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みんかぶニュース コラム
明日の株式相場に向けて=エヌビディア株が暗示する曲がり角
週明け24日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比208円高の3万8804円と反発。前週末の欧州株市場で主要国の株価がほぼ全面安で嫌なムードが漂ったが、米国ではナスダック総合株価指数は安く引けたものの、NYダウが小幅高ながらしぶとくプラス圏で着地、リスクオフの流れを堰き止めた。これで東京市場も深押しのリスクが軽減され、更に為替市場では折からの円安が加速した。足もとの円安は政府・日銀にすれば頭を抱えるところだが、皮肉にも株式市場には依然として強い浮揚効果をもたらしている。特にきょうは先物絡みで円安にリンクさせたシステマチックな買いが観測された。引け際手仕舞い売りが出たとはいえ、「後場は望外の強調展開」(準大手証券ストラテジスト)だった。
しかし、油断はできない。米国ではフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)が十字足を示現し5日移動平均線から下に放れた。このSOX指数と似通ったチャートを形成しているのが、破竹の快進撃を続けてきたエヌビディア<NVDA>である。世界的な生成AI市場の拡大を背景に、同社がAIサーバー向けに独占供給するGPUが爆発的な需要を捉えていることは確かだが、株価は今見えている風景の先まで織り込んでしまっているのもおそらく事実であろう。
東京市場ではインターネットが本格普及期に突入する初動段階、1999~2000年当時にITバブル相場が形成されたが、弾けたあとの下げ足も早かった。一世を風靡する生成AIも似た要素がないとは言い切れない。エヌビディアの株価は今が天井とはいわないまでも、今期(25年1月期)が曲がり角になる可能性も念頭に置いておきたい。
とはいえ足もとではAI周辺株が強い。きょうはグローバルニッチトップ銘柄のトリケミカル研究所<4369.T>が大幅高に買われた。同社は先端半導体メモリー向け高誘電材料で抜群の商品競争力を持っている。GPUとセットでパッケージングされる「HBM(広帯域メモリー)向けでも需要を捉えている」(中堅証券アナリスト)という。このほか、直近22日付のトップ特集「好業績で異彩放つグローバルニッチ6銘柄」でも紹介された大同工業<6373.T>は強力な上昇トレンドを構築中。目先は短期急伸の反動もあり得るが、0.3倍近辺のPBRは長い目で見れば依然安過ぎる水準。このほかニッチトップ企業では、ボトリングシステムの澁谷工業<6340.T>、製パン機のレオン自動機<6272.T>。また、航空機逆噴射装置用カスケードでシェア独占の日機装<6376.T>の押し目にも着目。
一方、ここTDK<6762.T>の上げ足が際立つが、その株高の原動力となったのが全固体電池の新素材開発で、エネルギー密度を従来比100倍に高め大容量化を実現させるというもの。全固体など次世代電池関連については、電気自動車(EV)需要の失速が報じられたこともあって最近はテーマ買いの動きが鳴りを潜めていたが、TDK効果でにわかに再脚光を浴びている。関連株で好チャートの銘柄はマークしておきたい。全固体電池の製造工程で必要となる造粒・コーティング装置で関連最右翼のフロイント産業<6312.T>や、全固体電池を次世代コア事業の一つに位置付ける三櫻工業<6584.T>などをマーク。
このほか、インフレ環境下で人手不足の問題が多方面で取り沙汰される。その際、採用される側の隙間時間をうまく活用できれば、就労機会が確保しやすくなるのは道理である。そうした現代社会ならではのニーズに着目したビジネスで、スキマバイトサービス(アプリ)を展開するタイミー<215A.T>が7月26日、東証グロース市場に新規上場する。時流に乗るビジネスモデルで人気化する公算が大きいが、同社株の公開を前に投資マネーの流れにも少なからず影響を及ぼす可能性が高い。関連株としてツナググループ・ホールディングス<6551.T>が動意含みだ。業績も絶好調で24年9月期は営業利益段階で前期比5割増の6億6200万円予想と連続で過去最高を大幅更新する見通しにある。
あすのスケジュールでは、5月の企業向けサービス価格指数が朝方取引開始前に開示されるほか、午前中に20年物国債の入札が予定される。午後には4月の景気動向指数改定値、基調的なインフレ率を捕捉するための指標、5月の全国スーパー売上高、5月の外食売上高などが発表される。海外では、4月の米S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数、6月の米消費者信頼感指数などが注目されるほか、米2年物国債の入札が行われる。なお、ボウマンFRB理事の講演やクックFRB理事の講演が予定されている。(銀)
出所:MINKABU PRESS
2024/06/24 17:00
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<注目銘柄>=川重、業績V字回復を評価へ
川崎重工業<7012.T>に注目したい。総合重機大手である同社の24年3月期連結純利益は前の期比52.1%減の253億7700万円だった。航空エンジンの損失を一括計上したことなどが響いた。25年3月期の同利益は前期比3.1倍の780億円と2期ぶりに最高益を更新しV字回復の予想だ。航空宇宙システム事業は、防衛省向けの伸びが期待でき、パワースポーツ&エンジン事業でオフロード4輪などの寄与が見込める。
防衛関連に加え、世界で初めて液化水素運搬船を建造するなど水素関連としても注目されている。株価は上昇基調にあり15年3月につけた6470円の高値更新から一段高が期待できる。(地和)
出所:MINKABU PRESS
2024/06/24 10:00
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24日の株式相場見通し=強弱観対立、円安進行も上値重い
24日の東京株式市場は強弱観対立のなか、日経平均株価は前週末終値を挟んでやや弱含みで推移しそうだ。前週末の欧州株市場はドイツやフランスなど主要国の株価指数が総じて軟調に推移した。企業の景況感が悪化傾向を示すなか、極右台頭に伴う政局不安や経済減速への警戒感が買いを手控えさせた。また、米国株市場では方向感の見えにくい動きでNYダウとナスダック総合株価指数が狭いゾーンでプラス圏とマイナス圏を往来する展開となり、前者はわずかに高く引けたものの、後者は小幅マイナス圏で着地している。この日に発表された6月の米購買担当者景気指数(PMI)速報値はサービス業、製造業ともに市場予想を上回る水準で投資家心理を改善させ、消費関連株は買いが優勢となる銘柄が目立った。一方、画像処理半導体(GPU)大手のエヌビディア<NVDA>が3%超の下落を示し、半導体銘柄で構成されるフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)も続落するなどハイテクセクターが軟調な地合いとなっている。東京市場では前週末に日経平均が小幅反落し、週間では200円強水準を切り下げた。きょうは外国株市場で1ドル=160円を視界に入れる円安が進んでおり、ハイテクや自動車株には追い風となりやすいが、過度な円安是正に向けた日銀の金融政策転換に対する警戒感も拭えず、上値は重そうだ。朝方に開示される日銀金融政策決定会合の主な意見(6月開催分)の内容が注目されるほか、取引時間中は為替動向や米株価指数先物の値動きに左右されそうだ。
21日の米国株式市場では、NYダウ平均株価が前営業日比15ドル57セント高の3万9150ドル33セントと小幅ながら4日続伸。ナスダック総合株価指数は同32.226ポイント安の1万7689.361だった。
日程面では、きょうは日銀金融政策決定会合(6月13~14日開催分)の主な意見。5月の白物家電出荷額、5月の全国百貨店売上高など。海外では6月の独Ifo企業景況感指数など。
出所:MINKABU PRESS
2024/06/24 08:01
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来週の株式相場に向けて=「政治の季節」を迎え様子見姿勢は続くか
21日の東京市場は、日経平均株価が前日比36円安と小幅に4日ぶり反落した。積極的な売買は手控えられ3万8600円を中心とする一進一退に終始した。
6月に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)と日銀金融政策決定会合ではアク抜け感は出ず、「結局、ともに7月30~31日に予定されている次回会合に課題は持ち越された」(市場関係者)格好だ。このことが相場の気迷いムードを強めさせており、日経平均株価の3万9000円を上値とした往来相場は「なおしばらくは続きそうだ」(同)との見方は少なくない。
日米金融政策に加え、新たな警戒材料となったのが、欧州での極右台頭という政局不安だ。特に、フランスではマクロン大統領が下院議会の解散選挙に踏み切ったことから、その結果を注視する展開となった。フランスの下院選の第1回投票は30日に行われ、決選投票は7月7日の予定だ。その結果次第では、金融市場にショックが走る可能性もある。
また、国内では同じく7月7日の東京都知事選が高い関心を集めている。現職の小池百合子知事は負けないまでも苦戦すれば、野党は勢いづくことになる。9月の自民党総裁選を視野に今後、日本国内でも政治がテーマに浮上することが予想される。
加えて、金融政策面では来週は24日に日本銀行が6月の金融政策決定会合における「主な意見」を公表する。また、28日には米国で個人消費支出(PCEデフレーター)が公表される。更に、27日は株主総会の集中日で翌28日には約2兆3000億円の配当金が支払われるとみられており、配当再投資の動きも関心を集めている。
