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ティア Research Memo(3):明瞭な価格体系と高品質なサービスの源泉となる独自の人財育成システムを構築
配信日時:2025/12/15 13:03
配信元:FISCO
*13:03JST ティア Research Memo(3):明瞭な価格体系と高品質なサービスの源泉となる独自の人財育成システムを構築
■事業概要
4. 同社の特徴と強み
(1) 同社の特徴
ティア<2485>の最大の特徴は、「葬儀価格の完全開示化」と「適正な葬儀費用の提示」を行い、旧来の葬儀社の慣習を打ち破り、明瞭な価格体系を構築し、葬儀費用を明確化した点にある。このため、葬儀単価は全国平均と比較して2~3割低い水準で推移している。ここ数年の傾向として、核家族化の進行や高齢者の独居率上昇など生活スタイルの変化、低価格戦略を展開する葬儀社の台頭などを背景に、「一般葬儀」から「家族葬」へのシフトが進み、葬儀単価も全体的に低下傾向が続いてきた。しかしながら、2023年夏以降は物価の上昇もあって葬儀単価も緩やかながら回復基調となっている。同社の2025年9月期におけるグループ直営店の平均単価も、前期比3.3%増の89.7万円と3期連続で上昇した。
出店戦略では、ドミナント出店を基本方針とし、会館同士の相互補完性を高めながら効率的な認知度向上と営業エリアの拡大を図っている。1会館当たりの商圏は直径3kmで、稼働率は約9割を目安としている。会館の基本フォーマットは、建坪150~200坪(平屋1階建て~2階建て)、収容人員100~150人の式場1室に会食ルーム、親族控室を併設したタイプで、最近は規模に応じて間仕切り可能な構造への改修を進めている。設備投資額は150~200百万円、投資回収期間は9~10年が目安となっている。ただ、最近は家族葬専用ホールの出店が主流である。基本フォーマットは建坪60坪(平屋1階建て)、収容人員30人規模の式場1室と会食ルーム、親族控室を併設したタイプで、既存ホールの商圏の隙間を埋める形で出店を進めている。設備投資額は70百万円、投資回収期間は9年を目安としている。
(2) 同社の強み
同社の強みは、独自の人財教育システム「ティアアカデミー」にある。「ティアアカデミー」では、新卒入社の新人社員に対して入社後6ヶ月間にわたり社会人としての基礎研修、セレモニーディレクターとしての実務教育※、さらに徳育的観点から「命」や「心」に関する教育を行っている。現場配属後もOJTに加えて、3ヶ月に1度の社長セミナーを実施し、「究極のサービス業」という認識を深め、「ご遺族に対して最高のおもてなし」により「感動」を与えられる人財を育成している。
※ 葬儀の依頼を受ける際の「打ち合わせ」、通夜・葬儀の際の会場設営、ロールプレイング、OJTによる施行立会い。
また、葬儀の専門人財「マスターセレモニーディレクター」の育成プログラムや、社員のスキルに応じた最適な人財配置を行うため、等級別に7段階で評価する社内検定試験「ティア検定」を導入している。さらに、会館運営や経営を担う次世代リーダーを育成するための研修も整備している。こうした人財教育システムは、同社の競争力を支える質の高いサービスの源泉となっている。なお、人財育成体制を支える施設として、教育専用施設「ティア・ヒューマンリソース・センター」を本社隣接地に設置し、短期間で多数の人財を育成する体制を整えた。これにより、新規出店への対応力を高めるとともに、葬儀業に対する理解を深めることで、社員の定着率向上にもつながっている。
■業績動向
2025年9月期業績は葬儀件数の増加とTLD領域の拡大により増収増益
1. 2025年9月期の業績概要
2025年9月期の連結業績は、売上高で前期比14.5%増の21,563百万円、営業利益で同14.3%増の1,643百万円、経常利益で同26.8%増の1,576百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同18.5%増の891百万円となった。売上高、営業利益、経常利益は5期連続の増収増益、当期純利益は2期ぶりの増益となった。2025年5月に上方修正した数値に対しては、下期の葬儀件数が下振れしたことにより売上高、各利益ともに未達となったが、期初計画に対してはいずれも上回って着地した。
新規出店状況を見ると、ティア直営店を愛知県に4店舗、埼玉県に1店舗開設し、八光殿が大阪府に3店舗、東海典礼が静岡県に2店舗それぞれ開設した。FC店については、富山県と神奈川県で各3店舗、愛知県で1店舗を開設した一方で、大阪府、愛知県、茨城県で各1店舗を閉鎖した。これにより、グループ店舗数は前期末比17店舗増の219店舗となった。
葬儀件数はティア直営店で前期比3.0%増の15,889件となり、グループ2社の葬儀件数と合わせた直営店合計では同8.0%増の19,773件となった。下期の葬儀件数が前年同期比1.6%減と失速した格好だが、業界全体もほぼ同様の動きとなったようで市場シェアは維持したと見られる。実際、名古屋市内の斎場シェアは上期に対して下期も同水準で推移した。下期の失速の要因は前年同期の水準が高かったことも影響したと見られ、弊社では一過性の動きと捉えている。
