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日産東HD Research Memo(2):全国最大規模の日産自動車系ディーラー
配信日時:2025/12/26 12:02
配信元:FISCO
*12:02JST 日産東HD Research Memo(2):全国最大規模の日産自動車系ディーラー
■会社概要
1. 会社概要
日産東京販売ホールディングス<8291>は、日産自動車系の自動車ディーラー(日産東京販売)など連結子会社4社と非連結子会社3社を傘下に持つ持株会社である。主力の日産東京販売は、日本の中心で人口が集中する東京を地盤に、日産及びルノーブランドの自動車を販売する事業を展開しており、全国のディーラーのなかでも最大級の規模を誇る。同社は主に日産自動車とそのグループ会社からEVなど先端的な自動車や部用品を仕入れて販売するほか、中古車の買取・販売や車体整備・車検整備などの事業も行っており、総合モビリティ事業のフロントランナーとして、顧客に対しカーライフに関わるすべてのサービスをワンストップで提供している。
同社は、1942年の商工省通牒「自動車および同部分品配給機構整備要綱」に基づき、東京府自動車配給(株)として東京市で発足した。戦後の1946年に東京日産自動車販売(株)に商号を変更した後、徐々に業容を拡大し、1961年に東京証券取引所市場第1部に上場した。1989年に東京日産コンピュータシステムを設立してシステム事業に参入、2002年には(株)車検館を設立して車検整備を強化するなど事業の多角化を図ってきた。2004年に会社分割により持株会社体制に移行して(株)東日カーライフグループへと商号を変更、2008年には日産自動車子会社の日産ネットワークホールディングス(株)に対し第三者割当増資を実施し、日産自動車の持分法適用関連会社となった。2011年には東京を地盤とする東京日産自動車販売、日産プリンス東京販売(株)、日産プリンス西東京販売(株)の3社をグループ化し、東京における日産自動車の販売をほぼ一手に引き受けることになり、商号も現在の日産東京販売ホールディングスへと変更した。グループ化が軌道に乗った2021年7月、さらなる効率化とスケールメリットを目指し、日産系自動車販売会社3社を統合して日産東京販売を設立、名実ともに国内最大級の自動車ディーラーとなった。さらに2023年10月、グループ内の経営資源を自動車関連事業に集中するため、東京日産コンピュータシステムの全株式をキヤノンマーケティングジャパン<8060>に譲渡した。
日本のEV市場は依然肥沃
2. 自動車業界の動向
コロナ禍やウクライナ情勢などによる生産や流通の混乱が落ち着きを見せても、自動車業界は先端技術化やCO2排出削減など課題は尽きない。こうした状況のなか、「CASE」と「MaaS(Mobility as a Service)」という潮流が、自動車業界に100年に1度の大変革をもたらすと注目されている。「CASE」とは、自動車のIoT化(C:Connected)、自動運転(A:Autonomous)、所有から共有へ(S:Shared & Service)、電動化(E:Electric)のことで、自動車業界に大変革を引き起こす一連の技術進化を指す。一方「MaaS」は、移動自体をサービスとして捉えた「モビリティ」という考え方に基づき、様々な交通手段を最適に組み合わせて検索・予約・決済などをワンストップで提供、個人単位の移動ニーズにまで対応したサービスである。
こうした大変革の波に乗ってEVを急速に普及させたのが欧米や中国で、日本では話題が先行するばかりで必ずしも普及しているとは言い難かった。EVに本格的に参入している国内メーカーは日産自動車以外は限定的で、国内の新車販売台数に占めるEVの構成比が2%と非常に小さいからだ。このため、業界全体で急速充電器を増やすというモチベーションが働かず、消費者にEV購入の二の足を踏ませているともいえる。こうした環境ではあるが、同社は早い段階からEVやe-POWER※1といった電動車※2の普及に取り組み、電動車と相性がよいと言われるIoTには先端技術で、自動運転にはプロパイロット(ProPILOT:運転支援技術)など技術進化で対応してきた。また、他社メーカーのEVでも利用可能な急速充電器を各店舗に設置しているほか、リースやレンタカーなどモビリティ事業の強化も行っている。
※1 e-POWER:日産自動車独自のハイブリッドユニット。発電のみにエンジンを使用するため、EVと同様のドライビングフィールを味わえる。
※2 電動車:EV、プラグインハイブリッド車(PHEV、PHV)、ハイブリッド車(HEV、HV)、燃料電池車(FCEV、FCV)などの総称。同社の場合はEVとe-POWER、ハイブリッド車を指す。
一方、足元では欧米や中国でEVの普及が頭打ちとなったことや、EVの環境貢献に対する疑問の声があること、また、日産自動車のリストラに伴う風評などが、同社にネガティブな印象を与えている。しかし、欧米や中国の低迷は補助金の打ち切りや景気低迷が要因で、引き続き補助金を投入しても2%という低い普及率を引き上げたい日本とは状況が異なる。EVは運転時にこそCO2を排出しないとはいえ、電力の発電方法が化石燃料や、設置・廃棄時には環境破壊の恐れがある太陽光発電に依存するため、環境に負荷を与えているとの批判は確かにある。しかし、昨今では原子力発電の再稼働が数基予定されるなど電気の作り方自体に見直しが進んでいる。また、日産自動車のリストラに伴う風評であるが、同社には過去に様々経験してきたことによる耐性がある。加えて、リチウムイオン電池に対して安全性などの点で優位性のある全固体電池が登場間近である。欧米や中国と異なり、日本のEV市場は未だ依然肥沃と言えるため、トヨタ自動車<7203>もホンダ<7267>も足元ではEV強化を打ち出している。中長期的にEVへのネガティブな印象が縮小し、EV需要が拡大すれば、同社が先行者メリットを享受する状況は十分に考えられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)