上記以外のスケジュールでは、海外では27日に米1~3月GDP確定値が発表される。同日に米大統領選に向けたバイデン大統領とトランプ前大統領が候補者テレビ討論会を開催する。26日にマイクロン・テクノロジー<MU>、27日にナイキ<NKE>が決算発表を行う。
国内では27日に5月商業動態統計、28日に6月東京都区部消費者物価(CPI)が発表される。24日にしまむら<8227.T>、壱番屋<7630.T>、25日にスギホールディングス<7649.T>、27日にナガイレーベン<7447.T>、28日に高島屋<8233.T>、三陽商会<8011.T>などが決算発表を予定している。更に、27日に豆蔵デジタルホールディングス<202A.T>、28日にロゴスホールディングス<205A.T>が新規上場する。来週の日経平均株価の予想レンジは3万8000~3万9200円前後。(岡里英幸)
出所:MINKABU PRESS
2024/06/21 17:24
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<注目銘柄>=ソースネクス、訪日客増加でポケトーク事業に追い風
ソースネクスト<4344.T>に注目したい。直近5月の訪日外客数は前年同月比6割増の304万100人と、3カ月連続で300万人を突破した。インバウンドの増加は同社が手掛ける携帯翻訳機「ポケトーク」の販売に追い風となっており、今後の更なる業容拡大に期待が膨らむ。
株価は、連結子会社ポケトークの上場準備開始を明らかにした3月に急動意。130円前後から300円台まで一気に急上昇した。その後は調整局面に入ったものの、200日移動平均線が走る180円近辺で下げ止まり、じりじりと下値を切り上げる展開に。ポケトーク事業拡大に向けた先行投資で赤字が続く業績に改善の兆しがみえてくれば、今後の株価上昇に弾みがつきそうだ。(イ)
出所:MINKABU PRESS
2024/06/21 10:00
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21日の株式相場見通し=強弱観対立、米ハイテク株安も円安進行で方向感見えにくい
21日の東京株式市場は売り買い交錯のなか、日経平均株価は前日終値近辺で方向感の見えにくい不安定な値動きが想定される。前日は欧州株市場で主要国の株価指数がほぼ全面高に買われる展開となったが、米国株市場では半導体関連などを中心に変調な動きを強いられた。エネルギー関連株の上昇などを背景にNYダウは上値指向を継続したものの、ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数は朝方こそ高く始まったがその後は値を消し、午後の取引で下げ幅を広げる展開となった。これまで相場の牽引役を担っていたエヌビディア<NVDA>が3.5%安に売られたほか、フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)も3日ぶりに急反落している。朝方発表された週間の新規失業保険申請件数が事前コンセンサスを上回った一方、6月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、5月の米住宅着工件数は予想を下回るなど、景気減速を示唆する経済指標が相次いだ。足もとでFRBによる早期利下げ期待が追い風となっているが、同時に米経済の先行きに対する警戒感も意識されている。東京市場では、米ハイテク株安が上値を押さえる要因となるものの、外国為替市場で一段と円安が進んでいることは株価の下支え材料となり、強弱観が対立する地合いが想定される。日経平均は3万8000円台半ばでのもみ合いとなりそうだ。
20日の米国株式市場では、NYダウ平均株価が前営業日比299ドル90セント高の3万9134ドル76セントと3日続伸。ナスダック総合株価指数は同140.645ポイント安の1万7721.587だった。
日程面では、きょうは5月の全国消費者物価指数(CPI)、5月の食品スーパー売上高など。海外では6月の英PMI、6月のユーロ圏PMI、6月の独PMI、6月の仏PMI(いずれも速報値)、6月の米PMI(S&Pグローバル調査・速報値)、5月の英小売売上高、6月の米中古住宅販売件数、5月の米景気先行指標総合指数など。
出所:MINKABU PRESS
2024/06/21 08:00
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明日の株式相場に向けて=「新TOPIX関連」の潮流発生
きょう(20日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比62円高の3万8633円と3日続伸。前日の米国株市場が休場だったことで手掛かり材料難が意識されやすいところではあったが、こうなると投資家の視線は必然的に前日の欧州に向く。とりわけ仏CAC40と独DAX指数の注目度が高いが、いずれも軟調だったことで、朝方はリスク回避モードとなった。しかし、後場に入ると米株価指数先物(ナスダック100指数)が強さを発揮しているのを横目に買い戻しを誘発、日経平均は先物主導でほぼ一本調子に下げ幅を縮小し、午後2時前にプラス圏にたどり着いた。その後は狭いゾーンでもみ合ったが、大引けは帳尻を合わせてこの日の高値圏で着地している。何がどう作用したという相場ではなかったが、薄商いが象徴するように目先は売り買いともに力が抜けた状態にある。
方向感の見えにくい、つかみどころのない地合いが続くなか、テーマ物色の動きも鳴りを潜めている。だが、そのなかで一つ市場関係者の話題となっていたのが「新TOPIX」絡みの銘柄であった。日本取引所グループが前日にTOPIXの新たな改革案を公表、採用銘柄の時価総額基準を一段と厳格化し、2028年には現在よりも40%強少ない1200銘柄程度に絞り込む。同時に成長性のある企業を取り込むことを目的に、スタンダード市場とグロース市場からおよそ50銘柄が加わると伝わった。
過去にさかのぼるが、東証2部やマザーズから東証1部に市場変更された銘柄についてはTOPIX新規採用に伴い、指数連動型ファンド(パッシブファンド)の組み入れニーズが発生し、それがそのまま買い需要として株価に浮揚力を与えるという見方で物色人気につながるケースが多かった。今回も同様の理屈で、プライム市場以外から新規採用された銘柄は、“株高ボーナス”の恩恵に授かるという思惑が漂う。ここでマーケットの視線が向かったのが「スタンダード上場銘柄で時価総額上位にある銘柄」である。短絡的と言えばその通りだが、そもそも株価は思惑で動く。半分はマネーゲーム的な感覚で投資資金の食指を動かしたのは、スタンダード市場で売買代金第2位に位置する日本マクドナルドホールディングス<2702.T>や、第4位の東映アニメーション<4816.T>、第7位のワークマン<7564.T>、第9位のフクダ電子<6960.T>、第11位のセリア<2782.T>といった銘柄群である。
ちなみに、スタンダード市場の断トツの時価総額トップは1兆5000億円強の日本オラクル<4716.T>。また、時価総額上位10傑では、上記以外の銘柄では第3位がアコム<8572.T>、第5位に住信SBIネット銀行<7163.T>、第6位にハーモニック・ドライブ・システムズ<6324.T>、第8位に三菱食品<7451.T>、第10位にナカニシ<7716.T>というラインナップとなっている。
このほか、最近の内需株の弱さによって投資家の関心が薄れているが、前日引け後に発表された5月の訪日外国人客数は予想通りとはいえ文句をつけようのない高水準だった。前年同月比で60%増の304万人で、3カ月連続の300万人超え。コロナ禍前の19年5月との比較でも約1割近く多い。この活況ぶりをスルーしてしまうのは、ひとえに株式需給の悪さによるが、これは半導体関連とも似通った部分がある。
しかし、目を凝らしてみると局地的ではあるが反応している銘柄も少なからずある。突然変異的な急騰相場を演じた藤田観光<9722.T>はインバウンドの切り口とは関係のないところで人気化したのだが、ホテル関連株に資金還流を促す契機となるかもしれない。CSSホールディングス<2304.T>などはその流れを暗示する動きともいえる。このほか、目先ノーマーク状態のワシントンホテル<4691.T>や投資指標面で割安感の強いツカダ・グローバルホールディング<2418.T>などに目を配っておきたい。
あすのスケジュールでは、朝方取引開始前に発表される5月の全国消費者物価指数(CPI)にマーケットの関心が高い。午前中に3カ月物国庫短期証券の入札が行われるほか、午後に5月の食品スーパー売上高が発表される。なお、この日は東証グロース市場にMFS<196A.T>が新規上場する。海外では各国で購買担当者景気指数(PMI)の開示が相次ぐ。6月の英PMI、6月のユーロ圏PMI、6月の独PMI、6月の仏PMI(いずれも速報値)、6月の米PMI(S&Pグローバル調査・速報値)が発表される。このほか、5月の英小売売上高、5月の米中古住宅販売件数、5月の米景気先行指標総合指数など。(銀)
出所:MINKABU PRESS
2024/06/20 17:00
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<注目銘柄>=長谷川香料、中国での更なる事業展開に期待
長谷川香料<4958.T>は10日、中国子会社が上海市で建設を進めていた新研究棟が完成し稼働を開始したと発表。同国市場における香料需要の高まりが背景にあり、今後の更なる事業展開が期待される。
また、5月10日に発表した24年9月期第2四半期累計の連結決算で、経常利益が前年同期比22.2%増の45億5500万円となり、通期計画88億円に対する進捗率が52%弱と順調に推移していることにも注目したい。日本や中国で飲料向けを主因にフレーバー部門の売り上げが好調なほか、米国での販売も伸びている。
