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ワコールHD:インナーウェアでブランド力有する、今後はボディーデータ活用と「CW-X」の知名度向上へ
配信日時:2025/12/23 11:02
配信元:FISCO
*11:02JST ワコールHD:インナーウェアでブランド力有する、今後はボディーデータ活用と「CW-X」の知名度向上へ
ワコールHD<3591>は、国内インナーウェア市場で圧倒的なブランド力を持つ企業であり、幅広い販売チャネルを通じて高付加価値の商品を提供している。国内では長年にわたる研究開発を通じて、フィット感や快適性を追求した商品力を磨き続けている。同社は1964年に人間科学研究開発センターを設立、長年にわたり女性のからだを科学的に分析し、独自の知見を蓄積。この精緻なデータと身体理解に基づく商品開発は、単なる衣料を超えた価値を提供し、他社には真似できない「からだに寄り添うものづくり」を実現している。また、北米・欧州・中国・ASEANへと事業展開を進め、グローバルブランドとしての事業基盤を確立。事業は地域別セグメントで構成され、各地域の消費動向に合わせた商品戦略と販売戦略を柔軟に運用している。近年は構造改革に注力し、在庫最適化、ブランド再構築、チャネルポートフォリオ改革が同時に進んでいる。
同社の強みは、第一に、高い研究開発力に裏付けられた商品競争力である。企画開発から設計、生産、品質管理までを自社で一貫して担う体制は強固であり、快適性・機能性・フィット感を追求した高付加価値商品の継続的な投入を可能としている。人体研究の蓄積と独自設備を活かしたモノづくりは、国内消費者から厚い支持を得る基盤となっている。第二に、販売チャネルの多様性である。卸売、小売、ECがバランスよく構成され、消費行動や景気環境の変化に対して柔軟に対応できる体制が整う。特にECは利益率改善が進んでおり、チャネルミックスの最適化により収益増へ寄与する構造が明確になっている。第三に、海外事業の収益拡大余地の大きさである。北米ではブランド再構築とコスト削減が奏功しつつあり、欧州では販路整理が進展。中国は市況の不透明感が続くものの、中長期的には中間層の拡大による再成長余地を有する市場であり、海外の収益改善が進めば全社収益に対する寄与は大きい。
2026年3月期上期累計の売上高は87,511百万円(前年同期比2.9%減)、事業利益は3,045百万円(同32.2%増)、営業利益は21,541百万円(同86.5%増)で着地した。第1四半期に引き続き、前期の不採算事業の売却影響により減収。前期買収したBravissimo社の増収で売上を一定程度カバーしたが、国内の閉店影響や米中の市況悪化が響いている。海外は欧州では前期のBravissimo社買収効果で伸長したものの6月に発生した倉庫火災の影響により、火災発生時から8月末までECが出荷停止となり売上の伸長幅が限定的となった。米国は得意先の仕入れ抑制の影響があり、中国は店舗改装の効果が一部見られたものの市況悪化を補えず減収となり、米欧中ともに主要各社で厳しい環境が続いている。営業利益は、固定資産売却益(新京都ビル、寮・社宅等)が寄与し大幅な増益となっている。
通期見通しは売上高173,800百万円(前期比0.1%減)、事業利益1,500百万円の赤字、営業利益20,200百万円(同514.4%増)を見込む。業績予想の下方修正を発表しており、売上収益は上期に続き、主要国におけるレディスインナーウェア等の販売の伸び悩みを想定。主要子会社別には、株式会社ワコ-ルは店舗販売が低調でEC販売は伸長しているものの高い計画に対しては届かない見込みとなったようだ。海外子会社も引き続き厳しい状況が続く見込みとなっている
市場環境では、物価上昇や消費者マインドの低下に伴い、個人消費が想定以上に伸び悩んでいる。加えて、主要販路である百貨店・量販店・専門店チャネルにおける来店客数の減少等により、マーケット環境のさらなる悪化が想定されている。市場が大きくシュリンクしていく中、ユニクロなどの競合も台頭してきており、顧客獲得ハードルが高まっている。改めてこうした影響をゼロベースで考え直し、精緻に分析する必要があり、従来の前提に基づく計画では実効性や信頼性を十分に担保できないと判断。現在進行中の取り組みの成果を見極めたうえで、より実現可能性の高い戦略を練り直す必要があると考えているようだ。次期中期経営計画の策定を進めていたが、年内に予定していた公表を延期する方針も示している。
現状の中計リバイズでは、サプライチェーンマネジメントの強化、ROIC経営の導入、成長市場への重点投資、棚卸資産等圧縮を含むアセットライト化の推進などを掲げていた。国内事業では顧客ニーズの多様化に対応し、「自分らしい美・快適・健康」への貢献を軸としたブランド価値向上を目指す。海外事業では、不透明な事業環境下でまず経営基盤整備を優先し、次期中期計画に向けた成長戦略の実行を進めている。
株主還元では、今期年間100円(中間50円・期末50円)の配当金を予定。今後も連結業績・資産の売却状況を考慮しつつ、安定的な配当を継続していくようだ。また、自己株式の取得を行い、資本効率の改善を積極的に推進していく。
