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デリカフHD Research Memo(7):中期経営計画では新戦略を追加。将来的に売上高1,000億円を目指す(2)
配信日時:2025/12/15 12:07
配信元:FISCO
*12:07JST デリカフHD Research Memo(7):中期経営計画では新戦略を追加。将来的に売上高1,000億円を目指す(2)
■デリカフーズホールディングス<3392>の今後の見通し
(2) 事業戦略の進捗状況
a) 各種ポートフォリオの変革
各種ポートフォリオ(事業・顧客・商品)の変革を推進している。事業ポートフォリオについては、物流事業やBtoC事業の強化を進め、業務用の青果物事業に依存しない体制の構築を進めている。物流事業では「2024年問題」により物流費が上昇するなかで、受託物流サービスの顧客獲得が進んでおり、事業規模も順調に拡大している。BtoC事業では、新設した食品事業部において付加価値型商品の開発販売を強化しており、物流事業とBtoC事業を合わせた売上構成比を2024年3月期の12%から2027年3月期に15%まで引き上げる。
顧客ポートフォリオについては、将来性や収益性をもとに取引口座数の適正化を進めているほか、市場環境の変化に影響を受け難いポートフォリオへの変革に取り組んでいる。業界別売上構成比では、外食業界以外の比率を2024年3月期の25%から2027年3月期に28%まで引き上げる。
商品ポートフォリオについては、従来のホール野菜やカット野菜に加えて、加熱野菜や冷凍野菜、加工野菜、ミールキットやスープ・調味液も含めた「加工度の高い商品(=付加価値商品)」を開発・育成することで収益性の向上を図り、これら商品を海外やBtoC市場など新規市場でも拡販することで事業規模のさらなる拡大を目指す。2026年3月期中間期の実績として、焼き鳥チェーンを全国展開する企業から、香港エリアの店舗向け焼き鳥用タレの受注に成功し、出荷を開始した。
b) 青果物サプライチェーンの構造変革
従来のサプライチェーンを抜本的に見直し、持続可能かつ機能的な青果物流通インフラへの変革を推進する。主に、輸入比率の高い野菜の国内調達比率引き上げや、安定供給体制の強化に向けた長期保存技術の確立と貯蔵センターの整備を進める。
輸入野菜の国産化の目的は、国内における農業従事者の高齢化により国内農業の衰退が危ぶまれるなかで、持続可能な農業を実現することにある。国内産に切り替えることで仕入コストは上昇するが、顧客と売価交渉を進め粗利益に影響を与えない範囲で、徐々に転換する。取り組みの第一弾として、大阪茨木工場を玉葱加工専用工場にリニューアルし、2025年4月より稼働を開始した。愛知、大阪、兵庫、奈良の事業所の玉葱加工ラインを集約化し、皮むきからカット、包装、最終商品まで一気通貫の生産ラインを構築した。玉葱の生育不良もあって足元の状況は計画をやや下回っているものの、最終的には年間売上規模で10億円程度に拡大する見通しだ。加工工程を1ヶ所に集約化することで原料調達コストの低減や、単品大量生産に向く自動化・省人化ラインの導入による生産性向上が見込まれる。また、一気通貫生産によって品質及び菌数制御が向上し、消費期限の延長も可能となる。既存工場で空いた加工ラインではその他の商材の製造加工を行うため、グループ全体の能力増強にもつながる。玉葱の製造加工が軌道に乗れば、他の輸入野菜の国産化も進めることにしている。
持続可能な農業の実現に向けた新たな取り組みとして、既述のとおり自社栽培による農業を2025年9月より開始した。農業を自ら実践することで、今まで見えなかった農業の実態や経営課題を把握し、仕入先となる契約農家に対して相互が満足できるような最適なソリューションの提案や次世代農業の可能性を追求する。
また、野菜の安定供給体制構築に向けた施策として、「東海マザーセンター」を新設し2026年3月より運営開始する予定だ。西日本エリアの大型原料を同センターに集約することで、一括調達による調達・物流・在庫管理におけるコストメリットを創出する。また、市況変動リスクの低減と安定供給体制の構築を図るべく、長期貯蔵技術を実装し検証を行う予定だ。まずはトマトからスタートする。成熟前のトマトを収穫し、庫内で温度や湿度など保存環境をコントロールしながら、1ヶ月程度で出荷可能な状態まで成熟させる技術の確立を目指す。1ヶ月の貯蔵が可能となれば天候不順による市況変動リスクも軽減できることになる。同社では10品目程度で実用化を目指している。同センターでは、野菜の仕分け・選果・パッケージ業務の請負サービスも開始することで、高齢化が進む生産者の業務負担軽減を支援することにしている。