株価は3000円近辺で下値を固めて出直り気配。中期トレンドを示す75日移動平均線を完全に上抜けることができれば、上げに弾みがつきそうだ。(参)
出所:MINKABU PRESS
2024/06/20 10:07
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20日の株式相場見通し=反落か、手掛かり材料難も欧州株安が重荷
20日の東京株式市場は様子見ムードのなかも主力株中心に下値を試す展開か。日経平均株価は3日ぶりに反落し、3万8000円台半ばから前半で売り物をこなす地合いとなりそうだ。前日は米国株市場がジューンティーンス(奴隷解放記念日)の祝日で休場だったことから、手掛かり材料に事欠く状況にあるが、ここ政局不安や景気先行き不安の漂う欧州主要国の株価指数が総じて軟調に推移し、東京市場でもこれが向かい風として意識されやすい。前日の欧州市場は独DAXが0.4%安、仏CAC40が0.8%安といずれも1%に届かない下げだったものの、終始軟調な推移となった。フランスで今月末に行われる国民議会選挙で極右勢力の伸長を警戒する動きが依然として拭えない。また、この日はEUの執行機関である欧州委員会が、過剰な財政赤字を是正する手続きの対象国にフランスやイタリアなど7カ国を挙げ、これがネガティブに捉えられた面もある。東京市場では、前日に半導体セクターの主力株がエヌビディア<NVDA>をはじめとする米半導体株高に追随できず、売りに押される銘柄が目立った。信用買い残が膨らむなか、株式需給悪が上値を押さえる要因となっており、きょうも半導体関連株の値動きが投資家のセンチメントを左右する可能性がある。一方、外国為替市場では1ドル=158円台に入る円安方向に振れていることで、これは半導体セクターなど輸出株やインバウンド関連などを中心に株価の下支え材料となることが予想される。
日程面では、きょうは東京都知事選が告示される(投開票は7月7日)。このほか、5月の主要コンビニエンスストア売上高、5年物国債の入札など。海外では、6月の中国最優遇貸出金利、5月の米住宅着工・許可件数、週間の米新規失業保険申請件数、6月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数など。また、インドネシア中銀、スイス中銀、ノルウェー中銀などが政策金利を発表する。
出所:MINKABU PRESS
2024/06/20 08:01
みんかぶニュース コラム
明日の株式相場に向けて=エヌビディア躍進と東京市場に潜む悲観
きょう(19日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比88円高の3万8570円と続伸。前日の欧州株市場は全面高となったが、ドイツやフランスなどいずれも1%に満たない上昇率で、とりあえず下げ止まったという格好。また、米国株市場の方もナスダック指数が7連騰で連日の史上最高値更新というと聞こえはいいが、5ポイント高とほぼ横ばいで着地。NYダウも続伸ながら0.1%の上昇にとどまった。モヤモヤ感が拭えないなか、東京市場も怪しい値動きとなった。日経平均は朝方300円を超える上昇をみせる場面はあったが、その後はどうにも上値の重い地合いで、後場取引後半には値を消す展開に。大引けの日経平均は高くなったが、その直前まで前日終値近辺を千鳥足で徘徊した。
米株市場では大手ハイテク株の躍進が目立つ。その筆頭はいうまでもなくエヌビディア<NVDA>で、最高値圏での快進撃が続いている。前日は遂に時価総額でマイクロソフト<MSFT>を抜き去り、世界トップの座に躍り出た。AI用半導体で大脚光を浴びたGPUの独占的サプライヤーとして、業績と株価の躍進ぶりについて今更触れるまでもない。ただ、この天をも切り裂くような先鋭化したチャートは、新たに資金を投入する側からすれば躊躇するのが普通の感覚である。バンジージャンプ並みの思い切りが必要といってもよい。しかし、パフォーマンスで後れを取るわけにいかない機関投資家は、持たざるリスクに背中を押されて資金を投下する。俗に言うFOMO(フォーモ)に洗脳された構図となっている。
中国の古典に「千丈の堤も螻蟻(ろうぎ)の穴をもって潰(つい)ゆ」という言葉がある。どんなに頑丈な堤防であっても、時が来ればそれまで気にも留めなかった“蟻の一穴”が崩壊の端緒となることを言ったものだ。今は一世を風靡するエヌビディアの株価もその瞬間がいずれは訪れる。今、その話を持ち出すのは時期尚早にも思えるが、実はそうでもない可能性がある。東京市場の半導体製造装置大手の最近の株価推移は、エヌビディアをはじめとする米半導体セクターと不自然なくらいにギャップが大きい。特にエヌビディアと収益連動性が高いはずのアドバンテスト<6857.T>の株価の出遅れ感が気になる。
変調なのは半導体関連だけではない。内需株も危険な匂いを漂わせている。インバウンド関連の追い風が強まるなか、ここ最近の日本航空<9201.T>やANAホールディングス<9202.T>など空運、そして東武鉄道<9001.T>、京浜急行電鉄<9006.T>、小田急電鉄<9007.T>など私鉄やJR東日本<9020.T>、JR東海<9022.T>なども合わせ鉄道株の崩れ足も何かを語っている可能性がある。ありていに言えば日本から投資マネーが逃げ出しているようなイメージを想起させ、少なくとも楽観できる局面ではないことを教えている。
当面、個別株戦略は機動的に半身に構えた感じで対処する。リスクヘッジ的な意味合いでは、有配企業でありながら解散価値を大幅に下回る銘柄群の下値を拾う作戦がひとつ。例えば今3月期営業75%増益の40億円予想で大幅増配を計画し、配当利回りが4%あまりに達しているアーレスティ<5852.T>。同社株のPBRは何と0.33倍。解散価値の半値はおろか、3分の1というのはさすがに放置され続ける水準とは思えない。このほか、ここ動意含みの大同信号<6743.T>はPBR0.3倍台。また、同じく上値慕いをみせる大同メタル工業<7245.T>はPBR0.4倍台。もちろん、いずれも有配企業である。
投資テーマでは、エヌビディア関連からひと捻り入れた「サイバー防衛」が旬といえそうだ。生成AI市場の急拡大を背景に、データ改竄(かいざん)や情報漏洩、フェイク動画、ジェイルブレークなどさまざまなリスクが極大化の傾向をたどるなか、セキュリティー関連株への注目度が高まりやすい。FFRIセキュリティ<3692.T>、ラック<3857.T>、サイバートラスト<4498.T>、ソリトンシステムズ<3040.T>などに目を向けておきたい。
あすのスケジュールでは、東京都知事選が告示される(投開票は7月7日)。6月の月例報告、5月の主要コンビニエンスストア売上高が発表されるほか、5年物国債の入札が午前中に行われる。また、この日はPostPrime<198A.T>とWOLVES HAND<194A.T>が東証グロース市場に、タウンズ<197A.T>が東証スタンダード市場に新規上場する。海外では、6月の中国最優遇貸出金利、5月の米住宅着工・許可件数、週間の米新規失業保険申請件数、6月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数などが注目される。また、インドネシア中銀、スイス中銀、ノルウェー中銀などが政策金利を発表する。(銀)
出所:MINKABU PRESS
2024/06/19 17:00
みんかぶニュース コラム
<注目銘柄>=ラクス、第2四半期以降新規受注の伸び回復へ
ラクス<3923.T>の株価は今年に入り下降基調にあったが、4月26日安値1522円を底に下値を切り上げている。
同社は、経費精算システム「楽楽精算」、電子請求書発行システム「楽楽明細」、メール共有管理システム「メールディーラー」などで知られる業務効率化のためのクラウドサービスを提供する企業。24年3月期は営業利益55億5900万円(前の期比3.4倍)と大幅増益となった。
前期はインボイス制度や電子帳簿保存法の追い風があった。その反動により24年1月以降の「楽楽精算」「楽楽明細」の月次売上高の伸び率が鈍化したとして株価は下落基調にあったが、新規受注の伸び鈍化は会社側も想定済み。一方、前期に行った人員増強などを通して販売力は強まっており、マーケティング投資の増額効果もあって第2四半期以降は新規受注も回復に向かいそう。会社側では25年3月期の営業利益を90億円(前期比61.9%増)と見込むが、保守的との見方が強い。
また、会社側では「楽楽精算」の価格改定を検討しており、7〜10%程度の上昇を見込む。値上げ効果が本格的に寄与する26年3月期には純利益100億円以上(25年3月期予想69億円)を見込んでおり、増益基調継続にも注目したい。(仁)
出所:MINKABU PRESS
2024/06/19 10:00
みんかぶニュース コラム
19日の株式相場見通し=続伸、欧米株堅調受け買い戻し続く
19日の東京株式市場は主力株中心に買い戻しが続き日経平均株価は続伸、3万8000円台後半に歩を進めそうだ。欧州株市場が足もと下げ止まる動きをみせ、前日は仏CAC40や独DAXなど主要国の株価指数をはじめほぼ全面高商状となっており、過度な不安心理の後退がみられる。ただし上げ幅は小さくいずれも自律反発の域を出ていない。一方、米国株市場ではハイテク系グロース株への買いが続いており、NYダウが続伸しバランスを取り戻しているほか、ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数は小幅ながら7連騰で最高値街道を走っている。この日は画像処理半導体大手のエヌビディア<NVDA>が3.5%高に買われ上場来高値を更新、時価総額でマイクロソフト<MSFT>を上回り世界首位となった。これが全体相場のリスク選好ムードを後押し、半導体銘柄で構成されるフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)も続伸、こちらも最高値更新となっている。米半導体関連への買いが追い風となって、東京市場でも同関連株を中心にリスクオンの地合いが想定される。日経平均は3万8000円台後半での強調展開が見込まれるが、きょうは米国株市場が奴隷解放記念日の祝日で休場となることから、海外投資家の売買が細る可能性があり、買い一巡後は上値が重くなるケースも考えられる。