また、同社の強みとしては1964年より長年にわたり取得してきた人体に関するボディーデータがある。加えてそれらボディーデータを活用し商品として開発されたコンディショニングウェアブランド「CW-X」も人気を得ている。「CW-X」は独自のテーピング理論を用いた機能などが多くの顧客に評価されており、スポーツ市場で高い認知度を誇っている。スポーツ界では、プロ野球選手の大谷翔平選手が自主的に使用していたブランドであり、イチロー氏もメジャーリーグ挑戦前から25年以上にわたり愛用し続けている。国内市場においても、今後は個人向けのみならず、身体を常に動かす職務領域(例:自衛隊、消防士、医師など)への展開にも積極的に取り組んでいる。売上はまだ約50億円程度であり、今後「CW-X」がグローバルブランドとして成長していくポテンシャルは非常に大きい。さらに、膨大なボディーデータは、競合他社との大きな差別化になる。今後AI時代に突入する中で、3D計測サービスやデータを活用したパーソナライズサービスなど、同社のデー多活用は非常に期待したい領域となろう。
<NH>
同社の強みは、第一に、高い研究開発力に裏付けられた商品競争力である。企画開発から設計、生産、品質管理までを自社で一貫して担う体制は強固であり、快適性・機能性・フィット感を追求した高付加価値商品の継続的な投入を可能としている。人体研究の蓄積と独自設備を活かしたモノづくりは、国内消費者から厚い支持を得る基盤となっている。第二に、販売チャネルの多様性である。卸売、小売、ECがバランスよく構成され、消費行動や景気環境の変化に対して柔軟に対応できる体制が整う。特にECは利益率改善が進んでおり、チャネルミックスの最適化により収益増へ寄与する構造が明確になっている。第三に、海外事業の収益拡大余地の大きさである。北米ではブランド再構築とコスト削減が奏功しつつあり、欧州では販路整理が進展。中国は市況の不透明感が続くものの、中長期的には中間層の拡大による再成長余地を有する市場であり、海外の収益改善が進めば全社収益に対する寄与は大きい。
2026年3月期上期累計の売上高は87,511百万円(前年同期比2.9%減)、事業利益は3,045百万円(同32.2%増)、営業利益は21,541百万円(同86.5%増)で着地した。第1四半期に引き続き、前期の不採算事業の売却影響により減収。前期買収したBravissimo社の増収で売上を一定程度カバーしたが、国内の閉店影響や米中の市況悪化が響いている。海外は欧州では前期のBravissimo社買収効果で伸長したものの6月に発生した倉庫火災の影響により、火災発生時から8月末までECが出荷停止となり売上の伸長幅が限定的となった。米国は得意先の仕入れ抑制の影響があり、中国は店舗改装の効果が一部見られたものの市況悪化を補えず減収となり、米欧中ともに主要各社で厳しい環境が続いている。営業利益は、固定資産売却益(新京都ビル、寮・社宅等)が寄与し大幅な増益となっている。
通期見通しは売上高173,800百万円(前期比0.1%減)、事業利益1,500百万円の赤字、営業利益20,200百万円(同514.4%増)を見込む。業績予想の下方修正を発表しており、売上収益は上期に続き、主要国におけるレディスインナーウェア等の販売の伸び悩みを想定。主要子会社別には、株式会社ワコ-ルは店舗販売が低調でEC販売は伸長しているものの高い計画に対しては届かない見込みとなったようだ。海外子会社も引き続き厳しい状況が続く見込みとなっている
市場環境では、物価上昇や消費者マインドの低下に伴い、個人消費が想定以上に伸び悩んでいる。加えて、主要販路である百貨店・量販店・専門店チャネルにおける来店客数の減少等により、マーケット環境のさらなる悪化が想定されている。市場が大きくシュリンクしていく中、ユニクロなどの競合も台頭してきており、顧客獲得ハードルが高まっている。改めてこうした影響をゼロベースで考え直し、精緻に分析する必要があり、従来の前提に基づく計画では実効性や信頼性を十分に担保できないと判断。現在進行中の取り組みの成果を見極めたうえで、より実現可能性の高い戦略を練り直す必要があると考えているようだ。次期中期経営計画の策定を進めていたが、年内に予定していた公表を延期する方針も示している。
現状の中計リバイズでは、サプライチェーンマネジメントの強化、ROIC経営の導入、成長市場への重点投資、棚卸資産等圧縮を含むアセットライト化の推進などを掲げていた。国内事業では顧客ニーズの多様化に対応し、「自分らしい美・快適・健康」への貢献を軸としたブランド価値向上を目指す。海外事業では、不透明な事業環境下でまず経営基盤整備を優先し、次期中期計画に向けた成長戦略の実行を進めている。
株主還元では、今期年間100円(中間50円・期末50円)の配当金を予定。今後も連結業績・資産の売却状況を考慮しつつ、安定的な配当を継続していくようだ。また、自己株式の取得を行い、資本効率の改善を積極的に推進していく。
また、同社の強みとしては1964年より長年にわたり取得してきた人体に関するボディーデータがある。加えてそれらボディーデータを活用し商品として開発されたコンディショニングウェアブランド「CW-X」も人気を得ている。「CW-X」は独自のテーピング理論を用いた機能などが多くの顧客に評価されており、スポーツ市場で高い認知度を誇っている。スポーツ界では、プロ野球選手の大谷翔平選手が自主的に使用していたブランドであり、イチロー氏もメジャーリーグ挑戦前から25年以上にわたり愛用し続けている。国内市場においても、今後は個人向けのみならず、身体を常に動かす職務領域(例:自衛隊、消防士、医師など)への展開にも積極的に取り組んでいる。売上はまだ約50億円程度であり、今後「CW-X」がグローバルブランドとして成長していくポテンシャルは非常に大きい。さらに、膨大なボディーデータは、競合他社との大きな差別化になる。今後AI時代に突入する中で、3D計測サービスやデータを活用したパーソナライズサービスなど、同社のデー多活用は非常に期待したい領域となろう。
<NH>
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