さらに、同社は「関東マザーセンター(仮称)」を2027〜28年頃に新設する計画を明らかにした。場所は埼玉県幸手市で、貯蔵施設と首都圏にあるFSセンターなどで行っているカット野菜の前処理工程を同センターに集約化する計画となっている。前処理工程を集約化することで、各事業拠点のカット野菜の製造能力増強と生産性の向上を図る。ここ数年は、需要拡大が続く首都圏におけるFSセンターの能力増強が課題となっていたことから、同マザーセンターの新設はさらなる業績の拡大につながるものと期待される。
そのほか、「持続可能な農業の実現」に向けて就農支援事業への参入計画を発表した。日本の農業従事者は高齢化が進むとともに減少傾向が続いており※、新規就農者の増加に向けた仕組みづくりが急務となっているため、同社もその支援に乗り出す。具体的には、業務加工用野菜と稲作の二毛作で複数年契約により、同社及び(株)神明ホールディングスなどで買い取り保証を行い、就農から独立・拡大までを支援する取り組みとなる。同社では将来的に農産物市場は人手不足により売り手市場になると見ており、就農支援を行うことで国内農業の衰退を防ぐとともに、将来の仕入れ先となる「生産者の囲い込み」を行う。
※ 2022年時点で平均年齢は68.4歳となっており、全体の80%以上が60歳以上で占められている。また、2022年の農業従事者は116万人で、2005年の220万人からほぼ半減している。
c) 研究部門・開発部門への投資拡大
既存事業の継続的な改善、事業領域の拡大に向け、各種研究・開発部門の強化を図り、将来の成長エンジンへとつなげる。開発テーマとしては、青果物の長期保存技術の確立や高付加価値商品の開発、青果物を基軸とした新規事業の開発などがあり、デザイナーフーズやデリカフーズの食品事業部で研究・開発を推進する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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(2) 事業戦略の進捗状況
a) 各種ポートフォリオの変革
各種ポートフォリオ(事業・顧客・商品)の変革を推進している。事業ポートフォリオについては、物流事業やBtoC事業の強化を進め、業務用の青果物事業に依存しない体制の構築を進めている。物流事業では「2024年問題」により物流費が上昇するなかで、受託物流サービスの顧客獲得が進んでおり、事業規模も順調に拡大している。BtoC事業では、新設した食品事業部において付加価値型商品の開発販売を強化しており、物流事業とBtoC事業を合わせた売上構成比を2024年3月期の12%から2027年3月期に15%まで引き上げる。
顧客ポートフォリオについては、将来性や収益性をもとに取引口座数の適正化を進めているほか、市場環境の変化に影響を受け難いポートフォリオへの変革に取り組んでいる。業界別売上構成比では、外食業界以外の比率を2024年3月期の25%から2027年3月期に28%まで引き上げる。
商品ポートフォリオについては、従来のホール野菜やカット野菜に加えて、加熱野菜や冷凍野菜、加工野菜、ミールキットやスープ・調味液も含めた「加工度の高い商品(=付加価値商品)」を開発・育成することで収益性の向上を図り、これら商品を海外やBtoC市場など新規市場でも拡販することで事業規模のさらなる拡大を目指す。2026年3月期中間期の実績として、焼き鳥チェーンを全国展開する企業から、香港エリアの店舗向け焼き鳥用タレの受注に成功し、出荷を開始した。
b) 青果物サプライチェーンの構造変革
従来のサプライチェーンを抜本的に見直し、持続可能かつ機能的な青果物流通インフラへの変革を推進する。主に、輸入比率の高い野菜の国内調達比率引き上げや、安定供給体制の強化に向けた長期保存技術の確立と貯蔵センターの整備を進める。