18日の米国株式市場では、NYダウ平均株価が前営業日比56ドル76セント高の3万8834ドル86セントと続伸。ナスダック総合株価指数は同5.212ポイント高の1万7862.232だった。
日程面では、きょうは日銀金融政策決定会合(4月25~26日開催分)の議事要旨、5月の貿易統計、5月の首都圏新規マンション販売、5月の訪日外客数など。海外では5月の英消費者物価指数(CPI)、6月の米NAHB住宅市場指数、ブラジル中銀の政策金利発表など。奴隷解放記念日の祝日に伴い米国株市場は休場となる。
出所:MINKABU PRESS
2024/06/19 08:00
みんかぶニュース コラム
明日の株式相場に向けて=“1%ジャストの戻り”は気迷いの結晶
きょう(18日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比379円高の3万8482円と反発。切り返しに転じたとはいえ1%ジャストの戻りに過ぎず、前日の欧米株高を受けたリバウンドとしては物足りない。通常なら後場は徐々に買い戻しの動きが加速し、次第高でその日の高値圏で大引けを迎えるのが、急落後のリバウンド局面としてはお決まりのパターンであった。きょうも取引終了間際に手仕舞い売りならぬ「手仕舞い買い戻し」の動きで日経平均が跳ねる形となったが、ショート筋を踏ませた感触はほとんどない。
週明け17日は先物主導の売りで思わぬ急落に見舞われたが、メジャーSQ通過後の仕掛けということもあって虚を衝かれた部分もあったかと思われる。問題は下げの背景が判然としないということだ。今月末のフランス国民議会(下院)選挙で極右政党の躍進が警戒されている。確かに政局不安の火種として、現地ではのっぴきならないネガティブな要素をはらんでいることは理解できるが、これを前日の日本株急落の材料に掲げるには正鵠を射ているとは到底思えない。仮に海外投資家が日本株の買いポジションを減らす動き、もしくは先物売りでヘッジをかけたとしても、それは別の理由がおそらく存在する。政局ならばよほど国内の方がいろいろと売りの取っ掛かりが多いはずで、逆に言えば敢えて欧州に理由を求めるほど、国内政治のマーケット全体に与える影響は希薄化していることの裏付けともなっている。
フランスの政情は日本にとって実はダミーで、実際は日銀が金融政策決定会合で国債買い入れ減額を発表したことが本丸という指摘も多い。しかし、この日銀の量的引き締めの選択肢については寝耳に水どころか、耳にタコができるほど投資家サイドは事前のリークで聞かされていた話だ。実際、決定会合直後は想定よりもハト派的という解釈が大手を振り、日経平均は強含みプラス圏で着地している。そして、週末は無風通過で一件落着に見えたものの、週明けに時間差で大きくマーケットは揺さぶられた。後付け材料として可能なのは前週末14日引け後の植田日銀総裁の記者会見を嫌気したという説。しかし、これは後付けというよりは“なすりつけ”のネタにされている印象もある。
先物絡みで振り回されているようにも見えるが、個別株に対しても気迷いムード満載で、物色意欲が減退している感は否めない。前日はプライム市場で全体の8割弱の銘柄が下落し、きょうは7割強の銘柄が上昇した。しかし、主力どころを見るとショート解消に伴うリバウンドは前場に見せ場を作り、後は惰性で流した感じとなった。後場は前場の余韻で日経平均が上昇をキープしたとはいえ、3万8000円台半ばまで上値を伸ばすのが精一杯。そこから先は胸突き八丁、戻り売りを浴びて退散するよりない状況だった。
半導体関連株は相変わらず跛行色が強く、一斉高でロケットスタートを決めても、ゴールテープを切るまでには脱落者(マイ転)が多数出てしまうのは見慣れた風景。米エヌビディア<NVDA>がアクセル全開でフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)が青空圏を舞い上がっても、東京市場の方は“笛吹けど踊らず”の状態から抜け出せないでいる。例えばエヌビディア関連の急先鋒であるアドバンテスト<6857.T>の5000円台半ばでのもみ合いを、以前のように絶好の買い場とは言い切れなくなっている。
19日の米国株市場がジューンティーンスで休場ということもあって、足もとで外国人投資家の売買に厚みが伴わない面もあるが、やはり個人投資家マインドも冷え込んでいる。信用買い残は増勢にあるが、それは今の値ごろ感からくるもので積極的に買い向かっているようには見えない。一方、空売り比率は直近17日現在で45.9%まで高まっているが、相場の転機を示唆するにはまだ少し距離がある印象だ。
あすのスケジュールでは、朝方取引開始前に日銀金融政策決定会合(4月25~26日開催分)の議事要旨が開示されるほか、5月の貿易統計が発表される。午後取引時間中には5月の首都圏新規マンション販売が開示。また、午後取引終了後に発表される5月の訪日外客数にマーケットの関心が高い。なお、IPOが1社予定されており、東証グロース市場にライスカレー<195A.T>が新規上場する。海外では5月の英消費者物価指数(CPI)、6月の米NAHB住宅市場指数、ブラジル中銀の政策金利発表など。この日は奴隷解放記念日の祝日に伴い米国株市場は休場となる。(銀)
出所:MINKABU PRESS
2024/06/18 17:00
みんかぶニュース コラム
<注目銘柄>=酒井重、マド埋めから戻り本番へ
酒井重工業<6358.T>の6000円未満は買い場と判断したい。道路舗装に使われるロードローラーなど道路機械の専業大手であり、大型機で強みを発揮し、国内では圧倒的な商品競争力を誇る。海外売上比率が6割弱を占めており、米国での新機種投入などで24年3月期は経常利益が前の期比43%増の33億2400万円と大幅な伸びを達成した。その反動もあって25年3月期は27億円予想と2ケタ減益を見込むが保守的で、上振れ余地を内包している。
PBRが0.8倍台と割安に放置されるが、PBR1倍回復に向けた経営努力に前向き。9月末の株主を対象に1株を2株にする株式分割を発表、25年3月期年間配当は分割修正前で215円予想と前期実績比で減配ながら、配当利回りは3.7%と高い。5月中旬に開けたマドを埋めにいく展開が想定され、マド埋め完了後も更なる戻り足が期待できる。株式需給面も信用買い残が枯れた状態で上値は軽そうだ。(桂)
出所:MINKABU PRESS
2024/06/18 10:00
みんかぶニュース コラム
18日の株式相場見通し=大幅反発か、欧米株高受け目先センチメント改善
18日の東京株式市場は主力株中心に広範囲に買い戻される地合いとなり、日経平均株価は大きく切り返す展開が想定される。前日の欧州株市場は高安まちまちの展開ながら、仏CAC40や独DAXをはじめ主要国の株価指数は自律反発狙いの買いが入りリバウンドに転じた。依然として極右勢力台頭による政局不安は重荷となっているものの、足もとはいったん下げ止まる動きとなった。また、米国株市場ではハイテク株への買いが継続、ナスダック総合株価指数が6連騰で最高値更新を続けたほか、消費関連株にも値ごろ感から押し目買いの動きが表面化し、NYダウが5日ぶりに反発した。朝方は米長期金利の上昇を嫌気してダウはマイナス圏でスタートしたが、その後は尻上がりに買いが優勢となった。この日の朝方に発表された6月のNY連銀製造業景況指数は市場コンセンサスを上回る強い内容で、米景気の底堅さが確認されたことは景気敏感株などに追い風となっている。東京市場では前日に日経平均株価が700円あまりの急落に見舞われたが、きょうは欧米株が強さを見せたことでセンチメントが改善、幅広い銘柄に買い戻しを誘発する公算が大きい。前週末の日銀の金融政策決定会合では国債買い入れ減額が発表されたものの、日銀の政策スタンスは想定したほどタカ派寄りではなかった。株式の相対的な割安感が意識されやすい一方、今週は19日の米国株市場が休場となるほかスケジュール面から手掛かり材料不足で、買い一巡後は様子見姿勢となる可能性もある。
17日の米国株式市場では、NYダウ平均株価が前営業日比188ドル94セント高の3万8778ドル10セントと反発。ナスダック総合株価指数は同168.138ポイント高の1万7857.020だった。
日程面では、きょうは5月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値、6月の欧州経済研究センター(ZEW)独景気予測指数、ハンガリー中銀、豪中銀の政策金利発表、5月の米小売売上高、5月の米鉱工業生産・設備稼働率、4月の米企業在庫、4月の対米証券投資、米20年国債の入札など。なお、インドネシア市場は休場。
出所:MINKABU PRESS
2024/06/18 08:00
みんかぶニュース コラム
明日の株式相場に向けて=要警戒、“全部売り”状態の東京市場
週明け17日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比712円安の3万8102円と急反落。取引時間中は3万8000円台を下回る場面もあった。前週末を振り返ると、日銀金融政策決定会合は事前の想定通り国債買い入れ減額を決めたとはいえ、想定よりもハト派的な内容であったという見方が強まり、後場に日経平均は頑強な値動きを示した。しかし、安心感が広がったのも束の間、植田和男日銀総裁の記者会見を経て時間差でリスクオフの波が押し寄せる格好となっている。前週末の引け後の日経平均先物の値動きが、週明けの東京市場の軟調展開を予想させたが、実際は大方の想定以上に深押しとなった。
