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キャスター Research Memo(6):過去最高売上高を更新するも、人的投資の拡大等により損失幅が拡大
配信日時:2025/11/20 11:06
配信元:FISCO
*11:06JST キャスター Research Memo(6):過去最高売上高を更新するも、人的投資の拡大等により損失幅が拡大
■キャスター<9331>の決算概要
1. 2025年8月期の業績概要
2025年8月期の連結業績は、売上高が前期比3.3%増の4,588百万円、営業損失が382百万円(前期は151百万円の損失)、経常損失が386百万円(同158百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失が393百万円(同217百万円の損失)と増収ながら損失幅が拡大した。
売上高は、BPaaS事業において大型案件の解約(第1四半期)による影響を受けたものの、注力する経理・労務の領域やマイクロロットサービスの需要拡大により稼働社数が伸びた。また、新規事業(EC-Consulting)及び子会社(グラムス、キャスターテックジャパン)の通年寄与が売上高全体を押し上げ、過去最高売上高を更新した。
ただ、2025年8月末の稼働社数は1,316社(前期末比124社増)と大きく伸びた一方、ARPUはマイクロロットサービスの伸びとともに低下した。
一方、損失幅が拡大したのは、1)大型案件の解約や2)ARPU低下による影響のほか、3)専門領域の人材獲得に伴う先行費用に起因する。上期に積極投入した3)による影響が重荷となったが、受注状況に応じた原価最適化及び販管費の削減により、第4四半期には大幅に改善し、終盤には単月黒字化も実現した。
財政状態については、現金及び預金の減少により総資産が前期末比23.7%減の1,872百万円に、自己資本も純損失の計上に伴い同35.6%減の709百万円に縮小したそれらの結果、自己資本比率は37.9%(前期末は44.9%)に低下した。もっとも、現金及び預金は1,184百万円を確保しており、財務の安全性に懸念はない。
セグメント別の業績は以下のとおりである。
(1) BPaaS事業
売上高は前期比0.7%減の3,571百万円、セグメント利益は同26.3%減の628百万円と減収減益となった。注力する経理・労務の領域やマイクロロットサービス(My Assistant)の需要拡大により稼働社数が順調に伸びた一方、その反動によるARPU低下やその他領域の伸び悩みにより、第1四半期での大型案件解約(採用領域)分をカバーしきれず、わずかに減収となった。経理・労務領域も前期比では大きく伸長するも、アップセル効果が限定的にとどまり想定を下回った。損益面では、大型案件解約の影響に加え、積極的な人材投資に伴う一時的な負担増により大幅な減益となった。
(2) その他事業
売上高は前期比20.6%増の1,016百万円、セグメント損失は146百万円(前期は270百万円の損失)と増収及び損失幅が改善した。派遣、紹介が堅調に推移したほか、新規事業(EC-Consulting)及び子会社2社(グラムス、キャスターテックジャパン)の通年寄与が増収に大きく寄与した。損益面では、まだ費用が先行するものの、子会社を含めた事業ポートフォリオ及びグループ管理の最適化により損失幅が改善した。
2. KPIの四半期推移
四半期ごとのKPIについては、マイクロロットサービスの需要拡大を取り込み、稼働社数が順調に拡大した一方、それによる反動やアップセルの遅れがARPUの低下を招いた。
一方、広告効果に関わるKPIに目を向けると、稼働社数の拡大を図りながらCACは低下傾向をたどっており、目論見どおりの獲得効率を実現している。特に、第3四半期以降はマイクロロットサービスの拡大に合わせて、広告アロケーションの調整を行ったこともCAC抑制につながった。一方、LTVはARPU低下等による売上総利益率低下の影響を受けて悪化したものの、一時的なものとの見方ができる。ユニットエコノミクスはCAC抑制により、第4四半期には500%~700%(適正水準)を超えており、高いパフォーマンスを実現している※。
※ 同社2026年8月期からのセグメント変更に合わせ、開示するKPIも変更予定である。
3. 2025年8月期の総括
2025年8月期を総括すると、稼働社数が順調に伸びたことやAIエージェント関連が立ち上がってきたことは評価できる一方、損失幅の拡大は明らかにネガティブな材料であり評価の難しい結果となった。もっとも、損失幅の拡大は、BPaaS事業による大型案件の解約と今後を見据えた人材獲得によるものであり、一過性要因と捉えることができる。また、利益確保優先の体制を維持しながら、得た利益をAI領域に投資し、CAC低減や利益向上施策を運用に載せ、事業拡大を実現する道筋も見えてきた。活動面では新規事業や子会社グラムスによるEC領域への展開のほか、AI戦略子会社の稼働(AIエージェントの開発、実装)、経理・労務領域での様々な取り組み※など、今後の事業拡大に向けて注目すべき成果を残すことができた。したがって、業績面では試行錯誤により苦戦したものの、中身については同社が進化するきっかけとなる1年と振り返ることもできるだろう。