輸入野菜の国産化の目的は、国内における農業従事者の高齢化により国内農業の衰退が危ぶまれるなかで、持続可能な農業を実現することにある。国内産に切り替えることで仕入コストは上昇するが、顧客と売価交渉を進め粗利益に影響を与えない範囲で、徐々に転換する。取り組みの第一弾として、大阪茨木工場を玉葱加工専用工場にリニューアルし、2025年4月より稼働を開始した。愛知、大阪、兵庫、奈良の事業所の玉葱加工ラインを集約化し、皮むきからカット、包装、最終商品まで一気通貫の生産ラインを構築した。玉葱の生育不良もあって足元の状況は計画をやや下回っているものの、最終的には年間売上規模で10億円程度に拡大する見通しだ。加工工程を1ヶ所に集約化することで原料調達コストの低減や、単品大量生産に向く自動化・省人化ラインの導入による生産性向上が見込まれる。また、一気通貫生産によって品質及び菌数制御が向上し、消費期限の延長も可能となる。既存工場で空いた加工ラインではその他の商材の製造加工を行うため、グループ全体の能力増強にもつながる。玉葱の製造加工が軌道に乗れば、他の輸入野菜の国産化も進めることにしている。
持続可能な農業の実現に向けた新たな取り組みとして、既述のとおり自社栽培による農業を2025年9月より開始した。農業を自ら実践することで、今まで見えなかった農業の実態や経営課題を把握し、仕入先となる契約農家に対して相互が満足できるような最適なソリューションの提案や次世代農業の可能性を追求する。
また、野菜の安定供給体制構築に向けた施策として、「東海マザーセンター」を新設し2026年3月より運営開始する予定だ。西日本エリアの大型原料を同センターに集約することで、一括調達による調達・物流・在庫管理におけるコストメリットを創出する。また、市況変動リスクの低減と安定供給体制の構築を図るべく、長期貯蔵技術を実装し検証を行う予定だ。まずはトマトからスタートする。成熟前のトマトを収穫し、庫内で温度や湿度など保存環境をコントロールしながら、1ヶ月程度で出荷可能な状態まで成熟させる技術の確立を目指す。1ヶ月の貯蔵が可能となれば天候不順による市況変動リスクも軽減できることになる。同社では10品目程度で実用化を目指している。同センターでは、野菜の仕分け・選果・パッケージ業務の請負サービスも開始することで、高齢化が進む生産者の業務負担軽減を支援することにしている。
さらに、同社は「関東マザーセンター(仮称)」を2027〜28年頃に新設する計画を明らかにした。場所は埼玉県幸手市で、貯蔵施設と首都圏にあるFSセンターなどで行っているカット野菜の前処理工程を同センターに集約化する計画となっている。前処理工程を集約化することで、各事業拠点のカット野菜の製造能力増強と生産性の向上を図る。ここ数年は、需要拡大が続く首都圏におけるFSセンターの能力増強が課題となっていたことから、同マザーセンターの新設はさらなる業績の拡大につながるものと期待される。
そのほか、「持続可能な農業の実現」に向けて就農支援事業への参入計画を発表した。日本の農業従事者は高齢化が進むとともに減少傾向が続いており※、新規就農者の増加に向けた仕組みづくりが急務となっているため、同社もその支援に乗り出す。具体的には、業務加工用野菜と稲作の二毛作で複数年契約により、同社及び(株)神明ホールディングスなどで買い取り保証を行い、就農から独立・拡大までを支援する取り組みとなる。同社では将来的に農産物市場は人手不足により売り手市場になると見ており、就農支援を行うことで国内農業の衰退を防ぐとともに、将来の仕入れ先となる「生産者の囲い込み」を行う。
※ 2022年時点で平均年齢は68.4歳となっており、全体の80%以上が60歳以上で占められている。また、2022年の農業従事者は116万人で、2005年の220万人からほぼ半減している。
c) 研究部門・開発部門への投資拡大
既存事業の継続的な改善、事業領域の拡大に向け、各種研究・開発部門の強化を図り、将来の成長エンジンへとつなげる。開発テーマとしては、青果物の長期保存技術の確立や高付加価値商品の開発、青果物を基軸とした新規事業の開発などがあり、デザイナーフーズやデリカフーズの食品事業部で研究・開発を推進する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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