これだけの売りを浴びながら背景が今一つはっきりしない。日銀の政策転換への思惑もあるとはいえ、それだけではなさそうだ。前週末に時計の針を戻すと、まず欧州株市場の動向に目が行く。主要国の株価が全面安に売り込まれたが、そのなかフランスの主要株価指数であるCAC40の下落率が約2.7%に達するなど顕著な下げとなった。ここ数日のフランス市場はまさに「釣瓶(つるべ)落とし」の形容が当てはまる崩れ足となっている。
背景は極右勢力の台頭。今月末から投票が始まるフランスの国民議会選挙(下院)でマリーヌ・ルペン氏率いる極右政党が勝利するパターンとなった場合、フランスのEU離脱の可能性までシナリオとして描かれ、株式市場にとってもリスク回避ムードが意識されざるを得なくなっている。これを受けて市場関係者の間では「欧州系の海外投資家が日本株を合わせ切りしている」(中堅証券ストラテジスト)という見方が示されていた。
11月のビッグイベント米大統領選については「ダブルへイター」、いわゆるどちらも支持したくないという白けた状況が伝わっているが、それでも熱狂的な支持者を有するトランプ氏が優位という見方が強い。トランプ氏が大統領に返り咲くとすれば「欧州と共鳴する形で、これからの世界はナショナリズムの台頭あるいは、グローバリズムの後退が一つの潮流を形成しそうだ」(ネット証券マーケットアナリスト)という。これだけでは一概に株式市場にネガティブとは言い切れないが、米国中心に自国ファーストとなれば世界的な有事リスクが今よりも高まる公算が大きく、そうなると世界景気減速の中でのインフレ再燃という、スタグフレーションの亡霊が再び姿を現す可能性がある。
ECBは前回の会合で利下げを決めたが、FRBはすぐにこれに追随することに躊躇している。また、ECBの継続的な利下げを見込む向きも今のところ少数派だ。インフレの火種がくすぶるなか、利下げが景気減速に追いつかないケースを株式市場は危惧しているようにも見える。とりわけ米国の逆イールドの解消(2年債利回りと10年債利回りの再逆転)のタイミングは注意を要する。それは債券市場のメカニズムとして正常化に向けた動きであっても、福音となるとは限らない。「逆イールド期間の長さやスプレッドの大きさを考えれば、その解消局面が静かに訪れると期待するほどマーケットは楽観的ではない」(ネット証券アナリスト)という。時間軸的にその瞬間は、実勢経済や株式市場にとって非常にリスキーな風景が眼前に広がっている可能性を示唆する。
日銀の国債買い入れ減額は事実上の量的引き締め(QT)といっていいが、会合後の東京市場は頑強な値動きとなった。仮に引け後の植田総裁の記者会見で「思ったよりタカ派っぽい」という認識が広がったにせよ、その指摘には矛盾がある。メガバンクや大手生保の下落トレンドに歯止めがかからないことだ。トヨタ自動車<7203.T>やNTT<9432.T>の下げっぷりに唖然とするだけではなく、足もとでは半導体関連をはじめとするハイテク主力株であろうが、メガバンクであろうが投資資金は退避する一方だ。気が付けば三菱商事<8058.T>など大手商社株もバフェット効果が完全剥落した状態に放置されている。押し目買い好機と買い下がる前に、これらが何を意味するのかに思考を巡らす時間が必要かもしれない。
あすのスケジュールでは、IPOが1社予定されており東証グロース市場にインテグループ<192A.T>が新規上場する。また、この日はトヨタ自動車<7203.T>の株主総会が行われる。海外では5月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値、6月の欧州経済研究センター(ZEW)独景気予測指数、ハンガリー中銀、豪中銀の政策金利発表、5月の米小売売上高、5月の米鉱工業生産・設備稼働率、4月の米企業在庫、4月の対米証券投資など。また、米20年国債の入札も予定されている。なお、インドネシア市場は休場。(銀)
出所:MINKABU PRESS
2024/06/17 17:00
みんかぶニュース コラム
<注目銘柄>=太平洋セメ、PBR0.8倍台でなお割安
太平洋セメント<5233.T>に注目したい。セメント最大手である同社の業績は好調だ。24年3月期の連結営業利益は、前の期比で約13倍の564億7000万円と大幅増益となった。国内ではセメント価格の値上げが浸透したほか、活発なインフラ投資が追い風の米国子会社の増益が寄与した。25年3月期の同利益は前期比48.8%増の840億円が予想されており、18年ぶりに最高益を更新する見通しだ。
業績拡大を受け、株価は上昇基調を強めているが、連結PERは7倍台、同PBRは0.8倍台と依然として割安感は強い。先行き18年1月につけた5070円の高値更新からの一段高が期待できる。(地和)
出所:MINKABU PRESS
2024/06/17 10:00
みんかぶニュース コラム
17日の株式相場見通し=反落、米ハイテク株高も欧州政局不安など重荷
17日の東京株式市場は、強弱観対立のなかも売りに押される展開となり、日経平均株価は反落する公算が大きそうだ。前週末は欧州株市場がほぼ全面安商状となり、特にフランスやイタリアの下げが大きく、リスク回避ムードの強い相場だった。欧州では今月末に国民議会選挙を控えるフランスをはじめ、極右勢力の台頭に伴う政局不安が株式市場の重荷となっている。一方、米国株市場ではミシガン大学が発表した6月の消費者態度指数の内容が市場コンセンサスを下回る低水準で米景気の先行きに対する警戒感が根強く、NYダウの上値の重さが改めて意識される展開に。もっともダウは4日続落となったが下げ幅は限定的であり、ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数の方はしぶとくプラス圏で着地し、5日続伸と対照的な値動きで最高値街道を走っている。東京市場は前週末の日銀金融政策決定会合の結果を受けて、日銀が金融引き締めに依然として慎重との見方が広がり、日経平均株価は気迷いムードをみせながらも後場に入って買いが優勢となった。しかし、上値を積極的に買い進む動きも今のところまばらで、当面はボックス圏を明確に離脱できるポジティブ材料が見当たらない。ダウの下値模索が続く米株市場を横目に、足もとでは主力銘柄への売り圧力が観測される状況にあり、きょうは日経平均が3万8000円台半ばまで水準を切り下げる可能性が高い。
14日の米国株式市場では、NYダウ平均株価が前営業日比57ドル94セント安の3万8589ドル16セントと4日続落。ナスダック総合株価指数は同21.322ポイント高の1万7688.882だった。
日程面では、きょうは朝方に4月の機械受注が発表される。海外では、5月の中国工業生産、5月の中国小売売上高、5月の中国都市部固定資産投資、6月のNY連銀製造業景気指数など。なお、インド市場は休場。
出所:MINKABU PRESS
2024/06/17 08:01
みんかぶニュース コラム
来週の株式相場に向けて=「決められない日銀」と都知事選の行方
14日の日経平均株価は前日比94円高の3万8814円と3日ぶりに反発。日銀金融政策決定会合の結果発表を受け、一時3万9000円を回復する場面があったものの、上値は重く伸び悩んだ。
市場の関心を集めた日銀会合では国債買い入れ額を減額していく方針を決め、次回7月30~31日の決定会合において今後1~2年程度の具体的な減額計画を決定することとした。市場には、現状で月6兆円程度の日銀による国債買い入れ額を5兆円前後まで減額し、早ければ7月にも再利上げに踏み切るとの観測もあった。このため、今回の発表は「ハト派的」と受け止められ、為替は円安が進行し株価は上昇。債券市場では長期金利は急低下した。
今回の決定に対して「決められない日銀」(アナリスト)と評する声も出ている。国債の買い入れ減額は、7月の決定まで待つうちに現状の想定より大きな減額が迫られる可能性もあり、利上げは9月まで持ち越しとなることも考えられる。投機筋が勢いづき再び為替は1ドル=160円の攻防となることも起こり得る。そして160円を突破されれば、円安は一段と加速しかねない。
「為替の円安は物価高にもつながる。7月には東京都知事選があるが、円安は与党・現職には逆風だろう。小池知事は負けないまでも苦戦すれば、野党は勢いづく。9月の自民党総裁選も視野に政局不安が強まりかねない」(同)という。この日の東京株式市場も、為替の円安を好感したのは一時的で買い一巡後は売りに押された。為替が再び160円ラインの攻防に移るか、どうかは株式市場にとっても大きなポイントとなりそうだ。
来週のイベントでは、海外では18日に米5月小売売上高が発表される。また、17日に中国5月小売売上高、19日は奴隷解放記念日(ジューンティーンス)の祝日で米国市場は休場。21日に米6月S&Pグローバル米国製造業PMIが発表される。
国内では17日に4月機械受注、19日に4月開催分の日銀金融政策決定会合議事要旨が公表される。19日にコーセル<6905.T>、20日にサツドラホールディングス<3544.T>、21日にツルハホールディングス<3391.T>などが決算発表を行う。更に、18日にインテグループ<192A.T>、19日にライスカレー<195A.T>、20日にWOLVES HAND<194A.T>、タウンズ<197A.T>、PostPrime<198A.T>、21日にMFS<196A.T>が新規上場する。来週の日経平均株価の予想レンジは3万8300~3万9200円前後。(岡里英幸)
出所:MINKABU PRESS
2024/06/14 17:16
みんかぶニュース コラム
<注目銘柄>=島津、医薬品開発向け成長期待続く
島津製作所<7701.T>は明治初期創業の老舗メーカーながら、安定した成長を継続しており25日移動平均線を下回る水準は押し目買いスタンスで臨みたい。分析・計測機器大手で理工系分野での有能な人材を多く抱える同社は、欧州での医薬品開発向け分析機器の旺盛な需要などを追い風に、24年3月期の売上高と営業・経常・最終利益は4期連続で過去最高を更新した。25年3月期は売上高が前期比2.6%増の5250億円、最終利益は同1.7%増の580億円を見込む。
