材料生産に動き出す計画を発表していることにも注目。株価的には先駆した大阪チタニウムテクノロジーズ<5726.T>の後を追う形だが、株価の値ごろ感で言えば邦チタの方が上値妙味ありという見方もできる。両銘柄とも2022年に併走して大相場を形成した経緯があるが、この年の年初から11月にかけて大阪チタは800円近辺から4850円に大化けし、邦チタは同じく800円台から3300円台に変貌を遂げた実績がある。その時の再現というには気が早いが、両銘柄ともトレンドは約1年半ぶりに折り返し地点に来た感触がある。  あすのスケジュールでは、東京市場では6月の実質最終商い日(権利付き最終売買日)となる。海外では5月の米新築住宅販売件数が開示されるほか、米5年物国債の入札が予定されている。このほか、アジア最大級のモバイルカンファレンスであるMWC上海が28日までの日程で行われる。(銀) 出所:MINKABU PRESS 2024/06/25 17:00 みんかぶニュース コラム <注目銘柄>=ライオン、金利上昇に強く底値買い好機  ライオン<4912.T>はトイレタリー大手でディフェンシブ銘柄に位置付けられ、有利子負債が少なく金利上昇局面で強みを発揮する。1300円未満の株価は底値圏で買い溜めるチャンスといえる。配当利回りは2%強でそれほど高くはないが、自社製品詰め合わせの株主優待などがあり、中期投資対象として妙味がある。  24年12月期は営業利益段階で前期比32%増の270億円予想と回復色を鮮明とする見込み。派手さはないものの収益基盤は盤石であり、中期的には年初来高値水準である1400円台半ばを目指す展開が期待できる。(桂) 出所:MINKABU PRESS 2024/06/25 10:00 みんかぶニュース コラム 25日の株式相場見通し=一進一退か、ダウ5連騰も米半導体株安が重荷  25日の東京株式市場は強弱観対立のなか、日経平均株価は前日終値を挟み一進一退の展開か。前日の欧州株市場では主要国の株価が総じて切り返す動きとなり、今月末の国民議会選挙を控え極右政党の台頭が警戒されるフランスでは、主要株価指数のCAC40が1%を超える上昇で切り返し、市場のセンチメントが改善している。また、米国株市場では欧州株市場のリスクオンの流れを引き継ぐ形で、NYダウが5日続伸し約1カ月ぶりの高値水準に浮上した。景気敏感株やディフェンシブストックへの買いが続き指数を押し上げている。ただ、半導体や人工知能(AI)関連などを中心とするハイテク系・グロース株は値を下げるものが多く、ナスダック総合株価指数は1%を超える下げで3日続落と明暗を分けた。特に画像処理半導体(GPU)大手のエヌビディア<NVDA>が6.7%安と急落、半導体銘柄で構成されるフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)も3%安と大幅な下落となった。東京市場では米半導体株安を受け、売買代金上位の半導体製造装置の主力銘柄などに売りが波及する可能性があり、全体相場も上値の重い展開が想定される。しかし外国為替市場では1ドル=159円台後半の推移と円安水準でもみ合いが続き、これが前日同様に全体相場の下支え材料となることが考えられる。日経平均は長くレンジ相場が続いていることで下値に対する抵抗力もついており、売り買い交錯のなかも先物主導で3万9000円台をうかがう地合いとなる可能性もありそうだ。  24日の米国株式市場では、NYダウ平均株価が前営業日比260ドル88セント高の3万9411ドル21セントと5日続伸。ナスダック総合株価指数は同192.544ポイント安の1万7496.817だった。  日程面では、きょうは5月の企業向けサービス価格指数、4月の景気動向指数改定値、基調的なインフレ率を捕捉するための指標、5月の全国スーパー売上高、5月の外食売上高など。海外では、4月の米S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数、6月の米消費者信頼感指数など。このほか、ボウマンFRB理事の講演やクックFRB理事の講演が予定されている。 出所:MINKABU PRESS 2024/06/25 08:01

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