<HN>
1. 会社概要
日産東京販売ホールディングス<8291>は、日産自動車系の自動車ディーラー(日産東京販売)など連結子会社4社と非連結子会社3社を傘下に持つ持株会社である。主力の日産東京販売は、日本の中心で人口が集中する東京を地盤に、日産及びルノーブランドの自動車を販売する事業を展開しており、全国のディーラーのなかでも最大級の規模を誇る。同社は主に日産自動車とそのグループ会社からEVなど先端的な自動車や部用品を仕入れて販売するほか、中古車の買取・販売や車体整備・車検整備などの事業も行っており、総合モビリティ事業のフロントランナーとして、顧客に対しカーライフに関わるすべてのサービスをワンストップで提供している。
同社は、1942年の商工省通牒「自動車および同部分品配給機構整備要綱」に基づき、東京府自動車配給(株)として東京市で発足した。戦後の1946年に東京日産自動車販売(株)に商号を変更した後、徐々に業容を拡大し、1961年に東京証券取引所市場第1部に上場した。1989年に東京日産コンピュータシステムを設立してシステム事業に参入、2002年には(株)車検館を設立して車検整備を強化するなど事業の多角化を図ってきた。2004年に会社分割により持株会社体制に移行して(株)東日カーライフグループへと商号を変更、2008年には日産自動車子会社の日産ネットワークホールディングス(株)に対し第三者割当増資を実施し、日産自動車の持分法適用関連会社となった。2011年には東京を地盤とする東京日産自動車販売、日産プリンス東京販売(株)、日産プリンス西東京販売(株)の3社をグループ化し、東京における日産自動車の販売をほぼ一手に引き受けることになり、商号も現在の日産東京販売ホールディングスへと変更した。グループ化が軌道に乗った2021年7月、さらなる効率化とスケールメリットを目指し、日産系自動車販売会社3社を統合して日産東京販売を設立、名実ともに国内最大級の自動車ディーラーとなった。さらに2023年10月、グループ内の経営資源を自動車関連事業に集中するため、東京日産コンピュータシステムの全株式をキヤノンマーケティングジャパン<8060>に譲渡した。
日本のEV市場は依然肥沃
2. 自動車業界の動向
コロナ禍やウクライナ情勢などによる生産や流通の混乱が落ち着きを見せても、自動車業界は先端技術化やCO2排出削減など課題は尽きない。こうした状況のなか、「CASE」と「MaaS(Mobility as a Service)」という潮流が、自動車業界に100年に1度の大変革をもたらすと注目されている。「CASE」とは、自動車のIoT化(C:Connected)、自動運転(A:Autonomous)、所有から共有へ(S:Shared & Service)、電動化(E:Electric)のことで、自動車業界に大変革を引き起こす一連の技術進化を指す。一方「MaaS」は、移動自体をサービスとして捉えた「モビリティ」という考え方に基づき、様々な交通手段を最適に組み合わせて検索・予約・決済などをワンストップで提供、個人単位の移動ニーズにまで対応したサービスである。
こうした大変革の波に乗ってEVを急速に普及させたのが欧米や中国で、日本では話題が先行するばかりで必ずしも普及しているとは言い難かった。EVに本格的に参入している国内メーカーは日産自動車以外は限定的で、国内の新車販売台数に占めるEVの構成比が2%と非常に小さいからだ。このため、業界全体で急速充電器を増やすというモチベーションが働かず、消費者にEV購入の二の足を踏ませているともいえる。こうした環境ではあるが、同社は早い段階からEVやe-POWER※1といった電動車※2の普及に取り組み、電動車と相性がよいと言われるIoTには先端技術で、自動運転にはプロパイロット(ProPILOT:運転支援技術)など技術進化で対応してきた。また、他社メーカーのEVでも利用可能な急速充電器を各店舗に設置しているほか、リースやレンタカーなどモビリティ事業の強化も行っている。
※1 e-POWER:日産自動車独自のハイブリッドユニット。発電のみにエンジンを使用するため、EVと同様のドライビングフィールを味わえる。
※2 電動車:EV、プラグインハイブリッド車(PHEV、PHV)、ハイブリッド車(HEV、HV)、燃料電池車(FCEV、FCV)などの総称。同社の場合はEVとe-POWER、ハイブリッド車を指す。
一方、足元では欧米や中国でEVの普及が頭打ちとなったことや、EVの環境貢献に対する疑問の声があること、また、日産自動車のリストラに伴う風評などが、同社にネガティブな印象を与えている。しかし、欧米や中国の低迷は補助金の打ち切りや景気低迷が要因で、引き続き補助金を投入しても2%という低い普及率を引き上げたい日本とは状況が異なる。EVは運転時にこそCO2を排出しないとはいえ、電力の発電方法が化石燃料や、設置・廃棄時には環境破壊の恐れがある太陽光発電に依存するため、環境に負荷を与えているとの批判は確かにある。しかし、昨今では原子力発電の再稼働が数基予定されるなど電気の作り方自体に見直しが進んでいる。また、日産自動車のリストラに伴う風評であるが、同社には過去に様々経験してきたことによる耐性がある。加えて、リチウムイオン電池に対して安全性などの点で優位性のある全固体電池が登場間近である。欧米や中国と異なり、日本のEV市場は未だ依然肥沃と言えるため、トヨタ自動車<7203>もホンダ<7267>も足元ではEV強化を打ち出している。中長期的にEVへのネガティブな印象が縮小し、EV需要が拡大すれば、同社が先行者メリットを享受する状況は十分に考えられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)
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