今期の業績の伸びは鈍化する予想を示しながらも、医薬品開発向け装置は引き続き堅調な需要拡大が期待できるほか、人体に有害な影響を及ぼすと懸念されている有機フッ素化合物(PFAS)の分析ソリューションも収益の押し上げに寄与すると想定されている。更に、同社は5月に初の自社株買いの実施を発表。取得総数の上限は1250万株(自己株式を除く発行済み株式総数の4.2%)、取得総額の上限は250億円とし、期間は来年3月末までとした。5月の段階では買い入れを見送っているとあって、需給面での安心感が下値を支える要因となりそうだ。株価は5月13日に年初来高値4612円をつけた後に騰勢が一服。バリュエーション面での割高感が解消された格好となっている。(碧)
出所:MINKABU PRESS
2024/06/14 10:00
みんかぶニュース コラム
14日の株式相場見通し=神経質な展開、日銀会合の結果発表後の変動に警戒
14日の株式市場で、日経平均株価は神経質な展開が続くとみられている。前日の欧州株式市場で主要国の株価指数はそろって下落。米国株式市場ではダウ工業株30種平均が下落した半面、ナスダック総合株価指数は4日続伸し、連日で最高値を更新した。5月の米国の生産者物価指数が市場予想を下回る結果となり、インフレの鈍化傾向を示したことで米長期金利が低下し、ハイテク株のサポート要因となった。フィラデルフィア半導体指数は1%を超す上昇となっている。東京市場では株価指数先物・オプションの特別清算指数(SQ)算出日となることから、朝方は先物に絡んだ売買の影響でボラタイルな動きとなることが予想されるものの、半導体関連などハイテク株は堅調な滑り出しとなることが期待される。注目点はやはり日銀の金融政策決定会合だ。今回の会合では、国債の買い入れ減額の検討を進める方針などが国内外のメディアにより報じられている。議論の結果、日銀が当面の金融政策運営に関し、声明文を通じて具体的にどのようなアナウンスをするかで、相場のムードが変化することとなりそうだ。例えば月間の買い入れ額の幅を具体的に提示し、その中央値が従来の買い入れ額よりも少なく、保有国債残高の圧縮が進むとの見方が強まれば、株式相場には重荷となる可能性がある。半面、前回の決定会合のように「ゼロ回答」となった際には、中央銀行がハト派的な姿勢を示したとの受け止めから先物買いが入り、株高に弾みがつくことが想定される。もっとも大引け後に予定される植田和男総裁の記者会見での発言内容を見極めてからポジションを形成しても遅くはないとの投資家も一定程度、存在することから、先物主導での上下動を経た後は、様子見ムードが強まる公算が大きい。決定会合の結果発表後、日経平均株価が25日移動平均線(3万8700円)を上回って推移できれば、投資家心理にはプラスに働きそうだ。
13日の米国株式市場では、NYダウ平均株価が前営業日比65.11ドル安の3万8647ドル10セントと3日続落。ナスダック総合株価指数は同59.124ポイント高の1万7667.560と4日続伸した。
日程面では前述の通り、きょうは国内ではSQ算出日で、日銀の金融政策決定会合の結果が発表される予定。大引け後に植田和男総裁が記者会見に臨む。4月の鉱工業生産(確報値)が公表されるほか、Chordia Therapeutics<190A.T>が東証グロース市場に新規上場する。海外ではユーロ圏の4月貿易収支や、米国の6月ミシガン大学消費者信頼感指数の公表を控えている。
出所:MINKABU PRESS
2024/06/14 08:00
みんかぶニュース コラム
明日の株式相場に向けて=タカ派傾斜のFRBと日銀の苦悩
きょう(13日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比156円安の3万8720円と続落。寄り付きは300円強の上昇でスタートしたが、すぐに失速する形となりほぼ一方通行で上げ幅を縮小、前場取引終了間際にマイナス圏に沈んだ。なお、TOPIXの方は朝方取引開始後5分あまりで下げに転じている。売り仕掛けを思わせる動きは鳴りを潜めているが、一方で買い意欲の乏しさも浮き彫りとなった。あすの日銀金融政策決定会合を警戒するムードがにわかに色濃くなっている。
振り返って前日の欧州株市場は、ドイツやフランスなど主要国をはじめ全面高商状となった。これは日本時間の前日夜9時30分に発表された5月の米消費者物価指数(CPI)の結果が事前の市場コンセンサス以上に鈍化傾向をみせたことが影響している。先に利下げを決めたECBにとっても米国の物価動向は気になるところだが、今回発表の米CPIがディスインフレの兆候を示したことで、FRBも早晩ECBと歩調を合わせて利下げに動くという思惑が株式市場への資金流入を促した。
当然ながら、米国株市場の方も取引開始前発表の米CPIを好感してロケットスタートとなり、NYダウは早々に3万9000ドル台を回復、ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数やS&P500指数は揃って最高値圏を舞い上がる展開となった。ところが、CPIの内容を事前に織り込めたはずのFRBが思った以上にタカ派寄りだったことが市場の動揺を誘った。前回の3月FOMC時点でのドットチャートでは年3回の利下げを見込んでいたが、今回のFOMCでこれが2回に減るであろうということを米株市場はメインシナリオとして織り込んでいた。それが直前のCPIの内容を受け、前回見通しである年3回利下げが今回も維持されるという期待が束の間に高まることになった。だが、皮肉にも5時間半後にその期待は“ぬか喜び”であったことをマーケットは知ることになる。
フタを開けてみれば、FOMC後に開示されたドットチャートは年内利下げ回数について中央値で「1回」ということになった。年内2回ならまだしも1回であったことはサプライズ的要素が強く、メンバー19人のうち4人は「利下げなし」という見方を示したことも伝わっている。半ば必然的に9月利下げ開始のシナリオも否定された形だ。パウエルFRB議長は記者会見で、朝方に発表されたCPIをデータとして反映していることにも言及、それだけに想定以上にタカ派傾斜を印象づける内容となった。
しかし、にもかかわらずナスダック指数やフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)はむしろ違和感を覚えるくらいの強さを維持した。これについて市場関係者は「CPIの内容とは関係なく、ハイテクや半導体株はビッグイベント通過という事実のみでショートポジションをたたむ動きが反映された」(ネット証券アナリスト)と指摘する。足もと米国株市場では局所的にショートが積み上がっていた。例えば、年次者開発会議後にいったん売りに押されたアップル<AAPL>が、その後“一人時間差アタック”で急騰、最高値を更新したのも同じメカニズム。積み上げた空売りの買い戻しが作用したという見方が強い。とすれば、あす以降の相場で実需の買いが続くかどうかは次元の異なる話ともいえる。
さて、日本の方は何と言ってもあすの日銀金融政策決定会合の結果と植田和男日銀総裁の記者会見に耳目が集まる。今回も事前のアドバルーンで国債買い入れ減額についてマーケットに織り込ませる算段がとられた。住宅ローン金利上昇につながる追加利上げについては消費失速への懸念から慎重なスタンスだが、QT(量的引き締め)は比較的やりやすいという見方がある。円安対策という観点では国債買い入れ減額のカードを先に切り、周りの顔色を見ながらおもむろに利上げのカードを切るというのが、日銀にとっては賢明な選択肢ということになる。したがって、あすの植田総裁の記者会見では「7月利上げの言質を取られるような発言はしない公算が大きい」(生保系エコノミスト)という声も聞かれる。
あすは、株価指数先物・オプション6月物の特別清算指数(メジャーSQ)算出日。また、日銀の金融政策決定会合の結果発表と植田日銀総裁の記者会見に市場の注目度が高い。また、この日は東証グロース市場にChordia Therapeutics<190A.T>が新規上場する。海外では4月のユーロ圏貿易収支、5月の米輸出入物価指数、6月の米消費者態度指数(ミシガン大学調査・速報値)など。(銀)
出所:MINKABU PRESS
2024/06/13 17:00
みんかぶニュース コラム
<注目銘柄>=元気寿司、商号変更し事業領域拡大へ
元気寿司<9828.T>は8月1日から商号を「Genki Global Dining Concepts(ゲンキグローバルダイニングコンセプツ)」に変更する予定。寿司以外及び現進出地域以外への事業領域の拡大を視野に入れており、今後の展開が注目される。
25年3月期は寿司業態を中心とした店舗出店、ブランド価値を高める取り組みによる販促効果と積極的な訴求で既存店売上高の増加と新業態の立ち上げによる売上高の増加を見込む。今期の売上高予想645億円(前期比4.3%増)、経常利益予想51億円(同0.4%増)は保守的とみたい。
足もとの株価は仕切り直しの様相をみせており、25日移動平均線と75日移動平均線とのゴールデンクロスが実現すれば上値を試す展開が期待できそうだ。(参)
出所:MINKABU PRESS
2024/06/13 10:00
みんかぶニュース コラム
13日の株式相場見通し=反発、米ハイテク株高受けリスク選好
