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SMK Research Memo(4):イノベーションセンターではヘルスケア領域を開拓中

配信日時:2025/12/04 11:04 配信元:FISCO
*11:04JST SMK Research Memo(4):イノベーションセンターではヘルスケア領域を開拓中 ■事業概要

6. イノベーションセンターの特長と業績動向
SMK<6798>のイノベーションセンターは、2024年4月に新規事業開発リソースを一本化するため組織を統合して新たに創設された。イノベーションセンターのミッションは1) 社会課題解決型のソリューションビジネスの創出、2) 独自性のある高付加価値技術・製品による新たな収益の柱の創出、3) 従来型のハードウェアビジネスにアルゴリズム等のソフトウェアやサービスを組み合わせた新たなビジネスモデルの創出で、CS事業部やSCI事業部でカバーしていない領域を担当する。直属の営業担当者も所属しているため、あくまでも事業主体である。将来性の高いヘルスケア領域に注力しており、特に「音声によるあたまの健康度分析技術」と「筋電センサー」にリソースを集中する。

イノベーションセンターの強みは、ハードとソフトを融合する技術であり、具体的には1) オープンイノベーションで外部技術を価値化するノウハウ(スカウティング→PoC→事業化を短サイクルで実現)、2) ハードウェアと連携したアルゴリズム開発力(ハードウェア(センサーなど)と連携した実用的なアルゴリズムの開発力)、3) 顧客仕様を満たす設計力(回路設計やソフトウェア、アルゴリズムを組み合わせ、様々な顧客の要望を実現)が挙げられる。これらの強みを基盤として、注力するヘルスケア業界では、行政や自治体・医療機関・大手民間企業(電力会社、保険会社等)・研究機関との連携が可能となっている。

2026年3月期中間期は、これまでの主力ビジネスであった通信モジュール事業をSCI事業部に移管したこともあり、売上高が21百万円(前年同期比81.2%減)、セグメント損失が244百万円(前年同期は200百万円の損失)と減収減益となった。



■業績動向

2026年3月期中間期は小幅な減収・営業損失となるも、計画比では増収増益で推移

1. 2026年3月期中間期の業績概要
2026年3月期中間期の連結業績は、売上高が前年同期比2.0%減の23,152百万円、営業損失が117百万円(前期は108百万円の利益)、経常損失が125百万円(同74百万円の利益)、親会社株主に帰属する中間純損失は193百万円(同287百万円の損失)となり、減収及び営業損失となったが純利益ベースでは赤字幅が縮小した。

電子部品業界の市況は全体としては緩やかな回復基調で推移した。市場別では、車載市場は世界的な自動車販売の減速やEVの失速などにより停滞した一方で、情報通信市場はスマートフォン/タブレット/AIサーバー/データセンターで、家電市場はゲーム/エアコンなどで回復・拡大基調が見られた。

売上高の減少は、CS事業が前年同期比427百万円減となった影響が大きい。車載市場ではE-Bike、二輪用コネクタが堅調で家電市場(アミューズメント関連)や産機市場(再生可能エネルギー関連)も拡大した。一方で情報通信市場(スマートフォン向け)、産機市場(ヘルスケア関連)が低調に推移した。SCI事業部は同57百万円増と前年同期並みとなった。家電市場(サニタリー関連/エアコン関連)、車載市場(操作ユニットやカメラモジュール)が好調となった。全社の上期売上高計画は22,000百万円であったので、計画を5.2%上回った。

営業利益の減益は、増収の影響(プラス128百万円)があったものの、為替の円高(7円程度円高、マイナス181百万円)、主にSMK技術展の計上等に起因する固定費増(マイナス135百万円)が主な要因である。一方、上期営業利益計画は400百万円の損失であり、計画比283百万円の増加となった。売上総利益が前年同期比6.2%減となり、販管費は同1.4%減と減少した。セグメント別では、CS事業部のセグメント利益が660百万円(同43.1%減)と減益となったのに対し、SCI事業部はセグメント損失が533百万円(前年同期は851百万円の損失)と前年同期から改善した。イノベーションセンターのセグメント損失は244百万円(前年同期は200百万円の損失)となった。なお、構造改革の影響(主に人件費の削減効果)は上期に一部あったものの、下期以降に本格化すると想定される。


自己資本比率50%超、健全な財務基盤を堅持

2. 財務状況と経営指標
2025年9月末の資産合計は前期末比1,441百万円減の56,243百万円となった。そのうち流動資産は2,079百万円減であり、売掛金・受取手形・電子記録債権の1,517百万円減少、現預金の669百万円減少などが主な要因である。固定資産は637百万円増であり、投資その他の資産の606百万円増加が主な要因である。

負債合計は前期末比1,253百万円減の27,209百万円となった。そのうち流動負債は82百万円減であり、未払金の758百万円減少、短期借入金の400百万円増加が主な要因である。固定負債は1,172百万円減であり、長期借入金が770百万円減少したことが主な要因である。有利子負債(短期借入金+長期借入金)の残高は前期末比371百万円減の13,951百万円である。

2025年9月末の経営指標では、流動比率が187.6%(前期末199.1%)、自己資本比率が51.6%(同50.7%)となっており、健全かつ安定した財務基盤を堅持している。ROE(自己資本当期純利益率)は、2022年3月期10.2%、2023年3月期4.2%、2024年3月期-1.5%、2025年3月期-6.1%と直近では低下しており、収益性・経営効率の改善が急務となる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)

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