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クエスト Research Memo(1):中間期時点で期初計画を据え置き、通期は増収増益を見込む
配信日時:2025/12/23 12:11
配信元:FISCO
*12:11JST クエスト Research Memo(1):中間期時点で期初計画を据え置き、通期は増収増益を見込む
■要約
1. 会社概要
クエスト<2332>はシステム開発及びITインフラサービスを中核とする独立系の情報サービス企業であり、半導体・製造・金融・エンタテインメント・情報通信など多様な業種に向けてソフトウェア開発やシステム運用、IT基盤構築を提供している。特に半導体製造や設計プロセス領域に強みを持ち、エンジニアリングソリューションにも注力している。企業理念は「技術を探究し、価値を創造し、お客様とともに成長する」、パーパスは「技術と創造力で人と社会の安心と幸せを支え続けます」である。ISMS認証やプライバシーマーク取得など情報セキュリティにも力を入れており、設計から運用までを一貫して提供できる体制が競争力の源泉となっている。2002年に東京証券取引所(以下、東証)JASDAQ上場後、現在は東証スタンダード市場に上場し、創業以来60年にわたる連続黒字経営により高い財務安定性を維持している。アライアンスやM&A、拠点拡大により体制を強化しており、2023年には本社をmsb Tamachi田町ステーションタワーNに移転した。今後も持続可能なITソリューション企業としての安定成長が期待される。
2. 2026年3月期中間期の業績概要
2026年3月期中間期(2025年4月から9月)の業績は、(株)セプトの連結化を主な要因として売上高は8,785百万円となり、前年同期比21.4%増と大幅な増収となった。一方で、営業利益は486百万円(同2.1%減)、経常利益は511百万円(同4.5%減)、親会社株主に帰属する中間純利益は335百万円(同5.8%減)と、増収ながら減益の結果となった。ただし、利益面の減少は一時的な戦略投資が主因である。具体的には、従業員の処遇改善や教育を含む人的資本への投資拡充、営業力強化に向けた事業所の新設や拡張、創立60周年記念施策、そして新たに連結子会社となったセプトの経営統合プロセスに伴うコスト発生などである。これらの施策はすべて期初に織り込み済みで、通期業績予想に影響を及ぼすものではない。
3. 2026年3月期の業績見通し
2026年3月期の連結業績予想は、売上高16,860百万円(前期比12.9%増)、営業利益1,180百万円(同11.8%増)、経常利益1,240百万円(同11.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益845百万円(同10.1%増)を見込んでおり、中間期時点で期初計画据え置きを名言している。上期は新拠点整備やセプトの統合関連費用、人的資本投資など先行コストが利益を一時的に圧迫したが、これらは中期的な成長を見据えた戦略的投資であり、下期の収益回復が期待される。セプトの連結によるエンジニアリソース拡充や半導体分野を中心としたコアサービス強化、ソリューションサービスの育成などが通期業績を下支えし、インフラ・セキュリティ関連の新サービスや共創案件の拡大が通期の増収基調を支える主因となる見込みである。
4. 中長期の成長戦略
2021年3月期に策定した中長期計画「Quest Vision 2030」に基づき、2025年3月期より第2期中期経営計画が始動した。第1期(2021年度~2023年度)ではM&Aを通じた事業基盤の拡大により売上目標を上回る成果を上げた一方で、資本コストや株価を意識した経営には課題も残った。第2期では、資本効率を踏まえた収益性の向上、事業構造の変革、企業体質の強化に加え、人財及び技術への投資を通じて成長を加速する方針である。従来からのICTソリューションによるコアサービスの深耕に加え、ソリューションサービスによるビジネスボリューム拡大を成長ドライバーと位置付ける。2025年4月のセプトの子会社化により、成長戦略の下支えとなるリソース確保が進んだことでソリューションサービスへの展開にも期待がかかる。第2期では、「2030年度の飛躍に向けた基盤の強化と着実な成長」を主眼とし、3つの重点戦略を掲げている。第1に、半導体・製造業を中心とする重点強化領域、金融や情報通信などの安定成長領域、公共や移動・物流などの社会課題解決領域にリソースを最適配分する「顧客産業・ポートフォリオ戦略」。第2に、工数依存型から高付加価値型への転換を図る「事業構造戦略」。第3に、多様な人財が活躍できる制度改革と育成投資を進める「人財戦略」である。これらを軸に、持続的な成長と資本市場からの信頼確保を図り、2027年3月期には売上高168億円、営業利益率8.0%、ROE11%超の達成を目指す。
■Key Points
・創業以来、60期黒字決算の優良企業で直近12期連続増収中
・一次請け比率90%超、継続案件比率約70%の安定した受注構造。我が国有数の大企業を顧客に持ち、長年の実績から得られる競争優位性を持つ
・中長期ビジョンで「堅実成長と攻めの挑戦の両立」を掲げ、企業価値250億円を目指し着実に戦略を実行中