13日の東京株式市場は主力株をはじめ広範囲に買いが優勢となり、日経平均株価は反発する公算が大きい。ここ攻防ラインとなっている3万9000円大台ラインをきょうは回復しそうだ。前日の米国株市場ではNYダウが取引終盤に小幅マイナス圏に沈んだものの、ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数は終始強い動きをみせ大幅続伸、連日の史上最高値更新となった。また、S&P500指数も最高値を更新している。この日の朝方取引開始前に発表された5月の米消費者物価指数(CPI)は総合指数、コア指数ともに前月から鈍化し、市場コンセンサスも下回った。これを好感する形で主要株価3指数は大きく買いが先行して始まった。そして、注目のFOMCでは政策金利の据え置きを決めたが、ドットチャートでは利下げ回数について前回の年内3回の見通しから年内1回に修正された。利下げ開始時期は11月という見方であり、メンバー19人のうち4人は年内利下げなしとの見方を示すなどタカ派寄りの内容だった。これを受けダウは値を消す格好となったが、アップル<AAPL>が続伸し連日最高値を更新したほか、エヌビディア<NVDA>をはじめ半導体関連株も総じて高く、ナスダック指数は高値水準を維持して引けている。東京市場では米ハイテク株高を受け、朝方はリスク選好の地合いとなりそうだ。ただ、あすに日銀の金融政策決定会合の結果発表と、植田日銀総裁の記者会見を控えており、これらの内容を見極めたいとの思惑から、買い一巡後は持ち高調整の売りが上値を押さえるケースも考えられる。
12日の米国株式市場では、NYダウ平均株価が前営業日比35ドル21セント安の3万8712ドル21セントと小幅続落。ナスダック総合株価指数は同264.890ポイント高の1万7608.436だった。
日程面では、きょうは4~6月期法人企業景気予測調査、5月の投信概況など。海外では4月のユーロ圏鉱工業生産、5月の米生産者物価指数(PPI)、週間の米新規失業保険申請件数など。
出所:MINKABU PRESS
2024/06/13 08:00
みんかぶニュース コラム
明日の株式相場に向けて=売り方不在?のイベントドリブン
きょう(12日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比258円安の3万8876円と反落。前場は朝方に320円あまりの下げをみせ、プチ波乱の様相をみせたが、その後は押し目に買い向かう動きが顕在化し下げ渋った。
今週は、日本時間今晩に開示される5月の米消費者物価指数(CPI)や、あす未明に公表されるFOMC、更に日銀の金融政策決定会合とビッグイベントが目白押しだが、そうしたなか、きょうは“SQ週の魔の水曜日”に当たるだけに、投資家サイドも思わず身構えてしまうところ。振り返って前日の欧州株市場は文字通りの全面安に売り込まれた。欧州議会選における極右政党の台頭に伴い政局不安が取り沙汰されている。これで米国株市場が崩れ足となればちょっとした世界同時株安モードであったが、ここでリスクオフの流れは堰き止められた。米株市場では持ち高調整の売りを引き金に利食い急ぎの動きとなったのは朝方だけで、ナスダック総合株価指数はすぐにプラス圏に浮上、NYダウは戻し切れなかったものの下値は固く、0.3%安と“お湿り”程度の下げにとどめた。個別株ではエヌビディア<NVDA>は小安く引けたが、それを忘れさせるパフォーマンスを演じたのがアップル<AAPL>で、7%を超える急伸をみせマーケットに漂う弱気ムードを一掃した。
こうなると、東京市場も売り方が跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)できるほどのネガティブな相場環境には程遠い。朝方に先物主導で若干揺さぶられたものの、そこから一段の実需売りを誘発するには至らなかった。メジャーSQ直前の駆け引きも「コールオプションの強気の建玉が4万円近辺で目立つ」(中堅証券ストラテジスト)という。投資家の体感温度を表す空売り比率は11日現在で38%台と6日ぶりに40%台を割り込んだ。空売り比率は40%台後半になると、下値に対する思惑がかなり強い状態で、ショート筋の露骨な揺さぶりが入るケースも多いが、40%を切ると売り勢力はほぼ離散しているようなイメージだ。目先は買い手控えの中も「閑散に売りなし」という商状を呈している。
最近は全体相場の上値の重さに辟易している投資家も少なくないはずである。6月に入ってからは商いも低調だが、ニューマネーとして期待された投資経験の浅い投資家層が興味を失っているという状況が見て取れる。例えばネット証券大手の話では「新NISAの買い付けは(個別株に投資する)成長投資枠で1月と比較して6割減の状況」としており、証券業界を取り巻く新NISA導入当初の喧騒は雲散霧消したような状態である。しかし、売りで利ザヤを稼ごうと画策するショート筋も少ない。きょうも“魔の水曜日”の片鱗をのぞかせたのは前場の取引開始後1時間程度で、後場は薄商いのなか、終始底堅さが発揮される地合いとなった。すべては今週のビッグイベントを通過した後、ということらしい。
ただ、こういう「待ち」の場面は次に予想されるテーマ買いに目ぼしをつけておくタイミングでもある。最近は半導体や生成AI、あるいはそこから派生したデータセンターといったお決まりのテーマとは路線の異なる「ペロブスカイト太陽電池」関連株の一角が人気化しており、物色裾野が広がる可能性がある。貼合加工で高い技術を持つフジプレアム<4237.T>はペロブスカイト太陽電池分野に照準を合わせており、早晩頭角を現しそうだ。また、特殊潤滑油で強みを持つ化学品メーカーのMORESCO<5018.T>もペロブスカイト素子にダメージを与えない高性能の封止材を開発中、本格開花への期待が大きい。
7月3日から新紙幣の発行が開始されるが、これも経済効果は非常に大きい。インフラ面では券売機などの市場に分かりやすい追い風となるが、既に日本でも普及が進むキャッシュレス決済を加速させる呼び水となる可能性に着目。ネットスターズ<5590.T>やビリングシステム<3623.T>の押し目などをマークしておきたい。
あすのスケジュールでは、週間の対外・対内証券売買契約、4~6月期法人企業景気予測調査がいずれも朝方取引開始前に財務省から開示される。午前中に3カ月物国庫短期証券の入札も予定されている。午後取引終了後には5月の投信概況が発表される。海外では4月のユーロ圏鉱工業生産のほか、5月の米生産者物価指数(PPI)、週間の米新規失業保険申請件数に注目度が高い。また、米30年国債の入札が行われる予定。このほか、この日はウィリアムズ・NY連銀総裁が経済団体のイベントで発言機会があり、その内容にマーケットの耳目が集まる。(銀)
出所:MINKABU PRESS
2024/06/12 17:00
みんかぶニュース コラム
<注目銘柄>=東映アニメ、「DRAGON BALL DAIMA」などに期待
東映アニメーション<4816.T>は今年に入ってからの下落で割高感が払拭されており、打診買いを入れてみたい。
5月13日に24年3月期連結決算を発表し、営業利益は233億6400万円(前の期比18.5%減)だった。売上高は過去最高の886億5400万円(同1.4%増)となったが、「聖闘士星矢 The Beginning」関連の費用が増えたことが利益を圧迫。また、「デジモン」シリーズや「ドラゴンボール」シリーズの商品化権販売が前年同期の勢いには至らなかったことも響いた。
25年3月期は営業利益200億円(前期比14.4%減)と連続減益を見込む。会社側では複数新作の放映開始による製作原価や主力IP群の周年イベントに関わる広宣費の増加、人件費の増加、将来の収益拡大につなげる戦略的な投資などを利益圧迫要因として挙げているが、前期の「聖闘士星矢」関連費用の消失に加えて、「DRAGON BALL DAIMA」の配信権収入、「ONE PIECE」アニメ25周年効果などで、会社計画は保守的との見方が強い。調査機関のなかには同240億円前後を見込むところもあり、上方修正の可能性は十分だろう。(仁)
出所:MINKABU PRESS
2024/06/12 10:00
みんかぶニュース コラム
12日の株式相場見通し=反落か、重要イベント前で買い手控え
12日の東京株式市場は主力株中心に売り優勢の地合いが予想され、日経平均株価は3日ぶりに反落する可能性が高い。前日は欧州株市場が全面安に売られた。売り一巡後は総じて下げ渋る動きを見せたものの戻せず、欧州議会選における極右政党の台頭に伴う政局不安が重荷となっている。一方、米国株市場では主要株価指数が高安まちまちの展開となった。NYダウは終始軟調な動きで反落したものの、ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数と機関投資家が重視するS&P500指数は続伸し、両指数ともに連日で史上最高値を更新した。12日の5月の米消費者物価指数(CPI)とFOMCの結果発表を前にポジション調整の売りがダウの上値を押さえたが、この日はアップル<AAPL>が大幅高で切り返しナスダック指数の上昇に貢献している。取引時間後半に米長期金利が低下傾向となったことも市場のセンチメント改善につながった。東京市場では前日に日経平均が続伸し3万9000円台をキープしたが、朝高後は上げ幅を縮小する動きで結局100円未満の上昇にとどまった。目先は米CPIやFOMCの結果待ちで、週末に日銀金融政策決定会合も予定されることから買い手控えムードは拭えない。週末はメジャーSQ算出も控えており、先物主導で不安定な値動きとなることも予想され、3万9000円台を割り込んで推移する場面も想定される。
11日の米国株式市場では、NYダウ平均株価が前営業日比120ドル62セント安の3万8747ドル42セントと反落。ナスダック総合株価指数は同151.017ポイント高の1万7343だった。
日程面では、きょうは5月の企業物価指数など。海外では5月の中国CPI、5月の中国PPI、タイ中銀の政策金利発表、5月の米CPI、5月の米財政収支など。また、米連邦準備制度理事会(FOMC)の結果とパウエルFRB議長の記者会見にマーケットの関心が高い。なお、フィリピン市場は休場。
出所:MINKABU PRESS
2024/06/12 08:00
みんかぶニュース コラム
明日の株式相場に向けて=“SQ週の魔の水曜日”ブレークできるか