※ 上場企業経理向けの特化プランや税理士法人特化プランのほか、AI人材の採用に特化したサービスといった高単価が期待できる専門領域向けBPaaSの提供を開始し、今後の事業拡大に向けたラインナップの充実を図った。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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1. 2025年8月期の業績概要
2025年8月期の連結業績は、売上高が前期比3.3%増の4,588百万円、営業損失が382百万円(前期は151百万円の損失)、経常損失が386百万円(同158百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失が393百万円(同217百万円の損失)と増収ながら損失幅が拡大した。
売上高は、BPaaS事業において大型案件の解約(第1四半期)による影響を受けたものの、注力する経理・労務の領域やマイクロロットサービスの需要拡大により稼働社数が伸びた。また、新規事業(EC-Consulting)及び子会社(グラムス、キャスターテックジャパン)の通年寄与が売上高全体を押し上げ、過去最高売上高を更新した。
ただ、2025年8月末の稼働社数は1,316社(前期末比124社増)と大きく伸びた一方、ARPUはマイクロロットサービスの伸びとともに低下した。
一方、損失幅が拡大したのは、1)大型案件の解約や2)ARPU低下による影響のほか、3)専門領域の人材獲得に伴う先行費用に起因する。上期に積極投入した3)による影響が重荷となったが、受注状況に応じた原価最適化及び販管費の削減により、第4四半期には大幅に改善し、終盤には単月黒字化も実現した。
財政状態については、現金及び預金の減少により総資産が前期末比23.7%減の1,872百万円に、自己資本も純損失の計上に伴い同35.6%減の709百万円に縮小したそれらの結果、自己資本比率は37.9%(前期末は44.9%)に低下した。もっとも、現金及び預金は1,184百万円を確保しており、財務の安全性に懸念はない。
セグメント別の業績は以下のとおりである。
(1) BPaaS事業
売上高は前期比0.7%減の3,571百万円、セグメント利益は同26.3%減の628百万円と減収減益となった。注力する経理・労務の領域やマイクロロットサービス(My Assistant)の需要拡大により稼働社数が順調に伸びた一方、その反動によるARPU低下やその他領域の伸び悩みにより、第1四半期での大型案件解約(採用領域)分をカバーしきれず、わずかに減収となった。経理・労務領域も前期比では大きく伸長するも、アップセル効果が限定的にとどまり想定を下回った。損益面では、大型案件解約の影響に加え、積極的な人材投資に伴う一時的な負担増により大幅な減益となった。
(2) その他事業
売上高は前期比20.6%増の1,016百万円、セグメント損失は146百万円(前期は270百万円の損失)と増収及び損失幅が改善した。派遣、紹介が堅調に推移したほか、新規事業(EC-Consulting)及び子会社2社(グラムス、キャスターテックジャパン)の通年寄与が増収に大きく寄与した。損益面では、まだ費用が先行するものの、子会社を含めた事業ポートフォリオ及びグループ管理の最適化により損失幅が改善した。
2. KPIの四半期推移
四半期ごとのKPIについては、マイクロロットサービスの需要拡大を取り込み、稼働社数が順調に拡大した一方、それによる反動やアップセルの遅れがARPUの低下を招いた。
一方、広告効果に関わるKPIに目を向けると、稼働社数の拡大を図りながらCACは低下傾向をたどっており、目論見どおりの獲得効率を実現している。特に、第3四半期以降はマイクロロットサービスの拡大に合わせて、広告アロケーションの調整を行ったこともCAC抑制につながった。一方、LTVはARPU低下等による売上総利益率低下の影響を受けて悪化したものの、一時的なものとの見方ができる。ユニットエコノミクスはCAC抑制により、第4四半期には500%~700%(適正水準)を超えており、高いパフォーマンスを実現している※。
※ 同社2026年8月期からのセグメント変更に合わせ、開示するKPIも変更予定である。
3. 2025年8月期の総括
2025年8月期を総括すると、稼働社数が順調に伸びたことやAIエージェント関連が立ち上がってきたことは評価できる一方、損失幅の拡大は明らかにネガティブな材料であり評価の難しい結果となった。もっとも、損失幅の拡大は、BPaaS事業による大型案件の解約と今後を見据えた人材獲得によるものであり、一過性要因と捉えることができる。また、利益確保優先の体制を維持しながら、得た利益をAI領域に投資し、CAC低減や利益向上施策を運用に載せ、事業拡大を実現する道筋も見えてきた。活動面では新規事業や子会社グラムスによるEC領域への展開のほか、AI戦略子会社の稼働(AIエージェントの開発、実装)、経理・労務領域での様々な取り組み※など、今後の事業拡大に向けて注目すべき成果を残すことができた。したがって、業績面では試行錯誤により苦戦したものの、中身については同社が進化するきっかけとなる1年と振り返ることもできるだろう。
※ 上場企業経理向けの特化プランや税理士法人特化プランのほか、AI人材の採用に特化したサービスといった高単価が期待できる専門領域向けBPaaSの提供を開始し、今後の事業拡大に向けたラインナップの充実を図った。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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