(執筆:フィスコ客員アナリスト 中西 哲)
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1. 会社概要
クエスト<2332>はシステム開発及びITインフラサービスを中核とする独立系の情報サービス企業であり、半導体・製造・金融・エンタテインメント・情報通信など多様な業種に向けてソフトウェア開発やシステム運用、IT基盤構築を提供している。特に半導体製造や設計プロセス領域に強みを持ち、エンジニアリングソリューションにも注力している。企業理念は「技術を探究し、価値を創造し、お客様とともに成長する」、パーパスは「技術と創造力で人と社会の安心と幸せを支え続けます」である。ISMS認証やプライバシーマーク取得など情報セキュリティにも力を入れており、設計から運用までを一貫して提供できる体制が競争力の源泉となっている。2002年に東京証券取引所(以下、東証)JASDAQ上場後、現在は東証スタンダード市場に上場し、創業以来60年にわたる連続黒字経営により高い財務安定性を維持している。アライアンスやM&A、拠点拡大により体制を強化しており、2023年には本社をmsb Tamachi田町ステーションタワーNに移転した。今後も持続可能なITソリューション企業としての安定成長が期待される。
2. 2026年3月期中間期の業績概要
2026年3月期中間期(2025年4月から9月)の業績は、(株)セプトの連結化を主な要因として売上高は8,785百万円となり、前年同期比21.4%増と大幅な増収となった。一方で、営業利益は486百万円(同2.1%減)、経常利益は511百万円(同4.5%減)、親会社株主に帰属する中間純利益は335百万円(同5.8%減)と、増収ながら減益の結果となった。ただし、利益面の減少は一時的な戦略投資が主因である。具体的には、従業員の処遇改善や教育を含む人的資本への投資拡充、営業力強化に向けた事業所の新設や拡張、創立60周年記念施策、そして新たに連結子会社となったセプトの経営統合プロセスに伴うコスト発生などである。これらの施策はすべて期初に織り込み済みで、通期業績予想に影響を及ぼすものではない。
3. 2026年3月期の業績見通し
2026年3月期の連結業績予想は、売上高16,860百万円(前期比12.9%増)、営業利益1,180百万円(同11.8%増)、経常利益1,240百万円(同11.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益845百万円(同10.1%増)を見込んでおり、中間期時点で期初計画据え置きを名言している。上期は新拠点整備やセプトの統合関連費用、人的資本投資など先行コストが利益を一時的に圧迫したが、これらは中期的な成長を見据えた戦略的投資であり、下期の収益回復が期待される。セプトの連結によるエンジニアリソース拡充や半導体分野を中心としたコアサービス強化、ソリューションサービスの育成などが通期業績を下支えし、インフラ・セキュリティ関連の新サービスや共創案件の拡大が通期の増収基調を支える主因となる見込みである。
4. 中長期の成長戦略
2021年3月期に策定した中長期計画「Quest Vision 2030」に基づき、2025年3月期より第2期中期経営計画が始動した。第1期(2021年度~2023年度)ではM&Aを通じた事業基盤の拡大により売上目標を上回る成果を上げた一方で、資本コストや株価を意識した経営には課題も残った。第2期では、資本効率を踏まえた収益性の向上、事業構造の変革、企業体質の強化に加え、人財及び技術への投資を通じて成長を加速する方針である。従来からのICTソリューションによるコアサービスの深耕に加え、ソリューションサービスによるビジネスボリューム拡大を成長ドライバーと位置付ける。2025年4月のセプトの子会社化により、成長戦略の下支えとなるリソース確保が進んだことでソリューションサービスへの展開にも期待がかかる。第2期では、「2030年度の飛躍に向けた基盤の強化と着実な成長」を主眼とし、3つの重点戦略を掲げている。第1に、半導体・製造業を中心とする重点強化領域、金融や情報通信などの安定成長領域、公共や移動・物流などの社会課題解決領域にリソースを最適配分する「顧客産業・ポートフォリオ戦略」。第2に、工数依存型から高付加価値型への転換を図る「事業構造戦略」。第3に、多様な人財が活躍できる制度改革と育成投資を進める「人財戦略」である。これらを軸に、持続的な成長と資本市場からの信頼確保を図り、2027年3月期には売上高168億円、営業利益率8.0%、ROE11%超の達成を目指す。
■Key Points
・創業以来、60期黒字決算の優良企業で直近12期連続増収中
・一次請け比率90%超、継続案件比率約70%の安定した受注構造。我が国有数の大企業を顧客に持ち、長年の実績から得られる競争優位性を持つ
・中長期ビジョンで「堅実成長と攻めの挑戦の両立」を掲げ、企業価値250億円を目指し着実に戦略を実行中
(執筆:フィスコ客員アナリスト 中西 哲)
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