売上高の前期比増減要因を見ると、ティア直営・既存店の減収で200百万円(葬儀売上は135百万円の増収であり、アフター売上等335百万円をTLD領域に移管した)、ティア直営・新店の増収で471百万円、TLD領域の増収で966百万円、ティア直営のリロケーション・閉鎖による減収で122百万円となったほか、八光殿で932百万円、東海典礼で695百万円それぞれ増収に寄与し、全体では2,724百万円の増収となった。TLD領域の売上高は主に不動産売却を含む相続・不動産支援サービスや樹木葬区画販売、宗教者紹介サービス、エンバーミングなどが伸長し1,604百万円となった。
経常利益の前期比増減要因を見ると、ティア直営の売上原価増で235百万円、販管費増で14百万円、のれん等償却費増で191百万円の減益要因となったが、ティア直営の増収効果で452百万円、八光殿のEBITDAで24百万円、東海典礼のEBITDAで170百万円の増益要因となったほか、前期に営業外費用として計上したM&A資金調達費用がなくなるなど営業外収支が127百万円改善し、全体では332百万円の増益となった。また、本来の収益力を示すEBITDAでは482百万円の増益となっており、EBITDAマージンも前期比0.4ポイント上昇の14.5%となり収益性も向上した。
売上原価率は前期の60.5%から62.2%と1.7ポイント上昇した。同社及びティアサービスの原価率が、外注費の増加と人事制度改定に伴う労務費率の上昇により60.1%と1.4ポイント上昇したことに加えて、相対的に原価率の高いグループ2社の業績が通期計上となったことも上昇要因となった。労務費率は各社ともほぼ同水準だが、商品原価率で差が出ているようで、八光殿は商品をすべて外注しているためコスト高になっている。東海典礼は同社と同様に生花を内製化しているため、八光殿より商品原価率はやや低く、今後はグループ2社の商品調達を同社に一本化することで、商品原価率を改善する方針だ。八光殿の外注先の切り替えは、今後3年程度かけて段階的に進めていくことになりそうだ。
販管費は前期比512百万円増加の6,511百万円となり、販管費率では同1.6ポイント低下の30.2%となった。このうち同社及びティアサービスの販管費は14百万円の増加となっており、増加要因の大半はグループ2社が通期計上となったことによる。主な増加項目としては、人件費で227百万円、広告宣伝費で232百万円、のれん償却額で100百万円となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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4. 同社の特徴と強み
(1) 同社の特徴
ティア<2485>の最大の特徴は、「葬儀価格の完全開示化」と「適正な葬儀費用の提示」を行い、旧来の葬儀社の慣習を打ち破り、明瞭な価格体系を構築し、葬儀費用を明確化した点にある。このため、葬儀単価は全国平均と比較して2~3割低い水準で推移している。ここ数年の傾向として、核家族化の進行や高齢者の独居率上昇など生活スタイルの変化、低価格戦略を展開する葬儀社の台頭などを背景に、「一般葬儀」から「家族葬」へのシフトが進み、葬儀単価も全体的に低下傾向が続いてきた。しかしながら、2023年夏以降は物価の上昇もあって葬儀単価も緩やかながら回復基調となっている。同社の2025年9月期におけるグループ直営店の平均単価も、前期比3.3%増の89.7万円と3期連続で上昇した。
出店戦略では、ドミナント出店を基本方針とし、会館同士の相互補完性を高めながら効率的な認知度向上と営業エリアの拡大を図っている。1会館当たりの商圏は直径3kmで、稼働率は約9割を目安としている。会館の基本フォーマットは、建坪150~200坪(平屋1階建て~2階建て)、収容人員100~150人の式場1室に会食ルーム、親族控室を併設したタイプで、最近は規模に応じて間仕切り可能な構造への改修を進めている。設備投資額は150~200百万円、投資回収期間は9~10年が目安となっている。ただ、最近は家族葬専用ホールの出店が主流である。基本フォーマットは建坪60坪(平屋1階建て)、収容人員30人規模の式場1室と会食ルーム、親族控室を併設したタイプで、既存ホールの商圏の隙間を埋める形で出店を進めている。設備投資額は70百万円、投資回収期間は9年を目安としている。
(2) 同社の強み
同社の強みは、独自の人財教育システム「ティアアカデミー」にある。「ティアアカデミー」では、新卒入社の新人社員に対して入社後6ヶ月間にわたり社会人としての基礎研修、セレモニーディレクターとしての実務教育※、さらに徳育的観点から「命」や「心」に関する教育を行っている。現場配属後もOJTに加えて、3ヶ月に1度の社長セミナーを実施し、「究極のサービス業」という認識を深め、「ご遺族に対して最高のおもてなし」により「感動」を与えられる人財を育成している。
※ 葬儀の依頼を受ける際の「打ち合わせ」、通夜・葬儀の際の会場設営、ロールプレイング、OJTによる施行立会い。