きょう(11日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比96円高の3万9134円と続伸。続伸はしたが、値下がり銘柄数が全体の62%を占めており、実質的には相場はひと押し入れた感触。TOPIXの方はマイナス圏で着地した。
日本時間あす夜9時半に5月の米消費者物価指数(CPI)が発表されるが、結果がどうあれその余韻に浸る間もなく、日本時間の明後日(13日)未明、午前3時にFOMCの結果が公表、更にその30分後にパウエルFRB議長の記者会見が行われる。米CPIについては総合指数の伸び率が前年同月比3.4%予想で、これは4月から横ばい見込み。また、エネルギーと食品を除いたコア指数の方は同3.5%予想で、4月の伸び率は3.6%だったので、こちらは減速が見込まれている。
米CPIが想定通りであれば、おそらくFOMCも大方が予想する範囲の内容で相場は強調展開が維持されそうだ。今回の会合での政策変更は行われない見通しだが、それは百も承知、マーケットの視線はドットチャートと会合後のパウエルFRB議長の記者会見に向いている。年内の利下げ見通しについて、ドットチャートは前回3月会合時点で年3回との見方だったが、今回の会合で2回、場合によっては1回に減る可能性が高い。しかし、「年3回の利下げが難しいということはマーケットの方ではとうに織り込んでいて、ドットチャートの開示を固唾を飲んで見守るような状況ではない」(中堅証券ストラテジスト)という。「年2回・利下げスタートは9月のFOMC」というのが今回のメインシナリオであり、米国株市場もこれを大本線として織り込み、シナリオ通りであればおそらく株価は上値追い基調を強めることが予想される。
米株市場ではNYダウの戻りがやや遅れているが、前日はハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数と、機関投資家がベンチマークとして重きを置くS&P500指数は揃って史上最高値を更新している。重要イベントラッシュで様子見ムードといわれながらも、実際は紛れもなく強気相場の様相を呈している。いきり立つ競走馬の手綱を締めてフライングを抑えているような構図に見えなくもない。FOMC通過後に首尾よくNYダウをはじめ主要株価指数が上げ足を強めれば、日本株にも浮揚力が加わることになる。
ただし、日本は週末14日に日銀の金融政策決定会合の結果発表と大引け後の植田日銀総裁の記者会見を控えている。FOMCを前門の虎とするならば、こちらは後門の狼といえる。あすは“SQ週の魔の水曜日”ということもあり、その点、波乱を演出する舞台としては申し分がない。しかし、市場関係者からは「売り方も仕掛けるだけの胆力は持ち合わせていない」(ネット証券マーケットアナリスト)という指摘がある。今回の会合において「国債買い入れ減額」と「7月の追加利上げ」観測が既にメディアで喧伝されているような状況にある。国債買い入れについては現状で6兆円程度という線引きがなされているが、減額するとしてこれを何兆円程度減らすのか、株式市場への影響はその幅にもよる。
ところが、ここにきて「(国債購入について)『サプライズ減額なし』という選択肢も考えられる」(同)という見方が浮上している。仮にそうなれば、ショート筋は悶絶することになる。更に、植田総裁が7月追加利上げ観測をいったん沈静化させる可能性も指摘される。世界的に利下げが相次ぐなか、「このタイミングで世界と真逆の政策カードを切ることをためらうのでは」(同)という見立てである。明らかに今の日本国内の景気は強いとはいえない。日銀が利上げを急ぐのは、インフレの元凶となる円安を何とかしたいという一心で、拙速な利上げを断行すれば円安以上の弊害が生じ、景気をオーバーキルする懸念が拭えない。そうなれば本末転倒である。また、こうした折、タイミングを合わせるように日本株に欧米系ファンドが食指を動かしているという報道がなされており、海外資金の東京市場上陸の足音が、売り方の動きを封じる無言の圧力を加えている。いずれにせよ、週末から来週にかけての日米株式市場の動きは今年前半の最大のヤマ場となりそうだ。
あすのスケジュールでは、5月の企業物価指数に注目。海外では5月の中国CPI、5月の中国PPI、タイ中銀の政策金利発表、5月の米CPI、5月の米財政収支など。また、米連邦準備制度理事会(FOMC)の結果とパウエルFRB議長の記者会見にマーケットの関心が集まる。なお、この日はフィリピン市場が休場となる。(銀)
出所:MINKABU PRESS
2024/06/11 17:00
みんかぶニュース コラム
<注目銘柄>=日製鋼、原発や防衛など国策関連の一角
日本製鋼所<5631.T>は5月28日に年初来高値4970円をつけてから調整局面に入ったが、時価は25日移動平均線との上方カイ離修正を経て、再び買いに分がある局面となってきた。原子力発電で実績の高い大型鋳鍛鋼製品で抜群の優位性を持つほか、樹脂製造機械など産業機械でも世界屈指の商品シェアを有する。また、電子製品や航空・宇宙分野への展開力も強みで、防衛関連株としてテーマ買いの対象となったこともある。
業績は24年3月期の営業30%増益に続き、25年3月期も同利益は前期比11%増の200億円予想と2ケタ成長を継続する見通し。PER22倍前後と割安感はないものの、豊富な受注残を武器に業績上振れ余地もあり、大勢上昇トレンドが続きそうだ。(桂)
出所:MINKABU PRESS
2024/06/11 10:00
みんかぶニュース コラム
明日の株式相場に向けて=「低PBR・バリュー」のビッグウェーブ
週明け10日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比354円高の3万9038円と反発。ようやく3万9000円台にたどり着いた。しかし、岸といえるのは4万円大台でまだまだ距離がある。上陸するにはもうひと泳ぎしなければならない。
前週末7日の日本時間夜9時半、つまり米国株式市場の朝方取引開始前に発表された5月の米雇用統計は、相場の波乱要因となっても不思議のない内容だった。ここ米国の経済指標は一様に景気減速を指し示す内容であったことから、おそらく今回の雇用統計もそれを裏付けるような数字が並ぶかと思いきや、非農業部門の雇用者数の伸びは事前コンセンサスを大幅に上回る27万2000人となった。更に平均時給も予想を上回り伸びが加速する結果に。冷静にみれば失業率の方は上昇しており、労働需給がタイト化しているともいえないのだが、カナダ中銀、ECBに続き、FRBも利下げのカードを切るタイミングが近づいているという思惑に水を差す形となったことは確かだ。ところが、米株市場は雇用統計の結果を至ってクールに受け止め、米長期金利の上昇などどこ吹く風で取引時間中はダウ、ナスダック指数ともにプラス圏で推移する場面もあった。両指数ともマイナス圏で引けたとはいえ少なくとも弱気優勢の地合いではなかった。
週明けの東京市場では外国為替市場でドル高・円安方向に振れたこともあって半導体関連株が買い戻され日経平均の上昇を後押ししたが、値上がり上位業種を見ると保険、銀行、倉庫、非鉄、自動車、鉄鋼などのバリュー株が目立ち、グロース系銘柄からの資金シフトが静かに進んでいることをうかがわせる。東証が毎月15日をメドに発表している「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」に関する開示企業リストが注目を集めるなか、低PBR株の資金誘引力が増している。もちろん、成長投資や株主還元など低PBR脱却に向けた経営努力を見込んでの流れであり、東証号令に歩調を合わせるアクティビスト(物言う株主)の存在も株高に向けた思惑に一役買っている。
8日にアップされた株探トップ特集「低PBR特選10銘柄」でも紹介された安田倉庫<9324.T>の上げ足は、突然変異型のミーム株といえば大げさだが、小型成長株と見まがうほどの軽い上げ足で上場来高値圏を突き進んでいる。しかし、PBRはわずかに0.55倍に過ぎない。また、三菱製紙<3864.T>も持ち前の材料株素地を開花させ、商い急増のなか9%高と値を飛ばした。こちらはPERが4倍台で、PBRはきょうの急騰を反映してようやく0.4倍ちょうどまで水準を切り上げた。仮に会社の解散価値と同等まで買われるとしたら、時価からダブルバガー以上のパフォーマンス(一株純資産は前期実績ベースで2076円)となる。こうなると、2匹目のドジョウを狙おうという思惑にも駆られるが、2匹目どころではなく、今の東京市場にはその候補が何百匹とうごめいている。
もちろん、そのすべてが株高パフォーマンスを演じられるわけではないが、これまではエキストラに徹していたものの、実は成長株顔負けの役者がかなり含まれているということがマーケットにも伝わり始めた。にわかにスポットライトを浴びた安田倉と同じ倉庫株では日本トランスシティ<9310.T>も目を見張る俊足ぶりを発揮。きょうはザラ場4ケタ大台乗せでいったん利食われたが、同社株のチャートは低PBR株=万年割安のイメージを払拭するに十分過ぎるインパクトがある。
このほか、鉄道向け信号大手の京三製作所<6742.T>、コーティング材主力の化学メーカー藤倉化成<4620.T>、地盤改良工事の専業である日本基礎技術<1914.T>などは上値指向が鮮明でマークしておきたい。更に半導体関連の実力株で真空シールでは過半の世界シェアを持つニッチトップ、フェローテックホールディングス<6890.T>が0.6倍台の低PBR株であることに驚かされる。
あすのスケジュールでは、5月のマネーストックが朝方取引開始前に日銀から開示される。後場取引終了後には5月の工作機械受注額(速報値)が発表される。また、この日はIPOが1社予定されており、東証グロース市場にD&Mカンパニー<189A.T>が新規上場する。海外では米連邦公開市場委員会(FOMC)が12日までの日程で開催される。また、5月の全米自営業者連盟(NFIB)中小企業楽観度指数が開示。このほか、5月の英失業率も発表される。(銀)
出所:MINKABU PRESS
2024/06/10 17:00