また、葬儀の専門人財「マスターセレモニーディレクター」の育成プログラムや、社員のスキルに応じた最適な人財配置を行うため、等級別に7段階で評価する社内検定試験「ティア検定」を導入している。さらに、会館運営や経営を担う次世代リーダーを育成するための研修も整備している。こうした人財教育システムは、同社の競争力を支える質の高いサービスの源泉となっている。なお、人財育成体制を支える施設として、教育専用施設「ティア・ヒューマンリソース・センター」を本社隣接地に設置し、短期間で多数の人財を育成する体制を整えた。これにより、新規出店への対応力を高めるとともに、葬儀業に対する理解を深めることで、社員の定着率向上にもつながっている。
■業績動向
2025年9月期業績は葬儀件数の増加とTLD領域の拡大により増収増益
1. 2025年9月期の業績概要
2025年9月期の連結業績は、売上高で前期比14.5%増の21,563百万円、営業利益で同14.3%増の1,643百万円、経常利益で同26.8%増の1,576百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同18.5%増の891百万円となった。売上高、営業利益、経常利益は5期連続の増収増益、当期純利益は2期ぶりの増益となった。2025年5月に上方修正した数値に対しては、下期の葬儀件数が下振れしたことにより売上高、各利益ともに未達となったが、期初計画に対してはいずれも上回って着地した。
新規出店状況を見ると、ティア直営店を愛知県に4店舗、埼玉県に1店舗開設し、八光殿が大阪府に3店舗、東海典礼が静岡県に2店舗それぞれ開設した。FC店については、富山県と神奈川県で各3店舗、愛知県で1店舗を開設した一方で、大阪府、愛知県、茨城県で各1店舗を閉鎖した。これにより、グループ店舗数は前期末比17店舗増の219店舗となった。
葬儀件数はティア直営店で前期比3.0%増の15,889件となり、グループ2社の葬儀件数と合わせた直営店合計では同8.0%増の19,773件となった。下期の葬儀件数が前年同期比1.6%減と失速した格好だが、業界全体もほぼ同様の動きとなったようで市場シェアは維持したと見られる。実際、名古屋市内の斎場シェアは上期に対して下期も同水準で推移した。下期の失速の要因は前年同期の水準が高かったことも影響したと見られ、弊社では一過性の動きと捉えている。
売上高の前期比増減要因を見ると、ティア直営・既存店の減収で200百万円(葬儀売上は135百万円の増収であり、アフター売上等335百万円をTLD領域に移管した)、ティア直営・新店の増収で471百万円、TLD領域の増収で966百万円、ティア直営のリロケーション・閉鎖による減収で122百万円となったほか、八光殿で932百万円、東海典礼で695百万円それぞれ増収に寄与し、全体では2,724百万円の増収となった。TLD領域の売上高は主に不動産売却を含む相続・不動産支援サービスや樹木葬区画販売、宗教者紹介サービス、エンバーミングなどが伸長し1,604百万円となった。
経常利益の前期比増減要因を見ると、ティア直営の売上原価増で235百万円、販管費増で14百万円、のれん等償却費増で191百万円の減益要因となったが、ティア直営の増収効果で452百万円、八光殿のEBITDAで24百万円、東海典礼のEBITDAで170百万円の増益要因となったほか、前期に営業外費用として計上したM&A資金調達費用がなくなるなど営業外収支が127百万円改善し、全体では332百万円の増益となった。また、本来の収益力を示すEBITDAでは482百万円の増益となっており、EBITDAマージンも前期比0.4ポイント上昇の14.5%となり収益性も向上した。
売上原価率は前期の60.5%から62.2%と1.7ポイント上昇した。同社及びティアサービスの原価率が、外注費の増加と人事制度改定に伴う労務費率の上昇により60.1%と1.4ポイント上昇したことに加えて、相対的に原価率の高いグループ2社の業績が通期計上となったことも上昇要因となった。労務費率は各社ともほぼ同水準だが、商品原価率で差が出ているようで、八光殿は商品をすべて外注しているためコスト高になっている。東海典礼は同社と同様に生花を内製化しているため、八光殿より商品原価率はやや低く、今後はグループ2社の商品調達を同社に一本化することで、商品原価率を改善する方針だ。八光殿の外注先の切り替えは、今後3年程度かけて段階的に進めていくことになりそうだ。
販管費は前期比512百万円増加の6,511百万円となり、販管費率では同1.6ポイント低下の30.2%となった。このうち同社及びティアサービスの販管費は14百万円の増加となっており、増加要因の大半はグループ2社が通期計上となったことによる。主な増加項目としては、人件費で227百万円、広告宣伝費で232百万円、のれん償却額で100百万円となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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